(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179900
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】包装箱、包装箱用のシート材
(51)【国際特許分類】
B65D 5/66 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B65D5/66 301G
B65D5/66 301D
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099201
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100150304
【弁理士】
【氏名又は名称】溝口 勉
(72)【発明者】
【氏名】長原 耕太郎
(72)【発明者】
【氏名】金谷 昌佳
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA06
3E060BB03
3E060BC02
3E060DA13
3E060DA18
(57)【要約】
【課題】封緘作業の作業性及び封緘後のロック性を向上する。
【解決手段】包装箱(1)には、直交する第1の方向及び第2の方向で複数の側壁を対向させた周壁(10)と、第1の方向の一方側に位置する側壁(12)の上縁に揺動可能に連なる蓋壁(16)と、第2の方向の両側に位置する側壁(13a、13b)の上縁に連なる一対の内フラップ(21a、21b)と、が設けられている。蓋壁の先端側には、第1の方向の他方側に位置する側壁(11)の内面に沿って差し込まれる差込片(17)が設けられている。一対の内フラップの第1の方向の他方側の側縁には、差込片が当接することで折り曲げ可能な一対のタブ(22a、22b)が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
直交する第1の方向及び第2の方向で複数の側壁を対向させた周壁(10)と、
第1の方向の一方側に位置する側壁(12)の上縁に揺動可能に連なる蓋壁(16)と、
第2の方向の両側に位置する側壁(13a、13b)の上縁に連なる一対の内フラップ(21a、21b)と、を備え、
前記蓋壁の先端側には、第1の方向の他方側に位置する側壁(11)の内面に沿って差し込まれる差込片(17)が設けられ、
前記一対の内フラップの第1の方向の他方側の側縁には、前記差込片が当接することで折り曲げ可能な一対のタブ(22a、22b)が設けられていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
前記一対のタブは前記一対の内フラップよりも薄厚にされ、前記一対のタブと前記一対の内フラップの境界に段差(29a、29b)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記一対のタブと前記一対の内フラップの境界に折線(L6、L10)が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項4】
前記折線の両端が一対の折罫であり、当該一対の折罫の間が切り込まれていることを特徴とする請求項3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記包装箱は段ボールシート製であり、
前記一対の内フラップの中芯(6)の段頂が第2の方向に延びていることを特徴とする請求項1に記載の包装箱。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の包装箱を組み立てることを特徴とするシート材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、包装箱用のシート材に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、包装箱の天面を覆う差込式の蓋壁を閉状態で掛け止めするものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この包装箱の後壁には天面を覆う蓋壁が連なり、包装箱の一対の側壁には蓋壁の内側に入り込む一対の内フラップが連なっている。蓋壁の先端から下方に差込片が折り曲げられており、一対の内フラップの前縁から一対の掛止片が突き出している。また、一対の掛止片に対応して、蓋壁と差込片の折線が両端から切り込まれている。包装箱の前壁と一対の内フラップの隙間に差込片が差し込まれ、一対の内フラップの掛止片が差込片の切込みに入り込むことで蓋壁が掛け止めされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、包装箱の前壁と一対の内フラップの隙間が狭いと、包装箱の封緘作業の作業性が悪化するという不具合があった。また、差込片の切込みから一対の内フラップの掛止片が外れると、包装箱の封緘後のロック性が損なわれるおそれがあった。
【0005】
そこで、本発明は、封緘作業の作業性及び封緘後のロック性を向上することができる包装箱及び包装箱用のシート材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様の包装箱は、直交する第1の方向及び第2の方向で複数の側壁を対向させた周壁と、第1の方向の一方側に位置する側壁の上縁に揺動可能に連なる蓋壁と、第2の方向の両側に位置する側壁の上縁に連なる一対の内フラップと、を備え、前記蓋壁の先端側には、第1の方向の他方側に位置する側壁の内面に沿って差し込まれる差込片が設けられ、前記一対の内フラップの第1の方向の他方側の側縁には、前記差込片が当接することで折り曲げ可能な一対のタブが設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、包装箱の封緘時に差込片が一対の内フラップの一対のタブに当たっても、一対の内フラップに対して一対のタブが折れ曲がることで差込片が包装箱の内側に差し込まれる。このため、第1の方向の他方側に位置する側壁と一対の内フラップの間隔を広げて包装箱の封緘作業の作業性を向上することができる。また、包装箱の封緘後には、一対のタブが復元力によって差込片に摩擦接触して包装箱が封緘状態でロックされる。よって、第1の方向の他方側に位置する側壁と一対の内フラップの間隔が広げられてもロック性が損なわれることがない。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本実施形態の包装箱を上方から見た斜視図である。
【
図2】比較例のB式段ボール箱の上面模式図である。
【
図4】本実施形態の包装箱の差込動作の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態の包装箱の差込動作の他の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照しつつ、本実施形態について説明する。各図に付される矢印Fr、Rr、L、R、U、Loは、それぞれ包装箱を正面から見たときの前側、後側、左側、右側、上側、下側を示している。また、本実施形態では方向や位置を示す用語を用いるが、それらの用語は説明の便宜のために用いるものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0010】
図1を参照して、本実施形態の包装箱について説明する。
図1は本実施形態の包装箱を上方から見た斜視図である。
図2は比較例のB式段ボール箱の上面模式図である。
図3は本実施形態のシート材の平面図である。
【0011】
図1に示すように、包装箱1は、蓋差し込み型のB式段ボール箱であり、テープ等を用いることなく容易に組み立て可能に形成されている。包装箱1は、前後方向(第1の方向)で前壁11と後壁12を対向させ、左右方向(第2の方向)で側壁13a、13bを対向させた上面視矩形状の周壁10を有している。前壁11の上縁から細幅の頂面部14を挟んで内壁15が下向きに折り返されている。包装箱1の前側には、前壁11、頂面部14、内壁15によって二重構造の額縁が形成されている。額縁によって包装箱1の強度が高められると共に包装箱1の装飾性が向上されている。
【0012】
後壁12の上縁には蓋壁16が揺動可能に連なっており、蓋壁16が閉方向に揺動されることで周壁10の矩形状の天面開口が閉じられる。蓋壁16の先端側には蓋壁16に対して閉方向に屈曲した差込片17が設けられ、差込片17が内壁15に沿って差し込み可能に形成されている。側壁13a、13bの上縁には内フラップ21a、21bが連なっており、内フラップ21a、21bは側壁13a、13bに対して内向きに折り曲げられている。内フラップ21a、21bの前縁にはタブ22a、22bが設けられ、詳細は後述するが、タブ22a、22bは差込片17に当接されることで折り曲げ可能に形成されている。
【0013】
前壁11の下縁には前底フラップ23が連なっており、後壁12の下縁には後底フラップ24が連なっており、側壁13a、13bの下縁には側底フラップ25a、25bが連なっている。後底フラップ24の上面に側底フラップ25a、25bが重ねられ、側底フラップ25a、25bの上面に前底フラップ23が重ねられている。さらに、後底フラップ24の先端部分が前底フラップ23の上面に重ねられている。このように、前底フラップ23、後底フラップ24、側底フラップ25a、25bがアメリカンロック方式で組み合わされることで、周壁10の矩形状の底面開口を閉じる底壁が形成されている。
【0014】
ところで、
図2(A)に示すように、比較例の蓋差し込み型のB式段ボール箱31では、蓋壁32に設けられた差込片33が、前壁34と一対の内フラップ35の隙間Cに挿し込まれることで封緘されるが、前壁34と一対の内フラップ35の隙間が狭いと差込片33が差し込み難くなる。一方で、
図2(B)に示すように、前壁34と一対の内フラップ35の隙間Cを広げることで差込片33が差し込み易くなるが、差込片33が抜け易くなってB式段ボール箱31の封緘後のロック性が損なわれる。このように、一般的なB式段ボール箱31では、封緘作業の作業性と封緘後のロック性はトレードオフの関係にある。
【0015】
そこで、
図1に示すように、本実施形態の包装箱1では、封緘作業の作業性を向上させるために内壁15と内フラップ21a、21bの隙間Cが広げられ、封緘後のロック性を向上させるために内フラップ21a、21bにタブ22a、22bが設けられている。タブ22a、22bは差込片17の当接によって折り曲げ可能であるため、差込片17がタブ22a、22bに当たっても包装箱1内に差し込むことができる。また、内壁15と内フラップ21a、21bの隙間Cが広げられても、包装箱1の封緘後にタブ22a、22bが弾性復帰して差込片17に摩擦接触することで差込片17を抜け難くしている。
【0016】
図3に示すように、包装箱1は平板状のシート材5を組み立てることで箱型に形成される。シート材5は、一枚の紙製の段ボールシートをダイカッタ等で切り抜くことで形成されている。段ボールシートは、波状の中芯6に表ライナ及び裏ライナを貼り合わせた両面段ボールシートである。なお、
図3には表ライナ側から見た段ボールシートを示している。ここでは、段ボールシートの中芯6の段頂が延びる方向を「段目方向X」とし、段ボールシートの中芯6と直交する方向を「流れ方向Y」として説明する。なお、
図3の斜線部分は段潰し部分を示している。
【0017】
シート材5には流れ方向Yに長い矩形状の前壁11が設けられている。前壁11の段目方向Xの一方側には折線L1、L2の間の頂面部14を介して矩形状の内壁15が連なっている。内壁15の段目方向Xの一端縁には一対の凸部18が流れ方向Yに間隔を空けて形成されている。前壁11の段目方向Xの他方側には折線L3を介して前底フラップ23が連なっている。前底フラップ23の段目方向Xの他端縁は中央部分が窪んだ凹状に形成されている。前底フラップ23の基端には一対の凸部18に対応して一対の掛止穴28が形成され、一対の凸部18が一対の掛止穴28に入り込むことで額縁が形成される。
【0018】
前壁11の流れ方向Yの一方側には折線L4を介して矩形状の側壁13aが連なっている。側壁13aの段目方向Xの一方側には折線L5を介して内フラップ21aが連なっている。内フラップ21aの流れ方向Yの他方側には折線L6を介して段目方向Xに長いタブ22aが連なっている。内フラップ21aの基端部にはタブ22aが連なっておらず、この基端部の流れ方向Yの他端縁が内壁15からタブ22aを離すように傾斜している。内壁15からタブ22aが離されることで、封緘時に差込片17が挿し込まれる内壁15からタブ22aの基端(折線L6)までの隙間C(
図1参照)が広く確保されている。
【0019】
タブ22aは段潰し加工によって内フラップ21aよりも薄厚にされ、タブ22aと内フラップ21aの境界には段差29a(
図4参照)が形成されている。また、タブ22aと内フラップ21aの境界には折線L6が形成されている。この折線L6の両端は一対の折罫であり、一対の折罫の間が切り込まれている。このため、タブ22aと内フラップ21aの境界の段差29a及び折線L6を起点にして、内フラップ21aに対してタブ22aが折れ曲がり易くなっている。さらに、折線L6が段目方向Xと平行に延びているため、内フラップ21aの段目に沿ってタブ22aが折れ曲がり易くなっている。
【0020】
側壁13aの段目方向Xの他方側には折線L7を介して側底フラップ25aが連なっている。側底フラップ25aの基端側は直角台形状に形成され、側底フラップ25aの先端側は矩形状に形成されている。前壁11の流れ方向Yの他方側には折線L8を介して側壁13bが連なり、側壁13bの段目方向Xの一方側には折線L9を介してタブ22b付きの内フラップ21bが連なり、側壁13bの段目方向Xの他方側には折線L11を介して側底フラップ25bが連なっている。一対の側壁13a、13b、内フラップ21a、21b、タブ22a、22b、側底フラップ25a、25bは、前壁11を挟んで対称的に形成されている。
【0021】
側壁13bの流れ方向Yの他方側には折線L12を介して矩形状の後壁12が連なっている。後壁12の段目方向Xの一方側には折線L13を介して矩形状の蓋壁16が連なっている。蓋壁16の段目方向Xの一方側には折線L14を介して流れ方向Yに長い差込片17が連なっている。後壁12の段目方向Xの他方側には折線L15を介して後底フラップ24が連なっている。後底フラップ24の先端部を除いて等脚台形状に形成され、後底フラップ24の先端部が矩形状に形成されている。後壁12の流れ方向Yの他方側には折線L16を介して台形状の継ぎ代26が連なっている。
【0022】
なお、
図3において、内フラップ21a、21bとタブ22a、22bの境界の折線L6、L10以外の折線L1-L5、L7-L9、L11-L16は折罫で形成されている。折罫とは段ボールシートを裏ライナ側から直線状に押し潰した折線を示している。折線L1-L5、L7-L9、L11-L16は、段ボールシートが折り曲げ可能であれば、どのように形成されていてもよい。例えば、折線L1-L5、L7-L9、L11-L16の一部又は全てがリード罫によって形成されていてもよい。リード罫とは、罫線上に複数の切込みを断続的に形成した折線を示している。
【0023】
次に、
図1及び
図3を参照して、包装箱1の組み立て作業について説明する。包装箱1は、作業者の手作業によって組み立てられてもよいし、製函機によって自動的又は半自動的に組み立てられてもよい。ここでは、一例として、作業者が包装箱1を組み立てる場合について説明するが、包装箱1の組み立て作業の作業順序は適宜変更が可能である。なお、
図3に示すシート材5が前壁11と側壁13bの間の折線L8で2つ折りされており、折線L16で折り返された継ぎ代26が側壁13aの内面に接着された状態から包装箱1が組み立てられるものとする。
【0024】
先ず、前壁11と側壁13aが折線L4に沿って直角に折り曲げられ、後壁12と側壁13bが折線L12に沿って直角に折り曲げられて角筒状の周壁10が形成される。これにより、前壁11と後壁12が前後方向で対向し、側壁13aと側壁13bが左右方向で対向する。前底フラップ23が折線L3に沿って折り曲げられ、側底フラップ25a、25bが折線L7、L11に沿って直角に折り曲げられ、後底フラップ24が折線L15に沿って直角に折り曲げられてアメリカンロック方式の底壁が形成される。底フラップ同士の接着が不要になって組み立て作業が簡略化されている。
【0025】
内壁15及び頂面部14が折線L1、L2に沿って折り曲げられ、内壁15の一対の凸部18が前底フラップ23の一対の掛止穴28に差し込まれて包装箱1の前側に額縁が形成される。内フラップ21a、21bが折線L5、L9に沿って直角に折り曲げられ、内フラップ21a、21bと内壁15の間に差込片17が差し込まれる隙間Cが形成される。差込片17が折線L14に沿って直角に折り曲げられ、蓋壁16が折線L13に沿って折り曲げられて、内フラップ21a、21bと内壁15の隙間に差込片17が差し込まれる(
図4参照)。周壁10の天面開口が蓋壁16によって覆われて包装箱1が封緘される。
【0026】
また、内フラップ21a、21bにはタブ22a、22bが設けられているが、差込片17が当たることでタブ22a、22bが折れ曲がるように形成されている。タブ22a、22bには折れ曲がり易くなるように、段潰し加工が施されると共にタブ22a、22bには折罫や切込み27が形成されている。また、包装箱1が組み立てられた状態では、内フラップ21a、21bの中芯6(
図3参照)の段頂が左右方向に延びている。中芯6の段頂が内フラップ21a、21bとタブ22a、22bの境界に沿って延びているため、内フラップ21a、21bに対してタブ22a、22bが段目に沿って折れ曲がり易くなっている。
【0027】
図4及び
図5を参照して、包装箱の差込動作について説明する。
図4は本実施形態の包装箱の差込動作の一例を示す図である。
図5は本実施形態の包装箱の差込動作の他の一例を示す図である。ここでは、断面図を用いて包装箱の左側における差込動作について説明しているが、包装箱の右側における差込動作も同様である。
【0028】
図4(A)に示すように、包装箱1の蓋壁16が開かれており、蓋壁16の先端側の差込片17が閉方向に折り曲げられている。また、側壁13b(
図1参照)に対して内フラップ21bが折り曲げられており、包装箱1の天面開口が内フラップ21bに覆われている。内フラップ21bの先端側のタブ22bは折り曲げられておらず、タブ22bの先端が内壁15から僅かに離れている。タブ22bが下面側から押し潰されており、タブ22bと内フラップ21bの境界には小さな段差29bが形成されている。また、上記したように、タブ22bの基端には折罫や切込み27(
図3参照)が形成されている。
【0029】
図4(B)に示すように、包装箱1の蓋壁16が閉じられると、蓋壁16の先端側の差込片17が内フラップ21bの先端側のタブ22bに対して上側から突き当る。差込片17によってタブ22bが押し込まれ、段差29bや折罫を起点にしてタブ22bが下向きに折り曲げられる。差込片17の差込動作がタブ22bに阻害されることがなく、タブ22bが差込片17のガイドとして機能するため、差込片17がタブ22bと内壁15の隙間にスムーズに差し込まれる。包装箱1の封緘作業時にタブ22bと内壁15の隙間を狙う必要がなく、差込片17がタブ22bに突き当たっても差込可能になっている。
【0030】
図4(C)に示すように、包装箱1の蓋壁16が閉じられて封緘されると、差込片17の内面に対してタブ22bが接触する。このとき、タブ22bの折目の上側の繊維が伸びて、タブ22bの折目の下側の繊維が縮んでおり、これら繊維の弾性力によってタブ22bには元の形に戻ろうとする復元力が生じている。タブ22bの復元力によってタブ22bの先端が差込片17の内面に摩擦接触し、タブ22bがカエシとして機能して差込片17が抜け止めされている。このように、タブ22bによって包装箱1の封緘作業の作業性の向上と包装箱1の封緘後のロック性の向上が両立されている。
【0031】
また、
図5(A)に示すように、包装箱1の組み立て誤差によっては、内フラップ21bの先端側のタブ22bが前壁11の頂面部14に乗り上がる場合がある。上記したように、段潰しによってタブ22bが薄厚に形成されて、厚みが無くなった分だけタブ22bが撓み易くなっている。
図5(B)に示すように、包装箱1の蓋壁16が閉じられると、蓋壁16の先端側の差込片17が内フラップ21bの先端側のタブ22bに対して上側から突き当る。差込片17の押し込みによってタブ22bが撓み、頂面部14からタブ22bが外れることで、タブ22bが下向きに折り曲げられて差込片17が差し込み可能になっている。
【0032】
以上、本実施形態によれば、包装箱1の封緘時に差込片17が内フラップ21a、21bのタブ22a、22bに当たっても、内フラップ21a、21bに対してタブ22a、22bが折れ曲がることで差込片17が包装箱1の内側に差し込まれる。このため、内壁15(前壁11)と内フラップ21a、21bの間隔を広げて包装箱1の封緘作業の作業性を向上することができる。また、包装箱1の封緘後には、タブ22a、22bが復元力によって差込片17に摩擦接触して包装箱1が封緘状態でロックされる。よって、内壁15と内フラップ21aの間隔が広げられてもロック性が損なわれることがない。
【0033】
なお、本実施形態では、内フラップとタブの境界の折線が折罫と切込みで形成されているが、折線は差込片が当接したときにタブが折れ曲げ可能であれば、どのように形成されていてもよい。例えば、折線は折罫のみで形成されていてもよいし、リード罫、ミシン罫、切罫等によって形成されていてもよい。また、タブが段目に沿って折れ曲げ可能であれば、内フラップとタブの境界には折線が形成されていなくてもよい。
【0034】
また、本実施形態では、タブに対して段潰し加工が施されているが、折線は差込片が当接したときにタブが折れ曲げ可能であれば、タブに対して段潰し加工が施されていなくてもよい。
【0035】
また、本実施形態では、包装箱の前壁部分が額縁状に形成されているが、包装箱の前壁部分が前壁だけで形成されていてもよい。
【0036】
また、本実施形態では、トレイが両面段ボールシートで形成されているが、トレイが片面段ボールシート、複両面段ボールシート、厚紙、樹脂製の板材等で形成されていてもよい。
【0037】
以上の通り、第1態様は、直交する第1の方向及び第2の方向で複数の側壁を対向させた周壁(10)と、第1の方向の一方側に位置する側壁(後壁12)の上縁に揺動可能に連なる蓋壁(16)と、第2の方向の両側に位置する側壁(13a、13b)の上縁に連なる一対の内フラップ(21a、21b)と、を備え、蓋壁の先端側には、第1の方向の他方側に位置する側壁(前壁11)の内面に沿って差し込まれる差込片(17)が設けられ、一対の内フラップの第1の方向の他方側の側縁には、差込片が当接することで折り曲げ可能な一対のタブ(22a、22b)が設けられている。この構成によれば、包装箱の封緘時に差込片が一対の内フラップの一対のタブに当たっても、一対の内フラップに対して一対のタブが折れ曲がることで差込片が包装箱の内側に差し込まれる。このため、第1の方向の他方側に位置する側壁と一対の内フラップの間隔を広げて包装箱の封緘作業の作業性を向上することができる。また、包装箱の封緘後には、一対のタブが復元力によって差込片に摩擦接触して包装箱が封緘状態でロックされる。よって、第1の方向の他方側に位置する側壁と一対の内フラップの間隔が広げられてもロック性が損なわれることがない。
【0038】
第2態様は、第1態様において、一対のタブは一対の内フラップよりも薄厚にされ、一対のタブと一対の内フラップの境界に段差(29a、29b)が形成されている。この構成によれば、一対のタブと一対の内フラップの境界の段差を起点にして、一対の内フラップに対して一対のタブが折れ曲がり易くなっている。また、製造時の誤差等によって一対のタブが側壁の上縁に乗り上がる場合でも、包装箱の封緘時に差込片によって一対のタブを包装箱の内側に押し込むことができる。
【0039】
第3態様は、第1態様又は第2態様において、一対のタブと一対の内フラップの境界に折線(L6、L10)が形成されている。この構成によれば、一対のタブと一対の内フラップの境界の折線を起点にして、一対の内フラップに対して一対のタブが折れ曲がり易くなっている。
【0040】
第4態様は、第3態様において、折線の両端が一対の折罫であり、当該一対の折罫の間が切り込まれている。この構成によれば、一対の内フラップに対して一対のタブがより折れ曲がり易くなっている。
【0041】
第5態様は、第1態様から第4態様のいずれか1態様において、包装箱は段ボールシート製であり、一対の内フラップの中芯(6)の段頂が第2の方向に延びている。この構成によれば、中芯の段頂が一対の内フラップと一対のタブの境界に沿って延びているため、一対の内フラップに対して一対のタブが段目に沿って折れ曲がり易くなっている。
【0042】
第6態様は、第1態様から第5態様のいずれか1態様の包装箱を組み立てることを特徴とするシート材(5)である。この構成によれば、封緘作業の作業性及び封緘後のロック性を向上することができる包装箱をシート材から組み立てることができる。
【0043】
なお、本実施形態を説明したが、他の実施形態として、上記実施形態及び変形例を全体的又は部分的に組み合わせたものでもよい。
【0044】
また、本発明の技術は上記の実施形態に限定されるものではなく、技術的思想の趣旨を逸脱しない範囲において様々に変更、置換、変形されてもよい。さらには、技術の進歩又は派生する別技術によって、技術的思想を別の仕方によって実現することができれば、その方法を用いて実施されてもよい。したがって、実用新案登録請求の範囲は、技術的思想の範囲内に含まれ得る全ての実施態様をカバーしている。
【符号の説明】
【0045】
1 :包装箱
5 :シート材
6 :中芯
10 :周壁
11 :前壁(第1の方向の他方側に位置する側壁)
12 :後壁(第1の方向の一方側に位置する側壁)
13a、13b:側壁
14 :頂面部(第1の方向の他方側に位置する側壁)
15 :内壁(第1の方向の他方側に位置する側壁)
16 :蓋壁
17 :差込片
21a、21b:内フラップ
22a、22b:タブ
29a、29b:段差