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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179924
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両用給電システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241219BHJP
   H01F 38/14 20060101ALI20241219BHJP
   H02J 50/10 20160101ALI20241219BHJP
   B60L 53/34 20190101ALI20241219BHJP
   B60M 7/00 20060101ALI20241219BHJP
   B60L 5/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02J7/00 301
H01F38/14
H02J50/10
H02J7/00 P
H02J7/00 301D
B60L53/34
B60M7/00 X
B60L5/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099261
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】芝野 大軌
【テーマコード(参考)】
5G503
5H105
5H125
【Fターム(参考)】
5G503BA01
5G503BB02
5G503BB03
5G503FA01
5G503FA06
5G503GB08
5H105AA20
5H105BA09
5H105BB05
5H105CC07
5H105CC19
5H105DD10
5H105EE14
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC25
5H125CD06
5H125FF15
5H125FF21
(57)【要約】
【課題】第1コイルユニット及び第2コイルユニットの冷却性能を確保しつつ、コネクタの小型化及び軽量化を図り易い車両用給電システムを提供する。
【解決手段】第1支持体4は、基部41と、当該基部41から対向方向第2側F2に突出した凸部42とを備え、第1保持部材33は、基部41から対向方向第2側F2に突出した第1突出部30を備え、第2支持体6は、対向方向第2側F2に窪んだ凹部61を備え、第2保持部材53は、凹部内壁面61aに囲まれた第2突出部50を備え、凸部42は、第1突出部30を囲む凸部内壁面42aを備え、凸部内壁面42aは、コネクタ結合状態で、第2突出部50を囲むと共に、突出部30,50と熱伝導可能な位置に配置され、凸部42は、コイル31,51を保持する保持部材33,53よりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されていると共に、基部41を介して放熱可能に構成されている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに結合及び分離可能に構成された第1コネクタ及び第2コネクタを備えた車両用給電システムであって、
前記第1コネクタは、第1コイルユニットと、前記第1コイルユニットを支持する第1支持体と、を備え、
前記第1コイルユニットは、地上側に設置された電源及び車両に搭載された蓄電装置のいずれか一方に電気的に接続された第1コイルと、前記第1コイルを保持する第1保持部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2コイルユニットと、前記第2コイルユニットを支持する第2支持体と、を備え、
前記第2コイルユニットは、前記電源及び前記蓄電装置のいずれか他方に電気的に接続された第2コイルと、前記第2コイルを保持する第2保持部材と、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが結合したコネクタ結合状態で、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとが磁気的に結合してトランスを構成し、
前記コネクタ結合状態で前記第1コネクタと前記第2コネクタとが対向する方向を対向方向とし、前記対向方向における前記第2コネクタに対して前記第1コネクタが配置される側を対向方向第1側とし、その反対側を対向方向第2側として、
前記第1支持体は、基部と、前記基部から前記対向方向第2側に突出した凸部と、を備え、
前記第1保持部材は、前記基部から前記対向方向第2側に突出するように配置された第1突出部を備え、
前記第2支持体は、前記対向方向第2側に窪んだ凹部を備え、
前記第2保持部材は、前記凹部の内壁面である凹部内壁面に囲まれた第2突出部を備え、
前記凸部は、前記第1突出部を囲むように形成された凸部内壁面を備え、
前記凸部内壁面は、前記コネクタ結合状態で、前記第2突出部を囲むように形成されていると共に、前記第1突出部及び前記第2突出部の双方と熱伝導可能な位置に配置され、
前記凸部は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されていると共に、前記基部を介して放熱可能に構成されている、車両用給電システム。
【請求項2】
前記凸部内壁面は、
前記第1突出部の外周面である第1外周面に対向する第1内壁面と、
前記コネクタ結合状態で、前記第2突出部の外周面である第2外周面に対向する第2内壁面と、を含み、
前記第1内壁面は、前記第1外周面に接するように形成され、
前記第2内壁面は、前記コネクタ結合状態で前記第2外周面に接する接触面と、前記凸部内壁面の前記対向方向第2側の端部を含む面であって、前記コネクタ結合状態で前記対向方向第2側へ向かうに従って前記第2外周面から離れるように傾斜した傾斜面と、を含む、請求項1に記載の車両用給電システム。
【請求項3】
前記凸部内壁面は、
前記第1突出部の外周面である第1外周面に対向する第1内壁面と、
前記コネクタ結合状態で、前記第2突出部の外周面である第2外周面に対向する第2内壁面と、を含み、
前記第1内壁面は、当該第1内壁面の少なくとも一部で前記第1外周面に接するように形成され、
前記第2内壁面は、前記コネクタ結合状態で、前記対向方向第2側へ向かうに従って前記第2外周面から離れるように傾斜すると共に、前記第2外周面に対して隙間を空けて対向するように形成されている、請求項1に記載の車両用給電システム。
【請求項4】
前記第1コイルが前記蓄電装置に電気的に接続されており、
前記基部は、前記車両が備える冷媒路を流れる冷媒との間で熱交換可能に構成されている、請求項1から3のいずれか一項に記載の車両用給電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載された蓄電装置に電力を供給する車両用給電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
このような車両用給電システムの一例が、下記の特許文献1に開示されている。以下、背景技術の説明では、特許文献1における符号を括弧内に引用する。
【0003】
特許文献1には、互いに結合及び分離可能に構成された第1コネクタ(30)及び第2コネクタ(10)を備えた車両用給電システムが開示されている。第1コネクタ(30)は、地上側に設置された電源(45)に電気的に接続された第1コイル(31)を有する第1コイルユニットを備えている。第2コネクタ(10)は、車両に搭載された蓄電装置(19)に電気的に接続された第2コイル(14)を有する第2コイルユニットを備えている。
【0004】
上記の車両用給電システムでは、第1コネクタ(30)と第2コネクタ(10)とが結合した状態で、電源(45)からの電力が第1コイル(31)に供給されることにより、第1コイル(31)から第2コイル(14)に非接触で電力が伝送される。こうして、車両に搭載された蓄電装置(19)が充電される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平9-102329号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記の車両用給電システムでは、第1コイル(31)から第2コイル(14)への電力の伝送中、第1コイルユニット及び第2コイルユニットが発熱する。そのため、第1コネクタ(30)及び第2コネクタ(10)のそれぞれに、第1コイルユニット及び第2コイルユニットを冷却するための冷却機器を設置することが考えらえる。
【0007】
しかしながら、第1コネクタ(30)及び第2コネクタ(10)のそれぞれに冷却機器を設置した場合、当該冷却機器の設置に起因してコネクタの小型化及び軽量化が妨げられる可能性がある。この点で、特許文献1の車両用給電システムには改善の余地があった。
【0008】
そこで、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの冷却性能を確保しつつ、コネクタの小型化及び軽量化を図り易い車両用給電システムの実現が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記に鑑みた、車両用給電システムの特徴構成は、
互いに結合及び分離可能に構成された第1コネクタ及び第2コネクタを備えた車両用給電システムであって、
前記第1コネクタは、第1コイルユニットと、前記第1コイルユニットを支持する第1支持体と、を備え、
前記第1コイルユニットは、地上側に設置された電源及び車両に搭載された蓄電装置のいずれか一方に電気的に接続された第1コイルと、前記第1コイルを保持する第1保持部材と、を備え、
前記第2コネクタは、第2コイルユニットと、前記第2コイルユニットを支持する第2支持体と、を備え、
前記第2コイルユニットは、前記電源及び前記蓄電装置のいずれか他方に電気的に接続された第2コイルと、前記第2コイルを保持する第2保持部材と、を備え、
前記第1コネクタと前記第2コネクタとが結合したコネクタ結合状態で、前記第1コイルユニットと前記第2コイルユニットとが磁気的に結合してトランスを構成し、
前記コネクタ結合状態で前記第1コネクタと前記第2コネクタとが対向する方向を対向方向とし、前記対向方向における前記第2コネクタに対して前記第1コネクタが配置される側を対向方向第1側とし、その反対側を対向方向第2側として、
前記第1支持体は、基部と、前記基部から前記対向方向第2側に突出した凸部と、を備え、
前記第1保持部材は、前記基部から前記対向方向第2側に突出するように配置された第1突出部を備え、
前記第2支持体は、前記対向方向第2側に窪んだ凹部を備え、
前記第2保持部材は、前記凹部の内壁面である凹部内壁面に囲まれた第2突出部を備え、
前記凸部は、前記第1突出部を囲むように形成された凸部内壁面を備え、
前記凸部内壁面は、前記コネクタ結合状態で、前記第2突出部を囲むように形成されていると共に、前記第1突出部及び前記第2突出部の双方と熱伝導可能な位置に配置され、
前記凸部は、前記第1保持部材及び前記第2保持部材のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されていると共に、前記基部を介して放熱可能に構成されている点にある。
【0010】
この特徴構成によれば、第1コイルと第2コイルとの間での電力の伝送中に発生した第1コイルユニット及び第2コイルユニットの熱を、第1突出部及び第2突出部の双方と熱伝導可能な凸部内壁面から凸部に伝達し、凸部から基部を介して放熱することができる。特に、凸部は、第1保持部材及び第2保持部材のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されているため、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの熱を凸部に効率的に伝達することができる。これにより、例えば、第1コネクタ及び第2コネクタのそれぞれに冷却機器を設置することなく、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの双方を適切に冷却することができる。したがって、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの冷却性能を確保しつつ、コネクタの小型化及び軽量化を図り易い。
また、本特徴構成によれば、コネクタ結合状態で、第1支持体の凸部内壁面が、第1コイルユニットの第1突出部及び第2コイルユニットの第2突出部の双方を囲むように形成されている。これにより、第1コイルと第2コイルとの間での電力の伝送中に、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの周辺に水や異物が侵入して、電力の伝送効率が低下することを回避できる。また、第1コイルと第2コイルとの間での電力の伝送中に、第1コイルユニット及び第2コイルユニットの周辺に人体やその他の生物が侵入して、それらが電磁気的な影響を受ける可能性を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1の実施形態に係る車両用給電システムの一例を示す図
図2】第1の実施形態に係る車両用給電システムが備える第1コネクタ及び第2コネクタが互いに分離した状態を示す断面図
図3】第1の実施形態に係る車両用給電システムが備える第1コネクタ及び第2コネクタが互いに結合した状態を示す断面図
図4】第2の実施形態に係る車両用給電システムが備える第1コネクタ及び第2コネクタが互いに結合した状態を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0012】
1.第1の実施形態
以下では、第1の実施形態に係る車両用給電システム100について、図1から図3を参照して説明する。
【0013】
図1に示すように、車両用給電システム100は、車両Vに搭載された蓄電装置Bに電力を供給するシステムである。車両Vは、電気自動車等の電動車両とされ、蓄電装置Bの電力を用いて走行する。詳細は省略するが、車両Vには、蓄電装置Bから電力の供給を受けて動作する回転電機(電動モータ)が、車輪の駆動力源として搭載されている。蓄電装置Bは、外部から再充電可能な電源(具体的には、直流電源)であり、例えば、リチウムイオン電池やニッケル水素電池等のバッテリや、キャパシタ等を、蓄電装置Bとして用いることができる。
【0014】
車両用給電システム100は、互いに結合及び分離可能に構成された第1コネクタ1及び第2コネクタ2を備えている。図1に示す例では、蓄電装置Bを充電するための充電ステーションに、車両Vが停車している。本例では、車両Vの側面に、第1コネクタ1が設けられている。そして、充電ステーションに、第2コネクタ2を移動させるアームAが設けられており、アームAの駆動によって第2コネクタ2が第1コネクタ1に対して結合又は分離する。なお、第1コネクタ1は、車両Vの側面以外の場所に設けられてもよい。例えば、第1コネクタ1が車両Vの底面に設けられ、第2コネクタ2が地表に設けられる構成とすることができる。
【0015】
図2に示すように、第1コネクタ1は、第1コイルユニット3と、第1支持体4と、を備えている。第1コイルユニット3は、第1コイル31と、第1保持部材33と、を備えている。本実施形態では、第1コイルユニット3は、第1コイル31が巻回される磁性部材である第1コア32を更に備えている。第1支持体4は、第1コイルユニット3を支持するように構成されている。
【0016】
第1コイル31は、地上側に設置された電源P及び車両Vに搭載された蓄電装置Bのいずれか一方に電気的に接続されている。本実施形態では、第1コイル31は、蓄電装置Bに電気的に接続されている。
【0017】
第1保持部材33は、第1コイル31を保持する部材である。本実施形態では、第1保持部材33は、第1コイル31に加えて、第1コア32も保持するように構成されている。第1保持部材33として、例えば、第1コイル31及び第1コア32を覆うモールド樹脂等の封止材や、第1コイル31及び第1コア32を収容する樹脂製又は金属製のケース等を用いることが可能である。
【0018】
第2コネクタ2は、第2コイルユニット5と、第2支持体6と、を備えている。第2コイルユニット5は、第2コイル51と、第2保持部材53と、を備えている。本実施形態では、第2コイルユニット5は、第2コイル51が巻回される磁性部材である第2コア52を更に備えている。第2支持体6は、第2コイルユニット5を支持するように構成されている。
【0019】
第2コイル51は、電源P及び蓄電装置Bのいずれか他方に電気的に接続されている。本実施形態では、第2コイル51は、電源Pに電気的に接続されている。なお、図1に示す例では、電源Pは、上記の充電ステーションに設けられている。電源Pの電力は、電力会社の電力系統(商用電力系統)から供給される電力であっても良いし、車両Vの外部に設けられた蓄電装置や発電機(例えば、太陽光発電機)から供給される電力であっても良い。
【0020】
第2保持部材53は、第2コイル51を保持する部材である。本実施形態では、第2保持部材53は、第2コイル51に加えて、第2コア52も保持するように構成されている。第2保持部材53として、例えば、第2コイル51及び第2コア52を覆うモールド樹脂等の封止材や、第2コイル51及び第2コア52を収容する樹脂製又は金属製のケース等を用いることが可能である。
【0021】
車両用給電システム100では、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが結合したコネクタ結合状態(図3参照)で、第1コイルユニット3と第2コイルユニット5とが磁気的に結合して、トランスを構成する。そのため、コネクタ結合状態で電源Pからの電力が第2コイル51に供給されることにより、第2コイル51から第1コイル31に非接触で電力が伝送され、蓄電装置Bが充電される。なお、非接触による電力の伝送方式として、例えば、電磁誘導方式、磁界共鳴方式等を採用可能である。ここで、第1コネクタ1と第2コネクタ2との「結合」は、第1コイル31と第2コイル51とが磁気的或いは電磁的に結合することを意味し、機械的には連結されていても連結されていなくても良い。また、第1コネクタ1と第2コネクタ2とは、コネクタ結合状態で、互いに接触していても離間していてもよい。なお、図3における白塗り矢印は、第2コイル51から第1コイル31への電力の伝送を表している。
【0022】
以下の説明では、コネクタ結合状態で第1コネクタ1と第2コネクタ2とが対向する方向を「対向方向F」とする。そして、対向方向Fにおける第2コネクタ2に対して第1コネクタ1が配置される側を「対向方向第1側F1」とし、その反対側を「対向方向第2側F2」とする。
【0023】
図2に示すように、第1支持体4は、基部41と、凸部42と、を備えている。基部41は、第1コイルユニット3及び凸部42を支持するように構成されている。基部41は、対向方向第2側F2を向く第1対向面41aを備えている。本実施形態では、基部41は、車両Vに連結されている。凸部42は、基部41から対向方向第2側F2に突出するように形成されている。本実施形態では、基部41の第1対向面41aが、対向方向Fに対して直交する平面状に形成されている。そして、凸部42が、第1対向面41aから対向方向第2側F2に突出するように配置されている。
【0024】
第1保持部材33は、第1突出部30を備えている。第1突出部30は、基部41から対向方向第2側F2に突出するように配置されている。本実施形態では、第1保持部材33における、基部41の第1対向面41aから対向方向第2側F2に突出する部分が、第1突出部30に相当する。本実施形態では、第1突出部30は、対向方向Fに沿う軸心を有する円筒状の外周面としての第1外周面30aを備える円柱状に形成されている。
【0025】
第2支持体6は、対向方向第2側F2に窪んだ凹部61を備えている。凹部61は、凹部内壁面61aを備えている。凹部内壁面61aは、凹部61の内壁面である。凹部内壁面61aは、対向方向Fに沿う軸心を有する筒状に形成されている。本実施形態では、凹部内壁面61aは、対向方向第2側F2へ向かうに従って、後述する第2突出部50に近づくように傾斜している。本例では、凹部内壁面61aは、円錐台状に形成されている。
【0026】
本実施形態では、凹部61は、対向方向第1側F1を向く第2対向面61b及び第3対向面61cを更に備えている。本実施形態では、第2対向面61b及び第3対向面61cのそれぞれが、対向方向Fに対して直交する平面状に形成されている。そして、第2対向面61bが第3対向面61cよりも対向方向第2側F2に配置されている。また、凹部内壁面61aが、第2対向面61bと第3対向面61cとを接続するように形成されている。
【0027】
第2保持部材53は、第2突出部50を備えている。第2突出部50は、凹部内壁面61aに囲まれるように配置されている。本実施形態では、第2保持部材53における、凹部61の第2対向面61bから対向方向第1側F1に突出する部分が、第2突出部50に相当する。本実施形態では、第2突出部50は、対向方向Fに沿う軸心を有する円筒状の外周面としての第2外周面50aを備える円柱状に形成されている。
【0028】
第1支持体4の凸部42は、対向方向Fに沿う軸心を有する筒状に形成されている。なお、凸部42の対向方向第2側F2の端部は、対向方向Fに沿う対向方向視で連続的に形成されていても良いし、断続的に形成されていても良い。凸部42は、凸部内壁面42aと、凸部外壁面42bと、を備えている。
【0029】
凸部内壁面42aは、第1突出部30を囲むように形成されている。また、図3に示すように、凸部内壁面42aは、コネクタ結合状態で、第1突出部30に加えて第2突出部50も囲むように形成されている。更に、凸部内壁面42aは、コネクタ結合状態で、第1突出部30及び第2突出部50の双方と熱伝導可能な位置に配置されている。
【0030】
凸部外壁面42bは、第1コネクタ1と第2コネクタ2とが結合したコネクタ結合状態で、凹部内壁面61aに嵌合するように形成されている。なお、凸部外壁面42bと凹部内壁面61aとは、コネクタ結合状態で、互いに隙間を空けて配置されていても良いし、隙間なく配置されていても良い。本実施形態では、凸部外壁面42bは、対向方向第2側F2へ向かうに従って第1突出部30に近づくように傾斜している。本例では、凸部外壁面42bは、円錐台状に形成されている。
【0031】
上述したように、本実施形態では、凹部内壁面61aは、対向方向第2側F2へ向かうに従って第2突出部50に近づくように傾斜している。そして、凸部外壁面42bは、対向方向第2側F2へ向かうに従って第1突出部30に近づくように傾斜している。本実施形態では、凹部内壁面61aの傾斜角度と凸部外壁面42bの傾斜角度とが同等である。ここで、本願において「同等」とは、2つの値が互いに一致することに加えて、2つの値に誤差程度の差が存在することも含む概念である。
【0032】
この構成によれば、第1コネクタ1と第2コネクタ2との結合のための位置合わせの容易性を高めることができる。
【0033】
凸部42は、第1保持部材33及び第2保持部材53のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されている。そして、凸部42は、基部41を介して放熱可能に構成されている。なお、凸部42の全体が伝熱部材により構成されていても良いし、凸部42の一部(例えば、凸部内壁面42aを構成する部分)が伝熱部材により構成されていても良い。また、伝熱部材としては、例えば、熱伝導性樹脂、軟磁性金属等を用いることが可能である。
【0034】
以上のように、車両用給電システム100は、
互いに結合及び分離可能に構成された第1コネクタ1及び第2コネクタ2を備えた車両用給電システム100であって、
第1コネクタ1は、第1コイルユニット3と、当該第1コイルユニット3を支持する第1支持体4と、を備え、
第1コイルユニット3は、地上側に設置された電源P及び車両Vに搭載された蓄電装置Bのいずれか一方に電気的に接続された第1コイル31と、当該第1コイル31を保持する第1保持部材33と、を備え、
第2コネクタ2は、第2コイルユニット5と、当該第2コイルユニット5を支持する第2支持体6と、を備え、
第2コイルユニット5は、電源P及び蓄電装置Bのいずれか他方に電気的に接続された第2コイル51と、当該第2コイル51を保持する第2保持部材53と、を備え、
第1コネクタ1と第2コネクタ2とが結合したコネクタ結合状態で、第1コイルユニット3と第2コイルユニット5とが磁気的に結合してトランスを構成し、
コネクタ結合状態で第1コネクタ1と第2コネクタ2とが対向する方向を対向方向Fとし、対向方向Fにおける第2コネクタ2に対して第1コネクタ1が配置される側を対向方向第1側F1とし、その反対側を対向方向第2側F2として、
第1支持体4は、基部41と、当該基部41から対向方向第2側F2に突出した凸部42と、を備え、
第1保持部材33は、基部41から対向方向第2側F2に突出するように配置された第1突出部30を備え、
第2支持体6は、対向方向第2側F2に窪んだ凹部61を備え、
第2保持部材53は、凹部61の内壁面である凹部内壁面61aに囲まれた第2突出部50を備え、
凸部42は、第1突出部30を囲むように形成された凸部内壁面42aを備え、
凸部内壁面42aは、コネクタ結合状態で、第2突出部50を囲むように形成されていると共に、第1突出部30及び第2突出部50の双方と熱伝導可能な位置に配置され、
凸部42は、第1保持部材33及び第2保持部材53のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されていると共に、基部41を介して放熱可能に構成されている。
【0035】
この構成によれば、第1コイル31と第2コイル51との間での電力の伝送中に発生した第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の熱を、第1突出部30及び第2突出部50の双方と熱伝導可能な凸部内壁面42aから凸部42に伝達し、凸部42から基部41を介して放熱することができる。特に、凸部42は、第1保持部材33及び第2保持部材53のそれぞれよりも熱伝導率が高い伝熱部材を用いて構成されているため、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の熱を凸部42に効率的に伝達することができる。これにより、例えば、第1コネクタ1及び第2コネクタ2のそれぞれに冷却機器を設置することなく、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の双方を適切に冷却することができる。したがって、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の冷却性能を確保しつつ、コネクタの小型化及び軽量化を図り易い。
また、本構成によれば、コネクタ結合状態で、第1支持体4の凸部内壁面42aが、第1コイルユニット3の第1突出部30及び第2コイルユニット5の第2突出部50の双方を囲むように形成されている。これにより、第1コイル31と第2コイル51との間での電力の伝送中に、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の周辺に水や異物が侵入して、電力の伝送効率が低下することを回避できる。また、第1コイル31と第2コイル51との間での電力の伝送中に、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の周辺に人体やその他の生物が侵入して、それらが電磁気的な影響を受ける可能性を低減することができる。
【0036】
本実施形態では、凸部内壁面42aは、第1内壁面421aと、第2内壁面422aと、を含む。
【0037】
第1内壁面421aは、第1突出部30の第1外周面30aに対向するように配置されている。第1内壁面421aは、第1外周面30aに接するように形成されている。より詳細には、第1内壁面421aは、対向方向Fに直交する方向視で、第1外周面30aと重複するように配置されている。そして、第1内壁面421aの全域が、第1外周面30aに接するように形成されている。ここで、2つの要素の配置に関して、「特定方向視で重複する」とは、その視線方向に平行な仮想直線を当該仮想直線と直交する各方向に移動させた場合に、当該仮想直線が2つの要素の双方に交わる領域が少なくとも一部に存在することを指す。
【0038】
本実施形態では、第1内壁面421aは、基部41の第1対向面41aに対して垂直に配置されている。本例では、第1内壁面421aは、対向方向Fに沿う軸心を有する円筒状に形成されている。
【0039】
図3に示すように、第2内壁面422aは、コネクタ結合状態で、第2突出部50の第2外周面50aに対向するように配置されている。より詳細には、第2内壁面422aは、対向方向Fに直交する方向視で、第2外周面50aと重複するように配置されている。
【0040】
第2内壁面422aは、接触面423aと、傾斜面424aと、を含む。
【0041】
接触面423aは、コネクタ結合状態で、第2外周面50aに接するように形成されている。より詳細には、接触面423aの全域が、第2外周面50aに接するように形成されている。本実施形態では、接触面423aは、基部41の第1対向面41aに対して垂直に配置されている。本例では、接触面423aは、対向方向Fに沿う軸心を有する円筒状に形成されている。
【0042】
傾斜面424aは、凸部内壁面42aの対向方向第2側F2の端部を含む面である。そして、傾斜面424aは、コネクタ結合状態で、対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜している。つまり、凸部42は、当該凸部42の内周部における対向方向第2側F2の端部が面取りされた形状を有している。
【0043】
このように、本実施形態では、凸部内壁面42aは、
第1突出部30の外周面である第1外周面30aに対向する第1内壁面421aと、
コネクタ結合状態で、第2突出部50の外周面である第2外周面50aに対向する第2内壁面422aと、を含み、
第1内壁面421aは、第1外周面30aに接するように形成され、
第2内壁面422aは、コネクタ結合状態で第2外周面50aに接する接触面423aと、凸部内壁面42aの対向方向第2側F2の端部を含む面であって、コネクタ結合状態で対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜した傾斜面424aと、を含む。
【0044】
この構成によれば、凸部42の第1内壁面421aが、第1突出部30の第1外周面30aに接していると共に、凸部42の第2内壁面422aを成す接触面423aが、第2突出部50の第2外周面50aに接している。これにより、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の熱を効率的に凸部42に伝達することができる。
また、本構成によれば、凸部内壁面42aの対向方向第2側F2の端部を含む傾斜面424aが、コネクタ結合状態で対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜している。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ2との結合動作中に、凸部42と第2突出部50とが互いに干渉し難くすることができる。
【0045】
上述したように、本実施形態では、第1コイル31は、蓄電装置Bに電気的に接続されている。つまり、本実施形態では、第1コネクタ1が車両V側に設けられている。本実施形態では、第1コネクタ1における第1支持体4の基部41は、車両Vが備える冷媒路Rを流れる冷媒との間で熱交換可能に構成されている。なお、冷媒路Rを流れる冷媒は、例えば、車両Vに搭載された蓄電装置B等の冷却のための冷却水、車両Vの各部の冷却及び潤滑のための油、車両Vのエアコンディショナ用の冷媒等である。
【0046】
この構成によれば、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5の熱を、凸部42及び基部41を介して、車両V側の冷媒に伝達して放熱することができる。これにより、車両Vにおける既存の冷媒路Rを利用して、第1コイルユニット3及び第2コイルユニット5を効率的に冷却することができる。
【0047】
2.第2の実施形態
以下では、第2の実施形態に係る車両用給電システム100について、図4を参照して説明する。本実施形態では、凸部42の構成が、上記第1の実施形態のものとは異なっている。以下では、上記第1の実施形態との相違点を中心として説明する。なお、特に説明しない点については、上記第1の実施形態と同様とする。
【0048】
図4に示すように、本実施形態では、第1内壁面421aは、当該第1内壁面421aの少なくとも一部で第1外周面30aに接するように形成されている。図示の例では、第1内壁面421aは、当該第1内壁面421aの対向方向第1側F1の端部から、対向方向第2側F2へ向かうに従って、第1外周面30aから離れるように傾斜している。つまり、本例では、第1内壁面421aにおける対向方向第1側F1の端部が第1外周面30aに接しているが、それ以外の部分は第1外周面30aに接していない。
【0049】
また、本実施形態では、第2内壁面422aは、コネクタ結合状態で、第2外周面50aに対して隙間を空けて対向するように形成されている。そして、第2内壁面422aは、コネクタ結合状態で、対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜している。
【0050】
このように、本実施形態では、凸部内壁面42aは、
第1突出部30の外周面である第1外周面30aに対向する第1内壁面421aと、
コネクタ結合状態で、第2突出部50の外周面である第2外周面50aに対向する第2内壁面422aと、を含み、
第1内壁面421aは、当該第1内壁面421aの少なくとも一部で第1外周面30aに接するように形成され、
第2内壁面422aは、コネクタ結合状態で、対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜すると共に、第2外周面50aに対して隙間を空けて対向するように形成されている。
【0051】
この構成によれば、凸部42の第1内壁面421aの少なくとも一部が、第1突出部30の第1外周面30aに接している。これにより、第1コイルユニット3の熱を効率的に凸部42に伝達することができる。
また、本構成によれば、凸部42の第2内壁面422aが、コネクタ結合状態で、対向方向第2側F2へ向かうに従って第2外周面50aから離れるように傾斜すると共に、第2外周面50aに対して隙間を空けて対向するように形成されている。これにより、第1コネクタ1と第2コネクタ2との結合動作中に、凸部42と第2突出部50とが互いに干渉し難くすることができる。ここで、前述のように、凸部内壁面42aは、第1突出部30及び第2突出部50の双方と熱伝導可能な位置に配置されている。したがって、コネクタ結合状態で、凸部42の第2内壁面422aが第2外周面50aに対して隙間を空けて対向している構成であっても、第2コイルユニット5の熱を適切に凸部42に伝達することができる。
【0052】
3.その他の実施形態
(1)上記の実施形態では、第1コイル31が蓄電装置Bに電気的に接続され、第2コイル51が電源Pに電気的に接続された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1コイル31が電源Pに電気的に接続され、第2コイル51が蓄電装置Bに電気的に接続された構成としても良い。
【0053】
(2)上記の実施形態では、凸部外壁面42b及び凹部内壁面61aのそれぞれが、円錐台状に形成された構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、凸部外壁面42b及び凹部内壁面61aのそれぞれが、例えば、円筒状、角筒状、角錐台状等に形成されていても良い。
【0054】
(3)上記の実施形態では、第1内壁面421aが第1外周面30aに接すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに接する構成(上記第1の実施形態;図3参照)、及び、第1内壁面421aが第1外周面30aに接すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに対して隙間を空けて対向する構成(上記第2の実施形態;図4参照)を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1内壁面421aが第1外周面30aに対して隙間を空けて対向すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに対して隙間を空けて対向する構成としても良い。或いは、第1内壁面421aが第1外周面30aに対して隙間を空けて対向すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに接する構成としても良い。
【0055】
(4)上記第2の実施形態では、第1内壁面421aの一部の領域のみが第1外周面30aに接すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに対して隙間を空けて対向する構成を例として説明した。しかし、そのような構成に限定されることなく、第1内壁面421aの全域が第1外周面30aに接すると共に、第2内壁面422aが第2外周面50aに対して隙間を空けて対向する構成としても良い。
【0056】
(5)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用することも可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。したがって、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本開示に係る技術は、車両に搭載された蓄電装置に電力を供給する車両用給電システムに利用することができる。
【符号の説明】
【0058】
100:車両用給電システム、1:第1コネクタ、2:第2コネクタ、3:第1コイルユニット、30:第1突出部、30a:第1外周面、31:第1コイル、33:第1保持部材、4:第1支持体、41:基部、42:凸部、42a:凸部内壁面、421a:第1内壁面、422a:第2内壁面、423a:接触面、424a:傾斜面、5:第2コイルユニット、50:第2突出部、50a:第2外周面、51:第2コイル、53:第2保持部材、6:第2支持体、61:凹部、61a:凹部内壁面、B:蓄電装置、P:電源、V:車両、R:冷媒路、F:対向方向、F1:対向方向第1側、F2:対向方向第2側
図1
図2
図3
図4