(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179883
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】送風機付きLED照明器具
(51)【国際特許分類】
F21V 33/00 20060101AFI20241219BHJP
F21V 3/02 20060101ALI20241219BHJP
F21S 8/04 20060101ALI20241219BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241219BHJP
【FI】
F21V33/00 330
F21V3/02
F21S8/04 110
F21S8/04 100
F21S8/04 130
F21Y115:10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099173
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】393001372
【氏名又は名称】瀧住電機工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】時枝 忠弘
(72)【発明者】
【氏名】小林 英明
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
3K014PD01
(57)【要約】
【課題】居室内を照明するととともに室内の空気を循環させる機能をコンパクトに備えて、室内の空気を均等に循環させることができる。
【解決手段】送風機を中心にして周囲に複数の照明部を配置した構成において、複数の照明部間に通気間隙を上下方向に設けて、さらに照明部を円環状形状として中央に貫通孔を設け、送風機の風が照明部と天井の間の通気空間を通風するときに一部の気流が通気間隙または貫通孔を通ってLED照明器具の床面側に分流することで、居室内の空気を攪拌することができる送風機付きLED照明器具を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造営物下面に固定される固定部と、固定部の下方に備えられて上下方向に気流を発生する送風機と、前記固定部に固定されて水平面において前記送風機の外周より外側に配置された複数の円環状の照明部と、複数の前記照明部は前記送風機を中心として略水平面上を放射状にかつ前記送風機から均等距離に配置され、各々の前記照明部の間に通気間隙を設けるとともに各々の前記照明部と造営物下面との間に通気空間を形成し、前記照明部は主に下方に向けて光を発出する送風機付きLED照明器具。
【請求項2】
円環状の照明部の内部に下方に光を発出するLED基板を備え、照明部の略中央に設けられた上下方向に貫通した略円形の貫通孔に向けて照明部下部に設けられた光を透過する透光性カバーが照明部外周から貫通孔上方に向かって傾斜した略円錐面を形成する構成とした請求項1に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項3】
円環状の照明部の円環を含む平面に直角で照明部の中心を通る直線を含む平面で照明部を切断したときの透光性カバーの断面が富士山の表面状に上方から下方に向かって広がるとともに、透光性カバーの断面曲線が左右対称で下に凸な曲線を形成する請求項2に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項4】
送風機の直径が照明部の直径の70%以上で120%以下の比率である請求項1に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項5】
送風機の送風方向を上方から下方と、下方から上方の逆方向に切替えて駆動できる請求項1に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項6】
透光性カバーから発出された光が貫通孔を通過して造営物下面に到達する請求項3に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項7】
送風機の直径は150mm以上で350mm以下の請求項1に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項8】
造営物下面に固定される固定部と、固定部の下方に備えられて上下方向に気流を発生する送風機と、前記固定部に固定されて水平面において前記送風機の外周より外側に配置された複数の円環状の照明部と、各々の前記照明部を前記固定部に連結するアームと、複数の前記照明部は前記送風機を中心として略水平面上を放射状にかつ前記送風機から均等距離に配置され、各々の前記照明部の間に通気間隙を設けるとともに各々の前記照明部と造営物下面との間に通気空間を形成し、前記照明部は主に下方に向けて光を発出する送風機付きLED照明器具において、前記固定部外周で前記アームの上方に位置して設けられた補助発光部と、前記補助発光部の下方に位置する前記アームが前記補助発光部の発出した光を前記造営物下面に向けて反射する送風機付きLED照明器具。
【請求項9】
送風機下端部が照明部の下端部より下方に位置する請求項2又は3に記載の送風機付きLED照明器具。
【請求項10】
貫通孔の直径が照明部の外周直径の30%以上で70%以下の範囲の比率である請求項2又は3に記載の送風機付きLED照明器具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、天井などに備え付ける送風機付きLED照明器具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記特許文献1に開示されるように、段落0008に、天井扇風機本体と照明器具とを合わせた高さ方向の全長は350mm以下であることが例示されており、また、
図1には羽根の回転直径が照明器具よりも大きな構造が明示されている。この種のファン構造は天井取付け扇風機として製造及び使用されてきたが、昨今の住宅事情により天井の高さが徐々に低くなる現状では、圧迫感を感じることから高さ方向の寸法をより小さくすることが望まれてきた。
【0003】
次に、下記特許文献2に開示されるように、段落0015に、透光カバー1は、正面視でリング状に形成され光源部からの照射光を透過する。
【0004】
そして、
図1と
図2から明らかなように、送風機2はリング状の透光カバー1の正面視で透光カバーの中央に配置されていて、段落0024に
図7(a)は、下向きの回転状態であり、体感温度を下げることができるので、特に冷房時に有効である。
図7(b)は、上向きの回転状態であり、風を天井に当て、高いところにある暖かい空気を下に循環させることができ、特に暖房時に有効であると明示されている。
【0005】
図7で明らかなように、送風機付きLED照明器具から下方に噴き出す風の場合は、送風機付きLED照明器具の最外周よりも外周からの空気の流れとなり、送風機2の回転が逆の場合には下方から吸い込んだ空気を最外周よりも外側に噴き出すこととなる。従って、特に上方向に噴き出す場合には、部屋の壁側に気流が集中して送風機付きLED照明器具の直下に位置する人への気流がないので部屋内の空気の攪拌が均等にはならないといった課題がある。
【0006】
次に、下記特許文献3に開示されるように、段落0017に、リング状カバー11の中心部には、送風器30が設けられると明示されているとともに、段落0028に穴116を介してネジ5によりリング状カバー11と羽根カバー34を連結する。従って、送風装置の内部を清掃やメンテナンスのためにリング状カバー11を外すと羽根カバー34も一緒に外すことができると明示されている。
【0007】
しかし、この構成ではリング状カバー11か羽根カバー34のどちらかだけを外したくても一緒に外す必要があり、天井付近に設置した照明装置の部品を取り外す作業は足元が不安定になりやすいので大きな部品を取り外すことは大きな寸法の部品や重量物を取り扱うなどの不安全作業になりやすいといった課題があった。
【0008】
また、下記特許文献3に開示されるように、段落0022に、前面領域110は、外縁領域111から送風器30側の中心に向かうにつれて後方側(天井側)にへこむ形状を呈していると明示されている。
【0009】
照明機能付き送風装置全体でひとつのリング状カバー11を備えていてその前面領域110が中心に向かうに連れて天井側へへこむ形状であるので、特許文献3には前面領域110からの光の放射方向についての記述はないが、LED基板21から発出された光が前面領域110を通過するときに傾斜方向と直角に近い法線方向に光が進むので、全体では床面に向かう光は収束する方向に進むことになると推定することができる。従って部屋全体を照明するよりも照明機能付き送風装置の直下を主に照明することとなり、部屋全体を均等に照明することになりにくいといった課題があった。
【0010】
さらに、下記特許文献4に開示されるように、段落0021に、送風機2によりも直径の大きな光源部が羽根20よりも奥側にあるので部屋にいる者が圧迫感を感じることを抑制することができると明示されているが、送風機付きLED照明器具の主な機能の一つである部屋全体を照明することにおいて光源部が羽根20よりも奥側にあることは、光源の発出する光の一部が送風機2の一部に照射されて一部が吸収されるか羽根20よりも奥側にある光源部の光の照射方向を羽根20が制限してしまうこととなり、照明効率の低下や均等な照明ができないといった課題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特許第4547929号公報
【特許文献2】実用新案登録第3218705号公報
【特許文献3】実用新案登録第3230482号公報
【特許文献4】実用新案登録第3218428号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明が解決しようとする課題は、上記の問題点に鑑み、高さ方向の寸法をコンパクトにできて、光源部を複数の小さい光源部で構成することで修理などの場合に天井付近での作業でも取り扱う部品が比較的小さくて軽いものであり安全な作業に寄与するとともに、循環する空気を部屋全体に均等な分布で循環させることができ、さらに光源部から発出した光が送風機に当たって吸収されることのない効率的な照明が行える送風機付きLED照明器具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、造営物下面に固定される固定部と、固定部の下方に備えられて上下方向に気流を発生する送風機と、前記固定部に固定されて水平面において前記送風機の外周より外側に配置された複数の円環状の照明部と、複数の前記照明部は前記送風機を中心として略水平面上を放射状にかつ前記送風機から均等距離に配置され、各々の前記照明部の間に通気間隙を設けるとともに各々の前記照明部と造営物下面との間に通気空間を形成し、前記照明部は主に下方に向けて光を発出する送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0014】
これにより、送風機の正逆回転による空気の流れが均等に部屋全体に分布するとともに故障時の修理も複数の照明部を個別に扱うことができるので、コンパクトで軽量な部品の扱いで良いので脚立などによる作業も安全性が確保できる。
【0015】
また、本発明は、円環状の照明部の内部に下方に光を発出するLED基板を備え、照明部の略中央に設けられた上下方向に貫通した略円形の貫通孔に向けて照明部下部に設けられた光を透過する透光性カバーが照明部外周から貫通孔上方に向かって傾斜した略円錐面を形成する構成とした送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0016】
これにより、各略円錐面からほぼ法線方向に光を発出するので、送風機付きLED照明器具直下だけでなく居室全体に均等に発出できるとともに、送風機には直接光があたらないので送風機による光の吸収がなく効率的な照明が可能になる。
【0017】
また、本発明は、円環状の照明部の円環を含む平面に直角で照明部の中心を通る直線を含む平面で照明部を切断したときの透光性カバーの断面が富士山の外形状に上方から下方に向かって広がるとともに、透光性カバーの断面曲線が左右対称で下に凸な曲線を形成する送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0018】
これにより、透光性カバーの下側面からほぼ直角に光が発出されるので、送風機付きLED照明器具直下から比較的離れた場所まで均等に光を照射することができる。
【0019】
また、本発明は、送風機の直径が照明部の直径の70%以上で120%以下の比率である送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0020】
この比率より小さいと各照明部間の空間面積や貫通孔の開口面積に比べてファンの風量が少なくなり、各照明部の間を通る空気と貫通孔を通る空気の流れを十分に供給することができなくなる。大きいと相対的に空気量が多すぎて照明部間の通気間隙や貫通孔を通過する空気の量よりも造営物沿いに壁に沿った大量の空気が流れることとなる。造営物沿いに壁に沿って流れる空気の量と照明部間の通気間隙を通過する空気の量が程よくバランスする比率が上記の比率となる。
【0021】
また、送風機の送風力が確保できるとともに送風機の直径が大きすぎると共振などの弊害が発生することもなく、風量と振動のバランスのとれた送風機を備えた送風機付きLED照明器具を提供することができる。
【0022】
また、本発明は、送風機の送風方向を上方から下方と、下方から上方の逆方向に切替えて駆動できる送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0023】
これにより、暖房時に天井側から床面に向け比較的暖かい気流の発生や、冷房時に床面に滞留した冷気を部屋全体に循環させる気流の発生が可能となり、一年を通して均等な室温にすることができ無駄な冷房や暖房を防ぐことができて省エネに役立つこととなる。
【0024】
また、本発明は、透光性カバーから発出された光が貫通孔を通過して造営物下面に到達する送風機付きLED照明器具を提供するものである。
これにより、送風機付きLED照明器具から下方のみの照明ではなく、部屋の天井などの造営物にも光が到達して部屋全体を照明することができるものである。
【0025】
また、本発明は、送風機の直径は150mm以上で350mm以下の送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0026】
この送風機付きLED照明器具の直径約600mmの大きさの中で送風機の直径は、上記の送風機と照明部の直径比率も考慮して送風機の直径を150mmから350mmの間に設定することで送風機の風量と外観の大きさの比率が程よくバランスするものである。
【0027】
また、従来の天井などの造営物に取り付ける照明器具の直径が約600mm程度であることから、従来通りの大きさであり違和感や圧迫感のない送風機付きLED照明器具を提供することができる。
【0028】
また、本発明は、造営物下面に固定される固定部と、固定部の下方に備えられて上下方向に気流を発生する送風機と、前記固定部に固定されて水平面において前記送風機の外周より外側に配置された複数の円環状の照明部と、各々の前記照明部を前記固定部に連結するアームと、複数の前記照明部は前記送風機を中心として略水平面上を放射状にかつ前記送風機から均等距離に配置され、各々の前記照明部の間に通気間隙を設けるとともに各々の前記照明部と造営物下面との間に通気空間を形成し、前記照明部は主に下方に向けて光を発出する送風機付きLED照明器具において、前記固定部外周で前記アームの上方に位置して設けられた補助発光部と、前記補助発光部の下方に位置する前記アームが前記補助発光部の発出した光を前記造営物下面に向けて反射する送風機付きLED照明器具を提供するものである。
【0029】
これにより、補助発光部が発出したした光がアームで反射して天井などの造営物に到達し間接照明の機能を果たすとともに造営物で反射した光の一部が貫通孔や通気間隙から床面側に反射することで部屋全体の照明の効率を改善することができる。
【0030】
また、本発明は、送風機下端部が照明部の下端部より下方に位置する送風機付きLED照明器具を提供するものである。
これにより、透光性カバーからの光は透光性カバーの形状が略円錐形や富士山の形をしていることで送風機下端に光が直接当たることはなく、送風機の風も透光性カバーにより遮られることもなく互いに干渉しない位置関係を保つことができる。
【0031】
さらに、本発明は、貫通孔の直径が照明部の外周直径の30%以上で70%以下の範囲の比率である送風機付きLED照明器具を提供するものである。
これにより、照明部上方と造営物の間を通過する気流の一部は適度に貫通孔を通過して床面側に移動して残りの気流は照明部上方を通過することとなり、貫通孔を通過する風量が照明部上側を通過する風量より少なくなり、居室内の空気を攪拌するために程よい比率となる。
【発明の効果】
【0032】
送風機の正逆回転と照明部に形成された貫通孔および照明部間の通気間隙により空気を循環するだけでなく均等に部屋全体に分布して流すことができる。
【0033】
また、故障時の修理もコンパクトで軽量な部品の交換で良いので脚立などによる作業も安全性が確保できる。
【0034】
また、各円錐面から略下方向にほぼ法線方向に光を発出するので、LED照明器具直下だけでなく居室全体に均等に発出できるとともに、ファンには直接光があたらないので送風機による光の吸収がなく効率的な照明が可能になる。
【0035】
また、透光性カバーの断面曲線が下に凸な曲線であるので、送風機付きLED照明器具直下から比較的離れた場所まで均等に光を照射することができる。
【0036】
送風機の直径が照明部の直径の70%以上で120%以下の範囲であり、この比率より小さいと各照明部間の通気間隙や貫通孔の開口面積に比べて送風機の風量が少なくなり、各照明部の間を通る空気と貫通孔を通る空気の流れを十分に供給することができなくなる。大きいと相対的に空気量が多すぎて照明部間の通気間隙や貫通孔を通過する空気の量よりも造営物沿いに壁に沿って大量の空気が流れることとなる。造営物沿いに壁に沿って流れる空気の量と照明部間の通気間隙を通過する空気の量が程よくバランスする比率が上記の比率となる。
【0037】
また、送風機の送風力が確保できるとともに送風機の直径が大きすぎて共振などの弊害が発生することもなく、風量と振動のバランスのとれた送風機を備えた送風機付きLED照明器具を提供することができる。
【0038】
また、暖房時に天井側から床面に向け比較的暖かい気流の発生や、冷房時に床面に滞留した冷気を部屋全体に循環させる気流の発生が可能となり、一年を通して均等な室温にすることができ無駄な冷房や暖房を防ぐことができて省エネに役立つこととなる。
【0039】
また、LED照明器具から下方のみの照明ではなく、部屋の天井などの造営物にも光が到達して部屋全体を照明することができるものである。
【0040】
この送風機付きLED照明器具の直径約600mmの大きさの中で送風機の直径は、上記の送風機と照明部の直径比率も考慮して送風機の直径を150mmから350mmの間に設定することで送風機の風量と外観の大きさの比率が程よくバランスするものである。
【0041】
また、従来の天井などの造営物に取り付ける照明器具の直径が約600mm程度であることから、従来通りの大きさであり違和感や圧迫感のない送風機付きLED照明器具を提供することができる。
【0042】
また、貫通孔を通過した光だけではなく補助発光部が発出したした光が天井などの造営物に到達し間接照明の機能とともに造営物で反射した光の一部が貫通孔から床面側に照射されることで部屋全体の照明の効率を改善することができる。
【0043】
また、透光性カバーからの光は透光性カバーの形状が略円錐形や富士山の形をしていることで送風機下端に光が直接当たることはなく、送風機の風も透光性カバーにより遮られることもなく互いに干渉しない位置関係を保つことができる。
【0044】
さらに、貫通孔の直径が照明部の外周直径の30%から70%の範囲であることから、照明部上側を通過する気流の多くが照明部上側と造営物の間を通過し、少量の一部が貫通孔を通過することとなり、居室内の空気循環には程よい攪拌効果を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図1】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の斜視図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の断面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の照明部の部分断面図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の送風機の部分断面図である。
【
図5】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具のLED基板の部分分解図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の送風機の部分分解図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の回路ブロック図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の送風機の部分断面図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の間接照明ユニットの平面図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の照明部と間接照明ユニットの分解平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の固定部の斜視図である。
【
図12】本発明の一実施形態に係る送風機付きLED照明器具の照明部と間接照明ユニットの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
この送風機付きLED照明器具は、主に居室や事務所などで使用される天井に取り付けて室内を照明するとともに、室内の空気を循環させるもので、光の発出元である複数の円環状の照明部を送風機の周囲に水平面で送風機から均等な距離と照明部間を等間隔に配置し、中央部に配置した送風機により正逆方向に空気を循環させるように構成したものである。
【実施例0047】
図1から
図12は、本発明の実施例の送風機付きLED照明器具1を示す。図面を参照しながら詳細を説明する。なお、本実施例は実施形態の一例であり、これに限定されるものではない。
初めに構成要素を説明した後にその動作や操作と作用を説明する。
【0048】
1.送風機付きLED照明器具
この送風機付きLED照明器具1は、中央に位置する送風機2を保持する固定部3を造営物4である天井から吊り下げて使用するものである。固定部3は造営物4である天井に直接固定されることになる。
【0049】
固定部3の上部は天井固定板31で形成され、天井固定板31は天井にネジなどで固定されている。天井固定板31は固定部3から分離し、外周の垂直壁部32の相対する位置に固定ネジ33が取り付けられている。固定部3の上端には略L字状の引掛けスリット34が上部に開口して設けられている。
【0050】
引掛けスリット34を固定ネジ33に引掛けることで送風機付きLED照明器具1全体が固定部3を介して天井固定板31に吊り下げることとなる。固定ネジ33を締め付けることで固定部3を天井固定板31に固定し、送風機付きLED照明器具1は天井に固定されることとなる。
【0051】
電気的な接続においては日本国内では引掛けシーリング(図示せず)のような接続構成が普及しているので、これに合わせる電源接続部41を備えるか、または直接商用電源に接続することで電気が供給される。送風機付きLED照明器具1はLED基板5を内蔵した5組の照明部6を備え、各照明部6は送風機2を中心に水平面上に円周状に均等な間隔で配置されて固定部3にアーム7で連結されている。
【0052】
各々の照明部6の間の造営物4側から床面側への上下方向でできる隙間空間は空気が上下方向に通ることができる通気間隙8であり、送風機2によって発生する気流の一部が造営物4側と床面側の間でリークするように形成されている。
【0053】
照明部6の上側面と造営物4下面との間に上下方向の距離があり、略水平な照明部6上側面と造営物4下面の間にできた空間で通気空間9を形成している。通気空間9は送風機2による上下方向の送風によって、造営物4下面側から床面側への通気や床面側から造営物4下面側へ通気する気流の通路となる。送風機2による気流の多くはこの通気空間9を通ることとなる。
【0054】
2.照明部
各照明部6は同一形状であり、各々が円環状を成して中央に貫通孔10を形成している。貫通孔10は円形であり照明部6の外周寸法の直径の30%以上で70%以下の範囲で形成されている。照明部6の上部は遮光性のLED蓋部11で覆われている。照明部6には略円環状のLED基板5を内蔵して光を下方に発出する。照明部6下部にはLED基板5から発出された光を透過する透光性カバー12が備えてある。
【0055】
貫通孔10の直径を照明部6の外周直径の30%以下にすると、照明部6の上側面の面積に対して貫通孔10の開口面積比が約10%になるので、照明部6の上側の通気空間9を通過する空気の流れの大部分は照明部6上側を通過してしまう。また、貫通孔10の直径を照明部6の外周直径の70%以上にすると、照明部6の上側面の面積に対して貫通孔10の開口面積比が約50%となり、これ以上開口比率を大きくすると照明部6の上側を通過する空気の流れの多くが貫通孔10を通過することとなる。
【0056】
以上のことから照明部6の外周直径に対して貫通孔10の直径の比率を約30%以上で70%以下の範囲にすることで、半分以上の空気の流れが通気空間9を通ることとなり適度な風量のバランスとなる。
【0057】
照明部6の下部に備えられた透光性カバー12はアクリル樹脂などに光拡散剤を添加して外観色は乳白色であり、LED基板5から発出された光を拡散しながら透過して居室の床面方向に放射する。
【0058】
照明部6の円環状部を含む平面に直角で円環状部の中心を通る直線を含む平面で照明部6を切断したときの断面は、LED蓋部11の下方にLED基板5が水平に配置されていて光を下方向に発出する。
【0059】
透光性カバー12の下側面である表面13は、円環状の外周から照明部6の中心に向かうに従って上方に傾斜した略円錐形状である。さらに、透光性カバー12を垂直な中心線を含む平面で切断した円錐形状の断面は下方向に凸な曲線をしている。
【0060】
LED基板5から発出された光は照明部6内を下方向に進んだ後に透光性カバー12の円錐部を透過するが、このときに円錐部の下方向に凸な曲線の法線方向に光を屈折するので、光は照明部6の下方向だけでなく斜め方向にも放射されることとなり、居室下方の床面に向けて拡散される。各々の照明部6で拡散された光により居室内が均等に照明されることとなる。
【0061】
透光性カバー12の下側面である表面13は下方に凸な曲面であるので、透光性カバー12の一部から放射された光の一部は貫通孔10を通過して造営物4に到達する。従って、照明部6の光の一部が間接光として造営物4を照明することとなる。
【0062】
LED基板5は照明部6の内部でLED蓋部11に機械的に固定されるとともに熱的にも結合されてLED基板5で発生した熱を外方の造営物4方向に放熱する役割をしている。LED基板5は円環状または複数の基板を電気的に結合して円環に近い形をして略水平に保持されている。LED基板5から発出した光は透光性カバー12に向かって下方向に発出される。
【0063】
透光性カバー12に到達した光は略円錐形で下方向に凸な断面の曲線を成す透光性カバー12によって光が屈折されるとともに、透光性カバー12に含有されている光拡散剤によって拡散される。透光性カバー12を通過した後に略円錐形の表面13の法線方向に光が放射されるとともに光拡散剤によって床面方向に均等に拡散されながら居室を照明することとなる。
【0064】
送風機2の羽根14の直径と照明部6の円環状の外周の直径との比率は送風機2の羽根14の直径が照明部6の外周の直径の70%から120%の間の比率にすることが望ましい。この範囲であれば、略水平面に配置された照明部6の上面側で形成される平面と造営物4下面との間の空間に形成される通気空間9を気流が通るときに、一部の気流が照明部6を挟んで造営物4側と床面側との間の通気間隙8を通過する比率が程よく居室内の空気の攪拌に必要な気流にすることができる。
【0065】
この比率より小さいと各照明部6間の通気間隙8の空間面積や貫通孔10の開口面積に比べて送風機2の風量が少なくなり、各照明部6の間の通気間隙8を通る空気と貫通孔10を通る空気の流れを十分に供給することができなくなる。また、この比率より大きいと相対的に送風量が多すぎて照明部6間の通気間隙8や貫通孔10を通過する空気の量に比べて造営物4沿いに壁に沿って大量の空気が流れることとなる。造営物4沿いに壁に沿って流れる空気の量と照明部6間の通気間隙8や貫通孔10を通過する空気の量が程よくバランスする比率が上記の比率となる。
【0066】
また、送風機2の送風量が確保できるとともに送風機2の直径が大きすぎて共振などの弊害が発生することもなく、風量と振動のバランスのとれた送風機2を備えた送風機付きLED照明器具1を提供することができる。
【0067】
また、従来から略円形状の天井照明器具の直径は約600mmが多く、送風機2の羽根14の直径を150mmから350mmの範囲で設定することで、風量と照明器具の光束量とのバランスが保たれる比率となる。略円形状の天井照明器具の直径が大きすぎると居室に滞在するときに天井からの圧迫感を感じ、直径が小さすぎると送風量や照明の光量が不足するといった不具合が生じることとなる。
【0068】
各照明部6は送風機2の外周を水平面上で送風機2からの均等な距離と送風機2中心からの均等な角度で配置され、LED基板5が水平になるように配置されている。各照明部6の間に発生する水平方向の隙間は照明部6の直径の20%から50%の間の距離にしてある。この範囲より小さいと通気間隙8を通過する空気の流れを阻害することになり、大きいと相対的に貫通孔10を通過する空気の量が無視される比率になってしまうので、貫通孔10と通気間隙8と通気空間9を通過する空気の量が程よくバランスする距離の比率が上記の比率となる。
【0069】
照明部6と造営物4の間の距離は照明部6の円環状の直径の約50%から100%の間の距離に維持されている。50%より小さいと送風機2に吸い込む空気や送風機2から噴き出してくる空気が造営物4との間を通るときに抵抗が生じて送風効率が低下することとなる。また、100%以上の距離が開いてしますと、貫通孔10や通気間隙8を通る空気の流れが形成されずに造営物4と照明部6の間の通気空間9のみを気流が通ることとなる。
【0070】
3.送風機
固定部3は送風機付きLED照明器具1の中央に配置されて造営物4に直接または間接的に固定されるか吊り下げられるとともに、各照明部6が水平方向に均等な距離と角度で接続固定されている。固定部3内に電源回路15と羽根14を駆動するモーター16を内蔵し、固定部3下部に送風機2の羽根14を水平面で回転する構成としてある。モーター16の軸は垂直方向に延びる方向に配置されることとなる。送風機2の羽根14の下方には空気を透過するガード17が備えてある。送風機2の直径は照明部6の直径と同等程度であるが、小さくても照明部6の70%、大きくても照明部6の120%の直径である。
【0071】
この比率より小さいと各照明部6間の通気間隙8を通る空気と貫通孔10を通る空気の流れを十分に供給することができなくなる。大きいと相対的に空気量が多すぎて照明部6間や貫通孔10を通過する空気の量よりも造営物4沿いに大量の空気が流れることとなる。照明部6間の通気間隙8と貫通孔10を通過する空気の量と通気空間9を通る通気量が程よくバランスする比率が上記の比率となる。
【0072】
また、天井に固定する天井照明器具の大きさが直径約600mmのものが一般的であり、これより大きい場合は居室内に入ると圧迫感があり、小さい場合は居室全体を照明できるだけの光量を確保することが困難な場合が多いことから、送風機付きLED照明器具1の直径は約600mmである。この直径約600mmの大きさの中で送風機2の直径は、上記の比率も考慮して150mmから350mmの間に設定することで、送風機2の風量確保と照明としての光量を確保するとともに、外観の大きさも圧迫感なく送風機付きLED照明器具1の仕様として程よくバランスするものである。
【0073】
送風機2の羽根14は固定部3に内蔵された電源回路15から供給される電力により正転方向と逆転方向に回転するように制御される。回転速度も制御することができる。
【0074】
送風機2の羽根14の下方に略水平に配置されたガード17と、羽根14外周に対して垂直で円筒状に形成された格子状の外枠18で送風機ケース19を形成し、指が回転部に触れないように安全に配慮した構造にしてある。送風機ケース19は固定部3に取付られている。
【0075】
送風機2を分解するときは、送風機付きLED照明器具1を造営物4に取付けた状態で、ガード17を取り外してから送風機2の羽根14を取り外し、送風機ケース19を取り外すことになる。固定部3に照明部6を連結するアーム7が取り付けられている。アーム7は固定部3との接続と照明部6との接続の各々をネジ締結による構造としてあり、部品交換等の修理時に必要な部品のみを交換できるようにしてある。
【0076】
3.電源回路
電源回路15は固定部3に収納されている。商用電源を造営物4側上方から引掛けシーリング(図示せず)と電源接続部41を介して供給されるか又は直接電源線(図示せず)を接続して供給される。
【0077】
図7は電源回路15を示している。制御部20は電源回路15の一部を形成し商用電源から制御部20に制御されて生成された電源により、送風機2、各照明部6、間接照明ユニット21、その他各種センサーなど(図示せず)に電気が供給される。照明部6と間接照明ユニット21への電気の供給は電線22を固定部3とアーム7に沿って配線して供給される。
【0078】
4.間接照明ユニット
補助発光部を形成する略円環状の間接照明ユニット21は固定部3の外周に設けられた段部23に固定され下方に光を発出するように配置されている。固定部3の外周から下方に発出された光の一部はアーム7の上側面で反射される。アーム7の上側面で反射された光は造営物4である天井に向かい天井で反射されて間接光として居室内に拡散される。
【0079】
間接照明ユニット21は電源回路15の制御部20に電気的に接続されて光の発出が制御される。間接照明ユニット21から下方に発出された光の一部は直接居室内に発出されるが、照明部6の光とともに居室内を照明することとなるので無駄な光は発生せずにすべての光が活用されることとなる。
【0080】
以上の構成要素の動作や操作およびその作用を以下に説明する。
送風機付きLED照明器具1は造営物4である天井の下面に機械的に固定される。電気接続は引っ掛けシーリング(図示せず)と電源接続部41を介して着脱自在に装着されるか又は直接商用電源に接続される。リモコン(図示せず)などにより送風機2と照明部6と間接照明ユニット21が操作され、また送風機2が正逆回転して制御される。
【0081】
送風機2は気流が造営物4側から居室の床面に向かって流れる正回転と、居室の床側側から造営物4側に向かって気流が発生する逆回転の2種類の方向に加えて気流の強さも制御できる。
【0082】
正回転時には造営物4側の空気を送風機2によって居室の床方向に流れる気流を発生させるが、このときに吸気側である造営物4側は若干負圧になるので、天井沿いと同時に照明部6と照明部6の間の通気間隙8や貫通孔10を通って送風機付きLED照明器具1の下側からも通気空間9に空気が吸気される。つまり、造営物4である天井沿いに居室の壁際の空気を吸気すると同時に送風機付きLED照明器具1近傍の照明部6下方の空気も吸い込んで、居室全体から吸気して送風機2により床面側に噴き出すことで居室全体の空気を均等に攪拌することとなる。
【0083】
逆回転時には送風機2は床面側から造営物4側に向かって気流を発生させる。このとき吸気側であるファンの下側が若干負圧になるので、床面側からの気流に加えて各照明部6の間の気流空隙と貫通孔10を通って造営物4側から床面側に向かって空気が流れる。つまり、床面側の送風機付きLED照明器具1直下の空気が造営物4側に吹き上げられて居室の壁を伝わって循環するだけではなく、通気空間9を通る気流の一部が造営物4側から通気間隙8を通って送風機付きLED照明器具1付近の居室中央部に向かって噴き出すこととなり、造営物4沿いに壁沿いにのみ気流が循環するのではなく居室全体の空気が均等に攪拌されることとなる。
【0084】
従って、正回転時も逆回転時も居室内の空気を均等に攪拌することができる。居室内を冷暖房する場合に、一般的には暖房時は正回転で造営物4側から気流を吹き下ろす方向に運転し、冷房時は逆回転で床面側から吸気して気流を発生させて居室内の空気を攪拌することが多いが、常に居室内の空気を均等に攪拌することができることとなる。
【0085】
照明部6から光を発出して居室内を照明する場合は、各照明部6の透光性カバー12が円錐形でかつ表面13が下方に凸であることから、LED基板5から発出された光が透光性カバー12を通過するときに光拡散剤によって拡散されるとともに、表面13による屈折で表面13の法線方向に光が放射されるために、照明部6直下の居室の床面以外の居室床面全般に向かって光を拡散することとなり、居室内全体を均一に照明することとができる。
【0086】
また、透光性カバー12の垂直面による断面は下方に凸な表面13であるので、表面13の一部から放射された光が貫通孔10を通過して造営物4に達して間接光のように造営物4を照明することとなる。
【0087】
間接照明ユニット21は、固定部3外周の段部23沿って略円環状に光を下方に発出する。発出された光は多くがアーム7の上側面に当たりそして上方の造営物4側に反射される。アーム7の上側面に反射された光は造営物4側に向かって照射されることとなり、間接光として造営物4を照明する。
【0088】
また、間接照明ユニット21から発出された光の一部はアーム7に反射されることなく床面に向かい、照明部6とともに床面を照明する。照明部6が光を発出していない場合でもアーム7の上面側で反射された光は造営物4下面を照明し、アーム7に反射されなかった一部の間接照明ユニット21からの光は床面に直接照射されて、造営物4を照明する反射光とともに間接光を補助する形で居室内を照明することとなる。
【0089】
以上のように、本実施例では、照明部6を5個にしたが、数量は任意で良い。照明部6間の空間である通気間隙8と貫通孔10の開口面積がファンの気流に対して程よい循環気流が発生する面積の比率であれば良い。
【0090】
また、照明部6や貫通孔10は円形でなくても良い。通気間隙8や通気空間9や送風機2の風量とのバランスが取れていればデザイン的に任意の形状で良い。
【0091】
また、間接照明ユニット21は固定部3と照明部6を連結するアーム7より高くに位置する造営物4側に配置されて下方に光を発出する構造であれば良い。アーム7に光を反射させると同時に発出した光の一部が直接床面に向かう構成であれば良いし、直接床面に向かう光が無くても良い。
【0092】
さらに、照明部6は円環状で貫通孔10も円形の孔であるとしたが、照明部6も貫通孔10も円形でなくても良い。例えば送風機2を中心にした扇形でも良いし角形をしていても良い。投影面積において上述した比率を保持していれば良い。
【0093】
以上、本発明の一実施例を説明したが、本発明はこれらの実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更があっても本発明に含まれる。すなわち、当業者であれば、当然なし得る各種変形や修正もまた本発明に含まれる。
本発明は、リビングや和室や洋室、更には事務所や工場などの居室や廊下や玄関等の天井面等に沿って設置される送風機付きLED照明器具として、照明機能と同時に居室内の空気の均等な循環や攪拌が可能な多機能でコンパクトな送風機付きLED照明器具を提供することができる。