(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017986
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】吐出具及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240201BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B65D47/34 BRH
B65D47/34 BSF
B05B11/00 101A
B05B11/00 101M
B05B11/00 101E
B05B11/00 101B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121001
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】小賀坂 優太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA04
3E084AA12
3E084AA24
3E084AB01
3E084BA03
3E084CA01
3E084CC04
3E084CC05
3E084DA01
3E084DB12
3E084DC04
3E084DC05
3E084EA04
3E084EC04
3E084EC05
3E084FB01
3E084GA04
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB07
3E084LC01
3E084LD24
3E084LD25
(57)【要約】
【課題】リサイクル性を高めつつ固形物を含む内容物を吐出する用途に用いることが可能な吐出具及びこれを用いた吐出容器を提供することである。
【解決手段】装着キャップ10と、ヘッド部30と、ヘッド部30に設けられた流出口37に連通するノズル40と、流出口37に配置された第1逆止弁50と、装着キャップ10に設けられた流入口11dに配置された第2逆止弁60と、ヘッド部30のノズル40とは反対側を向く背面側から両側面側に向けて延びる領域に設けられ、周壁32の他の領域よりも薄肉に形成されることで又は軟質材料のインサート成形によって周壁32の他の領域よりも軟質に形成されることで、周壁32の他の領域よりも容易に弾性変形が可能な弾性変形部70と、を有し、弾性変形部70が周壁32の内方に向けて弾性変形してヘッド部30がポンプとして機能するように構成されている吐出具1及び吐出容器2。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着される装着キャップと、
頂壁部と筒状の周壁とを備え、前記装着キャップに支持されたヘッド部と、
前記ヘッド部に設けられた流出口に連通する吐出孔を備えたノズルと、
前記流出口に配置され、前記吐出孔から前記ヘッド部の内部に向けた内容物の流れを阻止し、前記ヘッド部の内部から前記吐出孔に向けた内容物の流れを許容する第1逆止弁と、
前記装着キャップに設けられた流入口に配置され、前記ヘッド部の内部から前記容器本体の内部に向けた内容物の流れを阻止し、前記容器本体の内部から前記ヘッド部の内部に向けた内容物の流れを許容する第2逆止弁と、
前記ヘッド部の軸線を挟んで前記ノズルとは反対側を向く背面側から両側面側に向けて延びる領域に設けられ、前記周壁の他の領域よりも薄肉に形成されることで又は軟質材料のインサート成形によって前記周壁の他の領域よりも軟質に形成されることで、前記周壁の他の領域よりも容易に弾性変形が可能な弾性変形部と、を有し、
前記頂壁部が押し下げられると、前記弾性変形部が前記周壁の内方に向けて弾性変形して前記ヘッド部がポンプとして機能するように構成されていることを特徴とする、吐出具。
【請求項2】
前記頂壁部が、前記ノズルから前記背面に向けた径方向に垂直な断面において上方に向けて凸となる湾曲形状である、請求項1に記載の吐出具。
【請求項3】
前記装着キャップが、
周壁部分と通気孔が設けられた天壁部分とを有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、
前記キャップ本体に連ねて設けられ、上下方向に弾性変形自在の皿状部と、
前記皿状部に連ねて設けられ、前記ヘッド部を支持するとともに前記皿状部の弾性変形によって前記キャップ本体に接近、離反する方向に移動自在の支持体部と、を有し、
前記ヘッド部が、
前記周壁に一体に連ねて設けられ、前記キャップ本体の外周突起に全周に亘って当接して前記キャップ本体と前記皿状部との間に前記通気孔に連通する通気空間を区画形成する筒状部と、
前記筒状部の内周面に設けられ、前記頂壁部が押し下げられて前記支持体部が前記キャップ本体に接近する方向に移動したときに前記外周突起に対向して前記通気空間を前記筒状部の外部に連通させる連通溝と、を有する、請求項1または2に記載の吐出具。
【請求項4】
前記容器本体と、請求項1に記載の前記吐出具と、を備えていることを特徴とする、吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の口部に取り付けられて容器本体に収納されている内容物を吐出する吐出具及び吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
容器本体の口部に取り付けられて容器本体に収納されている内容物を吐出する吐出具として、容器本体の口部に装着される装着キャップと、ノズルを備えたヘッド部と、装着キャップに保持されたシリンダとシリンダの内部に配置されたピストンとを備えたポンプとを有し、ヘッド部が押し下げ操作されるとポンプが作動して容器本体に収納されている内容物がノズルから吐出されるように構成されたポンプ式のものが知られている。
【0003】
一方、ポンプ式の吐出具では、押下げ操作されたヘッド部を元の位置に戻すための弾性部材として、剛性の高い金属製のものを用いるのが一般的である。しかし、弾性部材として金属製のものを用いると、使用後のリサイクル性が低下するので、環境対応の面で改善の余地がある。
【0004】
そこで、押下げ操作されたヘッド部を元の位置に戻すための弾性部材として、金属製のものに替えてポリアセタール樹脂(POM)等の合成樹脂製のものを用いることで、リサイクル性を高めたものが開発されている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、従来のポンプ式の吐出具は、合成樹脂製の弾性部材を用いることでリサイクル性を高めることができるが、シリンダ内をピストンが摺動する構成であるので、例えば研磨剤などの固形物を含む内容物を吐出する用途に用いることができないという問題点があった。
【0007】
また、ポリアセタール樹脂を使用すると、ホルムアルデヒドが溶出する虞があるという問題も生じることになる。
【0008】
本発明は、このような問題を解決するために開発されたものであり、その目的は、リサイクル性を高めつつ固形物を含む内容物を吐出する用途に用いることが可能な吐出具及びこれを用いた吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の吐出具は、容器本体の口部に装着される装着キャップと、頂壁部と筒状の周壁とを備え、前記装着キャップに支持されたヘッド部と、前記ヘッド部に設けられた流出口に連通する吐出孔を備えたノズルと、前記流出口に配置され、前記吐出孔から前記ヘッド部の内部に向けた内容物の流れを阻止し、前記ヘッド部の内部から前記吐出孔に向けた内容物の流れを許容する第1逆止弁と、前記装着キャップに設けられた流入口に配置され、前記ヘッド部の内部から前記容器本体の内部に向けた内容物の流れを阻止し、前記容器本体の内部から前記ヘッド部の内部に向けた内容物の流れを許容する第2逆止弁と、前記ヘッド部の軸線を挟んで前記ノズルとは反対側を向く背面側から両側面側に向けて延びる領域に設けられ、前記周壁の他の領域よりも薄肉に形成され又は軟質材料のインサート成形によって前記周壁の他の領域よりも軟質に形成されることで、前記周壁の他の領域よりも容易に弾性変形が可能な弾性変形部と、を有し、前記頂壁部が押し下げられると、前記弾性変形部が前記周壁の内方に向けて弾性変形して前記ヘッド部がポンプとして機能するように構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の吐出具は、上記構成において、前記頂壁部が、前記ノズルから前記背面に向けた径方向に垂直な断面において上方に向けて凸となる湾曲形状であるのが好ましい。
【0011】
本発明の吐出具は、上記構成において、前記装着キャップが、周壁部分と通気孔が設けられた天壁部分とを有し、前記口部に装着されるキャップ本体と、前記キャップ本体に連ねて設けられ、上下方向に弾性変形自在の皿状部と、前記皿状部に連ねて設けられ、前記ヘッド部を支持するとともに前記皿状部の弾性変形によって前記キャップ本体に接近、離反する方向に移動自在の支持体部と、を有し、前記ヘッド部が、前記周壁に一体に連ねて設けられ、前記キャップ本体の外周突起に全周に亘って当接して前記キャップ本体と前記皿状部との間に前記通気孔に連通する通気空間を区画形成する筒状部と、前記筒状部の内周面に設けられ、前記頂壁部が押し下げられて前記支持体部が前記キャップ本体に接近する方向に移動したときに前記外周突起に対向して前記通気空間を前記筒状部の外部に連通させる連通溝と、を有するのが好ましい。
【0012】
本発明の吐出容器は、前記容器本体と、上記何れかの前記吐出具と、を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、リサイクル性を高めつつ固形物を含む内容物を吐出する用途に用いることが可能な吐出具及びこれを用いた吐出容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本発明の一実施の形態に係る吐出具を備えた吐出容器の斜視図である。
【
図2】
図1に示す吐出容器の、吐出具の部分の断面図である。
【
図3】
図1に示す吐出容器の、頂壁部を押し下げて内容物を吐出させている状態の斜視図である。
【
図4】
図1に示す吐出容器の、頂壁部を押し下げて内容物を吐出させている状態における吐出具の部分の断面図である。
【
図5】
図1に示す吐出容器の、頂壁部を押し下げて内容物を吐出させた後、頂壁部の押し下げを解除した状態における吐出具の部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態に係る吐出具1及び吐出容器2について詳細に例示説明する。
【0016】
なお、本実施の形態、特許請求の範囲においては、上下方向は、
図1、
図2に示すように吐出容器2を正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。
【0017】
図1、
図2に示すように、吐出具1は容器本体3に組み付けられている。吐出容器2は、吐出具1と容器本体3とを備えて構成されている。
【0018】
容器本体3としては、例えば、円筒状の口部3aと口部3aに連なる有底筒状の胴部3bとを備えた合成樹脂材料製のブロー成形ボトルを用いることができる。口部3aの外周面には雄ねじ3cが一体に設けられている。
【0019】
なお、容器本体3は、口部3aを備えるとともに内部に内容物を収納可能な構成であれば、その形状や材質、製造方法等が相違する種々の構成のものであってよい。例えば、容器本体3は、外層体の内側に内層体が剥離可能に積層され、内容液の吐出に伴って内層体が外層体から剥離して減容変形するように構成された積層剥離容器、射出成形により形成された円筒状の容器本体部の内部に中皿(ピストン)が移動可能に組み込まれ、内容液の吐出に伴って容器本体部の内部が負圧になるとピストンが上昇するように構成された中皿上昇式容器など、内容液を収納する内部空間(収納部)に外気を取り込まない構成のものとすることができる。
【0020】
吐出具1は、容器本体3の口部3aに装着される装着キャップ10を備えている。
図2に示すように、本実施形態では、装着キャップ10は、キャップ本体11、皿状部12、支持体部13が合成樹脂材料により一体に形成された構成となっている。
【0021】
より具体的には、キャップ本体11は、軸線Oを中心とした円筒状の周壁部分11aと天壁部分11bとを有する有頂円筒状となっており、周壁部分11aの内周面には雌ねじ11cが一体に設けられている。また、天壁部分11bの軸心には天壁部分11bを上下方向に貫通する流入口11dが設けられ、天壁部分11bの軸心からずれた位置には天壁部分11bを上下方向に貫通する通気孔11eが設けられている。
【0022】
キャップ本体11は、雌ねじ11cが容器本体3の口部3aに設けられた雄ねじ3cにねじ結合することで、容器本体3の口部3aに着脱可能に装着される。キャップ本体11が容器本体3の口部3aに装着されることで、吐出具1は容器本体3に組み付けられた状態となる。
【0023】
なお、キャップ本体11は、雄ねじ3cと雌ねじ11cとのねじ結合により容器本体3の口部3aに装着される構成に限らず、例えば、アンダーカット係合を用いた打栓など、他の構成により容器本体3の口部3aに装着される構成とすることもできる。また、キャップ本体11は、容器本体3の口部3aに装着することができるものであれば、その形状も種々変更可能である。
【0024】
キャップ本体11は、天壁部分11bの下面にチューブホルダ11fを一体に備えた構成とすることもできる。チューブホルダ11fは円筒状となっており、上端において流入口11dに連通している。チューブホルダ11fには吸引管20が嵌合固定される。吸引管20は流入口11dに連通するとともにチューブホルダ11fから下方に向けて延び、その下端(不図示)は容器本体3の内部の底部分に近接している。
【0025】
皿状部12は、中央が円形に開口した皿状に形成されており、その内周縁において天壁部分11bの上面に一体に連なっている。また、皿状部12は、その外周縁が内周縁よりも上方に位置するように傾斜しており、当該傾斜姿勢から内周縁を起点として外周縁が天壁部分11bに接近、離反するように上下方向に弾性変形自在となっている。
【0026】
支持体部13は円筒状となっており、皿状部12の外周縁に一体に連なって当該外周縁から上方に延びている。支持体部13は、皿状部12の弾性変形によってキャップ本体11に接近、離反する方向に移動自在である。なお、支持体部13は、自然状態では
図2に示す位置にあり、皿状部12の弾性変形によって
図2に示す位置から下方に移動することができる。
【0027】
図1、
図2に示すように、吐出具1はヘッド部30を備えている。ヘッド部30は、頂壁部31と筒状の周壁32とを備え、装着キャップ10に支持されている。本実施形態では、周壁32は周壁部分11a及び支持体部13と同軸の円筒状である。周壁32の下端部分は装着キャップ10の支持体部13の内側に全周に亘って嵌合しており、これによりヘッド部30は、装着キャップ10の支持体部13に支持されている。ヘッド部30は、その下方側部分が皿状部12及び天壁部分11bにより閉塞されており、天壁部分11bに設けられた流入口11dから流入する内容物をその内部空間Sに収納可能なタンクとしての機能を有している。ヘッド部30の頂壁部31及び周壁32は、例えばポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂で一体に形成することができる。
【0028】
ヘッド部30は、筒状部33が設けられた構成とすることもできる。筒状部33は周壁32によりも大径の円筒状となっており、フランジ状部分34を介して周壁32の下端側部分の外側に周壁32に一体に連ねて設けられている。筒状部33は、支持体部13の外周面に嵌合するとともにアンダーカット係合して支持体部13を保持する機能も有している。
【0029】
図2に示すように、キャップ本体11の天壁部分11bの外周縁には、径方向外側に向けて突出する外周突起11gが全周に亘って設けられており、筒状部33の下端側部分は、その内周面において外周突起11gに全周に亘って当接している。これにより、キャップ本体11と皿状部12との間には、通気孔11eに連通する円環状の通気空間35が区画形成されている。
【0030】
また、筒状部33の内周面には連通溝36が設けられている。連通溝36は、外周突起11gを上下方向に跨ぐことができる程度の長さで上下方向に延びる溝状である。
図2に示す自然状態においては、連通溝36は外周突起11gに対して上方に位置している。一方、皿状部12が弾性変形して支持体部13が
図1に示す位置からキャップ本体11に接近する方向に移動すると、連通溝36は外周突起11gを跨ぐように外周突起11gに対向して通気空間35を筒状部33の外部に連通させる。連通溝36は、少なくとも1つ設けられていればよいが、周方向に間隔を空けて複数設けるようにしてもよい。
【0031】
図1、
図2に示すように、筒状部33の下端面は周壁部分11aの上端面に対向しており、周壁部分11aの上端面には、皿状部12が弾性変形して支持体部13が
図1に示す位置からキャップ本体11に接近する方向に移動したときに筒状部33の下端面に当接して筒状部33とキャップ本体11との間に連通溝36と外部との連通路を確保するための複数の突起11hが設けられている。
【0032】
図2に示すように、ヘッド部30には流出口37が設けられている。ヘッド部30の内部空間Sに収納された内容物は流出口37からヘッド部30の外部に流出することができる。
【0033】
図1、
図2に示すように、ヘッド部30には、流出口37に連通する円筒状の取付け部38が設けられており、取付け部38にはノズル40が取り付けられている。ノズル40は、流出口37に連通する吐出孔41を備えており、ヘッド部30の内部空間Sから流出口37を通って供給される内容物を吐出孔41から外部に吐出することができる。
【0034】
図2に示すように、本実施形態では、ノズル40は、取付け部38の軸心を中心として回動自在となっており、
図2に示す開位置においては吐出孔41が流出口37に連通するが、
図2に示す位置から、取付け部38の軸心を中心として90度回動した閉じ位置おいては、吐出孔41が閉塞突起42により閉塞される構成となっている。このような構成により、流通時等においてノズル40を閉じ位置とすることで、内部空間Sに収納された内容物が流出口37及び吐出孔41から不意に外部に漏れ出すことを防止することができる。
【0035】
図2に示すように、流出口37には第1逆止弁50が配置されている。本実施形態では、第1逆止弁50は、取付け部38に装着された弁押さえ39と流出口37が設けられた取付け部38の隔壁部分との間に挟持固定された環状の保持部51と、流出口37を閉塞する弁体52と、保持部51と弁体52とを連結する弾性変形自在の複数本(3本)の脚部53とを有している。第1逆止弁50は、ヘッド部30の内部の内部空間Sから吐出孔41に向けた内容物の流れを許容するが、吐出孔41からヘッド部30の内部の内部空間Sに向けた内容物の流れを阻止するように作動する。
【0036】
また、流入口11dには第2逆止弁60が配置されている。本実施形態では、第2逆止弁60は、天壁部分11bに設けられた凹部に嵌合固定された環状の保持部61と、流入口11dを閉塞する弁体62と、保持部61と弁体62とを連結する弾性変形自在の複数本(3本)の脚部63とを有している。第2逆止弁60は、容器本体3の内部からヘッド部30の内部の内部空間Sに向けた内容物の流れを許容するが、ヘッド部30の内部の内部空間Sから容器本体3の内部に向けた内容物の流れを阻止するように作動する。
【0037】
なお、第1逆止弁50及び第2逆止弁60としては、上記の機能を有するように作動するものであれば、他の構成のものを用いてもよい。
【0038】
図1、
図2に示すように、ヘッド部30には弾性変形部70が設けられている。弾性変形部70は、ヘッド部30の軸線Oを挟んでノズル40とは反対側を向く背面側から両側面側に向けて延びる領域に設けられている。本実施形態では、弾性変形部70は、周壁32の背面側部分の領域から、周壁32の両側面側の領域に向けて延びるとともに、両側面側の領域おいて背面側からノズル40の側に向けて斜め上方に延びている。
【0039】
弾性変形部70は、周壁32の他の領域よりも薄肉に形成されており、これにより周壁32の他の領域よりも容易に弾性変形することができるようになっている。なお、弾性変形部70は、周壁32の他の領域を形成する材料よりも軟質の軟質材料で形成されたものを、2色成形や2次成形などのインサート成形によって周壁32と一体化することで、周壁32の他の領域よりも軟質に形成されて周壁32の他の領域よりも容易に弾性変形することができるように構成されたものとしてもよい。
【0040】
ヘッド部30は、弾性変形部70が設けられることで、頂壁部31が操作部として機能することになる。すなわち、
図1、
図2に示す状態から、頂壁部31が下方に向けて押し下げられると、
図3、
図4に示すように、弾性変形部70が周壁32の内方に向けて弾性変形し、これによりヘッド部30の内部空間Sが減容して加圧される。このとき、頂壁部31は、弾性変形部70の上側の部分が弾性変形部70の弾性変形によって下方に向けて押し下げられ、弾性変形部70が設けられない部分に対して折れ曲がった状態となる。
【0041】
内部空間Sが加圧されると、
図4に示すように、第2逆止弁60が閉じた状態に維持されつつ第1逆止弁50が開かれて、内部空間Sに収納されている内容物が流出口37から吐出孔41を通ってノズル40から外部に吐出される。このように、弾性変形部70が設けられることで、ヘッド部30はポンプとして機能する。
【0042】
内容物が吐出された後、頂壁部31の押し下げが解除されると、
図5に示すように、頂壁部31及び弾性変形部70は、当該頂壁部31ないし弾性変形部70の弾性力によって元の形状にまで復元する。このとき、内部空間Sは負圧になるので、第1逆止弁50が閉じた状態に維持されつつ第2逆止弁60が開かれて、容器本体3の内部に収納されている内容物が吸引管20及び流入口11dを通して内部空間Sに充填される。
【0043】
以下、頂壁部31の下方に向けた押下げ操作とその解除を繰り返すことで、内容物を適宜ノズル40の吐出孔41から外部に吐出させることができる。
【0044】
なお、
図4に示すように、頂壁部31が下方に向けて押し下げられると、その押し下げ力により皿状部12が弾性変形し、筒状部33が下方に向けて移動して突起11hに当接する。これにより、連通溝36が外周突起11gに対向して通気孔11eに連通する通気空間35が連通溝36及び隣り合う突起11hの間の隙間を介して外部に連通するので、内容物が吐出された後、頂壁部31の押し下げが解除されて容器本体3の内部に収納されている内容物が吸引管20及び流入口11dを通して内部空間Sに充填される際に、容器本体3の内部に通気孔11eから外気を導入して容器本体3の内部に負圧が生じることを抑制することができる。
【0045】
このように、本実施形態に係る吐出具1ないし吐出容器2は、頂壁部31を押し下げ操作して弾性変形部70を弾性変形させることで内容物を吐出することができるので、シリンダとピストンとを用いたポンプや金属製のスプリングを用いることなく、ヘッド部30をポンプとして機能させて内容物を吐出させることができる。したがって、本実施形態に係る吐出具1ないし吐出容器2によれば、吐出具1ないし吐出容器2のリサイクル性を高めることができるとともに、例えば研磨剤などの固形物を含む内容物を吐出する用途にも用いることができる。
【0046】
また、頂壁部31を押し下げ操作したときにノズル40が上下に移動しない構成であるので、ノズル40から狙った位置に内容物を吐出し易くすることができる。
【0047】
本実施形態では、
図1に示すように、頂壁部31を、ノズル40からヘッド部30の背面に向けた径方向に垂直な断面において、上方に向けて凸となる湾曲形状とするのが好ましい。本実施形態では、当該断面において頂壁部31は円弧状の形状である。このような構成とすることで、頂壁部31が下方に向けて押し下げられて弾性変形部70を弾性変形させて折れ曲がった状態となったときに、頂壁部31により大きな弾性復元力が生じるようにして、頂壁部31の押し下げを解除したときに頂壁部31及び弾性変形部70をより迅速かつ確実に元の形状に復元させることができる。
【0048】
また、弾性変形部70の両側部側における上方に延びた先端部分の形状は、半径が1.5mm以上の半円形状とするのが好ましく、半径が2.0mm以上の半円形状とするのがより好ましい。このような構成とすることで、頂壁部31が下方に向けて押し下げられて弾性変形部70が弾性変形したときに、弾性変形部70により大きな弾性復元力が生じるようにして、頂壁部31の押し下げを解除したときに頂壁部31及び弾性変形部70をより迅速かつ確実に元の形状に復元させることができる。
【0049】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0050】
例えば、前記実施形態においては、ヘッド部30の周壁32を円筒状のものとしているが、これに限らず、楕円筒状や角筒状であってもよい。
【0051】
また、前記実施形態においては、弾性変形部70の形状も、頂壁部31が押し下げられたときに弾性変形してヘッド部30をポンプとして機能させることができれば、その形状は種々変更可能である。
【0052】
また、前記実施形態においては、装着キャップ10の皿状部12の弾性変形によって容器本体3の内部に通気孔11eを通して外気を導入する構成としているが、当該構成を設けない構成としてもよい。この場合、例えば、容器本体3として積層剥離容器などの内容物の吐出に伴って容器内に外気を導入しないように構成されたものを用いるのが好ましい。
【符号の説明】
【0053】
1 吐出具
2 吐出容器
3 容器本体
3a 口部
3b 胴部
3c 雄ねじ
10 装着キャップ
11 キャップ本体
11a 周壁部分
11b 天壁部分
11c 雌ねじ
11d 流入口
11e 通気孔
11f チューブホルダ
11g 外周突起
11h 突起
12 皿状部
13 支持体部
20 吸引管
30 ヘッド部
31 頂壁部
32 周壁
33 筒状部
34 フランジ状部分
35 通気空間
36 連通溝
37 流出口
38 取付け部
39 弁押さえ
40 ノズル
41 吐出孔
42 閉塞突起
50 第1逆止弁
51 保持部
52 弁体
53 脚部
60 第2逆止弁
61 保持部
62 弁体
63 脚部
70 弾性変形部
O 軸線
S 内部空間