(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179851
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】開き戸
(51)【国際特許分類】
E06B 3/36 20060101AFI20241219BHJP
E06B 1/52 20060101ALI20241219BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E06B3/36
E06B1/52
E06B7/22 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099094
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100165157
【弁理士】
【氏名又は名称】芝 哲央
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(74)【代理人】
【識別番号】100160794
【弁理士】
【氏名又は名称】星野 寛明
(72)【発明者】
【氏名】江原 祐介
(72)【発明者】
【氏名】清水 裕太
(72)【発明者】
【氏名】嵯峨野 昌広
【テーマコード(参考)】
2E011
2E014
2E036
【Fターム(参考)】
2E011ED01
2E014AA02
2E014DA05
2E014DB03
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036DA08
2E036DA09
2E036EB07
2E036EC03
2E036GA02
2E036HA02
2E036HB15
(57)【要約】
【課題】気密材の取り付け部位が目視されることのない意匠性の向上した開き戸を提供すること。
【解決手段】建物の開口部に設けられる枠体と、枠体の内側に開閉可能に納められるドア本体と、ドア本体の閉鎖時にドア本体に当接する気密材と、を有する開き戸であって、ドア本体は、ドア本体の戸先側見込み面及び吊元側見込み面に、見込み方向に沿って階段状に形成される戸先側段差部及び吊元側段差部を有し、戸先側段差部及び吊元側段差部に対して気密材が当接している。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物の開口部に設けられる枠体と、前記枠体の内側に開閉可能に納められるドア本体と、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア本体に当接する気密材と、を有する開き戸であって、
前記ドア本体は、前記ドア本体の戸先側見込み面及び吊元側見込み面に、見込み方向に沿って階段状に形成される戸先側段差部及び吊元側段差部を有し、
前記戸先側段差部及び前記吊元側段差部に対して前記気密材が当接している、開き戸。
【請求項2】
前記ドア本体は、前記ドア本体の上端見込み面に、見込み方向に沿って階段状に形成される上端側段差部をさらに有し、
前記上端側段差部に対して前記気密材が当接している、請求項1に記載の開き戸。
【請求項3】
前記戸先側段差部は、前記ドア本体の室外側及び室内側にそれぞれ配置される、請求項1又は2に記載の開き戸。
【請求項4】
前記ドア本体の室外側の表面及び室内側の表面と、前記枠体の室外側の見付け面及び室内側の見付け面とが、それぞれ面一状に仕上げられている、請求項1又は2に記載の開き戸。
【請求項5】
前記ドア本体の室外側の表面及び室内側の表面と、前記枠体の室外側の見付け面及び室内側の見付け面とが、それぞれ面一状に仕上げられている、請求項3に記載の開き戸。
【請求項6】
前記枠体の内側に2枚の前記ドア本体が納められ、
2枚の前記ドア本体のそれぞれの室外側の表面及び室内側の表面と、前記枠体の室外側の見付け面及び室内側の見付け面とが、それぞれ面一状に仕上げられている、請求項1又は2に記載の開き戸。
【請求項7】
前記枠体の内側に2枚の前記ドア本体が納められ、
2枚の前記ドア本体のそれぞれの室外側の表面及び室内側の表面と、前記枠体の室外側の見付け面及び室内側の見付け面とが、それぞれ面一状に仕上げられている、請求項3に記載の開き戸。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、開き戸に関する。
【背景技術】
【0002】
開き戸は、建物の開口部に設けられる枠体の内側に、ドア本体を、吊元側の回転軸を中心に開閉可能に納めることによって構成される。枠体には気密材が設けられている。気密材は、閉鎖時のドア本体の室内側の見付け面に当接することによって、ドア本体の周縁部を封止する(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の開き戸における気密材は、閉鎖時のドア本体の室内側の見付け面に室内側から当接するように、枠体の内側であって、閉鎖位置にあるドア本体の室内側の見付け面よりも室内側に突出した位置に配置される。これによって、開き戸を室内側から見た場合、気密材の取り付け部位が段差状もしくはライン状に視認され、開き戸の意匠性を低下させる要因となっていた。
【0005】
本開示は、気密材の取り付け部位が目視されることのない意匠性の向上した開き戸を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示は、建物の開口部に設けられる枠体と、前記枠体の内側に開閉可能に納められるドア本体と、前記ドア本体の閉鎖時に前記ドア本体に当接する気密材と、を有する開き戸であって、前記ドア本体は、前記ドア本体の戸先側見込み面及び吊元側見込み面に、見込み方向に沿って階段状に形成される戸先側段差部及び吊元側段差部を有し、前記戸先側段差部及び前記吊元側段差部に対して前記気密材が当接している、開き戸に関する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】一実施形態に係る開き戸を室外側から見た正面図である。
【
図4】
図2におけるドア本体の上部側の拡大図である。
【
図5】
図2におけるドア本体の下部側の拡大図である。
【
図6】
図3におけるドア本体の戸先側の拡大図である。
【
図7】
図3における一方のドア本体の吊元側の拡大図である。
【
図8】
図3における他方のドア本体の吊元側の拡大図である。
【
図9】他の実施形態に係る開き戸を室外側から見た正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本開示の開き戸の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、ドア本体3(第1の扉)及びドア本体4(第2の扉)の2枚の扉を有する開き戸1を示している。開き戸1は、建物の開口部に設けられる枠体2の内側空間に、ドア本体3,4を開閉可能に納めることによって構成される。
【0009】
ドア本体3,4は、枠体2の内側空間における左右の幅方向のそれぞれ半分の領域を閉鎖する大きさを有する。ドア本体3,4において、左右の縦枠23側を「吊元側」とし、吊元側と反対側を「戸先側」とする。さらに、枠体2及びドア本体3,4において、室外側X1及び室内側X2を結ぶ方向(ドア本体3,4の厚み方向)を「見込み方向」とし、見込み方向に沿って配置される面を「見込み面」とする。枠体2及びドア本体3,4における室外側X1及び室内側X2に面する側面を「見付け面」とする。開き戸1における「上下」の方向は、鉛直方向に沿う上下方向である。開き戸1における「幅方向」は、開き戸1を正面視したときの左右方向とする。開き戸1において、枠体2の外側に向かう方向を「外方」とし、外方に面する面を「外面」とする。開き戸1において、枠体2の内側に向かう方向を「内方」とし、内方に面する面を「内面」とする。
【0010】
まず、枠体2について説明する。
【0011】
枠体2は、上枠21、下枠22及び左右の縦枠23を、開口部の形状に沿って矩形に枠組みすることによって形成される。
【0012】
上枠21は、
図2に示すように、上枠本体211と、戸当たり部212と、を有する。
【0013】
上枠本体211は、上枠21の長さ方向に延びる金属形材からなり、中空部211aを有する断面矩形に形成される。上枠本体211の上面211bには、建物の躯体(図示せず)に取り付けられるL型金具210が、複数のねじ21aによって固定されている。
【0014】
上枠本体211は、L型金具210に対して室内側X2にずれて配置されている。詳しくは、L型金具210は、室外側X1の端部から上方に延びる室外壁部210aを有する。上枠本体211の室外側X1の見付け面211cは、L型金具210の室外壁部210aよりも室内側X2に配置されている。上枠本体211の室外側X1の見付け面211cには、L型金具210の室外壁部210aとの段差を埋めるように、板状のスペーサ213が設けられている。L型金具210の室外壁部210aとスペーサ213とに亘って、両者間の隙間を塞ぐように、室外側X1から止水テープ214が貼着されている。
【0015】
戸当たり部212は、上枠本体211の室内側X2に配置され、上枠21の長さ方向に延びている。戸当たり部212は、金属形材もしくは樹脂形材からなる戸当たり部本体2121と、戸当たり部本体2121を室内側X2から覆う金属製カバー材2122と、を有する。
【0016】
図4に示すように、戸当たり部本体2121は、中空部2121aを有し、見込み方向に厚みを有している。戸当たり部本体2121は、板状のスペーサ215を挟んで、上枠本体211の室内側X2の見付け面211eに、複数のねじ21bによって固定されている。戸当たり部本体2121は、室内側X2の見付け面2121bに沿って下方に延出する気密材取り付け板部2121cを有する。気密材取り付け板部2121cは、上枠本体211の下面211dよりも下方に突出して配置されている。
【0017】
気密材取り付け板部2121cには、上枠21の長さ方向に亘って上枠側気密材216が固定されている。上枠側気密材216は、
図4に示すように、中空部216aを有するゴム製もしくは樹脂製の弾性部材からなる。上枠側気密材216は、気密材取り付け板部2121cから室外側X1に向けて突出している。上枠側気密材216は、
図2及び
図4に示すように、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、ドア本体3,4の上部に室内側X2から当接して、ドア本体3,4との間を気密状に封止する。
【0018】
図4に示すように、金属製カバー材2122は、戸当たり部本体2121に取り付けられて、気密材取り付け板部2121cを含む戸当たり部本体2121の全体を室内側X2から覆っている。金属製カバー材2122の上端部及び下端部には、それぞれ室外側X1へ延びる外方延出部2122a,2122bが設けられている。外方延出部2122a,2122bは、気密材取り付け板部2121cを含む戸当たり部本体2121の全体を上下から挟むように配置されている。金属製カバー材2122において下端側に配置される外方延出部2122bは、開き戸1を通過する人から上枠側気密材216が見え難くなるように、上枠側気密材216を下方から覆っている。
【0019】
上枠21には、室外側X1及び室内側X2に、それぞれ室外側意匠材217a及び室内側意匠材217bが、接着剤等によって貼着されている。室外側意匠材217aは、止水テープ214を室外側X1から覆うように配置される。室内側意匠材217bは、戸当たり部212の金属製カバー材2122を室内側X2から覆うように配置される。室外側意匠材217a及び室内側意匠材217bの表面は、それぞれ上枠21の室外側X1及び室内側X2の見付け面を形成する。室外側意匠材217a及び室内側意匠材217bは、ドア本体3,4に設けられる後述の室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bと同じ材質からなる。
【0020】
下枠22は、
図2に示すように、下枠本体221と、戸当たり部222と、を有する。
【0021】
下枠本体221は、下枠22の長さ方向に延びる金属形材からなり、中空部221aを有する断面矩形に形成される。下枠本体221の下面221bには、建物の躯体(図示せず)に取り付けられるL型金具220が、複数のねじ22aによって固定されている。
【0022】
下枠本体221は、L型金具220に対して室外側X1にずれて配置されている。詳しくは、L型金具220は、室外側X1の端部から下方に延びる室外壁部220aを有する。下枠本体221の室外側X1の見付け面221cは、L型金具220の室外壁部220aよりも室外側X1に配置されている。L型金具220の室外壁部220aと下枠本体221の下面221bとに亘って、両者間の隙間を塞ぐように、室外側X1から止水テープ223が貼着されている。
【0023】
戸当たり部222は、下枠本体221の室内側X2に配置され、下枠22の長さ方向に延びている。戸当たり部222は、金属形材もしくは樹脂形材からなる戸当たり部本体2221と、戸当たり部本体2221を室内側X2から覆う金属製カバー材2222と、を有する。
【0024】
戸当たり部本体2221は、気密材取り付け板部として機能する。戸当たり部本体2221には、下枠22の長さ方向に亘って下枠側気密材224が固定されている。下枠側気密材224は、
図5に示すように、中空部224aを有するゴム製もしくは樹脂製の弾性部材からなる。下枠側気密材224は、戸当たり部本体2221から室外側X1に向けて突出している。下枠側気密材224は、
図2及び
図5に示すように、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、ドア本体3,4の下部に室内側X2から当接して、ドア本体3,4との間を気密状に封止する。
【0025】
図5に示すように、金属製カバー材2222は、カバー材本体2222aと、室外側壁部2222bと、室内側壁部2222cと、外方延出部2222dと、を有する。カバー材本体2222aは、下枠本体221の上面221eに沿って見込み方向に延びている。カバー材本体2222aは、下枠本体221の室内側X2の見付け面221dよりも室内側X2に延びている。カバー材本体2222aは、下枠本体221よりも室内側X2において、下枠本体221の室内側X2の見付け面221dに取り付けられた金属形材もしくは樹脂形材からなるL型アングル材225によって、下方から支持されている。
【0026】
金属製カバー材2222の室外側壁部2222bは、カバー材本体2222aの室外側X1の端部に配置される。室外側壁部2222bは、下枠本体221の室外側X1の見付け面221cに沿って下方に延び、見付け面221cの全体を室外側X1から覆っている。室内側壁部2222cは、カバー材本体2222aの室内側X2の端部に配置され、上方に立ち上がっている。下枠側気密材224を有する戸当たり部本体2221は、室内側壁部2222cの室外側X1の側面に取り付けられている。外方延出部2222dは、室内側壁部2222cの上端部から室外側X1へ延びている。外方延出部2222dは、開き戸1を通過する人から下枠側気密材224が見え難くなるように、下枠側気密材224を上方から覆っている。
【0027】
図2に示すように、下枠本体221の上面221eは、室外側X1の床面FL1と略同一高さに配置される。金属製カバー材2222の外方延出部2222dは、室内側X2の床面FL2と略同一高さに配置される。
【0028】
左右の縦枠23は同一構成であり、
図3、
図7及び
図8に示すように、左右対称に構成される。縦枠23は、縦枠本体231と、戸当たり部232と、を有する。
【0029】
縦枠本体231は、縦枠23の長さ方向に延びる金属形材からなり、中空部231aを有する断面矩形に形成される。縦枠本体231の外面231bには、建物の躯体(図示せず)に取り付けられるL型金具230が、複数のねじ23aによって固定されている。
【0030】
縦枠本体231は、L型金具230に対して室内側X2にずれて配置されている。詳しくは、L型金具230は、室外側X1の端部から左右方向の外方に延びる室外壁部230aを有する。縦枠本体231の室外側X1の見付け面231cは、L型金具230の室外壁部230aよりも室内側X2に配置されている。縦枠本体231の室外側X1の見付け面231cには、L型金具230の室外壁部230aとの段差を埋めるように、板状のスペーサ233が設けられている。スペーサ233は、室外側X1から金属板材234によって覆われている。L型金具230の室外壁部230aと金属板材234とに亘って、両者間の隙間を塞ぐように、室外側X1から止水テープ235が貼着されている。
【0031】
戸当たり部232は、縦枠本体231の室内側X2に配置され、縦枠23の長さ方向に延びている。戸当たり部232は、金属形材もしくは樹脂形材からなる戸当たり部本体2321と、戸当たり部本体2321を室内側X2から覆う金属製カバー材2322と、を有する。
【0032】
図7及び
図8に示すように、戸当たり部本体2321は、中空部2321aを有し、見込み方向に厚みを有する。戸当たり部本体2321は、断面L型の金属板材236を介して、縦枠本体231に固定される。詳しくは、金属板材236は、見込み方向に延びる見込み板部2361と、見込み板部2361の室内側X2の端部から内方に延びる取り付け板部2362と、を有する。見込み板部2361は、板状のスペーサ236aを介して、縦枠本体231の内面231dに取り付けられる。見込み板部2361の室外側X1の端部は、縦枠本体231に設けられる金属板材234に当接している。見込み板部2361は、金属板材234から縦枠本体231よりも室内側X2に突出するように延びている。金属板材234は、見込み板部2361よりも内方に突出している。
【0033】
戸当たり部本体2321は、金属板材236の取り付け板部2362の室内側X2の面に、板状のスペーサ236bを介して複数のねじ23bによって固定されている。戸当たり部本体2321は、室内側X2の見付け面2321bに沿って内方に延出する気密材取り付け板部2321cを有する。気密材取り付け板部2321cは、金属板材236の取り付け板部2362の内方端よりも内方に突出して配置されている。
【0034】
気密材取り付け板部2321cには、縦枠23の長さ方向に亘って縦枠側気密材237が固定されている。縦枠側気密材237は、中空部237aを有するゴム製もしくは樹脂製の弾性部材からなる。縦枠側気密材237は、気密材取り付け板部2321cから室外側X1に向けて突出している。縦枠側気密材237は、
図3、
図7及び
図8に示すように、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、ドア本体3,4の吊元側に対して室内側X2から当接して、ドア本体3,4との間を気密状に封止する。
【0035】
図7及び
図8に示すように、金属製カバー材2322は、戸当たり部本体2321に取り付けられて、気密材取り付け板部2321cを含む戸当たり部本体2321の全体を室内側X2から覆っている。金属製カバー材2322の左右両端部には、それぞれ室外側X1へ延びる外方延出部2322a,2322bが設けられている。外方延出部2322a,2122bは、気密材取り付け板部2321cを含む戸当たり部本体2321の全体を左右から挟むように配置されている。金属製カバー材2322において内方に配置される外方延出部2322bは、開き戸1を通過する人から縦枠側気密材237が見え難くなるように、縦枠側気密材237を内方から覆っている。
【0036】
縦枠23には、室外側X1及び室内側X2に、それぞれ室外側意匠材238a及び室内側意匠材238bが、接着剤等によって貼着されている。室外側意匠材238aは、止水テープ235を挟んで金属板材234を室外側X1から覆うように配置される。室内側意匠材238bは、戸当たり部232の金属製カバー材2322を室内側X2から覆うように配置される。室外側意匠材238a及び室内側意匠材238bの表面は、それぞれ縦枠23の室外側X1及び室内側X2の見付け面を形成している。室外側意匠材238a及び室内側意匠材238bは、ドア本体3,4に設けられる後述の室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bと同じ材質からなる。
【0037】
次に、ドア本体3,4について説明する。
【0038】
図1に示すように、ドア本体3,4は、戸先側の室外側X1及び室内側X2の表面に、それぞれ上下方向に延びる開閉操作用のハンドル3a、4aを有する。ドア本体3,4は、閉鎖位置にあるときに、枠体2の内側の幅方向中央部で互いの戸先側を突き合わせるように配置される。これによって、ドア本体3,4は、枠体2の内側空間を閉鎖する。ドア本体3,4は、閉鎖状態から、吊元側の上部及び下部にそれぞれ設けられるピボットヒンジ3b,4bの軸を中心にして、戸先側を室外側X1に向けて回動させることによって、枠体2の内側空間を開放する。
【0039】
ドア本体3,4の上部には、コンシールド型のドアクローザー3c,4cが配置される。コンシールド型のドアクローザー3c,4cは、ドア本体3,4を安全な速度で、緩やかにスムーズに閉める機能を有する。
【0040】
図1に示す開き戸1において、右側のドア本体3は親扉であり、左側のドア本体4は子扉である。ドア本体3の戸先側の内部には、上下に離れて配置される2つの錠3dが取り付けられている。ドア本体3の錠3dは、子扉であるドア本体4の戸先側との間で施解錠を行うように設けられる。一方、ドア本体4の戸先側の上部及び下部の内部には、それぞれフランス落とし4dが設けられている。フランス落とし4dは、上下移動可能に設けられるロッド4d1を有する。フランス落とし4dのロッド4d1の先端が、上枠本体211及び下枠本体221にそれぞれ設けられた溝状のロッド受け部4d2に嵌合することによって、ドア本体4は開閉不能な閉鎖状態に保持される。
【0041】
ドア本体3,4のさらに詳細な構成について、
図2~
図8を参照して説明する。ドア本体3とドア本体4とは、戸先側の見込み面の構成を除いて実質的に同一である。
図4及び
図5に示すドア本体3の構成の説明は、ドア本体4の構成の説明にも同様に適用される。そのため、
図4及び
図5を参照するドア本体3,4の構成については、両者の構成部位の符号を併記して説明する。ドア本体3の構成部位は、「3」で始まる符号で示され、ドア本体4の構成部位は、「4」で始まる符号で示される。
【0042】
ドア本体3,4は、矩形枠状に形成されたフレーム材31,41と、室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bと、室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bと、をそれぞれ有する。
【0043】
フレーム材31,41は、アルミニウム等の金属形材からなる上フレーム材311,411、下フレーム材312,412、戸先側フレーム材313,413及び吊元側フレーム材314,414を矩形に枠組みすることによって構成される。上フレーム材311,411、下フレーム材312,412、戸先側フレーム材313,413及び吊元側フレーム材314,414は、中空部311a,411a、312a,412a、313a,413a、314a,414aを有する。中空部311a,411a、312a,412a、313a,413a、314a,414aには、図示しないグラスウール等の充填材が収容される。
【0044】
室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bは、木質板、樹脂板もしくは金属板等の板材からなる。室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bは、矩形に枠組みされたフレーム材31,41を室外側X1及び室内側X2から挟むように配置され、複数のねじ32a1,42a1、32b1,42b1によってフレーム材31,41に固定される。フレーム材31,41と室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bとによって囲まれる内部空間には、図示しないペーパーハニカム等の充填材が収容される。
【0045】
室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bは、それぞれドア本体3,4の室外側X1及び室内側X2の表面を形成し、ドア本体3,4の全体の意匠を構成する仕上げ材である。室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bは、ガラス板、金属板、樹脂板、陶板、金属タイル、樹脂タイル、磁器タイル等によって形成される。室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bは、室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bの表面を覆うように配置され、接着剤等によって室外側パネル材32a,42a及び室内側パネル材32b,42bに貼着されている。
【0046】
次に、フレーム材31,41における上フレーム材311,411、下フレーム材312,412、戸先側フレーム材313,413及び吊元側フレーム材314,414についてさらに説明する。
【0047】
図4に示すように、ドア本体3,4の上フレーム材311,411は、上枠21に対向するドア本体3,4の上端に、上端見込み面3111,4111を有する。上端見込み面3111,4111は、上端見込み面本体3111a,4111aと、立壁面3111b,4111bと、室内側見込み面3111c,4111cと、を有して構成される。
【0048】
上端見込み面本体3111a,4111aは、上フレーム材311,411の室外側X1の見付け面311b,411bの上端から室内側X2に向けて延びている。上端見込み面本体3111a,4111aは、上枠本体211の下面211dに対向して配置され、上端見込み面3111,4111の面積の大部分を占めている。
【0049】
立壁面3111b,4111bは、上端見込み面本体3111a,4111aの室内側X2の端部から下方に垂下している。
【0050】
室内側見込み面3111c,4111cは、立壁面3111b,4111bの下端から室内側X2に向けて延びている。
【0051】
これによって、ドア本体3,4の上端見込み面3111,4111は、見込み方向に沿って室内側X2が一段低くなる階段状に形成される。上端見込み面3111,4111は、上端見込み面本体3111a,4111aの室内側X2に、立壁面3111b,4111b及び室内側見込み面3111c,4111cによって形成される上端側段差部311S,411Sを有する。
【0052】
立壁面3111b,4111bは、上枠21に設けられる上枠側気密材216に対して室外側X1から対面するように配置され、上端側段差部311S,411Sにおける上枠側気密材216との当接面を構成する。室内側見込み面3111c,4111cは、上枠側気密材216の下方を覆う金属製カバー材2122の外方延出部2122bよりも下方に配置される。上枠側気密材216は、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、上端側段差部311S,411S内に配置される。したがって、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、上枠側気密材216は、ドア本体3,4の見込み方向の幅内に配置され、ドア本体3,4よりも室内側X2に突出しない。
【0053】
ドア本体3,4の室外側パネル材32a,42a及び室外側意匠材33a,43aの上端面に亘って、見切り材34a,44aが設けられている。見切り材34a,44aは、上端見込み面3111,4111の上端見込み面本体3111a,4111aと面一状に配置されている。
【0054】
ドア本体3,4の室内側パネル材32b,42b及び室内側意匠材33b,43bの上端面に亘って、見切り材34b,44bが設けられている。見切り材34b,44bは、上端見込み面3111,4111の室内側見込み面3111c,4111cと面一状に配置されている。上端側段差部311S,411Sは、室内側見込み面3111c,4111cから見切り材34b,44bに亘って、見込み方向に延びている。これによって、上端側段差部311S,411Sは、上枠21の室内側意匠材217bを含む戸当たり部212の全体を収容可能な見込み寸法を有する。
【0055】
図5示すように、ドア本体3,4の下フレーム材312,412は、下枠22に対向するドア本体3,4の下端に、下端見込み面3121,4121を有する。下端見込み面3121,4121は、下端見込み面本体3121a,4121aと、立壁面3121b,4121bと、室内側見込み面3121c,4121cと、を有して構成される。
【0056】
下端見込み面本体3121a,4121aは、下フレーム材312,412の室外側X1の見付け面312b,412bの下端から室内側X2に向けて延びている。下端見込み面本体3121a,4121aは、下枠本体221の上面221eに対向し、下端見込み面3121,4121の面積の大部分を占めている。
【0057】
立壁面3121b,4121bは、下端見込み面本体3121a,4121aの室内側X2の端部から上方に立ち上がっている。
【0058】
室内側見込み面3121c,4121cは、立壁面3121b,4121bの上端から室内側X2に向けて延びている。
【0059】
これによって、ドア本体3,4の下端見込み面3121,4121は、見込み方向に沿って室内側X2が一段高くなる階段状に形成される。下端見込み面3121,4121は、下端見込み面本体3121a,4121aの室内側X2に、立壁面3121b,4121b及び室内側見込み面3121c,4121cによって形成される下端側段差部312S,412Sを有する。
【0060】
立壁面3121b,4121bは、下枠22に設けられる下枠側気密材224に対して室外側X1から対面するように配置され、下端側段差部312S,412Sにおける下枠側気密材224の当接面を構成する。室内側見込み面3121c,4121cは、
図5に示すように、下枠側気密材224の上方を覆う外方延出部2222dよりも上方に配置される。下枠側気密材224は、閉鎖時のドア本体3,4の下端側段差部312S,412S内に配置される。したがって、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、下枠側気密材224は、ドア本体3,4の見込み方向の幅内に配置され、ドア本体3,4よりも室内側X2に突出しない。
【0061】
ドア本体3,4の室外側パネル材32a,42a及び室外側意匠材33a,43aの下端面に亘って、見切り材35a,45aが取り付けられている。見切り材35a,45aは、下端見込み面本体3121a,4121aと面一状に配置されている。
【0062】
ドア本体3,4の室内側パネル材32b,42b及び室内側意匠材33b,43bの下端面に亘って、見切り材35b,45bが取り付けられている。見切り材35b,45bは、室内側見込み面3121c,4121cと面一状に配置されている。下端側段差部312S,412Sは、室内側見込み面3121c,4121cと見切り材35b,45bとに亘って、見込み方向に延びている。これによって、下端側段差部312S,412Sは、下枠22の戸当たり部222の全体を収容可能な見込み寸法を有する。
【0063】
図6に示すように、ドア本体3の戸先側フレーム材313は、ドア本体4に対して突き合わされる戸先側に、戸先側見込み面3131を有する。戸先側見込み面3131は、戸先側見込み面本体3131aと、室外側見込み面3131bと、室外側立壁面3131cと、室内側見込み面3131dと、室内側立壁面3131eと、を有して構成される。
【0064】
ドア本体3の室外側パネル材32a及び室外側意匠材33aの戸先側は、戸先側見込み面3131の戸先側見込み面本体3131aよりもドア本体4側に突出している。戸先側見込み面本体3131aは、室外側パネル材32aよりも室内側X2に配置され、戸先側見込み面3131の面積の大部分を占めている。
【0065】
室外側意匠材33aの戸先側は、室外側パネル材32aよりもドア本体4側に突出している。室外側見込み面3131bは、室外側パネル材32aの戸先側の端面を覆うように配置されている。これによって、室外側見込み面3131bは、室外側意匠材33aの戸先側の端面33a1と面一状に形成されている。
【0066】
室外側立壁面3131cは、戸先側見込み面本体3131aよりもドア本体4側に突出した室外側パネル材32aの室内側X2の側面に沿って配置され、室外側見込み面3131bの室内側X2の端部と、戸先側見込み面本体3131aの室外側X1の端部と、を接続している。
【0067】
室内側パネル材32b及び室内側意匠材33bの戸先側は、戸先側見込み面3131の戸先側見込み面本体3131aよりもドア本体3の吊元側に配置されている。室内側意匠材33bの戸先側は、室内側パネル材32bよりもドア本体4側に突出している。室内側見込み面3131dは、室内側パネル材32bの戸先側の端面を覆うように配置されている。これによって、室内側見込み面3131dは、室内側意匠材33bの戸先側の端面33b1と面一状に形成されている。
【0068】
室内側立壁面3131eは、戸先側見込み面本体3131aの室内側X2の端部と、室内側見込み面3131dの室外側X1の端部と、を接続している。
【0069】
これによって、ドア本体3の戸先側見込み面3131は、見込み方向に沿って、室外側X1がドア本体4に対して一段高く、室内側X2がドア本体4に対して一段低くなる階段状に形成される。戸先側見込み面3131は、戸先側見込み面本体3131aの室外側X1に、室外側見込み面3131b及び室外側立壁面3131cによって形成される第1の戸先側段差部313S1を有し、戸先側見込み面本体3131aの室内側X2に、室内側見込み面3131d及び室内側立壁面3131eによって形成される第2の戸先側段差部313S2を有する。
【0070】
室外側立壁面3131cには、戸先側気密材36が取り付けられている。戸先側気密材36は、ヒレ状に形成されたゴム製もしくは樹脂製の弾性部材からなる。戸先側気密材36は、室外側立壁面3131cに沿って取り付けられた気密材取り付け板部361に固定され、室内側X2に向けて突出している。戸先側気密材36は、ドア本体3の第1の戸先側段差部313S1内に配置される。戸先側気密材36は、ドア本体3の見込み方向の幅内に配置され、ドア本体3よりも室外側X1に突出しない。
【0071】
図6に示すように、ドア本体4の戸先側フレーム材413は、ドア本体3に対して突き合わされる戸先側に、戸先側見込み面4131を有する。戸先側見込み面4131は、戸先側見込み面本体4131aと、室外側見込み面4131bと、室外側立壁面4131cと、室内側立壁面4131dと、を有して構成される。
【0072】
ドア本体4の室内側意匠材43bの戸先側は、戸先側見込み面4131の戸先側見込み面本体4131aよりもドア本体3側に突出している。戸先側見込み面本体4131aは、室内側意匠材43bよりも室内側X2に配置され、室内側パネル材42bの戸先側の端面を覆って室外側X1に延びている。これによって、戸先側見込み面本体4131aは、戸先側見込み面4131の面積の大部分を占めている。
【0073】
室外側パネル材42a及び室外側意匠材43aの戸先側は、戸先側見込み面4131の戸先側見込み面本体4131aよりもドア本体4の吊元側に配置されている。室外側意匠材43aの戸先側は、室外側パネル材42aよりもドア本体3側に突出している。室外側見込み面4131bは、室外側パネル材42aの戸先側の端面を覆うように配置されている。これによって、室外側見込み面4131bは、室外側意匠材43aの戸先側の端面43a1と面一状に形成されている。
【0074】
室外側立壁面4131cは、戸先側見込み面本体4131aの室外側X1の端部からドア本体4の吊元側に向けて延びている。室外側立壁面4131cは、戸先側見込み面本体4131aの室外側X1の端部と、室外側見込み面4131bの室内側X2の端部と、を接続している。
【0075】
室内側立壁面4131dは、戸先側見込み面本体4131aの室内側X2の端部から、室内側意匠材43bの室外側X1の側面に沿ってドア本体3側に延びている。室内側立壁面4131dは、ドア本体3側の端部に室外側X1に向けて折り返された折り返し部4131eを有する。折り返し部4131eは、戸先側見込み面本体4131aと平行に配置されている。折り返し部4131eのドア本体3側に面する端面は、室内側意匠材43bの戸先側の端面43b1と面一状に配置されている。
【0076】
これによって、ドア本体4の戸先側見込み面4131は、見込み方向に沿って、室外側X1がドア本体3に対して一段低く、室内側X2がドア本体3に対して一段高くなる階段状に形成される。戸先側見込み面4131は、戸先側見込み面本体4131aの室外側X1に、室外側見込み面4131b及び室外側立壁面4131cによって形成される第1の戸先側段差部413S1を有し、戸先側見込み面本体4131aの室内側X2に、室内側立壁面4131dによって形成される第2の戸先側段差部413S2を有する。
【0077】
室内側立壁面4131dには、戸先側気密材46が取り付けられている。戸先側気密材46は、中空部46aを有するゴム製もしくは樹脂製の弾性部材からなる。戸先側気密材46は、室内側立壁面4131dに沿って取り付けられた気密材取り付け板部461に固定され、室外側X1に向けて突出している。戸先側気密材46は、ドア本体4の第2の戸先側段差部413S2内に配置される。戸先側気密材46は、ドア本体4の見込み方向の幅内に配置され、ドア本体4よりも室内側X2に突出しない。折り返し部4131eは、ドア本体3のみを開放した開き戸1を通過する人から戸先側気密材46が見え難くなるように、戸先側気密材46をドア本体3側から覆っている。
【0078】
ドア本体3の第2の戸先側段差部313S2は、室内側見込み面3131dから室内側意匠材33bの戸先側の端面33b1に亘って、見込み方向に延びている。ドア本体3の第2の戸先側段差部313S2は、ドア本体4の室内側意匠材43bの戸先側の端面43b1から戸先側気密材46に亘る部位の全体を収容可能な見込み寸法を有する。ドア本体4の第1の戸先側段差部413S1は、室外側見込み面4131bから室外側意匠材43aの戸先側の端面43a1に亘って、見込み方向に延びている。ドア本体4の第1の戸先側段差部413S1は、ドア本体3の室外側意匠材33aの戸先側の端面33a1から戸先側気密材36に亘る部位の全体を収容可能な見込み寸法を有する。
【0079】
これによって、ドア本体3の戸先側見込み面3131とドア本体4の戸先側見込み面4131とは、相補的な階段形状を有する。詳しくは、
図6に示すように、ドア本体3,4が閉鎖位置にある状態で、ドア本体3の第1の戸先側段差部313S1は、ドア本体3の戸先側見込み面本体3131aよりもドア本体4側に突出して配置され、ドア本体4の第1の戸先側段差部413S1は、ドア本体4の戸先側見込み面本体4131aよりもドア本体3の吊元側に引っ込んで配置される。ドア本体3の第2の戸先側段差部313S2は、ドア本体3の戸先側見込み面本体3131aよりもドア本体3の吊元側に引っ込んで配置され、ドア本体4の第2の戸先側段差部413S2は、ドア本体3側に突出して配置される。
【0080】
さらに、ドア本体3における第1の戸先側段差部313S1の室外側立壁面3131cは、ドア本体4における第1の戸先側段差部413S1の室外側立壁面4131cに室外側X1から対面するように配置され、ドア本体4における第2の戸先側段差部413S2の室内側立壁面4131dは、ドア本体3における第2の戸先側段差部313S2の室内側立壁面3131eに室内側X2から対面するように配置される。
【0081】
そのため、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、ドア本体3の戸先側気密材36は、ドア本体4の第1の戸先側段差部413S1における室外側立壁面4131cに室外側X1から当接して、ドア本体4との間を気密状に封止する。ドア本体4の戸先側気密材46は、ドア本体3の第2の戸先側段差部313S2における室内側立壁面3131eに室内側X2から当接して、ドア本体3との間を気密状に封止する。
【0082】
図7及び
図8に示すように、ドア本体3,4の吊元側フレーム材314,414は、縦枠23に対向するドア本体3,4の吊元側の端部に、吊元側見込み面3141,4141を有する。吊元側見込み面3141,4141は、吊元側見込み面本体3141a,4141aと、傾斜壁面3141b,4141bと、立壁面3141c,4141cと、室内側見込み面3141d,4141dと、を有して構成される。
【0083】
吊元側見込み面本体3141a,4141aは、縦枠本体231に対向するように配置され、ドア本体3,4の見込み方向の室外側X1の略半分の面積を占めている。吊元側見込み面本体3141a,4141aは、室外側パネル材32a,42aの吊元側の端面を覆ように配置されている。室外側意匠材33a,43aの吊元側の端面33a1,43a1は、吊元側見込み面本体3141a,4141aと面一状に配置されている。吊元側見込み面本体3141a,4141aは、室外側意匠材33a,43aの室内側X2の側面から室内側X2に延びている。
【0084】
傾斜壁面3141b,4141bは、吊元側見込み面本体3141a,4141aの室内側X2の端部から室内側X2に向かい且つ縦枠23から遠ざかる方向に、斜めに傾斜して延びている。傾斜壁面3141b,4141bの室内側X2の端部は、縦枠23の戸当たり部232の縦枠側気密材237に当接する程度に近接して配置されている。
【0085】
立壁面3141c,4141cは、傾斜壁面3141b,4141bの室内側X2の端部から、縦枠23から遠ざかる方向に延びている。
【0086】
室内側見込み面3141d,4141dは、立壁面3141c,4141cの端部から室内側X2に向けて延びている。室内側見込み面3141d,4141dは、室内側パネル材32b,42bの吊元側の端面を覆ように配置されている。室内側意匠材33b,43bの吊元側の端面33b1,43b1は、室内側見込み面3141d,4141dと面一状に配置されている。
【0087】
これによって、ドア本体3,4の吊元側見込み面3141,4141は、見込み方向に沿って室内側X2が一段低くなる階段状に形成される。吊元側見込み面3141,4141は、吊元側見込み面本体3141a,4141aの室内側X2に、立壁面3141c,4141c及び室内側見込み面3141d,4141dによって形成される吊元側段差部314S,414Sを有する。
【0088】
立壁面3141c,4141cは、縦枠23に設けられる縦枠側気密材237に対して室外側X1から対面するように配置され、吊元側段差部314S,414Sにおける縦枠側気密材237との当接面を構成する。室内側見込み面3141d,4141dは、縦枠側気密材237の内方を覆う金属製カバー材2322の外方延出部2322bよりも内方に配置される。縦枠側気密材237は、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、吊元側段差部314S,414S内に配置される。したがって、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、縦枠側気密材237は、ドア本体3,4の見込み方向の幅内に配置され、ドア本体3,4よりも室内側X2に突出しない。
【0089】
吊元側段差部314S,414Sは、室内側見込み面3141d,4141dから室内側意匠材33b,43bの吊元側の端面33b1,431bに亘って、見込み方向に延びている。これによって、吊元側段差部314S,414Sは、縦枠23の室内側意匠材238bを含む戸当たり部232の全体を収容可能な見込み寸法を有する。
【0090】
ドア本体3,4が閉鎖位置にあるとき、ドア本体3,4の室外側意匠材33a,43a及び室内側意匠材33b,43bは、それぞれ枠体2の室外側X1及び室内側X2の見付け面に対して面一状に配置される。詳しくは、室外側意匠材33a,43aと、上枠21の室外側意匠材217a、下枠22の室外側壁部2222b及び縦枠23の室外側意匠材238aとは、それぞれ面一状に仕上げられている。室内側意匠材33b,43bと、上枠21の室内側意匠材217b及び縦枠23の室内側意匠材238bとは、それぞれ面一状に仕上げられている。さらに、ドア本体3の室外側意匠材33a及び室内側意匠材33bと、ドア本体4の室外側意匠材43a及び室内側意匠材43bとは、ドア本体3,4の閉鎖位置において面一状に仕上げられている。そのため、開き戸1を室外側X1及び室内側X2のいずれから見た場合でも、ドア本体3,4の周縁部の見付け面に段差形状が視認されることはない。
【0091】
以上の実施形態では、2枚のドア本体3,4を有する開き戸1を示したが、本開示は、
図9及び
図10に示す開き戸1Aのように、1枚のドア本体3のみを有するものであってもよい。
図9及び
図10に示す開き戸1Aは、枠体2の内側に上述した開き戸1のドア本体3のみが納められている点、及びドア本体3の戸先側の縦枠23は、開き戸1のドア本体4の戸先側の構成を有している点以外は、開き戸1の構成と実質的に同一である。そのため、開き戸1と同一構成の部位には同一の符号を付し、各構成についての説明は開き戸1の説明を援用し、以下においては省略する。
【0092】
この開き戸1Aのように、1枚のドア本体3Aを有する場合でも、開き戸1と同様に、各気密材36,237の取り付け部位が、ドア本体3の周縁部に段差状もしくはライン状に視認されることがない。そのため、開き戸1Aは意匠性に優れる。
【0093】
さらに、本開示の開き戸は、枠体の内側に、開閉可能な扉であるドア本体と、固定扉である袖扉と、をそれぞれ納めたものであってもよい。この場合、ドア本体の戸先側及び吊元側に加えて、袖扉の戸先側にも、上記同様の段差部及び気密材の配置構成が適用される。
【0094】
以上の本実施形態の開き戸1,1Aによれば、以下の効果を奏する。
【0095】
(1) 建物の開口部に設けられる枠体2と、枠体2の内側に開閉可能に納められるドア本体3,4と、ドア本体3,4の閉鎖時にドア本体3,4に当接する気密材と、を有する開き戸1,1Aであって、ドア本体3,4は、ドア本体3,4の戸先側見込み面3131,4131及び吊元側見込み面3141,4141に、見込み方向に沿って階段状に形成される戸先側段差部313S1,313S2,413S1,413S2及び吊元側段差部314S,414Sを有し、戸先側段差部313S1,313S2,413S1,413S2及び吊元側段差部314S,414Sに対して戸先側気密材36,46及び縦枠側気密材237が当接している。
【0096】
これによれば、戸先側気密材36,46及び縦枠側気密材237は、ドア本体3,4の閉鎖時に、それぞれ戸先側段差部313S1,313S2,413S1,413S2及び吊元側段差部314S,414Sに配置され、ドア本体3,4から室内側X2に突出しない。そのため、ドア本体3,4の戸先側及び吊元側において、各気密材36,46,237の取り付け部位が段差状もしくはライン状に視認されることがなく、開き戸1,1Aの意匠性が向上する。
【0097】
(2) 上記(1)に記載の開き戸1,1Aにおいて、ドア本体3,4は、ドア本体3,4の上端見込み面3111,4111に、見込み方向に沿って階段状に形成される上端側段差部311S,411Sをさらに有し、上端側段差部311S,411Sに対して上枠側気密材216が当接している。
【0098】
これによれば、上枠側気密材216は、ドア本体3,4の閉鎖時に、上端側段差部311S,411Sに配置され、ドア本体3,4から室内側X2に突出しない。そのため、ドア本体3,4の上端側においても、上枠側気密材216の取り付け部位が段差状もしくはライン状に視認されることがなく、開き戸1,1Aの意匠性がさらに向上する。
【0099】
(3) 上記(1)又は(2)に記載の開き戸1,1Aにおいて、戸先側段差部313S1,313S2,413S1,413S2は、ドア本体3,4の室外側X1及び室内側X2にそれぞれ配置される。
【0100】
これによれば、ドア本体3,4の戸先側において、室外側X1及び室内側X2の両側にそれぞれ気密材(戸先側気密材36,46)を配置しても、その気密材がドア本体3,4から室外側X1及び室内側X2のいずれも突出しない。ドア本体3,4の戸先側における気密性を向上させつつも、開き戸1,1Aの意匠性をさらに向上させることができる。
【0101】
(4) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の開き戸1,1Aにおいて、ドア本体3,4の室外側X1の表面(室外側意匠材33a,43aの表面)及び室内側X2の表面(室内側意匠材33b,43bの表面)と、枠体2の室外側X1の見付け面(室外側意匠材217a,238aの表面)及び室内側X2の見付け面(室内側意匠材217b,238bの表面)とが、それぞれ面一状に仕上げられている。
【0102】
これによれば、ドア本体3,4が閉鎖位置にあるときの開き戸1を室外側X1及び室内側X2のいずれから見た場合でも、枠体2の見付け面とドア本体3,4の周縁部との間に段差形状が視認されることはない。そのため、開き戸1,1Aの意匠性をさらに向上させることができる。
【0103】
(5) 上記(1)~(3)のいずれかに記載の開き戸1において、枠体2の内側に2枚のドア本体3,4が納められ、2枚のドア本体3,4のそれぞれの室外側X1の表面(室外側意匠材33a,43aの表面)及び室内側X2の表面(室内側意匠材33b,43bの表面)と、枠体2の室外側X1の見付け面(室外側意匠材217a,238aの表面)及び室内側X2の見付け面(室内側意匠材217b,238bの表面)とが、それぞれ面一状に仕上げられている、2枚のドア本体3,4は、面一状に仕上げられている。
【0104】
これによれば、2枚のドア本体3,4が閉鎖位置にあるときの開き戸1を室外側X1及び室内側X2のいずれから見た場合でも、枠体2の見付け面と2枚のドア本体3,4の周縁部との間に段差形状が視認されることはない。そのため、開き戸1の意匠性をさらに向上させることができる。
【符号の説明】
【0105】
1,1A 開き戸、 2 枠体、 216 上枠側気密材、 217a,238a 枠体の室外側意匠材、 217b,238b 枠体の室内側意匠材、 237 縦枠側気密材、 3,4 ドア本体、 3111,4111 上端見込み面、 311S,411S 上端側段差部、 3131,4141 戸先側見込み面、 313S1,313S2,413S1,413S2 戸先側段差部、 3141,4141 吊元側見込み面、 314S,414S 吊元側段差部、 33a,43a ドア本体の室外側意匠材、 33b,43b ドア本体の室内側意匠材、 36,46 戸先側気密材