(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179884
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】印刷データを送信する方法
(51)【国際特許分類】
B41J 29/38 20060101AFI20241219BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B41J29/38 201
B41J2/01
B41J2/01 401
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099177
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001243
【氏名又は名称】弁理士法人谷・阿部特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】添田 康宏
(72)【発明者】
【氏名】三浦 洋介
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EB08
2C056EB27
2C056EB29
2C056EB30
2C056EC07
2C056EC29
2C056FA03
2C056FA04
2C056FA13
2C056HA15
2C061AQ05
2C061AS02
2C061HJ06
2C061HK11
2C061HK19
(57)【要約】
【課題】多様な機能を備える印刷装置において、印刷データを効率的に送信する。
【解決手段】本発明の一実施形態は、印刷データを送信する方法であり、データ長が固定された第1データ部を生成する工程と、データ長が可変の第2データ部を生成する工程と、前記第1データ部と前記第2データ部とを所定の順序で組み合わせて前記印刷データを送信する工程と、を含み、前記第1データ部は、複数の情報部を含み、前記第2データ部は、複数の付帯情報部を含むことができ、前記第1データ部に含まれる第1情報部は、前記第2データ部における前記複数の付帯情報部の個々の有無を示し、第2情報部は、複数の合成データを含み、前記送信する工程において、前記複数の合成データは夫々ビット分割され、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、1パケット内に連続して配置される。
【選択図】
図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置においてシリアル伝送方式で印刷データを送信する方法であって、
データ長が固定された第1データ部を生成する工程と、
データ長が可変の第2データ部を生成する工程と、
前記第1データ部と前記第2データ部とを所定の順序で組み合わせて前記印刷データを送信する工程と、
を含み、
前記第1データ部は、複数の情報部を含み、
前記第2データ部は、複数の付帯情報部を含むことが可能であり、
前記第1データ部に含まれる前記複数の情報部の1つである第1情報部は、前記第2データ部における前記複数の付帯情報部の個々の有無を示し、
前記複数の情報部の1つである第2情報部は、複数の合成データを含み、
前記送信する工程において、前記複数の合成データはそれぞれビット分割され、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、1つのパケット内に連続して配置される、
ことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、前記第2情報部において1つのパケット内に連続して配置される、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、前記複数の付帯情報部の1つである第1付帯情報部に割り付けされる、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記合成データの一部が割り付けられる前記付帯情報部において、前記合成データの最上位ビットから下位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の上位ビット列が配置されているか、又は、前記合成データの最下位ビットから上位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の下位ビット列が配置されている、
請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記上位ビット列に対する前記予め決められたビット長は、前記合成データが取り得る最大値に応じて決まる、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記下位ビット列に対する前記予め決められたビット長は、前記合成データの分解能に応じて決まる、
請求項4に記載の方法。
【請求項7】
回路ブロックを更に有し、
前記合成データは、前記回路ブロックの動作タイミングを設定するデータである、
請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記回路ブロックは、素子基板に作られる印刷素子に流す電流をスイッチする回路を含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つのパケットは、ダミーデータと、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方とを含む、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記複数の合成データのそれぞれのデータ長は、同一である、
請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記複数の合成データのそれぞれのデータ長は、前記1つのパケットのデータ長より大きい、
請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷データを送信する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
印刷装置は、インク等の液体を吐出するための複数のノズルが配列された印刷ヘッドを有する。例えば外部装置(パーソナルコンピュータ等)から印刷装置に印刷ジョブが入力された場合、印刷ヘッドには、該印刷ジョブに基づく印刷データが送信され、印刷ヘッドは、該送信された印刷データに基づいて液体を吐出する。この印刷データは、所定の単位で送信され、パケット等と呼ばれる。
【0003】
特許文献1には、シリアル方式でデータを送信する際に、送信対象となるデータに、当該データのデータ長を特定するための情報を包含させることで、送信単位毎のデータのサイズを可変とすることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
昨今の印刷装置は、従来と比べ多様な機能を有することから、送信対象の印刷データの大容量化の傾向があり、送信の迅速性が求められているところ、特許文献1の技術では、当該印刷装置において、印刷データを効率的に送信できるとは言い難い。そのため、印刷データ送信のため更なる改善が求められている。
【0006】
そこで本開示は、多様な機能を備える印刷装置において、印刷データを効率的に送信することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態は、印刷装置においてシリアル伝送方式で印刷データを送信する方法であって、データ長が固定された第1データ部を生成する工程と、データ長が可変の第2データ部を生成する工程と、前記第1データ部と前記第2データ部とを所定の順序で組み合わせて前記印刷データを送信する工程と、を含み、前記第1データ部は、複数の情報部を含み、前記第2データ部は、複数の付帯情報部を含むことが可能であり、前記第1データ部に含まれる前記複数の情報部の1つである第1情報部は、前記第2データ部における前記複数の付帯情報部の個々の有無を示し、前記複数の情報部の1つである第2情報部は、複数の合成データを含み、前記送信する工程において、前記複数の合成データはそれぞれビット分割され、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、1つのパケット内に連続して配置される、ことを特徴とする方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によると、多様な機能を備える印刷装置において、印刷データを効率的に送信することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図3】素子基板に入力されるデータ及び信号のタイミングチャート
【
図5】送信1回分の印刷データDtのデータ構造を示す図
【
図7】各モードに対応する印刷データDtのデータ構造を示す図
【
図10】信号HEATを生成する動作を説明するための図
【
図11】駆動素子等の動作を説明するためのタイミングチャート
【
図12】3枚のシートに印刷するケースのモード遷移を示す図
【
図13】送信1回分の印刷データDtのデータ構造を示す図
【
図16】信号HEATを生成する動作を説明するための図
【
図18】信号HEATを生成する動作を説明するための図
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照しながら、本開示の実施形態を詳しく説明する。尚、以下の実施形態は、特許請求の範囲に係る発明を必要以上に限定する趣旨ではない。また、以下の実施形態には複数の特徴が記載されているが、該複数の特徴の全てが、本開示の課題解決に必須のものとは限らない。この複数の特徴は任意に組み合わせられても良い。さらに、添付図面においては、同一又は同様の構成に同一の参照番号を付し、重複した説明は省略する場合がある。
【0011】
[第1実施形態]
図1は、本実施形態における印刷装置の構成を示す図である。詳しくは、
図1(a)は、印刷装置の外観を示す簡易斜視図であり、
図1(b)は、印刷装置内部の回路ブロックの構成を示すブロック図である。
【0012】
図1(a)に示すように、印刷装置1は、コネクタ11と、排出トレイ12と、を有する。印刷装置1は、コネクタ11を介した有線通信により(或いは無線通信でも良い)、パーソナルコンピュータ等、外部の情報処理装置(図示せず)に接続される。外部の情報処理装置は、ホスト装置等と表現されても良い。印刷装置1には、1枚以上のシートが載置されており、印刷装置1は、外部の情報処理装置から受信した印刷ジョブに基づいてシートに対して印刷を行い、印刷済となったシートを排出トレイ12に排出する。
【0013】
印刷装置1は、シートへの印刷をインクジェット方式で実行可能に構成されており、シートを搬送する不図示の搬送機構と、該搬送されたシートへの印刷を行う後述の印刷ヘッド19(
図1(b)及び
図12参照)と、を更に有する。印刷ヘッド19には、ラインヘッド、シリアルヘッド等、公知のものを採用して良いが、本例ではラインヘッドを採用する。
【0014】
図1(b)は、印刷装置内部の回路ブロックの構成を示すブロック図である。この回路ブロックが動作する動作タイミングは、後述する合成データp1~p4によって設定される。尚、合成データによる動作タイミングの設定については、後で詳しく説明する(
図10等参照)。
【0015】
図1(b)に示すように、印刷装置1は、制御基板13、ヘッド基板14及び複数の素子基板15を有する。制御基板13は印刷装置1本体に設けられ、ヘッド基板14及び素子基板15は印刷ヘッド19に設けられる。制御基板13は、コネクタ11を介して入力された印刷ジョブに基づいて後述の印刷データDtを生成し、該生成した印刷データDtをヘッド基板14に出力する(
図2参照)。複数の素子基板15の夫々に対して、1つのフレキシブル基板16が接続され、複数の素子基板15は夫々、対応するフレキシブル基板16経由でヘッド基板14に通信可能に電気接続される。かかる構成により、ヘッド基板14は、複数の素子基板15の夫々に対し、当該夫々に対応するフレキシブル基板16を介して、当該夫々に対応する印刷データDtを送信することができる。
【0016】
ここで、複数の素子基板15は一方向に沿って配されており、個々の素子基板15において、当該一方向に沿って後述する複数の印刷素子201(
図4参照)が配列される。印刷ヘッド19には、インク等の液体の液滴を吐出するためのノズルが複数配列されるところ、印刷素子201は、このノズルに対応して設けられており、印刷素子201が駆動されることにより、該ノズルからのインク滴の吐出を実現する。印刷素子201として、公知のものを用いて良く、本例では電気熱変換素子(ヒータ素子、抵抗素子等と称される。)を用いるものとするが、電気熱変換素子の代わりにピエゾ素子を用いても良い。
【0017】
制御基板13は、印刷装置1が備える各機能を実現するための演算処理を行うプロセッサ131を有する。例えば、プロセッサ131は、印刷データDtを生成し、該生成した印刷データDtを素子基板15に送信する送信部として機能する。詳細は後述するが、プロセッサ131は、第1生成部1311、第2生成部1312及び第3生成部1313を有することで、かかる送信部を実現する。
【0018】
尚、プロセッサ131には、典型的にはASIC(特定用途向け集積回路)、PLD(プログラマブルロジックデバイス)等の半導体装置が用いられるが、他の実施形態として、プロセッサ131はCPU及びメモリで構成されていても良い。そのため、プロセッサ131の各機能は、ハードウェアとソフトウェアとの何れかによって実現されても良いし、ハードウェアとソフトウェアとの組み合わせによって実現されても良い。
【0019】
印刷データDtは、シリアル伝送方式により所定の単位で送信され、送信1回分のデータはパケット等と称される。本実施形態では、制御基板13は、印刷データDtをパケット単位で順に生成し、その後、該生成した印刷データDtを、ヘッド基板14を介して素子基板15に順に送信する。尚、制御基板13以外の構成要素によって印刷データDtが生成されても良い。例えば、印刷データDtは、ヘッド基板14においてパケット単位で順に生成され、その後、ヘッド基板14から素子基板15に順に送信されても良い。
【0020】
図2は、ヘッド基板14及び複数の素子基板15を有する印刷ヘッド19の構成を示すブロック図である。複数の素子基板15の夫々には、印刷データDtの他、制御基板13から送信されるクロック信号CLK_A及びラッチ信号Ltがフレキシブル基板16を通して入力される。クロック信号CLK_Aは、この信号波形のライズエッジ(ローレベルからハイレベルへの遷移)と、フォールエッジ(ハイレベルからローレベルへの遷移)との少なくとも1つにより、2以上の要素間の同期を図ることを可能とする。ラッチ信号Ltは、この信号波形のライズエッジ又はフォールエッジにより、印刷データDtを構成する個々の信号を不図示のラッチ回路にてラッチすることを可能とする。
【0021】
図3は、データ送付の一般的なタイミングチャートであって、送信1回分の印刷データDt、並びに、これと共に素子基板15に入力されるクロック信号CLK_A及びラッチ信号Ltを示す。印刷データDtは、詳細については後述とするが、複数の情報部inf11、inf12等(特に区別しない場合には単に「情報部inf」と記載する。)を含み、個々の情報部infは、複数の信号を含んで構成される。例えば、m及びnを1以上の整数として、情報部inf11(
図3中、第1のグループ)は、信号a(0)、a(1)、a(2)・・・、a(m)を含むmビットデータとする。情報部inf12(
図3中、第2のグループ)は、信号b(0)、b(1)、b(2)・・・、b(n)を含むnビットデータとする。尚、ビットデータは複数の信号で構成され、個々の信号の値はビット値とも表現可能である。尚、データの受信回路の構成の都合上、グループのビット数は同一とするのが好ましい(本例だとm=n)。
【0022】
図3の例では、時刻t0、t1、t2等におけるクロック信号CLK_Aのライズエッジ/フォールエッジにより上記信号a(0)等が順に入力され、その後、ラッチ信号Ltがライズエッジを形成する時刻tpにおいて該送信された信号a(0)等がラッチされる。従って、送信1回分の印刷データDtは、あるラッチ信号Ltのフォールエッジから次のラッチ信号Ltのライズエッジまで、で画定されることとなる。
【0023】
図4は、個々の素子基板15の構成例を示す。素子基板15は、印刷素子2011~201k、駆動素子2021~202k及び論理素子2031~203kを有する。また素子基板15は、複数の吐出センサ210、複数の残渣除去部204、温度センサ205、複数の加温素子206、論理部2071~2076、信号出力部2081~2082及びプロセッサ209を更に有する。尚、印刷素子2011~201k、駆動素子2021~202k、論理素子2031~203kについて、特に区別する必要がない場合には、印刷素子201、駆動素子202、論理素子203と記す。尚、本明細書において、このような表記ルールが、他の構成要素にも同様に適用されるものとする。
【0024】
複数の駆動素子202は夫々、対応する1つの印刷素子201に直列に接続される。個々の駆動素子202には、MOS(MetalOxideSemiconductor)トランジスタ等、公知のスイッチ素子が用いられ、駆動素子202は、導通状態となることで印刷素子201を通電させて駆動し、非導通状態となることで該駆動を抑制する。駆動素子202がMOSトランジスタの場合、ゲート端子が論理素子203の出力に接続され、且つソース端子及びドレイン端子が印刷素子201との間で電流経路を形成するように配される。論理素子203の入力に関して、例えば論理素子2031には論理部2075からの信号SEL(1)、論理部2076の信号HEATが入力される。他の論理素子についても同様に、論理素子2032には論理部2075からの信号SEL(2)、論理部2076の信号HEATが入力され、論理素子203kには論理部2075からの信号SEL(k)、論理部2076の信号HEATが入力される。
【0025】
1つの吐出センサ210は、1つの印刷素子201に対応して設けられるので、吐出センサ210の数と印刷素子201の数とは等しい。個々の吐出センサ210は、対応の印刷素子201の駆動によりインク滴が適切に吐出されたか否かを検出可能となっている。論理部2071は、個々の吐出センサ210の駆動制御を行うと共に、その検出結果を取得可能である。これにより、プロセッサ209は、個々の吐出センサ210の検出結果を論理部2071から受け取ることができる。
【0026】
1つの残渣除去部204は、1つの印刷素子201に対応して設けられるので、残渣除去部204の数と印刷素子201の数とは等しい。個々の残渣除去部204は、例えば電極で構成される。論理部2072は、プロセッサ209からの信号に基づいて残渣除去部204に所定の電圧を与えることにより残渣除去部204を駆動し、それにより、対応の印刷素子201の近傍に生じ得るインク流路内のインクの残渣を除去することができる。
【0027】
温度センサ205は、素子基板15の所定位置(例えば周縁部等)に少なくとも1つ以上配され、素子基板15の温度を検出可能である。論理部2073は、個々の温度センサ205の駆動制御を行うと共に、その検出結果を取得可能である。これにより、プロセッサ209は、温度センサ205の検出結果を論理部2073から受け取ることができる。
【0028】
複数の加温素子206は、素子基板15の所定位置(例えば周縁部等)に配され、個々の加温素子206には、印刷素子201と同様、電気熱変換素子が用いられる。論理部2074は、プロセッサ209からの信号に基づいて加温素子206を駆動し、それにより、素子基板15の温度を調節する。尚、本実施形態では、印刷素子201と加温素子206との何れにも電気熱変換素子が用いられるが、加温素子206は、サブヒータないしサブヒータ素子とも称され、それにより印刷素子201とは区別される。
【0029】
信号出力部2081は、プロセッサ209からの信号に基づいて、吐出センサ210及び温度センサ205の検出結果、並びに、残渣除去部204の駆動結果を示すアナログ信号を、出力端子2081Tを介して制御基板13に出力する。信号出力部2082は、プロセッサ209からの信号に基づいて、吐出センサ210及び温度センサ205の検出結果、並びに、残渣除去部204の駆動結果を示すデジタル信号を、出力端子2082Tを介して制御基板13に出力する。信号出力部2081及び信号出力部2082には公知のマルチプレクサが用いられれば良い。信号出力部2081及び信号出力部2082により、これらアナログ信号及びデジタル信号の一方又は双方が制御基板13に出力される。
【0030】
プロセッサ209は、所定の演算処理を行うことにより、上述の各要素についての駆動制御を行う。詳細については後述とするが、プロセッサ209は、第1処理部2091、第2処理部2092及び第3処理部2093を含んで構成される。尚、プロセッサ209の各機能は、プロセッサ131と同様、ハードウェアとソフトウェアとの何れによって実現されても良い。
【0031】
以上説明したように、
図1(b)に示す回路ブロックは、素子基板15を有し、素子基板15は、
図4に示す回路全体を有し、
図4に示す回路は、プロセッサ209と、論理素子2031~203kと、論理部2071~2076と、を有する。
【0032】
図5は、1回分の送信データ(シリアルデータ)である印刷データDtのデータ構造の例を示す。印刷データDtは、第1データ部D1を含んでおり、また、付随的に第2データ部D2を含み得る。つまり、第1データ部D1は印刷データDtに必ず含まれるが、第2データ部D2は印刷データDtから適宜省略可能である。データ部D1は、複数の情報部inf11~inf15を含んで構成され、そのデータ長(データサイズ)は固定されている。データ部D2は、複数の付帯情報部inf21~inf26を包含可能に構成され、そのデータ長は、各付帯情報部の有無に応じて可変である。
【0033】
まず、必須のデータ部であるデータ部D1の構成要素、具体的に情報部inf11~情報部inf15について説明する。
【0034】
情報部inf11は、印刷データDtのヘッダの一態様(スタートコンディション)を形成し、通信の開始を示す通知データを構成する。
【0035】
情報部inf12は、データ部D2に含まれ得る複数の付帯情報部inf21~inf26の夫々の有無を示す。前述の通り、データ部D2のデータ長は、複数の付帯情報部inf21~inf26の有無に応じて可変となっており、情報部inf12のデータを用いることで、データ部D2のデータ長を把握できる。このような情報部inf12の性質から、情報部inf12を付帯情報特定部、スキップフラグ等と称する。
【0036】
情報部inf13は、どのヒータを駆動するか選択するためのデータ(ヒータ選択データ)を構成する。尚、詳細は後述するが、情報部inf13について、kビットで構成され(
図8(a)参照)、各ビットと
図4の印刷素子201とは1対1対応になっており、selに1が書き込まれたビットに対応する印刷素子201のみ駆動される回路構成となっている。また、詳細は後述するが、情報部inf13のデータから、信号HEATのタイミングが決まる(
図10参照)。
【0037】
情報部inf14は、印刷素子201の駆動信号のパルス波形や駆動のタイミングを定義するための定義用データを構成する。このような情報部inf14の性質から、情報部inf14をヒートパルス定義データと称する。
【0038】
情報部inf15は、印刷データDtの末尾に配され、印刷データDtの送信が適切に実行されたか否かを診断するための診断用データを構成する。
【0039】
次に、付随的なデータ部であるデータ部D2の構成要素、具体的に付帯情報部inf21~付帯情報部inf26について説明する。
【0040】
付帯情報部inf21は、加温素子206により素子基板15の加温を実行するか否かを示す第1の調整用データを構成する。尚、前述の通り、加温素子206は、サブヒータないしサブヒータ素子とも称される。
【0041】
付帯情報部inf22は、信号出力部2081による制御基板13へのアナログ信号の出力を選択することを示す第1の選択用データを構成する。
【0042】
付帯情報部inf23は、信号出力部2082による制御基板13へのデジタル信号の出力を選択することを示す第2の選択用データを構成する。
【0043】
付帯情報部inf24は、吐出センサ210の検出結果の取得を実行するか否かを示す第1の検出実行用データを構成する。
【0044】
付帯情報部inf25は、温度センサ205の検出結果の取得を実行するか否かを示す第2の検出実行用データを構成する。
【0045】
付帯情報部inf26は、残渣除去部204によりインクの残渣の除去を実行するか否かを示す第2の調整用データを構成する。
【0046】
以上、
図5を用いて説明したように、データ部D1には、現に印刷を実行するために必要な情報ないし印刷動作そのものに直接的に関連する情報が包含される。一方、データ部D2には、印刷実行前の準備段階で必要な情報ないし印刷動作に間接的に関連する情報が包含される。
【0047】
図6は、付帯情報特定部である情報部inf12の内容を示す。本実施形態では、情報部inf12は8ビットデータである。第1ビットは付帯情報部inf21の有無を示し、第2ビットは付帯情報部inf22の有無を示し、第3~第6ビットも同様、夫々に対応する付帯情報部infの有無を示す。第7ビット及び第8ビットは、付帯情報部inf12のデータサイズを8ビットにするためのダミーデータ(NULL)である。本実施形態では、個々のビットは「0」又は「1」の2値をとるものとし、「0」は有ることを示し、「1」は無いことを示す。例えば、第1ビットが「0」の場合、データ部D2は付帯情報部inf21を含むものとし、また、第1ビットが「1」の場合、データ部D2は付帯情報部inf21を含まないものとする。
【0048】
図7(a)~(d)は、印刷データを送信するための4つのモード(第1~第4モード)で使われる印刷データDt(送信1回分)を表している。
【0049】
図7(a)は、第1モード時の印刷データDtのデータ構造を示す。第1モードとは、全ての機能が選択された場合の送信モードである。図示するように、付帯情報特定部である情報部inf12の第1~第6ビットについて、「000000」とする(先頭から順に第1、第2・・・、第6ビットとする。)。この場合、印刷データDtは、データ部D1として情報部inf11~inf15を含む他、データ部D2として付帯情報部inf21~inf26の全部を更に含む形となる。そのため、印刷データDtのデータ長は最大となる。
【0050】
図7(b)は、第2モード時の印刷データDtのデータ構造を示す。第2モードとは、サブヒータ駆動と、吐出センサの検出実行と、温度センサの検出実行とが選択された場合の送信モードである。図示するように、情報部inf12の第1~第6ビットについて、「011001」とする。この場合、印刷データDtは、データ部D1として情報部inf11~inf15を含む他、データ部D2として付帯情報部inf21、inf24及びinf25を更に含む。一方、付帯情報部inf22、inf23及びinf26は省略される。
【0051】
図7(c)は、第3モード時の印刷データDtのデータ構造を示す。第3モードとは、サブヒータ駆動と、温度センサの検出実行とが選択された場合の送信モードである。図示するように、情報部inf12の第1~第6ビットについて、「011101」とする。この場合、印刷データDtは、データ部D1として情報部inf11~inf15を含む他、データ部D2として付帯情報部inf21及びinf25を更に含む。一方、付帯情報部inf22、inf23、inf24及びinf26は省略される。
【0052】
図7(d)は、第4モード時の印刷データDtのデータ構造を示す。第4モードとは、サブヒータ駆動のみ選択された場合の送信モードである。図示するように、情報部inf12の第1~第6ビットについて、「111111」とする。この場合、印刷データDtは、データ部D1として情報部inf11~inf15を含む一方で、データ部D2を含まない(付帯情報部inf21~inf26の全部が省略される)形となり、印刷データDtのデータ長は最小となる。
【0053】
図8(a)は、
図5の情報部inf13のビット配列を示す。情報部inf13は、ビットsel(1)~sel(k)で構成され、ビットsel(1)、sel(2)、…sel(k)の順番で送信される。情報部inf13のビットは、
図4の論理部2075で保持される。ここで論理部2075に保持されたデータについて
図4を用いて説明する。論理部2075で保持された、ビットsel(1)、sel(2)、…sel(k)は、論理部2076から出力される信号HEATとAND演算が行われる。このため、ビットsel(1)、sel(2)、…sel(k)のうち1が書き込まれたビットに対応する駆動素子202には信号HEATが入力される。一方、0が書き込まれたビットに対応する駆動素子202は、AND演算により常時0となり信号HEATは入力されない。HEATが入力された駆動素子に接続されている印刷素子201のみが導通状態となりインクを加温する。このとき、インクの発泡によりに対応する非図示のノズルよりインクが吐出され印刷動作を行う。以上の動作から、ビットsel(1)、sel(2)、sel(k)は、印刷素子2011、2012 、…、 202kの印刷動作の有無を選択するデータとして機能する。
【0054】
図8(b)は、
図5の情報部inf14のビット配列を示す。情報部inf14は、ビットd(1)~d(4)、p1(9)~p4(9)、p1(1)~p1(8)、p2(1)~p2(8)、p3(1)~p3(8)、p4(1)~p4(8)の順番で送信される。情報部inf14のビットは、
図4の論理部2076で保持される。先頭のd(1)~d(4)は、
図8(b)における横方向のビット長を8ビットに揃えるために設けられており、本実施形態の動作には作用しないダミービットである。
【0055】
図8(c)は、情報部inf14の送信形態として、ビットp1(1)~p1(9)を連続した1つのデータとして送信する従来例を示しており、本実施形態との差分を説明するための図である。
図8(c)では、ビットp2(1)~p2(9)、p3(1)~p3(9)、p4(1)~p4(9)も同様に、夫々連続した1つのデータとして送信する。
【0056】
印刷データDtのシリアル通信では、シリアルデータをパラレルデータに変換する回路(シリアルパラレル変換回路、以降シリパラ変換回路)が用いられる。シリパラ変換回路は、一定のビット幅(1回の変換動作でシリパラ変換できるビットの数)を、8ビット(=1バイト)を最小単位として構成することが一般的である。そのため、
図8(c)では、情報部inf14はダミービットd(1)~d(28)を付加して、全体で8バイトデータとなっている。
【0057】
一方、本実施形態では、
図8(b)に示すように、データp1~p4の夫々の最上位1ビット(具体的にはp1(9)、p2(9)、p3(9)、p4(9))を、1バイト内にまとめる。これにより、情報部inf14のデータを5バイトで構成できる。
【0058】
図9は、
図4の論理部2076の構成図である。カウンタ901には、クロックCLK_Bが入力される。カウンタ901はクロックCLK_Bのエッジをカウントし、9ビット信号である信号CNT(9:1)を出力する。この信号CNTはコンパレータ902に入力される。
【0059】
また、コンパレータ902には、合成データp1(9:1)が入力される。合成データp1(9:1)は、
図8(b)におけるビットp1(9)~p1(1)の順に、上位ビットから下位ビットに向けて並べた9ビットデータを示す。同様に、コンパレータ902には、合成データp2(9:1)、合成データp3(9:1)、合成データp4(9:1)が入力される。
【0060】
尚、以下では説明に応じて、ビットとデータとを使い分けるが、基本的には、ビットp1(9)~ビットp1(1)と、合成データp1(9:1)とは、同じものを意味する。この表記ルールは、p2~p4についても同様に適用する。
【0061】
コンパレータ902では、信号CNTと、合成データp1(9:1)~合成p4(9:1)とを比較し、信号HEATを生成する。コンパレータ902によって生成された信号HEATは論理部2076から出力される。尚、詳細は
図10を用いて後述する。
【0062】
合成データp1(9:1)~p4(9:1)は夫々、9ビットで1つのマルチビットデータとして機能するところ、本実施形態では、
図8(b)に示すように、この9ビットデータのうち一部を、ビット分割して非連続配置する。つまり本例では、ビット分割されたビットp1(9)~p4(9)は、最上位のパケット内(8ビットデータ)に含まれるようまとめて連続配置され、当該パケットの余ったビットにはダミーデータが割り当てられる。尚、本明細書では、マルチビットデータ(本例では9ビットデータ)のうち一部のビットを分割すること、ないし情報部inf14のビット配列に示すように個々のマルチビットデータを非連続配置することを「抽出する」と記載する。
【0063】
図10は、
図4の論理部2076が信号HEATを生成する動作を説明するための図である。
図10において、縦軸は、信号CNTのカウント値を表す。信号CNTは図示しないクロックCLK_Bのエッジをカウントすることで得られる信号であり、本例では、時刻t90から信号CNTのカウントが開始される。この時の信号HEATの信号レベルはLである。
【0064】
時刻t91においてデータp1と信号CNTとが一致し、信号HEATの信号レベルがHになる。以降、信号CNTは、時刻t92でp2と、時刻t93でp3と、時刻t94でp4と、夫々一致し、信号HEATがレベルL、レベルH、レベルLの順番に変化する。
【0065】
図11(a)は、印刷素子201、駆動素子202、論理素子203の動作の一状態を説明する図である。論理素子203j(j=1、2、…、k)には、論理部2075からのビットsel(j)と、論理部2076からの信号HEATとが入力される。論理素子203jは2入力のAND素子で構成され、ビットsel(j)と、信号HEATとがともにレベルHとなる区間において、駆動素子202jを導通状態(図中ONと図示)にする。信号HEATがレベルLとなる区間においては、駆動素子202jを非導通状態(図中OFFと図示)にする。駆動素子202jが導通状態になると、印刷素子201jには電流が流れる。その結果、インクの加熱によるインク滴の吐出が行われる。
【0066】
図11(b)は、
図11(a)とは別の状態を説明する図である。この状態では、ビットsel(j)のレベルは常時Lである。このため、駆動素子202jは、信号HEATのレベルに関係なく非導通状態となり、インク滴は吐出されない。
【0067】
図11(a)及び
図11(b)に示す動作の結果、ビットsel(j)は、印刷素子201jの駆動する又は駆動しないを選択する信号、信号HEATは、印刷素子201jの駆動するタイミングを定める信号として機能する。
【0068】
図12は、3枚のシートShに対して印刷を行う場合に、パケット単位で送信される印刷データDtの送信態様を示す。前述のとおり、本実施形態では印刷ヘッド19にはラインヘッドが用いられる。そのため、印刷ヘッド19は、シートShに対してシート長方向に相対的に移動しながら、シートShのシート幅方向の全域に亘る印刷を一度に行うことが可能である。実際には、印刷装置1において、印刷ヘッド19に対してシートShが移動することで、当該移動するシートShに対する印刷が行われるが、
図12では理解の容易化のため、上記3枚のシートShに対して印刷ヘッド19が移動する形で示している。
【0069】
図12の横軸は時間軸に対応し、例えば、時刻t0では印刷装置1が起動され又は初期化される。その後、印刷ジョブの入力に応じて、時刻t1では1枚目のシートShに対する印刷を開始し、時刻t2では1枚目のシートShに対する印刷を完了する。時刻t3では2枚目のシートShに対する印刷を開始し、時刻t4では2枚目のシートShに対する印刷を完了する。同様に、時刻t5では3枚目のシートShに対する印刷を開始し、時刻t6では3枚目のシートShに対する印刷を完了する。時刻t6で、入力された印刷ジョブに対する印刷処理が完了する。
【0070】
時刻t0~t1の期間では、印刷データDtの送信は、第1モード(
図7(a)参照)又は第2モード(
図7(b)参照)で、パケット単位で行われる。これによって、印刷立ち上げのための温度調整、吐出センサによる検出等の機能設定が行われる。
【0071】
時刻t1~t2の期間では、印刷データDtの送信は、第3モード(
図7(c)参照)又は第4モード(
図7(d)参照)で、パケット単位で行われる。第3モードでは、印刷動作、温度調整、吐出センサの検出に機能が限定されるよう送信対象のデータを絞っており、これにより、データ周期(吐出周期)を短くしている。また第4モードでは、印刷動作に機能が限定されるよう送信対象のデータを絞っており、これにより、送信するデータ量を最小にし、データ周期(吐出周期)を最短としている。
【0072】
1枚目のシートShの印刷の完了から、2枚目のシートShの印刷の開始の期間となる時刻t2~t3の期間では、印刷データDtの送信は、第2モード(
図7(b)参照)で、パケット単位で行われる。
【0073】
時刻t3~t4の期間及び時刻t5~t6の期間では、時刻t1~t2の期間同様、印刷データDtの送信は第3モード又は第4モードで行われる。時刻t4~t5の期間では、時刻t2~t3の期間同様、第2モードで行われる。また、時刻t6以降では、印刷データDtの送信は第1モード又は第2モードで行われ、これによって、全機能の初期化、印刷立ち下げ等が行われる。
【0074】
このように、印刷装置1の起動状態における期間は、印刷ヘッド19が現に印刷を実行している期間(印刷実行期間(第1期間))と、該印刷が実行されずに中断されている期間(印刷中断期間(第2期間))と、に分けられる。印刷ヘッド19がラインヘッドである本実施形態では、印刷実行期間は、印刷ヘッド19下方をシートShが通過している期間である。また、印刷中断期間は、印刷装置1が起動状態における印刷実行期間以外の期間、例えば、あるシートShの印刷の完了から次のシートShの印刷の開始までの期間等、である。
【0075】
図12を用いて説明したように、印刷実行期間では、印刷データDtは印刷中断期間と比べて小さいサイズで形成される一方、印刷中断期間では、印刷データDtは印刷実行期間に比べて大きいサイズで形成される。これにより、印刷実行期間においては、印刷データDtのパケット単位の送信量を小さくすることができる。従って、制御基板13と個々の素子基板15との間における無用又は優先度の低い通信を省略し、或いは、それらの間における通信速度ないし送信速度を下げることも可能となる。
【0076】
尚、印刷データDtについて、印刷実行期間と印刷中断期間との間にデータサイズの相対的な大小関係があれば良い。この制約さえ満たせば、印刷実行期間及び印刷中断期間に対して、上記第1~第4モード(
図7(a)~
図7(d)参照)の何れが割り当てられても構わない。
【0077】
ここで再び
図1(b)及び
図4を参照すると、本実施形態では、印刷データDtの送受信において、送信部として機能するプロセッサ131は第1生成部1311、第2生成部1312、第3生成部1313を含む。また、受信部として機能するプロセッサ209は、第1処理部2091、第2処理部2092、第3処理部2093を含む。
【0078】
まず、送信部として機能するプロセッサ131について説明する。第1生成部1311は、印刷データDtの一部を構成するデータ部D1を生成し、このデータ部D1は、複数の情報部inf11~inf15を含んで構成され、そのデータ長(データサイズ)は固定されている。また、第1生成部1311は、印刷データDtに含まれる合成データp1(9:1)~p4(9:1)にダミービットd(1)~d(4)を付加して、
図8(b)に示すビット配列の情報部inf14(5バイト)を生成する。
【0079】
第2生成部1312は、印刷データDtの他の一部を構成するデータ部D2を生成し、このデータ部D2は、複数の付帯情報部inf21~inf26を包含可能に構成され、そのデータ長は可変である。
【0080】
第3生成部1313は、データ部D1とデータ部D2とを所定の順序で組み合わせて印刷データDtを生成する。本実施形態では、印刷データDtは、
図5に示されるように、情報部inf11~inf14と、情報部inf15との間に、付帯情報部inf21~inf26が配される形で、生成される。このようにして生成された印刷データDtはプロセッサ209に送信される。
【0081】
次に、受信部として機能するプロセッサ209について説明する。第1処理部2091は、プロセッサ131から受信した印刷データDtから、データ部D1の付帯情報特定部である情報部inf12を特定する。第2処理部2092は、情報部inf12の内容に基づいて、上記受信した印刷データDtからデータ部D2を特定し、それに伴いデータ部D1を特定する。
【0082】
ここで、付帯情報特定部である情報部inf12は、
図5に示されるように、付帯情報部inf21~inf26の前に配され、また、データ部D2の付帯情報部inf21、inf22、inf23、inf24、inf25及びinf26の夫々の有無を示す。この構造により、第1処理部2091は、付帯情報特定部である情報部inf12を適切に特定可能である。また、第2処理部2092は、付帯情報特定部である情報部inf12の内容に基づいてデータ部D2を適切に特定すると共にデータ部D1を特定することができる。
【0083】
加えて、第2処理部2092は、特定したデータ部D1から、
図8(b)に示すビットp1(9)~P1(1)を特定し、p1(9)~P1(1)の順に上位ビットから下位ビットに向けて並べることで、合成データp1(9:1)を生成する。同様に、第2処理部2092は、合成データp2(9:1)、合成データp3(9:1)、合成データp4(9:1)を生成する。
【0084】
第3処理部2093は、特定されたデータ部D1に基づいて、素子基板15の駆動制御のうち、印刷動作そのものについての駆動制御を行う。また、第3処理部2093は、特定されたデータ部D2に基づいて、素子基板15の駆動制御のうち、印刷動作に関連する駆動制御を行う。
【0085】
前述の「関連する駆動制御」の例として、印刷データDtが第1モード(
図7(a)参照)で送信されたケースを説明する。
【0086】
具体的な「関連する駆動制御」として、温度センサ205の検出結果に基づいて加温素子206による素子基板15の加温が実行される(付帯情報部inf21及びinf25が「0(有り)」)。また、吐出センサ210の検出結果に基づいて残渣除去部204によりインク残渣の除去が実行される(付帯情報部inf24及びinf26が「0(有り)」)。さらに、制御基板13へのアナログ信号及びデジタル信号の出力が行われる(付帯情報部inf22及びinf23が「0(有り)」)。
【0087】
本実施形態によれば、外部装置から印刷装置1に入力された印刷ジョブに基づいて印刷データDtが生成され、この印刷データDtはシリアル伝送方式で印刷ヘッド19内の素子基板15に送信される。印刷データDtは、データ長が固定されたデータ部D1と、データ長が可変のデータ部D2とが所定の順序で組み合わされて、生成される。
【0088】
データ部D1に含まれる複数の情報部inf11等のうち1つは、付帯情報特定部である情報部inf12である。この情報部inf12は、データ部D2に含まれ得る複数の付帯情報部inf21等の個々の有無を示し、データ部D2のデータ長は可変となっている。データ部D2に含まれ得る複数の付帯情報部inf21等の数の最大値をKとする(Kは1以上の整数)。このとき、一例として、付帯情報特定部である情報部inf12をKビットデータとすればよい(本実施形態ではK=8とする)。
【0089】
複数の付帯情報部inf21等の個々の有無(或いは、それを示す情報部inf12)は、印刷環境の変更に伴って変更されて良い。これについて具体的に説明する。例えば、印刷装置1がシートを搬送しながら印刷を開始した後から、該搬送および該印刷が完了するまでには、印刷ヘッド19が現に印刷を実行している印刷実行期間と、該印刷が中断されている印刷中断期間と、が存在する。印刷実行期間においては、印刷データDtのパケット単位の送信量が印刷中断期間と比べて低減される。そのため、印刷実行期間と印刷中断期間との間で、データ部D1の生成の際、付帯情報特定部である情報部inf12は変更され、また、データ部D2の生成の際、複数の付帯情報部inf21等の個々を生成するか否かは変更される。
【0090】
尚、前述では、情報部inf14に対して、9ビットデータの分割、ビットの並び替えを行うケースを例に説明した。但し、ビットを分割するという観点から見ると、印刷データDtを構成する全ての情報部に対して、前述の内容を適用可能である。また、データp1~p4夫々の最上位1ビットをまとめる例を示したが、ビットのまとめ方はこれに限定されない。例えば最下位1ビットや、中間の1ビットをまとめたり、1ビットではなく複数ビットをまとめたりすることも可能である。尚、本段落で説明した内容は、以下の第2実施形態以降についても同様に当てはまる。
【0091】
[第2実施形態]
第1実施形態では、データp1~p4の最上位1ビットを抽出、詳しくは、当該最上位1ビットを情報部inf14における先頭1バイトのデータにまとめて送信する例を示した。これに対し本実施形態では、抽出したデータを付帯情報部に割り付ける。尚、以下では、前述と異なる内容を中心に説明し、前述と同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0092】
図13は、1回分の送信データ(シリアルデータ)である印刷データDtのデータ構造の例を示す。データ部D2は、複数の付帯情報部inf21~inf26に加えてinf27を包含可能に構成される。データ部D2のデータ長は可変である。
【0093】
図14は、付帯情報特定部である情報部inf12の内容を示す。本実施形態では、情報部inf12は8ビットデータである。第7ビットは、付帯情報部inf27の有無を示す。第8ビットは、付帯情報部inf12のデータサイズを8ビットに保持するためのダミーデータ(NULL)である。第7ビットが「0」の場合、データ部D2は付帯情報部inf27を含み、また第7ビットが「1」の場合は、データ部D2は付帯情報部inf27を含まない。
【0094】
尚、付帯情報部inf27は、印刷素子201の駆動信号のパルス波形を定義するための定義用データを構成するので、
図13では「定義用データ2」と記載している。
【0095】
図15(a)は、付帯情報特定部である情報部inf12(
図13参照)の第7ビットが「0」の場合の、情報部inf14、付帯情報部inf27のビット配列を示す。合成データp1(1:9)のビット構成は、第1実施形態と同様に、最上位ビットp1(9)からp1(8)、p1(7)・・・という順に上位ビットから下位ビットに向けて並べた9ビットデータを示す。言い換えると、最下位ビットからp1(1)、p1(2)…、p1(9)の並びになる。
【0096】
図15(a)の情報部inf14のビット配列は、第1実施形態(
図8(b)参照)と部分的に同じである。しかし、本実施形態は第1実施形態と異なり、ビットd(1)~d(4)、P1(9)、P2(9)、P3(9)、P4(9)が付帯情報部inf27に含まれる。また、ビットp1(1)~p1(8)、ビットp2(1)~p1(8)、ビットp3(1)~p3(8)及びビットp4(1)~p4(8)が、情報部inf14に含まれる。
【0097】
合成データp1(9:1)を構成する9個のビットのうち、付帯情報部inf27に含ませる対象ビット及びその個数(
図15(a)の例では1個(つまり1ビット))は、予め決められている。一般的に説明すると、合成データの最上位ビットから下位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の上位ビット列が、付帯情報部に含まれる。具体的に本例では、合成データp1(9:1)の最上位ビットp1(9)から下位ビット方向に向けて、1ビット長の上位ビット列p1(9)が、付帯情報部inf27に含まれる。付帯情報部inf27に含まれるビットの個数に関して、他の合成データである合成データp2(9:1)~p4(9:1)にも同じことが言える。
【0098】
尚、ここでは、予め決められたビット長として1ビットを採用したが、2ビット以上の任意の一値を採用しても構わない。例えば、2ビットを採用した場合、
図15(a)のinf27には、ビットp1(9)とビットp1(8)とが含まれることになる。
【0099】
前述した付帯情報部に含まれる上位ビット列の長さ(つまり予め決められたビット長)の決定方法に関して、当該長さは合成データ(例えば合成データp1(9:1)等)が取り得る最大値に依存する。つまり、後述する
図16のように、合成データp4が8ビット長さに収まる(p4の最大値が255以下)場合、ビットp1(9)、ビットp2(9)、ビットp3(9)、ビットp4(9)はそれぞれ常に0である。そのため、最上位ビットから1ビットの長さのビット列を付帯情報部inf27に含めるよう構成し、
図14の第7ビット(付帯情報部inf27の有無)を1にすることでinf27を省略する。このような構成にすることで、
図13のDtの長さを短くすることが可能になり、実際に送付する合成データのデータ量を、
図15(b)に示すように減らすことが可能になる。
【0100】
また、上記と異なり、合成データの最下位ビットから上位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の下位ビット列が、付帯情報部に含まれる形態も考えられる。さらに、最下位ビットから上位ビット方向に向けて、既定のビット長の下位ビット列が付帯情報部に含まれる形態と、最下位ビットから上位ビット方向に向けて、既定のビット長の下位ビット列が付帯情報部に含まれる形態とを組み合わせても良い。
【0101】
前述した付帯情報部に含まれる下位ビット列の長さ(つまり予め決められたビット長)の決定方法に関して、当該長さは合成データ(例えば合成データp1(9:1)等)の分解能に依存する。分解能とは、合成データの値が変化する際の最小の単位量(1刻み、2刻み等)である。分解量は、最小変化量とも呼ばれる。
【0102】
つまり、後述する
図18に示すように、合成データp1~p4の分解能が2の場合、合成データp1~p4の最下位ビット、具体的には、ビットp1(1)、ビットp2(1)、ビットp3(1)、ビットp4(1)はそれぞれ常に0である。そのため、最下位ビットから1ビットの長さのビット列を付帯情報部inf27に含めるよう構成し、
図14の第7ビット(付帯情報部inf27の有無)を1にすることでinf27を省略する。このような構成にすることで、
図13のDtの長さを短くすることが可能になり、実際に送付する合成データのデータ量を、
図17(b)に示すように減らすことが可能になる。
【0103】
付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「0」の場合、データp1について、ビットp1(9)~P1(1)が順に上位ビットから下位ビットに向けて並んで、9ビットの合成データp1(9:1)を構成する。データp2~データp4もデータp1と同様に構成する。
【0104】
図15(b)は、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「1」の場合の、情報部inf14のビット配列を示す。付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「1」の場合、
図15(b)に示すように、付帯情報部inf27は省略される。
【0105】
このとき、データp1について、最上位ビットを「0」とし、以降、ビットp1(8)~p1(1)を順に上位ビットから下位ビットに向けて並べ、9ビットのデータp1(9:1)を構成する。データp2~データp4もデータp1と同様に構成する。
【0106】
図16は、第1実施形態の
図10と同様の図であり、本実施形態において、
図4の論理部2076が信号HEATを生成する動作を説明するための図である。縦軸は
図9のカウンタ901のカウント値を示し、横軸は時間を示す。
【0107】
図16は 、p1~p4の全てが、「0b1 0000 0000」より小さい状況を示している。このときp1~p4は夫々8ビットで表現できるため、9ビット目をまとめたデータ部分をデータ列から削除することができる。つまり、
図16は、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットを「1」に設定できる場合を表している。
【0108】
データp1~p4のうち、最も大きいデータp4の9ビット目が「0」の場合は、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットを「1」とし、データp1~p4の9ビット目を印刷データDtに含めることなく「0」に設定できる。
【0109】
情報部inf12の第7ビットを「0」と「1」との何れかに設定するかは、データp4の9ビット目であるビットp4(9)が、印刷データDtに含まれることから、送信部として機能するプロセッサ131が判断することが可能である。
【0110】
受信部として機能するプロセッサ209により、プロセッサ131から受信した印刷データDtから、データ部D2、データ部D1を特定することは第1実施形態と同様である。また、第1処理部2091が、付帯情報特定部である情報部inf12を適切に特定可能であることも、第1実施形態と同様である。
【0111】
第2処理部2092では、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットを参照し、参照結果に応じて、前述したように、合成データp1(9:1)、p2(9:1)、p3(9:1)、p4(9:1)の生成動作を実行する。
【0112】
本実施形態は、信号HEATのパルス長さに応じて、印刷データの長さを調整できる点に特徴がある。信号HEATの時間が短い場合、該時間が長い時と比べて印刷動作の周期が短くなり、印刷データDtの送信頻度(送信周波数ともいう)をより高くしたい場合が多い。このような場合に、本実施形態の構成が有効となる。
【0113】
尚、前述では、データp1~p4夫々の最上位1ビット(具体的にはp1(9)、p2(9)、p3(9)、p4(9))を付帯情報部inf27に割り付けたが、本実施形態はこれに限らない。データp1~p4夫々の上位2ビット以上について、本実施形態を適用しても同様の効果が得られる。また、データの設定範囲(最大値)に対応して、不要なデータビットの送信を省略するという観点から見ると、印刷データDtを構成する全ての情報部に対して、本実施形態を適用可能である。
【0114】
[第3実施形態]
第2実施形態では、データp1~p4の最上位1ビットを抽出し、1バイトデータ(付帯情報部inf27)にまとめて送信する例を示した。これに対し本実施形態では、データp1~p4の下位ビットを抽出し、付帯情報部に割り付ける。尚、以下では、前述の実施形態と異なる内容を中心に説明し、同じ内容については説明を省略する場合がある。
【0115】
1回分の送信データ(シリアルデータ)である印刷データDtは、第2実施形態と同様である(
図13参照)。情報部inf12の第7ビットが「0」の場合、データ部D2は付帯情報部inf27を含み、また該第7ビットが「1」の場合、データ部D2は付帯情報部inf27を含まない点も、第2実施形態と同様である。
【0116】
図17(a)は、付帯情報特定部である情報部inf12(
図13参照)の第7ビットが「0」の場合の、情報部inf14、付帯情報部inf27のビット配列を示す。ビットd(1)~d(4)、P1(1)、P2(1)、P3(1)、P4(1)が付帯情報部inf27に含まれる。また、ビットp1(2)~p1(9)、ビットp2(2)~p1(9)ビットp3(2)~p3(9)、ビットp4(2)~p4(9)が、情報部inf14に含まれる。
【0117】
付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「0」の場合、データp1について、ビットp1(9)~P1(1)が順に上位ビットから下位ビットに向けて並んで、9ビットの合成データp1(9:1)を構成する。データp2~データp4もデータp1と同様に構成する。
【0118】
図17(b)は、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「1」の場合の、情報部inf14のビット配列を示す。 付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットが「1」の場合、
図17(b)に示すように、付帯情報部inf27は省略される。
【0119】
このとき、データp1について、ビットp1(8)~p1(1)を順に上位ビットから下位ビットに向けて並べ、最下位ビットを「0」とし、9ビットの合成データp1(9:1)を構成する。データp2~データp4もデータp1と同様に構成する。
【0120】
図18は、第1実施形態の
図10と同様の図であり、本実施形態において、
図4の論理部2076が信号HEATを生成する動作を説明するための図である。縦軸は
図9のカウンタ901のカウント値を示し、横軸は時間を示す。
【0121】
図18は、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットを「1」に設定した場合の信号HEATの生成を表す図である。前述の通り、データp1~p4の最下位ビットは0に固定されるところ、
図18において、最下位が0で固定された9ビット配列について、例えば「P1(9:2) 0」ように記載している。
【0122】
図中のt91の各値について説明すると、
図17(b)は、送信する印刷データDtからinf27を省略したデータを表しているのは前に説明した通りだが、当該各値は、このときの最下位ビットに0を一律で割り当てている状況を示している。つまり、これらの値は、縦軸であるカウンタ901のカウント値と比較され、一致したときに信号HEATがトグルするところ、最下位ビットが常に0であるため、カウンタの分解能に対して、半分の分解能になっている。
【0123】
信号HEATの信号レベルの変化が、信号CNTとデータP1~P4とが一致する時間で発生することは、第1実施形態、第2実施形態と同様である。但し、データp1~p4の最下位ビットが0で固定されるため、信号レベルの変化時間の設定分解能は信号CNTの2カウント単位となる。
【0124】
情報部inf12の第7ビットを「0」と「1」との何れかに設定する手段として、信号HEATの長さ(データp4の設定値)と第7ビットの設定値とを関連付けたテーブルを、送信部として機能するプロセッサ131に設けておけば良い。プロセッサ131は、このテーブルを参照して、情報部inf12の第7ビットを「0」と「1」との何れかに設定するかを判断する。また或いは、プロセッサ131に対して、図示しない入力装置を介して設定できるように、
図4の素子基板15を構成する方法がある。
【0125】
受信部として機能するプロセッサ209により、プロセッサ131から受信した印刷データDtから、データ部D2、データ部D1を特定することは第1実施形態、第2実施形態と同様である。
【0126】
また、第1処理部2091が、付帯情報特定部である情報部inf12を適切に特定可能であることも、第1実施形態、第2実施形態と同様である。
【0127】
第2処理部2092では、付帯情報特定部である情報部inf12の第7ビットを参照し、参照結果に応じて、前述したように、合成データp1(9:1)、p2(9:1)、p3(9:1)、p4(9:1)の生成動作を実行する。
【0128】
本実施形態は、信号HEATのパルス時間長さの分解能を調整できる点に特徴がある。信号HEATのパルス長が長くなると、印刷素子2011~201kに入力される電力量は相対的に大きくなるが、電力量が大きくなるにつれて電力量の調整分解能は低くて良い場合がある。このような場合に、本実施形態を適用することで、印刷データDtの総量を削減できる。
【0129】
尚、前述では、データp1~p4夫々の最下位1ビット(具体的にはp1(1)、p2(1)、p3(1)、p4(1))を付帯情報部inf27に割り付けたが、本実施形態はこれに限らない。データp1~p4夫々の最下位から2ビット以上について、本実施形態を適用しても同様の効果が得られる。また、データの設定分解能に対応して、不要なデータビットの送信を抑制するという観点から見ると、印刷データDtを構成するすべての情報部に対して、本実施形態を適用可能である。
【0130】
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0131】
[本開示の技術的特徴]
本開示は、以下の構成を含む。
【0132】
(構成1)印刷装置においてシリアル伝送方式で印刷データを送信する方法であって、データ長が固定された第1データ部を生成する工程と、データ長が可変の第2データ部を生成する工程と、前記第1データ部と前記第2データ部とを所定の順序で組み合わせて前記印刷データを送信する工程と、を含み、前記第1データ部は、複数の情報部を含み、前記第2データ部は、複数の付帯情報部を含むことが可能であり、前記第1データ部に含まれる前記複数の情報部の1つである第1情報部は、前記第2データ部における前記複数の付帯情報部の個々の有無を示し、前記複数の情報部の1つである第2情報部は、複数の合成データを含み、前記送信する工程において、前記複数の合成データはそれぞれビット分割され、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、1つのパケット内に連続して配置される、ことを特徴とする方法。
【0133】
(構成2)前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、前記第2情報部において1つのパケット内に連続して配置される、構成1に記載の方法。
【0134】
(構成3)前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方が、前記複数の付帯情報部の1つである第1付帯情報部に割り付けされる、構成1又は2に記載の方法。
【0135】
(構成4)前記合成データの一部が割り付けられる前記付帯情報部において、前記合成データの最上位ビットから下位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の上位ビット列が配置されているか、又は、前記合成データの最下位ビットから上位ビット方向に向けて、予め決められたビット長の下位ビット列が配置されている、構成1乃至3の何れか1つに記載の方法。
【0136】
(構成5)前記上位ビット列に対する前記予め決められたビット長は、前記合成データが取り得る最大値に応じて決まる、構成1乃至4の何れか1つに記載の方法。
【0137】
(構成6)前記下位ビット列に対する前記予め決められたビット長は、前記合成データの分解能に応じて決まる、構成1乃至5の何れか1つに記載の方法。
【0138】
(構成7)回路ブロックを更に有し、前記合成データは、前記回路ブロックの動作タイミングを設定するデータである、構成1乃至6の何れか1つに記載の方法。
【0139】
(構成8)前記回路ブロックは、素子基板に作られる印刷素子に流す電流をスイッチする回路を含む、構成1乃至7の何れか1つに記載の方法。
【0140】
(構成9)前記1つのパケットは、ダミーデータと、前記ビット分割された合成データのうちビット長の少ない方とを含む、構成1乃至8の何れか1つに記載の方法。
【0141】
(構成10)前記複数の合成データのそれぞれのデータ長は、同一である、構成1乃至9の何れか1つに記載の方法。
【0142】
(構成11)前記複数の合成データのそれぞれのデータ長は、前記1つのパケットのデータ長より大きい、構成1乃至10の何れか1つに記載の方法。
【符号の説明】
【0143】
1:印刷装置、
D1:第1データ部、
inf11~inf15:情報部、
D2:第2データ部、
inf21~inf27:付帯情報部。