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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179843
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】防草シート
(51)【国際特許分類】
   A01G 13/00 20060101AFI20241219BHJP
   A01G 17/00 20060101ALI20241219BHJP
   A01M 21/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A01G13/00 E
A01G17/00
A01M21/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099061
(22)【出願日】2023-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売年月日:令和4年12月7日 販売した場所:阿南農業協同組合(徳島県阿南市桑野町上張15)
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000201641
【氏名又は名称】全国農業協同組合連合会
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】祖川 禎之
(72)【発明者】
【氏名】藤原 昭夫
(72)【発明者】
【氏名】小笠 佳彦
(72)【発明者】
【氏名】長江 郁哉
【テーマコード(参考)】
2B024
2B121
【Fターム(参考)】
2B024BA02
2B024BA03
2B024BA04
2B121AA19
2B121BB28
2B121BB31
2B121BB35
2B121FA12
(57)【要約】
【課題】地球環境に配慮した防草作業を可能とし、簡単且つ迅速に苗木等の周りに設置できる紙製の防草シートを提供する。
【解決手段】本発明は、円形の紙パネルから成る防草シート1であって、中央開口部1oが形成可能に、円形の紙パネルの中心から放射状に形成された複数の中央放射状切込線CL1と、中心から円形の紙パネルの周縁まで径方向に沿って形成された径方向切込線CL2と、全体が傘状を呈するように径方向切込線CL2を挟んだ両側の紙パネル部分を重ねるように移動させた際に形成される重ね部において、重なり状態を維持可能に両側の紙パネル部分を固定する固定手段2とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
円形の紙パネルから成る防草シートであって、
中央開口部が形成可能に、前記円形の紙パネルの中心から放射状に形成された複数の中央放射状切込線と、
前記中心から前記円形の紙パネルの周縁まで径方向に沿って形成された径方向切込線と、
全体が傘状を呈するように前記径方向切込線を挟んだ両側の紙パネル部分を重ねるように移動させた際に形成される重ね部において、前記重なり状態を維持可能に前記両側の紙パネル部分を固定する固定手段と
を備えることを特徴とする防草シート。
【請求項2】
中央に円形孔部をさらに備え、
前記複数の中央放射状切込線は、前記円形孔部の周縁から径方向外側に向かってそれぞれ形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防草シート。
【請求項3】
前記円形の紙パネルの中心から周縁に向かって放射状に形成された複数の放射状罫線と、
前記円形の紙パネルの周縁の端縁部において、前記放射状罫線の線上または延長線上に形成された端縁部放射状切込線と
をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の防草シート。
【請求項4】
前記紙パネルは、段ボール製であり、
前記径方向切込線は、前記段ボールの段目に沿って形成されていることを特徴とする請求項1に記載の防草シート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防草シートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、果樹等の苗木・幼木(以下、「苗木等」とも言う)の園地管理における除草作業は、労力の掛かるものであり、苗木等の周りにプラスチック製の防草シートを貼り、その労力を軽減させることが知られている。
【0003】
一方、近年世界的にプラスチックゴミ問題が深刻化しており、地球環境の改善のため、防草シートの素材をプラスチックから他の素材に替えることが望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで例えば、防草シートの素材を紙に変更した場合、プラスチックのものと比較して、剛性が高く、破損しやすいという点が考えられ、従来のプラスチック製の防草シートと同様の態様で設置できるとは考えにくい。したがって、簡単且つ迅速に苗木等の周りに設置するための紙製の防草シートの構造については改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的は、地球環境に配慮した防草作業を可能とし、簡単且つ迅速に苗木等の周りに設置できる紙製の防草シートを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る防草シートの第1形態は、円形の紙パネルから成る防草シートであって、中央開口部が形成可能に、前記円形の紙パネルの中心から放射状に形成された複数の中央放射状切込線と、前記中心から前記円形の紙パネルの周縁まで径方向に沿って形成された径方向切込線と、全体が傘状を呈するように前記径方向切込線を挟んだ両側の紙パネル部分を重ねるように移動させた際に形成される重ね部において、前記重なり状態を維持可能に前記両側の紙パネル部分を固定する固定手段とを備えることを特徴とするものである。
【0007】
本発明に係る防草シートの第2形態は、中央に円形孔部をさらに備え、前記複数の中央放射状切込線は、前記円形孔部の周縁から径方向外側に向かってそれぞれ形成されていることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【0008】
本発明に係る防草シートの第3形態は、前記円形の紙パネルの中心から周縁に向かって放射状に形成された複数の放射状罫線と、前記円形の紙パネルの周縁の端縁部において、前記放射状罫線の線上または延長線上に形成された端縁部放射状切込線とをさらに備えることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【0009】
本発明に係る防草シートの第4形態は、前記紙パネルは、段ボール製であり、前記径方向切込線は、前記段ボールの段目に沿って形成されていることを特徴とする第1形態として記載のものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る防草シートによれば、苗木等の幹を、当該径方向切込線に通して、防草シートの中心に有る当該中央開口部に容易に導くことができ、その結果、苗木等の周りに防草シートを迅速に設置することが可能となり、また、全体が傘状を呈し、当該中央放射状切込線により、中央において凹部形状が出来上がるので、苗木等に与える水や肥料が零れにくくすることができる。さらに、紙製なので土に還すことができ地球環境に配慮した除草作業が可能となる。なお、本発明の防草シートを設置することにより、夏場は乾燥防止効果、冬場は保温効果を期待できるため、苗木等の育成にも寄与すると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態に係る防草シートのブランクの平面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る防草シートの設置例を表す斜視図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る防草シートのブランクの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図1から図3を参照しながら本発明を実施するための形態を詳細に説明する。但し、本発明は本形態の態様に限定されるものではない。
【0013】
<第1実施形態>
図1は本発明の第1実施形態に係る防草シート1のブランクの平面図であり、図2は本実施形態に係る防草シート1の設置例を表す斜視図である。図1図2中、説明の便宜上、表面に各罫線を記載しているが、第1実施形態では、裏側に各罫線が形成されている。後述の第2実施形態を示す図3についても同様である。
【0014】
本実施形態に係る防草シート1が使用される対象は、図2に符号3で表される果樹の苗木であるが、本発明ではこれに限られずに、果樹以外の種類の樹木でもよいし、幼木でもよい。
【0015】
本実施形態に係る防草シート1は、円形の紙パネルから成り、後述のように、中央開口部1oが形成可能な第1領域と、紙パネルの周縁の端縁部(周縁端部とも言う)である第2領域と、当該第1領域と第2領域との間に挟まれた第3領域とを有する。当該第2領域および第3領域については、本実施形態では、図1および図2に示すように、円形の紙パネルの中心から周縁に向かって放射状に形成された7本の放射状罫線FL2(およびその延長線)と中心から円形の紙パネルの周縁まで径方向に沿って形成された1本の径方向切込線CL2の計8本の放射状直線によって、8等分に区分されている。よって、当該第2領域は紙パネルの第1乃至第8周縁端部1E~8Eを有し、当該第3領域は第1乃至第8シート部分1S~8Sを有する。本実施形態では、径方向切込線CL2は、図1および図2に示すように、第4シート部分4Sと第5シート部分5Sとの間に形成されており、第4周縁端部4Eと第5周縁端部5Eとの間に形成されている。また、本実施形態では、後述の固定手段2は、係止部2Aと被係止部2Bとで構成され、図1および図2に示すように、第4周縁端部4Eに係止部2Aが設けられ、第5周縁端部5Eに被係止部2Bが設けられている。
【0016】
本実施形態に係る防草シート1は、図1および図2に示すように、中央開口部1oが形成可能に、円形の紙パネルの中心から放射状に形成された複数の中央放射状切込線CL1と、中心から円形の紙パネルの周縁まで径方向に沿って形成された径方向切込線CL2と、全体が傘状を呈するように径方向切込線CL2を挟んだ両側の紙パネル部分(第4シート部分4Sおよび第5シート部分5S)を重ねるように移動させた際に形成される重ね部において、重なり状態を維持可能に両側の紙パネル部分を固定する固定手段2とを備えるものである。この構成によれば、苗木3の幹を、径方向切込線CL2に通して、防草シート1の中心に有る中央開口部1oに容易に導くことができ、その結果、苗木3の周りに防草シート1を迅速に設置することが可能となり、また、全体が傘状を呈し、中央放射状切込線CL1により、中央において凹部形状が出来上がるので、苗木3に与える水や肥料が零れにくくすることができる。さらに、紙製なので土に還すことができ地球環境に配慮した除草作業が可能となる。
【0017】
本実施形態では、中央放射状切込線CL1が形成されている第1領域において、16本の中央放射状切込線CL1の基端側の(中央から離れている)端部同士をそれぞれ接続するように中央開口部罫線FL1が16箇所形成されている。この中央開口部罫線FL1においてそれぞれ折り曲げることより、中央開口部1oにおいて凹部形状を迅速に形成することができる。
【0018】
固定手段2は、上述したように、係止部2Aと被係止部2Bとで構成され、被係止部2Bは、図1および図2に示すように、第5周縁端部5Eにおいて台形状の切欠きが形成されるように、切込線CL5が第5周縁端部5Eに形成されることで設けられ、係止部2Aは、図1および図2に示すように、第4周縁端部4Eにおいて台形状の切片が罫線FL3にて折り曲げ可能に、当該台形の一対の脚に相当する部分に切込線CL6を形成し、当該台形の(下底よりも短い)上底に相当する部分に罫線FL3を形成することで設けられる。第5シート部分5Sに第4シート部分4Sを重ね、第5周縁端部5Eに第4周縁端部4Eを重ねた後、係止部2Aの台形状の切片を、被係止部2Bの台形状の切欠きにおいて内側に折り込むことによって、固定が完了する。そして、この固定により、防草シート1が傘状を呈することになる。
【0019】
また、本実施形態に係る防草シート1では、図1および図2に示すように、中央において円形切込線CL3によって形成された円形孔部1hをさらに備え、複数の中央放射状切込線CL1は、円形孔部1hの周縁から径方向外側に向かってそれぞれ形成されている。この構成によれば、苗木3の幹を、防草シート1の中心にさらに容易に導くことができ、苗木3の周りに防草シート1をさらに迅速に設置することが可能となる。本発明では、円形孔部1hが無い形態も許容され得る。
【0020】
さらに、本実施形態に係る防草シート1では、図1および図2に示すように、円形の紙パネルの中心から周縁に向かって放射状に形成された複数の放射状罫線FL2と、円形の紙パネルの周縁の端縁部1Eにおいて、放射状罫線FL2の線上または延長線上に形成された端縁部放射状切込線CL4とをさらに備えるものである。この構成によれば、放射状罫線FL2によって防草シート1の全体を傘状に変形しやすくすることが可能となる。また、端縁部放射状切込線CL4によって第1乃至第8周縁端部1E~8Eを外側に反らせやすくして、単純に傘状にしたよりも、第1乃至第8周縁端部1E~8Eが地面に対して対向するような形状になるので、第1乃至第8周縁端部1E~8Eを地面に接触させる面積が増加し、傘状の防草シート1を地面に安定して設置することができる。さらに、傘状の防草シート1に縁部が形成され、当該縁部に土寄せを行い、防草シート1を地面に対して固定し、防草シート1の飛散や破れ防止に寄与することが可能となる。本発明では、放射状罫線FL2や端縁部放射状切込線CL4が無い形態も許容され得る。また、端縁部放射状切込線CL4は、シートの厚み全部を切断しない半切線でも良いものとする。
【0021】
本実施形態に係る防草シート1では、図1に示すように、第1乃至第8シート部分1S~8S(第3領域)と第1乃至第8周縁端部1E~8E(第2領域)との境界において、周方向に形成された周方向罫線FL4が形成されている。また、端縁部放射状切込線CL4は、周方向罫線FL4から、径方向外側に向かって形成されている。この構成により、第1乃至第8周縁端部1E~8Eをさらに外側に反らせやすくして、傘状の防草シート1を地面に安定して設置し、さらに、傘状の防草シート1の縁部に土寄せを行いやすくなり、防草シート1の飛散や破れ防止に寄与することが可能となる。
【0022】
本実施形態に係る防草シート1では、図1に示すように、紙パネルは、段ボール製であり、径方向切込線CL2は、段ボールの段目に沿って形成されている。この構成によれば、段ボール製なので、より土中において分解しやすくなり、また、段ボールの段目に沿って形成されているので、防草シート1の製造において、径方向切込線CL2が段ボールに形成されやすくなる。
【0023】
本実施形態では、防草シート1の表面に印刷加工を施しているが(図1および図2に示すグレー部分、後述の第2実施形態が示された図3も同様)、本発明では、印刷加工されていなくてよい。
【0024】
また、本実施形態に係る防草シート1の表面に、ペグや杭を打ち込むことによって、さらに防草シート1が飛散することが防止され得る。
【0025】
本実施形態によれば、果樹園地における除草作業の省力化及び効率化を実現できる。また、果樹の苗木~幼木の園地管理における除草作業(すなわち、自走モアー、刈払い機及び除草剤散布等の作業)時において作業時の目印となり効率的に作業が行えることになる。
【0026】
また、本実施形態によれば、防草シート1の抑草効果から株元にほとんど草が無い状態となり、除草作業の省力化・労力軽減につながることになる。さらに、防草シート1を設置した部分は草の種が落ちない為、長期間(約6箇月)にわたり抑草効果を得ることができる。
【0027】
なお、本実施形態の防草シートを設置することにより、夏場は乾燥防止効果、冬場は保温効果を期待できるため、苗木等の育成にも寄与すると考えられる。後述の第2実施形態も同様である。
【0028】
<第2実施形態>
本発明の第2実施形態は、第1実施形態と異なり、中央開口部の大きさはそのままで、円状の紙パネルの大きさを小さくしたものである。場所によっては、広い面積の防草シートが不要な場合もあり、第1実施形態と選択的に使用できる。
【0029】
図3は、本発明の第2実施形態に係る防草シート1’のブランクの平面図である。本実施形態に係る防草シート1’を構成する各要素のうち、同様の機能を有するものについては、第1実施形態と同一の符号を付してその説明を省略する。
【0030】
本実施形態によれば、第1実施形態と同様に、苗木3の周りに防草シート1’を迅速に設置することが可能となり、また、苗木3に与える水や肥料が零れにくくすることができ、さらに、紙製なので土に還すことができ地球環境に配慮した除草作業が可能となる。
【0031】
本発明は、上述した各実施形態や、随所に述べた変形例に限られることなく、本発明の技術的思想から逸脱しない範囲で、適宜の変更や変形が可能である。
【0032】
例えば、上記各実施形態に係る防草シート1、1’は、段ボール製であるが、本発明では、厚紙等の紙製であってもよい。
【0033】
加えて、上記各実施形態に係る防草シート1、1’では、各罫線は、裏側に形成されているが、本発明では表側に形成されてもよい。
【0034】
また、上記各実施形態に係る防草シート1、1’では、8等分するように罫線や切込線が形成されているが、本発明では、防草シート1、1’が傘状を呈するのであれば何等分であってもよい。
【符号の説明】
【0035】
1、1’ 防草シート
1E~8E 第1乃至第8周縁端部
1S~8S 第1乃至第8シート部分
1h 円形孔部
1o 中央開口部
CL1 中央放射状切込線
CL2 径方向切込線
CL3 円形切込線
CL4 端縁部放射状切込線
FL1 中央開口部罫線
FL2 放射状罫線
FL4 周方向罫線
2 固定手段
3 苗木
図1
図2
図3