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特開2024-179930せり制御装置、せり制御方法およびせり制御プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179930
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】せり制御装置、せり制御方法およびせり制御プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/08 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q30/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099269
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000237639
【氏名又は名称】富士通フロンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002918
【氏名又は名称】弁理士法人扶桑国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松尾 健太郎
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB73
5L049BB73
(57)【要約】
【課題】せりを効率的に実行することができる。
【解決手段】せり制御装置10は、過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された出品車両の価格よりも大きい重みを付けて出品車両の価格を集計することにより、出品車両を落札可能な最低価格を算出する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された前記出品車両の価格よりも大きい重みを付けて前記出品車両の価格を集計することにより、前記出品車両を落札可能な最低価格を算出する処理部、
を有するせり制御装置。
【請求項2】
前記処理部は、過去のせりにおける第1期間の前記出品車両の価格に対して、前記第1期間より前の第2期間の前記出品車両の価格よりも大きい重みを付けて集計する、
請求項1記載のせり制御装置。
【請求項3】
前記処理部は、過去のせりに出品された前記出品車両と同じ特徴を有する車両の価格を集計する、
請求項1記載のせり制御装置。
【請求項4】
コンピュータが、
過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された前記出品車両の価格よりも大きい重みを付けて前記出品車両の価格を集計することにより、前記出品車両を落札可能な最低価格を算出する、
せり制御方法。
【請求項5】
コンピュータに、
過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された前記出品車両の価格よりも大きい重みを付けて前記出品車両の価格を集計することにより、前記出品車両を落札可能な最低価格を算出する、
処理を実行させるせり制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、せり制御装置、せり制御方法およびせり制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
中古車は、せりやオークションによって取引されることがある。中古車のせりでは、出品された車両について応札があるたびに価格が上がっていき、応札がなくなると、最後の応札時の価格で当該車両は落札される。
【0003】
中古車のせりに関する技術としては、例えば、リアルタイムで中古車の価格を一意的に査定する中古車価格査定システムが提案されている。また、例えば、無駄な出費を抑えるとともにいつでも最新かつ適正な中古車輌や中古部品の値段を知ることができる商品の価格帯検出方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-79314号公報
【特許文献2】特開2003-115006号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
中古車のせりでは、出品された車両について応札があると価格が上がる。そして、出品店が設定した調整価格以上での応札があり、上がった価格での応札がない場合、当該車両は落札される。ここで、出品店が調整価格を入力する場合、せりを自動で実行できず効率的ではない。
【0006】
1つの側面では、本件は、せりを効率的に実行することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
1つの案では、処理部を有するせり制御装置が提供される。処理部は、過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された出品車両の価格よりも大きい重みを付けて出品車両の価格を集計することにより、出品車両を落札可能な最低価格を算出する。
【発明の効果】
【0008】
1態様によれば、せりを効率的に実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施の形態に係るせり制御装置の一例を示す図である。
図2】第2の実施の形態に係るせりシステムの一例を示す図である。
図3】せり制御サーバのハードウェアの一構成例を示す図である。
図4】せり制御サーバおよびDBサーバの機能例を示すブロック図である。
図5】出品情報の一例を示す図である。
図6】重み情報の一例を示す図である。
図7】出品情報への登録の一例を示す図である。
図8】調整価格の算出の一例を示す図である。
図9】せり制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。
図10】調整価格算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本実施の形態について図面を参照して説明する。なお各実施の形態は、矛盾のない範囲で複数の実施の形態を組み合わせて実施することができる。
〔第1の実施の形態〕
まず、第1の実施の形態について説明する。
【0011】
図1は、第1の実施の形態に係るせり制御装置の一例を示す図である。第1の実施の形態は、せり制御装置10が出品車両の落札最低価格を自動算出するものである。落札最低価格は、出品車両を落札可能な最低価格である。例えば、せりやオークションでは、落札最低価格である調整価格以上での応札があり、当該応札によって上がった価格に対する応札がない場合、出品車両が落札される。
【0012】
せり制御装置10は、中古車のせりやオークションにおいて出品される車両の落札最低価格を自動算出するコンピュータである。せり制御装置10は、例えば、中古車のせりの実行を制御するサーバコンピュータである。せり制御装置10は、処理部11を有する。処理部11は、せり制御装置10を制御し、所要の処理を実行可能である。処理部11は、例えば、せり制御装置10が有するプロセッサまたは演算回路である。
【0013】
処理部11は、過去のせりにおいて落札または流札された車両の価格を記録した出品情報1に基づいて、出品車両の落札最低価格を算出する。出品情報1は、過去のせりで出品された車両の特徴と、落札されたか流札されたかを示す結果と、落札価格または流札価格とを対応付けて記録したものである。車両の特徴としては、例えば、年式、メーカ名、車種、グレード、走行距離等がある。出品情報1は、せり制御装置10に記憶されていてもよいし、せり制御装置10に接続された他の装置に記憶されていてもよい。
【0014】
処理部11は、過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された出品車両の価格よりも大きい重みを付けて出品車両の価格を集計する。ここで、処理部11は、過去のせりに出品された出品車両と同じ特徴を有する車両の価格を集計する。そして、処理部11は、集計された車両の価格に基づいて落札最低価格を算出する。
【0015】
例えば、処理部11は、出品情報1から年式、メーカ名、車種、グレード、走行距離等の特徴が出品車両と一致する車両の情報を抽出する。なお、処理部11は、例えば、走行距離を一定間隔の区画に区切ったときに、走行距離が出品車両の走行距離と同じ区画に含まれる車両を出品車両と走行距離が一致すると判定する。処理部11は、抽出した車両の情報のうち、落札された車両の価格の平均(平均落札価格)と、流札された車両の価格の平均(平均流札価格)とを算出する。そして、処理部11は、平均落札価格に重みA、平均流札価格に重みB(A>B)を付けて足したものを重みの合計で割り、落札最低価格=(A×平均落札価格+B×平均流札価格)/(A+B)と算出する。
【0016】
第1の実施の形態によれば、処理部11は、過去のせりにおいて落札された出品車両の価格に対して、過去のせりにおいて流札された出品車両の価格よりも大きい重みを付けて出品車両の価格を集計することにより、出品車両を落札可能な最低価格を算出する。これにより、せり制御装置10は、出品車両の落札最低価格を自動で算出することができる。よって、せり制御装置10は、せりを効率的に実行することができる。
【0017】
また、処理部11は、過去のせりに出品された出品車両と同じ特徴を有する車両の価格を集計する。これにより、せり制御装置10は、同じ特徴の車両は同程度の価格で取引されることが多いため、落札最低価格を適切に算出することができる。
【0018】
なお、処理部11は、過去のせりにおける第1期間の出品車両の価格に対して、第1期間より前の第2期間の出品車両の価格よりも大きい重みを付けて集計してもよい。これにより、せり制御装置10は、同じ時期に取引された車両は同程度の価格で取引されることが多いため、落札最低価格を適切に算出することができる。
【0019】
〔第2の実施の形態〕
次に、第2の実施の形態について説明する。第2の実施の形態は、中古車のせりを自動で実行するものである。
【0020】
図2は、第2の実施の形態に係るせりシステムの一例を示す図である。第2の実施の形態のせりシステムは、例えば、中古車のせりが行われる会場に設置される。第2の実施の形態のせりシステムは、応札端末21a,21b,・・・、調整人端末22a,22b,・・・、せり制御サーバ100およびデータベース(DB)サーバ200を有する。応札端末21a,21b,・・・、調整人端末22a,22b,・・・、せり制御サーバ100およびDBサーバ200は、ネットワーク30に接続されている。ネットワーク30は、例えば、中古車のせりが行われる会場のLAN(Local Area Network)である。
【0021】
応札端末21a,21b,・・・は、せりにおいて中古車を購入する応札者が操作するコンピュータである。調整人端末22a,22b,・・・は、せりにおいて中古車を出品する調整人が操作するコンピュータである。せり制御サーバ100は、中古車のせりを制御するサーバコンピュータである。DBサーバ200は、過去のせりで出品された中古車の情報および今後のせりで出品される中古車の情報を記憶するサーバコンピュータである。
【0022】
中古車のせりでは、せり制御サーバ100は、DBサーバ200に記憶された情報を参照し、今回のせりで出品される出品車両を特定する。せり制御サーバ100は、DBサーバ200に記憶された過去のせりで出品された中古車の情報に基づいて、出品車両の調整価格を算出する。せり制御サーバ100は、調整人端末22a,22b,・・・からの指示に応じてせりを開始する。
【0023】
せりが開始すると、せり制御サーバ100は、応札端末21a,21b,・・・から出品車両に対する応札を受け付ける。せり制御サーバ100は、出品車両に対する応札を受け付けると、出品車両の価格を所定の額だけ上げ、再度出品車両に対する応札を受け付ける。せり制御サーバ100は、調整価格以上での応札があり、当該応札によって上がった価格に対する応札がない場合、出品車両が落札されたと判定する。また、せり制御サーバ100は、調整価格以上での応札がない場合、出品車両が流札されたと判定する。
【0024】
図3は、せり制御サーバのハードウェアの一構成例を示す図である。せり制御サーバ100は、プロセッサ101によって装置全体が制御されている。プロセッサ101には、バス109を介してメモリ102と複数の周辺機器が接続されている。プロセッサ101は、マルチプロセッサであってもよい。プロセッサ101は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、MPU(Micro Processing Unit)またはDSP(Digital Signal Processor)である。プロセッサ101がプログラムを実行することで実現する機能の少なくとも一部を、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、PLD(Programmable Logic Device)等の電子回路で実現してもよい。
【0025】
メモリ102は、せり制御サーバ100の主記憶装置として使用される。メモリ102には、プロセッサ101に実行させるOS(Operating System)のプログラムやアプリケーションプログラムの少なくとも一部が一時的に格納される。また、メモリ102には、プロセッサ101による処理に利用する各種データが格納される。メモリ102としては、例えば、RAM(Random Access Memory)等の揮発性の半導体記憶装置が使用される。
【0026】
バス109に接続されている周辺機器としては、ストレージ装置103、GPU(Graphics Processing Unit)104、入力インタフェース105、光学ドライブ装置106、機器接続インタフェース107およびネットワークインタフェース108がある。
【0027】
ストレージ装置103は、内蔵した記録媒体に対して、電気的または磁気的にデータの書き込みおよび読み出しを行う。ストレージ装置103は、コンピュータの補助記憶装置として使用される。ストレージ装置103には、OSのプログラム、アプリケーションプログラム、および各種データが格納される。なお、ストレージ装置103としては、例えば、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)を使用することができる。
【0028】
GPU104には、モニタ31が接続されている。GPU104は、プロセッサ101からの命令に従って、画像をモニタ31の画面に表示させる。モニタ31としては、有機ELを用いた表示装置や液晶表示装置等がある。
【0029】
入力インタフェース105には、キーボード32とマウス33とが接続されている。入力インタフェース105は、キーボード32やマウス33から送られてくる信号をプロセッサ101に送信する。なお、マウス33は、ポインティングデバイスの一例であり、他のポインティングデバイスを使用することもできる。他のポインティングデバイスとしては、タッチパネル、タブレット、タッチパッド、トラックボール等がある。
【0030】
光学ドライブ装置106は、レーザ光等を利用して、光ディスク34に記録されたデータの読み取りを行う。光ディスク34は、光の反射によって読み取り可能なようにデータが記録された可搬型の記録媒体である。光ディスク34には、DVD(Digital Versatile Disc)、DVD-RAM、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R(Recordable)/RW(ReWritable)等がある。
【0031】
機器接続インタフェース107は、せり制御サーバ100に周辺機器を接続するための通信インタフェースである。例えば機器接続インタフェース107には、メモリ装置35やメモリリーダライタ36を接続することができる。メモリ装置35は、機器接続インタフェース107との通信機能を搭載した記録媒体である。メモリリーダライタ36は、メモリカード37へのデータの書き込み、またはメモリカード37からのデータの読み出しを行う装置である。メモリカード37は、カード型の記録媒体である。
【0032】
ネットワークインタフェース108は、ネットワーク30に接続されている。ネットワークインタフェース108は、ネットワーク30を介して、他のコンピュータまたは通信機器との間でデータの送受信を行う。
【0033】
せり制御サーバ100は、以上のようなハードウェア構成によって、第2の実施の形態の処理機能を実現することができる。なお、応札端末21a,21b,・・・、調整人端末22a,22b,・・・、DBサーバ200および第1の実施の形態に示したせり制御装置10も、図3に示したせり制御サーバ100と同様のハードウェアにより実現することができる。また、プロセッサ101は、第1の実施の形態に示した処理部11の一例である。
【0034】
せり制御サーバ100は、例えばコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録されたプログラムを実行することにより、第2の実施の形態の処理機能を実現する。せり制御サーバ100に実行させる処理内容を記述したプログラムは、様々な記録媒体に記録しておくことができる。例えば、せり制御サーバ100に実行させるプログラムをストレージ装置103に格納しておくことができる。プロセッサ101は、ストレージ装置103内のプログラムの少なくとも一部をメモリ102にロードし、プログラムを実行する。またせり制御サーバ100に実行させるプログラムを、光ディスク34、メモリ装置35、メモリカード37等の可搬型記録媒体に記録しておくこともできる。可搬型記録媒体に格納されたプログラムは、例えばプロセッサ101からの制御により、ストレージ装置103にインストールされた後、実行可能となる。またプロセッサ101が、可搬型記録媒体から直接プログラムを読み出して実行することもできる。次に、せり制御サーバ100の機能について詳細に説明する。
【0035】
図4は、せり制御サーバおよびDBサーバの機能例を示すブロック図である。DBサーバ200は、記憶部220を有する。記憶部220は、DBサーバ200のメモリまたはストレージ装置の記憶領域を用いて実現される。記憶部220は、出品情報221を記憶する。出品情報221は、過去のせりで出品された中古車および今後のせりで出品される中古車の情報である。
【0036】
せり制御サーバ100は、記憶部120、せり制御部130および調整価格算出部140を有する。記憶部120は、メモリ102またはストレージ装置103の記憶領域を用いて実現される。せり制御部130および調整価格算出部140は、メモリ102に記憶されたプログラムをプロセッサ101が実行することで実現される。記憶部120は、重み情報121を記憶する。重み情報121は、調整価格算出時に落札価格の平均または流札価格の平均に付ける重みを示す情報である。
【0037】
せり制御部130は、せりが自動で実行されるよう制御する。せり制御部130は、DBサーバ200に記憶された出品情報221を参照し、今回のせりで出品される出品車両を特定する。せり制御部130は、調整人端末22a,22b,・・・のうち、出品車両の出品者の調整人端末の指示に応じてせりを開始する。
【0038】
せりが開始されると、せり制御部130は、応札端末21a,21b,・・・から応札を受け付ける。例えば、せり制御部130は、初回の応札受付では出品車両に設定されたスタート価格を出品情報221を参照して特定し、応札端末21a,21b,・・・に特定した価格を通知する。また、せり制御部130は、2回目以降の応札受付では応札端末21a,21b,・・・に前回通知した価格を所定の額だけ高くした価格を応札端末21a,21b,・・・に通知する。そして、せり制御部130は、応札端末21a,21b,・・・から通知した価格による応札を受け付ける。せり制御部130は、応札受付をせりが確定するまで繰り返す。
【0039】
せり制御部130は、調整価格算出部140が算出した出品車両の調整価格以上での応札を前回受け付け、今回の価格での応札を受け付けなかった場合、落札によってせりが確定したと判定する。また、せり制御部130は、調整価格以上での応札を以前に受け付けておらず、調整価格以上の価格を通知した今回の応札を受け付けなかった場合、流札によってせりが確定したと判定する。せりが確定すると、せり制御部130は、出品車両のせりの結果データを出品情報221に格納する。
【0040】
調整価格算出部140は、せり制御部130が出品車両のせりを開始する前に、出品車両の調整価格を自動算出する。調整価格算出部140は、出品情報221から特徴が出品車両と一致する、過去に出品された車両のデータを抽出する。調整価格算出部140は、抽出されたデータから、落札されたか流札されたかおよび出品時期のパターンごとに、落札または流札価格の平均価格を算出する。調整価格算出部140は、重み情報121に示されるパターンごとの重みを、算出した平均価格それぞれに付ける。ここで、調整価格算出部140は、落札された車両の平均価格に流札された車両の平均価格よりも大きい重みを付ける。また、調整価格算出部140は、出品時期が新しい車両の平均価格に出品時期が古い車両の価格よりも大きい重みを付けて集計する。調整価格算出部140は、重み付けした平均価格を合計し、重みの合計で割ることで調整価格を算出する。
【0041】
なお、図4に示した各要素間を接続する線は通信経路の一部を示すものであり、図示した通信経路以外の通信経路も設定可能である。次に、記憶部120および記憶部220に記憶される情報について詳細に説明する。
【0042】
図5は、出品情報の一例を示す図である。出品情報221は、過去のせりで出品された中古車および今後のせりで出品される中古車の情報である。出品情報221には、過去のせりで出品された中古車および今後のせりで出品される中古車それぞれに対応するレコードが登録される。出品情報221に登録される各レコードは、開催回、出品番号、年式、メーカ、車種、グレード、走行距離(千km)、スタート価格(千円)、希望価格(千円)、調整価格(千円)、結果、結果価格(千円)およびせり日の項目を有する。
【0043】
開催回の項目には、対応する車両が出品されるせりの開催回が設定される。出品番号の項目には、対応する車両のせりにおける出品番号が設定される。年式の項目には、対応する車両の年式が設定される。メーカの項目には、対応する車両のメーカが設定される。車種の項目には、対応する車両の車種が設定される。グレードの項目には、対応する車両のグレードが登録される。走行距離(千km)の項目には、対応する車両の走行距離を1000で割った値がkm単位で設定される。スタート価格(千円)の項目には、対応する車両のせりにおけるスタート価格を1000で割った値が設定される。希望価格(千円)の項目には、対応する車両の出品者が希望する価格を1000で割った値が設定される。
【0044】
調整価格(千円)の項目には、対応する車両の調整価格を1000で割った値が設定される。結果の項目には、対応する車両が落札されたか流札されたかを示す情報が設定される。結果価格(千円)の項目には、対応する車両の落札価格または流札価格を1000で割った値が設定される。せり日の項目には、対応する車両が出品されたせりの実施日が設定される。なお、今後のせりで出品される中古車に対応するレコードの調整価格(千円)、結果、結果価格(千円)およびせり日の項目は、空欄となる。
【0045】
図6は、重み情報の一例を示す図である。重み情報121は、調整価格算出時に落札価格の平均または流札価格の平均に付ける重みを示す情報である。重み情報121には、流札されたか落札されたかおよび出品された時期のパターンに応じた重みが登録される。
【0046】
重み情報121は、番号、結果、時期および重みの項目を有する。番号の項目には、パターンの番号が設定される。結果の項目には、落札されたか流札されたかを示す情報が設定される。時期の項目には、出品された時期が設定される。重みの項目には、重みの値が設定される。
【0047】
一例として、重み情報121は、パターン(1)として、1ヶ月以内に落札された車両の平均価格に付ける重みが4であることを示す。また、重み情報121は、パターン(2)として、1ヶ月以上前に落札された車両の平均価格に付ける重みが2であることを示す。また、重み情報121は、パターン(3)として、1ヶ月以内に流札された車両の平均価格に付ける重みが3であることを示す。また、重み情報121は、パターン(4)として、1ヶ月以上前に流札された車両の平均価格に付ける重みが1であることを示す。次に、出品情報221への登録について説明する。
【0048】
図7は、出品情報への登録の一例を示す図である。出品情報221の車両の特徴に関する項目はせり前に設定され、せりの結果に関する項目はせり後に設定される。開催回、出品番号、年式、メーカ、車種、グレード、走行距離(千km)、スタート価格(千円)、希望価格(千円)の項目は、例えば、対応する車両の出品が決定したときに設定される。また、結果、結果価格(千円)およびせり日の項目は、例えば、対応する車両がせりにおいて落札または流札されたときに設定される。
【0049】
調整価格(千円)の項目は、例えば、対応する車両がせりで出品されるときに調整価格算出部140によって自動算出された調整価格が設定される。調整価格算出部140は、過去のせりに出品された車両の価格に基づいて、調整価格を自動算出する。次に、調整価格の算出について説明する。
【0050】
図8は、調整価格の算出の一例を示す図である。調整価格算出部140は、出品情報221から、調整価格の算出対象の車両と特徴が一致する車両を、重み情報121に示されるパターンごとに抽出し、抽出した車両の価格に重みを付けて集計することで調整価格を算出する。抽出情報41は、出品情報221から抽出された車両の価格の具体例を示す。
【0051】
抽出情報41は、パターン(1)に該当する車両として、1300(千円)、1350(千円)、1250(千円)の車両が抽出されたことを示す。また、抽出情報41は、パターン(2)に該当する車両として、1400(千円)、1450(千円)、1350(千円)の車両が抽出されたことを示す。また、抽出情報41は、パターン(3)に該当する車両として、1200(千円)、1250(千円)、1150(千円)の車両が抽出されたことを示す。また、抽出情報41は、パターン(4)に該当する車両として、1300(千円)、1350(千円)、1250(千円)の車両が抽出されたことを示す。
【0052】
調整価格算出部140は、パターンごとに抽出された車両の平均価格を算出する。抽出情報41に示す例では、調整価格算出部140は、パターン(1)の平均価格A=(1300+1350+1250)/3=1300(千円)と算出する。また、調整価格算出部140は、パターン(2)の平均価格B=(1400+1450+1350)/3=1400(千円)と算出する。また、調整価格算出部140は、パターン(3)の平均価格C=(1200+1250+1150)/3=1200(千円)と算出する。また、調整価格算出部140は、パターン(4)の平均価格D=(1300+1350+1250)/3=1300(千円)と算出する。
【0053】
調整価格算出部140は、算出した平均価格それぞれに、重み情報121に示されるパターンに対応する重みを付けて合計し、重みの合計で割ったものを調整価格として算出する。抽出情報41に示す例では、調整価格算出部140は、平均価格Aにパターン(1)に対応する重みを付け、平均価格Bにパターン(2)に対応する重みを付ける。また、調整価格算出部140は、平均価格Cにパターン(3)に対応する重みを付け、平均価格Dにパターン(4)に対応する重みを付ける。そして、調整価格算出部140は、重みを付けた平均価格A,B,C,Dを合計したものを重みの合計で割り、調整価格を算出する。よって、調整価格算出部140は、調整価格=(1300×4+1400×2+1200×3+1300×1)/(4+2+3+1)=1290(千円)と算出する。
【0054】
このように、調整価格算出部140は、過去のせりに出品された車両の価格を、落札された車両の価格に流札された車両の価格よりも大きい重みを付けて集計して、調整価格を自動算出する。調整価格算出部140は、過去に落札された価格を基に調整価格を算出することで、出品車両が落札されやすくすることができる。また、流札価格は、過去に応札があった価格であるため、流札価格に近い調整価格に設定された車両は落札される可能性が高い。そこで、調整価格算出部140は、流札価格を落札価格に対して低い割合で加味した調整価格を算出することで、適切な調整価格を算出することができる。このようにして、調整価格算出部140は、調整価格を自動算出することで、せりを効率的に実行することができる。次に、せり制御サーバ100によるせり制御処理の手順について説明する。
【0055】
図9は、せり制御処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図9に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS11]せり制御部130は、DBサーバ200から出品情報221を呼び出す。
【0056】
[ステップS12]せり制御部130は、出品情報221を参照し、今回のせりで出品される車両を1つ選択する。
[ステップS13]調整価格算出部140は、ステップS12で選択した車両についての調整価格算出処理を実行する。調整価格算出処理の詳細については後述する(図10参照)。
【0057】
[ステップS14]せり制御部130は、調整人端末22a,22b,・・・のうち、ステップS12で選択した車両の出品者の調整人端末の指示に応じてせりを開始する。
[ステップS15]せり制御部130は、応札端末21a,21b,・・・から応札を受け付ける。例えば、せり制御部130は、初回の処理ではステップS12で選択した車両に設定されたスタート価格を出品情報221を参照して特定し、応札端末21a,21b,・・・に特定した価格を通知する。また、せり制御部130は、2回目以降の処理では応札端末21a,21b,・・・に前回通知した価格を所定の額だけ高くした価格を応札端末21a,21b,・・・に通知する。そして、せり制御部130は、応札端末21a,21b,・・・から通知した価格による応札を受け付ける。
【0058】
[ステップS16]せり制御部130は、せりが確定したか否かを判定する。例えば、せり制御部130は、ステップS13で算出された調整価格以上での応札を前回のステップS15で受け付け、今回のステップS15で応札を受け付けなかった場合、落札によってせりが確定したと判定する。また、せり制御部130は、調整価格以上での応札を以前のステップS15で受け付けておらず、調整価格以上の価格を通知した今回のステップS15で応札を受け付けなかった場合、流札によってせりが確定したと判定する。せり制御部130は、せりが確定したと判定した場合、処理をステップS17に進める。また、せり制御部130は、せりが確定していないと判定した場合、処理をステップS15に進める。
【0059】
[ステップS17]せり制御部130は、せりの結果データを出品情報221に格納する。例えば、せり制御部130は、落札によってせりが確定した場合、出品情報221のステップS12で選択した車両に対応するレコードに、落札したことを示す情報と、応札のあった最高価格(落札価格)と、せり日とを格納する。また、せり制御部130は、流札によってせりが確定した場合、出品情報221のステップS12で選択した車両に対応するレコードに、流札したことを示す情報と、応札のあった最高価格(流札価格)と、せり日とを格納する。
【0060】
[ステップS18]せり制御部130は、今回のせりで出品される車両を全て選択したか否かを判定する。せり制御部130は、車両を全て選択したと判定した場合、処理を終了する。また、せり制御部130は、車両を全て選択していないと判定した場合、処理をステップS12に進める。
【0061】
このようにして、せり制御サーバ100は、中古車のせりを制御する。なお、せり開始の指示は、調整人端末22a,22b,・・・から自動で実行されてもよい。また、せり制御サーバ100は、出品車両の調整価格を自動算出し、算出した調整価格に基づいて出品車両のせりを自動で進めることができる。これにより、せり制御サーバ100は、せり制御処理全体を自動化することができる。よって、せり制御サーバ100は、せりを効率的に実行することができる。
【0062】
図10は、調整価格算出処理の手順の一例を示すフローチャートである。以下、図10に示す処理をステップ番号に沿って説明する。
[ステップS21]調整価格算出部140は、出品情報221から年式、メーカ、車種、グレード、走行距離が調整価格算出対象の車両(出品車両)と一致する、過去に出品された車両のデータを抽出する。例えば、調整価格算出部140は、走行距離を一定間隔の区画(例えば、0~5000km,5001~10000km,・・・)に区切ったときに、走行距離が出品車両の走行距離と同じ区画に含まれる車両を出品車両と走行距離が一致すると判定する。なお、調整価格算出部140は、年式、メーカ、車種、グレード、走行距離が全て一致するデータを抽出してもよいし、年式、メーカ、車種、グレード、走行距離のうちの一部が一致するデータを抽出してもよい。
【0063】
[ステップS22]調整価格算出部140は、ステップS21で抽出したデータを参照し、せり日が直近1ヶ月以内であり、結果が落札であったデータの落札価格の平均価格を算出する。そして、調整価格算出部140は、重み情報121に示される、1ヶ月以内に落札された車両に対応する重みを、算出した平均価格に付ける。
【0064】
[ステップS23]調整価格算出部140は、ステップS21で抽出したデータを参照し、せり日が直近1ヶ月以上前であり、結果が落札であったデータの落札価格の平均価格を算出する。そして、調整価格算出部140は、重み情報121に示される、1ヶ月以上前に落札された車両に対応する重みを、算出した平均価格に付ける。
【0065】
[ステップS24]調整価格算出部140は、ステップS21で抽出したデータを参照し、せり日が直近1ヶ月以内であり、結果が流札であったデータの流札価格の平均価格を算出する。そして、調整価格算出部140は、重み情報121に示される、1ヶ月以内に流札された車両に対応する重みを、算出した平均価格に付ける。
【0066】
[ステップS25]調整価格算出部140は、ステップS21で抽出したデータを参照し、せり日が直近1ヶ月以上前であり、結果が流札であったデータの流札価格の平均価格を算出する。そして、調整価格算出部140は、重み情報121に示される、1ヶ月以上前に流札された車両に対応する重みを、算出した平均価格に付ける。
【0067】
[ステップS26]調整価格算出部140は、ステップS22~S25で算出した重み付けした平均価格を合計する。そして、調整価格算出部140は、重み付けした平均価格の合計を重みの合計で割り調整価格を算出する。
【0068】
このように、せり制御サーバ100は、過去のせりに出品された出品車両と同じ特徴の車両を抽出し、落札されたか流札されたか否かおよび出品時期に応じた重みを付けて集計することで調整価格を自動算出する。せりでは、同じ特徴の車両は、同程度の価格で取引されることが多い。よって、せり制御サーバ100は、出品車両と同じ特徴の車両の価格を集計して調整価格を算出することで、調整価格を適切に算出することができる。
【0069】
せり制御サーバ100は、落札された車両の平均価格に流札された車両の平均価格よりも大きい重みを付けて集計して、調整価格を自動算出する。これにより、せり制御サーバ100は、流札価格を落札価格に対して低い割合で加味して調整価格を算出することで、適切な調整価格を算出することができる。なお、同じ時期に取引された車両は同程度の価格で落札されることが多い。そこで、せり制御サーバ100は、直近の1ヶ月に出品された車両の平均価格に1ヶ月以上前に出品された車両の価格よりも大きい重みを付けて集計する。これにより、せり制御サーバ100は、落札されやすい調整価格を適切に算出することができる。このようにして、せり制御サーバ100は、調整価格を自動算出することで、せりを効率的に実行することができる。
【0070】
以上、実施の形態を例示したが、実施の形態で示した各部の構成は同様の機能を有する他のものに置換することができる。また、他の任意の構成物や工程が付加されてもよい。さらに、前述した実施の形態のうちの任意の2以上の構成(特徴)を組み合わせたものであってもよい。
【符号の説明】
【0071】
1 出品情報
10 せり制御装置
11 処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10