(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179861
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】遠隔制御装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241219BHJP
G05D 1/00 20240101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G1/09 V
G05D1/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099115
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岩堀 健人
(72)【発明者】
【氏名】横山 大樹
【テーマコード(参考)】
5H181
5H301
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA26
5H181AA27
5H181CC03
5H181CC04
5H181CC12
5H181CC14
5H181FF05
5H181FF13
5H301AA01
5H301AA06
5H301BB14
5H301CC03
5H301CC04
5H301CC06
5H301CC07
5H301CC10
5H301DD07
5H301DD17
(57)【要約】
【課題】制御態様が互いに異なる各車両に対して適切な制御を行う。
【解決手段】遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置は、移動体が、第1の移動体と、第2の移動体と、のうちのいずれであるかの識別を実行する移動体識別部と、制御指令を移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、を備え、遠隔制御指令部は、移動体が第1の移動体であると識別された場合に、制御指令として制御値を生成し、第1の移動体に対して制御値を送信することと、移動体が第2の移動体であると識別された場合に、制御指令として第2の移動体に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置であって、
前記移動体が、
前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動する第1の移動体と、
前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動する第2の移動体と、
のうちのいずれであるかの識別を実行する移動体識別部と、
制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、
を備え、
前記遠隔制御指令部は、
前記移動体が前記第1の移動体であると識別された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記第1の移動体に対して前記制御値を送信することと、
前記移動体が前記第2の移動体であると識別された場合に、前記制御指令として前記第2の移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、
のうちの少なくとも一方を実行する、
遠隔制御装置。
【請求項2】
遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置であって、
前記移動体が現在置かれている製造工程を示す製造工程情報を取得する製造工程情報取得部と、
制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、
を備え、
前記移動体は、
前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、
前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、
を実行可能であり、
前記遠隔制御指令部は、
前記製造工程が、前記移動体に対して前記制御値の送信が必要な工程であると前記製造工程情報に基づき特定された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信することと、
前記製造工程が、前記移動体に対して前記制御値の送信が必要な工程でないと前記製造工程情報に基づき特定された場合に、前記制御指令として前記移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、
のうちの少なくとも一方を実行する、
遠隔制御装置。
【請求項3】
遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置であって、
前記移動体を検出するための情報である移動体検出情報を取得する移動体検出情報取得部と、
前記移動体検出情報を利用して前記移動体の製造状態である移動体製造状態を特定する移動体製造状態特定部と、
制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、
を備え、
前記移動体は、
前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、
前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、
を実行可能であり、
前記遠隔制御指令部は、
前記移動体製造状態が、前記制御値の送信が必要な状態であると特定された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信することと、
前記移動体製造状態が、前記制御値の送信が必要な状態でないと特定された場合に、前記制御指令として前記移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、
のうちの少なくとも一方を実行する、
遠隔制御装置。
【請求項4】
遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置であって、
前記移動体がプラットフォームの状態であるか否かを示す情報を取得するプラットフォーム情報取得部と、
制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、
を備え、
前記移動体は、
前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、
前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、
を実行可能であり、
前記遠隔制御指令部は、
前記移動体がプラットフォームの状態である場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信する、
遠隔制御装置。
【請求項5】
請求項1に記載の遠隔制御装置であって、
前記移動体識別部は、前記移動体の撮像画像を利用して、前記識別を実行する、
遠隔制御装置。
【請求項6】
請求項1または請求項5に記載の遠隔制御装置であって、
前記移動体は、製造工程に置かれており、
前記移動体識別部は、前記移動体の製造状況を示す製造管理情報を利用して、前記識別を実行する、
遠隔制御装置。
【請求項7】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遠隔制御装置であって、
前記制御値生成用情報は、前記移動体を移動させる経路を示す経路情報を含む、
遠隔制御装置。
【請求項8】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の遠隔制御装置であって、
前記制御値は、前記移動体の舵角を指示する値および前記移動体の加速度を指示する値を含む、
遠隔制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、遠隔制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の製造工程において、遠隔制御により車両を走行させる技術が知られている。また、車両を遠隔制御するための制御指令として、舵角や加速度等の具体的な制御内容を示す制御値を送信することと、制御値の生成に利用される情報を送信することとが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1においては、上記2種類の制御指令を適切に使い分けて車両を制御する手段について十分に検討されていない。かかる問題は、車両に限らず、任意の種類の移動体においても共通する。また、製造工程に限らず、検査工程や出荷工程において完成後の車両を遠隔制御により移動させる場合においても共通する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置が提供される。この遠隔制御装置は、前記移動体が、前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動する第1の移動体と、前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動する第2の移動体と、のうちのいずれであるかの識別を実行する移動体識別部と、制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、を備え、前記遠隔制御指令部は、前記移動体が前記第1の移動体であると識別された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記第1の移動体に対して前記制御値を送信することと、前記移動体が前記第2の移動体であると識別された場合に、前記制御指令として前記第2の移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。
この遠隔制御装置によれば、移動体が第1の移動体と第2の移動体とのうちのいずれであるかの識別を実行し、移動体が第1の移動体である場合には、制御指令として制御値を生成し第1の移動体に対して制御値を送信することと、移動体が第2の移動体であると識別された場合に、制御指令として第2の移動体に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより、移動体が、第1の移動体と第2の移動体のいずれであるかに応じて適切な制御指令を送信でき、移動体に対して適切な制御を行うことができる。
(2)本開示の他の形態によれば、遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置が提供される。この遠隔制御装置は、前記移動体が現在置かれている製造工程を示す製造工程情報を取得する製造工程情報取得部と、制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、を備え、前記移動体は、前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、を実行可能であり、前記遠隔制御指令部は、前記製造工程が、前記移動体に対して前記制御値の送信が必要な工程であると前記製造工程情報に基づき特定された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信することと、前記製造工程が、前記移動体に対して前記制御値の送信が必要な工程でないと前記製造工程情報に基づき特定された場合に、前記制御指令として前記移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。
この遠隔制御装置によれば、製造工程情報を取得し、移動体が現在置かれている製造工程が、移動体に対して制御値の送信が必要な工程である場合に、制御指令として制御値を生成し移動体に対して制御値を送信することと、移動体が現在置かれている製造工程が、移動体に対して制御値の送信が必要な工程でない場合に、制御指令として制御値生成用情報を生成し移動体に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより車両が現在置かれている製造工程に応じて適切な制御指令を送信でき、移動体に対して適切な制御を行うことができる。
(3)本開示の他の形態によれば、遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置が提供される。この遠隔制御装置は、前記移動体を検出するための情報である移動体検出情報を取得する移動体検出情報取得部と、前記移動体検出情報を利用して前記移動体の製造状態である移動体製造状態を特定する移動体製造状態特定部と、制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、を備え、前記移動体は、前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、を実行可能であり、前記遠隔制御指令部は、前記移動体製造状態が、前記制御値の送信が必要な状態であると特定された場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信することと、前記移動体製造状態が、前記制御値の送信が必要な状態でないと特定された場合に、前記制御指令として前記移動体に対して前記制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。
この遠隔制御装置によれば、移動体検出情報を利用して移動体製造状態を特定し、移動体製造状態が、制御値の送信が必要な状態である場合に、制御指令として制御値を生成し移動体に対して制御値を送信することと、移動体製造状態が、制御値の送信が必要な状態でない場合に、制御指令として移動体に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより車両検出情報を利用して特定された移動体製造状態に応じて適切な制御指令を送信でき、移動体に対して適切な制御を行うことができる。
(4)本開示の他の形態によれば、遠隔制御によって移動体を自動で移動させる遠隔制御装置が提供される。この遠隔制御装置は、前記移動体がプラットフォームの状態であるか否かを示す情報を取得するプラットフォーム情報取得部と、制御指令を前記移動体に対して送信する遠隔制御指令部と、を備え、前記移動体は、前記移動体の移動を制御する制御値を受信し、前記制御値に従って移動することと、前記制御値の生成に利用される制御値生成用情報を受信し、前記制御値生成用情報を利用して前記制御値を生成し、生成された前記制御値に従って移動することと、を実行可能であり、前記遠隔制御指令部は、前記移動体がプラットフォームの状態である場合に、前記制御指令として前記制御値を生成し、前記移動体に対して前記制御値を送信する。
この遠隔制御装置によれば、移動体がプラットフォームの状態である場合に、制御指令として制御値を生成し移動体に対して制御値を送信するので、移動体がプラットフォームの状態であるか否かに応じて、移動体に対して適切な制御を行うことができる。
(5)上記遠隔制御装置において、前記移動体識別部は、前記移動体の撮像画像を利用して、前記識別を実行してもよい。
この遠隔制御装置によれば、移動体が、第1の移動体と第2の移動体のいずれであるかを、移動体の撮像画像を利用して識別を実行するので、精度よく識別できる。
(6)上記遠隔制御装置において、前記移動体は、製造工程に置かれており、前記移動体識別部は、前記移動体の製造状況を示す製造管理情報を利用して、前記識別を実行してもよい。
この遠隔制御装置によれば、製造管理情報を利用して識別を実行するので、製造工程に置かれた移動体の製造状況に応じて適切な制御を行うことができる。
(7)上記遠隔制御装置において、前記制御値生成用情報は、前記移動体を移動させる経路を示す経路情報を含んでもよい。
この遠隔制御装置によれば、経路情報を利用して制御値を生成可能である移動体の移動を制御できる。
(8)上記遠隔制御装置において、前記制御値は、前記移動体の舵角を指示する値および前記移動体の加速度を指示する値を含んでもよい。
この遠隔制御装置によれば、舵角と加速度とを制御されて移動する移動体の移動を制御できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態の遠隔制御装置を備える遠隔制御システムの概略構成を示す説明図である。
【
図2】第1実施形態の遠隔制御装置を備える遠隔制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図3】第1の車両タイプである車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図4】第2の車両タイプである車両の概略構成を示すブロック図である。
【
図5】第1実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図6】第2実施形態の遠隔制御装置を備える遠隔制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図7】第2実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図8】第3実施形態の遠隔制御装置を備える遠隔制御システムの概略構成を示すブロック図である。
【
図9】第3実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
【
図10】第4実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
A-1.システム構成:
図1は、本実施形態における遠隔制御装置200を備える遠隔制御システム10の概略構成を示す説明図である。遠隔制御システム10は、移動体としての車両100と、遠隔制御により車両100を自動で走行させる遠隔制御装置200と、車両100の3次元点群データを測定する複数の車両検出器300と、車両100の製造工程の管理を行う工程管理装置400と、を備える。
【0009】
本実施形態では、車両100は、電気自動車(BEV:Battery Electric Vehicle)として構成されている。なお、車両100は、電気自動車に限られず、例えば、ガソリン自動車や、ハイブリッド自動車や、燃料電池自動車でもよい。また、車両100に代えて、例えば、電動垂直離着陸機(いわゆる空飛ぶ自動車)等の他の任意の種類の移動体を用いてもよい。
【0010】
本実施形態では、遠隔制御装置200は、車両100の製造工程において車両100の遠隔制御を実行する。車両100を製造する工場は、第1場所PL1と第2場所PL2とを備えている。第1場所PL1は、例えば、車両100の組み立てが実施される場所であり、第2場所PL2は、例えば、車両100の検査が実施される場所である。第1場所PL1と第2場所PL2とは、車両100が走行可能な走行路SRによって接続されている。
【0011】
走行路SRの周辺には、車両100を測定対象とする複数の車両検出器300が設置されている。車両検出器300は、カメラやLiDAR(Light Detection And Ranging)として構成され、車両100の画像や3次元点群データ等、車両100を検出するために用いられる情報(以下、「車両検出情報」とも呼ぶ)を取得する。
【0012】
遠隔制御装置200は、車両100を走行路SRに沿って走行させるための制御指令を生成し、制御指令を車両100に送信する。後述するように、「制御指令」には、2種類の指令が存在する。車両100は、受信した制御指令に従って走行する。したがって、遠隔制御システム10により、クレーンやコンベアなどの搬送装置を用いずに、車両100を第1場所PL1から第2場所PL2まで遠隔制御により移動させることができる。
【0013】
図2は、本実施形態の遠隔制御装置200を備える遠隔制御システム10の概略構成を示すブロック図である。本実施形態では、遠隔制御システム10は、車両タイプが互いに異なる車両100である車両101および車両102のそれぞれを遠隔制御する。「車両タイプ」は、車両100の遠隔制御の態様を示す。本実施形態では、後述するように、制御値の送信を必要とする「第1の車両タイプ」と、制御値の送信が不要である「第2の車両タイプ」とが存在する。本実施形態では、車両タイプは、車両100の車種に応じて予め決定されている。なお、車両タイプは、車種に限らず、車両100ごとに任意に決定されていてもよい。
【0014】
図3は、第1の車両タイプである車両101の概略構成を示すブロック図である。車両101は、車両の各部を制御するための車両制御装置110と、車両制御装置110の制御下で駆動するアクチュエータ群120と、無線通信により遠隔制御装置200と通信するための通信装置130とを備えている。本実施形態では、アクチュエータ群120には車両101を加速させるための駆動装置のアクチュエータ、車両100の進行方向を変更するための操舵装置のアクチュエータ、および、車両101を減速させるための制動装置のアクチュエータが含まれている。駆動装置には、バッテリ、バッテリの電力により駆動する走行用モータ、および、走行用モータにより回転する駆動輪が含まれている。駆動装置のアクチュエータには、走行用モータが含まれている。なお、アクチュエータ群120には、さらに、車両101のワイパーを揺動させるためのアクチュエータや、車両101のパワーウィンドウを開閉させるためのアクチュエータなどが含まれてもよい。また、車両101は、カメラ、ミリ波レーダ、LiDARなどの種々の物体検出器および車両101の現在位置を示す位置情報を取得するGPS受信機を備えてもよい。車両101は、本開示における「第1の移動体」に相当する。
【0015】
車両制御装置110は、プロセッサ111と、メモリ112と、入出力インタフェース113と、内部バス114とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ111、メモリ112、および、入出力インタフェース113は、内部バス114を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース113には、アクチュエータ群120、通信装置130が接続されている。
【0016】
本実施形態では、プロセッサ111は、メモリ112に予め記憶されているプログラムPG11を実行することにより、車両制御部115として機能する。車両制御部115は、アクチュエータ群120を制御する。車両制御部115は、車両101に運転者が搭乗している場合に、運転者の操作に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両101を走行させることができる。また、車両制御部115は、車両101に運転者が搭乗しているか否かにかかわらず、制御値を受信し、制御値に従ってアクチュエータ群120を制御することにより、車両101を走行させることもできる。車両101が備える車両制御部115は、後述するように、遠隔制御装置200から制御値を受信する。
【0017】
図4は、第2の車両タイプである車両102の概略構成を示すブロック図である。
図4に示すように、車両102では、プログラムPG11に代えてプログラムPG12がメモリ112に予め記憶されている。また、プロセッサ111は、プログラムPG12を実行することにより、上述の車両制御部115に加えて制御値生成部116として機能する。制御値生成部116は、後述するように、制御値の生成に利用される情報(以下、「制御値生成用情報」とも呼ぶ)を遠隔制御装置200から受信して、制御値生成用情報を利用してアクチュエータ群120を制御するための制御値を生成し、制御値を車両制御部115に送信する。車両102が備える車両制御部115は、制御値生成部116から受信した制御値に応じてアクチュエータ群120を制御することにより、車両102を走行させる。また、車両102が備える車両制御部115は、車両101が備える車両制御部115と同様に、制御値を遠隔制御装置200から受信し、制御値に従ってアクチュエータ群120を制御することにより車両102を走行させることも実行可能である。車両102のその他の構成は、車両101と同じであるので、その詳細な説明を省略する。車両102は、本開示における「第2の移動体」に相当する。
【0018】
図2に示すように、遠隔制御装置200は、プロセッサ201と、メモリ202と、入出力インタフェース203と、内部バス204とを備えるコンピュータにより構成されている。プロセッサ201、メモリ202、および、入出力インタフェース203は、内部バス204を介して、双方向に通信可能に接続されている。入出力インタフェース203には、無線通信により車両100と通信するための通信装置205が接続されている。
【0019】
本実施形態では、プロセッサ201は、メモリ202に予め記憶されているプログラムPG2を実行することにより、車両検出情報取得部210と、車両状態算出部220と、車両識別部230と、経路情報作成部240と、遠隔制御指令部250と、として機能する。
【0020】
車両検出情報取得部210は、車両検出器300により取得された車両検出情報を取得する。車両状態算出部220は、車両検出情報を利用して、車両100の位置と向きとの少なくとも一方(以下、「車両状態」とも呼ぶ)を算出する。車両状態算出部220は、例えば、車両検出情報として取得された車両100の画像や3次元点群情報を利用して、車両検出情報が示す点群情報と予め用意された車両100のテンプレート点群とについてパターンマッチングを行うことにより車両状態を算出する。車両検出情報取得部210は、本開示における「移動体検出情報取得部」に相当する。また、車両状態算出部220は、本開示における「移動体状態算出部」に相当する。
【0021】
車両識別部230は、車両検出情報を利用して制御対象の車両100を特定し、予めメモリ202に記憶された車両管理情報VIを利用して、当該車両100がいずれの車両タイプであるかの識別を実行する。「車両管理情報VI」は、車両100の車種・色・形状などの仕様やロット番号等、車両100の車両タイプを特定可能な種々の情報を含みうる。車両識別部230は、例えば、車両検出情報として取得された車両100の3次元点群情報と、車両管理情報VIとして記憶された車両100の形状を示す点群情報とのパターンマッチングを実行することにより、車両100の車両タイプを識別する。車両識別部230は、本開示における「移動体識別部」に相当する。
【0022】
経路情報作成部240は、車両状態算出部220から取得した車両状態を利用して、車両100を移動させる経路を示す経路情報を作成する。遠隔制御指令部250は、経路情報作成部240により決定された走行経路に沿って車両100を走行させるように、遠隔制御のための制御指令を生成して車両100に送信する。制御指令は、駆動力又は制動力と、舵角とを含む具体的な制御値として生成することができる。本実施形態では、制御値は、経路上の各地点における車両100の加速度および舵角の少なくとも一方を指示する情報を含む。車両100の加速度および舵角のうち制御値として指示されないものは、走行路SRに沿った区間ごとに予め設定されていてよい。また、遠隔制御指令部250は、制御値に代えて、制御指令を、車両100の車両状態と走行経路情報とを含む指令として生成してもよい。なお、制御指令は、車両100の車両状態を含まなくてもよい。
【0023】
工程管理装置400は、工場における車両100の製造状況を示す製造管理情報の管理を実行する。「製造管理情報」には、例えば、各工程における処理の進行状況、仕掛品の数、処理中の製品の数、工程ごとの製造時間、各工程による処理の開始時刻および完了時刻、各工程に存在する車両100の車両識別情報、1日の製造予定数、車両100を1台製造するための工程の目標製造時間などが含まれる。例えば、1台の車両100が走行路SRに沿った走行を開始する際には、その車両100の識別番号や型式などを示す車両識別情報が、工程管理装置400から遠隔制御装置200に送信される。遠隔制御装置200で検出された車両100の車両状態は、工程管理装置400にも送信されてもよい。なお、工程管理装置400の機能を、遠隔制御装置200と同じ装置に実装するようにしてもよい。
【0024】
A-2.車両制御処理:
図5は、第1実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、遠隔制御装置200の稼働状態において、車両検出器300から車両検出情報が送信されるごとに実行される。
【0025】
ステップS10において、車両検出情報取得部210は、車両検出情報を取得する。ステップS20において、車両状態算出部220は、取得された車両検出情報を利用して車両状態を算出する。
【0026】
ステップS30において、経路情報作成部240は、算出された車両状態を利用して経路情報を作成する。ステップS40において、車両識別部230は、車両検出情報を利用して車両タイプを識別する。なお、ステップS40は、ステップS10の後、ステップS20の前またはステップS30の前に実行されてもよい。
【0027】
ステップS50において、遠隔制御指令部250は、制御対象の車両100が、制御値の送信が必要な車両タイプであるか否かを判定する。制御値の送信が必要な第1の車両タイプである場合(ステップS50:Yes)、すなわち制御対象の車両100が車両101である場合、遠隔制御指令部250は、ステップS60において経路情報が示す走行経路に沿って制御対象の車両101を走行させるように制御値を生成し、ステップS70において制御指令として車両101へ制御値を送信する。
【0028】
他方、制御値の送信が不要な第2の車両タイプである場合(ステップS50:No)、すなわち制御対象の車両100が車両102である場合、ステップS62において、遠隔制御指令部250は、制御指令として車両102へ経路情報を送信する。ステップS72において、車両102が備える制御値生成部116は、経路情報が示す走行経路に沿って車両102を走行させるように制御値を生成し、車両102が備える車両制御部115へ制御値を送信する。
【0029】
ステップS62において車両102へ送信される経路情報は、走行経路を示す複数の位置を所定の間隔で示す情報であってよく、または、走行経路の終点位置のみを示す情報であってもよい。また、ステップS72において、車両102が備える制御値生成部116は、車両102に搭載された図示しないセンサにより、車両102の車両状態や車両102の周囲に存在する構造物や作業員等の障害物を検出し、検出された車両102の車両状態や障害物に応じて、走行経路に沿って車両102を走行させるように車両102の速度や加速度、舵角を制御する制御値を生成することができる。経路情報は、制御値の生成に利用される情報であり、本開示における「制御値生成用情報」に相当する。
【0030】
ステップS80において、車両制御部115は、遠隔制御指令部250または制御値生成部116から送信された制御値に従って車両100を制御する。以上で、遠隔制御装置200における処理は終了する。
【0031】
以上説明した第1実施形態の遠隔制御装置200によれば、車両100が車両101と車両102とのうちのいずれであるかの識別を実行し、車両100が車両101である場合には、制御指令として制御値を生成し車両101に対して制御値を送信することと、車両100が車両102であると識別された場合に、制御指令として車両102に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより、車両100が車両101と車両102とのいずれであるかに応じて適切な制御指令を送信でき、車両100に対して適切な制御を行うことができる。
【0032】
また、車両100が、車両101と車両102とのいずれであるかを、車両100の撮像画像を利用して識別するので、精度よく識別できる。また、経路情報を利用して制御値を生成可能である車両102の移動を制御できる。また、舵角と加速度を制御されて移動する車両100の移動を制御できる。
【0033】
B.第2実施形態:
図6は、第2実施形態の遠隔制御装置200Aを備える遠隔制御システム10の概略構成を示すブロック図である。
図7は、第2実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。第2実施形態の遠隔制御装置200Aは、
図6に示すように車両識別部230に代えて製造工程情報取得部230Aを備える点と、
図7に示すように車両制御処理においてステップS40およびステップS50に代えて、ステップS40AおよびステップS50Aを実行する点とにおいて、第1実施形態の遠隔制御装置200と異なっている。また、第2実施形態の遠隔制御装置200Aにおいて、車両管理情報VIは、メモリ202に予め記憶されていなくてもよい。なお、第2実施形態の遠隔制御装置200Aのシステム構成および車両制御処理におけるその他の手順は、第1実施形態の遠隔制御装置200と同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0034】
図6に示すように、第2実施形態の遠隔制御装置200Aが備えるプロセッサ201は、プログラムPG2に代えてメモリ202に記憶されたプログラムPG2Aを実行することにより、車両検出情報取得部210と、車両状態算出部220と、製造工程情報取得部230Aと、経路情報作成部240と、遠隔制御指令部250と、として機能する。製造工程情報取得部230Aは、制御対象の車両100についての製造工程情報を工程管理装置400から取得する。「製造工程情報」は、車両100が現在置かれている製造工程を示す情報であって、例えば、車両100の仕掛かり中の工程や前工程の名称を示す情報を意味する。なお、第2実施形態のプロセッサ201において実現される他の機能部は、第1実施形態と同じであるので説明を省略する。
【0035】
図7に示すステップS40Aにおいて、製造工程情報取得部230Aは、制御対象の車両100についての製造工程情報を工程管理装置400から取得する。より具体的には、製造工程情報取得部230Aは、車両検出情報を利用して制御対象の車両100を特定し、当該車両100についての製造工程情報を工程管理装置400から取得する。
【0036】
ステップS50Aにおいて、遠隔制御指令部250は、製造工程情報に基づき、制御対象の車両100が現在置かれている工程が、制御値の送信が必要な工程であるか否かを判定する。「制御値の送信が必要な工程」は、制御値生成部116が経路情報を利用して制御値を生成する場合に必要とする情報を取得するためのセンサが未だ車両100に取り付けられていない状態で実行される工程を意味する。より具体的には、例えば、制御値生成部116が、遠隔制御装置200から送信された経路情報に加えて、自車両に搭載されたLiDARにより検出した車両100の周囲に存在する障害物の点群データを利用して車両100の加速度や舵角を決定する場合、車両100にLiDARを搭載する工程よりも前の工程は、車両100に対して制御値の送信が必要な工程であるといえる。また、工程ごとに、当該工程が制御値の送信が必要な工程であるか否か予め定められてデータベースとして工程管理装置400において管理されていてもよく、遠隔制御指令部250は、当該データベースを参照して上記判定を実行してもよい。
【0037】
制御値の送信が必要な工程であると判定された場合(ステップS50A:Yes)、上述のステップS60、ステップS70およびステップS80が実行される。他方、制御値の送信が必要な工程でないと判定された場合(ステップS50A:No)、上述のステップS62、ステップS72およびステップS80が実行される。
【0038】
以上説明した第2実施形態の遠隔制御装置200Aによれば、製造工程情報を取得し、車両100が現在置かれている製造工程が、車両100に対して制御値の送信が必要な工程であると製造工程情報に基づき特定された場合に、制御指令として制御値を生成し車両100に対して制御値を送信することと、車両100が現在置かれている製造工程が、車両100に対して制御値の送信が必要な工程でないと製造工程情報に基づき特定された場合に、制御指令として車両100に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより車両100が現在置かれている製造工程に応じて適切な制御指令を送信でき、車両100に対して適切な制御を行うことができる。
【0039】
C.第3実施形態:
図8は、第3実施形態の遠隔制御装置200Bを備える遠隔制御システム10の概略構成を示すブロック図である。
図9は、第3実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。第3実施形態の遠隔制御装置200Bは、
図8に示すように製造工程情報取得部230Aに代えて車両製造状態特定部230Bを備える点と、
図9に示すように車両制御処理においてステップS40AおよびステップS50Aに代えて、ステップS40BおよびステップS50Bを実行する点とにおいて、第2実施形態の遠隔制御装置200Aと異なっている。なお、第3実施形態の遠隔制御装置200Bのシステム構成および車両制御処理におけるその他の手順は、第2実施形態の遠隔制御装置200Aと同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0040】
図8に示すように、第3実施形態の遠隔制御装置200Bが備えるプロセッサ201は、プログラムPG2Aに代えてメモリ202に記憶されたプログラムPG2Bを実行することにより、車両検出情報取得部210と、車両状態算出部220と、車両製造状態特定部230Bと、経路情報作成部240と、遠隔制御指令部250と、として機能する。車両製造状態特定部230Bは、車両検出情報を利用して車両製造状態を特定する。「車両製造状態」は、車両100の製造の進捗状態を意味し、例えば、車両100への部品等の組み付け状態を意味する。なお、第3実施形態のプロセッサ201において実現される他の機能部は、第2実施形態と同じであるので説明を省略する。車両製造状態特定部230Bは、本開示における「移動体製造状態特定部」に相当する。
【0041】
図9に示すステップS40Bにおいて、車両製造状態特定部230Bは、車両検出情報を利用して車両製造状態を特定する。より具体的には、車両製造状態特定部230Bは、車両検出情報として取得した車両100の撮像画像を解析することにより車両製造状態を特定する。車両製造状態は、本開示における「移動体製造状態」に相当する。
【0042】
ステップS50Bにおいて、遠隔制御指令部250は、車両100の車両製造状態が、制御値の送信が必要な状態か否かを判定する。より具体的には、制御値生成部116が経路情報を利用して制御値を生成する場合に必要とする情報を取得するためのセンサが未だ車両100に取り付けられていない状態である場合、遠隔制御指令部250は、車両100の車両製造状態が、制御値の送信が必要な状態であると判定する。
【0043】
制御値の送信が必要な状態であると判定された場合(ステップS50B:Yes)、上述のステップS60、ステップS70およびステップS80が実行される。他方、制御値の送信が必要な状態でないと判定された場合(ステップS50A:No)、上述のステップS62、ステップS72およびステップS80が実行される。
【0044】
以上説明した第3実施形態の遠隔制御装置200によれば、車両検出情報を利用して車両製造状態を特定し、車両製造状態が、制御値の送信が必要な状態である場合に、制御指令として制御値を生成し車両100に対して制御値を送信することと、車両製造状態が、制御値の送信が必要な状態でない場合に、制御指令として車両100に対して制御値生成用情報を送信することと、のうちの少なくとも一方を実行する。これにより車両検出情報を利用して特定された車両製造状態に応じて適切な制御指令を送信でき、車両100に対して適切な制御を行うことができる。
【0045】
D.第4実施形態:
図10は、第4実施形態の車両制御処理の手順を示すフローチャートである。第4実施形態の遠隔制御装置200Bは、
図10に示すように車両制御処理においてステップS50Bに代えてステップS50Cを実行する点において、第3実施形態の遠隔制御装置200Bと異なっている。なお、第4実施形態の遠隔制御装置200Bのシステム構成および車両制御処理におけるその他の手順は、第3実施形態の遠隔制御装置200Bと同じであるので、同一の構成および同一の手順には同一の符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0046】
本実施形態では、
図8に示す車両製造状態特定部230Bは、車両検出情報を利用して車両100の車両製造状態を取得し、車両100の車両製造状態がプラットフォームの状態か否かを特定する。「プラットフォームの状態」は、車両制御部115と通信装置130とを備え、遠隔制御により「走る」、「曲がる」、「止まる」の3つの機能を発揮することができるようになった状態を意味する。より具体的には、運転席やダッシュボードなどの内装部品が装着されておらず、バンパーやフェンダーなどの外装部品が装着されておらず、ボディシェルが装着されていない状態を意味する。なお、プラットフォームの状態である車両100については、車両100が工場から出荷されるまでの間に、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよいし、ボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されていない状態で、車両100が工場から出荷された後にボディシェル等の残りの部品が車両100に装着されてもよい。本実施形態では、車両製造状態特定部230Bは、本開示における「プラットフォーム情報取得部」に相当する。
【0047】
図10に示すステップS50Cにおいて、遠隔制御指令部250は、車両製造状態特定部230Bにより特定された車両100の車両製造状態がプラットフォームの状態であるか否かを判定する。車両100がプラットフォームの状態である場合、センサが未だ搭載されておらず、制御値生成部116が、センサから取得した情報を利用して制御値を生成することができないためである。
【0048】
車両100がプラットフォームの状態であると判定された場合(ステップS50A:Yes)、上述のステップS60、ステップS70およびステップS80が実行される。他方、車両100がプラットフォームの状態でないと判定された場合(ステップS50A:No)、上述のステップS62、ステップS72およびステップS80が実行される。
【0049】
以上説明した第4実施形態の遠隔制御装置200Bによれば、車両100がプラットフォームの状態である場合に、制御指令として制御値を生成し車両100に対して制御値を送信するので、車両100がプラットフォームの状態であるか否かに応じて、車両100に対して適切な制御を行うことができる。
【0050】
E.他の実施形態:
(E1)上記実施形態において、遠隔制御装置200は、制御指令として制御値を送信することと、制御指令として経路情報を少なくとも含む指令を送信することとを実行し得るが、本開示はこれに限定されない。遠隔制御装置200は、制御指令として制御値を送信することと、制御指令として経路情報を少なくとも含む指令を送信することとのうちの一方のみを実行してもよい。例えば、遠隔制御装置200は、制御指令として経路情報を少なくとも含む指令を送信することのみを実行し、制御指令として制御値を送信することは、他の装置により実行されてもよい。
【0051】
(E2)上記実施形態において、遠隔制御装置200は、車両100の製造工程において、車両100の遠隔制御を実行するが、本開示はこれに限定されない。遠隔制御装置200は、車両100の製造工程完了後の検査工程および検査工程終了後の完成車の出荷工程において、車両100を走行させるための遠隔制御を実行してもよい。
【0052】
(E3)上記第1実施形態において、車両識別部230は、予めメモリ202に記憶された車両管理情報VIを利用して、当該車両100がいずれの車両タイプであるかの識別を実行するが、本開示はこれに限定されない。車両識別部230は、工程管理装置400において管理される製造管理情報を利用して上記識別を実行してもよい。かかる形態の遠隔制御装置200によれば、車両100の製造状況に応じて適切な制御を行うことができる。
【0053】
(E4)上記第4実施形態において、遠隔制御指令部250は、車両製造状態特定部230Bにより特定された車両製造状態を利用して、車両100がプラットフォームの状態であるか否かを判定するが、本開示はこれに限定されない。第4実施形態の遠隔制御装置200は、第2実施形態の製造工程情報取得部230Aに相当する機能部をさらに備え、遠隔制御指令部250は、取得された製造工程情報を利用して、車両100がプラットフォームの状態であるか否かを判定してもよい。かかる形態において、製造工程情報取得部230Aに相当する機能部は、本開示における「プラットフォーム情報取得部」に相当する。
【0054】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10…遠隔制御システム、100、101、102…車両、110…車両制御装置、111…プロセッサ、112…メモリ、113…入出力インタフェース、114…内部バス、115…車両制御部、116…制御値生成部、120…アクチュエータ群、130…通信装置、200、200A、200B…遠隔制御装置、201…プロセッサ、202…メモリ、203…入出力インタフェース、204…内部バス、205…通信装置、210…車両検出情報取得部、220…車両状態算出部、230…車両識別部、230A…製造工程情報取得部、230B…車両製造状態特定部、240…経路情報作成部、250…遠隔制御指令部、300…車両検出器、400…工程管理装置、PG11、PG12、PG2、PG2A、PG2B…プログラム、PL1…第1場所、PL2…第2場所、SR…走行路、VI…車両管理情報