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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179885
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】エンジン
(51)【国際特許分類】
   F01N 3/28 20060101AFI20241219BHJP
   F02B 77/00 20060101ALI20241219BHJP
   F01P 5/06 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F01N3/28 301Z
F02B77/00 P ZAB
F01P5/06 504Z
F01P5/06 510
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099178
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】720001060
【氏名又は名称】ヤンマーホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大森 涼平
【テーマコード(参考)】
3G091
【Fターム(参考)】
3G091AA05
3G091AA18
3G091AB02
3G091AB05
3G091AB13
3G091BA07
3G091CA17
3G091HA01
3G091HA09
3G091HA11
3G091HA15
3G091HB01
(57)【要約】
【課題】エンジンにおいて、排気ガス浄化装置を支持する部材の軽量化を図りつつ、支持強度の低下を抑制することができる技術を提供する。
【解決手段】例示的なエンジンは、エンジン本体と、第1ケースおよび第2ケースを有する排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置を前記エンジン本体に取り付けるブラケットと、を備える。前記ブラケットは、前記第1ケースに取り付けられる第1ケース取付部と、前記第2ケースに取り付けられる第2ケース取付部と、前記第1ケース取付部と前記第2ケース取付部とを連結する連結部と、を有する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン本体と、
第1ケースおよび第2ケースを有する排気ガス浄化装置と、
前記排気ガス浄化装置を前記エンジン本体に取り付けるブラケットと、
を備え、
前記ブラケットは、
前記第1ケースに取り付けられる第1ケース取付部と、
前記第2ケースに取り付けられる第2ケース取付部と、
前記第1ケース取付部と前記第2ケース取付部とを連結する連結部と、
を有する、エンジン。
【請求項2】
前記連結部に電子部品が取り付けられる。請求項1に記載のエンジン。
【請求項3】
前記連結部は、
前記電子部品が設置される設置部と、
前記設置部に対して折り曲げて構成される折り曲げ部と、
を有する、請求項2に記載のエンジン。
【請求項4】
前記設置部は、長手方向が左右方向に延び、
前記折り曲げ部は、
前記設置部の下端から前後方向の一方側に曲げられる第1折り曲げ部と、
前記設置部の左右方向に一方端から前後方向の一方側に折り曲げられる第2折り曲げ部と、
を有する、請求項3に記載のエンジン。
【請求項5】
前記エンジン本体の前方に配置される冷却ファンと、
前記エンジン本体の後方に配置されるフライホイールと、
を備え、
前記ブラケットは、前記エンジン本体の前側に取り付けられる前側本体取付部を有し、
前記前側本体取付部は、前後方向に貫通する通気孔を有する、請求項1に記載のエンジン。
【請求項6】
前記ブラケットは、前記エンジン本体の後側に取り付けられる後側本体取付部を有し、
前記後側本体取付部は、前後方向に風を流す通風部を有する、請求項5に記載のエンジン。
【請求項7】
前記第1ケース取付部は、
前記前側本体取付部に取り付けられる前側第1ケース取付部と、
前記後側本体取付部に取り付けられる後側第1ケース取付部と、
を有し、
前記第2ケース取付部は、
前記前側本体取付部に取り付けられる前側第2ケース取付部と、
前記後側本体取付部に取り付けられる後側第2ケース取付部と、
を有し、
前記連結部は、前記前側第1ケース取付部と前記前側第2ケース取付部とを連結する前側連結部と、前記後側第1ケース取付部と前記後側第2ケース取付部とを連結する後側連結部とのうちの少なくとも一方を有する、請求項6に記載のエンジン。
【請求項8】
前記第1ケースおよび前記第2ケースは、長手方向が前後方向に延び、
前記排気ガス浄化装置の排気ガスの入口が、当該エンジンの前後方向の一方側に配置され、
前記ブラケットは、前記一方側において、前記排気ガス浄化装置への取付箇所が前記エンジン本体への取付箇所に比べて前記入口側にオフセットする構成である、請求項1から7のいずれか1項に記載のエンジン。
【請求項9】
前記第1ケースおよび前記第2ケースは、前記排気ガス浄化装置を吊り下げ可能とする吊り下げ部を有する、請求項1から7のいずれか1項に記載のエンジン。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジンに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジン本体の上方に排気ガス浄化装置が配置されるエンジンが知られる(例えば特許文献1参照)。特許文献1に開示されるエンジン装置は、シリンダヘッドに立設される複数の支脚体と、これら複数の支脚体の上端に載置される矩形状の支持台を備える。排気ガス浄化装置は、矩形状の支持台上に配置された状態で支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-83803号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
エンジン本体の上方に、排気ガス浄化装置を支持するために大きな支持台を配置すると、エンジンの重量が重くなることが懸念される。一方で、軽量化のために支持台をなくすと、排気ガス浄化装置の支持強度が低下することが懸念される。
【0005】
以上の点に鑑みて、本発明は、エンジンにおいて、排気ガス浄化装置を支持する部材の軽量化を図りつつ、支持強度の低下を抑制することができる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の例示的なエンジンは、エンジン本体と、第1ケースおよび第2ケースを有する排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置を前記エンジン本体に取り付けるブラケットと、を備える。前記ブラケットは、前記第1ケースに取り付けられる第1ケース取付部と、前記第2ケースに取り付けられる第2ケース取付部と、前記第1ケース取付部と前記第2ケース取付部とを連結する連結部と、を有する。
【発明の効果】
【0007】
例示的な本発明によれば、エンジンにおいて、排気ガス浄化装置を支持する部材の軽量化を図りつつ、支持強度の低下を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】エンジンの概略の構成を示す斜視図
図2】エンジンの概略の構成を示す斜視図
図3】排気ガス浄化装置の支持構造の概略の構成を示す斜視図
図4】排気ガス浄化装置の支持構造の概略の構成を示す斜視図
図5図4に示す排気ガス浄化装置の支持構造の一部を分解して示す概略斜視図
図6】前側取付部に属するケース取付部と、ケースとの関係を示す概略分解斜視図
図7】排気ガス浄化装置が有する入口配管の周辺を拡大して示す概略側面図
図8】後側取付部に属するケース取付部と、ケースとの関係を示す概略斜視図
図9】後側取付部に属するケース取付部と、ケースとの関係を示す概略分解斜視図
図10】連結部と、後側第1ケース取付部および後側第2ケース取付部との関係を示す概略斜視図
図11】連結部と、後側第1ケース取付部および後側第2ケース取付部との関係を示す概略斜視図
図12】連結部と後側第1ケース取付部との関係を示す概略分解斜視図
図13】連結部と後側第2ケース取付部との関係を示す概略分解斜視図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中、同一又は相当部分については同一の参照符号を付し、特に説明の必要がない場合には、その説明を繰り返さない。
【0010】
<1.エンジンの概要>
図1および図2は、本発明の実施形態に係るエンジン100の概略の構成を示す斜視図である。なお、図1図2とでは、エンジン100を見る方向が異なる。本実施形態のエンジン100は、ディーゼルエンジンであって、例えば、トラクタ等の農業機械、或いは、スキッドステアローダ等の建設機械に搭載される。エンジン100は、4つの気筒が直列に並ぶ直列4気筒エンジンとして構成される。なお、エンジンが有する気筒の数は、4つに限らず、他の数であってもよい。
【0011】
ここで、本明細書における方向を次のように定義する。図1および図2における一点鎖線AXは、エンジン100が有するクランク軸(不図示)の軸線を示し、当該軸線AXが延びる方向(クランク軸方向)を前後方向とする。図1は、斜め前方から見た図である。図2は、斜め後方から見た図である。また、前後方向に垂直な横方向を左右方向とする。後方から前方を向かって左となる側を「左」とし、右となる側を「右」とする。さらに、前後方向および左右方向に垂直な重力方向を上下方向とし、重力方向の上流側を「上」とし、下流側を「下」とする。なお、これらの方向は単に説明のために用いられる名称であって、実際の位置関係及び方向を限定する意図はない。
【0012】
図1および図2に示すように、エンジン100は、エンジン本体1と排気ガス浄化装置2とを備える。
【0013】
[1-1.エンジン本体]
エンジン本体1は、オイルパン11と、シリンダブロック12と、シリンダヘッド13と、ヘッドカバー14と、を備える。
【0014】
オイルパン11は、エンジン100の下側の端部に設けられる。オイルパン11は、上側が開放された容器状に形成される。オイルパン11の内部には、エンジン100を潤滑するためのエンジンオイルが貯留される。
【0015】
シリンダブロック12は、オイルパン11の上側に取り付けられる。シリンダブロック12の下部には、前後方向に延びるクランク軸(不図示)等を収容するための凹部が形成される。シリンダブロック12の上部には、前後方向に間隔をあけて並ぶ複数のシリンダ(不図示)が形成される。各シリンダは、上下方向に延びる。なお、本実施形態ではエンジン100は直列4気筒であり、シリンダの数は4つである。各シリンダには、クランク軸にコンロッドを介して連結されるピストン(いずれも不図示)が収容される。シリンダの内部において、ピストンは、上下方向に移動することができる。クランク軸は、各シリンダにおいてピストンが往復運動することにより、軸線AXを中心として回転する。
【0016】
シリンダヘッド13は、シリンダブロック12の上側に取り付けられる。シリンダヘッド13及びシリンダブロック12により、燃焼室が各シリンダに対応して形成される。シリンダヘッド13の右側面には、吸気マニホールド15が配置される。シリンダヘッド13の左側面には、排気マニホールド16が配置される。以下では、エンジン本体1の吸気マニホールド15が取り付けられる側(右側)を、吸気側と呼ぶことがある。また、エンジン本体1の排気マニホールド16が取り付けられる側(左側)を、排気側と呼ぶことがある。
【0017】
吸気マニホールド15は、吸気管17を介して供給された空気を、各シリンダへ分配し、各シリンダに形成された燃焼室へ供給する。各燃焼室では、吸気マニホールド15から供給された空気が圧縮された後に、燃料供給部(不図示)から供給された燃料が噴射される。これにより、燃焼室で燃焼が発生し、ピストンを上下往復運動させることができる。こうして得られた動力は、クランク軸等を介して、動力下流側の各種の装置へ伝達される。
【0018】
なお、本実施形態では、エンジン100の左側面に過給機18が設けられる。すなわち、エンジン100の排気側に過給機18が設けられる。過給機18は、その内部に収容されるタービンおよびコンプレッサ(いずれも不図示)を有する。排気マニホールド16から流れる排気ガスのエネルギーによってタービンが回転し、タービンと共にコンプレッサが回転する。コンプレッサの回転により、エアクリーナ(不図示)によって浄化された空気が圧縮され、不図示の配管、および、吸気マニホールド15を介して各シリンダへ送り込まれる。
【0019】
排気マニホールド16は、各燃焼室で発生した排気ガスをまとめる。排気マニホールド16の排気ガスは、不図示の配管を介して過給機18に流れ、過給機18のタービンを駆動した後、接続管19を通過して、排気ガス浄化装置2(ATD:After Treatment Device)に流れる。
【0020】
ヘッドカバー14は、シリンダヘッド13の上側に配置される。ヘッドカバー14の内部には、吸気弁及び排気弁(いずれも不図示)を動作させるためのプッシュロッド及びロッカーアーム等からなる動弁機構(不図示)が収容される。
【0021】
その他、エンジン本体1の前側には、冷却ファン3が回転可能に取り付けられる。すなわち、エンジン100は、エンジン本体1の前方に配置される冷却ファン3を備える。冷却ファン3は、クランク軸の動力が伝達されることにより回転する。冷却ファン3は、回転することによって空気の流れを発生させ、エンジン100の冷却水を冷却するためのラジエータ(図示しない)にて空気を通過させるとともに、エンジン本体1に風を当てる。この結果、エンジン本体1が冷却される。
【0022】
また、エンジン本体1の後側には、フライホイール4が配置される。すなわち、エンジン100は、エンジン本体1の後方に配置されるフライホイール4を備える。フライホイール4は、クランク軸の後端に取り付けられる。フライホイール4は、クランク軸と一体的に回転し、エンジン100の動力を取り出すために利用される。
【0023】
[1-2.排気ガス浄化装置]
排気ガス浄化装置2は、排気ガスの後処理を行う装置である。排気ガス浄化装置2は、排気ガス内に含まれるNOx(窒素酸化物)、CO(一酸化炭素)、HC(炭化水素)等の有害成分及び粒子状物質(Particulate Matter)を除去することによって、排気ガスを浄化する。
【0024】
図1および図2に示すように、排気ガス浄化装置2は、DPF(Diesel Particulate Filter)装置21と、SCR(Selective Catalytic Reduction)装置22と、を備える。
【0025】
DPF装置21は、DPFケース211内に収容される酸化触媒およびフィルタを用いて、排気ガスに含まれる一酸化炭素、一酸化窒素、および、粒子状物質等を除去する。酸化触媒は、白金等で構成され、排気ガスに含まれる未燃燃料、一酸化炭素、および、一酸化窒素等を酸化(燃焼)する。フィルタは、酸化触媒より排気ガスの下流側に配置され、例えばフォールフロー型のフィルタとして構成される。フィルタは、酸化触媒で処理された排気ガスに含まれる粒子状物質を捕集する。
【0026】
SCR装置22は、SCRケース221内に収容されているSCR触媒およびスリップ触媒を介して、排気ガスに含まれるNOxを除去する。SCR触媒は、アンモニアを吸着するセラミック等の素材を用いて構成される。排気ガスに含まれるNOxは、アンモニアを吸着したSCR触媒に触れることで還元され、窒素と水に変化する。スリップ触媒は、アンモニアが外部へ放出されることを防止するために用いられる。スリップ触媒は、アンモニアを酸化させる白金等の触媒であり、アンモニアを酸化させて窒素と水に変化させる。
【0027】
DPFケース211およびSCRケース221は、いずれも前後方向に延びる略円筒状の中空部材で構成される。DPFケース211とSCRケース221とは、左右方向に並んで、エンジン本体1の上方に配置される。詳細には、DPFケース211は、エンジン100の左側、すなわち排気側に配置される。SCRケース221は、エンジン100の右側、すなわち吸気側に配置される。なお、DPFケース211は本発明の第1ケースの一例であり、SCRケース221は本発明の第2ケースの一例である。すなわち、排気ガス浄化装置2は、第1ケース211および第2ケース221を有する。エンジン本体1の上方において、第1ケース211および第2ケース221は、長手方向が前後方向に延びると共に左右方向に並列に配置される。
【0028】
上方からの平面視において、DPFケース211とSCRケース221との左右方向間には、前後方向に延びるケース間配管23が配置される。詳細には、ケース間配管23は、DPFケース211およびSCRケース221の上方に配置される。DPFケース211の後端部は、ケース間配管23の後側の端部と接続される。SCRケース221の前部は、ケース間配管23の前側の端部と接続される。
【0029】
DPFケース211の前端部には、下方に突出する入口配管212(図1参照)が設けられる。入口配管212は、上述の接続管19と接続される。過給機18のタービンを駆動した排気ガスは、接続管19および入口配管212を介してDPFケース211内へ導かれる。
【0030】
DPFケース211の内部において、排気ガスは、前端部から後端部へ向かって流れ、DPF装置21による処理を実行される。DPFケース211を通過した排気ガスは、ケース間配管23へ流れる。ケース間配管23において、排気ガスは、後端部から前端部へ向かって流れる。なお、排気ガスは、ケース間配管23において、ケース間配管23の後端部側に配置される尿素供給装置24から供給された尿素と混合される。ケース間配管23を通過した排気ガスは、SCRケース221へ流れる。SCRケース221の内部において、排気ガスは、前端部から後端部へ向かって流れ、SCR装置22による処理を実行される。SCRケース221を通過した排気ガスは、SCRケース221の後端部に設けられた出口配管222を介して外部へ排出される。
【0031】
<2.排気ガス浄化装置の支持構造>
続いて、排気ガス浄化装置2をエンジン本体1に支持する支持構造について説明する。
【0032】
[2-1.支持構造の概要]
図3および図4は、排気ガス浄化装置2の支持構造の概略の構成を示す斜視図である。図3図4とでは、排気ガス浄化装置2の支持構造を見る方向が異なる。図3は、斜め前方(冷却ファン3側)から見た図である。図4は、斜め後方(フライホイール4側)から見た図である。図3および図4は、エンジン100を構成するシリンダヘッド13、ヘッドカバー14、および、排気ガス浄化装置2を抽出して示す図である。
【0033】
図3および図4に示すように、エンジン100は、排気ガス浄化装置2をエンジン本体1に取り付けるブラケット5を備える。好ましい形態として、ブラケット5は、排気ガス浄化装置2をシリンダヘッド13に取り付ける。ブラケット5は、複数のパーツ(部材)で構成される。ブラケット5を構成する複数のパーツは、例えば金属製である。
【0034】
ブラケット5は、エンジン100の前側に取り付けられる前側取付部5Fと、エンジン100の後側に取り付けられる後側取付部5Rとを備える。ブラケット5をエンジン100の前側と後側とに分けた構成とすることで、エンジン本体1と排気ガス浄化装置2との上下方向間に大きな支持台を配置しない構成となっている。すなわち、本実施形態の構成によれば、排気ガス浄化装置2の支持構造の軽量化を図ることができる。なお、本例では、ブラケット5は、エンジン100の側面(詳細には左側面)に取り付けられる側面取付部5Sをさらに備える。側面取付部5Sは、必須の構成ではないが、設けられることによって排気ガス浄化装置2の支持強度を向上することができる。
【0035】
また、ブラケット5は、エンジン本体1に取り付けられる本体取付部51と、DPFケース(第1ケース)211に取り付けられる第1ケース取付部52と、SCRケース(第2ケース)221に取り付けられる第2ケース取付部53と、を備える。なお、本実施形態では、本体取付部51は、シリンダヘッド13に取り付けられる。第1ケース取付部52および第2ケース取付部53は、いずれも、広義の意味では、排気ガス浄化装置2に取り付けられる。
【0036】
図5は、図4に示す排気ガス浄化装置2の支持構造の一部を分解して示す概略斜視図である。エンジン100に排気ガス浄化装置2を組み込む場合、図5に示すように、DPFケース211およびSCRケース221を有する排気ガス浄化装置2は、ユニット化された状態とされる。ユニット化された排気ガス浄化装置2は、第1ケース取付部52および第2ケース取付部53を含む。また、エンジン100に排気ガス浄化装置2を組み込む場合、図5に示すように、本体取付部51が、シリンダヘッド13に予め取り付けられた状態とされる。
【0037】
エンジン100に排気ガス浄化装置2を組み込む場合、排気ガス浄化装置2は、不図示の吊り下げ装置により吊り下げた状態とされ、本体取付部51が取り付けられたエンジン本体1(シリンダヘッド13)に向けて上方から降ろされる。そして、第1ケース取付部52および第2ケース取付部53と、本体取付部51とが、適宜、位置合わせされ、ボルト締めにより締結される。これにより、排気ガス浄化装置2は、エンジン本体1の上側に搭載される。
【0038】
なお、排気ガス浄化装置2には、吊り下げ装置による吊り下げを可能とする吊り下げ部25が設けられる。図5等に示すように、吊り下げ部25は、DPFケース211およびSCRケース221に設けられる。すなわち、第1ケース211および第2ケース221は、排気ガス浄化装置2を吊り下げ可能とする吊り下げ部25を有する。
【0039】
詳細には、DPFケース211およびSCRケース221の前端部に、第1吊り下げ部251が設けられる。第1吊り下げ部251は、長手方向が左右方向に延びる金属片で構成される。第1吊り下げ部251の左側の端部は、DPFケース211の前端面に取り付けられる。第1吊り下げ部251の右側の端部は、SCRケース221の前端面に取り付けられる。すなわち、第1吊り下げ部251は、DPFケース211とSCRケース221とを連結する。第1吊り下げ部251は、左端部(DPFケース211側)に、前後方向に貫通する貫通孔251aを有する。また、SCRケース221の後端部に、第2吊り下げ部252が設けられる。第2吊り下げ部252は、長手方向が上下方向に延びる金属片で構成され、前後方向に貫通する貫通孔252aを有する。第2吊り下げ部252は、その下部側がSCRケース221の後端面に固定される。第1吊り下げ部251の貫通孔251a、および、第2吊り下げ部252の貫通孔252aのそれぞれにワイヤー等の線状部材が通され、排気ガス浄化装置2の吊り下げが行われる。
【0040】
[2-2.本体取付部]
ブラケット5が備える本体取付部51は、詳細には、前側本体取付部511と、後側本体取付部512とを含む。すなわち、ブラケット5は、前側本体取付部511と後側本体取付部512とを有する。なお、本実施形態では、本体取付部51には、上述の側面取付部5Sも含まれる。側面取付部5Sは、シリンダヘッド13の左側面(排気側)にボルトを用いて締結される。
【0041】
図3等に示すように、前側本体取付部511は、エンジン本体1の前側に取り付けられる。すなわち、前側本体取付部511は、上述の前側取付部5Fに含まれる。前側本体取付部511は、左右一対の脚部511aの各上部を、左右に延びる脚部接続部511bで連結した門型構造を有する。前側本体取付部511は、左右一対の脚部511aのそれぞれがシリンダヘッド13の前端面にボルトを用いて締結されることにより、シリンダヘッド13に取り付けられる。
【0042】
前側本体取付部511は、前後方向に貫通する通気孔511cを有する。通気孔511cが設けられることにより、前側本体取付部511が設けられる位置において、冷却ファン3の回転により生じる風をエンジン本体1に向けて通過させることができる。当該風により、例えば、排気ガス浄化装置2とヘッドカバー14との上下方向間に配置されるワイヤーハーネス(不図示)を冷却することができる。
【0043】
詳細には、通気孔511cは複数設けられる。通気孔511cは、左右一対の脚部511aのそれぞれに1つずつ設けられる。ただし、通気孔511cの数、および、配置については、本実施形態の構成以外の構成であってもよい。通気孔511cは単数であってもよい。また、場合によっては、通気孔511cは設けられなくてもよい。なお、左右一対の脚部511aの左右方向間においても、冷却ファン3の回転により生じる風は通過する。
【0044】
図4等に示すように、後側本体取付部512は、エンジン本体1の後側に取り付けられる。すなわち、後側本体取付部512は、上述の後側取付部5Rに含まれる。後側本体取付部512は、左右一対の脚部512aの各上部を、左右に延びる脚部接続部512bで連結した門型構造を有する。後側本体取付部512は、左右一対の脚部512aのそれぞれがシリンダヘッド13の後端面にボルトを用いて締結されることにより、シリンダヘッド13に取り付けられる。
【0045】
後側本体取付部512は、前後方向に風を流す通風部512cを有する。通風部512cが設けられることにより、前側本体取付部511の通気孔511cを通過した風を後方に流すことができる。詳細には、通風部512cは、左右一対の脚部512aの左右方向間に形成される空間である。ただし、通風部512cは、後側本体取付部512に設けられる、前後方向に貫通する貫通孔であってもよい。
【0046】
[2-3.ケース取付部]
ケース取付部は、第1ケース取付部52と第2ケース取付部53とを含む。ケース取付部には、上述の前側取付部5Fに属するケース取付部と、後側取付部5Rに属するケース取付部とが存在する。以下、ケース取付部について、前側取付部5Fに属するケース取付部、後側取付部5Rに属するケース取付部の順に説明する。
【0047】
なお、第1ケース取付部52は、前側第1ケース取付部521と後側第1ケース取付部522とを有する。前側第1ケース取付部521は、前側取付部5Fに属するケース取付部である。後側第1ケース取付部522は、後側取付部5Rに属するケース取付部である。また、第2ケース取付部53は、前側第2ケース取付部531と後側第2ケース取付部532とを有する。前側第2ケース取付部531は、前側取付部5Fに属するケース取付部である。後側第2ケース取付部532は、後側取付部5Rに属するケース取付部である。
【0048】
(2-3-1.前側取付部に属するケース取付部)
図6は、前側取付部5Fに属するケース取付部521、531と、ケース211、221との関係を示す概略分解斜視図である。
【0049】
図3図6等に示すように、前側第1ケース取付部521は、DPFケース211の前端面の下部に取り付けられる。前側第1ケース取付部521は、水平方向に広がる矩形板状の土台部521aと、土台部521aの後端に立設される矩形板状の立設部521bとを有する。なお、水平方向は、上下方向に直交する方向である。また、立設部521bは、前後方向と直交する方向に広がる。立設部521bには、左右方向に間隔をあけて配置され、前後方向に貫通する一対の貫通孔(不図示)が設けられる。なお、図3図6においては、当該一対の貫通孔のそれぞれの前方にナットNUが配置されており、当該ナットNUによって、一対の貫通孔が隠れている。
【0050】
図6に示すように、DPFケース211の前端面には、前方に向けて突出するスタッドボルトSBが設けられる。DPFケース211の前端面には、前側第1ケース取付部521の立設部521bに一対の貫通孔が設けられることに対応して、左右に間隔をあけて配置される一対のスタッドボルトSBが設けられる。スタッドボルトSBが立設部521bに設けられる貫通孔に通された状態で、ナットNUをスタッドボルトSBに嵌めて締め付けることにより、前側第1ケース取付部521がDPFケース211に固定される。なお、本実施形態では、前側第1ケース取付部521は、DPFケース211に対して2箇所で固定される構成となっているが、固定箇所の位置および数は適宜変更されてよい。
【0051】
図3図6等に示すように、前側第2ケース取付部531は、SCRケース221の前端面の下部に取り付けられる。前側第2ケース取付部531の形状は、上述の前側第1ケース取付部521の形状と同様であり、土台部531aと、一対の貫通孔を有する立設部531bとを有する。前側第2ケース取付部531は、前側第1ケース取付部521と同様に、スタッドボルトSBとナットNUとを利用して、SCRケース221に固定される。
【0052】
前側第1ケース取付部521の土台部521aと、前側第2ケース取付部531の土台部531aとのそれぞれには、左右の両端部に上下方向に貫通する貫通孔(不図示)が設けられる。そして、当該貫通孔のそれぞれに対応するように、前側本体取付部511の上面には螺子穴SH1(図5参照)が設けられる。各貫通孔に通された各ボルトBOが各螺子穴SH1に挿し込まれることにより、前側第1ケース取付部521および前側第2ケース取付部531は、前側本体取付部511に固定される。つまり、前側第1ケース取付部521は、前側本体取付部511に取り付けられる。前側第2ケース取付部531は、前側本体取付部511に取り付けられる。
【0053】
図7は、排気ガス浄化装置2が有する入口配管212の周辺を拡大して示す概略側面図である。なお、入口配管212は、排気ガス浄化装置2における排気ガスの入口であり、エンジン100の排気側の前部に配置される。すなわち、エンジン100において、排気ガス浄化装置2の排気ガスの入口は、エンジン100の前後方向の一方側に配置される。
【0054】
図7に示すように、ブラケット5は、前後方向の一方側(本実施形態では前側)において、排気ガス浄化装置2への取付箇所PL1がエンジン本体1への取付箇所PL2に比べて、排気ガスの入口側にオフセットする構成である。
【0055】
詳細には、ブラケット5の、排気ガス浄化装置2への取付箇所PL1は、前側第1ケース取付部521の後端面と、DPFケース211の前端面とが接触する箇所である。なお、前側第1ケース取付部521の後端面と、DPFケース211の前端面とが接触する箇所と、前側第2ケース取付部531の後端面と、SCRケース221の前端面とが接触する箇所と、の前後方向の位置は同じである。また、ブラケット5の、エンジン本体1への取付箇所PL2は、前側本体取付部511の後端面と、シリンダヘッド13の前端面とが接触する箇所である。
【0056】
排気ガス浄化装置2への取付箇所PL1は、エンジン本体1への取付箇所PL2に比べて前方側にオフセットする。より詳細には、排気ガス浄化装置2への取付箇所PL1は、エンジン本体1への取付箇所PL2よりも前方に位置する入口配管212よりも、更に前方に位置する。
【0057】
このような構成は、シリンダヘッド13と前側第1ケース取付部521とに取り付けられる前側本体取付部511の前面壁が、下方から上方に向かうにつれて前方となる傾斜部511dを有することで実現されている。このような構成とすると、入口配管212の周囲(特に下方)に広い空間SPを確保することができる。この結果、入口配管212への接続管19の取り付け作業や、入口配管212周辺のメンテナンス作業の作業性を向上することができる。
【0058】
(2-3-2.後側取付部に属するケース取付部)
図8は、後側取付部5Rに属するケース取付部522、532と、ケース211、221との関係を示す概略斜視図である。なお、図8に示すように、後側取付部5Rには、後側第1ケース取付部522および後側第2ケース取付部532の他に、連結部54も含まれる。すなわち、ブラケット5は連結部54を有する。連結部54の詳細については後述する。図9は、後側取付部5Rに属するケース取付部522、532と、ケース211、221との関係を示す概略分解斜視図である。なお、図9においては、連結部54の記載は省略されている。
【0059】
図4図8、および、図9等に示すように、後側第1ケース取付部522は、DPFケース211の後端側の下部に取り付けられる。
【0060】
後側第1ケース取付部522は、板状に構成される。後側第1ケース取付部522は、上方からの平面視において、前側を長辺、後側を短辺とする略台形状である。後側第1ケース取付部522は、前端側の左端および右端に、前後方向に延びる一対の筒部522aを有する。筒部522aの内面には雌ねじが構成されている。別の言い方をすると、一対の筒部522aは、前方から後方に延びる螺子穴SH3a(後述の図11図12参照)を有する。また、後側第1ケース取付部522は、後端部の左端および右端に、上下方向に貫通する貫通孔522bを有する。また、後側第1ケース取付部522は、前後方向の中間部の左端および右端に、上方から下方に延びる螺子穴SH3b(後述の図12参照)を有する。なお、図9においては、螺子穴SH3bにボルトBOが挿し込まれている。また、後述の図10図11に示すように、後側第1ケース取付部522は、下方に突出する突出部522cを有する。突出部522cは、左方から右方に延びる螺子穴SH3cを有する。
【0061】
DPFケース211は、その後端部に、外周面から当該ケースの中心軸を基準とする径方向外方へと突出する突片211aを有する。詳細には、DPFケース211は、左右の下部に突片211aを有する。左右に設けられる一対の突片211aのそれぞれは、前後方向に貫通する貫通孔211b(図9参照)を有する。
【0062】
一対の突片211aのそれぞれに設けられる貫通孔211bに通された各ボルトBOが、一対の筒部522aの螺子穴SH3aに挿し込まれることにより、後側第1ケース取付部522は、DPFケース211に固定される。また、後側第1ケース取付部522の後端部に設けられた一対の貫通孔522bに通された各ボルトBOが、後側本体取付部512の上面に設けられる螺子穴SH2(図5参照)に挿し込まれることにより、後側第1ケース取付部522は、後側本体取付部512に固定される。つまり、後側第1ケース取付部522は、後側本体取付部512に取り付けられる。
【0063】
なお、本実施形態では、後側第1ケース取付部522は、図4等に示すように、側面取付部5Sに取り付けられる。側面取付部5Sの上部に設けられる不図示の貫通孔に通されたボルトBOが、突出部522cに設けられる螺子穴SH3cに挿し込まれることにより、後側第1ケース取付部522は、側面取付部5Sに固定される。これにより、後側第1ケース取付部522の左右方向の動き(振動)を抑制することができる。
【0064】
図4図8、および、図9等に示すように、後側第2ケース取付部532は、SCRケース221の後端側の下部に取り付けられる。
【0065】
後側第2ケース取付部532は、水平方向に広がる矩形板状の底壁部532aと、底壁部532aの後端から上方に向けて折り曲げ形成された三角形板状の縦壁部532bとを有する。縦壁部532bは、前後方向と直交する方向に広がる。縦壁部532bの左上部と右下部とには、前後方向に貫通する一対の貫通孔532c(後述の図10図11、および図13参照)が設けられる。なお、図8図9においては、当該一対の貫通孔532cのそれぞれの後方にナットNUが配置されており、当該ナットNUによって、一対の貫通孔が隠れている。
【0066】
また、底壁部532aの後方側の左端および右端には、上下方向に貫通する貫通孔532cが設けられる。また、縦壁部532bの左端上部には、左方向に向けて延びる延伸片532dが設けられる。矩形状の延伸片532dには、前後方向に貫通する螺子孔SH4(後述の図13等参照)が設けられる。螺子孔SH4は、詳細には、上下に間隔をあけて2つ設けられる。なお、図9においては、一対の螺子孔SH4には、ボルトBOが挿し込まれている。
【0067】
SCRケース221の後端面の下部には、後方に向けて突出するスタッドボルトSBが設けられる。スタッドボルトSBは、縦壁部532bに一対の貫通孔532cが設けられることに対応して2つ設けられる。2つのスタッドボルトSBのそれぞれが、縦壁部532bに設けられる各貫通孔532cに通された状態で、ナットNUをスタッドボルトSBに嵌めて締め付けることにより、後側第2ケース取付部532がSCRケース221に固定される。
【0068】
また、底壁部532aに設けられた左右一対の貫通孔532cに通された各ボルトBOが、後側本体取付部512の上面に設けられる螺子穴SH2(図5参照)に挿し込まれることにより、後側第2ケース取付部532は、後側本体取付部512に固定される。つまり、後側第2ケース取付部532は、後側本体取付部512に取り付けられる。
【0069】
図8等に示すように、連結部54は、第1ケース取付部52と第2ケース取付部53とを連結する。連結部54が設けられることにより、第1ケース取付部52と第2ケース取付部53とを用いた排気ガス浄化装置2に支持強度を向上することができる。すなわち、排気ガス浄化装置2を支持するに際して、水平方向に広がる大きな支持台を無くして軽量化を図ったにもかかわらず、排気ガス浄化装置2の支持強度の低下を抑制することができる。
【0070】
本実施形態では、連結部54は、後側第1ケース取付部522と後側第2ケース取付部532とを連結する。なお、本実施形態では、連結部54は、後側取付部5Rにのみ含まれるが、前側取付部5Fに含まれてもよい。すなわち、連結部54は、前側第1ケース取付部521と前側第2ケース取付部531とを連結する前側連結部と、後側第1ケース取付部522と後側第2ケース取付部532とを連結する後側連結部とのうちの少なくとも一方を有する構成であってよい。
【0071】
本実施形態では、上述のように、後側第1ケース取付部522と後側第2ケース取付部532とを連結する後側連結部54が設けられる。このような構成では、第1吊り下げ部251および第2吊り下げ部252(図5等参照)を用いて排気ガス浄化装置2を吊り下げた場合に、DPFケース211とSCRケース221とが離れることを防止することができる。すなわち、排気ガス浄化装置2のエンジン100への組み込みのために排気ガス浄化装置2を吊り下げた際に、例えば、ケース間配管23が変形する等の事態が生じることを防止することができる。
【0072】
本実施形態においては、図4等に示すように、連結部54に電子部品6が取り付けられる。電子部品6は、例えば、センサ、センサの一部、或いは、コネクタ等であってよい。電子部品6がセンサである場合、当該センサは、例えば、NOxセンサ、差圧センサ、或いは、温度センサ等であってよい。本実施形態では、電子部品6は、NOxセンサの一部である。NOxセンサの一部は、例えば、NOxセンサのセンシング部から情報を受け取り、受け取った情報を処理する処理部であってよい。処理部は、例えばICチップを含む構成であってよい。NOxセンサの一部として構成される電子部品6は、処理後の情報(データ)を上位のコントローラ(不図示)へ出力する。
【0073】
連結部54に電子部品6が取り付けられる構成とすることにより、DPFケース211等の熱源から離して電子部品6を配置することができる。また、排気ガス浄化装置2をエンジン100に組み込む際に、連結部54は、第1ケース取付部52および第2ケース取付部53と同様に排気ガス浄化装置2に取り付けられる。すなわち、連結部54に電子部品6が取り付けられる構成とすると、電子部品6もユニット化された排気ガス浄化装置2に含めて、上述の組み込み作業を行うことができる。この結果、作業工数の増加を抑制することができる。また、連結部54は、排気ガス浄化装置2の下部に配置される。このために、連結部54に電子部品6を配置する構成とすることで、なるべく振動が小さい場所に電子部品6を配置することができる。
【0074】
図10および図11は、連結部54と、後側第1ケース取付部522および後側第2ケース取付部532との関係を示す概略斜視図である。図10図11とは、対象を見る方向が異なる。図10は、対象を斜め前方から見た図であり、図11は、対象を斜め後方から見た図である。また、図12は、連結部54と後側第1ケース取付部522との関係を示す概略分解斜視図である。図13は、連結部54と後側第2ケース取付部532との関係を示す概略分解斜視図である。
【0075】
図4図10および図11等に示すように、連結部54は、設置部541と折り曲げ部542とを備える。設置部541は、電子部品6が設置される。折り曲げ部542は、設置部541に対して折り曲げて構成される。連結部54が折り曲げ部を備える構成とすることにより、互いに異なる形状を有する後側第1ケース取付部522および後側第2ケース取付部532に取り付け易くすることができる。
【0076】
詳細には、設置部541は、長手方向が左右方向に延びる矩形板状である。折り曲げ部542は、第1折り曲げ部5421と第2折り曲げ部5422とを有する。第1折り曲げ部5421は、設置部541の下端から前後方向の一方側(本実施形態では前側)に曲げられる。第2折り曲げ部5422は、設置部541の左右方向の一方端(本実施形態では左端)から前後方向の一方側(本実施形態では前側)に折り曲げられる。第1折り曲げ部5421と第2折り曲げ部5422とが設置部541に対して同じ方向に折り曲げられるために、両者を接続することができる。当該接続により、連結部54の強度を増して振動を抑制することができる。
【0077】
板状の設置部541は、前後方向に直交して配置される。板状の第1折り曲げ部5421は、水平方向に広がる。板状の第2折り曲げ部5422は、前後方向および左右方向に対して傾く。第1折り曲げ部5421の左端部と、第2折り曲げ部5422の下端部とが、溶接により接続される。なお、本実施形態では、連結部54は、設置部541に対して後側に曲げられる第3折り曲げ部5423を有するが、当該第3折り曲げ部5423は設けられなくてもよい。
【0078】
また、電子部品6は、設置部541の前面と後面とのいずれに取り付けてもよいが、本実施形態では、好ましい形態として設置部541の後面に取り付けられる。これにより、例えばケース間配管23等の熱源から電子部品6を離して配置することができる。電子部品6は、例えばボルトを用いて設置部541に固定される。
【0079】
また、本実施形態では、第2折り曲げ部5422に、NOxセンサを構成するケーブル61を固定する固定部543が設けられる(図4参照)。固定部543は、例えばバンドである。固定部543が設けられることにより、ケーブル61をコンパクトに纏めることができる。固定部543は、第2折り曲げ部5423の後側の面に設けられる。
【0080】
図11および図12に示すように、連結部54の第1折り曲げ部5421には、左右方向に間隔をあけて配置される一対の切欠き部5421aが設けられる。切欠き部5421aは、第1折り曲げ部5421の前端から後方に延びる。一対の切欠き部5421aの左右方向の間隔は、後側第1ケース取付部522に設けられる一対の螺子穴SH3bの左右方向の間隔に対応する。
【0081】
連結部54は、後側第1ケース取付部522の上方に配置される。連結部54は、一対の切欠き部5421aを通って後側第1ケース取付部522に設けられる一対の螺子穴SH3bに挿し込まれる2つのボルトBOにより、後側第1ケース取付部522に固定される。本実施形態では、切欠き部5421aにボルトBOが通される構成であるが、切欠き部5421aに替えて貫通孔が利用されてもよい。ただし、本実施形態のように切欠き部5421aが利用される構成とした場合、先にボルトBOを螺子穴SH3bに嵌めた状態で、連結部54を後方から前方に移動させながら後側第1ケース取付部522に取り付けることができる。このような取り付け方を行うと、上方に存在するケース間配管23の影響を低減して、連結部54を後側第1ケース取付部522に効率良く取り付けることができる。
【0082】
図10および図13に示すように、連結部54の設置部541の右端部には、上下方向に間隔をあけて配置される一対の貫通孔541aが設けられる。貫通孔541aは、設置部541を前後方向に貫通する。一対の貫通孔541aの上下方向の間隔は、後側第2ケース取付部532の延伸片532dに設けられる一対の螺子孔SH4の上下方向の間隔に対応する。
【0083】
連結部54は、後側第2ケース取付部532の延伸片532dの前方に配置される。連結部54は、設置部541に設けられる一対の貫通孔541aを通って延伸片532dに設けられる一対の螺子孔SH4に挿し込まれる2つのボルトBOにより、後側第2ケース取付部532に固定される。
【0084】
以上からわかるように、連結部54は、後側第1ケース取付部522に対して上下方向に締め付けられるボルトBOにより固定される。また、連結部54は、後側第2ケース取付部532に対して前後方向に締め付けられるボルトBOにより取り付けられる。このように構成することで、連結部54における複数方向の振動を抑制することができる。
【0085】
<3.留意事項等>
本明細書中に開示される種々の技術的特徴は、その技術的創作の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。また、本明細書中に示される複数の実施形態および変形例は可能な範囲で組み合わせて実施されてよい。
【0086】
<4.付記>
例示的な本発明のエンジンは、エンジン本体と、第1ケースおよび第2ケースを有する排気ガス浄化装置と、前記排気ガス浄化装置を前記エンジン本体に取り付けるブラケットと、を備え、前記ブラケットは、前記第1ケースに取り付けられる第1ケース取付部と、前記第2ケースに取り付けられる第2ケース取付部と、前記第1ケース取付部と前記第2ケース取付部とを連結する連結部と、を有する構成(第1の構成)であってよい。
【0087】
上記第1の構成のエンジンにおいて、前記連結部に電子部品が取り付けられる構成(第2の構成)であってよい。
【0088】
上記第2の構成のエンジンにおいて、前記連結部は、前記電子部品が設置される設置部と、前記設置部に対して折り曲げて構成される折り曲げ部と、を有する構成(第3の構成)であってよい。
【0089】
上記第3の構成のエンジンにおいて、前記設置部は、長手方向が左右方向に延び、前記折り曲げ部は、前記設置部の下端から前後方向の一方側に曲げられる第1折り曲げ部と、前記設置部の左右方向に一方端から前後方向の一方側に折り曲げられる第2折り曲げ部と、を有する、構成(第4の構成)であってよい。
【0090】
上記第1から第4のいずれかの構成のエンジンは、前記エンジン本体の前方に配置される冷却ファンと、前記エンジン本体の後方に配置されるフライホイールと、を備え、前記ブラケットは、前記エンジン本体の前側に取り付けられる前側本体取付部を有し、前記前側本体取付部は、前後方向に貫通する通気孔を有する構成(第5の構成)であってよい。
【0091】
上記第5の構成のエンジンにおいて、前記ブラケットは、前記エンジン本体の後側に取り付けられる後側本体取付部を有し、前記後側本体取付部は、前後方向に風を流す通風部を有する構成(第6の構成)であってよい。
【0092】
上記第6の構成のエンジンにおいて、前記第1ケース取付部は、前記前側本体取付部に取り付けられる前側第1ケース取付部と、前記後側本体取付部に取り付けられる後側第1ケース取付部と、を有し、前記第2ケース取付部は、前記前側本体取付部に取り付けられる前側第2ケース取付部と、前記後側本体取付部に取り付けられる後側第2ケース取付部と、を有し、前記連結部は、前記前側第1ケース取付部と前記前側第2ケース取付部とを連結する前側連結部と、前記後側第1ケース取付部と前記後側第2ケース取付部とを連結する後側連結部とのうちの少なくとも一方を有する構成(第7の構成)であってよい。
【0093】
上記第1から第7のいずれかの構成のエンジンにおいて、前記第1ケースおよび前記第2ケースは、長手方向が前後方向に延び、前記排気ガス浄化装置の排気ガスの入口が、当該エンジンの前後方向の一方側に配置され、前記ブラケットは、前記一方側において、前記排気ガス浄化装置への取付箇所が前記エンジン本体への取付箇所に比べて前記入口側にオフセットする構成である構成(第8の構成)であってよい。
【0094】
上記第1から第8のいずれかの構成のエンジンにおいて、前記第1ケースおよび前記第2ケースは、前記排気ガス浄化装置を吊り下げ可能とする吊り下げ部を有する構成(第9の構成)であってよい。
【符号の説明】
【0095】
1・・・エンジン本体
2・・・排気ガス浄化装置
3・・・冷却ファン
4・・・フライホイール
5・・・ブラケット
6・・・電子部品
25・・・吊り下げ部
52・・・第1ケース取付部
53・・・第2ケース取付部
54・・・連結部
211・・・DPFケース(第1ケース)
221・・・SCRケース(第2ケース)
511・・・前側本体取付部
511c・・・通気孔
512・・・後側本体取付部
512c・・・通風部
521・・・前側第1ケース取付部
522・・・後側第1ケース取付部
531・・・前側第2ケース取付部
532・・・後側第2ケース取付部
541・・・設置部
542・・・折り曲げ部
5421・・・第1折り曲げ部
5422・・・第2折り曲げ部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13