(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179906
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ガラス原料の製造装置及び製造方法並びにガラス物品の製造方法
(51)【国際特許分類】
C03B 1/00 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
C03B1/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099233
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000232243
【氏名又は名称】日本電気硝子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107423
【弁理士】
【氏名又は名称】城村 邦彦
(74)【代理人】
【識別番号】100120949
【弁理士】
【氏名又は名称】熊野 剛
(74)【代理人】
【識別番号】100129148
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 淳也
(72)【発明者】
【氏名】菖蒲 優介
(72)【発明者】
【氏名】中島 兼二
【テーマコード(参考)】
4G014
【Fターム(参考)】
4G014AA00
(57)【要約】
【課題】搬送時におけるガラス原料の飛散を抑制する。
【解決手段】ガラス原料の製造装置1は、ガラス原料Gaを落下させて投入する開口部6cを有するシュート6aと、シュート6aから投入されたガラス原料Gaを所定の搬送方向Xに搬送するベルトコンベア7と、シュート6aから投入されたガラス原料Gaが落下する箇所を囲う囲い部材9aと、ベルトコンベア7及び囲い部材9aを収容するケーシング10と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガラス原料を落下させて投入するシュートと、前記シュートから投入された前記ガラス原料を所定の搬送方向に搬送するベルトコンベアと、前記ベルトコンベアを収容するケーシングと、を備えるガラス原料の製造装置であって、
前記ケーシングに収容されるとともに、前記シュートから投入された前記ガラス原料が落下する箇所を囲う囲い部材を備えることを特徴とするガラス原料の製造装置。
【請求項2】
前記囲い部材は、天井部と、前記ベルトコンベアの幅方向における前記天井部の端部から下方に伸びる側壁部と、前記搬送方向における前記天井部の端部側に設けられた開口部と、を有する請求項1に記載のガラス原料の製造装置。
【請求項3】
前記シュートは、前記ガラス原料の投入量が多い第一シュートと、前記ガラス原料の投入量が少ない第二シュートと、を含み、
前記囲い部材は、前記第一シュートに対応する第一囲い部材と、前記第二シュートに対応する第二囲い部材と、を含み、
前記第二囲い部材は、前記第一囲い部材よりも小さい請求項1又は2に記載のガラス原料の製造装置。
【請求項4】
前記ベルトコンベアの幅方向の端部から外方への前記ガラス原料の漏出を阻止する仕切り部を備え、
前記仕切り部は、前記ベルトコンベアの前記幅方向における一端部側に設けられる第一仕切り部と、前記ベルトコンベアの前記幅方向における他端部側に設けられる第二仕切り部と、を含む請求項1又は2に記載のガラス原料の製造装置。
【請求項5】
前記囲い部材は、前記第一仕切り部と前記第二仕切り部との間に配置される請求項4に記載のガラス原料の製造装置。
【請求項6】
前記ベルトコンベアは、前記シュートから投入された前記ガラス原料を受ける搬送面を有し、
前記搬送面は、横断面形状が凹状である請求項1又は2に記載のガラス原料の製造装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のガラス原料の製造装置における前記ベルトコンベアによって前記ガラス原料を搬送する搬送工程を備えることを特徴とするガラス原料の製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載のガラス原料の製造方法により製造されたガラス原料を用いてガラス物品を製造することを特徴とするガラス物品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス原料の製造装置及び製造方法並びにガラス物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ等のディスプレイに使用されるガラス基板等の各種ガラス製品は、ガラス原料を溶融炉中で加熱して溶融ガラスを生成した後、その溶融ガラスを所定形状に成形することによって製造される。
【0003】
ガラス原料は、複数種の原料粉末を予め定められた混合割合で調合した調合粉末(バッチ)から構成される。
【0004】
このような調合粉末を製造する装置としては、原料粉末を貯蔵した原料粉末貯蔵サイロと、原料粉末貯蔵サイロから供給される原料粉末を計量する計量サイロと、計量サイロで計量された原料粉末を調合する調合ミキサとを備えたものがある(例えば特許文献1の段落0030~0035参照)。
【0005】
このガラス原料の製造装置において、調合ミキサは、計量サイロの下方に配置されている。計量サイロと調合ミキサとは供給路によって接続されている。計量サイロで計量された原料粉末は、この供給路を介して調合ミキサへと供給される(同文献の段落0034、0035参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のような従来のガラス原料の製造装置では、重力の作用により、計量サイロで計量された原料粉末を、供給路を介して調合ミキサへと搬送している。
【0008】
その他の構成として、上記の供給路に替えて、ベルトコンベア等の搬送装置によってガラス原料を調合ミキサへと搬送する場合がある。この場合において、計量サイロによって計量されたガラス原料を搬送装置のベルトに載せる際に、ガラス原料が飛散し、搬送装置の外部に漏出するおそれがあった。ガラス原料が漏出してしまうと、その調合を精度良く行うことが困難となる。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、搬送時におけるガラス原料の飛散を抑制することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
(1) 本発明は上記の課題を解決するためのものであり、ガラス原料を落下させて投入するシュートと、前記シュートから投入された前記ガラス原料を所定の搬送方向に搬送するベルトコンベアと、前記ベルトコンベアを収容するケーシングと、を備えるガラス原料の製造装置であって、前記ケーシングに収容されるとともに、前記シュートから投入された前記ガラス原料が落下する箇所を囲う囲い部材を備えることを特徴とする。
【0011】
かかる構成によれば、シュートから投入されたガラス原料が落下する箇所に囲い部材を設けることで、ベルトコンベアに落下するガラス原料の飛散を効果的に抑制することができる。したがって、ベルトコンベアによって搬送された後のガラス原料を精度良く調合することができる。
【0012】
(2) 上記(1)に記載のガラス原料の製造装置において、前記囲い部材は、天井部と、前記ベルトコンベアの幅方向における前記天井部の端部から下方に伸びる側壁部と、前記搬送方向における前記天井部の端部側に設けられた開口部と、を有してもよい。
【0013】
かかる構成によれば、ベルトコンベアに落下したガラス原料の飛散を天井部及び側壁部によって抑制するとともに、開口部を通じてガラス原料を搬送方向に好適に搬送することが可能となる。
【0014】
(3) 上記(1)又は(2)に記載のガラス原料の製造装置において、前記シュートは、前記ガラス原料の投入量が多い第一シュートと、前記ガラス原料の投入量が少ない第二シュートと、を含み、前記囲い部材は、前記第一シュートに対応する第一囲い部材と、前記第二シュートに対応する第二囲い部材と、を含み、前記第二囲い部材は、前記第一囲い部材よりも小さくてもよい。
【0015】
かかる構成によれば、ガラス原料の投入量に応じて囲い部材の大きさを決定することで、製造装置の構造を簡素化し、その設備コストを低減させることができる。
【0016】
(4) 上記(1)から(3)のいずれかに記載のガラス原料の製造装置において、前記ベルトコンベアの幅方向の端部から外方への前記ガラス原料の漏出を阻止する仕切り部を備え、前記仕切り部は、前記ベルトコンベアの前記幅方向における一端部側に設けられる第一仕切り部と、前記ベルトコンベアの前記幅方向における他端部側に設けられる第二仕切り部と、を含んでもよい。
【0017】
かかる構成によれば、ガラス原料がベルトコンベアの外部に漏出することを仕切り部によって防止することができ、搬送後におけるガラス原料の調合を精度良く行うことが可能となる。
【0018】
(5) 上記(4)に記載のガラス原料の製造装置において、前記囲い部材は、前記第一仕切り部と前記第二仕切り部との間に配置されてもよい。
【0019】
かかる構成によれば、ベルトコンベアによって搬送されるガラス原料の飛散、漏出を囲い部材及び仕切り部によって防止することで、搬送後におけるガラス原料の調合をより精度良く行うことが可能となる。
【0020】
(6) 上記(1)から(5)のいずれかに記載のガラス原料の製造装置において、前記ベルトコンベアは、前記シュートから投入された前記ガラス原料を受ける搬送面を有し、前記搬送面は、横断面形状が凹状であってもよい。
【0021】
かかる構成によれば、ベルトコンベアの搬送面を凹状に構成することで、搬送面上のガラス原料のベルトコンベアからの漏出を抑制することができる。
【0022】
(7) 本発明に係るガラス原料の製造方法は上記の課題を解決するためのものであり、上記(1)から(6)のいずれかに記載のガラス原料の製造装置における前記ベルトコンベアによって前記ガラス原料を搬送する搬送工程を備えることを特徴とする。
【0023】
かかる構成によれば、ガラス原料の製造装置によって搬送工程を行うことで、ガラス原料の飛散を効果的に抑制することができる。したがって、搬送工程後におけるガラス原料の調合を精度良く行うことが可能となる。
【0024】
(8) 本発明に係るガラス物品の製造方法は、上記の課題を解決するためのものであり、上記(7)に記載のガラス原料の製造方法により製造されたガラス原料を用いてガラス物品を製造することを特徴とする。
【0025】
かかる構成によれば、搬送工程後におけるガラス原料の調合を精度良く行うことで、高品質のガラス物品を製造することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明によれば、搬送時におけるガラス原料の飛散を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】ガラス原料の製造装置を示す側面断面図である。
【
図2】
図1のII-II矢視線に係る断面図である。
【
図4】ガラス物品の製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明を実施するための形態について、図面を参照しながら説明する。
図1乃至
図5は、本発明に係るガラス原料の製造装置及び製造方法並びにガラス物品の製造方法の一実施形態を示す。
【0029】
図1及び
図2に示すように、ガラス原料の製造装置1は、粉末状のガラス原料Ga,Gbを供給する供給装置2a,2bと、供給装置2a,2bから供給されたガラス原料Ga,Gbを所定の搬送方向Xに沿って搬送する搬送装置3と、を主に備える。
【0030】
供給装置2a,2bは、第一ガラス原料Gaを供給する第一供給装置2aと、第二ガラス原料Gbを供給する第二供給装置2bとを含む。本実施形態では、第一供給装置2aによる第一ガラス原料Gaの供給量が第二供給装置2bによる第二ガラス原料Gbの供給量よりも多く設定されているが、ガラス原料Ga,Gbの供給量の設定は本実施形態に限定されない。
【0031】
供給装置2a,2bは、ホッパ4と、ホッパ4に接続されるフィーダ5と、フィーダ5に接続されるシュート6a,6bとを備える。
【0032】
ホッパ4は、図示しないサイロから供給された所定重量のガラス原料Ga,Gbをフィーダ5へと案内する。ホッパ4は、フィーダ5の一端部に接続されている。
【0033】
フィーダ5は、ホッパ4から供給されたガラス原料Ga,Gbをシュート6a,6bへと移送する。フィーダ5は、例えば振動フィーダにより構成されるが、この構成に限定されることなく、スクリューフィーダやベルトコンベア等により構成されてもよい。
【0034】
シュート6a,6bは、第一供給装置2aに設けられる第一シュート6aと、第二供給装置2bに設けられる第二シュート6bとを含む。各シュート6a,6bは、上下方向に延びる管状に構成されるが、この構成に限定されない。第一シュート6aの管径(内径)D1は、第二シュート6bの管径(内径)D2よりも大きい。これにより、第一シュート6aによる第一ガラス原料Gaの単位時間当たりの投入量は、第二シュート6bによる第二ガラス原料Gbの単位時間当たりの投入量よりも多くすることが可能となる。
【0035】
シュート6a,6bは、フィーダ5の他端部に接続されている。シュート6a,6bは、フィーダ5によって移送されたガラス原料Ga,Gbを下方に落下させて搬送装置3に投入する開口部6cを有する。シュート6a,6bの上端部は、フィーダ5に接続され、シュート6a,6bの下端部は、搬送装置3の上部に固定されている。
【0036】
搬送装置3は、シュート6a,6bから投入されたガラス原料Ga,Gbを搬送方向Xに沿って搬送するベルトコンベア7と、ベルトコンベア7の幅方向W(搬送方向Xに直交する水平方向)の端部から外方へのガラス原料Ga,Gbの漏出を阻止する仕切り部8a,8bと、シュート6a,6bの近傍位置に設けられる囲い部材9a,9bと、ベルトコンベア7、仕切り部8a,8b及び囲い部材9a,9bを内部に収容するケーシング10と、を備える。
【0037】
ベルトコンベア7は、無端帯状に構成されるベルト11と、ベルト11を支持する複数のローラ12~14とを備える。
【0038】
ベルト11は、図示しない駆動装置によって、ガラス原料Ga,Gbを、その長手方向、すなわち搬送方向Xに沿って搬送するように構成される。ベルト11は、シュート6a,6bの開口部6cから投入されたガラス原料Ga,Gbを受ける搬送面11aを備える。
図2に示すように、搬送面11aは、横断面形状が凹状に構成されている。すなわち、搬送面11aは、幅方向Wにおける中央部が幅方向Wの端部よりも低い位置にある。
【0039】
図2に示すように、ローラ12~14は、ベルト11の幅方向Wに沿って配置される第一ローラ12、第二ローラ13及び第三ローラ14を含む。第一ローラ12は、ベルト11の幅方向Wにおける中央部の下面を支持する。第二ローラ13は、ベルト11の幅方向Wにおける一端部の下面を支持する。第三ローラ14は、ベルト11の幅方向Wにおける他端部の下面を支持する。
【0040】
第一ローラ12は、その回転軸がベルト11の幅方向W(水平方向)に沿うように配置されている。第二ローラ13及び第三ローラ14は、その回転軸がベルト11の幅方向W(水平方向)に対して傾斜するように配置されている。第二ローラ13及び第三ローラ14が傾斜した状態でベルト11を支持することで、ベルト11の搬送面11aを凹状に構成することができる。
【0041】
図2に示すように、仕切り部8a,8bは、ベルトコンベア7の幅方向Wにおける一端部側に設けられる第一仕切り部8aと、ベルトコンベア7の幅方向Wにおける他端部側に設けられる第二仕切り部8bと、を含む。
【0042】
各仕切り部8a,8bは、例えばゴム等の弾性部材により構成されるが、各仕切り部8a,8bの材質は本実施形態に限定されない。各仕切り部8a,8bの上端部は、固定部材8cによってケーシング10に固定されている。仕切り部8a,8bの下端部は、ベルトコンベア7におけるベルト11の搬送面11aに対し、弾性変形を伴って接触している。
【0043】
各仕切り部8a,8bは、搬送方向Xに沿って長尺状に構成されている。仕切り部8a,8bは、ベルトコンベア7におけるベルト11の長手方向に延びている。この構成により、第一仕切り部8aと第二仕切り部8bとの間に、ガラス原料Ga,Gbを搬送するための空間(搬送空間)が形成されている。
【0044】
囲い部材9a,9bは、シュート6a,6bからベルト11に投入されたガラス原料Ga,Gbがベルト11に衝突したときに、その飛散を抑制するためのものである。囲い部材9a,9bは、金属製又は樹脂製であるが、この材質に限定されるものではない。囲い部材9a,9bは、シュート6a,6bの開口部6cから投入されたガラス原料Ga,Gbが落下する箇所を囲っている。囲い部材9a,9bは、第一仕切り部8aと第二仕切り部8bとの間に配置されている。
【0045】
囲い部材9a,9bは、第一シュート6aに設けられる第一囲い部材9aと、第二シュート6bに設けられる第二囲い部材9bとを含む。
図1乃至
図3に示すように、囲い部材9a,9bは、天井部15と、ベルトコンベア7の幅方向Wにおける天井部15の端部から下方に伸びる側壁部16a,16bと、搬送方向Xにおける天井部15の端部側に設けられた開口部17a,17bと、を有する。
【0046】
囲い部材9a,9bの大きさは、各シュート6a,6bから投入されるガラス原料Ga,Gbの単位時間当たりの投入量に応じて定められ、単位時間当たりの投入量が少なくなるのに従い囲い部材9a,9bが小さくなるように構成される。本実施形態では、第二シュート6bによる第二ガラス原料Gbの投入量が第一シュート6aによる第一ガラス原料Gaの投入量よりも少ないことから、第二囲い部材9bは、第一囲い部材9aよりも小さく構成されている。
【0047】
具体的には、第二囲い部材9bの側壁部16a,16bの搬送方向Xにおける長さ寸法L2は、第一囲い部材9aの側壁部16a,16bの搬送方向Xにおける長さ寸法L1よりも小さい。なお、第二囲い部材9bの天井部15における幅方向Wの寸法W2は、第一囲い部材9aの天井部15における幅方向Wの寸法W1と等しい。
【0048】
天井部15は、水平方向に広がる板状の部分である。天井部15は、ケーシング10に固定されている。天井部15は、シュート6a,6bを通じて落下するガラス原料Ga,Gbを通過させる貫通孔15aを有する。天井部15は、貫通孔15aがシュート6a,6bの開口部6cと一致するように、シュート6a,6bの下端部に連結されている。
【0049】
側壁部16a,16bは、幅方向Wにおける天井部15の一端部から下方に突出する第一側壁部16aと、幅方向Wにおける天井部15の他端部から下方に突出する第二側壁部16bとを含む。第一側壁部16aと第二側壁部16bとは、幅方向Wにおいて離れた位置にあり、相互に対向している。
【0050】
側壁部16a,16bの搬送方向Xにおける長さ寸法L1,L2は、対応するシュート6a,6bの管径D1,D2の1.1倍以上5倍以下とされることが好ましく、1.1倍以上3倍以下とされることがより好ましい。
【0051】
各側壁部16a,16bの下端部は、ベルトコンベア7におけるベルト11の搬送面11aに接触していない。各側壁部16a,16bの下端部と搬送面11aとの間隔は、例えば30mm以上90mm以下であることが好ましい。これにより、各側壁部16a,16bと搬送面11aとの接触による摩耗を防止することができる。
【0052】
囲い部材9a,9bの開口部17a,17bは、搬送方向Xの上流側に設けられる上流側開口部17aと、搬送方向Xの下流側に設けられる下流側開口部17bとを含む。第二囲い部材9bの開口部17a,17bは、第一囲い部材9aの開口部17a,17bよりも小さい。
【0053】
ケーシング10は、各シュート6a,6bを支持する上壁部10aと、幅方向Wにおける上壁部10aの端部から下方に延びる一対の側壁部10b,10cと、一対の側壁部10b,10cの下端部同士を連結する下壁部10dと、を有する。
【0054】
ケーシング10の上壁部10aは、囲い部材9a,9bの天井部15を支持している。囲い部材9a,9bの天井部15は、ボルト等の固定部材によってこの上壁部10aの内面に固定されている。上壁部10aは、シュート6a,6bの下端部が挿通される貫通孔10a1を有する。
【0055】
ケーシング10の側壁部10b,10cは、幅方向Wにおけるベルト11の一端部側に位置する第一側壁部10bと、幅方向Wにおけるベルト11の他端部側に位置する第二側壁部10cとを有する。第一側壁部10bは、第一仕切り部8aの外側に位置し、この第一仕切り部8aを覆っている。第二側壁部10cは、第二仕切り部8bの外側に位置し、この第二仕切り部8bを覆っている。
【0056】
ケーシング10の下壁部10dは、第一側壁部10bの下端部と第二側壁部10cの下端部とを連結している。下壁部10dは、ベルトコンベア7の下方に位置し、このベルトコンベア7を覆っている。
【0057】
以下、上記の製造装置1を使用して、第一ガラス原料Gaと第二ガラス原料Gbとを混合してなる混合ガラス原料を製造する方法、及び混合ガラス原料を用いてガラス物品を製造する方法について説明する。
【0058】
図4に示すように、ガラス物品の製造方法は、調合工程S1と、溶融工程S2と、成形工程S3と、を主に備える。
【0059】
調合工程S1は、製造装置1を使用して混合ガラス原料を製造する工程である。
図5に示すように、調合工程S1は、投入工程S11と、搬送工程S12と、混合工程S13と、充填工程S14と、を備える。
【0060】
投入工程S11では、第一ガラス原料Gaを第一供給装置2aから搬送装置3へと供給し、第二ガラス原料Gbを第二供給装置2bから搬送装置3へと供給する。投入工程S11では、サイロから各ガラス原料Ga,Gbをホッパ4に供給する。サイロからホッパ4に至る経路上には、計量装置が設けられている。このため、ホッパ4には、計量された所定重量のガラス原料Ga,Gbが供給される。ガラス原料Ga,Gbとしては、例えば珪砂、石灰石、ソーダ灰、カレット等を用いることができる。
【0061】
その後、各ガラス原料Ga,Gbは、ホッパ4からフィーダ5、シュート6a,6bへと移送される。さらにガラス原料Ga,Gbは、シュート6a,6bの開口部6cから搬送装置3のベルトコンベア7へと落下する。
【0062】
より具体的には、シュート6a,6bの開口部6cを通過したガラス原料Ga,Gbは、囲い部材9a,9bにおける天井部15の貫通孔15aを通過して、ベルトコンベア7におけるベルト11の搬送面11aに落下する。このとき、ガラス原料Ga,Gbは、搬送面11aとの衝突により飛散しようとするが、囲い部材9a,9bの天井部15及び側壁部16a,16bによってこの飛散を可及的に抑制することができる。
【0063】
搬送工程S12では、搬送装置3によってガラス原料Ga,Gbを搬送する。搬送装置3は、ベルト11を連続的に駆動しており、搬送面11aに載せられたガラス原料Ga,Gbは、搬送方向Xの下流側へと搬送される。
【0064】
混合工程S13では、搬送装置3の搬送方向Xにおける下流側に配置された混合装置(ミキサ)によってガラス原料Ga,Gbを混合する。これにより、第一ガラス原料Gaと第二ガラス原料Gbとが混合されてなる混合ガラス原料が製造される。
【0065】
充填工程S14では、混合工程S13で製造された混合ガラス原料を容器に充填する。混合ガラス原料が充填された容器は、溶融工程S2へと移送される。
【0066】
溶融工程S2では、容器に充填された混合ガラス原料を取り出して、溶融工程S2を実行する溶融炉に供給する。溶融炉は、混合ガラス原料を移送するフィーダと、混合ガラス原料を溶融する溶解槽とを備える。
【0067】
溶融工程S2において、混合ガラス原料は、フィーダによって移送されることで、溶解槽に供給される。溶解槽は混合ガラス原料を加熱することで溶融ガラスを生成する。溶解槽によって生成された溶融ガラスは、所定の移送経路によって成形工程S3へと移送される(移送工程)。
【0068】
移送経路には、清澄槽、撹拌槽、状態調整槽等が設けられている。溶融ガラスは、清澄槽によって脱泡処理された後に、撹拌槽によって撹拌されることで均質化される。その後、溶融ガラスは、状態調整槽によって粘度等が調整され、成形工程S3へと供給される。
【0069】
成形工程S3では、例えばオーバーフローダウンドロー法を実行する成形装置によって溶融ガラスを成形する。成形装置は、溶融ガラスからガラス物品としてのガラスリボンを成形することが可能な成形体を備えている。
【0070】
成形工程S3では、断面が略くさび形の成形体の上部に設けられたオーバーフロー溝に溶融ガラスを流し込み、このオーバーフロー溝から溢れ出た溶融ガラスを成形体の両側の側面に沿って流下させながら、成形体の下端部で融合一体化し、ガラスリボンを連続成形する。
【0071】
次に、ガラスリボンは、徐冷工程、冷却工程を経て冷却される。その後、ガラスリボンは、例えば第一切断工程によって切断されてもよい。これにより、枚葉状のガラス板が形成される。ガラス板は、第二切断工程、端面加工工程、洗浄工程、検査工程等を経て製品化される。このようにして製造されたガラス物品としてのガラス板は、例えば液晶ディスプレイ等のディスプレイ用のガラス基板として好適に使用される。これに限らず、ガラスリボンは、切断されることなくロール状に巻き取られてもよい。これにより、ガラス物品としてのガラスロールが製造される。
【0072】
以上説明した本実施形態に係るガラス原料の製造装置1及び製造方法並びにガラス物品の製造方法によれば、製造装置1のシュート6a,6bの開口部6cからガラス原料Ga,Gbが落下する箇所に囲い部材9a,9bを設けることによって、ガラス原料Ga,Gbがベルトコンベア7の搬送面11aに落下したときの飛散を可及的に抑制することが可能となる。これにより、混合ガラス原料を精度良く製造することができ、高品質のガラス物品を製造することが可能となる。
【0073】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限定されるものではなく、上記した作用効果に限定されるものでもない。本発明は、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【0074】
上記の実施形態では、囲い部材9a,9bにおける側壁部16a,16bの下端部がベルトコンベア7の搬送面11aから離れていたが、本発明はこの構成に限定されない。例えば囲い部材9a,9bの側壁部16a,16bをゴム等の弾性部材により構成し、側壁部16a,16bの下端部を弾性変形させた状態で搬送面11aに接触させてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、二台の供給装置2a,2bを備えるガラス原料の製造装置1を例示したが、本発明はこの構成に限定されない。製造装置1は、一台、又は三台以上の供給装置を備えていてもよい。
【0076】
上記の実施形態では、搬送装置3におけるベルトコンベア7の搬送面11aが凹状に構成された製造装置1を例示したが、本発明は、この構成に限定されない。ベルトコンベア7の搬送面11aは、平坦面状に構成されてもよい。
【0077】
上記の実施形態では、天井部15と一対の側壁部16a,16bを備える囲い部材9a,9bを例示したが、本発明はこの構成に限定されない。例えば、天井部15を省略し、側壁部16a,16bの上端部をケーシング10の上壁部10aに固定することによって囲い部材9a,9bを構成してもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 ガラス原料の製造装置
6a 第一シュート
6b 第二シュート
7 ベルトコンベア
8a 第一仕切り部
8b 第二仕切り部
9a 第一囲い部材
9b 第二囲い部材
10 ケーシング
11a 搬送面
15 囲い部材の天井部
16a 囲い部材の第一側壁部
16b 囲い部材の第二側壁部
17a 囲い部材の上流側開口部
17b 囲い部材の下流側開口部
Ga 第一ガラス原料
Gb 第二ガラス原料
S12 搬送工程
W ベルトコンベアの幅方向
X 搬送方向