(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179859
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20241219BHJP
B65D 1/42 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D1/02 221
B65D1/42
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099113
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石井 玲太
(72)【発明者】
【氏名】根本 宜典
(72)【発明者】
【氏名】近藤 裕幸
【テーマコード(参考)】
3E033
【Fターム(参考)】
3E033AA01
3E033BA15
3E033BA16
3E033BA18
3E033BA23
3E033BA26
3E033BA30
3E033BB01
3E033CA05
3E033DA03
3E033DA08
3E033DB01
3E033DD03
3E033EA04
3E033EA07
3E033FA03
3E033GA02
(57)【要約】
【課題】外観上好ましくない容器形状の変形を抑制する。
【解決手段】角筒状に形成された胴部4に、横断面形状が直線状の中央平面部401と横断面形状が円弧状のコーナー面部402とを含むパネル面部40であって、周方向に沿って延在する横溝部41によって仕切られた第一パネル面部40a、第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cが少なくとも設けられており、第一パネル面部40aにおける中央平面部401aの両端の離間距離w
0が、第一パネル面部40aと上下に隣り合う第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cにおける中央平面部401b,401cの両端の離間距離w
1,w
2に対して狭められている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
角筒状に形成された胴部を備え、
前記胴部には、横断面形状が直線状の中央平面部と横断面形状が円弧状のコーナー面部とを含むパネル面部であって、周方向に沿って延在する横溝部によって仕切られた第一パネル面部、第二パネル面部及び第三パネル面部が少なくとも設けられており、
前記第一パネル面部における前記中央平面部の両端の離間距離が、前記第一パネル面部と上下に隣り合う前記第二パネル面部及び前記第三パネル面部における前記中央平面部の両端の離間距離に対して狭められていることを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記第一パネル面部における前記コーナー面部の曲率半径は、前記第二パネル面部及び前記第三パネル面部における前記コーナー面部の曲率半径より大きい請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記第一パネル面部と前記第二パネル面部とを仕切る前記横溝部は、第一パネル面部側下向斜面と第二パネル面部側上向斜面とを含み、
前記第一パネル面部と前記第三パネル面部とを仕切る前記横溝部は、第一パネル面部側上向斜面と第三パネル面部側下向斜面とを含み、
前記コーナー面部において、
前記第二パネル面部側上向斜面及び前記第三パネル面部側下向斜面のそれぞれの傾斜角度が、前記コーナー面部のコーナー中心で最小となるように周方向に沿って変化する請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記第一パネル面部と前記第二パネル面部とを仕切る前記横溝部と、前記第一パネル面部と前記第三パネル面部とを仕切る前記横溝部との少なくとも一方において、前記横溝部の溝底最深部における横断面形状が、前記第一パネル面部の横断面形状と相似する請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項5】
前記胴部は、ラベルの厚みに応じて横幅が狭められたラベル装着部を有し、前記ラベル装着部の下側に、前記第二パネル面部、前記第一パネル面部及び前記第三パネル面部が高さ方向に順に隣り合って並んで設けられている請求項1~4のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて、射出成形や圧縮成形などによって有底筒状のプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形によってボトル状に成形してなる合成樹脂製容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広い分野で利用されている。
【0003】
この種の合成樹脂製容器にあっては、従前より、その軽量化や、使用樹脂量の削減による低コスト化のために、可能な限り容器を薄肉に成形する試みがなされている(例えば、特許文献1参照)。近年にあっては、このような薄肉化の要求が益々厳しくなってきており、薄肉化が進むほど容器の剛性が低下するが、その一方で、外観不良を招いてしまうような容器形状の変形を抑制することが求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者らは、上記背景技術に鑑みて、外観上好ましくない容器形状の変形を抑制するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る合成樹脂製容器は、角筒状に形成された胴部を備え、前記胴部には、横断面形状が直線状の中央平面部と横断面形状が円弧状のコーナー面部とを含むパネル面部であって、周方向に沿って延在する横溝部によって仕切られた第一パネル面部、第二パネル面部及び第三パネル面部が少なくとも設けられており、前記第一パネル面部における前記中央平面部の両端の離間距離が、前記第一パネル面部と上下に隣り合う前記第二パネル面部及び前記第三パネル面部における前記中央平面部の両端の離間距離に対して狭められている構成としてある。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、外観上好ましくない容器形状の変形を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す平面図である。
【
図6】
図2のA-A線端面図と
図2のB-B線端面図とを重ねて示す説明図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の変形例の概略を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0010】
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図であり、
図2は、同正面図、
図3は、同平面図である。
また、
図4は、
図2のA-A線端面図、
図5は、
図2のB-B線端面図であり、これらの端面図を
図6に重ねて示す。
図7は、
図3のC-C線要部端面図、
図8は、
図3のD-D線要部端面図である。これらの端面図にあっては、端面にあらわれる肉厚を適宜省略している。
【0011】
これらの図に一例として示す容器1は、口部2、肩部3、胴部4、及び底部5を備えており、特に、容器1は、角筒状に形成された胴部4を備えている。このような容器1は、熱可塑性樹脂を使用して、射出成形や圧縮成形などにより有底筒状に成形されたプリフォームを作製し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造することができる。
【0012】
使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステルが使用でき、特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが好適に使用できる。これらの樹脂は二種以上混合してもよく、他の樹脂をブレンドしてもよい。ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用できる。
また、プリフォームは、単層に成形するに限らず、容器1に求められる特性に応じて、ガスバリヤー層などを含む多層に成形することもできる。
【0013】
口部2は、内容液の注入出口となる円筒状の部位である。口部2の開口端側の側面には、内容液が充填された容器1を密封する際に、図示しない蓋体を取り付けるためのネジ山2aが設けられている。
また、口部2には、周方向に沿って外方に突出する環状のネックリング2bが設けられている。ネックリング2bの直下から、概ね同一径で円筒状に垂下する首下部2cを含めて口部2というものとする。このような口部2の下端が、口部2と胴部4との間をつなぐ肩部3に連接している。
【0014】
胴部4は、容器1の高さ方向の大半を占める部位であり、上端が肩部3に連接し、下端が底部5に連接している。
なお、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向をいうものとし、この状態(
図2に示す状態)で容器1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。図示する例において、容器1の高さHは約207mm、最大横幅Wは約60mm、容量は約550mLである。
【0015】
胴部4を角筒状に形成するにあたり、胴部4の横断面形状(中心軸Cに直交する面で切断した断面の形状)は、角部が丸められた正方形状、又は角部が丸められた長方形状とすることができる。胴部4には、容器内方に陥入するようにして、周方向に沿って延在する複数の横溝部41が設けられている。図示する例において、胴部4の横断面形状は、角部が丸められた正方形状とされており、各横溝部41は、胴部4の周方向の全周にわたって環状に延在している。
【0016】
胴部4には、横溝部41によって仕切られた複数のパネル面部40が設けられている。パネル面部40は、横断面形状が直線状の中央平面部401と、横断面形状が円弧状のコーナー面部402とを含み、中央平面部401の周方向の両端にコーナー面部402が連接される。中央平面部401は、好ましくは、中心軸Cを含み、かつ、中央平面部401に直交する面について面対称に設けられる。
【0017】
図示する例では、中央平面部401とコーナー面部402との境界を、符号403を付した縦線で示しているが、当該境界に明瞭な稜線はあらわれない。コーナー面部402は、中央平面部401に滑らかに連接される。コーナー面部402は、中央平面部401との境界を起点として、中央平面部401を含む仮想平面から徐々に離れていくように、所定の曲率半径を以て周方向に沿って湾曲する。
【0018】
本実施形態にあっては、少なくとも一つのパネル面部(以下、「第一パネル面部」と称する)40aが、高さ方向に隣り合わせに並ぶ横溝部41の間に、これらの横溝部41によって帯状に仕切られるように設けられている。第一パネル面部40aの上側には第二パネル面部40bが、第一パネル面部40aの下側には第三パネル面部40cが、それぞれ第一パネル面部40aと高さ方向に隣り合うように設けられている。
【0019】
このようにして、胴部4には、周方向に沿って延在する横溝部41によって仕切られた第一、第二及び第三パネル面部40a,40b,40cが少なくとも設けられている。これらのパネル面部40a,40b,40cにあっては、第一パネル面部40aにおける中央平面部401aの両端の離間距離(すなわち、中央平面部401aの横幅)w0が、第一パネル面部40aと上下に隣り合う第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cにおける中央平面部401b,401cの両端の離間距離(すなわち、中央平面部401b,401cの横幅)w1,w2に対して狭められている。
【0020】
第一、第二及び第三パネル面部40a,40b,40cにおける中央平面部401a,401b,401cの両端の離間距離w0,w1,w2をこのように設定するにあたり、第二パネル面部40bにおける中央平面部401bの両端の離間距離w1と、第三パネル面部40cにおける中央平面部401cの両端の離間距離w2とを等しくするのが好ましい。第二及び第三パネル面部40b,40cにおける中央平面部401b,401cの両端の離間距離w1,w2に対して、これらに挟まれた第一パネル面部40aにおける中央平面部401aの両端の離間距離w0が50~85%となるように、当該離間距離w0を狭めるのが好ましい。
【0021】
このようにすることで、高さ方向に順に隣り合って並ぶ第二、第一及び第三パネル面部40b,40a,40cにおいて、上下に位置する第二及び第三パネル面部40b,40cにおける中央平面部401b,401cとコーナー面部402b,402cとの境界よりも、これらに挟まれた第一パネル面部40aにおける中央平面部401aとコーナー面部402aとの境界が、第一パネル面部40aの周方向に沿った内側に位置することになる。
【0022】
容器1は、例えば、密封された内容液の水分が徐々に容器1を透過して漏出したり、ヘッドスペース内の酸素が内容液に溶け込んだりして、経時的に内圧が減少していくにつれて、角筒状の胴部4の各面が容器内方に撓むように変形する。これによって、容積を減じて内圧の減少分を吸収できるようにしているが、その際に、正方形状(又は長方形状)の横断面形状が維持されずに、対角方向の一方に偏ってひし形状の横断面形状を呈するように胴部4が変形してしまうと、胴部4の変形が目立ち易く外観上好ましくない。
【0023】
本実施形態によれば、上述の如く、上下に位置する第二及び第三パネル面部40b,40cにおける中央平面部401b,401cとコーナー面部402b,402cとの境界よりも、これらに挟まれた第一パネル面部40aにおける中央平面部401aとコーナー面部402aとの境界が、第一パネル面部40aの周方向に沿った内側に位置するようにすることで、このような外観上の不具合を有効に回避することができる。
【0024】
これについて説明するに、胴部4の各面が容器内方に変形する際の挙動に着目すると、パネル面部40の中央平面部401とコーナー面部402との境界(又は境界付近)を変形開始位置として、中央平面部401が容器内方に徐々に撓んでいくように、胴部4の各面が変形しはじめる。このとき、変形開始位置となる当該境界が相対的に周方向に沿った内側にある第一パネル面部40aの中央平面部401aが変形しようとしても、その上下に位置する第二及び第三パネル面部40b,40cの中央平面部401b,401cの変形開始位置となる当該境界が、第一パネル面部40aの中央平面部401aの変形に追随し難い周方向に沿った相対的に外側の位置にあるため、第一パネル面部40aの中央平面部401aの変形が抑制される。さらに、第一パネル面部40aの中央平面部401aの両端の離間距離w0を狭めることで、コーナー面部402aが占める割合が増え、第一パネル面部40aの横断面形状が円形状に近似するようになることによっても、第一パネル面部40aにおける変形が抑制される。
【0025】
その結果、変形が抑制された第一パネル面部40aによって胴部4の正方形状(又は長方形状)の横断面形状を維持しつつ、胴部4の各面が対角方向の一方に偏らずに容器内方に変形して、減圧吸収性能を良好に発揮するようになり、胴部4が、ひし形状の横断面形状を呈するように変形するのを有効に回避することができる。
【0026】
ここで、図示する例において、第一、第二及び第三パネル面部40a,40b,40cは、それぞれの中央平面部401a,401b,401cが面一となるように形成されている。これに代えて、例えば、第一パネル面部40aの対向する中央平面部401aどうしの離間距離を、第二及び第三パネル面部40b,40cの対向する中央平面部401b,401cどうしの離間距離よりも長く又は短くして、第二及び第三パネル面部40b,40cに対して、第一パネル面部40aが全体的に容器外方に出っ張るように又は容器内方に引っ込むように形成されていてもよい。
【0027】
このようにして外観上好ましくない胴部4の変形を抑制する上で、第一パネル面部40aにおけるコーナー面部402aの曲率半径を、第二及び第三パネル面部40b,40cにおけるコーナー面部402b,402cの曲率半径よりも大きくし、第一パネル面部40aの横断面形状をより円形状に近似させるのが好ましい(
図6参照)。
【0028】
ここで、図示する例において、第二パネル面部40bの断面形状と第三パネル面部40cの断面形状とは同一形状である。第一パネル面部40aにおけるコーナー面部402aの曲率半径を大きくした結果、第一パネル面部40aの対角線の長さは、第二及び第三パネル面部40b,40cの対角線の長さよりも短くなっている。このような態様とする場合、前述したような作用が発揮できれば、容量確保の観点から、第一パネル面部40aの高さ方向に沿った縦幅は、第二及び第三パネル面部40b,40cの高さ方向に沿った縦幅よりも短くするのが好ましい。
【0029】
また、胴部4が対角方向の一方に偏ってひし形状の横断面形状を呈するように変形するのを抑制するには、コーナー面部402aがより変形し難い形状とするのも有効である。そのためには、第一パネル面部40aと第二パネル面部40bとを仕切る横溝部41と、第一パネル面部40aと第三パネル面部40cとを仕切る横溝部41とを、次のように形成するのが好ましい。
【0030】
すなわち、第一パネル面部40aと第二パネル面部40bとを仕切る横溝部41は、第一パネル面部40a側に位置する第一パネル面部側下向斜面41aと第二パネル面部40b側に位置する第二パネル面部側上向斜面41bとを含むように縦断面V字状に形成する。第一パネル面部40aと第三パネル面部40cとを仕切る横溝部41は、第一パネル面部40a側に位置する第一パネル面部側上向斜面41cと第三パネル面部40c側に位置する第三パネル面部側下向斜面41dとを含むように縦断面V字状に形成する。そして、第二パネル面部側上向斜面41b及び第三パネル面部側下向斜面41dのそれぞれの傾斜角度θ2,θ4が、コーナー面部402b,402cにおいて、第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cのそれぞれの対角線上に位置するコーナー面部402b,402cのコーナー中心で最小となるように周方向に沿って変化するように、それぞれの横溝部41を形成する。
【0031】
その際、第一パネル面部40aと第二パネル面部40bとを仕切る横溝部41と、第一パネル面部40aと第三パネル面部40cとを仕切る横溝部41との少なくとも一方において、その溝底最深部における横断面形状が、第一パネル面部40aの横断面形状と相似するようにして、第一パネル面部40aに対する溝深さ、すなわち、第一パネル面部40aと横溝部41の溝底部との高低差が周方向に沿って一定となるように、これらの横溝部41を形成するのが好ましい。
【0032】
なお、図示する例において、第二パネル面部側上向斜面41b及び第三パネル面部側下向斜面41dのそれぞれの傾斜角度θ2,θ4は、第二及び第三パネル面部40b,40cのそれぞれの中央平面部401b,401cでは、周方向に沿って一定である。第一パネル面部側下向斜面41a及び第一パネル面部側上向斜面41cのそれぞれの傾斜角度θ1,θ3は、周方向に沿って一定であり、第一パネル面部40aの中央平面部401aでは、第二パネル面部側上向斜面41b及び第三パネル面部側下向斜面41dのそれぞれの傾斜角度θ2,θ4と等しい。
【0033】
また、容器1にあっては、内容液が密封された容器1に縦荷重が加わった際に、容器内面が内容液に圧迫されて横溝部41が反転するなどの不具合が懸念される。第一パネル面部40aと第二パネル面部40bとを仕切る横溝部41と、第一パネル面部40aと第三パネル面部40cとを仕切る横溝部41とを上記のように形成することで、そのような不具合の発生を抑制することもできる。
【0034】
第一、第二及び第三パネル面部40a,40b,40cを胴部4に設けるにあたり、これらは、容器1の高さ方向の中央寄りの減圧吸収に際して変形し易い位置に設けるのが好ましいが、これに限定されない。図示する例において、容器1は、密封された内容液に関する表示が印刷されたラベルが装着されて出荷されることから、ラベルの厚みに応じて胴部4の横幅が、例えば、容器1の最大横幅Wに対して99.0~99.5%となるように、横幅調整部42a,42bを介して僅かに狭められたラベル装着部42を有している。このようなラベル装着部42は、アイキャッチ性から多くの場合に胴部4の上側に設けられるが、このラベル装着部42の下側に、第二パネル面部40b、第一パネル面部40a、第三パネル面部40cの順に、これらが高さ方向に順に隣り合って並んで設けられている。
なお、図示する例において、横幅が狭められたラベル装着部42に設けられたパネル面部40の横断面形状は、第二及び第三パネル面部40b,40cの横断面形状と概ね相似する。
【実施例0035】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0036】
[実施例1]
ポリエチレンテレフタレート系樹脂を用い、重量約18gのプリフォームを射出成形により作製した。作製したプリフォームを加熱して軟化させた後、ブロー成形型にセットして、二軸延伸ブロー成形により、
図1~
図8に示す容器形状となるように、容器1を成形した。
次いで、常温下で約550mLの水を内容液として充填し、口部2に蓋体を取り付けて容器内を密封した。蓋体の天板には、容器内の密封性を維持したまま注射針を穿刺可能なゴム栓を設けておいた。
【0037】
蓋体に設けたゴム栓に注射針を穿刺して、シリンジを用いて容器内から水を抜き取って、容器内の圧力を徐々に減じていったところ、胴部4に目立った変形が認められないまま約20mLの水を抜き取ることができた。
【0038】
また、内容液が密封された容器1に対して、上方から軸方向下方に向けて押圧子を押しつけて、圧縮速度50mm/minで圧縮したところ、圧縮荷重が約300Nになるまで座屈変形は認められなかった。
【0039】
[比較例1]
第一、第二及び第三パネル面部40a,40b,40cに相当するパネル面部における中央平面部の両端の離間距離を同一とし、コーナー面部402a,402b,402cに相当する部位の曲率半径を同一とした以外は、実施例1と同様にして容器を成形し、内容液を密封した。
【0040】
蓋体に設けたゴム栓に注射針を穿刺して、シリンジを用いて容器内から水を抜き取って、容器内の圧力を徐々に減じていったところ、約14mLの水を抜き取ったところで、胴部4がひし形状の横断面形状を呈するように変形した。
【0041】
また、内容液が密封された容器に対して、上方から軸方向下方に向けて押圧子を押しつけて、圧縮速度50mm/minで圧縮したところ、圧縮荷重が約220Nになったところで、第一パネル面部40aと第二パネル面部40bとを仕切る横溝部41と、第一パネル面部40aと第三パネル面部40cとを仕切る横溝部41とに、それぞれ相当する横溝部で座屈変形が生じた。
【0042】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0043】
例えば、前述した実施形態では、胴部4の横断面形状を角部が丸められた正方形状として、容量が約550mLとなるように成形された容器1を一例として示したが、これに限定されない。胴部4の横断面形状を角部が丸められた正方形状とした場合、限定されないが、特に好適な容量は260mL~1L程度である。胴部4の横断面形状を角部が丸められた長方形状とした場合、限定されないが、特に好適な容量は1L~2L程度である。容器1の高さH、最大横幅Wは、容量や胴部4の横断面形状に応じて適宜設計し得るが、例えば、胴部4の横断面形状を角部が丸められた正方形状とした場合、限定されないが、高さHは150~305mm程度、最大横幅Wは53~96mm程度とすることができる。
【0044】
また、
図9に示すような形態に成形された容器1にも本発明を適用できる。
図9に示す変形例において、容器1の高さHは約306mm、最大横幅Wは約100mm、容量は約2000mLである。角筒状に形成された胴部4の横断面形状は、角部が丸められた長方形状とされている。胴部4は、上胴部4aと、下胴部4bと、これらの間に設けられた縮胴部4cとを有している。縮胴部4cは、上胴部4aと下胴部4bに対して周方向に沿った長さが縮められており、胴部4の高さ方向中央部付近に設けられている。縮胴部4cには、周方向に沿って延在する横溝部41によって仕切られた第一パネル面部40a、第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cが設けられている。そして、第一パネル面部40aにおける中央平面部401aの横幅が、第一パネル面部40aと上下に隣り合う第二及び第三パネル面部40b,40cにおける中央平面部401b,401cの横幅に対して狭められている。
図9に示す容器1を持ち上げたりするときには、多くの場合、縮胴部4cを把持して持ち上げることになる。その際に、ひし形状の横断面形状を呈するように縮胴部4cが変形してしまうと把持し難くなってしまうが、
図9に示す容器1にあっては、このような不具合も有効に回避することができる。
【0045】
特に図示しないが、外観上好ましくない容器形状の変形をより有効に抑制するために、第一パネル面部40a、第二パネル面部40b及び第三パネル面部40cの組を複数組設けるようにしてもよく、高さ方向に沿って上から、第二パネル面部40b、第一パネル面部40a、第二パネル面部40b、第一パネル面部40a、第三パネル面部40cの順に、又は第三パネル面部40c、第一パネル面部40a、第二パネル面部40b、第一パネル面部40a、第三パネル面部40cの順に設けるなどしてもよい。