特開 2024-17990 コンパクト容器

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)

(12)【公報種別】公開特許公報(A)

(11)【公開番号】P2024017990

(43)【公開日】2024-02-08

(54)【発明の名称】コンパクト容器

(51)【国際特許分類】

   A45D 33/00 20060101AFI20240201BHJP

【ＦＩ】

A45D33/00 610A

A45D33/00 615C

A45D33/00 625C

【審査請求】未請求

【請求項の数】7

【出願形態】ＯＬ

(21)【出願番号】P 2022121007

(22)【出願日】2022-07-28

(71)【出願人】

【識別番号】000006909

【氏名又は名称】株式会社吉野工業所

(74)【代理人】

【識別番号】100156867

【弁理士】

【氏名又は名称】上村 欣浩

(74)【代理人】

【識別番号】100143786

【弁理士】

【氏名又は名称】根岸 宏子

(72)【発明者】

【氏名】古原 裕嗣

(57)【要約】

【課題】片手で容易に蓋を開くことができるコンパクト容器を提供する。
【解決手段】容器本体３と、容器本体３に回転軸Ｓを介して取り付けられる上蓋４と、容器本体３に取り付けられる弾性変形可能な下ケース５と、を備え、容器本体３は、上蓋４に係合する第１係合部３４と、上蓋４に向かうに従い回転軸Ｓに向けて漸次傾斜する第１傾斜面３５とを有し、上蓋４は、容器本体３に係合する第２係合部４５と、容器本体３に向かうに従い回転軸Ｓに向けて漸次傾斜する第２傾斜面４８とを有し、下ケース５は、第１傾斜面３５と第２傾斜面４８に当接可能な突出部５１ａが形成された舌片５１を有するコンパクト容器１。
【選択図】図１

【特許請求の範囲】

【請求項1】

内容物を収納する容器本体と、
前記容器本体に回転軸を介して開閉可能に取り付けられる上蓋と、
前記容器本体に取り付けられる弾性変形可能な下ケースと、
を備え、
前記容器本体は、前記回転軸が位置する側と反対側において、前記上蓋に係合する第１係合部と、前記上蓋に向かうに従い前記回転軸に向けて漸次傾斜する第１傾斜面とを有し、
前記上蓋は、前記回転軸が位置する側と反対側において、前記容器本体に係合する第２係合部と、前記容器本体に向かうに従い前記回転軸に向けて漸次傾斜する第２傾斜面とを有し、
前記下ケースは、前記下ケースを前記容器本体に取り付けた状態において、前記第１傾斜面と前記第２傾斜面に当接可能な突出部が形成された舌片を有し、
前記舌片が外側から押圧されると前記突出部が前記第１傾斜面と前記第２傾斜面を押圧し前記第１係合部と前記第２係合部との係合が解除されて前記上蓋が開くコンパクト容器。

【請求項2】

前記下ケースは、前記回転軸が位置する側において前記容器本体と前記上蓋との間に挿入される挿入部位を有し、
前記上蓋は、前記上蓋を前記容器本体に取り付けた状態において前記容器本体側に突出するリブを有し、前記上蓋を閉じた状態において前記リブは前記挿入部位を弾性変形させて圧縮し、
前記上蓋が開く際に前記挿入部位は弾性復元力により前記上蓋が開く動作を加勢する請求項１に記載のコンパクト容器。

【請求項3】

前記上蓋は、前記上蓋が所定の位置まで開くと前記挿入部位に接触して前記上蓋の開姿勢を維持する干渉部位を有する請求項２に記載のコンパクト容器。

【請求項4】

内容物を塗布する塗布具を更に備え、
前記容器本体は、前記塗布具を収納する塗布具収納部を有し、
前記塗布具には第１係止部が形成され、前記上蓋には前記塗布具が前記塗布具収納部に収納された状態において前記上蓋を閉じた際に前記第１係止部に係合する第２係止部が形成されていて、前記第１係止部に前記第２係止部が係合した状態において前記上蓋を開くと前記上蓋の前記第２係止部に係止した前記塗布具が前記塗布具収納部から取り出される請求項１に記載のコンパクト容器。

【請求項5】

内容物を塗布する塗布具を更に備え、
前記容器本体は、前記塗布具を収納する塗布具収納部を有し、
前記塗布具収納部は挿通孔を有し、
前記下ケースには前記下ケースを前記容器本体に取り付けた際に前記挿通孔から前記塗布具収納部内に突出する弾性片が形成されている請求項１に記載のコンパクト容器。

【請求項6】

内容物を収めた中皿を更に備え、
前記容器本体は、前記中皿を収納する中皿収納部を有し、
前記中皿収納部は貫通孔を有し、
前記下ケースは前記下ケースを前記容器本体に取り付けた際に前記貫通孔を覆う底壁を有する請求項１に記載のコンパクト容器。

【請求項7】

前記下ケースは、前記容器本体および前記上蓋よりも摩擦係数が大きい請求項１に記載のコンパクト容器。

【発明の詳細な説明】

【技術分野】

【0001】

本発明は、コンパクト容器に関する。

【背景技術】

【0002】

アイシャドウ等の化粧料をはじめとする内容物を収納するコンパクト容器として、内容物を収納する内容物収納部および塗布具を収容する塗布具収容部を有する容器本体と、容器本体に取り付けられた開閉可能な蓋とを備えるコンパクト容器が知られている（例えば、特許文献１参照）。

【0003】

このようなコンパクト容器は、内容物の塗布時に容器本体の蓋を開け、容器本体から塗布具を取り出し、塗布具に内容物を付着させた後その塗布具で使用者の肌に内容物を塗布することが行われる。また、塗布が終了した後は、塗布具を容器本体の所定の収容箇所に戻し、蓋を閉じることが行われる。

【先行技術文献】

【特許文献】

【0004】

【特許文献1】特開２００５－２７８８２３号公報

【発明の概要】

【発明が解決しようとする課題】

【0005】

ところで、従来のコンパクト容器は、容器本体と蓋に設けた係合部同士を係合させて蓋を閉じた状態にしている。このため蓋を開く際は、一方の手で容器本体を把持し、他方の手で蓋を引き上げて係合を解除しなければならず、両手での操作を要するために不便であった。

【0006】

本発明はこのような問題を解決することを課題とするものであって、片手で容易に蓋を開くことができるコンパクト容器を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】

【0007】

本発明は、内容物を収納する容器本体と、前記容器本体に回転軸を介して開閉可能に取り付けられる上蓋と、前記容器本体に取り付けられる弾性変形可能な下ケースと、を備え、前記容器本体は、前記回転軸が位置する側と反対側において、前記上蓋に係合する第１係合部と、前記上蓋に向かうに従い前記回転軸に向けて漸次傾斜する第１傾斜面とを有し、前記上蓋は、前記回転軸が位置する側と反対側において、前記容器本体に係合する第２係合部と、前記容器本体に向かうに従い前記回転軸に向けて漸次傾斜する第２傾斜面とを有し、前記下ケースは、前記下ケースを前記容器本体に取り付けた状態において、前記第１傾斜面と前記第２傾斜面に当接可能な突出部が形成された舌片を有し、前記舌片が外側から押圧されると前記突出部が前記第１傾斜面と前記第２傾斜面を押圧し前記第１係合部と前記第２係合部との係合が解除されて前記上蓋が開くコンパクト容器であることを特徴とする。

【0008】

上記コンパクト容器について、前記下ケースは、前記回転軸が位置する側において前記容器本体と前記上蓋との間に挿入される挿入部位を有し、前記上蓋は、前記蓋を前記容器本体に取り付けた状態において前記容器本体側に突出するリブを有し、前記上蓋を閉じた状態において前記リブは前記挿入部位を弾性変形させて圧縮し、前記上蓋が開く際に前記挿入部位は弾性復元力により前記上蓋が開く動作を加勢することが好ましい。

【0009】

また、上記コンパクト容器について、前記上蓋は、前記上蓋が所定の位置まで開くと前記挿入部位に接触して前記上蓋の開姿勢を維持する干渉部位を有することが好ましい。

【0010】

また、上記コンパクト容器について、内容物を塗布する塗布具を更に備え、前記容器本体は、前記塗布具を収納する塗布具収納部を有し、前記塗布具には第１係合部が形成され、前記上蓋には前記塗布具が前記塗布具収納部に収納された状態において前記上蓋を閉じた際に前記第１係合部に係合する第２係合部が形成されていて、前記第１係合部に前記第２係合部が係合した状態において前記上蓋を開くと前記上蓋の前記第２係合部に係合した前記塗布具が前記塗布具収納部から取り出されることが好ましい。

【0011】

また、上記コンパクト容器について、内容物を塗布する塗布具を更に備え、前記容器本体は、前記塗布具を収納する塗布具収納部を有し、前記塗布具収納部は挿通孔を有し、前記下ケースには前記下ケースを前記容器本体に取り付けた際に前記挿通孔から前記塗布具収納部内に突出する弾性片が形成されていることが好ましい。

【0012】

また、上記コンパクト容器について、内容物を収めた中皿を更に備え、前記容器本体は、前記中皿を収納する中皿収納部を有し、前記中皿収納部は貫通孔を有し、前記下ケースは前記下ケースを前記容器本体に取り付けた際に前記貫通孔を覆う底壁を有することが好ましい。

【0013】

また、上記コンパクト容器について、前記下ケースは、前記容器本体および前記上蓋よりも摩擦係数が大きいことが好ましい。

【発明の効果】

【0014】

本発明のコンパクト容器によれば、片手で容易に蓋を開くことができる。

【図面の簡単な説明】

【0015】

【図1】本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器の側面断面図である。

【図2】図１のコンパクト容器について容器本体に下ケースを取り付ける状態を示す側面断面図である。

【図3】本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器の正面図（右半分の下ケースは断面図）である。

【図4】本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器の背面図である。

【図5】本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器について上蓋を開く際の動作について説明する前端部分の部分拡大側面断面図である。

【図6】本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器について上蓋を開く際の動作について説明する後端部分の部分拡大側面断面図であり、（ａ）は上蓋が閉じた状態を示す部分拡大断面図、（ｂ）は上蓋が挿入部位の弾性復元力により開かれた状態を示す部分拡大断面図、（ｃ）は上蓋の開姿勢が維持された状態を示す部分拡大側面断面図である。

【図7】図６についての拡大図であり、（ａ）は図６（ａ）の領域Ｃの拡大図、（ｂ）は図６（ｂ）の領域Ｄの拡大図である。

【図8】本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器について、塗布具を除いた状態を示す側面断面図である。

【図9】図８のコンパクト容器について、塗布具を収納した状態におけるＡ－Ａ断面図である。

【図10】本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器について容器本体に下ケースを取り付ける様子を示す前端部分の部分拡大側面断面図である。

【図11】本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器について塗布具収納部に塗布具が収納される様子を示す前端部分の部分拡大側面断面図であり、（ａ）は塗布具が収納される前の上蓋を開いた状態を示す部分拡大断面図、（ｂ）は塗布具が収納され上蓋が閉じられた状態を示す部分拡大断面図である。

【図12】本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器について中皿収納部から中皿が取り出される様子を示す側面断面図である。

【発明を実施するための形態】

【0016】

以下、添付の図面を参照しながら、本発明に従うコンパクト容器の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、コンパクト容器について、上蓋側を上側（図１の紙面上方）、下カバー側を下側（図１の紙面下方）、上蓋の軸支箇所が後側（図１の紙面右方）、当該軸支箇所の反対側が前側（図１の紙面左方）として説明を行う。

【0017】

＜第１実施形態＞
まず、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器について説明する。図１は、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器１の側面断面図である。図２は、図１のコンパクト容器１について容器本体３に下ケース５を取り付ける状態を示す側面断面図である。図３は、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器１の正面図（右半分の下ケースは断面図）である。図４は、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器１の背面図である。

【0018】

図１に示すように、第１実施形態に係るコンパクト容器１は、化粧料をはじめとする内容物を塗布する塗布具２と、塗布具２を収納する塗布具収納部３１および内容物の例としての化粧料（不図示）を収めた中皿Ｍを着脱可能に収納する中皿収納部３２を有する容器本体３と、容器本体３に開閉可能に取り付けられる上蓋４と、容器本体３の下方から取り付けられる下ケース５を備えている。

【0019】

塗布具２は、内容物を塗布するために用いられる器具であり、軸部２１の長手方向（図１の紙面前後方向）両端部にスポンジ製又はシリコン製のチップである塗布部（不図示）が形成されている。軸部２１には軸部２１の中心軸に向かうに従い縮径する孔である第１係止部２１ａが形成されている。なお、塗布部はチップの他、ブラシ等であってもよい。

【0020】

図１および図２に示すように、容器本体３は、塗布具２を収納する凹状の塗布具収納部３１と、中皿Ｍを収納する凹状の中皿収納部３２とを備えている。容器本体３は、本実施形態においては樹脂材料により形成されているが、本発明においてはこれに限らず、他の材料により形成されていてもよい。

【0021】

塗布具収納部３１の底面には、前方に向かうに従い下降する傾斜部３１１と、傾斜部３１１の前方に位置する水平部３１２とが形成されている。傾斜部３１１と水平部３１２が形成されていることにより、塗布具収納部３１に塗布具２が収納された状態において、塗布具２を、塗布具２の第１係止部２１ａに上蓋４の第２係止部４４が係止可能な姿勢にすることができる。

【0022】

中皿収納部３２は、容器本体３において塗布具収納部３１の前方において凹状に設けられていて、化粧料を収めた中皿Ｍを着脱可能に収納する。

【0023】

容器本体３の左右の後端部にはそれぞれ上蓋４を支持する支持腕３２３（図４参照）が形成されていて、支持腕３２３にはそれぞれ左右方向に向けて支持腕３２３を貫通する軸孔３２４が設けられている。

【0024】

容器本体３は、前側において、上蓋４の第２係合部４５に係合する爪状の第１係合部３４と、上蓋４に向かうに従い後側に向けて漸次傾斜する第１傾斜面３５とを有している。

【0025】

上蓋４は、本実施形態においては樹脂材料により形成されていて、２つの回転軸Ｓを介して容器本体３に開閉可能に取り付けられている。上蓋４は、凹状の鏡収納部４１１が形成された上蓋本体４１と、上蓋本体４１の後端部分から垂直に立設された起立片４２と、鏡収納部４１１内に収納された鏡４３と、上蓋本体４１の下面側から斜めに傾斜して突出する突起状の第２係止部４４を有している。第２係止部４４は、塗布具２の第１係止部２１ａ内に係止可能になっている。なお、本発明において上蓋４は樹脂に限らず、他の材料により形成されていてもよい。

【0026】

起立片４２の左右両端には軸孔４２１が形成されていて、これらの軸孔４２１と容器本体３の軸孔３２４にそれぞれ回転軸Ｓが挿通されることにより、上蓋４が容器本体３に開閉可能に取り付けられている。

【0027】

起立片４２は、上蓋４を容器本体３に取り付けた状態において容器本体３側に向けて突出するリブ４６を有している。リブ４６は、その上端部４６ａが上蓋本体４１に連続していて、上蓋４を容器本体３に取り付けた状態において、上端部４６ａは下端部４６ｂよりも容器本体３側に突出した構成になっている。また、起立片４２の下端部は、軸孔４２１を中心として径方向外側に僅かに突出した干渉部位４２ａになっている。

【0028】

また、上蓋４は、前側において、容器本体３の第１係合部３４に係合する爪状の第２係合部４５と、容器本体３に向かうに従い後側に向けて漸次傾斜する第２傾斜面４８とを有している。

【0029】

下ケース５は、弾性変形可能なシリコンゴム等の軟質材料により形成された、平面視が矩形の盆状部材である。下ケース５は、図１～図３に示すように、これを容器本体３に取り付けた状態において、第１傾斜面３５と第２傾斜面４８に当接可能な断面視が三角形状の突出部５１ａが形成された舌片５１を有している。また、下ケース５の後側において、容器本体３と上蓋４との間に挿入される挿入部位５２を有している。上蓋４を閉じた状態において、下ケース５の挿入部位５２はリブ４６の上端部４６ａにより弾性変形されて圧縮された状態になっている。下ケース５の挿入部位５２が容器本体３と上蓋４との間に挿入されることにより、下ケース５の脱落を防止することができる。

【0030】

下ケース５を形成する軟質材料は、容器本体３及び上蓋４を形成する樹脂材料等よりも摩擦係数が高いものを選択している。このような下ケース５を用いることにより、使用者はコンパクト容器１を把持する際に摩擦係数の高い下ケース５を持つことができるため、容器本体３や上蓋４を直接把持する場合と比較して、少ない力で安定的にコンパクト容器１を把持することができる。なお、例えば下ケース５の表面に細かい凹凸を設ける表面処理を施すと、少ない力で安定的にコンパクト容器１を把持することができる効果をより高めることができる。

【0031】

次に、上述した構成を備えるコンパクト容器１を使用する際の動作について説明する。図５は、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器１について上蓋４を開く際の動作について説明する前端部分の部分拡大側面断面図である。図６は、本発明の第１実施形態に係るコンパクト容器１について上蓋４を開く際の動作について説明する後端部分の部分拡大側面断面図であり、（ａ）は上蓋４が閉じた状態を示す部分拡大断面図、（ｂ）は上蓋４が挿入部位５２の弾性復元力により開かれた状態を示す部分拡大断面図、（ｃ）は上蓋４の開姿勢が維持された状態を示す部分拡大側面断面図である。図７は、図６についての拡大図であり、（ａ）は図６（ａ）の領域Ｃの拡大図、（ｂ）は図６（ｂ）の領域Ｄの拡大図である。

【0032】

まず図５に示すように、使用者により舌片５１が外側から押圧される。舌片５１が押圧されると、突出部５１ａが第１傾斜面３５と第２傾斜面４８を押圧し押し広げることにより、第１係合部３４と第２係合部４５の係合が解除される。

【0033】

そして、図６（ａ）から図６（ｂ）および図７（ａ）から図７（ｂ）に示すように、第１係合部３４と第２係合部４５の係合が解除されると、容器本体３とリブ４６の上端部４６ａにより押圧されていた下ケース５の挿入部位５２が弾性復元力によりリブ４６を遠ざけ、上蓋４が開く方向に加勢することで、上蓋４が開いた状態になる。

【0034】

こうして上蓋４が開かれた状態になった後、さらに使用者が図６（ｃ）に示す状態まで上蓋４を開くと、起立片４２の干渉部位４２ａが挿入部位５２に当接しこれを押し込み弾性変形させることで、挿入部位５２の弾性復元力による上蓋４の開閉動作に抵抗が生じ、上蓋４の開姿勢を維持することが可能になる。

【0035】

また、上蓋４が開く際には、塗布具２の第１係止部２１ａが上蓋４の第２係止部４４に係止していることにより、開動作を行う上蓋４に伴いこれに係止している塗布具２を塗布具収納部３１から取り出すことができ、塗布具２の取り出しを容易に行うことができる。

【0036】

このように、上述した第１実施形態に係るコンパクト容器１によると、舌片５１を押圧するというワンタッチの動作のみにより上蓋４を容易に開くことができるため、使用者は片手で容易に上蓋４を開くことができる。

【0037】

＜第２実施形態＞
次に、本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器について説明する。なお、以下の第２実施形態に係るコンパクト容器の説明においては、主に第１実施形態に係るコンパクト容器と異なる構成について行い、第１実施形態に係るコンパクト容器と同様の構成については同一の符号を付し、その説明を省略することがある。

【0038】

図８は、本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器１０について、塗布具２’を除いた状態を示す側面断面図である。図９は、図８のコンパクト容器１０について、塗布具２’を収納した状態におけるＡ－Ａ断面図である。図１０は、本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器１０について容器本体３に下ケース５を取り付ける様子を示す前端部分の部分拡大側面断面図である。

【0039】

図８～図１０に示すように、第２実施形態に係るコンパクト容器１０は、塗布具２’と、塗布具収納部３１’および中皿収納部３２’を有する容器本体３’と、容器本体３’に開閉可能に取り付けられる上蓋４’と、容器本体３’の下方から取り付けられる下ケース５’を備えている。

【0040】

塗布具２’は、軸部２１と、軸部２１の両端部に塗布部２２が設けられている。塗布具２’は、上述した第１実施形態におけるコンパクト容器１（図１、図２参照）の塗布具２に設けられていた第１係止部２１ａが省かれている他は、塗布具２と同様である。

【0041】

容器本体３’は、第１実施形態における容器本体３と異なり、その前側において塗布具収納部３１’が形成されているとともに、後側において中皿収納部３２’が形成されている。また、容器本体３’についても、上蓋４’の第２係合部４５に係合する爪状の第１係合部３４と、上蓋４’に向かうに従い後側に向けて漸次傾斜する第１傾斜面３５とを有している。

【0042】

塗布具収納部３１’は、第１実施形態における塗布具収納部３１と異なり、底面が平坦であり、前後に形成された２つで１組の挿通孔３８が、塗布具収納部３１’の左右方向（図８の上下方向）に１組ずつ設けられている。各組を構成する２つの挿通孔３８は、下端の開口部から上端の開口部に向かうに従い互いに漸次接近するように傾斜して形成されている。

【0043】

中皿収納部３２’は、底部に貫通孔３９を有している点以外は第１実施形態における中皿収納部３２と同様である。

【0044】

上蓋４’は、第１実施形態における上蓋４に形成されていた第２係止部４４が省かれている他は、上蓋４と同様であり、前側において、容器本体３’の第１係合部３４に係合する爪状の第２係合部４５と、容器本体３’に向かうに従い後側に向けて漸次傾斜する第２傾斜面４８とを有している。

【0045】

下ケース５’は、下ケース５’を容器本体３’に取り付けた際に挿通孔３８から塗布具収納部３１’内に突出する２つで１組の弾性片５５が、底壁５６の左右方向に１組ずつ形成されている点以外は第１実施形態における下ケース５と同様である。下ケース５’を容器本体３’に取り付けると、１組の弾性片５５は傾斜した挿通孔３８を通過することで曲げられて、先端側に向かうに従い漸次接近するように傾斜した状態で塗布具収納部３１’内に突出する。下ケース５’の底壁５６は、下ケース５’を容器本体３’に取り付けた際に貫通孔３９を覆い、コンパクト容器１０の外部から貫通孔３９が視認されることを防止する。また、底壁５６が貫通孔３９を覆うことで、中皿収納部３２’内に残存する化粧料が貫通孔３９を経てコンパクト容器１０の外部に漏れ出すことを防止することができる。

【0046】

次に、上述した構成を備えるコンパクト容器１０を使用する際の動作について説明する。図１１は、本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器１０について塗布具収納部３１’に塗布具２’が収納される様子を示す前端部分の部分拡大側面断面図であり、（ａ）は塗布具２’が収納される前の上蓋を開いた状態を示す部分拡大断面図、（ｂ）は塗布具２’が収納され上蓋４’が閉じられた状態を示す部分拡大断面図である。

【0047】

コンパクト容器１０に塗布具２’を収納する際には、図１１（ａ）に示すように、塗布具収納部３１’内において互いに先端側に向かうに従い漸次接近するように傾斜して突出している弾性片５５上に塗布具２’が載置され、次いで図１１（ｂ）に示すように上蓋４’が閉じられる。この際、上蓋４’に押し下げられた塗布具２’により弾性片５５は弾性変形し、押し潰された状態になる。

【0048】

次に、コンパクト容器１０を開く際には、上述した第１実施形態に係るコンパクト容器１と同様に、使用者により舌片５１が外側から押圧される。舌片５１が押圧されると、突出部５１ａが第１傾斜面３５と第２傾斜面４８を押圧し押し広げることにより、第１係合部３４と第２係合部４５とが弾性変形し、これらの係合が解除される。

【0049】

そして、容器本体３’とリブ４６の上端部４６ａにより押圧されていた下ケース５’の挿入部位５２が弾性復元力によりリブ４６を遠ざけ、上蓋４’が開く方向に加勢することで、上蓋４’が開いた状態になる。

【0050】

こうして上蓋４’が開くと、弾性変形していた弾性片５５が弾性復元力により元の形状に戻ることで、弾性片５５上に載置されていた塗布具２’が塗布具収納部３１’から突出した状態になり、使用者に取り出しやすい状態になる。

【0051】

さらに、コンパクト容器１０についても第１実施形態に係るコンパクト容器１と同様に、上蓋４’を所定の位置まで開くと、起立片４２の干渉部位４２ａが挿入部位５２に当接しこれを押し込み弾性変形させることで、挿入部位５２の弾性復元力による上蓋４’の開閉動作に抵抗が生じ、上蓋４’の開姿勢を維持することが可能になる。

【0052】

次に、化粧料を使い終わった場合等に中皿Ｍを交換する様子について説明する。図１２は、本発明の第２実施形態に係るコンパクト容器１０について中皿収納部３２’から中皿Ｍが取り出される様子を示す側面断面図である。

【0053】

図１２に示すように、中皿収納部３２’から中皿Ｍを取り出す際には、使用者は、上蓋４’を開いた後、指等により下ケース５’の底壁５６を外側から押圧する。これにより底壁５６が弾性変形し、貫通孔３９を経て中皿収納部３２’内に突出することで中皿収納部３２’内から中皿Ｍを押し上げ、中皿Ｍを取り出しやすい状態にすることができる。

【0054】

上述したように、第２実施形態に係るコンパクト容器１０によっても、舌片５１を押圧するというワンタッチの動作のみで上蓋４’を開くことができるため、使用者は上蓋４’を片手で容易に開くことができる。

【0055】

なお、本発明は上述した各実施形態に係るコンパクト容器１、１’の態様に限定されず、種々の変形を採用することができる。

【0056】

例えば、上述した各実施形態において下ケース５、５’の後端側にある周壁全体が下ケース５、５’の挿入部位５２に相当していたが、本発明においては後端側にある周壁の一部を上方に突出させ、この突出部位を容器本体３、３’とリブ４６の上端部４６ａに挟み込ませる態様としてもよい。

【0057】

また、上述した第２実施形態において２つで１組の弾性片５５が２組用いられていたが、本発明においてはこれに限らず、塗布具収納部３１’の左右にそれぞれ１つずつの弾性片５５を突出させ、この弾性片５５と塗布具収納部３１’の内周壁により塗布具２’を支持する態様としてもよい。これによっても塗布具２’を弾性的に支持することができ、上蓋４’を開くだけで塗布具２’を取り出しやすい状態にすることができる。

【符号の説明】

【0058】

１、１０：コンパクト容器
２、２’：塗布具
３、３’：容器本体
４、４’：上蓋
５、５’：下ケース
２１：軸部
２１ａ：第１係止部
３１、３１’：塗布具収納部
３２、３２’：中皿収納部
３４：第１係合部
３５：第１傾斜面
３９：貫通孔
４４：第２係止部
４５：第２係合部
４６：リブ
４６ａ：上端部
４８：第２傾斜面
５１：舌片
５１ａ：突出部
５２：挿入部位
５６：底板
Ｍ：中皿
Ｓ：回転軸

【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】