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特開2024-179854ピッキング装置、ピッキングシステム、ピッキング方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179854
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ピッキング装置、ピッキングシステム、ピッキング方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B25J15/06 S
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099101
(22)【出願日】2023-06-16
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-08
(71)【出願人】
【識別番号】523223696
【氏名又は名称】株式会社ユニテック
(74)【代理人】
【識別番号】100184789
【弁理士】
【氏名又は名称】宮▲崎▼ 浩充
(72)【発明者】
【氏名】山本 浩之
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707AS04
3C707BS15
3C707DS01
3C707FS06
3C707FU01
3C707KS08
3C707KS31
3C707KT01
3C707KT05
3C707KX07
3C707LT06
3C707LV07
3C707LV09
3C707LV14
(57)【要約】
【課題】ワークのピックアップ作業の効率性を向上させるピッキング装置を提供する。
【解決手段】上面が開放されるワーク容器100内に載置されるワークWを保持可能なロッド10と、ロッド10の動作を制御する動作制御部46と、ロッド10の先端への接触を検知する接触検知部42と、接触検知部42によりロッド10の先端への接触が検知されると、ワークWに接触したのか否かを判定する判定部44とを備え、判定部44は、接触検知部42により接触が検知されると、ワークWが載置される配置領域Rに関する領域情報50に基づいて、ワークWによる接触か否かを判定し、ロッド10は、ロッド10の長手方向に移動可能な吸着部20をさらに備え、動作制御部46は、判定部44によりワークWによる接触であると判定される場合に、吸着部20を移動させてワークWを吸着させるピッキング装置1を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面が開放される所定の容器内に載置されるワークを保持可能なロッドと、
前記ロッドの動作を制御する動作制御手段と、
前記ロッドの先端への接触を検知する検知手段と、
前記検知手段により前記ロッドの先端への接触が検知されると、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記判定手段は、前記検知手段により接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークによる接触か否かを判定し、
前記ロッドは、前記ロッドの長手方向に移動可能な吸着部をさらに備え、
前記動作制御手段は、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記吸着部を移動させて前記ワークを吸着させるピッキング装置。
【請求項2】
前記動作制御手段は、
前記ワークが前記ロッドの進行方向に位置するように前記ロッドを移動させて、前記進行方向に前記ロッドを進行させ、
前記判定手段により前記ワークによる接触ではないと判定される場合に、前記吸着部を移動させることなく前記ロッドを後退させる請求項1に記載のピッキング装置。
【請求項3】
前記吸着部は、筒状に構成される前記ロッドの筒内に摺動可能に収容されるとともに、前記筒内を摺動して前記ロッドの先端から露出可能に構成され、
前記動作制御手段は、
前記ロッドを移動させている間、前記吸着部を前記筒内に収容させ、
前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記吸着部を前記ロッドの先端から露出させて前記ワークを吸着させる請求項1又は2に記載のピッキング装置。
【請求項4】
前記領域情報は、前記容器のサイズ及び配置状態に関する情報を含み、
前記判定手段は、前記ロッドの先端への接触が検知された位置が、前記容器が配置される領域である場合に、前記ワークによる接触ではないと判定する請求項1又は2に記載のピッキング装置。
【請求項5】
電子計算機により実行されることにより、前記電子計算機と通信可能であるとともに金属製のワークを吸着可能なロッドを有するマニピュレータを、所定の容器内に載置される前記ワークを運搬するピッキング装置として機能させるプログラムであって、
前記電子計算機を、
前記ロッドの動作を制御する動作制御手段、
および、
前記ロッドの先端への接触が検知されると、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定手段、
として機能させ、
前記判定手段は、前記ロッドの先端への接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークによる接触か否かを判定し、
前記動作制御手段は、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記ワークを磁気吸着させるプログラム。
【請求項6】
所定の容器内に載置されるワークを磁気吸着可能なロッドを備えるマニピュレータを用いたピッキング方法であって、
前記ロッドの先端への接触を検知する検知処理と、
前記検知処理において前記ロッドの先端への接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定処理と、
前記判定処理において前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記ワークを磁気吸着させる吸着処理と、
を有するピッキング方法。
【請求項7】
金属製ワークを吸着可能なロッドを有するマニピュレータと、
前記マニピュレータと通信可能であるとともに、前記マニピュレータの動作を制御する制御装置と、
を備えるピッキングシステムであって、
前記マニピュレータは、
前記金属製ワークを検出可能なカメラと、
前記ロッドへの物体の接触を検知可能なセンサと、
を備え、
前記制御装置は、
前記マニピュレータにより前記金属製ワークが検出されると、前記ロッドを前記金属製ワークに接近させる動作制御手段と、
前記センサにより前記ロッドへの物体の接触が検知されると、予め取得される前記金属製ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記金属製ワークによる接触か否かを判定する判定手段と、
を備え、
前記動作制御手段は、前記判定手段により前記金属製ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記金属製ワークを磁気吸着させるピッキングシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ピッキング装置、ピッキングシステム、ピッキング方法及びプログラムの技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、金属製のワークを磁気吸着可能な電磁石ハンドを有するピッキング装置が知られており、籠にバラ積みされたワークをセンサにより検出すると、電磁石ハンドをワークに近接させて磁力を発生させ、電磁石ハンドを所定のピックアップ判定位置に移動させてから、当該判定位置においてワークが吊り下げられた状態か否かを判定するピッキング装置が提供されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6423813号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1において開示されるピッキング装置によると、電磁石ハンドを籠内からピックアップ判定位置まで移動させた後にワークが吊り下げられた状態か否かを判定し、ワークが吊り下げられていると判断された場合には、ワークを離脱させる位置まで電磁石ハンドを移動させる。
【0005】
他方、ワークが吊り下げられていないと判断された場合には、電磁石ハンドを再び籠内に移動させて、ワークに近接させる。
【0006】
しかし、上記特許文献1において開示されるピッキング装置は、ピックアップ判定位置まで電磁石ハンドを移動させた後に、ワークの吊り下げの有無を判定することになる。
【0007】
そこで、より早いタイミングでワークの吸着の有無を判定することにより作業効率を向上させるという点において、上記特許文献1における先行技術は改良の余地がある。
【0008】
本発明は、上記従来の問題点を解決するべく、ワークのピックアップ作業の効率性を向上させるピッキング装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明は、上面が開放される所定の容器内に載置されるワークを保持可能なロッドと、前記ロッドの動作を制御する動作制御手段と、前記ロッドの先端への接触を検知する検知手段と、前記検知手段により前記ロッドの先端への接触が検知されると、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、前記検知手段により接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークによる接触か否かを判定し、前記ロッドは、前記ロッドの長手方向に移動可能な吸着部をさらに備え、前記動作制御手段は、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記吸着部を移動させて前記ワークを吸着させるピッキング装置である。
【発明の効果】
【0010】
本発明におけるピッキング装置によると、ピックアップ作業の効率性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の第1実施形態におけるピッキング装置の全体の構成の一例を示す図である。
図2】本発明の第1実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図3】本発明の第1実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図4】本発明の第1実施形態におけるピッキング装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図5】本発明の第1実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図6】本発明の第1実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図7】本発明の第1実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図8】本発明の第1実施形態におけるワーク容器の構成の一例を示す図である。
図9】本発明の第1実施形態におけるピッキング装置において行われる主要な処理手順の一例を示すフローチャートである。
図10】本発明の第1実施形態におけるピッキング装置において行われる吸着処理の一例を示すフローチャートである。
図11】本発明の第2実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図12】本発明の第2実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図13】本発明の第2実施形態におけるピッキング装置において行われる吸着処理の一例を示すフローチャートである。
図14】本発明の第3実施形態におけるピッキングシステムの全体の構成の一例を示す図である。
図15】本発明の第3実施形態におけるピッキングシステムを構成するマニピュレータの機能構成の一例を示すブロック図である。
図16】本発明の第3実施形態におけるピッキングシステムを構成する制御装置の機能構成の一例を示すブロック図である。
図17】本発明の第4実施形態におけるワーク容器の構成の一例を示す図である。
図18】本発明の第4実施形態におけるワーク容器の構成の一例を示す図である。
図19】本発明の第4実施形態におけるピッキングユニットの構成の一例を示す図である。
図20】本発明の第4実施形態のピッキング装置において実行される主要な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(本願発明に含まれる知見)
本願発明に係るピッキング装置、ピッキング方法およびプログラムは、以下の発明を含む。
【0013】
本発明に係るピッキング装置において、前記動作制御手段は、前記ワークが前記ロッドの進行方向に位置するように前記ロッドを移動させて、前記進行方向に前記ロッドを進行させ、前記判定手段により前記ワークによる接触ではないと判定される場合に、前記吸着部を移動させることなく前記ロッドを後退させてもよい。
【0014】
このような構成により、ワークが接触していない場合に、効率的にロッドを後退させることが可能となる。
【0015】
本発明に係るピッキング装置において、前記吸着部は、筒状に構成される前記ロッドの筒内に摺動可能に収容されるとともに、前記筒内を摺動して前記ロッドの先端から露出可能に構成され、前記動作制御手段は、前記ロッドを移動させている間、前記吸着部を前記筒内に収容させ、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記吸着部を前記ロッドの先端から露出させて前記ワークを吸着させてもよい。
【0016】
このような構成により、吸着部がワーク等に衝突して損耗することを抑制することが可能となる。
【0017】
本発明に係るピッキング装置において、前記領域情報は、前記容器のサイズ及び配置状態に関する情報を含み、前記判定手段は、前記ロッドの先端への接触が検知された位置が、前記容器が配置される領域である場合に、前記ワークによる接触ではないと判定してもよい。
【0018】
このような構成により、ピッキング装置は、ロッドに接触したのがワークであるのか、又は収容容器であるのかを好適に判別可能となる。
【0019】
本発明に係るピッキング装置は、上面が開放される所定の容器内に載置されるワークを保持可能なロッドと、前記ロッドの動作を制御する動作制御手段と、前記ロッドの先端への接触を検知する検知手段と、前記検知手段により前記ロッドの先端への接触が検知されると、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定手段とを備え、前記判定手段は、前記検知手段により接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークによる接触か否かを判定し、前記ロッドは、前記ワークを磁気吸着可能であり、前記動作制御手段は、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドを前記ワークの解放位置まで移動させるピッキング装置であってもよい。
【0020】
このような構成により、ロッドがワークを吸着すると、効率的にロッドをワークの解放位置まで移動させてワークを解放可能となる。
【0021】
本発明に係るプログラムは、電子計算機により実行されることにより、前記電子計算機と通信可能であるとともに金属製ワークを吸着可能なロッドを有するマニピュレータを、所定の容器内に載置される前記金属製ワークを運搬するピッキング装置として機能させるプログラムであって、前記電子計算機を、前記ロッドの動作を制御する動作制御手段と、前記ロッドの先端への接触が検知されると、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定部として機能させ、前記判定手段は、前記ロッドの先端への接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークによる接触か否かを判定し、前記動作制御手段は、前記判定手段により前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記ワークを磁気吸着させるプログラムであってもよい。
【0022】
本発明に係るピッキング方法は、所定の容器内に載置されるワークを磁気吸着可能なロッドを備えるマニピュレータを用いたピッキング方法であって、前記ロッドの先端への接触を検知する検知処理と、前記検知処理において前記ロッドの先端への接触が検知されると、予め取得される前記ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記ワークに接触したのか否かを判定する判定処理と、前記判定処理において前記ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記ワークを磁気吸着させる吸着処理とを有してもよい。
【0023】
本発明は、金属製ワークを吸着可能なロッドを有するマニピュレータと、前記マニピュレータと通信可能であるとともに、前記マニピュレータの動作を制御する制御装置とを備えるピッキングシステムであって、前記マニピュレータは、前記金属製ワークを検出可能なカメラと、前記ロッドへの物体の接触を検知可能なセンサとを備え、前記制御装置は、前記マニピュレータにより前記金属製ワークが検出されると、前記ロッドを前記金属製ワークに接近させる動作制御手段と、前記センサにより前記ロッドへの物体の接触が検知されると、予め取得される前記金属製ワークが載置される領域に関する領域情報に基づいて、前記金属製ワークによる接触か否かを判定する判定手段とを備え、前記動作制御手段は、前記判定手段により前記金属製ワークによる接触であると判定される場合に、前記ロッドに前記金属製ワークを磁気吸着させるピッキングシステムであってもよい。
【0024】
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態を、図面に基づいて詳細に説明する。なお、同一の構成要素又は構成部材に対しては同一の符号を付し、これに関する重複する説明は省略する。
【0025】
図1は、第1実施形態に示されるピッキング装置1の一例を示す図である。本実施形態に例示されるピッキング装置1は、互いに連結された分節で構成され、物品を動かすことが可能なマニピュレータである。ピッキング装置1は、床面に固定されたベース2に対して鉛直軸線回りにアーム3を回転させる第1軸J1と、第2軸J2と、第3軸J3とを備える多関節型マニピュレータであってよい。
【0026】
図1に例示されるピッキング装置1は、床面に固定されたベース2と、ベース2に対して第1軸J1を中心に回転可能に連結されるアーム3と、アーム3に対して第3軸J3を中心に回転可能に連結されるピッキングユニット4とを備える。
【0027】
本実施形態において例示されるピッキングユニット4は、図1に例示されるワークWを保持して移動可能なツール(エンドエフェクタ)である。本実施形態におけるピッキングユニット4は、ワークWを磁気吸着可能なツールとして構成される。
【0028】
ピッキングユニット4は、第3軸J3方向に移動可能に構成される。ピッキングユニット4は、ワークWを保持可能なロッド10を備える。本実施形態において、ロッド10は、ピッキングユニット4の先端に配置され、ワークWを磁気吸着可能な磁石を備える。
【0029】
ピッキング装置1は、アーム3およびピッキングユニット4を搖動させることにより、上面が開口するワーク容器100内に配置されているワークWを保持可能である。ワークWを保持すると、ピッキング装置1は、ピッキングユニット4にワークWを保持した状態で、コンベア200の所定の載置部202においてワークWをリリース(解放)可能である。
【0030】
図2は、ピッキングユニット4の外観の一例を示す図である。ピッキングユニット4は、第3軸J3上にロッド10を備え、ロッド10の両側に支持部12を備える。ピッキングユニット4はまた、ワークWを検出可能なワーク識別センサ16を備える。ワーク識別センサ16は、少なくとも、2次元位置を取得して、ワークWを検出可能に構成される。ワーク識別センサ16は、一例として、CCDやCMOSなど公知のカメラや画像を検知可能なセンサにより構成されてもよい。
【0031】
ピッキング装置1は、電源投入により起動すると、アーム3を駆動させてピッキングユニット4をワークWが載置されるワーク容器100に近接させる。ピッキングユニット4がワーク容器100の上方に移動すると、ワーク識別センサ16は、ワーク容器100内におけるワークWの2次元位置を検知する。
【0032】
或いは、上記とは異なり、ワーク識別センサ16は、縦・横・高さからなる3次元位置を検知可能に構成されてもよい。この場合、ピッキングユニット4が初期位置にある状態で、ワーク識別センサ16は、ワークWの3次元位置を検知可能である。ワーク次元位置が検知されると、ピッキング装置1は、アーム3を駆動させてピッキングユニット4をワークWに近接した位置に移動させる。
【0033】
本実施形態におけるピッキングユニット4は、ロッドへの物体の接触を検知可能な第1センサ18をさらに備える。第1センサ18は、一例としてフローティングセンサなど公知のセンサにより構成されてもよい。
【0034】
ロッド10に物体が接触すると、ロッド又は支持部12が第3軸J3方向に退行することから、第1センサ18は、ロッド又は支持部12の退行を検知可能に構成される。このような構成により、ピッキングユニット4の先端に配置されるロッドに物体が接触したことが検知されるのである。
【0035】
或いは、図2に示される支持部12は、第3軸J3方向に伸縮可能に構成されてもよい。ロッド10の先端に物体が接触した場合に、支持部12は第3軸J3方向に沿って縮小することになる。そうすると、第1センサ18は、支持部12の縮小を検知することにより、ロッド10の先端に物体が接触したことを検知することが可能となる。
【0036】
図3は、第1実施形態におけるピッキングユニット4の構成の一例を示す図である。図3に示される例において、ロッド10は、長手方向に移動可能な吸着部20をさらに備える。一例として、ロッド10は第3軸J3方向に開口する筒状に構成され、ロッド10の内周側に吸着部20が配置されてもよい。
【0037】
吸着部20は、例えば磁石により構成され、ワークWを磁気吸着可能に構成されてもよい。吸着部20は、ロッド10の内周を第3軸J3方向に摺動可能に配置されてもよい。吸着部20の先端部は、ロッド10内に収容され、ロッド10の先端部より後方に配置されてもよい。
【0038】
これにより、ピッキングユニット4が第3軸J3方向にワークWに近接するよう進行する場合に、吸着部20の先端はロッド10内に収容され、外部に露出していない。ロッド10の先端が物体に接触するとき、吸着部20の先端はロッド10内に収容されて露出していない。そのため、ピッキングユニット4のかかる構成によると、吸着部20の先端が物体に接触する衝撃により破損することを防止可能となる。
【0039】
(ピッキング装置1の機能構成)
次に、第1実施形態におけるピッキング装置1の機能構成を説明する。図4は、第1実施形態におけるピッキング装置1の機能構成の一例を示すブロック図である。制御プログラム(図示せず)が実行されることにより、ピッキング装置1のCPUを制御部30として機能させる。
【0040】
制御部30は、ワーク識別センサ16や第1センサ18からの入力を受け付けるとともに、アーム3およびピッキングユニット4の動作を制御する。制御部30は、ワーク識別センサ16からの入力に基づき、ワークWを検出するワーク検出部40と、第1センサ18からの入力に基づき、ロッド10の先端に物体が接触したことを検知する接触検知部42とを備える。
【0041】
ワーク識別センサ16は、ワークWの2次元位置を検知すると、制御部30にワークWの2次元位置を送信する。制御部30がワークWの2次元位置を取得すると、ワーク検出部40は、ワークWを検出する。
【0042】
第1センサ18によりロッド10又は支持部12の移動が検知されると、第1センサ18からの入力に基づき、接触検知部42は、ロッド10の先端に物体が接触したことを検知する。
【0043】
制御部30は、ロッド10の先端にワークWが接触したのか否かを判定する判定部44と、ロッド10の動作を制御する動作制御部46とをさらに備える。判定部44は、接触検知部42によりロッド10の先端に物体が接触したことが検知されると、ロッド10の先端に接触したのがワークWであるか否かを判定する処理部である。
【0044】
判定部44は、記憶部32に格納されているワークWが載置される配置領域Rに関する領域情報50を参照する。第1実施形態において、領域情報50は、ワーク容器100のサイズ及び配置状態に関する情報を含む。一例として、領域情報50は、ワーク容器100の内周の縦・横・高さの各サイズと、ワーク容器100が配置されている3次元位置を含む。
【0045】
記憶部32は、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)など公知の記憶装置であってもよい。或いは、RAMなど揮発性の記憶装置であってもよい。領域情報50は、ユーザの入力に基づいて生成され、予め記憶部32に格納されてもよい。
【0046】
第1実施形態において、判定部44は、ロッド10の先端への物体の接触が検知された位置が、ワーク容器100が配置される領域である場合に、ワークWが接触したのではないと判定する。他方、ロッド10の先端への物体の接触が検知された位置が配置領域R内である場合に、判定部44は、ワークWが接触したと判定する。
【0047】
判定部44によりロッド10の先端にワークWが接触したと判定された場合に、動作制御部46は、吸着部20を移動させてワークWを吸着させる。動作制御部46は、ロッド10の内周に配置される吸着部20を摺動させて先端をロッド10から露出させる。吸着部20の摺動は、エアシリンダ(図示せず)により行ってもよい。
【0048】
図5は、第1実施形態におけるピッキングユニット4の構成の一例を示す図である。判定部44がロッド10の先端にワークWが接触したと判定すると、動作制御部46は、吸着部20を摺動させて、吸着部20の先端がロッド10から露出する位置に移動させる。
【0049】
図5に示されるように、動作制御部46は、第3軸J3方向における吸着部20とロッド10の先端の位置が略同じになる位置まで吸着部20を移動させる。このような構成により、ワークWがロッド10に接触した場合、吸着部20の先端にワークWを吸着させることが可能となる。
【0050】
図6は、ピッキングユニット4の先端部の構成の一例を示す図である。吸着部20の先端がロッド10の先端と第3軸J3方向における位置が略同じになると、ワークWを磁気吸着することが可能となる。
【0051】
ピッキングユニット4がワークWに近接するよう進行している間、吸着部20の先端はロッド10の内周側に収容されている。そのため、吸着部20が物体に接触することはなく、吸着部20の先端が物体との接触により破損することを抑制できる。
【0052】
ロッド10の先端に物体が接触し、判定部44により接触したのがワークWであると判定されると、吸着部20の先端がロッド10の先端側に移動して、ワークWを磁気吸着することが可能となる。
【0053】
図7は、ピッキングユニット4の先端部の構成の一例を示す図である。図6に例示された場合とは異なり、動作制御部46は、吸着部20の先端をロッド10の先端より前方に至るまで露出させてワークWを吸着させてもよい。
【0054】
判定部44によりロッド10の先端にワークWが接触したと判定されると、動作制御部46は、第3軸J3に沿って吸着部20を前方に移動させ、吸着部20の先端がロッド10の先端より前方に露出させる。このような構成により、吸着部20は、より確実にワークWに接触可能であり、ワークWを良好に吸着することができる。
【0055】
(ワーク容器100の構成)
図8は、第1実施形態におけるワーク容器100の構成の一例を示す図である。第1実施形態におけるピッキング装置1は、予めワークWが載置される配置領域Rに関する領域情報50を記憶部32に保持する。
【0056】
配置領域Rは、ワーク容器100の内周における縦・横・高さに基づいて定義されてもよい。或いは、配置領域Rは、ワーク容器100の高さに所定値を加えた高さまでの領域を含むよう定義されてもよい。
【0057】
ロッド10の先端が物体に接触した場合に、判定部44は、ロッド10の先端の位置情報と、領域情報50とを用いて、ロッド10の先端に接触したのがワークWであるか否かを判定する。
【0058】
ロッド10の先端が物体に接触すると、動作制御部46は、ロッド10を停止させる。ロッド10の先端位置が配置領域R内である場合、判定部44は、ロッド10の先端にワークWが接触したと判定する。
【0059】
これに対して、ロッド10の先端が物体に接触したと検知された位置がワーク容器100が存在する位置である場合、判定部44は、ロッド10の先端にワークWが接触したのではないと判定する。すなわち、ワーク容器100が存在する位置においてロッド10の先端に物体が接触した場合、ワーク容器100がロッド10に接触した蓋然性が高い。
【0060】
この場合、判定部44は、ロッド10の先端にワークWが接触したのではないと判定し、動作制御部46は、吸着部20を動作させることなくロッド10を第3軸J3に沿って後退させる。このような構成により、動作制御部46は、ワークWを効率的に探索可能となる。
【0061】
ワーク容器100は、ワークWを検知可能な第2センサ60を備える。第2センサ60は、ワーク容器100の周壁の所定位置に配置される。好ましくは、ワーク容器100の周壁の上端に配置されてもよい。
【0062】
動作制御部46は、吸着部20の先端をロッド10から露出させてワークWを吸着させると、ロッド10を第3軸J3に沿って後退させる。ロッド10が後退する際に、第2センサ60により認識可能な領域をワークWが通過すると、第2センサ60がワークWを検知する。
【0063】
第2センサ60によりワークWが検知されると、第2センサ60からピッキング装置1に信号が送信される。図4に戻り、通信インタフェース36により信号が受信されると、動作制御部46は、ロッド10をコンベア200に移動させる。吸着部20にワークWが吸着されている状態でロッド10が後退すると、第2センサ60によりワークWが検知される。
【0064】
第2センサ60によりワークWが検知されたことにより、ワークWが吸着部20に吸着されている可能性が高いため、動作制御部46は、ロッド10をコンベア200に移動させる。
【0065】
他方、ロッド10が後退する際に、第2センサ60の認識可能な領域内で第2センサ60によりワークWが検知されなかった場合、吸着部20からワークWが脱落している可能性が高い。この場合、動作制御部46は、ロッド10をコンベア200に移動させることなく、ロッド10を初期位置に戻す。
【0066】
このような構成により、ワークWが吸着された状態か否かを確認した上で、コンベア200にワークWを運搬可能となるため、作業効率が高まる。
【0067】
(ピッキング装置1における処理手順)
次に、第1実施形態におけるピッキング装置1により行われる処理手順を説明する。図9は、第1実施形態におけるピッキング装置1が行う主要な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0068】
まず、ピッキング装置1は、ピッキングユニット4がワーク容器100の上方に位置するまで移動させる。そして、制御部30は、ワークWの2次元位置を検知したか否かを判定する(ステップS1)。ワークWを検知しない場合(ステップS1でNO)、制御部30は、ピッキングユニット4を降下させない。
【0069】
ワークWを検知した場合(ステップS1でYES)、制御部30は、ピッキングユニット4を移動させてロッド10の移動を開始する(ステップS3)。制御部30は、ワークWが検知された位置に応じた位置でロッド10を停止させ(ステップS5)、ワークWを吸着する吸着処理(ステップS7)を実行する。吸着処理(ステップS7)の具体的な処理手順は後述する。
【0070】
吸着処理(ステップS7)を実行すると、次に、制御部30はワークWを吸着中であるか否かを判定する(ステップS9)。具体的には、ロッド10が第2センサ60により認識可能な領域を通過した際に、第2センサ60によりワークWが検知された信号を受信すると、ワークWを吸着中であると判定され、他方、第2センサ60によりワークWが検知された信号を受信しない場合には、ワークWを吸着していないと判定される。
【0071】
ワークWを吸着中であると判定した場合(ステップS9でYES)、制御部30は、ロッド10をワークWの解放位置である載置部202に移動させ(ステップS11)、載置部202に到達すると、ワークWを解放させて(ステップS13)からロッド10を初期位置に戻す(ステップS15)。そして、ステップS1に戻り、上述のステップS1乃至S15の各処理を繰り返し実行する。
【0072】
ワークWを吸着中でないと判定した場合(ステップS9でNO)、制御部30は、ステップS11およびステップS13をスキップして、ロッド10を初期位置に戻し(ステップS15)、ステップS1に戻って、上述の処理を繰り返し実行する。
【0073】
図10は、吸着処理(図9のステップS7)の具体的な処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御部30は、ロッド10を下降させて(ステップS20)、ロッド10に物体の接触を検知したか否かを判定する(ステップS22)。
【0074】
ロッド10に物体の接触を検知した場合(ステップS22でYES)、制御部30は、ロッド10の下降を停止させる(ステップS24)。そして、制御部30は、領域情報50を参照して(ステップS26)、ワークWに接触したのか否かを判定する(ステップS28)。
【0075】
ワークWに接触したと判定された場合(ステップS28でYES)、制御部30は、吸着部20をロッド10内で移動を開始させ(ステップS30)、所定の停止位置で吸着部20を停止させる(ステップS32)。
【0076】
最後に、制御部30は、ロッド10を上昇させて吸着処理(ステップS7)を終了させ、メインフローに戻る。
【0077】
他方、ワークWに接触していないと判定された場合(ステップS28でNO)、ステップS30およびステップS32をスキップし、ロッド10を上昇させて(ステップS34)吸着処理(ステップS7)を終了させる。
【0078】
ところで、ロッド10を下降させている際にロッド10に物体が接触することなく(ステップS22でNO)所定位置に至った場合、ステップS24乃至ステップS32の処理をスキップする。例えば、ロッド10がワーク容器100の底面に相当する位置まで進行した場合、制御部30は、ロッド10を後退させる(ステップS34)。
【0079】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態を説明する。第2実施形態において、第1実施形態と同様の構成および部材については同じ符号を付し、重複する説明は行わない。第2実施形態において、ピッキングユニット4は、吸着部20に吸着された状態のワークWを離脱させるセパレータ70を備える。
【0080】
図11は、第2実施形態におけるピッキングユニット4の構成の一例を示す図である。図11に示される例において、吸着部20は、第3軸J3に沿ってピッキングユニット4の前方に配置される。
【0081】
吸着部20は、前方に突出して構成され、金属製のワークWを磁気吸着可能な磁石により構成される。吸着部20の先端部は露出し、基端部はセパレータ70の内周に配置される。
【0082】
セパレータ70は、吸着部20の基端部周縁を囲んで配置される。図11に示される例において、セパレータ70は吸着部20の基端部周縁を囲む円筒状に構成され、開口する内周側に吸着部20が配置される。
【0083】
第2実施形態において、セパレータ70は、動作制御部46(図4参照)により動作を制御される。一例として、動作制御部46は、ワークWを吸着させた状態で吸着部20がコンベア200の載置部202に到達すると、セパレータ70を吸着部20の先端方向に移動させて、吸着部20の先端に吸着されているワークWを吸着部20から離脱させてもよい。
【0084】
あるいは、これとは異なり、動作制御部46は、吸着部20が載置部202に到達すると、吸着部20を第3軸J3に沿って、吸着部20の先端がセパレータ70の先端より後方になるまで後退させてもよい。
【0085】
このような構成により、吸着部20の先端に吸着されているワークWを、吸着部20から離脱させてコンベア200に載置することが可能となる。
【0086】
図12は、第2実施形態におけるピッキングユニット4の構成の一例を示す図である。図12に示される例において、吸着部20は、第3軸J3上に配置されるとともに、その先端が前方側に露出する。吸着部20は、動作制御部46によりワークWに近接するよう移動すると、先端がワークWに接触し得る。
【0087】
セパレータ70は、第3軸J3方向に先端が吸着部20の先端より後方になるよう配置され、吸着部20の基端部周縁を囲む筒状に構成される。セパレータ70の先端は、吸着部20の先端より前方に移動可能に構成されてもよい。或いは、吸着部20の先端は、セパレータ70の先端より後方になるよう移動可能に構成されてもよい。
【0088】
上述したセパレータ70や吸着部20の動作は、エアシリンダなど公知の部材により制御されてもよい。
【0089】
次に、第2実施形態におけるピッキング装置1の処理手順の一例を説明する。第2実施形態において、制御部30(図4参照)は、第1実施形態と同様の主要な処理手順を実行する。
【0090】
図13は、第2実施形態におけるピッキング装置1により実行される吸着処理(図9のステップS7)の具体的処理手順の一例を示すフローチャートである。まず、制御部30は、吸着部20をワークWに近接するよう下降させる(ステップS101)。
【0091】
次に、吸着部20への物体の接触を検知したか否かを判定し(ステップS103)、物体が接触したと判定した場合(ステップS103でYES)、制御部30は、吸着部20を停止させる(ステップS105)。
【0092】
そして、制御部30は、記憶部32に格納される領域情報50を参照し(ステップS107)、吸着部20がワークWに接触したか否かを判定する(ステップS109)。ワークWに接触したと判定されると(ステップS109でYES)、制御部30は、吸着部20を上昇させて(ステップS111)ワークWを保持する。
【0093】
なお、物体への接触を検知することなく(ステップS103でNO)ワーク容器100の底面の位置まで吸着部20が下降した場合、又は、吸着部20の先端に接触したのがワークWではないと判定された場合(ステップS109でNO)、制御部30は、吸着部20を含むピッキングユニット4を初期位置に戻す。
【0094】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態を説明する。第3実施形態において、金属製のワークWを吸着可能なロッド10を有するマニピュレータ305と、マニピュレータ305と通信可能な制御装置310とを備えるピッキングシステム300を説明する。
【0095】
図14は、第3実施形態におけるピッキングシステム300の全体構成を示す図である。マニピュレータ305は、ロッド10と、ワークWの2次元位置を検知可能なワーク識別センサ16と、ロッド10への物体の接触を検知可能な第1センサ18とを備える。なお、ワーク識別センサ16および第1センサ18は、第1実施形態にて例示したワーク識別センサ16および第1センサ18と同一の構成であってよい。
【0096】
或いは、ワーク識別センサ16は、ワークWの3次元位置を検知可能に構成されてもよい。
【0097】
制御装置310は、マニピュレータ305と通信可能に構成されるとともに、制御プログラム(図示せず)を実行することによりマニピュレータ305の動作を制御可能な制御装置310として機能するものである。制御装置310は、パーソナルコンピュータなど制御プログラムを実行可能な電子計算機で構成される。
【0098】
第3実施形態におけるピッキングシステム300を構成するマニピュレータ305および制御装置310のそれぞれの機能構成を説明する。
【0099】
(マニピュレータ305の機能構成)
図15は、第3実施形態におけるマニピュレータ305の機能構成の一例を示すブロック図である。マニピュレータ305は、第2制御部320を備える。第2制御部320は、CPUにより制御プログラム(図示せず)が実行されることによりCPUが第2制御部320として機能するものである。
【0100】
第2制御部320は、ワーク識別センサ16および第1センサ18から入力される信号を制御装置310に送信する送信部322と、制御装置310から動作コマンドを受信して各構成部材を動作させる受信部324とを備える。
【0101】
送信部322は、ワーク識別センサ16によりワークWを検知した信号を受け取ったとき、或いは、第1センサ18によりロッドの先端に物体の接触を検知した信号を受け取ったときに、制御装置310にこれらの信号を送信する。
【0102】
受信部324は、制御装置310より受信する動作コマンドを実行する処理部である。受信部324は、制御装置310より受信する動作コマンドに応じてベース2、アーム3およびピッキングユニット4を動作させる。
【0103】
(制御装置310の機能構成)
図16は、第3実施形態における制御装置310の機能構成の一例を示すブロック図である。制御装置310は、制御プログラムを実行することにより、CPUを第3制御部330として機能させる。
【0104】
第3制御部330は、マニピュレータ305のロッド10にワークWが接触したか否かを判定する判定部340と、マニピュレータ305の動作を制御するコマンドを生成する動作制御部342とを備える。
【0105】
第3実施形態において、判定部340は、第1センサ18によりロッド10への物体の接触が検知されると、予め取得されるワークWが載置される領域に関する領域情報50に基づいて、ワークWによる接触か否かを判定する処理部である。
【0106】
マニピュレータ305からロッド10への物体の接触が検知されたことを示す信号を受信すると、判定部340は、領域情報50を参照して、ロッド10の現在位置と領域情報50に基づき、ロッド10にワークWが接触したのか否かを判定する。
【0107】
一例として、ロッド10の先端の位置が配置領域R内である場合、判定部340は、ロッド10の先端にワークWが接触したと判定する。これに対して、ロッド10の先端の位置が配置領域R内ではない場合、判定部340は、ロッド10の先端にワークWが接触していないと判定する。
【0108】
動作制御部342は、マニピュレータ305における各可動部の動作を制御する制御コマンドを生成する処理部である。動作制御部342は、マニピュレータ305からワークWが検出されたことを示す信号を受信すると、ワークWが検出された位置に応じてマニピュレータ305を動作させる動作コマンドを生成する。
【0109】
生成された動作コマンドは、通信インタフェース336からマニピュレータ305に送信され、マニピュレータ305により実行される。
【0110】
判定部340によりワークWがロッド10に接触したと判定された場合、動作制御部342は、ロッド10にワークWを磁気吸着させる動作コマンドを生成する。生成された動作コマンドは、通信インタフェース336からマニピュレータ305に送信され、マニピュレータ305により実行される。
【0111】
ロッド10によるワークWの磁気吸着の態様は、第1実施形態および第2実施形態においてそれぞれ説明した態様にて吸着されてもよい。
【0112】
判定部340によりワークWがロッド10に接触していないと判定された場合、動作制御部342は、ロッド10を初期位置に戻す動作コマンドを生成する。生成された動作コマンドは、通信インタフェース336からマニピュレータ305に送信され、マニピュレータ305により実行される。
【0113】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態を説明する。第4実施形態において、ピッキング装置1は、ワーク容器100における配置領域Rをさらに複数の区分領域R2に分割して認識する。第4実施形態において、区分領域R2とは、配置領域R内の一部又は全部を分割して構成される領域をいう。
【0114】
(区分領域R2の構成例)
図17は、第4実施形態におけるワーク容器100の構成の一例を示す図である。ピッキング装置1は、予め領域情報50を備え、ワークWが配置される配置領域Rを識別可能である。
【0115】
領域情報50は、配置領域R内をさらに分割した複数の区分領域R2に関する情報を含む。区分領域R2は、図17に例示されるように、例えば配置領域Rを等分に分割して構成される領域である。
【0116】
第4実施形態において、動作制御部46は、所定の区分領域R2に向けてピッキングユニット4を移動させる。動作制御部46は、所定の区分領域R2の上方にピッキングユニット4が至るとアーム3を停止させ、ワーク識別センサ16は、所定の区分領域R2内におけるワークWの2次元位置を検知する。
【0117】
ワーク識別センサ16がワークWの2次元位置を検知すると、動作制御部46はロッド10を下降させる。接触検知部42がロッド10への接触を検知すると、動作制御部46はロッド10を停止させる。
【0118】
ロッド10が停止すると、判定部44は、領域情報50を参照して、区分領域R2内における接触か否かにより、ワークWに接触したか否かを判定する。
【0119】
区分領域R2内における接触である場合、判定部44は、ワークWに接触したと判定する。他方、区分領域R2外における接触である場合、判定部44は、ワークWに接触したものではないと判定する。
【0120】
或いは、これとは異なり、判定部44は、領域情報50を参照して、配置領域R内における接触か否かにより、ワークWに接触したか否かを判定してもよい。
【0121】
すなわち、配置領域R内における接触である場合、判定部44は、ワークWに接触したと判定してもよい。他方、配置領域R外における接触である場合、判定部44は、ワークWに接触したものでは無いと判定してもよい。
【0122】
図18は、第4実施形態におけるピッキングユニット4の移動経路の一例を示す図である。動作制御部46は、所定の区分領域R2内においてワークWが検知されない場合、予め設定される進行方向F1に基づき、次の区分領域R2の上方にピッキングユニット4を移動させる。
【0123】
ピッキングユニット4が目的の区分領域R2の上方に至ると、動作制御部46はアーム3を停止させ、上述した処理を実行する。上述した処理が終了すると、進行方向F1に基づき、さらに次の区分領域R2の上方にピッキングユニット4を移動させ、上述した処理を繰り返し実行する。
【0124】
このような構成により、ワーク容器100内に収容されるワークWを確実に吸着して運搬可能であり、作業の効率性を向上できる。
【0125】
進行方向F1は、複数の区分領域R2の全てをピッキングユニット4が通過するよう設定される。一の区分領域R2内での処理が終了すると、隣接し合う複数の区分領域R2のうち、中心点同士の距離が最小である区分領域R2に移動させる移動態様であってもよい。
【0126】
(ピッキングユニット4の構成例)
第4実施形態において、ピッキングユニット4は、吸着部20へのワークWの吸着を検知可能な第3センサ19をさらに備える。第3センサ19は、吸着部20にワークWが吸着されている状態を検知可能なセンサである。
【0127】
図19に例示されるように、第3センサ19は、ロッド10の先端部分に配置されてもよい。第3センサ19は、吸着部20によりワークWが吸着されたことを検知可能であるとともに、吸着部20からワークWが脱落したことを検知可能である。
【0128】
第3センサ19は、ロッド10が静止中、昇降中、或いは移動中において、ロッド10の先端にワークWが吸着されていることを検知可能な位置に配置されてよい。
【0129】
第3センサ19によりワークWの脱落が検知されると、動作制御部46は、ロッド10の上昇を停止させ、再びロッド10を下降させてワークWにロッド10を近接させる動作を実行させる。
【0130】
このような構成により、ワークWの吸着部20からの脱落を早期に検知でき、作業の効率性を高めることが可能となる。
【0131】
(ピッキング装置1における処理手順)
次に、第4実施形態におけるピッキング装置1にて実行される処理手順の一例を示す。図20は、ピッキング装置1において実行される主要な処理手順の一例を示すフローチャートである。
【0132】
まず、ピッキング装置1は、ロッド10の移動を開始させ(ステップS120)、ロッド10が所定の区分領域R2の鉛直方向における上方に至ると、ロッド10を停止させる(ステップS122)。
【0133】
そして、ワーク識別センサ16により、区分領域R2内にワークWを検知したか否かを判定する(ステップS124)。ワークWを検知した場合(ステップS124でYES)、ピッキング装置1は、ワークWを吸着させる吸着処理(ステップS126)を実行する。吸着処理(ステップS126)の具体的な処理手順は、本発明の第1実施形態において説明した吸着処理(図10参照)と同様の処理を実行する。
【0134】
次に、ワークWを吸着中であるか否かを判定し(ステップS128)、ワークWを吸着中であると判定された場合(ステップS128でYES)、ピッキング装置1は、解放位置へロッド10を移動させて(ステップS130)からワークWを解放する(ステップS132)。
【0135】
他方、ステップS124において、区分領域R2内にワークWが検知されないと判断された場合(ステップS124でNO)、ステップS126乃至ステップS132の処理をスキップする。
【0136】
また、吸着処理(ステップS126)を実行後に、ワークを吸着中でないと判定された場合(ステップS128でNO)、ステップS130およびステップS132の処理をスキップする。
【0137】
最後に、ピッキング装置1は、ロッド10を次の区分領域R2に移動させ(ステップS134)、ステップS122に戻って以下の処理手順を繰り返し実行する。
【0138】
(変形例)
以上、本発明に関する一実施形態について説明したが、本発明は、上記各実施形態において説明した内容のものに限られるものではなく、種々の変形例が適用可能である。
【0139】
ピッキングユニット4は、ワークWを磁気吸着可能なツールである場合を例示したが、これに限られず、負圧によりワークWを吸引可能であってもよいし、挟持可能に構成されてもよい。
【0140】
或いは、ピッキングユニット4は、ワークWを粘着物質により吸着可能に構成されてもよい。
【符号の説明】
【0141】
1 ピッキング装置(マニピュレータ)
10 ロッド
16 ワーク識別センサ
18 第1センサ(センサ)
19 第3センサ
20 吸着部
40 ワーク検出部
42 接触検知部(検知手段)
44 判定部(判定手段)
46 動作制御部(動作制御手段)
50 領域情報
60 第2センサ
70 セパレータ
100 ワーク容器(容器)
300 ピッキングシステム
305 マニピュレータ
310 制御装置(電子計算機)
340 判定部(判定手段)
342 動作制御部(動作制御手段)
R 配置領域
W ワーク

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20