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特開2024-179844心理検査システム、心理検査補助方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179844
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】心理検査システム、心理検査補助方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 10/00 20060101AFI20241219BHJP
   G16H 10/20 20180101ALI20241219BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A61B10/00 H
G16H10/20
A61B5/16 100
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099063
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】524095063
【氏名又は名称】ボストン エムケー ビーピーオー マネジメント コンサルタンシー
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】前田 雅春
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP03
4C038PS09
5L099AA03
(57)【要約】
【課題】被検者の負担増加を軽減し、かつ、心理検査の検査精度を向上させることができる心理検査システムを提供する。
【解決手段】心理検査システム1は、回答取得部11と、解析部14と、を備える。回答取得部11は、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する。解析部14は、第1心理検査及び第2心理検査の各々の評価基準に従って複数の回答を解析する。複数の質問は、第1心理検査及び第2心理検査のいずれにも用いられる共通質問36を含む。回答取得部11は、共通質問36に一対一で対応する共通回答を複数の回答の一部として取得する。解析部14は、複数の回答のうち共通質問を含む2以上の回答を、第1心理検査に係る複数の回答として解析する。解析部14は、複数の回答のうち共通質問を含む2以上の回答を、第2心理検査に係る複数の回答として解析する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する回答取得部と、
前記第1心理検査及び前記第2心理検査の各々の評価基準に従って前記複数の回答を解析する解析部と、を備え、
前記複数の質問は、前記第1心理検査及び前記第2心理検査のいずれにも用いられる少なくとも1つの共通質問を含み、
前記回答取得部は、前記少なくとも1つの共通質問に一対一で対応する少なくとも1つの共通回答を前記複数の回答の一部として取得し、
前記解析部は、
前記少なくとも1つの共通回答を含む、前記複数の回答のうち前記第1心理検査に係る2以上の回答を、前記第1心理検査の前記評価基準に従って解析し、
前記少なくとも1つの共通回答を含む、前記複数の回答のうち前記第2心理検査に係る2以上の回答を、前記第2心理検査の前記評価基準に従って解析する、
心理検査システム。
【請求項2】
前記回答取得部は、前記複数の質問の各々について、前記被検者が2以上の選択肢から選択した1つの選択肢を回答として取得する、
請求項1に記載の心理検査システム。
【請求項3】
前記解析部は、
前記2以上の選択肢の各々に対して点数を付与し、
前記複数の回答のうち前記第1心理検査に関する回答に対応する点数を、前記第1心理検査の前記評価基準に従って解析し、
前記複数の回答のうち前記第2心理検査に関する回答に対応する点数を、前記第2心理検査の前記評価基準に従って解析する、
請求項2に記載の心理検査システム。
【請求項4】
前記解析部は、前記少なくとも1つの共通回答に対し、前記第1心理検査に関する回答としての点数と、前記第2心理検査に関する回答としての点数とを付与する、
請求項3に記載の心理検査システム。
【請求項5】
前記第1心理検査の解析対象である前記被検者の特性と前記第2心理検査の解析対象である前記被検者の特性とは、同一の特性を含む、
請求項1から4のいずれか1項に記載の心理検査システム。
【請求項6】
前記少なくとも1つの共通質問は、前記被検者の前記同一の特性に関する、
請求項5に記載の心理検査システム。
【請求項7】
前記回答取得部は、
前記解析部が前記第1心理検査に係る2以上の回答を前記第1心理検査の前記評価基準に従って解析した後に、前記第2心理検査に係る複数の質問の決定を行い、
前記決定された前記第2心理検査に係る前記複数の質問に対する複数の回答を前記被検者から取得する、
請求項1から4のいずれか1項に記載の心理検査システム。
【請求項8】
前記第1心理検査及び前記第2心理検査は、前記被検者の発達障害を評価する心理検査である、
請求項1に記載の心理検査システム。
【請求項9】
第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する回答取得ステップと、
前記第1心理検査及び前記第2心理検査の各々の評価基準に従って前記複数の回答を解析する解析ステップと、を含み、
1以上のプロセッサで実行され、
前記複数の質問は、前記第1心理検査及び前記第2心理検査のいずれにも用いられる少なくとも1つの共通質問を含み、
前記回答取得ステップでは、前記少なくとも1つの共通質問に一対一で対応する少なくとも1つの共通回答を前記複数の回答の一部として取得し、
前記解析ステップにおいて、
前記少なくとも1つの共通回答を含む、前記複数の回答のうち前記第1心理検査に係る2以上の回答を、前記第1心理検査の前記評価基準に従って解析し、
前記少なくとも1つの共通回答を含む、前記複数の回答のうち前記第2心理検査に係る2以上の回答を、前記第2心理検査の前記評価基準に従って解析する、
心理検査補助方法。
【請求項10】
1以上のプロセッサに、請求項9の心理検査補助方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は心理検査システム、心理検査補助方法及びプログラムに関し、特に、複数の心理検査に用いられる心理検査システム、心理検査補助方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、発達障害を診断又は識別するための、認知機能属性の評価を行う装置を開示している。特許文献1に開示されている装置は、被験体(被検者)の発達障害に関連し得る特徴を、機械学習を用いて評価する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2018/090009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、心理検査を被検者に行う場合、1つの心理検査だけでは検査精度が十分に高くない場合がある。一方で、被検者に複数の心理検査を実施すると、心理検査の数に比例して被検者の負担が大きくなる。また、被検者に複数の心理検査を実施すると、被検者の疲労等により被検者の回答に矛盾が生じ、検査結果の信頼性が低下する場合がある。
【0005】
本開示は、被検者の負担増加を軽減し、かつ、心理検査の検査精度を向上させることができる心理検査システム、心理検査補助方法、及びプログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る心理検査システムは、回答取得部と、解析部と、を備える。前記回答取得部は、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する。前記解析部は、前記第1心理検査及び前記第2心理検査の各々の評価基準に従って前記複数の回答を解析する。前記複数の質問は、前記第1心理検査及び前記第2心理検査のいずれにも用いられる少なくとも1つの共通質問を含む。前記回答取得部は、前記少なくとも1つの共通質問に一対一で対応する少なくとも1つの共通回答を前記複数の回答の一部として取得する。前記解析部は、前記複数の回答のうち前記少なくとも1つの共通質問を含む2以上の回答を、前記第1心理検査に係る複数の質問の各々に対する回答として解析する。前記解析部は、前記複数の回答のうち前記少なくとも1つの共通質問を含む2以上の回答を、前記第2心理検査に係る複数の質問に対応する回答として解析する。
【0007】
本開示の一態様に係る心理検査補助方法は、回答取得ステップと、解析ステップと、を含む。前記心理検査補助方法は、1以上のプロセッサにより実行される。前記回答取得ステップでは、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する。前記解析ステップでは、前記第1心理検査及び前記第2心理検査の各々の評価基準に従って前記複数の回答を解析する。前記複数の質問は、前記第1心理検査及び前記第2心理検査のいずれにも用いられる少なくとも1つの共通質問を含む。前記回答取得ステップでは、前記少なくとも1つの共通質問に一対一で対応する少なくとも1つの共通回答を前記複数の回答の一部として取得する。前記解析ステップでは、前記複数の回答のうち前記少なくとも1つの共通質問を含む2以上の回答を、前記第1心理検査に係る複数の質問の各々に対する回答として解析する。前記解析ステップでは、前記複数の回答のうち前記少なくとも1つの共通質問を含む2以上の回答を、前記第2心理検査に係る複数の質問に対応する回答として解析する。
【0008】
本開示の一態様に係るプログラムは、前記心理検査方法を1以上のプロセッサに実行させる。
【発明の効果】
【0009】
上記態様に係る心理検査システム、心理検査補助方法、及びプログラムによれば、被検者の負担増加を軽減し、かつ、心理検査の検査精度を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、実施形態1に係る心理検査システムを示すブロック図である。
図2図2は、同上の心理検査システムの動作を示すフローチャートである。
図3図3は、同上の心理検査システムの解析部の動作を示すフローチャートである。
図4図4は、実施形態2に係る心理検査システムの動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施形態3に係る心理検査システムの記憶部が保持するデータを示すブロック図である。
図6図6は、同上の心理検査システムの動作を示すフローチャートである。
図7図7は、実施形態4に係る心理検査システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本開示の一態様に係る心理検査システム1について説明する。
【0012】
(実施形態1)
1.心理検査システムの構成
(1)全体構成
図1は、実施形態1に係る心理検査システム1を示すブロック図である。
【0013】
図1に示すように、心理検査システム1は、心理検査装置10を含む。心理検査装置10は、ネットワークNT1を通じて検査端末20に接続される。
【0014】
心理検査システム1は、例えば、医師が被検者に行う心理検査を補助する。より詳細には、心理検査システム1は、検査端末20を用いて被検者に心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を取得し、心理検査の評価基準に従って複数の回答を解析する。心理検査は、被検者に複数の質問を提示し、複数の質問の各々に対応する被検者の回答を評価基準に従って解析することで、被検者の特性を評価するための解析結果を取得する手法である。
【0015】
被検者の特性は、例えば、発達障害、更年期障害、パニック障害、うつ病等を含む。発達障害は、例えば、注意欠如・多動症(ADHD:Attention-Deficit Hyperactivity Disorder)、広範囲発達障害(PDD:Pervasive Developmental Disorders)、自閉スペクトラム症(ASD:Autism Spectrum Disorder)を含む。また、被検者の特性は、被検者の行動や能力に係る特性を含み、例えば、多動性、共感性、衝動性などの特性である。
【0016】
ここで、解析結果とは、心理検査において被検者が行った複数の回答を、評価基準に基づいて解析した結果を指す。すなわち、解析結果とは、心理検査に用いる複数の質問及び評価基準と、被検者の複数の回答との関係に基づいて一意に決まるものである。解析結果は、被検者が正しい自己分析に基づいて正直に複数の回答を行うという前提において、被検者の特定の特性について、特定の傾向を有する可能性が高いことを示す。言い換えると、解析結果は、被検者が行った複数の回答をデータ処理した結果であり、データ処理そのものは医療行為ではなく、解析結果は被検者を「診察」した結果ではない。
【0017】
心理検査システム1は、被検者に複数の心理検査を被検者に行う際に用いられる。より詳細には、心理検査システム1は、被検者から複数の質問に対する複数の回答を取得する。また、心理検査システム1は、被検者から取得する複数の回答を、複数の心理検査の各々の評価基準を用いて解析する。
【0018】
ここで、心理検査システム1は、複数の心理検査のうち2以上の心理検査で用いられる共通質問について、共通質問に一対一で対応する共通回答を被検者から得る。すなわち、心理検査システム1は、1つの質問に対して、被検者から複数の回答を取得しない。これにより、被検者は、同じ質問に対して何度も回答をする必要がないため、被検者の負担が軽減する。また、心理検査システム1では、1つの質問に対する被検者の回答が複数の心理検査の間で異なることがない。すなわち、複数の心理検査の間で被検者の回答に矛盾が生じることを低減させることができるため、複数の心理検査の解析結果を組み合わせて、被検者の特性を高精度に評価することが可能となる。
【0019】
また、心理検査システム1では、共通質問に対する被検者の回答について、複数の心理検査の各々の評価基準で評価を行う。すなわち、心理検査システム1では、複数の心理検査の間で、被検者の同一の特性に関する解析結果を互いに利用しない。これにより、心理検査システム1では、1つの心理検査の解析結果が他の心理検査の解析結果に影響を与えない。したがって、心理検査システム1では、複数の心理検査の各々について、検査の感度及び特異度の劣化を低減させることができる。例えば、共通質問により判定される被検者の特性について、1つの心理検査が重症度を誤判定しても、他の心理検査の解析結果は、その影響を受けない。
【0020】
(2)構成要素
心理検査装置10は、被検者に対して心理検査を行い、その結果を分析して出力する装置である。心理検査装置10は、回答取得部11と、記憶部12と、通信部13と、解析部14と、表示部15と、制御部16と、を含む。
【0021】
心理検査装置10は、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問の回答を被検者から取得し、第1心理検査及び第2心理検査の各々の評価基準に従って複数の回答を解析する。第1心理検査及び第2心理検査は、いずれも発達障害に関する検査である。
【0022】
第1心理検査は、例えば、CAARS(Conners' Adult ADHD Rating Scales)である。CAARSは、ADHDに関連する特性である、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IV(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disorders 第4版)の不注意型症状、DSM-IVの多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IVの総合ADHD評価、の8カテゴリの特性について、各々の重症度を解析する。
【0023】
第2心理検査は、例えば、MSPA(Multi-dimensional Scale for PDD and ADHD)である。第2心理検査であるMSPAは、広範囲発達障害又はADHDに関連する特性である、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の13カテゴリの特性について、各々の重症度を解析する。すなわち、第1心理検査の解析対象である特性と、第2心理検査の評価対象である特性とは、いずれも、不注意、多動性、衝動性を含む。
【0024】
第1心理検査及び第2心理検査は、複数の共通質問を含む。複数の共通質問は、例えば、不注意を評価する複数の質問、多動性を評価する複数の質問、及び衝動性を評価する複数の質問、の各々に含まれる。すなわち、共通質問は、第1心理検査と第2心理検査とのいずれにおいても、被検者の同一の特性を解析するために用いられる。
【0025】
(2.1)記憶部
記憶部12は、被検者に対して行う心理検査において提示する複数の質問と、複数の質問の各々に対応する回答の評価基準とを記憶している。より詳細には、記憶部12は、図1に示すように、質問群31と、第1評価基準32と、第2評価基準33と、を記憶している。また、記憶部12は、被検者から取得する複数の回答を回答群39として記憶する。
【0026】
(2.1.1)質問
質問群31は、心理検査において提示する複数の質問を含む。複数の質問の各々は、質問文と、質問文に対する回答として被験者に選択させる選択肢1~選択肢4と、を含む。質問群31は、第1質問群34と、第2質問群35と、を含む。
【0027】
第1質問群34に含まれる複数の質問は、第1心理検査に用いられる。第1質問群34の一部を以下に示す。
【0028】
【表1】
【0029】
また、第2質問群35に含まれる複数の質問は、第2心理検査に用いられる。第2質問群35の一部を以下に示す。
【0030】
【表2】
【0031】
ここで、質問群31は、第1質問群34にも第2質問群35にも含まれる1以上の共通質問36を含む。すなわち、共通質問36は、第1心理検査と第2心理検査とのいずれにも用いられる。共通質問36の例を以下に示す。共通質問36は、例えば、第1心理検査の解析対象と第2心理検査の解析対象に共通する被検者の特性に関する。
【0032】
【表3】
【0033】
(2.1.2)回答群
回答群39は、心理検査において被検者から取得する複数の回答を含む。複数の回答の各々は、対応する質問において被検者が選択した1つの選択肢である。回答群39は、第1回答群391と、第2回答群392とを含む。
【0034】
第1回答群391に含まれる複数の回答は、第1心理検査に用いられる複数の質問に対する回答である。第1回答群391は、例えば、「課題や活動に必要なものを失くす。」の質問に対して被検者が「まったく当てはまらない」を選択したとの情報を含む。
【0035】
第2回答群392に含まれる複数の回答は、第2心理検査に用いられる複数の質問に対する回答である。第2回答群392は、例えば、「やり取りの中で視線や身振りを使うことが少ない、又は苦手。」の質問に対して被検者が「少しそう思う」を選択したとの情報を含む。
【0036】
ここで、回答群39は、第1回答群391にも第2回答群392にも含まれる1以上の共通回答393を含む。共通回答393は、共通質問36に対する被検者の回答である。例えば、「考えずにものを言う」の質問に対して被検者が「ほとんど当てはまる」を選択したとの情報を含む。すなわち、心理検査システム1は、共通質問36に対し、第1心理検査と第2心理検査とで共通となる共通回答393を被検者から取得する。
【0037】
(2.1.3)評価基準
第1評価基準32は、第1心理検査において、第1質問群34に含まれる複数の質問に対応する複数の回答を解析するための評価基準である。第1評価基準32は、第1質問群34に含まれる複数の質問の各々について、選択肢の各々に対する点数を含む。ここで、第1質問群34に含まれる複数の質問には、共通質問36が含まれる。例えば、「活動的なことをするのが好きだ。」の質問に対し、複数の選択肢の各々である「まったく当てはまらない」、「ほんの少し当てはまる」、「ほとんど当てはまる」、「非常に当てはまる」には、それぞれ、0点、1点、2点、3点が対応する。同様に、「席を離れてはいけないときに離れる。」の質問に対し、複数の選択肢の各々である「まったく当てはまらない」、「ほんの少し当てはまる」、「ほとんど当てはまる」、「非常に当てはまる」には、それぞれ、0点、1点、2点、3点が対応する。
【0038】
また、第1評価基準32は、点数に基づく複数の評価パラメータの算出式と、複数の評価パラメータの各々の評価手順とを含む。複数の評価パラメータは、上述の8カテゴリ、すなわち、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IVの不注意型症状、DSM-IVの多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IVの総合ADHD評価、の各々の特性を評価するための評価パラメータを含む。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の合計値である。例えば、衝動性を評価するための評価パラメータは、衝動性に関する特定の12個の質問に対する点数の合計値である。
【0039】
また、複数の評価パラメータは、矛盾を示す評価パラメータを含む。矛盾を示す評価パラメータは、複数の、特定の2つの質問の組み合わせに対応する。矛盾を示す評価パラメータは、複数の、特定の2つの質問の組み合わせの各々に対応する、2つの回答の点数の絶対値の差を加算した値である。第1心理検査では、特定の2つの質問に対する被検者の2つの回答に対応する2つの得点は、同一であることが想定されている。すなわち、矛盾を示す評価パラメータの値が大きいことは、被検者の複数の回答の間に矛盾があるか、又は、被検者の複数の回答と、第1心理検査が解析可能な被検者の特性との間に差があることを示す。
【0040】
また、評価パラメータの評価手順は、各々の評価パラメータの値と、解析結果との対応関係を含む。より詳細には、評価パラメータの評価手順は、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IVの不注意型症状、DSM-IVの多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IVの総合ADHD評価、の特性の各々を評価するための評価パラメータについて、評価パラメータの値の範囲と、特性の解析結果との対応関係を含む。特性の解析結果は、特性の重症度であり、評価パラメータの値に基づいて、「A:正常」、「B:正常」、「C:軽度」、「D:中等度」、「E:重症」の5段階で示される。ここで、「A:正常」とは、被検者のその特性が正常である可能性が十分に高いことを示す。また、「B:正常」とは、被検者のその特性が軽度である可能性より正常である可能性が高いものの、軽度である可能性が無視できる程度までは低くないことを示す。
【0041】
ここで、評価パラメータの値の範囲と、解析結果との対応関係は、評価パラメータが示す特性と、被検者の年齢層と、被検者の性別と、の各々に依存して変化する。例えば、第1評価基準32では、被検者が20歳代男性である場合、衝動性に関する評価パラメータは、3点以下が「A:正常」、4点以上11点以下が「B:正常」、12点以上14点以下が「C:軽症」、15点以上20点以下が「D:中等度」、21点以上が「E:重症」、の各々の衝動性の重症度に対応する。また、被検者が30代女性である場合、衝動性に関する評価パラメータは、3点以下が「A:正常」、4点以上10点以下が「B:正常」、11点以上13点以下が「C:軽症」、14点以上17点以下が「D:中等度」、18点以上が「E:重症」、の各々の衝動性の重症度に対応する。
【0042】
また、第1評価基準32では、矛盾を示す評価パラメータは、7点以下が「被検者の回答に矛盾がない」、8点以上が「被検者の回答に矛盾がある可能性がある」、の各々の解析結果に対応する。「被検者の回答に矛盾がある可能性がある」の解析結果は、上述したように、被検者の回答が矛盾を含む場合と、被検者の回答が第1評価基準32により解析できないものである可能性がある場合と、を含む。
【0043】
同様に、第2評価基準33は、第2心理検査において、第2質問群35に含まれる複数の質問に対応する複数の回答を解析するために用いる評価基準である。より詳細には、第2評価基準33は、第2質問群35に含まれる複数の質問の各々について、選択肢ごとの点数を含む。例えば、「他者への自発的なかかわりがあまりない。」の質問に対し、複数の選択肢の各々である「全くそう思わない」、「少しそう思う」、「割とそう思う」、「とてもそう思う」には、それぞれ、1点、2点、3点、4点が対応する。
【0044】
ここで、第1質問群34と第2質問群35の両方に含まれる共通質問36について、第1評価基準32における点数と第2評価基準33における点数は独立して設定されている。すなわち、共通質問36の複数の選択肢の各々に対する点数は、第1評価基準32と第2評価基準33とで、同一であってもよいし異なっていてもよい。例えば、第2評価基準33では、「席を離れてはいけないときに離れる。」の質問に対し、複数の選択肢の各々である「まったく当てはまらない」、「ほんの少し当てはまる」、「ほとんど当てはまる」、「非常に当てはまる」には、それぞれ、1点、2点、3点、4点が対応する。
【0045】
また、第2評価基準33は、点数に基づく複数の評価パラメータの算出式と、複数の評価パラメータの各々の評価手順とを含む。複数の評価パラメータは、上述の13カテゴリ、すなわち、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための評価パラメータを含む。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の平均値である。例えば、衝動性を評価するための評価パラメータは、衝動性に関する特定の6個の質問に対する回答の点数の平均値である。
【0046】
また、評価パラメータの評価手順は、各々の評価パラメータの値と、解析結果との対応関係を含む。より詳細には、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の特性の各々を評価するための評価パラメータについて、評価パラメータの値の範囲と、解析結果との対応関係を含む。解析結果は、特性の重症度であり、特性を評価するための評価パラメータの値に基づいて、A、B、C、D、Eの5段階で示される。より詳細には、特性を評価するための評価パラメータの各々は、1.5以下がA、1.5より大きく2.1以下がB、2.1より大きく2.7以下がC、2.7より大きく3.5以下がD、3.5より大きい場合がE、の各々の特性の重症度に対応する。
【0047】
(2.2)回答取得部
回答取得部11は、被検者から第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を取得する。より詳細には、回答取得部11は、被検者に対して検査端末20に複数の質問を提示させ、複数の質問の各々に対する複数の回答を取得する。
【0048】
回答取得部11は、複数の心理検査の各々に係る複数の質問を被検者に提示する。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12に記憶されている質問群31から、第1質問群34に含まれる複数の質問を取得する。また、回答取得部11は、記憶部12に記憶されている質問群31から、第2質問群35に含まれる複数の質問を取得する。このとき、回答取得部11は、第1質問群34及び第2質問群35のいずれにも含まれる共通質問36については、記憶部12から重複して取得しない。そして、回答取得部11は、通信部13から第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問を検査端末20に送信する。
【0049】
また、回答取得部11は、通信部13を介して検査端末20から、複数の回答を取得する。複数の回答は、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問の各々に対応する複数の回答を含む。複数の回答は、共通質問36に一対一で対応する共通回答393を含む。回答取得部11は、取得した複数の回答を回答群39として記憶部12に記憶させる。
【0050】
(2.3)通信部
通信部13は、ネットワークNT1と接続可能なインターフェースを含む。ネットワークNT1は、例えば、構内ネットワーク、又は、インターネットである。通信部13は、例えば、イーサネット(登録商標)に接続可能なインターフェース、無線LANに接続可能なインターフェース、又は、4G又は5G等の公衆通信網に接続可能なインターフェースを含む。
【0051】
(2.4)解析部
解析部14は、回答取得部11が取得する複数の回答を複数の心理検査の各々の評価基準に従って解析する。より詳細には、解析部14は、回答取得部11が取得する複数の回答のうち、第1心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を、第1評価基準32を用いて解析する。ここで、複数の回答は、共通質問36に対応する共通回答393を含む。解析部14は、第1心理検査に用いられる複数の質問について、第1評価基準32に基づいて、複数の質問の各々に対応する複数の回答を、点数に変換する。ここで、解析部14は、共通質問36に対応する共通回答393についても、第1評価基準32に基づいて、点数に変換する。解析部14は、第1評価基準32に基づき、1以上の評価パラメータを算出する。評価パラメータは、例えば、特定の複数の質問に対応する複数の回答の点数の合計値である。解析部14は、1以上の評価パラメータに基づき、被検者の特性の解析結果を出力する。すなわち、解析部14は、複数の回答のうち第1心理検査に対応する回答に対応する点数を、第1評価基準32に従って解析する。被検者の特性は、例えば、発達障害のカテゴリごとの重症度である。発達障害のカテゴリは、例えば、コミュニケーション能力、集団適応力、多動性、学習障害を含む。
【0052】
解析部14は、同様に、心理検査の回答のうち、第2心理検査に係る複数の質問に対応する複数の回答を、第2評価基準33を用いて解析する。複数の回答は、共通質問36に対応する共通回答393を含む。解析部14は、第2心理検査に係る複数の質問について、第2評価基準33に基づいて、複数の質問の各々に対応する回答を、点数に変換する。ここで、解析部14は、共通質問36に対応する共通回答393についても、第2評価基準33に基づいて、点数に変換する。すなわち、解析部14は、共通質問36に対応する共通回答393について、第1心理検査に関する回答としての点数と、第2心理検査に対応する回答としての点数と、を付与する。解析部14は、第2評価基準33に基づき、1以上の評価パラメータを算出する。評価パラメータは、例えば、特定の複数の質問に対応する複数の回答の点数の合計値である。解析部14は、1以上の評価パラメータに基づき、被検者の特性を判定する。すなわち、解析部14は、複数の回答のうち第2心理検査に対応する回答に対応する点数を、第2評価基準33に従って解析する。被検者の特性は、例えば、発達障害のカテゴリごとの重症度である。発達障害のカテゴリは、例えば、コミュニケーション能力、社会性、日常生活スキルを含む。
【0053】
(2.5)表示部
表示部15は、被検者の第1心理検査及び第2心理検査の結果を表示する表示装置であり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。
【0054】
(2.6)制御部
制御部16は、心理検査装置10の上述した各構成を制御する。また、制御部16は、解析部14が解析した被検者の第1心理検査及び第2心理検査の結果を表示部15に表示する。
【0055】
(2.7)心理検査装置の全体構成
心理検査装置10は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、プロセッサ及びメモリを含む。プロセッサがメモリに記録されたプログラムを実行することによって、本開示における心理検査装置10としての機能が実現される。プログラムは、例えば、メモリに予め記録されてもよく、電気通信回線を通じて提供されてもよく、コンピュータシステムで読み取り可能な非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)である。
【0056】
また、心理検査システム1における複数の機能が1つの装置に集約されている必要はなく、例えば、心理検査システム1は、回答取得部11を備えるコンピュータと、解析部14を備えるコンピュータと、を備えてもよい。また、心理検査システム1の機能の一部がクラウドコンピューティングによって実現されてもよい。
【0057】
(3)検査端末
検査端末20は、心理検査装置10の回答取得部11から心理検査に必要な質問を受信し、被検者から回答を取得して心理検査装置10の回答取得部11に送信するデバイスである。検査端末20は、例えば、パーソナルコンピュータ、タブレット端末、又はスマートフォンである。
【0058】
検査端末20は、被検者に対し複数の質問の提示と複数の回答とを受信する専用端末でもよいし、汎用端末でもよい。また、検査端末20は、心理検査の実施者が心理検査のために被検者に使用させるデバイスでもよいし、被検者が所有するデバイスでもよい。
【0059】
検査端末20は、制御部21と、通信部22と、表示部23と、入力部24と、記憶部25と、を備える。
【0060】
通信部22は、ネットワークNT1と接続可能なインターフェースを含む。通信部22は、例えば、イーサネットに接続可能なインターフェース、無線LANに接続可能なインターフェース、又は、4G又は5G等の公衆通信網に接続可能なインターフェースを含む。
【0061】
制御部21は、通信部22を介して心理検査装置10から心理検査に係る複数の質問を受信すると、複数の質問の各々を表示部23に表示する。制御部21は、例えば、複数の質問の各々と、質問に対応する複数の選択肢とを1グループとして表示部23に表示する。制御部21は、複数の質問を、第1心理検査に用いられる質問と第2心理検査に用いられる質問とを区別なく表示部23に表示する。したがって、表示部23には、共通質問36は重複なく表示される。
【0062】
また、制御部21は、質問に対する被検者の回答を入力部24で受け付け、通信部22を介して心理検査装置10に心理検査の複数の回答を送信する。ここで、制御部21は、複数の回答を第1心理検査と第2心理検査との区別なく心理検査装置10に送信する。したがって、制御部21が送信する複数の回答には、共通質問36に一対一で対応する共通回答が重複なく含まれる。制御部21は、例えば、全ての質問に対する回答を受け付けると、通信部22を介して心理検査装置10に心理検査の複数の回答を送信する。なお、制御部21は、例えば、入力部24が被検者から回答終了を示す入力を受け付けてから心理検査装置10に心理検査の複数の回答を送信してもよい。また、制御部21は、例えば、表示部23に心理検査に係る複数の質問を表示した時刻を基準として一定時間後に心理検査装置10に心理検査の複数の回答を送信してもよい。
【0063】
表示部23は、心理検査に係る複数の質問を表示するデバイスであり、例えば、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等である。
【0064】
入力部24は、被検者から質問への回答の入力を受け付けるデバイスであり、例えば、キーボード、マウス、又は、表示部23と一体型のタッチパネルである。
【0065】
記憶部25は、通信部22が心理検査システム1から受信する複数の質問、及び、入力部24が被検者から取得する回答を、少なくとも一時的に記憶する。また、記憶部25は、例えば、検査端末20のプロセッサを検査端末20として動作させるプログラムを記憶している。
【0066】
3.動作
図2は、実施形態1に係る心理検査システム1の動作を示すフローチャートである。また、図3は、実施形態1に係る心理検査システム1において、解析部14における心理検査の解析動作を示すフローチャートである。
【0067】
図2に示すように、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査のための複数の質問を記憶部12から取得する(ステップS1)。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12から、第1質問群34に含まれる複数の質問と、第2質問群35に含まれる複数の質問と、を取得する。このとき、回答取得部11は、第1質問群34と第2質問群35との両方に含まれる1以上の共通質問36を取得する。また、回答取得部11は、共通質問36については、第1心理検査のための質問と第2心理検査のための質問との各々として2回取得するのではなく、第1心理検査及び第2心理検査の共通の質問として1度だけ取得する。したがって、例えば、第1心理検査のための質問が66個、第2心理検査のための質問が94個である場合、共通質問36が存在しなければ、質問の総数は160個となる。これに対し、例えば、共通質問36が20個存在すれば、回答取得部11は、同一の質問が重複しないように140個の質問を取得する。
【0068】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS2)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS1で取得した複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。検査端末20は、回答取得部11から取得した複数の質問を表示部23に表示する。また、検査端末20は、複数の質問の各々について、複数の選択肢を表示部23に表示し、被検者に複数の選択肢のうちの1つを選択させる。ここで、検査端末20は、第1心理検査のための質問と第2心理検査のための質問とを区別することなく、心理検査のための複数の質問の各々を1回ずつ表示する。したがって、検査端末20は、共通質問36を重複なく表示する。
【0069】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査の複数の回答を取得する(ステップS3)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。ここで、検査端末20は、第1心理検査のための質問と第2心理検査のための質問とを区別することなく、心理検査のための複数の質問の各々に対応する回答を1つずつ取得する。したがって、検査端末20は、共通質問36に対し、共通質問36に一対一で対応する共通回答393を取得する。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。複数の回答の各々は、対応する質問について、被検者が選択した選択肢を特定する情報を含む。回答取得部11は、複数の回答を、回答群39として記憶部12に記憶させる。
【0070】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第1心理検査の結果解析を行う(ステップS4)。以下、解析部14の動作を図3のフローチャートを用いて説明する。
【0071】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第1心理検査に用いられる複数の質問を取得する。また、解析部14は、記憶部12から第1回答群391と、第1評価基準32とを取得する。解析部14は、複数の質問の各々について、第1評価基準32に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。例えば、「他者への自発的なかかわりがあまりない。」の質問に対し、回答として選択肢「ほんの少し当てはまる」が選択されている場合には、1点に変換する。
【0072】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IV不注意型症状、DSM-IV多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IV総合ADHD症状の各々の特性を評価するための8個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の合計値である。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータを算出する。矛盾を示す評価パラメータは、複数存在する、特定の2つの質問の組み合わせの各々について、2つの質問の各々に対応する2つの回答の点数の絶対値の差を算出し、組み合わせごとの点数の絶対値の差を加算した値である。
【0073】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の8個の評価パラメータの各々について、第1評価基準32に基づいて解析を行う。第1評価基準32では、上述の8つの評価パラメータの各々について、被検者の年齢及び性別ごとに閾値が設定されている。例えば、衝動性に関する評価パラメータが9点で被検者が20歳代男性である場合、解析部14は、被検者の衝動性の特性について、「B:正常」との解析結果を出力する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータについて、第1評価基準32に基づいて解析を行う。例えば、矛盾を示す評価パラメータが3点である場合、解析部14は、被検者の回答に矛盾がある可能性が低いとの解析結果を出力する。
【0074】
図2に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の解析部14は、第2心理検査の結果解析を行う(ステップS5)。
【0075】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第2心理検査に用いられる複数の質問を取得する。また、解析部14は、記憶部12から第2回答群392と、第2評価基準33とを取得する。解析部14は、複数の質問の各々について、第2評価基準33に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。例えば、「他者への自発的なかかわりがあまりない。」の質問に対し、回答として選択肢「ほんの少し当てはまる」が選択されている場合には、2点に変換する。
【0076】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための13個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の平均値である。
【0077】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の13個の評価パラメータの各々について、第2評価基準33に基づいて解析を行う。第2評価基準33では、上述の13個の評価パラメータの各々について閾値が設定されている。例えば、衝動性に関する評価パラメータが2.0点である場合、解析部14は、被検者の衝動性の特性について、ランクBとの解析結果を出力する。
【0078】
図2に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の制御部16は、心理検査の解析結果を出力する(ステップS6)。より詳細には、制御部16は、解析部14が出力する第1心理検査の解析結果と、第2心理検査の解析結果とを、表示部15に表示する。
【0079】
4.効果
実施形態1に係る心理検査システム1は、回答取得部11と、解析部14と、を備える。回答取得部11は、第1心理検査及び第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する。解析部14は、第1心理検査及び第2心理検査の各々の評価基準に従って複数の回答を解析する。複数の質問は、第1心理検査及び第2心理検査のいずれにも用いられる複数の共通質問36を含む。回答取得部は、複数の共通質問36に一対一で対応する複数の共通回答393を複数の回答の一部として取得する。解析部14は、複数の回答のうち第1心理検査に係る2以上の回答を、第1心理検査の前記評価基準に従って解析する。2以上の回答は、複数の共通回答393を含む。解析部14は、複数の回答のうち第2心理検査に係る2以上の回答を、第2心理検査の前記評価基準に従って解析する。2以上の回答は、複数の共通回答393を含む。
【0080】
これにより、心理検査システム1では、被検者は第1心理検査及び第2心理検査のいずれにも用いられる複数の共通質問36について回答を複数回行う必要がなくなる。したがって、第1心理検査に係る複数の質問と第2心理検査に係る複数の質問との各々に対して被検者が回答する場合と比較して、被検者の負担が小さくなる。また、心理検査システム1では、被検者が疲労や不注意等により同一内容の複数の質問の各々に対して異なる回答を行うことを防ぐことができ、検査精度の低下を低減させることができる。さらに、心理検査システム1では、第1心理検査又は第2心理検査の一方を行う場合と比較して、検査精度を向上させることが可能となる。
【0081】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、回答取得部11は、複数の質問の各々について、被検者が2以上の選択肢から選択した1つの選択肢を回答として取得する。
【0082】
これにより、心理検査システム1では、回答に基づく心理検査の解析が容易になるとともに、同一の特性を有する複数の被検者の間で心理結果の解析結果のばらつきを低減させることが可能となる。
【0083】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、解析部14は、複数の回答の各々に対して点数を付与する。解析部14は、複数の回答のうち第1心理検査に関する回答に対応する点数を、第1心理検査の評価基準に従って解析する。解析部14は、複数の回答のうち第2心理検査に関する回答に対応する点数を、第2心理検査の評価基準に従って解析する。
【0084】
これにより、心理検査システム1では、心理検査の解析結果について評価基準が明確となる。したがって、医師等が被検者を診察するために解析結果を利用することが可能となる。
【0085】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、解析部14は、複数の共通回答393の各々に対し、第1心理検査に関する回答としての点数と、第2心理検査に関する回答としての点数とを付与する。
【0086】
これにより、心理検査システム1では、複数の共通質問36に対する共通回答393の解析において、第1心理検査と第2心理検査とが互いに影響を及ぼさない。したがって、心理検査システム1では、第1心理検査の検査精度及び第2心理検査の検査精度がいずれも低下しない。
【0087】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、第1心理検査の解析対象である被検者の特性と、第2心理検査の解析対象である被検者の特性とは、同一の特性を含む。
【0088】
これにより、心理検査システム1では、被検者の1以上の特性を、第1心理検査の評価基準と、第2心理検査の評価基準との両方を用いて解析することが可能となる。したがって、心理検査システム1では、被検者の特性に対して2つの解析結果が得られるため、例えば、医師等が被検者をより正確に診断することが可能となる。
【0089】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、複数の共通質問36は、被検者の同一の特性に関する。
【0090】
これにより、心理検査システム1では、共通質問36を用いて被検者の1つの特性を第1心理検査の評価基準と、第2心理検査の評価基準との両方で解析することが可能となる。また、心理検査システム1では、類似した内容の質問を共通質問36とすることで、被検者が回答すべき複数の質問の総数を削減することが可能となる。したがって、心理検査システム1では、被検者の負担を軽減させることが可能となる。
【0091】
また、実施形態1に係る心理検査システム1では、第1心理検査及び第2心理検査は、被検者の発達障害を評価する心理検査である。
【0092】
これにより、心理検査システム1では、被検者の発達障害に関する特性について、高い精度で解析結果を得ることが可能となる。
【0093】
(実施形態2)
実施形態2に係る心理検査システム1では、第1心理検査と第2心理検査とで、異なるタイミングで被検者から回答を取得する。
【0094】
実施形態2に係る心理検査システム1は、第1心理検査に係る複数の回答に対する被検者の複数の回答を取得した後、第2心理検査に係る複数の質問に対する被検者の複数の回答の取得を行う。ここで、第2心理検査に係る複数の質問に対する被検者の複数の回答の取得を行う際には、共通質問36に対する被検者の共通回答393の取得を行わない。
【0095】
実施形態2に係る心理検査システム1は、実施形態1の心理検査システム1と同様の構成を備える。したがって、構成についての説明を省略し、動作について説明する。
【0096】
1.動作
図4は、実施形態2に係る心理検査システム1の動作を示すフローチャートである。なお、実施形態2に係る心理検査システム1の動作における各ステップにおいて、実施形態1に係る心理検査システム1の動作におけるいずれかのステップと同様の動作については、同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0097】
図4に示すように、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査のための複数の質問を記憶部12から取得する(ステップS1)。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12から、第1質問群34に含まれる複数の質問と、第2質問群35に含まれる複数の質問と、を取得する。
【0098】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第1心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS21)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS1で取得した複数の質問のうち第1質問群34に含まれる複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。ここで、回答取得部11が送信する複数の質問は、1以上の共通質問36を含む。検査端末20は、回答取得部11から取得した複数の質問を表示部23に表示する。ここで、検査端末20は、複数の質問の各々について、質問文と、質問文に対応する複数の選択肢とを表示部23に表示する。
【0099】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第1心理検査の複数の回答を取得する(ステップS22)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、第1心理検査の複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。回答取得部11は、複数の回答を回答群39の第1回答群391として記憶部12に記憶させる。
【0100】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第1心理検査の結果解析を行う(ステップS4)。
【0101】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第1心理検査に用いられる複数の質問を取得する。また、解析部14は、記憶部12から第1回答群391と、第1評価基準32とを取得する。解析部14は、複数の質問の各々について、第1評価基準32に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。
【0102】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IV不注意型症状、DSM-IV多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IV総合ADHD症状、の各々の特性を評価するための8個の評価パラメータを算出する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータを算出する。
【0103】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の8個の評価パラメータの各々について、第1評価基準32に基づいて解析を行う。解析部14は、8個の評価パタメータの各々に対応する被検者の特性について、A~Eの5ランクのいずれに相当するかを評価する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータについて、第1評価基準32に基づいて解析を行う。解析部14は、矛盾を示す評価パラメータの値に基づいて、被検者の回答に矛盾がある可能性が高いか低いかを評価する。
【0104】
図4に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第2心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS23)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS1で取得した複数の質問のうち、第2心理検査に係る複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。ここで、回答取得部11は、第2心理検査に係る複数の質問のうち、共通質問36を送信しない。言い換えると、回答取得部11は、ステップS1で取得した複数の質問のうち、ステップS21において送信していない複数の質問を検査端末20に送信する。検査端末20は、回答取得部11から取得した第2心理検査に用いる複数の質問を表示部23に表示する。
【0105】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第2心理検査に係る複数の質問に対する、複数の回答を取得する(ステップS24)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、第2心理検査の複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。回答取得部11は、複数の回答を回答群39の第2回答群392の一部として記憶部12に記憶させる。ここで、第2回答群392は、ステップS24で記憶部12に記憶させた複数の回答と、ステップS22で記憶部に記憶させた第1回答群391の一部である共通回答393と、を含む。
【0106】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第2心理検査の結果解析を行う(ステップS5)。
【0107】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第2心理検査に用いられる複数の質問を取得する。ここで、第2心理検査に用いられる複数の質問は、回答取得部11がステップS23で検査端末20に送信した複数の質問と、回答取得部11がステップS21で検査端末20に送信した共通質問36と、を含む。また、解析部14は、記憶部12から第2回答群392と、第2評価基準33を取得する。第2回答群392は、上述したように、回答取得部11がステップS24で取得した複数の回答と、ステップS22で共通質問36に対する回答として取得した共通回答393と、を含む。解析部14は、複数の質問の各々について、第2評価基準33に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。
【0108】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための13個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の平均値である。
【0109】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の13個の評価パラメータの各々について、第2評価基準33に基づいて解析を行う。解析部14は、13個の評価パラメータの各々に対応する被検者の特性について、A~Eの5ランクのいずれに相当するかを評価する。
【0110】
図4に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の制御部16は、心理検査の解析結果を出力する(ステップS6)。より詳細には、制御部16は、解析部14が出力する第1心理検査の解析結果と、第2心理検査の解析結果とを、表示部15に表示する。
【0111】
2.効果
実施形態2に係る心理検査システム1においても、実施形態1に係る心理検査システム1と同様の効果を奏する。
【0112】
(実施形態3)
実施形態3に係る心理検査システム1では、3以上の心理検査に係る複数の質問に対する回答を被検者から同じタイミングで取得する。
【0113】
1.構成
実施形態3に係る心理検査システム1では、記憶部12が、複数の心理検査において被検者に提示する複数の質問と、複数の心理検査の各々の評価基準とを記憶している。より詳細には、記憶部12は、図5に示すように、質問群31と、第1評価基準32と、第2評価基準33と、第3評価基準37と、を記憶している。また、記憶部12は、複数の質問に対応する複数の回答を回答群39として記憶する。
【0114】
(1)質問
質問群31は、3以上の心理検査において被検者に提示する複数の質問を含む。複数の質問の各々は、質問文と、質問文に対応する2以上の選択肢と、を含む。質問群31は、第1質問群34と、第2質問群35と、第3質問群38と、を含む。
【0115】
第1質問群34に含まれる複数の質問は、第1心理検査に用いられる。第1心理検査は、例えば、CAARSである。
【0116】
第2質問群35に含まれる複数の質問は、第2心理検査に用いられる。第2心理検査は、例えば、MSPAである。
【0117】
第3質問群38に含まれる複数の質問は、第3心理検査に用いられる。第3心理検査は、例えば、Vineland-IIである。Vineland-IIは、適応行動尺度として、コミュニケーション領域、日常生活スキル領域、社会性領域の3つのカテゴリの個別特性、及び適応行動全体の特性の各々について、特性の重症度を解析する。第3質問群38の一部を以下に示す。
【0118】
【表4】
【0119】
第1質問群34と、第2質問群35とは、少なくとも1つの共通質問36を含む。また、第2質問群35と、第3質問群38とは、少なくとも1つの共通質問36aを含む。また、第3質問群38と、第1質問群34とは、少なくとも1つの共通質問36bを含む。
【0120】
ここで、質問群31は、共通質問36,36a及び36bのいずれにも該当する共通質問36cを含む。共通質問36cは、第1質問群34、第2質問群35及び第3質問群38のいずれにも含まれる。共通質問36cが存在することで、被検者が回答すべき質問数をさらに削減することが可能となる。
【0121】
(2)回答
回答群39は、心理検査において被検者から取得する複数の回答を含む。複数の回答の各々は、対応する質問において被検者が選択した1つの選択肢である。回答群39は、第1回答群391と、第2回答群392と、第3回答群394と、を含む。
【0122】
第1回答群391に含まれる複数の回答は、第1心理検査に用いられる複数の質問に対する回答である。第2回答群392に含まれる複数の回答は、第2心理検査に用いられる複数の質問に対する回答である。第3回答群394に含まれる複数の回答は、第3心理検査に用いられる複数の質問に対する回答である。
【0123】
ここで、回答群39は、第1回答群391にも第2回答群392にも含まれる1以上の共通回答393を含む。共通回答393は、共通質問36に対する被検者の回答である。また、回答群39は、第2回答群392にも第3回答群394にも含まれる1以上の共通回答393aを含む。共通回答393aは、共通質問36aに対する被検者の回答である。また、回答群39は、第3回答群394にも第1回答群391にも含まれる1以上の共通回答393bを含む。共通回答393bは、共通質問36bに対する被検者の回答である。
【0124】
ここで、回答群39は、共通回答393,393a及び393bのいずれにも該当する共通回答393cを含む。共通回答393cは、共通質問36cに対応する回答である。
【0125】
(3)評価基準
第1評価基準32は、第1心理検査において、第1質問群34に含まれる複数の質問に対応する複数の回答を解析するために用いる評価基準である。より詳細には、第1評価基準32は、第1質問群34に含まれる複数の質問の各々について、選択肢の各々に対応する回答の点数を含む。
【0126】
また、第1評価基準32は、点数に基づく複数の評価パラメータの算出式と、複数の評価パラメータの各々の評価手順とを含む。複数の評価パラメータは、上述の8個のカテゴリ、すなわち、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IVの不注意型症状、DSM-IVの多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IVの総合ADHD評価、の各々の特性を評価するための評価パラメータを含む。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の合計値である。また、複数の評価パラメータは、矛盾を示す評価パラメータを含む。矛盾を示す評価パラメータは、複数存在する、特定の2つの質問の組み合わせの各々について、組み合わせに含まれる2つの質問の各々に対応する2つの回答の点数の絶対値の差を、全ての組み合わせについて加算した値である。
【0127】
また、評価パラメータの評価手順は、各々の評価パラメータの値と、解析結果との対応関係を含む。より詳細には、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IVの不注意型症状、DSM-IVの多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IVの総合ADHD評価、の各々の特性を評価するための評価パラメータについて、評価パラメータの値の範囲と、解析結果との対応関係を含む。また、評価パラメータの評価手順は、矛盾を示す評価パラメータの値と、被検者の回答が矛盾を含むか否かとの対応関係を含む。
【0128】
同様に、第2評価基準33は、第2心理検査において、第2質問群35に含まれる複数の質問に対応する回答を解析するために用いる評価基準である。より詳細には、第2評価基準33は、第2質問群35に含まれる複数の質問の各々について、選択肢ごとの点数を含む。
【0129】
また、第2評価基準33は、点数に基づく複数の評価パラメータの算出式と、複数の評価パラメータの各々の評価手順とを含む。複数の評価パラメータは、上述の13個のカテゴリ、すなわち、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための評価パラメータを含む。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の平均値である。
【0130】
また、評価パラメータの評価手順は、各々の評価パラメータの値と、解析結果との対応関係を含む。より詳細には、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための評価パラメータについて、評価パラメータの値の範囲と、解析結果との対応関係を含む。
【0131】
また、第3評価基準37は、第3心理検査において、第3質問群38に含まれる複数の質問に対応する回答を解析するために用いる評価基準である。より詳細には、第3評価基準37は、第3質問群38に含まれる複数の質問の各々について、選択肢ごとの点数を含む。例えば、「尋ねられると、少なくとも5つの身体の部位を指さす。」の質問に対し、複数の選択肢の各々である「習慣的に行う」、「時々あるいは部分的に行う」、「行うことができない」には、それぞれ、2点、1点、0点が対応する。
【0132】
また、第3評価基準37は、点数に基づく複数の評価パラメータの算出式と、複数の評価パラメータの各々の評価手順とを含む。複数の評価パラメータは、上述の3つのカテゴリ、すなわち、コミュニケーション領域、日常生活スキル領域、社会性領域の各々の特性を評価するための評価パラメータを含む。また、複数の評価パラメータは、適応行動全体を評価するための評価パラメータを含む。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の合計値に基づいて算出される。各々の評価パラメータは、対応する複数の質問に対する回答の点数の合計値が大きいほど大きい値となる。
【0133】
また、評価パラメータの評価手順は、各々の評価パラメータの値と、解析結果との対応関係を含む。より詳細には、コミュニケーション領域、日常生活スキル領域、社会性領域、適応行動全体、の各々の特性を評価するための評価パラメータについて、評価パラメータの範囲と、解析結果との対応関係を含む。解析結果は、各評価パラメータに対応する被検者の特性の重症度であり、評価パラメータの値に基づいて、正常、軽度、中等度、重度の4段階で示される。より詳細には、特性に対応する評価パラメータの各々は、100以上が正常、90以上100未満が軽度、75以上90未満が中等度、75未満が重度、の各々の特性の重症度に対応する。
【0134】
2.動作
図6は、実施形態3に係る心理検査システム1の動作を示すフローチャートである。なお、なお、実施形態3に係る心理検査システム1の動作における各ステップにおいて、実施形態1に係る心理検査システム1の動作におけるいずれかのステップ同様の動作については、同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0135】
図6に示すように、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査のための複数の質問を記憶部12から取得する(ステップS1)。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12から、第1質問群34に含まれる複数の質問と、第2質問群35に含まれる複数の質問と、第3質問群38に含まれる複数の質問と、を取得する。このとき、回答取得部11は、第1質問群34、第2質問群35及び第3質問群38のうち2以上に含まれる1以上の共通質問36、36a及び36bを取得する。また、回答取得部11は、共通質問36、36a及び36bの各々については、重複して取得しない。
【0136】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS2)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS1で取得した複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。検査端末20は、回答取得部11から取得した複数の質問を表示部23に表示する。
【0137】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査の複数の回答を取得する(ステップS3)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。回答取得部11は、複数の回答を回答群39として記憶部12に記憶させる。
【0138】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第1心理検査の結果解析を行う(ステップS4)。
【0139】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第1心理検査に用いられる複数の質問を取得する。複数の質問は、共通質問36及び36bを含む。また、解析部14は、記憶部12から第1回答群391と第1評価基準32とを取得する。第1回答群391は、共通回答393及び393bを含む。解析部14は、第1心理検査に用いられる複数の質問の各々について、第1評価基準32に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。
【0140】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IV不注意型症状、DSM-IV多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IV総合ADHD症状、の各々の特性を評価するための8個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の合計値である。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータを算出する。矛盾を示す評価パラメータは、複数存在する、特定の2つの質問の組み合わせについて、組み合わせごとに2つの質問の各々に対応する2つの回答の点数の絶対値の差を算出し、全ての組み合わせについてそれらを加算した値である。
【0141】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の8個の評価パラメータの各々について、第1評価基準32に基づいて解析を行う。第1評価基準32では、上述の8個の評価パラメータの各々について、被検者の年齢及び性別ごとに閾値が設定されている。例えば、衝動性に関する評価パラメータが9点で被検者が20歳代男性である場合、解析部14は、被検者の衝動性の特性について、「B:正常」との解析結果を出力する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータについて、第1評価基準32に基づいて解析を行う。例えば、矛盾を示す評価パラメータが3点である場合、解析部14は、被検者の回答に矛盾がある可能性が低いとの解析結果を出力する。
【0142】
図6に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の解析部14は、第2心理検査の結果解析を行う(ステップS5)。
【0143】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第2心理検査に用いられる複数の質問を取得する。複数の質問は、共通質問36及び36aを含む。また、解析部14は、記憶部12から第2回答群392と第2評価基準33とを取得する。第2回答群392は、共通回答393及び393aを含む。解析部14は、複数の質問の各々について、第2評価基準33に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。例えば、「他者への自発的なかかわりがあまりない。」の質問に対し、回答として選択肢「ほんの少し当てはまる」が選択されている場合には、2点に変換する。
【0144】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の各々の特性を評価するための13個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の平均値である。
【0145】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の13個の評価パラメータの各々について、第2評価基準33に基づいて解析を行う。第2評価基準33では、上述の13個の評価パラメータの各々について閾値が設定されている。例えば、衝動性に関する評価パラメータが2.0点である場合、解析部14は、被検者の衝動性の特性について、ランクBとの解析結果を出力する。
【0146】
図6に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の解析部14は、第3心理検査の結果解析を行う(ステップS7)。
【0147】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第3心理検査に用いられる複数の質問を取得する。複数の質問は、共通質問36a及び36bを含む。また、解析部14は、記憶部12から第3回答群394と第3評価基準37とを取得する。第3回答群394は、共通回答393a及び393bを含む。解析部14は、複数の質問の各々について、第3評価基準37に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、対応する回答を点数に変換する。例えば、「尋ねられると、少なくとも5つの身体の部位を指さす。」の質問に対し、回答として選択肢「習慣的に行う」が選択されている場合には、2点に変換する。
【0148】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、コミュニケーション領域、日常生活スキル領域、社会性領域、及び、適応行動全体の各々の特性を評価するための4個の評価パラメータを算出する。各々の評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における回答の点数の合計値に基づいて算出される。
【0149】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の4個の評価パラメータの各々について、第3評価基準37に基づいて解析を行う。第3評価基準37では、上述の4個の評価パラメータの各々について閾値が設定されている。例えば、日常生活スキル領域に関する評価パラメータが93である場合、解析部14は、被検者の日常生活スキル領域の特性について、軽度との解析結果を出力する。
【0150】
図6に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の制御部16は、心理検査の解析結果を出力する(ステップS6)。より詳細には、制御部16は、解析部14が出力する第1心理検査の解析結果と、第2心理検査の解析結果と、第3心理検査の解析結果とを、表示部15に表示する。
【0151】
2.効果
実施形態3に係る心理検査システム1は、実施形態1に係る心理検査システム1と同様の効果を奏する。特に、実施形態3に係る心理検査システム1では、第1心理検査と第2心理検査との間だけでなく、第2心理検査と第3心理検査との間、及び、第3心理検査と第1心理検査との間においても、被検者の負担を軽減し、かつ、検査の精度を向上させることが可能となる。
【0152】
(実施形態4)
実施形態4に係る心理検査システム1では、実施形態2に係る心理検査システム1と同様、第1心理検査と第2心理検査とで、異なるタイミングで被検者から回答を取得する。また、実施形態4に係る心理検査システム1は、第1心理検査の解析結果に基づいて、第2心理検査の内容を決定する。
【0153】
実施形態4に係る心理検査システム1は、第1心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得し、結果解析を行った後、第2心理検査の内容を決定する。心理検査システム1は、第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得し、結果解析を行う。
【0154】
1.構成
実施形態4に係る心理検査システム1では、回答取得部11が、第2心理検査の内容を、解析部14による第1心理検査の解析結果に基づいて選択する。
【0155】
第1心理検査は、例えば、MSPAである。心理検査システム1の解析部14は、第1心理検査の解析結果として、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、反復運動、粗大運動、微細協調運動、不注意、多動性、衝動性、睡眠リズム、及び、学習の特性の各々について重症度を出力する。このうち、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、及び、反復運動の各特性は、自閉スペクトラム症障害に関連する。したがって、第1心理検査の解析結果において、被検者の自閉スペクトラム症障害に関連する特性の重症度が軽症、中等度、又は重症である場合、心理検査システム1は、第2心理検査として、自閉スペクトラム症障害に関連する検査を行う。第2心理検査は、例えば、ASD・APD(Auditory Processing Disorder)テストである。ASD・APDテストの一部を以下に示す。
【0156】
【表5】
【0157】
ASD・APDテストは、50個の質問を含む。また、ASD・APDテストに対応する評価基準では、選択肢1及び選択肢2には1点、選択肢3及び選択肢4には0点が対応する。また、ASD・APDテストに対応する評価基準は、評価のための評価パラメータとして、50個の質問の各々に対応する点数の合計値を含む。また、ASD・APDテストに対応する評価基準に含まれる評価パラメータの評価手順では、評価パラメータの27以下は「ASD及びAPDには該当しない」、28以上32以下は「軽度」、33以上38以下は「中等度」、39以上は「重度」、の各々のASD又はAPDの特性と対応する。
【0158】
また、第1心理検査であるMSPAが検査対象とする特性のうち、不注意、多動性、及び、衝動性の各特性は、ADHDに関連する。したがって、第1心理検査の解析結果として、被検者のADHDに関連する特性の重症度が軽症、中等度、又は重症である場合、心理検査システム1は、第2心理検査として、ADHDに関連する検査を行う。第2心理検査は、例えば、ADHD-RSテストである。ADHD-RSテストの一部を以下に示す。
【0159】
【表6】
【0160】
ADHD-RSテストは、18個の質問を含む。また、ADHD-RSテストに対応する評価基準では、選択肢1、選択肢2、選択肢3及び選択肢4の各々には0点、1点、2点及び3点が対応する。また、ADHD-RSテストに対応する評価基準は、評価のための評価パラメータとして、不注意に関する9個の質問に対応する点数の合計である不注意評価スコアと、衝動性に関する9個の質問に対応する点数の合計である衝動性評価スコアとを含む。また、ADHD-RSテストに対応する評価基準に含まれる評価パラメータの評価手法では、不注意評価スコアについて、12未満が「問題ない」、12以上17未満が「軽度」、17以上23未満が「中等度」、23以上が「重度」、の各々の不注意特性の重症度に対応する。また、ADHD-RSテストに対応する評価基準に含まれる評価パラメータの評価手法では、衝動性評価スコアについて、12未満が「問題ない」、12以上17未満が「軽度」、17以上23未満が「中等度」、23以上が「重度」、の各々の衝動性の重症度に対応する。
【0161】
2.動作
図7は、実施形態4に係る心理検査システム1の動作を示すフローチャートである。なお、実施形態4に係る心理検査システム1の動作における各ステップにおいて、実施形態1及び2に係る心理検査システム1の動作におけるいずれかのステップと同様の動作については、同じステップ番号を付し、詳細な説明を省略する。
【0162】
図7に示すように、心理検査システム1の回答取得部11は、第1心理検査のための複数の質問を記憶部12から取得する(ステップS31)。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12から、第1質問群34に含まれる複数の質問を取得する。
【0163】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第1心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS21)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS31で取得した第1質問群34に含まれる複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。検査端末20は、回答取得部11から取得した複数の質問を表示部23に表示する。
【0164】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第1心理検査の複数の回答を取得する(ステップS22)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、第1心理検査の複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。回答取得部11は、複数の回答を第1回答群391として記憶部12に記憶させる。
【0165】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第1心理検査の結果解析を行う(ステップS4)。
【0166】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第1心理検査に用いられる複数の質問を取得する。また、解析部14は、記憶部12から第1回答群391と第1評価基準32を取得する。解析部14は、複数の質問の各々について、第1評価基準32に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、回答を点数に変換する。
【0167】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。より詳細には、解析部14は、不注意、多動性、衝動性、自己概念の問題、ADHD指標、DSM-IV不注意型症状、DSM-IV多動性・衝動性型症状、及び、DSM-IV総合ADHD症状、の各々の特性を評価するための8個の評価パラメータを算出する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータを算出する。
【0168】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。解析部14は、上述の8個の評価パラメータの各々について、第1評価基準32に基づいて解析を行う。解析部14は、8個のパタメータの各々に対応する被検者の特性について、A~Eの5ランクのいずれに相当するかを評価する。また、解析部14は、矛盾を示す評価パラメータについて、第1評価基準32に基づいて解析を行う。解析部14は、矛盾を示す評価パラメータの値に基づいて、被検者の回答に矛盾がある可能性が高いか低いかを評価する。
【0169】
図7に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第2心理検査の内容を決定する(ステップS32)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS4で得られた第1心理検査の解析結果に基づいて、第2心理検査として行うべき検査を選択する。回答取得部11は、第1心理検査の解析結果において、コミュニケーション、集団適応力、共感性、こだわり、間隔、及び反復運動の特性のいずれかの重症度が軽症、中等度、又は重症である場合、第2心理検査として、ASD・APDテストを選択する。また、回答取得部11は、第1心理検査の解析結果において、不注意性、多動性及び衝動性の特性のいずれかの重症度が軽症、中等度、又は重症である場合、第2心理検査として、ADHD-RSテストを選択する。
【0170】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第2心理検査のための複数の質問を記憶部12から取得する(ステップS33)。より詳細には、回答取得部11は、記憶部12から、第2心理検査に用いる複数の質問を取得する。このとき、回答取得部11は、第2心理検査に用いる複数の質問のうち、第1心理検査のための複数の質問である第1質問群34に含まれる共通質問36については取得しない。
【0171】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、第2心理検査のための複数の質問を被検者に提示する(ステップS23)。より詳細には、回答取得部11は、ステップS33で取得した第2心理検査に係る複数の質問を、通信部13を介して検査端末20に送信する。ここで、回答取得部11は、第2心理検査に係る複数の質問のうち、共通質問36を送信しない。検査端末20は、回答取得部11から取得した第2心理検査に用いる複数の質問を表示部23に表示する。
【0172】
次に、心理検査システム1の回答取得部11は、心理検査の複数の回答を取得する(ステップS24)。より詳細には、検査端末20は、被検者から、第2心理検査の複数の質問の各々について、質問に対応する複数の選択肢のうち1つを特定する回答の入力を入力部24で受け付ける。回答取得部11は、被検者が回答を完了した後、通信部13を介して検査端末20から複数の回答を取得する。回答取得部11は、複数の回答を第2回答群392の一部として記憶部12に記憶させる。
【0173】
次に、心理検査システム1の解析部14は、第2心理検査の結果解析を行う(ステップS5)。
【0174】
心理検査システム1の解析部14は、図3に示すように、回答の点数評価を行う(ステップS11)。より詳細には、解析部14は、回答取得部11から第2心理検査に用いられる複数の質問を取得する。ここで、第2心理検査に用いられる複数の質問は、回答取得部11がステップS23で検査端末20に送信した複数の質問と、回答取得部11がステップS21で検査端末20に送信した共通質問36と、を含む。また、解析部14は、記憶部12から第2回答群392と、第2評価基準33とを取得する。第2回答群392は、回答取得部11がステップS24で取得した複数の回答と、ステップS22で共通質問36に対する回答として取得した回答と、を含む。解析部14は、複数の質問の各々について、第2評価基準33に設定されている選択肢ごとの点数に基づいて、回答を点数に変換する。
【0175】
次に、心理検査システム1の解析部14は、回答の点数に基づいて評価パラメータを算出する(ステップS12)。第2心理検査がASD・APDテストである場合、解析部14は、1つの評価パラメータを算出する。1つの評価パラメータは、第2心理検査の複数の質問の各々に対応する回答の点数の合計値である。また、第2心理検査がADHD-RSテストである場合、解析部14は、不注意、衝動性の各々に対する2つの評価パラメータを算出する。2つの評価パラメータは、評価パラメータに対応する複数の質問における、回答の点数の合計値である。
【0176】
次に、心理検査システム1の解析部14は、評価パラメータに基づいて解析結果を出力する(ステップS13)。第2心理検査がASD・APDテストである場合、解析部14は、1つの評価パラメータに基づき、ASD・APDの重症度を評価する。また、第2心理検査がADHD-RSテストである場合、解析部14は、2つの評価パラメータの各々について解析を行う。より詳細には、解析部14は、被検者の不注意、及び衝動性の特性の各々について、「問題ない」、「軽度」、「中等度」、「重度」の4ランクのいずれに相当するかを評価する。
【0177】
図4に戻って説明を続ける。次に、心理検査システム1の制御部16は、心理検査の解析結果を出力する(ステップS6)。より詳細には、制御部16は、解析部14が出力する第1心理検査の解析結果と、第2心理検査の解析結果とを、表示部15に表示する。
【0178】
2.効果
実施形態4に係る心理検査システム1では、回答取得部11は、解析部14が第1心理検査に係る2以上の回答を第1心理検査の評価基準に従って解析した後に、第2心理検査に係る複数の質問の決定を行う。回答取得部は、決定された第2心理検査に係る複数の質問に対する複数の回答を被検者から取得する。
【0179】
したがって、心理検査システム1は、被検者の特性に合わせて第2心理検査を被検者に行うことを可能とするため、被検者に対して効率的に心理検査を行うことが可能となる。また、被検者は、第1心理検査と第2心理検査とで重複する共通質問に対して重複して回答を行う必要がないため、被検者の負担を小さくすることができる。
【0180】
(実施形態に係るその他の変形例)
(1)実施形態1~4では、心理検査システム1は心理検査装置10を備えるが、心理検査システム1は、例えば、回答取得部11及び解析部14を含む装置と、記憶部12を含む装置とを備えてもよい。また、心理検査システム1は、例えば、回答取得部11を含む装置と、解析部14を含む装置と、記憶部12を含む装置と、を備えてもよい。心理検査システム1の構成はこれに限られず、心理検査システム1が回答取得部11、記憶部12、通信部13、解析部14、表示部15及び制御部16を含む構成であれば、任意の構成であってよい。
【0181】
(2)実施形態1~4では、回答取得部11は検査端末20を用いて被検者に複数の質問を提示し、検査端末20を介して被検者から複数の回答を取得する。しかしながら、例えば、心理検査システム1は、入力部を更に備え、表示部15を用いて被検者に複数の質問を提示し、被検者からの複数の回答の入力を受け付けてもよい。
【0182】
(3)実施形態1~4では、解析部14は複数の心理検査の各々に係る解析結果を制御部16に出力し、制御部16は表示部15に解析結果を表示するが、解析部14は、例えば、記憶部12に解析結果を記憶させてもよい。また、例えば、解析部14は、解析結果を検査端末20に送信し、検査端末20は解析結果を表示部23に表示してもよい。
【0183】
(4)実施形態1、2及び4では、第1心理検査と第2心理検査との両方に用いられる共通質問36は複数存在するが、第1心理検査と第2心理検査との両方に用いられる共通質問は1つであってもよい。また、実施形態3では、第1心理検査と第2心理検査との両方に用いられる共通質問36、第2心理検査と第3心理検査との両方に用いられる共通質問36a、及び、第3心理検査と第1心理検査との両方に用いられる共通質問36bの全てが存在するが、共通質問36、36a、及び36bは、少なくとも1つが存在すればよい。また、実施形態3では、第1心理検査、第2心理検査及び第3心理検査の全てに用いられる共通質問36cが存在するが、共通質問36cが存在していなくてもよい。この場合でも、上述の効果を奏する。
【0184】
(5)実施形態1~3では第1心理検査がCAARS、第2心理検査がMSPA、実施形態3では第3心理検査がVineland-IIであるが、複数の心理検査の組み合わせはこれに限られない。例えば、第1心理検査と第2心理検査との組み合わせがMSPAとVineland-II、又は、CAARSとVineland-IIでもよい。また、これに限られず、発達障害に関わる他の心理検査を用いてもよい。また、心理検査の数は2又は3に限られず、4以上でもよい。
【0185】
また、第1心理検査~第3心理検査の各々は、発達障害に係る心理検査に関わらず、同一又は関連する被検者の特性を評価する心理検査でもよい。例えば、うつの特性に関する、CES-D(The Center for Epidemiologic Studies Depression Scale)、SDS(Self-rating Depression Scale)、及びPHQ(Patient Health Questionnaire)-9のうち2以上が、第1心理検査及び第2心理検査として用いられてもよい。
【0186】
また、実施形態4では第1心理検査がMSPA、第2心理検査がASD・APDテスト又はADHD-RSであるが、同様に、第1心理検査はCAARS又はVinelan-IIでもよいし、第2心理検査は上記以外の発達障害に係る心理検査でもよい。第1心理検査がスクリーニング検査、第2心理検査がより詳細な検査であれば、発達障害に係る心理検査に関わらず、例えば、うつに係る心理検査でもよい。例えば、第1心理検査は、上述のCES-D、SDS、PHQ-9のいずれかであり、第2心理検査はGSD(Global Scale for Depression)でもよい。
【符号の説明】
【0187】
1 心理検査システム
11 回答取得部
14 解析部
32 第1評価基準(評価基準)
33 第2評価基準(評価基準)
37 第3評価基準(評価基準)
36,36a,36b 共通質問
393,393a,393b 共通回答
S3,S22,S24 回答取得ステップ
S4,S5,S7 解析ステップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7