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特開2024-179882移動式放射線撮影装置、放射線検出器、判定方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179882
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】移動式放射線撮影装置、放射線検出器、判定方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   A61B 6/00 20240101AFI20241219BHJP
【FI】
A61B6/00 320M
A61B6/00 310
【審査請求】未請求
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099170
(22)【出願日】2023-06-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001254
【氏名又は名称】弁理士法人光陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】三宅 信之
(72)【発明者】
【氏名】小枝 敬輔
(72)【発明者】
【氏名】齋藤 剛
(72)【発明者】
【氏名】原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】大原 弘
(72)【発明者】
【氏名】林 直輝
【テーマコード(参考)】
4C093
【Fターム(参考)】
4C093AA03
4C093CA16
4C093EB12
4C093EB13
4C093EB17
4C093EC04
4C093EE14
4C093FA19
4C093FA34
4C093FA42
4C093FA46
4C093FA52
4C093FH06
(57)【要約】
【課題】放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【解決手段】
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置であって、装置本体(回診車RC)と、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部(制御部101)と、を有し、判定部は、放射線検出器と装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する移動式放射線撮影装置。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置であって、
装置本体と、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部は、前記放射線検出器と前記装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する移動式放射線撮影装置。
【請求項2】
動態撮影を制御する撮影制御部を備え、
前記撮影制御部は、
前記判定部が動態撮影に適切な状態であると判定した場合、放射線発生装置に放射線の照射を許可し、
前記判定部が動態撮影に適切な状態でないと判定した場合、放射線発生装置に放射線の照射を許可しない請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項3】
表示部を制御する表示制御部を備え、
前記表示制御部は、
前記判定部が動態撮影に適切な状態であると判定した場合、前記表示部に動態撮影に適切な状態であることを表示し、
前記判定部が動態撮影に適切な状態でないと判定した場合、前記表示部に動態撮影に適切な状態でないことを表示する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項4】
前記表示部は、管球モニター又は管球表示器である請求項3に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項5】
前記判定部は、前記放射線検出器と前記装置本体との物理的又は電気的な接続情報に基づいて判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項6】
前記判定部は、前記放射線検出器が前記装置本体に物理的又は電気的に接続された状態の場合、動態撮影に適切な状態でないと判定する請求項5に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項7】
前記判定部は、前記放射線検出器が有線で接続されていた場合、動態撮影に適切な状態でないと判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項8】
前記判定部は、前記放射線検出器が給電のため電気的に接続された状態の場合、動態撮影に適切な状態でないと判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項9】
前記判定部は、前記放射線検出器が前記装置本体の収納部に物理的に装填された状態の場合、動態撮影に適切な状態でないと判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項10】
前記判定部は、前記放射線検出器と放射線発生装置との同期状態に基づいて、動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項11】
前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報は、コンソールで選択された撮影台に関する情報である請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項12】
前記判定部は、前記撮影台と前記放射線検出器の角度の整合に基づいて、動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する請求項11に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項13】
前記判定部は、前記撮影台の種別と管球角度と前記放射線検出器の角度に基づいて、動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する請求項11に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項14】
前記放射線検出器の収納部の角度を検知する管球カメラを有し、
前記判定部は、前記管球カメラが検知した前記撮影機材の角度と前記放射線検出器の角度に基づいて判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項15】
前記判定部は、前記移動式放射線撮影装置と前記放射線検出器の紐づけが外れたら、動態撮影に適切な状態でないと判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項16】
判定部は、曝射スイッチが押下されたタイミングで判定する請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項17】
前記放射線検出器を収納する収納部を1つ以上備え、
少なくとも1つの前記収納部は、前記放射線検出器を収納した際に、前記放射線検出器の照射面を底面とした場合に側面となる面を構成する長辺であり、かつ、前記照射面の辺でもある長辺が略水平となり、かつ、前記長辺と2点以上で交わる鉛直面と前記照射面が成す角度が、1.5度以上であり、30度以下である、請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項18】
少なくとも1つの前記収納部は、前記収納部の底面にコネクターを備え、前記コネクターは、前記収納部に前記放射線検出器を収納した際に、前記放射線検出器のコネクターと接続可能であり、
前記収納部底面のコネクターと前記放射線検出器のコネクターは、両者が前記収納部内で接続した状態において、前記照射面が下向きとなるように配置されている、請求項17に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項19】
前記放射線検出器を収納する収納部を1つ以上備え、
少なくとも1つの前記収納部は、前記収納部の底面にコネクターを備え、前記コネクターは、前記収納部に前記放射線検出器を収納した際に、前記放射線検出器のコネクターと接続可能であり、
前記収納部底面のコネクターと前記放射線検出器のコネクターは、両者が前記収納部内で接続した状態において、照射面の上方向を示す印が上向きにならないように配置されている請求項1に記載の移動式放射線撮影装置。
【請求項20】
動態撮影が可能な放射線検出器であって、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部は、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する放射線検出器。
【請求項21】
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置における判定方法であって、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップを有し、
前記判定ステップは、前記放射線検出器と移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する判定方法。
【請求項22】
動態撮影が可能な放射線検出器における判定方法であって、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップを有し、
前記判定ステップは、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する判定方法。
【請求項23】
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置のコンピューターを、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記放射線検出器と移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定するプログラム。
【請求項24】
動態撮影が可能な放射線検出器のコンピューターを、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定するプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移動式放射線撮影装置、放射線検出器、判定方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般撮影室に据え置かれた据置放射線撮影装置を用いて、放射線撮影が行われていた。据置放射線撮影装置では、静止画撮影が行われていた。また、静止画撮影機能を搭載した移動式放射線撮影装置である回診車を用いた放射線撮影も行われていた。
【0003】
近年では、静止画撮影機能に加え、動態撮影機能も搭載した動態回診車を用いて、放射線撮影が行われるようになった。
【0004】
動態撮影では、放射線発生装置と放射線検出器が、通信連携されることにより、同期されている必要がある。
特許文献1には、放射線検出器と回診車の通信連携が確立しているかを確認し、動態撮影を行うことが記載されている。また、特許文献2には、動態撮影において、同期された放射線検出器がなければ放射線撮影を許可せず、警告することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-005073号公報
【特許文献2】特開2023-000005号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、動態回診車の登場により、動態撮影に対応していない据置放射線撮影装置が設置されている一般撮影室に動態回診車を持ち込んで動態撮影するケースが出てきた。この場合、据置放射線撮影装置と連携した撮影台に放射線検出器を装填して、動態回診車で動態撮影を行う。
【0007】
上記ケースにおいて、ユーザーは、その放射線検出器が、据置放射線撮影装置と動態回診車の何れと通信しているのか、見た目では認識できない。
そのため、ユーザーは、動態回診車と通信接続していない放射線検出器を、動態回診車と通信接続している放射線検出器と取り違えて、撮影台に装填してしまう可能性がある。この状態で撮影した場合、撮影が失敗になる。
また、上記課題は、複数の放射線検出器を備えた動態回診車において、選択すべき放射線検出器を取り違えた場合にも起こり得る。
【0008】
上記特許文献1では、撮影台に間違った放射線検出器が装填された場合でも通信は確立できてしまうため、上記取り違えを防止できない。
上記特許文献2では、撮影台に間違った放射線検出器が装填された場合でも同期できてしまうため、上記取り違えを防止できない。
【0009】
したがって、本発明の課題は、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の移動式放射線撮影装置は、
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置であって、
装置本体と、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部は、前記放射線検出器と前記装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【0011】
また、本発明の放射線検出器は、
動態撮影が可能な放射線検出器であって、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部と、を有し、
前記判定部は、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【0012】
また、本発明の判定方法は、
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置における判定方法であって、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップを有し、
前記判定ステップは、前記放射線検出器と移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【0013】
また、本発明の判定方法は、
動態撮影が可能な放射線検出器における判定方法であって、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップを有し、
前記判定ステップは、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【0014】
また、本発明のプログラムは、
動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置のコンピューターを、
動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記放射線検出器と移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【0015】
また、本発明のプログラムは、
動態撮影が可能な放射線検出器のコンピューターを、
前記放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能させ、
前記判定部は、前記放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、前記放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と前記放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の放射線撮影システムを示す概略構成図である。
図2】コンソールの構成を示すブロック図である。
図3】据置放射線撮影装置の構成を示すブロック図である。
図4】FPDの構成を示すブロック図である。
図5】第1判定処理を表すフローチャートである。
図6】第1撮影選択画面の例である。
図7】第2判定処理を表すフローチャートである。
図8】第2撮影選択画面の例である。
図9】FPDが立位撮影台の収納部に収納されたイメージ図である。
図10】FPDの姿勢情報を表す表である。
図11】撮影台の状態の例である。
図12】第3判定処理を表すフローチャートである。
図13】第4判定処理を表すフローチャートである。
図14】FPDが回診車の収納部に収納されたイメージ図である。
図15】FPDが臥位撮影台の収納部に収納されたイメージ図である。
図16】立位チルト撮影台の状態の例である。
図17】チルト角度の計算式を表す表である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。但し、以下に述べる実施形態には、本発明を実施するために技術的に好ましい種々の限定が付されている。そのため、本発明の技術的範囲を以下の実施形態及び図示例に限定するものではない。
【0019】
(放射線画像撮影システム100の構成)
まず、本実施形態における放射線画像撮影システム100の構成について説明する。
図1は、本実施形態における放射線画像撮影システム100の全体構成例を示す図である。図1に示すように、放射線画像撮影システム100は、移動式放射線撮影装置である回診車RCと、据置放射線撮影装置SRと、放射線画像撮影装置(放射線検出器)であるFPD(Flat Panel Detecter)3と、を備える。
回診車RCは、医療施設の撮影技師などのユーザーUが、回診対象の患者の回診時に、当該患者がいる病室や一般撮影室等の回診先に移動させて、患者を放射線撮影するための装置である。
据置放射線撮影装置SRは、患者を放射線撮影するための装置である。据置放射線撮影装置SRは、一般撮影室に据え置かれる。
FPD3は、回診車RCの管球110(後述)や据置放射線撮影装置SRの管球210(後述)などから放射された放射線Rに応じた放射線画像データを生成する装置である。図1は、回診車RCの管球110から放射線Rが放射されている例である。
FPD3は、回診車RCや据置放射線撮影装置SRと通信することで協働する。FPD3は、放射線画像データを生成する。FPD3と回診車RCとは、後述する通信部105を介した無線通信が可能である。また、FPD3と回診車RCとは、後述するコネクター108を介して有線通信が可能である。FPD3と据置放射線撮影装置4とは、後述するコネクター208を介して有線通信が可能である。また、FPD3と据置放射線撮影装置4とは、後述する通信部205を介した無線通信が可能である。
撮影台212は、撮影に使用するFPD3を配置する台である。収納部211は、撮影台212に設けられる。収納部211は、FPD3を格納する。図1の構成では、撮影台212が、立位撮影台の場合を例示している。撮影台212が、立位撮影台に限定されず、臥位撮影台などでもよい。また、撮影台212は、立位撮影台1台と臥位撮影台1台のように複数でもよい。
【0020】
(回診車RCの構成)
回診車RCは、コンソール1と、放射線源110と、を有する。
コンソール1は、ユーザーによる撮影選択画面(第1撮影選択画面D1、第2撮影選択画面D2)の選択等の操作を受け付ける。コンソール1は、ユーザー操作に基づいて放射線画像撮影システム100における撮影を制御する。また、コンソール1は、放射線源110やFPD3の状態を示す情報を取得して表示部103に表示する。
図2は、コンソール1の機能的構成を示すブロック図である。コンソール1は、図2に示すように、制御部101、操作部102、表示部103、記憶部104、通信部105、駆動部106、バッテリー107、コネクター108、給電部109等を備えて構成されている。
【0021】
制御部101は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部101のCPUは、操作部102の入力に応じて、記憶部104に記憶されているシステムプログラムや各種処理プログラムを読み出してRAM内に展開する。制御部101のCPUは、展開されたプログラムに従って各種処理を実行する。
制御部101は、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能する。
制御部101は、動態撮影を制御する撮影制御部として機能する。
制御部101は、表示部を制御する表示制御部として機能する。
【0022】
操作部102は、表示部103の表面を覆うように透明電極を格子状に配置したタッチパネル等を有する。操作部102は、手指やタッチペン等で押下された位置を検出する。そして、操作部102は、その位置情報を操作情報として制御部101に入力する。
また、操作部102は、ユーザーが放射線の曝射開始を指示するための曝射スイッチ102aを備える。
【0023】
表示部103は、LCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)等のモニターにより構成される。表示部103は、制御部101から入力される表示信号の指示に従って、表示を行う。
【0024】
記憶部104は、不揮発性の半導体メモリーやハードディスク等により構成される。記憶部104は、制御部101で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。
記憶部104には、後述する第1判定処理や第2判定処理において使用される判定条件が記憶される。
記憶部104には、後述する撮影機材属性情報が記憶される。
記憶部104には、後述する最大同期維持時間が記憶される。
また、記憶部104には、図示しないRIS(Radiology Information System)等から受信した検査オーダー情報、撮影された放射線画像等が記憶される。
【0025】
通信部105は、FPD3を始めとする外部装置と有線通信又は無線通信によりデータの送受信を行う。無線通信方式は、無線LAN(Local Area Network)、Bluetooth、赤外線通信などがある。また、それ以外の無線通信方式でもよいし、複数の無線通信方式に対応していてもよい。
外部装置には、RIS(Radiology Information Systems)や電子カルテシステム、他の放射線撮影システムが備えるコンソール、他の回診車、PACS(Picture Archiving and Communication System)、他の検査装置、ベッドシステム等が含まれる。
【0026】
駆動部106は、放射線源110の管球駆動を行う回路である。駆動部106と放射線源110とはケーブルを介して接続されている。
駆動部106は、放射線発生装置として機能する。
【0027】
バッテリー107は、コンソール1の各部及び放射線源110へ電力を供給する。バッテリー107は、ACケーブル(非図示)を介して外部から充電することが可能である。
【0028】
コネクター108は、例えば、ケーブル等を介してFPD3のコネクター306と接続する。
コネクター108は、例えば、後述する収納部111の内部に設けられている。コネクター108は、FPD3が格納されるとFPD3のコネクター306と接続される構成としてもよい。
また、コネクター108は、例えば、回診車RCから引き延ばされたケーブルの先に設けられてもよい。ユーザーは、回診車RCから引き延ばされたケーブルとFPD3を、コネクター108及びコネクター306を接続させることで、回診車RCとFPD3を接続させ、有線撮影可能である。
【0029】
給電部109は、制御部101からの制御に基づいて、バッテリー107から供給される電力により、コネクター108を介して接続されたFPD3に電力を供給する。
【0030】
放射線源110は、駆動部106により駆動される。放射線源110は、被写体Hに対し放射線(X線)を照射する。
【0031】
収納部111は、回診車RCの側面に設けられる。収納部111は、FPD3を格納する。また、収納部111は、一または複数のFPD3を格納することができる。また、収納部111は、回診車RCの側面に一または複数個設けられてもよい。図1の構成例では、複数の収納部111A、111B、111Cが回診車RCの側面に設けられている。
【0032】
(据置放射線撮影装置の構成)
据置放射線撮影装置SRは、コンソール2と、放射線源210と、を有する。
コンソール2は、ユーザーによる撮影選択画面の選択等の操作を受け付ける。コンソール2は、ユーザー操作に基づいて放射線画像撮影システム100における撮影を制御する。また、コンソール2は、放射線源210やFPD3の状態を示す情報を取得して表示部203に表示する。
図3は、コンソール2の機能的構成を示すブロック図である。コンソール2は、図3に示すように、制御部201、操作部202、表示部203、記憶部204、通信部205、駆動部206、バッテリー207、コネクター208、給電部209等を備えて構成されている。後述するコネクター208以外の各種構成の機能は、回診車RCの各種構成の機能と同様である。
上述した撮影台212は、コネクター208、収納部211を有する。
コネクター208は、例えば、ケーブル等を介してFPD3のコネクター306と接続する。コネクター208は、後述する収納部211の内部に設けられている。コネクター208は、FPD3が格納されるとFPD3のコネクター306と接続される構成としてもよい。
【0033】
(FPDの構成)
FPD3は、静止画撮影及び動態撮影に対応した、可搬型の放射線画像撮影装置(放射線検出器)である。静止画撮影とは、1回の撮影操作(曝射スイッチ102aの押下)に応じて一枚の被写体の画像を取得することをいう。動態撮影は、1回の撮影操作に応じて、被写体に対し、X線等の放射線をパルス状にして所定時間間隔で繰り返し照射するか(パルス照射)、もしくは、低線量率にして途切れなく継続して照射する(連続照射)ことで、被写体の複数の画像を取得することをいう。動態撮影により得られた一連の画像を動態画像(動画)と呼ぶ。また、動態画像を構成する複数の画像のそれぞれをフレームと呼ぶ。
ここで、動態撮影には、動画を表示しながら静止画を撮影するものは含まれない。動態画像には、動画像を表示しながら静止画像を撮影して得られた画像は含まれない。
FPD3は、図1に示すように、被写体Hを挟んで放射線源110や放射線源210に対向する位置に配置され、放射線源110や放射線源210から照射され、被写体Hを透過した放射線に応じた電荷を発生させ、発生した電荷を画像データとして読み出す。尚、FPD3は、図9(a)に示すように、およそ直方体状の筐体である。また、FPD3における最も面積の大きい2つの面の1つが、放射線を照射する面(照射面)になっている。照射面には、上方向を示す印(三角マーク)がついている。また、照射面を直方体の底面とした場合に側面にあたる4つの側面のうちの1つの側面(コネクター面)には、図1に示すように、後述するコネクター306が備わっている。
【0034】
図4は、FPD3の機能的構成を示すブロック図である。
図4に示すように、FPD3は、制御部301、記憶部302、表示部303、放射線画像撮影部304、通信部305、コネクター306、バッテリー307、切り替えSW308等を備えて構成されている。
【0035】
制御部301は、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等により構成される。制御部301のCPUは、記憶部302に記憶されている各種プログラムを読み出してRAM内に展開する。制御部301のCPUは、展開されたプログラムに従ってFPD3の各部を集中制御する。
制御部301は、放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部として機能する。
【0036】
記憶部302は、不揮発性の半導体メモリー等により構成される。記憶部302は、制御部301で実行される各種プログラムやプログラムにより処理の実行に必要なパラメーター、或いは処理結果等のデータを記憶する。また、後述する最大同期維持時間を記憶する。
また、記憶部302は、撮影された放射線画像を一時的に保存する。
【0037】
表示部303は、制御部301からの制御に従って各種情報を表示する。表示部303は、例えば、FPD3の筐体の側面に設けられている。
【0038】
放射線画像撮影部304は、例えば、ガラス基板上に二次元状に配列された放射線検出素子を備える。放射線検出素子は、フォトダイオード等の半導体イメージセンサーにより構成される。放射線検出素子は、放射線源110などから照射されて少なくとも被写体Hを透過した放射線をその強度に応じて検出する。放射線検出素子は、検出した放射線を電気信号に変換して蓄積する。各放射線検出素子には、例えばTFT(Thin Film Transistor)等のスイッチング部が接続されている。スイッチング部は、電気信号の蓄積及び読み出しを制御する、これにより、画像データが取得される。なお、FPDには、放射線を、シンチレータを介して光電変換素子により電気信号に変換する間接変換型と放射線を直接的に電気信号に変換する直接変換型があるが、何れを用いてもよい。
【0039】
通信部305は、図示しないアンテナ又はコネクター306を介して無線方式又は有線方式により、コンソール1やコンソール2等とデータの送受信を行う。無線通信方式には、無線LAN、Bluetooth、赤外線通信などがある。また、無線通信方式は、それら以外の無線通信方式でもよいし、複数の無線通信方式に対応していてもよい。
【0040】
コネクター306は、例えば、外部機器5のコネクターと直接又はケーブルを介して接続することで、外部機器5と接続することが可能な接続部である。外部機器5は、例えば、回診車、撮影台、クレードル等の、FPD3に給電可能な外部機器である。本実施形態では、回診車はコンソール1と一体的に構成されている。
【0041】
バッテリー307は、外部機器5から供給された電力を蓄積する。例えば、バッテリー307は、給電部109や給電部209から供給された電力を蓄積する。
【0042】
(放射線画像撮影システム100の動作)
次に、放射線画像撮影システム100の動作について説明する。以下では、回診車RCを用いて、説明するが、据置放射線撮影装置SRでも同様である。
放射線撮影にあたり、ユーザーである撮影実施者は、例えば、コンソール1において撮影対象の患者(被写体H)の撮影選択画面(第1撮影選択画面D1、第2撮影選択画面D2)を表示部103に表示させる。撮影実施者は、操作部102の操作により撮影情報を選択する。
例えば、撮影情報には、使用する機材情報、撮影種別(静止画撮影/動態撮影、有線撮影/無線撮影)や撮影部位、撮影方向等が含まれる。
機材情報には、使用するFPD3の情報や、使用するFPD3と組み合わせて使用する撮影機材の情報が含まれる。撮影機材とは、例えば、撮影台212やその収納部211である。
また、ユーザーは、被写体H、放射線源110、FPD3のポジショニングを行う。
【0043】
コンソール1において、操作部102の操作により撮影情報が選択されると、制御部101は、選択された撮影情報での放射線照射条件を駆動部106に設定する。また、制御部101は、選択された撮影情報に応じた画像読取条件を通信部105によりFPD3に送信する。
【0044】
撮影準備が完了すると、ユーザーは、曝射スイッチ102aの第1スイッチを押下し、続いて第2スイッチを押下する。
曝射スイッチ102aの第1スイッチが押下されると、制御部101は、駆動部106により放射線源110のX線管球の陽極の回転を開始させる等して、放射線源110をスタンバイ状態とさせる。また、制御部101は、通信部105によりFPD3に第1スイッチの押下通知信号を送信する。FPD3の制御部301は、通信部305により第1スイッチの押下通知信号を受信すると、放射線画像撮影部304において放射線検出素子に残存する電荷を放射線検出素子内から除去するリセット処理を開始させる。リセット処理が終了すると、制御部301は、通信部305によりコンソール1にリセット処理の完了を通知する。
曝射スイッチ102aの第2スイッチが押下され、リセット処理の完了通知を受信すると、制御部101は、設定された放射線照射条件に基づいて駆動部106により放射線源110を駆動して放射線照射を行わせる。FPD3の制御部301は、リセット処理の完了を通知すると、受信した画像読取条件に基づいて放射線画像撮影部304により照射時間より長い期間(蓄積期間)、放射線を蓄積させる。その後、制御部301は、画像の読出しを行わせ、放射線画像を撮影する。
【0045】
ここで、放射線照射のタイミングと放射線の蓄積のタイミングは、整合がとれている必要がある。静止画撮影では1回の照射を行うだけであるため、蓄積時間を照射時間より十分に長くとることができる。そのため、十分に長い蓄積期間中に照射できればよく、厳密なタイミング合わせは不要である。つまり、放射線照射の準備と蓄積の蓄積との両方が終っていること(静止画撮影準備完了)をもって、照射および蓄積が、開始されればよい。一方で、動態撮影では、例えば15fpsのフレームレートの動態撮影であれば蓄積と読出しを1秒間に15セット繰り返す必要がある。そのため、動態撮影では、1フレームあたりの蓄積時間が1つのX線パルス照射の照射時間に対して時間的余裕が小さい。それにより、厳密なタイミング合わせが必要となる。そのため、コンソール1とFPD3を同期させる必要がある。
同期には、有線同期と無線同期がある。有線同期では、コンソール1とFPD3は、有線を介して撮影期間中に渡って共有される有線同期タイミング信号に基づき同期する。尚、有線同期タイミング信号の共有は、撮影前から行われてもよいが、少なくとも撮影期間中は共有され続ける必要がある。有線同期タイミング信号は、FPD3とコンソール1のどちらかにより生成され、もう一方に共有されると共に、自身でも使用される。ここではコンソール1の制御部101が有線同期タイミング信号を生成する場合について説明する。制御部101は、動態撮影のフレームレートに応じた有線同期タイミング信号を生成する。制御部101は、少なくとも、撮影期間中に渡って駆動部106とFPD3に有線同期タイミング信号を送り続ける。駆動部106は、撮影期間中に共有され続ける有線同期タイミング信号に含まれる各X線パルスの照射タイミングを受信する度に、管球110を制御して放射線を照射させる。FPD3も撮影期間中に共有され続ける有線同期タイミングに含まれる毎フレームの蓄積タイミング(もしくは読出しタイミング)を受信する度に、蓄積および読出しを行い、各フレームの画像を生成する。有線同期は、動態撮影中に動態撮影のフレームの都度、リアルタイムに照射タイミングと蓄積タイミング(もしくは読出しタイミング)を同期する動態撮影用リアルタイム同期方式と言える。有線同期においては、有線同期タイミング信号を共有中の状態又は共有する準備を終えた状態を同期済状態と呼ぶ。有線同期においては、同期済でない状態(共有されていない状態や共有する準備が終わっていない状態)を同期外れ状態と呼ぶ。
一方、無線同期では、撮影開始するより前に、放射線照射のタイミングと放射線の蓄積のタイミング(もしくは読出しタイミング)の整合が合うように、これらのタイミング情報をコンソール1とFPD3の間で共有する必要がある。
【0046】
ここで、無線同期の例について説明する。
例えば、FPD3を収納部111に収納することで、コネクター108を介してコンソール1と撮影開始より前に有線接続して、有線接続経由でコンソール1の中で生成した所定周期で繰り返す画像生成用パルス信号をコンソール1からFPD3に送信する。
次に、FPD3はその画像生成用パルス信号のタイミングを記憶しておき、受信した繰り返すパルス信号を、FPD3が持つ発信器で生成したクロックを使って真似して、FPD3の中で同等のコピー画像生成用パルス信号を作る。
その後、FPD3はコネクター108から外されて無線接続状態なるが、無線状態でもこのコピー画像生成用パルス信号の生成を続ける。
曝射スイッチ102aの第1スイッチもしくは第2スイッチの押下をトリガーに、FPD3はコピー画像生成用パルス信号に従って、蓄積と読出しを繰り返す。
一方でコンソール1は、曝射スイッチ102aの第2スイッチの押下をトリガーに駆動部106に所定周期の照射用パルスを発生させる。照射用パルスと画像生成用パルスは連動しており、同じ周期で位相が異なっている。駆動部106は、各パルスのタイミングに従って放射線を照射させる。無線同期は、撮影開始より前又は各フレームより前に予め同期を行っておく、動態撮影用非リアルタイム同期方式又は動態撮影用事前同期方式と言える。無線同期は、動態撮影中に動態撮影のフレームの都度、照射タイミングと蓄積タイミング(もしくは読出しタイミング)を同期するものではない。
以上の動作により、照射タイミングと複数の蓄積・読出しタイミングの整合がとれたものになる。この整合がとれた状態を同期済状態と呼ぶ。無線同期方法はこれ以外でもよい。例えば、コンソール1とFPD3の間で時刻情報を、撮影を開始するより前に合わせておくことで、予め決めた時刻に照射と蓄積・読出しを行うことで、照射タイミングと複数の蓄積・読出しタイミングの整合をとってもよい。
なお、FPD3がコピー画像生成用パルス信号の生成に用いる発振器と、コンソール1が照射用パルス信号の生成に用いる発振器は異なるものである。そのため、コピー画像生成用パルスの生成時点(同期開始時点)からの経過時間が長くなるほど、照射用パネル信号とコピー画像生成用パルス信号のタイミングのずれが大きくなる。そして、ずれが大きくなりすぎると照射タイミングと蓄積・読出しタイミングの整合が取れなくなる。つまり、FPD3とコンソール1は、同期がとれていない状態(同期外れ状態)になる。すなわち、FPD3とコンソール1は、動態撮影に適さない状態になる。同様の理由により、時刻情報を用いて同期をとる方式も時刻合わせを行った時点(同期開始時点)の経過時間が長くなると、FPD3とコンソール1は、同期外れ状態になる。同期が維持できる最大時間(最大同期維持時間)は、FPD3の発振器とコンソール1の発振器の時計精度によって決まる。制御部101又は/及び制御部301は、同期開始時点からの経過時間を計時し、記憶部104又は/及び記憶部302に保持した最大同期維持時間を超えたら同期外れ状態と判断する。
【0047】
(第1判定処理)
次に、図5のフローチャートを用いて第1判定処理を説明する。第1判定処理とは、回診車RCの制御部101が、FPD3の接続情報に基づいて、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態であるか判定する処理である。
【0048】
第1判定処理は、ユーザーにより、コンソール1の表示部103に表示された図6に示す第1撮影選択画面D1において、撮影情報が選択されたことを起点として開始される。
図6に示す第1撮影選択画面D1では、領域I1~I4を選択すると実施する撮影情報を選択できる。領域I1~I4には、それぞれ撮影に使用するFPD3が紐づいており、撮影の選択と同時に撮影に使用するFPD3が選択される。撮影情報には、使用する機材情報(FPD3)、撮影種別(静止画撮影/動態撮影、有線撮影/無線撮影)や撮影部位、撮影方向等が含まれる。なお、ユーザーは、撮影情報に含まれるこれらの情報を、個別に選択を変更することができる。例えば、ユーザーは、使用する機材情報(FPD3)のみを変更したり、撮影種別の静止画撮影か動態撮影かのみを変更したりできる。
撮影情報が選択されると、制御部101は、撮影情報を取得する(ステップS11)。つまり、撮影情報が選択されたことを受けて、制御部101は、撮影情報選択後に実施する撮影の撮影種別と、撮影部位と、撮影方向と、その撮影に使用する機材との組合せを選択し、決定する。
【0049】
次に、制御部101は、通信部105又はコネクター108を介して、FPD3の接続情報を取得する(ステップS12)。接続情報は、無線接続又は有線接続を示す情報である。無線接続は、例えば、コンソール1とFPD3が、通信部105と通信部305を介して、無線で接続されている状態である。有線接続は、例えば、コンソール1とFPD3が、コネクター108とコネクター306を介して、物理的および/又は電気的に接続されている状態である。
物理的な接続とは、例えば、コネクター108とコネクター306の接合部がかみ合っている状態などである。具体的にはコネクター108とコネクター306の接続部を篏合する構造にし、コネクター108又はコネクター306に篏合状態と非篏合状態を判別する接触センサーを設けておき、接触センサーが接触を検知したら、物理的に接続された状態を見なす。また、通信部105と通信部305は、コネクター108とコネクター306が近接されると非接触で通信できる非接触型近接通信であってもよい。非接触型近接通信の場合は、コネクター108とコネクター306が通信可能な距離まで近接したこと、つまり、非接触型近接通信が可能な幾何学的配置となったことを、物理的な接続と見なす。すなわち、ここでは非接触型近接通信は、有線接続の1つとみなされる。非接触型近接通信が可能な幾何学的配置となったことは、非接触型近接通信が行えたことをもって物理的に接続されたと見なしてもよい。また、非接触型近接通信とは別の幾何学的配置を検知するセンサー(近接センサーなど)を使い、幾何学的配置を検知したら物理的に接続されたと見なしてもよい。
電気的な接続とは、例えば、コネクター108とコネクター306が導通している状態(例えば、有線LAN接続状態、給電状態)などである。なお、コネクター108とコネクター306を近接させることで給電を行う非接触型給電もここでは有線接続の1つと見なす。非接触型給電による給電状態も、電気的な接続状態と見なす。
なお、上記では、制御部101は、通信部105又はコネクター108を介してFPD3の接続情報を取得している。しかし、制御部101は、収納部111に設けられたセンサーなどを用いてFPD3が収納部111に収納されている(物理的な接続状態、又は、物理的に装填された状態)ことを検知し、FPD3の接続情報を取得してもよい。具体的には、収納部111の内側壁面に接触センサーを配置し、FPD3が収納部111に入ったことによるFPD3と接触センサーの接触を接触センサーが検知し、収納されている(FPD3が収納部に物理的に接続された状態)と見なす。また、接触センサーが接触を検知していない間は収納されていない(FPD3が収納部に物理的に接続されていない状態)と見なす。接触センサーの代わりに近接センサーを収納部111の内部壁面に配置し、FPD3が近接センサーに近接したかどうか、つまりFPD3と近接センサーを取り付けた収納部111との距離の程度によって収納されているか否かを検知してもよい。すなわち、ここでの物理的な接続状態は、FPD3が収納部111に物理的に充填された状態を指し、さらに物理的に充填された状態とは収納部111とFPD3が接触した状態だけでなく、近接した状態も含む。近接センサーの方式は問わず、例えば、電磁誘導を利用する誘導型近接センサー、静電容量の変化を利用する静電容量型近接センサー、磁石を利用する磁気近接センターなどを用いてもよい。
【0050】
次に、制御部101は、曝射スイッチ102aが押下されたか判断する(ステップS13)。
曝射スイッチ102aが押下された場合(ステップS13;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS14に進める。曝射スイッチ102aが押下されていない場合(ステップS13;NO)、制御部101は、第1判定処理を、再度ステップS12に進める。これにより最新の接続情報を取得する。
なお、曝射スイッチ102aは、第1スイッチと第2スイッチの2段構成となっている。曝射スイッチ102a押下の判断は、第1スイッチと第2スイッチのいずれでもよい。第1スイッチ押下時の方が、より早く通知できるので望ましい。
なお、曝射スイッチ102aが押下される以前であれば、第1撮影選択画面D1で撮影情報を再選択、もしくは、第1撮影選択画面D1の操作や切り替えSW308の操作によって一部の撮影情報を変更することができるようになっている。このように撮影情報が変更された場合、制御部101は、第1判定処理を、再度ステップS11に進める。これにより制御部101は、撮影情報を再取得する。尚、曝射スイッチ102aが押下された後(第1スイッチ押下された後が望ましい)は、制御部101は撮影情報の再選択および変更を受け付けない。この仕組みによって誤操作によって意図しない撮影条件で撮影してしまうことを回避できる。また、後述する撮影情報を用いた各種判断(S14~S16)が間違った撮影情報で行われないようにできる。
【0051】
次に、制御部101は、ステップS11で取得した撮影情報に基づき、動態撮影かどうか判断する(ステップS14)。これを撮影種別判定と呼ぶ。
撮影情報の撮影種別が動態撮影の場合(ステップS14;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS15に進める。動態撮影でない場合(ステップS14;NO)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS19に進める。
【0052】
次に、制御部101は、通信部105又はコネクター108を介して、FPD3の同期情報を取得し、FPD3が同期済状態か同期外れ状態かを判断する(ステップS15)。これを同期判定と呼ぶ。
同期済状態の場合(ステップS15;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS16に進める。同期外れ状態の場合(ステップS15;NO)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS18に進める。
【0053】
次に、制御部101は、ステップS11で取得した撮影情報に基づき、これから実施する撮影が無線撮影かどうか判断する(ステップS16)。これを無線有線判定と呼ぶ。
撮影情報の撮影種別が無線撮影の場合(ステップS16;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS17に進める。無線撮影でない場合(ステップS16;NO、有線撮影の場合)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS110に進める。
【0054】
次に、制御部101は、FPD3の接続情報に基づき、FPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続された状態か判断する(ステップS17)。これを無線時接続判定と呼ぶ。
FPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続された状態の場合(ステップS17;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS18に進める。この場合、制御部101は、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態ではないと判断する。動態撮影に適切な状態ではない状態とは、そのまま撮影すると撮影を失敗する又は失敗する可能性が高い状態、特に装置に起因する撮影失敗の危険が高い状態である。FPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続されていない状態の場合(ステップS17;NO)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS19に進める。この場合、制御部101は、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態であると判断する。動態撮影に適切な状態とは、そのまま撮影しても撮影を失敗する危険が十分に低い状態、特に装置に起因する撮影失敗の危険が十分に低い状態である。
【0055】
次に、制御部101は、管球110からの放射線の照射を不許可とし、表示部103に警告表示する(ステップS18)。なお、照射不許可及び警告表示のうち、いずれか一方でもよい。また、撮影に適切でないと判断した理由の危険レベルに応じて照射不許可および警告表示の動作は、切り替えられてもよい。例えば、危険レベルが高いものは照射不許可と警告表示の両方として、危険レベルが低い場合は警告表示のみにする。例えば、同期判定は危険レベル高、無線時接続判定と有線時接続判定は危険レベル低とする。また各判定理由の危険レベルはユーザーが設定できるようにしてもよい。
【0056】
次に、制御部101は、撮影が完了したかどうか判断する(ステップS19)。撮影が完了している場合(ステップS19;YES)、制御部101は、第1判定処理を、終了させる。撮影が完了していない場合(ステップS19;NO)、制御部101は、第1判定処理を、所定時間経過後、再度ステップS12に進める。
【0057】
有線撮影の場合(ステップS16;NO)、制御部101は、FPD3の接続情報に基づき、FPD3の接続状態が、適切な接続状態か判断する(ステップS110)。これを有線時接続判定と呼ぶ。適切な接続状態とは、物理的および電気的に接続された接続先が正しいことを指す。接続先は、撮影情報に含まれる。
制御部101は、例えば、装置や装置種別ごとに、適切な接続状態か判断してもよい。
制御部101は、例えば、有線ケーブルや有線ケーブル種別ごとに、適切な接続状態か判断してもよい。有線ケーブル種別とは、単なる有線ケーブルの種別に限定されず、有線ケーブルが配置されている場所や、有線ケーブルの接続先の装置(回診車、据置放射線撮影装置、撮影台など)、有線ケーブルが持つ特徴(ケーブル長やコネクターの脱着容易性)や機能(給電機能の有無、通信機能の有無、同期機能の有無)などに基づいて分けられた種別でもよい。例えば、有線ケーブルのケーブルIDの特定の桁を種別判定用とし、制御部101は、その種別を使って、有線ケーブル種別を判定してもよい。なお、制御部101は、コネクター108や有線ケーブルを介して、ケーブルIDを取得可能である。
また、一つの回診車RCに、有線撮影が可能な有線ケーブルと有線撮影が不可能な有線ケーブルの両方が設けられている場合がある。例えば、有線撮影用の引き延ばし可能な有線ケーブルと収納部111に設けられた有線撮影が不可能な有線ケーブルが、設けられている場合がある。このような場合にも、制御部101は、適切な接続状態か判断することができる。
適切な接続状態の場合(ステップS110;YES)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS19に進める。適切な接続状態でない場合(ステップS110;NO)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS18に進める。
【0058】
上述した第1判定処理によれば、FPD3が動態撮影に不適切な状態の場合、警告表示および/又は照射不許可となり、FPD3のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0059】
(第2判定処理)
次に、図7のフローチャートを用いて第2判定処理を説明する。第2判定処理とは、回診車RCの制御部101が、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報とFPD3の姿勢を表す幾何学的配置情報に基づいて、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態であるか判定する処理である。
【0060】
第2判定処理は、ユーザーにより、コンソール1の表示部103に表示された図8に示す第2撮影選択画面D2において、撮影情報が選択されたことを起点として開始される。
図8に示す第2撮影選択画面D2では、領域I5~I8を選択すると実施する撮影情報を選択できる。領域I5~I8には、それぞれ撮影に使用するFPD3及びFPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材が紐づいており、撮影の選択と同時に撮影に使用するFPD3と、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材が選択される。撮影情報には、使用する機材情報(FPD3と、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材)、撮影種別(静止画撮影/動態撮影、有線撮影/無線撮影)や撮影部位、撮影方向等が含まれる。撮影機材の例としては、立位撮影台、臥位撮影台、なし(FPD3を撮影台に入れずに撮影するカセッテ撮影)などの撮影台情報がある。また、撮影機材には、図11に示す収納部211bが回転(チルト)することが可能な立位撮影台212b(立位チルト撮影台)を含めてもよい。その場合、「立位チルト撮影台0度」、「立位チルト撮影台30度」「立位チルト撮影台45度」などのように撮影時にセッティングする収納部211bの回転角度(撮影台チルト角度θ’ )に応じた撮影台が選択されるようにしてもよい。なお、撮影情報に含まれるこれらの情報は、個別に選択を変更されることができる。例えば、ユーザーは、使用する機材情報(FPD3)のみを変更したり、撮影種別の静止画撮影か動態撮影かのみを変更したりできる。
撮影情報が選択されると、制御部101は、撮影情報を取得する(ステップS21)。つまり、撮影情報が選択されたことを受けて、制御部101は、撮影情報選択後に実施する撮影の撮影種別と、撮影部位と、撮影方向と、その撮影に使用する機材との組合せを選択し、決定する。
【0061】
次に、制御部101は、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報として、該当する撮影機材属性情報を記憶部104から取得する(ステップS22)。
撮影機材属性情報には、撮影機材にFPD3が収納された場合のFPD3の必要幾何学的配置情報が含まれる。例えば、撮影機材が図1に示す撮影台212のような立位撮影台の場合、収納部211は垂直であるから、FPD3の必要幾何学的配置情報とは、「垂直」となる。例えば、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材が、「立位チルト撮影台30度」である場合、FPD3の必要幾何学的配置情報とは、「チルト」「撮影台チルト角度θ’=30度」となる。
【0062】
次に、制御部101は、FPD3から、通信部105又はコネクター108を介して、FPD3の幾何学的配置情報を取得する(ステップS23)。
FPD3の幾何学的配置情報は、FPD3に搭載した3軸加速度センサー(姿勢検出センサー)で検出できるX軸、Y軸、Z軸の各軸方向の加速度データを元に判断したこの時点でのFPD3の姿勢情報である。3軸加速度センサーには、FPD3の動的な加速度だけでなく、重力加速度等の静的な加速度も検出可能なセンサーを用いる。このセンサーでは、FPD3が静止状態にある場合に、重力方向に対するX軸、Y軸、Z軸の各軸の傾斜角に応じた加速度が検出される。ここでは、図9(a)に示すように、FPD3の長辺方向にX軸をとり、短辺方向にY軸をとり、厚さ方向にZ軸をとっている。また、図9(a)のX軸、Y軸、Z軸の各矢印の方向に加速度が加わった場合、姿勢検出センサーの値は正の値となり、矢印と反対の方向に加速度が加わった場合は負の値となるものとする。
【0063】
ここで、FPD3の姿勢の判断方法を説明する。
例えば、図9(a)に示すように、立位方式での縦長撮影を行う場合、すなわち、FPD3が立位型収納部211に垂直縦向きに装填された状態で維持されている場合には、鉛直方向のX軸方向のみに重力加速度が加わる。そのため、姿勢検出センサーからの3軸方向の電圧値は、X軸方向の出力の絶対値|X|がほぼ1Gとなり、Y軸方向およびZ軸方向の出力の絶対値はほぼ0となる。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、制御部101は、X軸方向の出力の絶対値|X|のみがほぼ1Gであり(すなわち、|X|≒1G、|Y|≒0、|Z|≒0であり)、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「垂直(縦長)」と判断することとした。
また、図9(b)に示すように、立位方式で横長撮影を行う場合、すなわち、FPD3が立位型収納部211に垂直横向きに装填されている場合には、鉛直方向のY軸方向のみに重力加速度が加わる。そのため、姿勢検出センサーからの3軸方向の電圧値は、Y軸方向の出力の絶対値|Y|がほぼ1Gとなり、X軸方向およびZ軸方向の出力の絶対値はほぼ0となる。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、制御部101は、Y軸方向の出力の絶対値|Y|のみがほぼ1Gであり(すなわち、|X|≒0、|Y|≒1G、|Z|≒0であり)、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「垂直(横長)」と判断することとした。
また、図15(a)に示すように、臥位方式で縦長撮影を行う場合、すなわち、FPD3が臥位撮影台の収納部211cに水平縦向きに装填された状態で維持される場合や、図15(b)に示すように、臥位方式で横長撮影を行う場合、すなわち、FPD3が臥位撮影台の収納部211cに水平横向きに装填された状態で維持される場合には、鉛直方向のZ軸方向のみに重力加速度が加わる。そのため、姿勢検出センサーからの3軸方向の電圧値は、Z軸方向の出力の絶対値|Z|がほぼ1Gとなり、X軸方向およびY軸方向の出力の絶対値はほぼ0となる。
そこで、本実施形態では、図10に示すように、制御部101は、Z軸方向の出力の絶対値|Z|のみがほぼ1Gであり(すなわち、|X|≒0、|Y|≒0、|Z|≒1Gであり)、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「水平」と判断することとした。
また、FPD3が斜めで、かつ、Y軸方向が水平の状態で維持される場合、すなわち、図11に示す立位チルト撮影台212bの収納部211bに、FPD3が図9(a)のように垂直縦向きに装填された状態から図16の様に30度回転(チルト)した後に維持されるような場合には、水平方向のY軸方向には重力加速度は加わらず、X軸とZ軸方向に重力加速度が分散されて加わる。そのため、姿勢検出センサーのX軸方向の出力の絶対値|X|がαG、Y軸方向の出力の絶対値|Y|が約0、Z軸方向の出力の絶対値|Z|がγGとなる。ここで、α、γの二乗和の平方根は約1である。
そこで、図10に示すように、制御部101は、Y軸方向の出力の絶対値|Y|のみがほぼ0であり、かつ、X軸方向の出力の絶対値|X|とZ軸方向の出力の絶対値|Z|が共に有意な正の値であって、かつ、|X|、|Z|の二乗和の平方根が約1Gであり、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「チルト(縦長)」と判断することとした。
また、FPD3が斜めで、かつ、X軸方向が水平の状態で維持される場合、すなわち、図11に示す立位チルト撮影台212bの収納部211bに、FPD3が図9(b)のように垂直縦向きに装填された状態から図16の様に30度回転(チルト)した後に維持されるような場合には、水平方向のX軸方向には重力加速度は加わらず、Y軸とZ軸方向に重力加速度が分散されて加わる。そのため、姿勢検出センサーのX軸方向の出力の絶対値|X|が約0、Y軸方向の出力の絶対値|Y|がβG、Z軸方向の出力の絶対値|Z|がγGとなる。ここで、β、γの二乗和の平方根は1である。
そこで、図10に示すように、制御部101は、X軸方向の出力の絶対値|X|のみがほぼ0であり、かつ、Y軸方向の出力の絶対値|Y|とZ軸方向の出力の絶対値|Z|が共に有意な正の値であって、かつ、|Y|、|Z|の二乗和の平方根が約1Gであり、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「チルト(横長)」と判断することとした。
制御部101は、チルト(縦長)またはチルト(横長)と判断した際に、FPD3のチルトの回転角度θ(FPDチルト角度θ)を姿勢検出センサーの出力を用いて求める。ここでθは、-180度より大きく、+180度以下であり、FPD3の照射面が上に向いている時に正の値になり、下に向いている時は負の値になる。また、θは、FPD3の姿勢が「垂直(縦長)」もしくは「垂直(横長)」の時は0度、FPD3の姿勢が「水平」で照射面が上向きの時は+90度、FPD3の姿勢が「水平」で照射面が下向きの時は-90度になる。姿勢検出センサーを用いたθの算出方法について説明する。チルト(縦長)の時には姿勢検出センサーの出力Xはα’G、出力Yは約0、出力Zはγ’Gとなり、α’、γ’の二乗和の平方根は約1となる。制御部101は、チルト(縦長)の時のFPDチルト角度θを図17に示すチルト(縦長)のFPDチルト角度θ計算式で求める。例えば、図16に示すように、X=-((√3)/2)G、Y=0、Z=-0.5Gの場合、α’=-((√3)/2)、γ’=-0.5であり、図17のα’が0以下かつγ’が0以下の場合に該当する。そのため、FPDチルト角度θはθ=sin-1(-γ’)×180/πの式を用い、30度と求まる。
また、チルト(横長)の時には姿勢検出センサーの出力Xは約0、出力Yはβ’G、出力Zはγ’Gとなり、β’、γ’の二乗和の平方根は約1となる。制御部101は、チルト(横長)の時のFPDチルト角度θを図17に示すチルト(横長)のFPDチルト角度θ計算式で求める。
また、FPD3がX軸方向、Y軸方向、Z軸方向にそれぞれ傾いた状態で維持される場合には、姿勢検出センサーのX軸方向の出力の絶対値|X|がαG、Y軸方向の出力の絶対値|Y|がβG、Z軸方向の出力の絶対値|Z|がγGとなる。ここで、α、β、γの二乗和の平方根は約1であり、α、β、γはいずれも有意な正の値である(約0ではない)。
そこで、図10に示すように、制御部101は、X軸方向、Y軸方向、Z軸方向の各出力の絶対値|X|、|Y|、|Z|の3つ全てが有意な正の値であって、3軸方向の出力の二乗和の平方根が約1Gであり、かつ、これらの値が所定時間の間連続して変化しない場合に、FPD3の姿勢を「その他斜め」と判断することとした。
【0064】
ステップS24-S26は、ステップS13-S15と同様のため、説明を省略する。ステップS28-S29は、ステップS18-S18と同様のため、説明を省略する。
【0065】
次に、制御部101は、ステップS22で取得したFPD3の必要幾何学的配置情報とステップS23で取得したFPD3の幾何学的配置情報に基づき、FPD3の幾何学的配置情報が必要幾何学的配置情報と合致するか判断する(ステップS27)。これを幾何学的配置判定と呼ぶ。
例えば、必要幾何学的配置情報が「垂直」でFPD3の幾何学的配置情報が「垂直(縦長)」もしくは「垂直(横長)」の場合、制御部101は、合致したと判断する。つまり、制御部101は、姿勢種別によって判断している。例えば、必要幾何学的配置情報が「チルト」「撮影台チルト角度θ’=30度」の場合、幾何学的配置情報が「チルト(縦長)」もしくは「チルト(横長)」であり、かつ、FPDチルト角度θが30度の場合、制御部101は、合致したと判断する。つまり、制御部101は、姿勢種別とFPD3および撮影台の角度情報に基づいて判断している。
FPD3の幾何学的配置情報が必要幾何学的配置情報と合致する場合(ステップS27;YES)、制御部101は、第2判定処理を、ステップS29に進める。この場合、制御部101は、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態であると判断する。FPD3の幾何学的配置情報が必要幾何学的配置情報と合致しない場合(ステップS27;NO)、制御部101は、第1判定処理を、ステップS28に進める。この場合、制御部101は、動態撮影するために選択されたFPD3が、動態撮影に適切な状態ではないと判断する。
【0066】
上述した第2判定処理によれば、FPD3が動態撮影に不適切な状態の場合、警告表示および/又は照射不許可となり、FPD3のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0067】
なお、ステップS22において、制御部101は、通信部105及び通信部205を介して、据置放射線撮影装置SRから、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報を取得してもよい。
例えば、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材が図11に示す立位撮影台の場合について説明する。図11に示す立位撮影台212bでは、収納部211bが回転(チルト)する。据置放射線撮影装置SRの制御部201は、収納部211bの回転部に備えられたセンサーにより、収納部211bの回転角度(撮影台チルト角度θ’)を取得する。そして、制御部101は、通信部105及び通信部205を介して、撮影台チルト角度θ’を必要幾何学的配置情報として取得する。
【0068】
また、ステップS22において、制御部101は、管球110に備えられた、可視光で光学的に撮影する管球カメラを用いて、管球カメラが取得した可視光画像に写った撮影台の形状から撮影台チルト角度θ’を算出してもよい。具体例について説明する。放射線Rの照射方向と、管球カメラの撮影方向が同じ場合になるように配置した場合、収納部211bの照射面の中心に放射線Rの中心をあわせ、かつ、放射線Rを水平にした場合、可視光画像に写った収納部211bの上部の面の長手方向の長さLと、収納部211bの下部の面の長手方向の長さLの関係は、撮影台チルト角度θ’=0の場合、L=Lになり、Lに対するLの比率L/Lは1になる。また、撮影台チルト角度θ’が正の値の場合、値が大きくなるほど比率L/Lは小さい値になり、撮影台チルト角度θ’が負の値の場合、θ’の絶対値|θ’|の値が大きくなるほど比率L/Lは大きな値になる。比率L/Lは、管球110から収納部211bの距離が決まっている場合、撮影台チルト角度θ’ごとに決まった値になる。予め、管球110から収納部211bの距離ごとに比率L/Lと撮影台チルト角度θ’の関係が、テーブルとして予め記憶部104に記憶されているものとする。そして、制御部101は、可視光画像から画像認識処理によって求めた比率L/Lと可視光画像から画像認識処理によって求めた管球110から収納部211bの距離を使って記憶部104のテーブルを参照することで撮影台チルト角度θ’を求める。可視光画像から画像認識処理によって管球110から収納部211bの距離を求める方法は、例えば、立位チルト撮影台212bの動かない部分(支柱など)の可視光画面上の長さは、管球110から収納部211bの距離に依存するため、例えば支柱の長さと管球110から収納部211bの距離の関係をテーブルとして予め記憶部104に記憶しておき、可視光画像から画像認識処理によって求めた支柱の長さを使って記憶部104のテーブルを参照することで管球110から収納部211bの距離を求める。ここで算出された撮影台チルト角度θ’は必要幾何学的配置情報となる。
尚、管球カメラの可視光画像からの撮影台チルト角度θ’の導出方法は、上記以外でもよい。例えば、立位チルト撮影台212bと収納部211bが写った可視光画像にその画像の撮影台チルト角度θ’を教師データとして紐づけて学習させた機械学習モデルを用いて、導出してもよい。
尚、管球カメラは管球110の筐体と一体になっていてもよいし、管球110の筐体の外側に取り付けられていてもよい。また、管球110に取り付けられたコリメータの筐体と一体になっていてもよいし、コリメータの筐体の外側に取り付けられていてもよい。
【0069】
また、ステップS22において取得されるFPD3の必要幾何学的配置情報は、管球110の角度から算出されてもよい。例えば、管球110の照射方向が水平な場合、FPD3の必要幾何学的配置情報は「垂直」となる。管球110の照射方向が水平に対して下向き30度の場合、FPD3の必要幾何学的配置情報は「チルト」「撮影台チルト角度θ’=30度」となる。
【0070】
また、ステップS27において、選択された撮影台から期待されるFPD3の必要幾何学的配置情報と、管球の角度情報から期待されるFPD3の必要幾何学的配置情報、実際のFPD3の幾何学的配置情報の3つのうちいずれか揃わない場合は、制御部101は、FPD3の幾何学的配置情報が必要幾何学的配置情報と合致しないと判断してもよい。
また、ステップS28は、第1判定処理と同様であるが、危険レベルに応じた照射不許可および警告表示を行う場合、幾何学的配置判定は危険レベル低とするとよい。
【0071】
(その他)
上記では、第1判定処理と第2判定処理を分けて記載したが、第1判定処理と第2判定処理を組み合わせてもよい。
【0072】
図1のように収納部111が複数ある場合に、回診車RCの単独使用の場合であってもFPD3の取り間違いによる撮影失敗は起こり得る。具体的には、収納部111Aに、撮影に用いるFPD3が収納されているが、収納部111Bや収納部111CにもFPD3が収納されている場合、撮影者は、例えば、収納部111Cに収納されたFPD3を誤って使用してしまうことがある。
このような場合にも、FPD3は収納部111Aに収納されている情報から、制御部101は、撮影に不適切な状態と判定できるため、上記第1判定処理や第2判定処理は、有用である。
【0073】
FPD3は、組合せて使用するコンソールとの紐付けを切り替えることができる。つまり、FPD3と回診車RCのコンソール1とを紐付けて使用するか、FPD3と据置放射線撮影装置SRのコンソール2とを紐付けて使用するかを切り替えることができる。この紐付けを切り替えることをパネルローミングと呼ぶ。FPD3はパネルローミングが行われて紐付けられた照射線撮影装置のコンソールとのみ撮影が行える。例えば、FPD3と回診車RCのコンソール1と紐付けられている時は、FPD3を使った撮影に使えるのは回診車RCおよび回診車RCを構成するもの(コンソール1、管球110など)になる。パネルローミングは、各々のコンソールのコネクターにFPD3を接続することで行われる。回診車RCのコンソール1にFPD3をパネルローミングする場合について説明する。制御部101は、FPD3がコンソール1のコネクター108に接続されたことを検出すると、FPD3が通信部105と通信できるように通信部105用の通信設定をコネクター108経由でFPD3に送信する。FPD3の制御部301は、通信部105用の通信設定を受信すると、既に紐付けられているコンソールがいる場合はそのコンソールの通信部に対して紐付けを解除するメッセージを通信部305経由で送信した後に、通信部305の通信設定を通信部105用の通信設定に変更する。これによりFPD3はコンソール1の通信部105と通信できるようになり、パネルローミングが完了する、つまり、FPD3と回診車RCのコンソール1とが紐付けられた状態になる。この状態でFPD3とコネクター108が再度接続されても既にFPD3と回診車RCのコンソール1とが紐付けられた状態(パネルローミング済の状態)であるため、パネルローミングは行われない。この状態でFPD3を据置放射線撮影装置SRのコンソール2のコネクター208に接続すると、FPD3とコンソール2の間でパネルローミング処理が開始される。前述の回診車RCのコンソール1とFPD3とのパネルローミング処理と同様の処理が、コンソール2とFPD3の間で行われ、FPD3からコンソール1の通信部105に紐付けを解除するメッセージが送られた後、FPD3と据置放射線撮影装置SRのコンソール2とが紐付けられた状態になり、FPD3と回診車RCのコンソール1との紐付けは外れる。尚、パネルローミングの方法は上記に限らない。例えばFPD3がコンソールのコネクターに接続されたことをもって実行するのではなく、FPD3の通信部305とコンソールの通信部の赤外通信機能を使って通信することで、パネルローミングが行われるようにしてもよい。例えば回診車RCのコンソール1とFPD3をパネルローミングする場合、ユーザーがFPD3の通信部305をコンソール1の通信部105と対向させた状態にして切り替えSWを長押しすることで、FPD3はコンソール1との赤外線通信を開始する。制御部101は、FPD3が通信部105と通信できるようにコネクター108を介して通信部105用の通信設定を赤外線通信経由でFPD3に送信する。それ以降の処理は同様である。また、FPD3の通信部305とコンソールの通信部のBluetooth機能を使い、Bluetoothのペアリングを行うことでパネルローミングを行うようにしてもよい。例えば回診車RCのコンソール1とFPD3をパネルローミングする場合、ユーザーがFPD3の切り替えSWを長押しすることで、FPD3はコンソール1とのペアリングを開始する。そして、ペアリングが完了した以降は、FPD3が通信部105と通信できるように、通信部105用の通信設定をBluetooth通信経由でFPD3に送信する。それ以降の処理は同様である。
上記第1判定処理や第2判定処理では、判定処理(ステップS17、ステップS27)のタイミングは、曝射スイッチ102aの押下時であるが、これに限定されない。第1判定処理や第2判定処理の事前に、コンソール1とFPD3が、パネルローミングによって紐付けられている場合、制御部101は、通信部105を介して、コンソール1とFPD3の紐付けが外れたことを検知次第(紐付けを解除するメッセージを受信次第)、制御部101は、照射不許可および/又は警告表示してもよい。これにより、ユーザーは、より早く、不適切な状態であることを知ることができる。
なお、制御部101は、コンソール1とFPD3の紐付けが外れたことを明確に検知できない場合が存在しうる。そのため、制御部101が、FPD3を検出できない場合は、照射不許可および/又は警告表示してもよい。制御部101が、FPD3を検出できない場合とは、例えば、制御部101が通信部105を介してFPD3を通信できない期間が予め定めた期間を超えた場合である。
【0074】
また、上記第1判定処理や第2判定処理では、警告表示は、表示部103になされているが、これに限定されない。
例えば、管球110に備えられたモニター(管球モニター)や管球インジケータ(表示器)により、警告表示は、なされてもよい。これにより、例えば、撮影台212へFPD3の設置中に、誤って撮影台212のコネクター208に接続されてしまった場合や、FPD3とコネクター208の接続によるパネルローミング機能を搭載している場合に接続によってパネルローミングが行われてしまった場合、ユーザーに近い距離の位置にあることが多い管球モニターや管球インジケータに警告表示することで、ユーザーは、より確実に、不適切な状態であることを知ることができる。尚、管球モニターおよび管球インジケータ(表示器)は管球110の筐体と一体になっていてもよいし、管球110の筐体の外側に取り付けられていてもよい。また、管球110に取り付けられたコリメータの筐体と一体になっていてもよいし、コリメータの筐体の外側に取り付けられていてもよい。
FPD3とコネクター208の接続によるパネルローミング機能を搭載していない場合で、撮影種別で無線撮影が選択されている場合について説明する。この場合、撮影するために選択されたFPD3を誤って撮影台212のコネクター208と接続すると、無線時接続判定においてFPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続された状態と判断され、撮影に適切な状態ではないと判定される。そのため、制御部101は、撮影不許可とする。しかし、図1の撮影台212の収納部211のようにコネクター208が収納部211の中に組み込まれている場合、撮影台によっては、収納部211のFPD3を挿入すると自動的にFPD3がコネクター208を接続する機能を持つものがある。この場合にFPD3のコネクター306と収納部211が接続しないように収納時のFPD3の向きを変えるなどの対応が必要になり、使い勝手が悪い。そこで、第1判定処理と第2判定処理を組み合せ、制御部101は、第2判定処理のステップS22で撮影機材属性情報の1つとして、該当する撮影台212のコネクター組み込み有無(撮影台コネクタ情報)を記憶部104から取得する。そして、制御部101は、その後の無線時接続判定において、コネクター組み込み有無が「有り」の場合は、FPD3の接続状態に依らず、FPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続されていない状態の場合(ステップS17;NO)として、当該判定によって撮影が不許可にならないようにするとよい。
また、撮影台コネクター情報は、撮影台へのコネクター組み込む有無以外でもよい。例えば、撮影台に組み込まれたコネクターを識別可能なケーブルIDを撮影台コネクター情報としてもよい。そして、制御部101は、接続情報取得(ステップS12)にてFPD3の接続情報を取得する際に、接続されたコネクターのケーブルIDも取得する。そして、制御部101は、その後の無線時接続判定において、接続されたコネクターのケーブルIDが撮影台コネクター情報のケーブルIDと不一致の場合はこれまで説明した通りの判定処理を行ってもよい。また、制御部101は、ケーブルIDが一致する場合は、FPD3の接続状態が物理的および/又は電気的に接続されていても、接続されていないものとして扱うことで、当該判定によって撮影が不許可にならないようにするとよい。このようにすると、例えばFPD3が回診車RCの収納部111に組み込まれたコネクター108に接続している場合まで撮影許可とすることを避けることができる。つまり、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と、放射線検出器と装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態とに基づいて、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否か判定される。
【0075】
また、ステップS11やステップS21において選択された撮影条件が特定の条件の場合、FPD3のローミングを動作させないようにしてもよい。または、そのような場合、ローミング実施要否のメッセージを、表示部103や管球モニター、管球インジケータに表示させてもよい。特定の条件とは、例えば、撮影条件に動態撮影を含む場合といった条件である。これにより、自動的にコンソール1とFPD3の接続が切れ、不適切な接続状態となることを防止できる。
【0076】
また、ステップS11やステップS21において選択された撮影条件に含まれる、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材と接続された装置(例;据置放射線撮影装置SR)に、撮影に用いるFPD3が接続されていないか、制御部101は、問合せてもよい。
また、制御部101は、ステップS11やステップS21(撮影条件の選択時)において、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材と接続された装置(例えば、据置放射線撮影装置SR)に、その撮影機材を使用する情報とFPD3の個体識別情報を送る。そして、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材と接続された装置の制御部(例;据置放射線撮影装置SRの制御部201)は、その撮影機材とFPD3の接続を検知次第、回診車RCの制御部101に、通信部(例;通信部105)を介して、通知してもよい。
【0077】
また、上記第1判定処理や第2判定処理は、コンソール1の制御部101が実行しているが、FPD3の制御部301が実行するようにしてもよい。この場合の第1判定処理や第2判定処理のフローを、図12及び図13に第3判定処理や第4判定処理として示す。
図12及び図13において、ステップS38及びステップS48を除いたステップは、第1判定処理や第2判定処理と同様のため、説明を省略する。
ステップS38及びステップS48では、FPD3の制御部301は、通信部305と通信部105を介して、警告信号を送信する。
コンソール1の制御部101は、警告信号を受信次第、管球110からの放射線の照射を不許可とし、表示部103などに警告表示する。
【0078】
また、収納部111にFPD3を収納した際の、FPD3の幾何学的配置情報が垂直の場合、立位撮影台に入っているのか、収納部111に入っているかの区別がつかない。そのため、収納部111にFPD3を収納した際、FPD3が垂直よりも少なくとも1.5度以上傾く構造にするとよい。この収納部111の傾き角度を回診車収納部傾斜角度θRCと呼ぶ。尚、1.5度以上としている理由は、立位撮影台212の収納部211の収納体積は、FPD3をスムーズに出し入れできるように、FPD3の体積より若干大きくしてある。その為、収納した状態でFPD3が垂直から最大±1度程度傾くことがある。そのため、回診車収納部傾斜角度θRCを1.5度未満(例えば1度)とした場合、FPD3が立位撮影台に入っているのか、収納部111に入っているかを区別できない可能性があるためである。なお、この収納部111の傾斜構造は、使用頻度の高い収納部111だけでもよいし、全ての収納部111に適用してもよい。
【0079】
また、収納部111Aは、回診車RC後方が作業スペースとして使えるため、収納部111Aに傾きを設けることでFPD3の出し入れが容易になる。但し、収納部111Aの傾きが大きすぎると、出し入れがし難くなる上に、回診車RCの前後方向が長くなり回診車RCを走行させるときの取り回しが悪くなる。出し入れの容易性とこの取り回し性を考慮すると、回診車収納部傾斜角度θRCは最大でも30度以下とするのが望ましい。すなわち、収納部111は、放射線検出器(FPD3)を収納した際に、放射線検出器の照射面を底面とした場合に側面となる面(例えばコネクター面)を構成する長辺であり、かつ、照射面の辺でもある長辺が略水平(水平±1度以内)となり、かつ、この長辺と2点以上で交わる鉛直面と照射面が成す鋭角(回診車収納部傾斜角度θRC)が、1.5度≦θRC≦30度を満たすことが望ましい。
一方で、収納部111B及び収納部111Cは、支柱112と回診車進行サイド面113の間のスペースが限られるため、作業スペースが限られ、角度をつけすぎるとFPD3の出し入れがしにくくなる。
そのため、収納部111Aと収納部111B及び収納部111Cで回診車収納部傾斜角度θRCを変えて、収納部111Aの方の角度を大きくする。例えば、収納部111Aは12度、収納部111B及び収納部111Cは3度。各収納部の角度をコンソール1に登録しておき、FPD3の幾何学的配置情報と、登録した各収納部の角度を比較することで、FPD3がどの収納部に入っているかを、制御部101は、判定できる。この判定結果から、制御部101は、撮影に使うFPD3が、収納部111に格納されている場合に、撮影に不適切と判定してもよい。また、制御部101は、判定結果を用いて、選択したFPD3がどの収納部111に入っているかを表示部103や管球モニターなどに表示すると、撮影不許可となった際にパネルを探す手間が減る。
【0080】
また、撮影台212にFPD3を収納した状態で、FPD3の照射面が下を向くことは少ない。そのため、収納部111の角度は、FPD3の照射面が傾斜側(図1中の黒太矢印)になるようにすると、制御部101による判定の誤りを減らせる。FPD3のコネクター306と収納部111のコネクター108の配置により、そのようにFPD3が収納されるよう、導くことができる。すなわち、収納部111は、収納部111の底面にコネクター108を備える。また、コネクター108は、収納部111に放射線検出器(FPD3)を収納した際に、放射線検出器のコネクター306と接続可能である。また、収納部111の底面のコネクター108と放射線検出器のコネクター306は、収納部111内で両者が接続した状態において、照射面が下向きとなるように配置されている。
また、上記では、回診車収納部傾斜角度θRCは1.5度以上かつ30度以下が望ましいと説明した。ここで、立位チルト撮影台212bの収納部211bの撮影台チルト角度θ’が特定の角度になることを考慮した角度にすると、立位チルト撮影台212bの収納部211bと収納部111を区別でき、制御部101による判定の誤りを更に減らせる。一般的に、収納部211bの撮影台チルト角度θ’の角度は5の倍数であり、0度(垂直)、±5度、±10度、±15度、±20度、±25度、±30度、±35度、±40度、±45度、±50度、±55度、±60度、±65度、±70度、±75度、±80度、±85度、±90度の全てか、この中の一部である。立位チルト撮影台212bの収納部211bのチルト回転機構は、ディテントなどによりこれらの角度で丁度止まるようになっている。そのため、収納部111の傾き角度は、1.5度以上かつ30度以下の範囲で、かつ、5の倍数の整数となる角度を除く角度とするのが望ましい。更に、収納部212bの中にFPD3を入れた際に収納部212bの撮影台チルト角度θ’に対してFPD3のチルト角度が最大で±1度程度の差を持つことを考慮すると、回診車収納部傾斜角度θRCは、1.5度≦θRC≦3.5度、6.5度≦θRC≦8.5度、11.5度≦θRC≦13.5度、16.5度≦θRC≦18.5度、21.5度≦θRC≦23.5度、26.5度≦θRC≦28.5度のいずれかの範囲に入るようにするのが望ましい。
収納部111に傾斜をつけることや、照射面が下向きとなるような構成にすることで、FPD3が収納部111に収納されていることを判別できるようになり、前述の通り、これを用いることで幾何学的配置判定の精度を上げることができる。このことを、有線時接続判定に利用してもよい。有線時接続判定においては、接続された有線ケーブルのケーブルIDなどに基づいてFPD3の接続状態が適切な接続状態かを判断するが、この方法は事前にケーブルIDに関する情報を登録しておくなどの手間が発生する場合がある。ケーブルIDのかわりに、FPD3の幾何学的配置情報を用いて、FPD3が撮影台の有線ケーブルと接続されているか、回診車RCの収納部111のコネクター108に繋がる有線ケーブルと接続されているかを判別することができる。また、ケーブルIDと回診車収納部傾斜角度θRCを用いたFPD3の収納場所の判定を組み合せることで有線時接続判定の判定制度を高めてもよい。
【0081】
また、収納部111にFPD3が収納される際は、FPD3の上方向(三角マーク)が、収納部111の上部にこないようにするとよい。これは、FPD3のコネクター306と収納部111のコネクター108の配置により、三角マークが上部にこないよう、導くことができる。すなわち、収納部111は、収納部111の底面にコネクター108を備え、コネクター108は、収納部111に放射線検出器(FPD3)を収納した際に、放射線検出器のコネクター306と接続可能である。そして、収納部111の底面のコネクター108と、放射線検出器のコネクター306は、収納部111内で両者が接続した状態において、照射面の上方向を示す印(三角マーク)が上向きにならないように配置されている。図14は、収納部111の、回診車RCの前方もしくは後方からの図である。撮影台212に収納する場合や、FPD3をユーザーが手にもって撮影する場合も、FPD3の上方向(三角マーク)が上にくるように使うのが標準的な使い方である。収納部111にFPD3が収納される際、三角マークが上に来ないようすることで、FPD3の幾何学的配置情報に加え、三角マークの方向もあわせて制御部101の判定に用いることで、判定間違いを減らせる。三角マークの方向は、FPD3に備えられた3軸加速度センサー(姿勢検出センサー)により検知可能である。図14のようにFPD3の上方向(三角マークの方向)をX軸の正の値の方向とし、横向きの方向をY軸の方向としておき、姿勢検出センサーのX軸方向の出力XとY軸方向の出力YとZ軸方向の出力Zの値から三角マークの方向を検知する。FPD3が収納部111に収納された状態で、回診車RCも静止した状態で維持されている場合、姿勢検出センサーの出力Xはα’G、出力Yはβ’G、出力Zはγ’Gとなり、α’、β’、γ’の二乗和の平方根は約1となる。ここで、α’とβ’とγ’のそれぞれの絶対値の中で、α’の絶対値が最も大きく、かつ、α’が負の値である場合は、FPD3の上方向(三角マーク)は上にきていると見なす。負の値となるのは三角マークが上に来ている時は、重力加速度がX軸の負の値の方向にかかるからである。また、α’の絶対値が最も大きく、かつ、α’が正の値である場合は、FPD3の上方向(三角マーク)は下にきていると見なす。また、β’の絶対値が最も大きい場合は、FPD3の上方向(三角マーク)は横にきていると見なす。
第2判定処理において、FPD3と組合せて撮影に使用する撮影機材が立位撮影台の場合、必要幾何学的配置情報は「垂直」となるが、収納部111に傾斜がない構成においては、FPD3が収納部111に収納されている場合も、FPD3が「垂直」であると見なすため、必要幾何学的配置に合致したと判断し、撮影に適切な状態と判定してしまう。しかし、実際にはFPD3は回診車RCの収納部111にあるため、撮影に適切な状態ではなく、判定間違いと言える。これに対して、FPD3の上方向(三角マーク)が上に来ていない場合は「垂直」であっても必要幾何学的配置と合致していないと判断することで、判定間違いを減らすことができる。
また、FPD3の上方向の向きを判別する仕組みは、有線時接続判定に利用してもよい。有線時接続判定においては、接続された有線ケーブルのケーブルIDなどに基づいてFPD3の接続状態が適切な接続状態かを判断するが、この方法は事前にケーブルIDに関する情報を登録しておくなどの手間が発生する場合がある。ケーブルIDのかわりに、FPD3の上方向の向きを用いて、FPD3が撮影台の有線ケーブルと接続されているか、回診車RCの収納部111のコネクター108に繋がる有線ケーブルと接続されているかを判別することができる。また、ケーブルIDとFPD3の上方向の向きの情報を組み合わることで有線時接続判定の判定制度を高めてもよい。
【0082】
また、回診車RC(コンソール1)に紐づいているFPD3が複数ある場合に、FPD3に備えられている切り替えSW308が押下されると、押下(選択)されたFPD3が撮影に使用するパネルになるように設定することも可能である。無線同期の場合、選択されたFPD3とコンソール1との間での同期となるので、選択されたFPD3が切替ると、新たに選択されたFPD3との間で同期を取る必要がある。ユーザーが、誤って、選択ボタンを押下した場合、元のFPD3とコンソール1との間で、再度同期を取る必要が生まれ、ユーザーの手間が増える。なお、コンソール1上における使用するFPD3の切り替え操作によっても同様の課題が発生する。
上記の場合、ステップS11やステップS21にて、動態撮影が選択されている場合、FPD3の切替操作が行われた場合は、制御部101は、同期先を切替してもよいか警告表示を出し、OKの場合に切り替える。静止画撮影が選択されている場合は警告を表示しない。
また、ステップS11やステップS21にて、動態撮影が選択されている場合、動態撮影に対応していないFPD3への切り替え操作が行われた場合は、制御部101は、同期先を切り替えず、警告を表示する。
また、無線同期を複数のFPD3に対して同時に行えるシステムにおいて、同期がとれていないFPD3への切り替え操作が行われたら、制御部101は、同期先を切替してもよいか警告表示を出し、OKの場合に切り替える。
【0083】
また、上記第1判定処理や第2判定処理において、制御部101は、警告表示と併せて、適切にするためのアドバイスや案内を表示すると、ユーザーは次の行動に悩まず、業務がスムーズに進む。
また、制御部101などが、適切な状態に戻す為の処理を自動で行う、もしくは、ユーザーにそのような処理を行うかどうかを確認したうえで、制御部101は、それに従うとしてもよい。例えば、同期継続時間が最大同期維持時間を超えた場合に、制御部101は、再同期を行うことが挙げられる。
【0084】
ここまで説明してきた通り、ステップS14、S25、S34、S45において、撮影情報の撮影種別が動態撮影の場合(ステップS14、S25、S34、S45;YES)、制御部101は、それに続く各種判定処理(同期判定、無線有線判定、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定)を実施し、静止画撮影時の場合は実施していない。同期判定については、静止画撮影には同期が不要であるため実施する必要がないが、無線有線判定、無線時接続判定、有線時接続判定については、静止画撮影時でも撮影の失敗の頻度を下げる効果があるため、実施してもよい。具体的にはステップS14、S25、S34、S45の撮影種別判定を省略し、同期判定は撮影種別が動態撮影の時だけ行われるようにする。そして、その後に続く、無線有線判定、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定は、動態撮影時と静止画撮影時の両方で行われるようにする。
但し、以下の理由により、ここまで説明してきた通り動態撮影の場合のみ各種判定処理(同期判定、無線有線判定、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定)を実施した方が望ましい。理由について説明する。動態撮影は静止画撮影よりも1枚あたりの線量は低いが、1撮影あたりの線量は高い。そのため、静止画撮影よりも動態撮影の方が撮影失敗に伴う再撮影の健康影響が大きい。また、動態撮影は患者の動き(歩行動作や、関節の屈伸動作など)や、患者の臓器の動き(肺や心臓の動きなど)、体内の物質の動き(血液や空気の動きなど)を診断することを目的としているため、撮影中に被写体に目的に応じた動き(深呼吸する、屈伸運動をするなど)を行わせる。その為、一般的には撮影前にこれらの動きの説明や練習を行った後に撮影を行う。また、1回の動態撮影を行う最大時間は目的に応じて決まっており、例えば呼吸時に肺の動きをみたい場合は最大15秒間の撮影を行い、肺の血液の動きをみたい場合は、最大7秒間の撮影を行う。つまり動態撮影は撮影目的に応じた患者の動きや撮影時間等の撮影条件の組合せ(撮影プロトコル)が存在する。そして、それらの組合せを間違えると撮影失敗となるため、ユーザーは第1撮影選択画面D1で選択した撮影情報の通りに撮影を行う。その為、選択された撮影情報に基づいて、各種判定処理を行うことで、動態撮影に適切な状態であるかどうかを判定できる。
一方で、静止画撮影については、撮影ごとに決められたポジショニングはあるものの、日々の撮影業務で慣れたものが多く、動態撮影に比べると複雑ではない。また、撮影条件も管電圧と管電流と照射時間を変更するだけであり、動態撮影に比べて複雑ではない。そのため、例えば、一人の患者に対する1つの検査の中に複数の静止画撮影がある場合、患者の状態や、前の患者に行った検査の中の最後の撮影などに応じて、検査の中の撮影順序を入れ替えることがよく起きる。具体的には、図6のI1~I4では1つの検査の中に4つの撮影がある。つまり、静止画撮影は動態撮影よりも検査および撮影の変更の柔軟性に対する要求が強い。入替えにあたっては、撮影情報を再選択することもあれば、撮影情報を再選択せずに撮影条件を変えて撮影することもある。その為、静止画では選択された撮影情報と実際の撮影条件に差異が生じることがある。例えば、撮影情報では立位撮影台が選択されているが、実際の撮影は臥位撮影台で行われることや、撮影情報では無線撮影が選択されているが、実際の撮影では有線撮影が行われることがある。この差異が生じた状態で各種判定処理を行うと、実際には撮影に適切な状態であっても、撮影に不適切な状態であると判定してしまい、撮影業務が止まってしまい非効率である。そのため、静止画撮影の場合には各種判定処理は行わず、動態撮影の場合のみ各種判定処理を実施するのが望ましい。
また、前述のような、無線有線判定、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定を、動態撮影時も静止画撮影時も行う構成とした場合には、各種判定での判定条件を、選択された撮影種別(静止画撮影、動態撮影)に応じて切り替えてよい。動態撮影は、静止画撮影よりも1枚あたりの線量を下げて撮影することで被ばくを抑えている。線量が小さいことで、蓄積される電荷量が小さくなる。これにより、動態撮影は、静止画撮影よりも外乱ノイズの影響が画像に出やすい。
有線撮影は、回診車RC本体とFPD3が繋がるため、回診車RCからのノイズの影響を受けやすい。また、有線ケーブル経由で外乱ノイズを拾うこともあり、有線ケーブルを用いた有線撮影は、静止画撮影にのみ対応し、動態撮影には対応しないシステムもある。
この場合、制御部101などは、FPD3の物理的および/又は電気的な接続状態や接続先だけでなく、選択された撮影種別(静止画撮影、動態撮影)に基づいて撮影許可・不許可を判別するとよい。つまり、制御部101などは、選択された撮影種別が静止画の場合は接続状態によらず撮影許可し(不許可にしない)、動態撮影の場合は接続状態では不許可、非接続状態では許可するとよい。つまり、選択された撮影種別(静止画撮影、動態撮影)に基づいて、無線時接続判定と有線時接続判定の判定条件を切り替える。
また、危険レベルに応じた照射不許可および警告表示における各判定理由の危険レベルを、選択された撮影種別(静止画撮影、動態撮影)に応じて切り替えてよい。前述のように動態撮影と静止画撮影では、撮影失敗に伴う再撮影の健康影響の大きさと、検査および撮影の変更の柔軟性に対する要求の強さが異なる。その為、静止画撮影と動態撮影で危険レベルを切り替えてそれぞれの撮影に最適化することはユーザーによって有益である。具体的には、動態撮影においては、同期判定、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定を危険レベル高とし、静止画撮影においては、無線時接続判定、有線時接続判定、幾何学的配置判定を危険レベル低とする。
【0085】
(効果など)
以上のことから、移動式放射線撮影装置(回診車RC)は、動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置であって、装置本体(回診車RC)を有する。さらに、移動式放射線撮影装置(回診車RC)は、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部(制御部101)を有する。そして、判定部は、放射線検出器と装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0086】
また、放射線検出器(FPD3)は、動態撮影が可能な放射線検出器であって、放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部(制御部301)と、を有する。そして、判定部は、放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0087】
また、判定方法は、動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置における判定方法であって、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップ(ステップS17、S27)を有する。そして、判定ステップは、放射線検出器と装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0088】
また、判定方法は、動態撮影が可能な放射線検出器における判定方法であって、放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定ステップ(ステップS36、S47)を有する。そして、判定ステップは、放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0089】
また、プログラムは、動態撮影が可能な移動式放射線撮影装置のコンピューターを、動態撮影するために選択された放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部(制御部101)として機能させる。そして、判定部は、放射線検出器と装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0090】
また、プログラムは、動態撮影が可能な放射線検出器のコンピューターを、放射線検出器が動態撮影に適切な状態であるか否かを判定する判定部(制御部301)として機能させる。そして、判定部は、放射線検出器と、移動式放射線撮影装置の装置本体又は他の放射線撮影装置との物理的又は電気的な接続状態、又は、放射線検出器と組合せて撮影に使用する撮影機材の情報と放射線検出器の姿勢状態情報とに基づいて判定する。これにより、放射線検出器のとり間違いによる誤った撮影を防止できる。
【0091】
以上、本発明を実施形態に基づいて具体的に説明してきたが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0092】
例えば、上記実施形態においては、上記第1判定処理や第2判定処理を実行する機能をコンソール1が有することとした。しかし、この第1判定処理や第2判定処理を実行する機能又はその一部を実行する機能を、放射線画像撮影システム100が備える他の装置又は放射線画像撮影システム100に接続される他のシステムに備えるようにしてもよい。
【0093】
また、以上の説明では、本発明に係るプログラムのコンピューター読み取り可能な媒体として半導体メモリーやハードディスクを使用した例を開示したが、この例に限定されない。
その他のコンピューター読み取り可能な媒体として、フラッシュメモリ等の不揮発性メモリー、CD-ROM等の可搬型記録媒体を適用することが可能である。
また、通信回線を介して本発明に係るプログラムのデータを提供する媒体として、キャリアウェーブ(搬送波)も本発明に適用される。
【符号の説明】
【0094】
100 放射線画像撮影システム
RC 回診車(移動式放射線撮影装置、装置本体)
1 コンソール
101 制御部(判定部、撮影制御部、表示制御部)
102 操作部
102a 曝射スイッチ
103 表示部
104 記憶部
105 通信部
106 駆動部(放射線発生装置)
107 バッテリー
108 コネクター
109 給電部
110 放射線源(管球)
111 収納部
112 支柱
113 回診車進行サイド面
114 管球カメラ
SR 据置放射線撮影装置
2 コンソール
201 制御部
202 操作部
202a 曝射スイッチ
203 表示部
204 記憶部
205 通信部
206 駆動部
207 バッテリー
208 コネクター
209 給電部
210 放射線源(管球)
3 FPD
301 制御部(判定部)
302 記憶部
303 表示部
304 放射線画像撮影部
305 通信部
306 コネクター
307 バッテリー
308 切り替えSW
図1
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