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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024017991
(43)【公開日】2024-02-08
(54)【発明の名称】フォーマーディスペンサー
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/00 20060101AFI20240201BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20240201BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20240201BHJP
   B65D 47/32 20060101ALI20240201BHJP
【FI】
B65D83/00 K
B65D47/06 200
B65D47/34 110
B65D47/32 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022121008
(22)【出願日】2022-07-28
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】先曽 洋一
【テーマコード(参考)】
3E014
3E084
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB04
3E014PD12
3E014PE02
3E014PE30
3E014PF10
3E084AB01
3E084BA02
3E084CB02
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084JA20
3E084KA05
3E084KB05
3E084LB02
3E084LC01
3E084LD22
(57)【要約】
【課題】ヘッド部を高速で押下げ操作しても均一な泡を吐出することが可能なフォーマーディスペンサーを提供することである。
【解決手段】装着キャップ10と、筒状接続部22を有するステム20と、ステム20の上端に取り付けられたヘッド部30と、液体流入孔42を備えた隔壁41を有し、筒状接続部22と隔壁41との間に混合室43を区画形成する筒体40と、液体用ポンプ50と、空気用ポンプ60と、発泡部材80と、を有し、周方向に等間隔に並べて3本の空気流路70が設けられ、液体流路42の最小部分の断面積が、2.0mm以上、14.5mm以下であり、3本の空気流路70の断面積の合計と液体流路42の最小部分の断面積との比が、1.0:1.4~1.0:2.8である、ことを特徴とするフォーマーディスペンサー1。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体の口部に装着された装着キャップと、
流出孔を備えた筒状接続部を有し、前記装着キャップから突出するステムと、
ノズルを備え、前記ステムの上端に取り付けられたヘッド部と、
液体流入孔を備えた隔壁を有し、前記筒状接続部に外側から嵌合して前記筒状接続部と前記隔壁との間に混合室を区画形成する筒体と、
前記装着キャップに支持され、前記ヘッド部の押し下げ操作により前記ステムに駆動されて前記容器本体の内部の液体を前記液体流入孔から前記混合室の内部に向けて圧送する液体用ポンプと、
前記装着キャップに支持され、前記ヘッド部の押し下げ操作により前記ステムに駆動されて外部から取り込んだ空気を前記筒状接続部の外周面と前記筒体の内周面との間に設けられた空気流路から前記混合室に向けて圧送する空気用ポンプと、
前記ステム及び前記ノズルの少なくとも何れか一方に配置され、前記混合室で空気と混合された液体を発泡させる発泡部材と、を有し、
前記筒状接続部の外周面と前記筒体の内周面との間に、周方向に等間隔に並べて3本の前記空気流路が設けられ、
前記液体用ポンプと前記混合室との間の液体流路の最小部分の断面積が、2.0mm以上、14.5mm以下であり、
3本の前記空気流路の断面積の合計と前記液体流路の最小部分の断面積との比が、1.0:1.4~1.0:2.8である、ことを特徴とするフォーマーディスペンサー。
【請求項2】
3本の前記空気流路が、前記筒状接続部の外周面に周方向に等間隔に並べて設けられた溝で構成されている、請求項1に記載のフォーマーディスペンサー。
【請求項3】
前記液体流路の最小部分が前記液体流入孔である、請求項1または2に記載のフォーマーディスペンサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体の内部の液体を空気と混合してノズルから泡状に吐出させるフォーマーディスペンサーに関する。
【背景技術】
【0002】
シャンプー、ボディソープ、ハンドソープ、洗顔料等の液体を内容液として収容する容器として、内容液の泡立て動作を省略して簡便な使用を図る観点から、内容液を空気と混合して泡状に吐出させるようにしたフォーマーディスペンサーが装備された構成のものが多用されている。
【0003】
従来、このようなフォーマーディスペンサーとして、容器の口部に装着される装着キャップと、それぞれ装着キャップに支持された液体用ポンプ及び空気用ポンプと、装着キャップに対して上下方向に移動自在に支持されたステムの上端に取り付けられたヘッド部と、を有し、ヘッド部が押し下げ操作されて液体用ポンプ及び空気用ポンプが作動すると、液体及び空気が圧送されて混合室で混合されるとともに発泡部材を通して発泡されてノズルから泡状に吐出されるように構成されたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-28620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来のフォーマーディスペンサーでは、ヘッド部が高速(例えば70mm/s)で押し下げ操作されると、ノズルから吐出される泡が部分的に大きな気泡を含んだ不均一なものとなってしまう、という問題点があった。
【0006】
本発明は、このような問題点を解決することを課題とするものであり、その目的は、ヘッド部を高速で押下げ操作しても均一な泡を吐出することが可能なフォーマーディスペンサーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のフォーマーディスペンサーは、容器本体の口部に装着された装着キャップと、流出孔を備えた筒状接続部を有し、前記装着キャップから突出するステムと、ノズルを備え、前記ステムの上端に取り付けられたヘッド部と、液体流入孔を備えた隔壁を有し、前記筒状接続部に外側から嵌合して前記筒状接続部と前記隔壁との間に混合室を区画形成する筒体と、前記装着キャップに支持され、前記ヘッド部の押し下げ操作により前記ステムに駆動されて前記容器本体の内部の液体を前記液体流入孔から前記混合室の内部に向けて圧送する液体用ポンプと、前記装着キャップに支持され、前記ヘッド部の押し下げ操作により前記ステムに駆動されて外部から取り込んだ空気を前記筒状接続部の外周面と前記筒体の内周面との間に設けられた空気流路から前記混合室に向けて圧送する空気用ポンプと、前記ステム及び前記ノズルの少なくとも何れか一方に配置され、前記混合室で空気と混合された液体を発泡させる発泡部材と、を有し、前記筒状接続部の外周面と前記筒体の内周面との間に、周方向に等間隔に並べて3本の前記空気流路が設けられ、前記液体用ポンプと前記混合室との間の液体流路の最小部分の断面積が、2.0mm以上、14.5mm以下であり、3本の前記空気流路の断面積の合計と前記液体流路の最小部分の断面積との比が、1.0:1.4~1.0:2.8である、ことを特徴とする。
【0008】
本発明のフォーマーディスペンサーは、上記構成において、3本の前記空気流路が、前記筒状接続部の外周面に周方向に等間隔に並べて設けられた溝で構成されているのが好ましい。
【0009】
本発明のフォーマーディスペンサーは、上記構成において、前記液体流路の最小部分が前記液体流入孔であるのが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ヘッド部を高速で押下げ操作しても均一な泡を吐出することが可能なフォーマーディスペンサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態に係るフォーマーディスペンサーを容器本体の口部に装着した状態で示す一部切欠き断面図である。
図2図1に示すフォーマーディスペンサーの要部を拡大して示す断面図である。
図3図2におけるA-A線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の一実施形態に係るフォーマーディスペンサー1を詳細に例示説明する。
【0013】
なお、本願明細書、特許請求の範囲及び要約書において、上下方向は、図1に示すようにフォーマーディスペンサー1を装着した容器本体2を正立姿勢とした状態における上下方向を意味するものとする。
【0014】
図1に示すように、フォーマーディスペンサー1は、容器本体2の口部2aに装着される装着キャップ10を有している。
【0015】
装着キャップ10は、天壁10aと、天壁10aの外周縁に一体に連なる装着筒壁10bとを有し、装着筒壁10bの内周面に設けた雌ねじ10cが容器本体2の口部2aの外周面に設けられた雄ねじ2bにねじ結合することで、当該口部2aに着脱自在に装着される。口部2aに装着された装着キャップ10は口部2aの開口を覆っている。装着キャップ10の天壁10aには、上方へ向けて突出する支持筒部10dが一体に設けられている。
【0016】
なお、装着キャップ10を容器本体2の口部2aに装着する構成としては、上記したねじ結合に替えて、例えばアンダーカット係合等の他の構成を用いてもよい。
【0017】
装着キャップ10にはステム20が支持されている。ステム20は軸線Oを中心とした円筒状の上側部分20aと上側部分20aよりも僅かに大径の円筒状となって上側部分20aの下端に同軸且つ一体に連なる下側部分20bとを有し、上側部分20aは装着キャップ10から上方に向けて突出している。また、上側部分20aと下側部分20bとの境界部分の外側には、フランジ状部分20cを介して下側部分20bよりも大径の円筒状の案内筒部21が同軸且つ一体に設けられている。ステム20は、案内筒部21が支持筒部10dの内周面に回り止めされた状態で案内されることで、支持筒部10dに沿って上下方向に移動自在となっている。
【0018】
図2に示すように、ステム20は、その内部に筒状接続部22を備えている。筒状接続部22は、軸心に流出孔23を備えた略円筒状となっており、ステム20の上側部分20aと下側部分20bとの境界部分の内側にテーパー形状の連接部分20dを介して同軸且つ一体に設けられている。
【0019】
図1に示すように、ステム20の上端にはヘッド部30が取り付けられている。ヘッド部30は、ステム20の内部流路に連通するノズル31を備えている。ノズル31はステム20からステム20の軸線Oに対して略直交する方向に向けて延びており、その先端は吐出口32となっている。なお、ノズル31は、ステム20の軸線Oに対して略直交する方向に向けて延びるものに限らず、例えば、ヘッド部30の天面に吐出口32が上方に向けて開口するように設けられて内容物を上方に向けて吐出する形状のものなど、その形状は種々変更可能である。ヘッド部30はステム20に対して上下方向について固定されている。これにより、ヘッド部30を下方に向けて押下げ操作すると、ヘッド部30とともにステム20が下方に向けて押し下げられる。
【0020】
ステム20の下端には筒体40が取り付けられている。図2に示すように、筒体40はステム20の下側部分20bよりも小径且つ筒状接続部22よりも大径の円筒状となっており、その上端側部分が筒状接続部22に外側から嵌合してステム20に固定されている。本実施形態では、筒体40はステム20の下側部分20bにも内側から嵌合して、下側部分20bと筒状接続部22との間の溝状部分に嵌合固定されている。
【0021】
筒体40は、その内部に隔壁41を一体に有している。隔壁41の中央には隔壁41を上下方向に貫通する液体流入孔42が設けられている。
【0022】
筒体40の内部には、筒状接続部22と隔壁41とに区画形成された混合室43が設けられている。混合室43は、筒状接続部22に設けられた流出孔23を介してステム20に連通するとともに、隔壁41に設けられた液体流入孔42を介して後述する液体用ポンプ50に連通している。
【0023】
フォーマーディスペンサー1は、液体用ポンプ50と空気用ポンプ60とを有している。
【0024】
液体用ポンプ50は装着キャップ10に支持されて容器本体2の内部に配置されており、ヘッド部30が押し下げ操作されると、ヘッド部30とともに下方に移動するステム20により駆動されて作動し、容器本体2の内部の液体を液体流入孔42から混合室43の内部に向けて圧送する。なお、本実施形態では、液体用ポンプ50は、後述するように、これを構成する小径シリンダ51aが装着キャップ10に支持されるシリンダ部材51に一体に設けられることで、大径シリンダ51bを介して装着キャップ10に間接的に支持された構成となっているが、液体用ポンプ50を直接装着キャップ10に支持させる構成としてもよい。
【0025】
空気用ポンプ60は装着キャップ10に支持されて容器本体2の内部に配置されており、ヘッド部30が押し下げ操作されると、ヘッド部30とともに下方に移動するステム20により駆動されて作動し、外部から取り込んだ空気を、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間に設けられた空気流路70から混合室43に向けて圧送する。
【0026】
ステム20及びノズル31の少なくとも何れか一方には、発泡部材(メッシュリング)80が配置される。本実施形態では、ステム20の上側部分20aの上端及び下端に、それぞれ発泡部材80が配置されている。発泡部材80としては、例えば、リング状となる本体部の一端部にメッシュが取り付けられた構成のものを用いることができる。
【0027】
したがって、ヘッド部30が押し下げ操作されると、液体用ポンプ50と空気用ポンプ60とが作動して混合室43に液体と空気が流入する。そして、混合室43で空気と混合された液体は、流出孔23からステム20の内部流路に圧送され、2つの発泡部材80により発泡されてノズル31の吐出口32から外部に泡状となって吐出される。
【0028】
本実施形態では、液体用ポンプ50及び空気用ポンプ60として、以下の構成を有するものを用いるようにしている。なお、液体用ポンプ50及び空気用ポンプ60は、装着キャップ10に支持され、ヘッド部30の押し下げ操作によりステム20に駆動されて作動するものであれば、以下の構成に限らず、種々の構成のものを用いることができる。
【0029】
容器本体2の内部には、容器本体2の口部2aとの間に挟持されることで装着キャップ10に支持されたシリンダ部材51が配置されている。シリンダ部材51は、小径シリンダ51aと、小径シリンダ51aの上部に一体に連なる小径シリンダ51aより大径の大径シリンダ51bとが同軸に直列状に配置された構成を有している。
【0030】
小径シリンダ51aは液体用ポンプ50を構成するものである。詳細は図示しないが、小径シリンダ51aの底部には、容器本体2の内部の液体を小径シリンダ51aの内部に吸引するための吸引口が設けられ、吸引口には容器本体2の底部にまで延びる吸引パイプが接続されている。また、小径シリンダ51aの内部には、小径シリンダ51aの内周面に当接するとともに軸線Oに沿って摺動可能に液体用シール体52が配置されている。筒状の形態を有する液体用シール体52は筒体40の下端に係止されており、筒体40とともに液体用ポンプ50のピストンを構成している。
【0031】
液体用シール体52と小径シリンダ51aの底壁(不図示)との間には、液体用シール体52を上方に向けて付勢するバネ部材53が配置されている。
【0032】
液体用シール体52の内側にはポペット54が配置されている。詳細は図示しないが、ポペット54の下端には吸引口の開閉を行う弁部が設けられ、上端には液体用シール体52の内側の内部通路の出口を開閉する弁部54aが設けられている。
【0033】
ヘッド部30が押し下げ操作され、ヘッド部30とともにステム20が下方に移動すると、筒体40と液体用シール体52が一体的に下方に移動して、小径シリンダ51aの内部の液体が加圧される。小径シリンダ51aの内部の液体が加圧されると、ポペット54が液体用シール体52に対して相対的に上方に移動して弁部54aが開かれ、小径シリンダ51aの内部の液体が筒体40の内部を通って液体流路である液体流入孔42に圧送され、混合室43に流入する。ヘッド部30の押下げ操作が解除されると、バネ部材53の弾性力により液体用シール体52、筒体40、ステム20及びヘッド部30は元の位置にまで上昇し、その際、ポペット54の下端の弁部により吸引口が開かれて小径シリンダ51aの内部に次の吐出のための液体が充填される。
【0034】
大径シリンダ51bは空気用ポンプ60を構成するものである。空気用ポンプ60は大径シリンダ51bにおいて装着キャップ10に支持されて容器本体2の内部に配置されている。ステム20の下側部分20bの内周面と筒体40の外周面との間には、空気の導入流路61が設けられている。本実施形態では、図3に示すように、4本の導入流路61がステム20の軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられている。図2に示すように、導入流路61は、筒体40の上端と連接部分20dとの間の円環状の空間を介して空気流路70に連通している。
【0035】
図3に示すように、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間には、3本の空気流路70が、軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられている。本実施形態では、これらの空気流路70は、筒状接続部22の外周面に軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けられた溝で構成されている。それぞれの空気流路70を構成する溝は、何れも断面が略矩形状であり、その断面積ないし断面形状は互いに同一である。なお、空気流路70は、筒体40の内周面に軸線Oを中心とした周方向に等間隔に並べて設けた溝で構成するようにしてもよい。
【0036】
図1に示すように、大径シリンダ51bの内部には、大径シリンダ51bの内周面に当接するとともに軸線Oに沿って摺動可能に空気用シール体62が配置されている。円環状の形態を有する空気用シール体62は、ステム20の案内筒部21の下端に係止されており、案内筒部21、フランジ状部分20c及び下側部分20bとともに空気用ポンプ60のピストンを構成している。
【0037】
空気用シール体62の内側には筒体40を取り囲む筒状ガイド63が設けられている。筒体40の外周面と筒状ガイド63の内周面との相互間には上下方向に延びるスリット状の隙間が形成されており、当該隙間は大径シリンダ51bの内部の空気を混合室43に向けて流す空気の導入流路64を構成している。筒状ガイド63は、その下端において筒体40に設けられたフランジ44に当接しており、筒体40に対して相対的に僅かに上下方向にスライド可能となっている。筒状ガイド63が筒体40に対して相対的に上方にスライドすると、筒状ガイド63の下端がフランジ44から離間して導入流路64が開かれる。反対に、筒状ガイド63が筒体40に対して相対的に下方にスライドして筒状ガイド63の下端がフランジ44に当接すると導入流路64が閉じられる。
【0038】
ヘッド部30が押し下げ操作され、ヘッド部30とともにステム20が下方に移動すると、案内筒部21に押されて空気用シール体62が下方に移動して、大径シリンダ51bの内部の空気が加圧されるとともに、筒状ガイド63が筒体40に対して相対的に上方にスライドして導入流路64が開かれる。これにより、大径シリンダ51bの内部の加圧された空気が、導入流路64、4本の導入流路61及び3本の空気流路70を通って混合室43に圧送されて混合室43に流入する。
【0039】
このように、上記構成の液体用ポンプ50及び空気用ポンプ60によれば、ヘッド部30を下方に向けて押下げ操作することで、ステム20により駆動して液体用ポンプ50及び空気用ポンプ60を作動させ、混合室43に液体と空気とを流入させ、これらを混合室43の内部で混合させることができる。
【0040】
図2に示すように、混合室43の内部にはボール弁Bが配置されている。ボール弁Bは、隔壁41の上面に設けられた弁座41aと筒状接続部22の下端に設けられた弁押さえ22aとの間に配置されている。ボール弁Bは、弁座41aに接触することで液体流入孔42を閉塞する。また、ボール弁Bは、液体用ポンプ50から混合室43に液体が圧送されると、その圧力により押されて弁座41aから離れ、液体流入孔42を開放する。
【0041】
本実施形態のフォーマーディスペンサー1は、上記の通り、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間に、軸線Oを中心として周方向に等間隔に並べて3本の空気流路70が設けられた構成とされている。
【0042】
また、本実施形態のフォーマーディスペンサー1は、液体用ポンプ50と混合室43との間の液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積が、2.0mm以上、14.5mm以下となる構成とされている。
【0043】
さらに、本実施形態のフォーマーディスペンサー1では、3本の空気流路70の断面積の合計と液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積との比が、1.0:1.4~1.0:2.8となる構成とされている。すなわち、液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積を、3本の空気流路70の断面積の合計の1.4倍から2.8倍の範囲に設定するようにしている。なお、本実施形態では、3本の空気流路70は、それぞれ一定の断面積で上下方向に延びた構成とされているが、上下方向で断面積が変化する構成とすることもでき、この場合、3本の空気流路70の断面積の合計は、それぞれの空気流路70の最小部分における断面積の合計とする。
【0044】
本実施形態のフォーマーディスペンサー1は、このような構成を有することで、ヘッド部30が高速(例えば70mm/s)で押し下げ操作されても、ノズル31から大きな気泡を含まない均一な泡を吐出することができる。
【0045】
ここで、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間に設ける空気流路70の本数を2本以下とすると、空気流路70から混合室43への空気の導入バランスが悪く、混合室43の内部において液体と空気とを均一に混合することができず、ノズル31から吐出される泡が部分的に大きな気泡を含んだ不均一なものとなってしまう、という問題が生じることになる。一方、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間に設ける空気流路70の本数を4本以上とすると、合計の断面積が同じである場合、それぞれの空気流路70の断面形状における外郭の全周の長さ(周長)の合計が3本の場合に比べて長くなるため、空気流路70を通過する際の空気の抵抗が大きくなって空気の流速が落ち、液の流速に対する空気の遅れにより大きな気泡を生じやすくなる、という問題が生じることになる。
【0046】
また、液体用ポンプ50と混合室43との間の液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積を2.0mm未満とすると、ヘッド部30の押し下げ操作をする際に必要な押下げ荷重が大きくなって、その操作がさらにし難くなる、という問題が生じることになる。一方、液体用ポンプ50と混合室43との間の液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積を14.5mmより大きくすると、小径シリンダ51aの外径を大きくする必要が生じるため、フォーマーディスペンサー1が大型化し、フォーマーディスペンサー1が装着される容器本体2の設計の制約が厳しくなるなどの問題が生じることになる。
【0047】
これに対し、本実施形態のフォーマーディスペンサー1はで、上記の通り、筒状接続部22の外周面と筒体40の内周面との間に、軸線Oを中心として周方向に等間隔に並べて3本の空気流路70を設け、液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積を2.0mm以上、14.5mm以下とし、3本の空気流路70の断面積の合計と液体流路の最小部分である液体流入孔42の断面積との比を1.0:1.4~1.0:2.8とするようにしたので、フォーマーディスペンサー1を小型化し、ヘッド部30の押下げ操作を容易に行い得るようにしつつノズル31から均一な泡を吐出させることができる。
【0048】
本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0049】
例えば、前記実施形態では、それぞれの空気流路70の断面形状を略矩形としているが、その形状は種々変更可能である。
【符号の説明】
【0050】
1 フォーマーディスペンサー
2 容器本体
2a 口部
2b 雄ねじ
10 装着キャップ
10a 天壁
10b 装着筒壁
10c 雌ねじ
10d 支持筒部
20 ステム
20a 上側部分
20b 下側部分
20c フランジ状部分
20d 連接部分
21 案内筒部
22 筒状接続部
22a 弁押さえ
23 流出孔
30 ヘッド部
31 ノズル
32 吐出口
40 筒体
41 隔壁
41a 弁座
42 液体流入孔
43 混合室
44 フランジ
50 液体用ポンプ
51 シリンダ部材
51a 小径シリンダ
51b 大径シリンダ
52 液体用シール体
53 バネ部材
54 ポペット
54a 弁部
60 空気用ポンプ
61 導入流路
62 空気用シール体
63 筒状ガイド
64 導入流路
70 空気流路
80 発泡部材
O 軸線
B ボール弁
図1
図2
図3