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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179942
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】表示装置の製造装置
(51)【国際特許分類】
   H10K 71/00 20230101AFI20241219BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20241219BHJP
   H10K 71/16 20230101ALI20241219BHJP
   H10K 71/20 20230101ALI20241219BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H10K71/00
H10K59/10
H10K71/16
H10K71/20
G09F9/00 338
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099287
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】濱田 夕慎
(72)【発明者】
【氏名】竹中 貴史
(72)【発明者】
【氏名】水越 寛文
(72)【発明者】
【氏名】高山 健
【テーマコード(参考)】
3K107
5G435
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107CC45
3K107GG03
3K107GG04
3K107GG13
3K107GG32
3K107GG41
5G435AA17
5G435BB05
5G435KK10
(57)【要約】
【課題】製造歩留まりの低下を抑制する。
【解決手段】一実施形態によれば、製造装置は、表示装置を製造するメイン製造ラインと、メイン製造ラインに接続されたサブラインと、を備え、メイン製造ラインは、前処理部と、下電極の上に有機層、上電極、及び、キャップ層を順に形成するための複数の蒸着チャンバーを有するインライン型の第1蒸着装置と、キャップ層の上に封止層の第1無機絶縁層を形成するための第1CVD装置と、第1無機絶縁層の厚さを低減するためのドライエッチング装置と、第1無機絶縁層の上に封止層の第2無機絶縁層を形成するための第2CVD装置と、を備え、サブラインは処理基板を搬送するための搬送経路としてメイン製造ラインとは別の迂回路を形成し、メイン製造ライン及びサブラインはループ状の搬送経路を形成している。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下電極が形成された処理基板を搬送しながら表示装置を製造するメイン製造ラインと、
前記メイン製造ラインに接続されたサブラインと、を備え、
前記メイン製造ラインは、
前記処理基板に対して前処理を行う前処理部と、
前記前処理部に対して前記処理基板の搬送方向に沿った下流側に位置し、前記下電極の上に有機層、上電極、及び、キャップ層を順に形成するための複数の蒸着チャンバーを有するインライン型の第1蒸着装置と、
前記第1蒸着装置の下流側に位置し、前記キャップ層の上に封止層の第1無機絶縁層を形成するための少なくとも1つの第1CVD装置と、
前記第1CVD装置の下流側に位置し、前記第1無機絶縁層の厚さを低減するための少なくとも1つのドライエッチング装置と、
前記ドライエッチング装置の下流側に位置し、前記第1無機絶縁層の上に封止層の第2無機絶縁層を形成するための少なくとも1つの第2CVD装置と、を備え、
前記サブラインは、前記処理基板を搬送するための搬送経路として、前記メイン製造ラインとは別の迂回路を形成し、
前記メイン製造ライン及び前記サブラインは、ループ状の搬送経路を形成している、
表示装置の製造装置。
【請求項2】
前記第1CVD装置、前記ドライエッチング装置、及び、前記第2CVD装置は、前記サブラインに接続されている、請求項1に記載の表示装置の製造装置。
【請求項3】
前記サブラインは、前記前処理部と前記第1蒸着装置との間、及び、前記第1蒸着装置と前記第1CVD装置との間で、前記メイン製造ラインに接続されている、請求項1に記載の表示装置の製造装置。
【請求項4】
前記メイン製造ラインは、さらに、
前記下電極の上に前記有機層、前記上電極、及び、前記キャップ層を形成するための複数の蒸着チャンバーを有するインライン型の第2蒸着装置と、
前記第1蒸着装置及び前記第2蒸着装置の上流側に接続され、且つ、前記サブラインに接続された第1ローテーションチャンバーと、
前記第1蒸着装置及び前記第2蒸着装置の下流側に接続され、且つ、前記サブラインに接続された第2ローテーションチャンバーと、を備えている、
請求項1に記載の表示装置の製造装置。
【請求項5】
前記メイン製造ラインは、さらに、
前記第1CVD装置に接続された第3ローテーションチャンバーと、
前記ドライエッチング装置に接続された第4ローテーションチャンバーと、
前記第2CVD装置に接続された第5ローテーションチャンバーと、を備えている、
請求項4に記載の表示装置の製造装置。
【請求項6】
前記メイン製造ラインは、さらに、
前記第2ローテーションチャンバーと前記第3ローテーションチャンバーとを接続する第1搬送チャンバーと、
前記第3ローテーションチャンバーと前記第4ローテーションチャンバーとを接続する第2搬送チャンバーと、
前記第4ローテーションチャンバーと前記第5ローテーションチャンバーとを接続する第3搬送チャンバーと、
第6ローテーションチャンバーと、
前記第5ローテーションチャンバーと前記第6ローテーションチャンバーとを接続する第4搬送チャンバーと、を備える、
請求項5に記載の表示装置の製造装置。
【請求項7】
前記メイン製造ラインは、さらに、
前記前処理部と前記第1ローテーションチャンバーとの間に接続され、前記前処理部において水平姿勢で搬送された前記処理基板の姿勢を垂直姿勢に変換する姿勢変換チャンバーを備え、
前記処理基板は、前記第1蒸着装置、前記第1CVD装置、前記ドライエッチング装置、及び、前記第2CVD装置において、垂直姿勢で搬送される、
請求項4に記載の表示装置の製造装置。
【請求項8】
前記サブラインは、
第7ローテーションチャンバーと、
第8ローテーションチャンバーと、
前記第1CVD装置に接続された第9ローテーションチャンバーと、
前記ドライエッチング装置に接続された第10ローテーションチャンバーと、
前記第2CVD装置に接続された第11ローテーションチャンバーと、
第12ローテーションチャンバーと、
前記第7ローテーションチャンバーと前記第8ローテーションチャンバーとを接続する第5搬送チャンバーと、
前記第8ローテーションチャンバーと前記第9ローテーションチャンバーとを接続する第6搬送チャンバーと、
前記第9ローテーションチャンバーと前記第10ローテーションチャンバーとを接続する第7搬送チャンバーと、
前記第10ローテーションチャンバーと前記第11ローテーションチャンバーとを接続する第8搬送チャンバーと、
前記第11ローテーションチャンバーと前記第12ローテーションチャンバーとを接続する第9搬送チャンバーと、
前記第1ローテーションチャンバーと前記第7ローテーションチャンバーとを接続する第10搬送チャンバーと、
前記第2ローテーションチャンバーと前記第8ローテーションチャンバーとを接続する第11搬送チャンバーと、
前記第6ローテーションチャンバーと前記第12ローテーションチャンバーとを接続する第12搬送チャンバーと、を備える、
請求項6に記載の表示装置の製造装置。
【請求項9】
前記第1蒸着装置は、
前記有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び、電子注入層をそれぞれ形成するための第1乃至第7蒸着チャンバーと、
前記上電極を形成するための第8蒸着チャンバーと、
前記キャップ層として、第1透明層及び第2透明層をそれぞれ形成するための第9及び第10蒸着チャンバーと、を備える、
請求項1に記載の表示装置の製造装置。
【請求項10】
前記第1蒸着装置は、
前記有機層として、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、第1発光層、第2発光層、第3発光層、正孔ブロック層、電子輸送層、及び、電子注入層をそれぞれ形成するための第1乃至第9蒸着チャンバーと、
前記上電極を形成するための第10蒸着チャンバーと、
前記キャップ層として、第1透明層及び第2透明層をそれぞれ形成するための第11及び第12蒸着チャンバーと、を備え、
前記第4蒸着チャンバー、前記第5蒸着チャンバー、及び、前記第6蒸着チャンバーは、互いに異なる発光材料を放射する蒸着源を備えている、
請求項1に記載の表示装置の製造装置。
【請求項11】
複数の前記第1CVD装置は、前記第9ローテーションチャンバーに接続され、
複数の前記ドライエッチング装置は、第10ローテーションチャンバーに接続され、
複数の前記第2CVD装置は、第11ローテーションチャンバーに接続されている、
請求項8に記載の表示装置の製造装置。
【請求項12】
前記メイン製造ラインは、さらに、前記第1蒸着装置の中間部に第13ローテーションチャンバーを備え、
前記サブラインは、前記第13ローテーションチャンバーに接続されている、
請求項8に記載の表示装置の製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、表示装置の製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を適用した表示装置が実用化されている。この表示素子は、薄膜トランジスタを含む画素回路と、画素回路に接続された下電極と、下電極を覆う有機層と、有機層を覆う上電極と、を備えている。有機層は、発光層の他に、正孔輸送層や電子輸送層などの機能層を含んでいる。
このような表示装置を製造するための製造装置において、製造歩留まりの低下の抑制といった要求がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-195677号公報
【特許文献2】特開2004-207217号公報
【特許文献3】特開2008-135325号公報
【特許文献4】特開2009-32673号公報
【特許文献5】特開2010-118191号公報
【特許文献6】国際公開第2018/179308号
【特許文献7】米国特許出願公開第2022/0077251号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、製造歩留まりの低下を抑制することが可能な表示装置の製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一実施形態によれば、表示装置の製造装置は、
下電極が形成された処理基板を搬送しながら表示装置を製造するメイン製造ラインと、前記メイン製造ラインに接続されたサブラインと、を備え、前記メイン製造ラインは、前記処理基板に対して前処理を行う前処理部と、前記前処理部に対して前記処理基板の搬送方向に沿った下流側に位置し、前記下電極の上に有機層、上電極、及び、キャップ層を順に形成するための複数の蒸着チャンバーを有するインライン型の第1蒸着装置と、前記第1蒸着装置の下流側に位置し、前記キャップ層の上に封止層の第1無機絶縁層を形成するための少なくとも1つの第1CVD装置と、前記第1CVD装置の下流側に位置し、前記第1無機絶縁層の厚さを低減するための少なくとも1つのドライエッチング装置と、前記ドライエッチング装置の下流側に位置し、前記第1無機絶縁層の上に封止層の第2無機絶縁層を形成するための少なくとも1つの第2CVD装置と、を備え、前記サブラインは、前記処理基板を搬送するための搬送経路として、前記メイン製造ラインとは別の迂回路を形成し、前記メイン製造ライン及び前記サブラインは、ループ状の搬送経路を形成している。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
図2図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図3図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
図4図4は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図5図5は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図6図6は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図7図7は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図8図8は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図9図9は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図10図10は、表示装置DSPの製造方法を説明するための図である。
図11図11は、表示素子20の一構成例を示す図である。
図12図12は、製造装置100の一構成例を示す図である。
図13図13は、蒸着装置ID1の一構成例を示す図である。
図14図14は、蒸着装置ID1の他の構成例を示す図である。
図15図15は、CVD装置及びドライエッチング装置の概要を示す図である。
図16図16は、製造装置100の他の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
一実施形態について図面を参照しながら説明する。
開示はあくまで一例に過ぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本発明の範囲に含有されるものである。また、図面は、説明をより明確にするため、実際の態様に比べて、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本発明の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同一または類似した機能を発揮する構成要素には同一の参照符号を付し、重複する詳細な説明を適宜省略することがある。
【0008】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を第1方向Xと称し、Y軸に沿った方向を第2方向Yと称し、Z軸に沿った方向を第3方向Zと称する。第3方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。
【0009】
本実施形態に係る表示装置は、表示素子として有機発光ダイオード(OLED)を備える有機エレクトロルミネッセンス表示装置であり、テレビ、パーソナルコンピュータ、車載機器、タブレット端末、スマートフォン、携帯電話端末等に搭載され得る。
【0010】
図1は、表示装置DSPの構成例を示す図である。
表示装置DSPは、絶縁性の基板10の上に、画像を表示する表示領域DAと、表示領域DAよりも外側の周辺領域SAと、を有する表示パネルPNLを備えている。基板10は、ガラスであってもよいし、可撓性を有する樹脂フィルムであってもよい。
【0011】
本実施形態においては、平面視における基板10の形状が長方形である。ただし、基板10の平面視における形状は長方形に限らず、正方形、円形あるいは楕円形などの他の形状であってもよい。
【0012】
表示領域DAは、第1方向X及び第2方向Yにマトリクス状に配列された複数の画素PXを備えている。画素PXは、複数の副画素SPを含む。一例では、画素PXは、第1色の副画素SP1、第2色の副画素SP2、及び、第3色の副画素SP3を含む。第1色、第2色、及び、第3色は、互いに異なる色である。なお、画素PXは、副画素SP1、SP2、SP3とともに、あるいは副画素SP1、SP2、SP3のいずれかに代えて、白色などの他の色の副画素SPを含んでもよい。
【0013】
副画素SPは、画素回路1と、画素回路1によって駆動される表示素子20と、を備えている。画素回路1は、画素スイッチ2と、駆動トランジスタ3と、キャパシタ4と、を備えている。画素スイッチ2及び駆動トランジスタ3は、例えば薄膜トランジスタにより構成されたスイッチング素子である。
【0014】
画素スイッチ2のゲート電極は、走査線GLに接続されている。画素スイッチ2のソース電極及びドレイン電極の一方は信号線SLに接続され、他方は駆動トランジスタ3のゲート電極及びキャパシタ4に接続されている。駆動トランジスタ3において、ソース電極及びドレイン電極の一方は電源線PL及びキャパシタ4に接続され、他方は表示素子20のアノードに接続されている。
【0015】
なお、画素回路1の構成は図示した例に限らない。例えば、画素回路1は、より多くの薄膜トランジスタ及びキャパシタを備えてもよい。
【0016】
表示素子20は、発光素子としての有機発光ダイオード(OLED)であり、有機EL素子と称する場合がある。
【0017】
周辺領域SAには、詳述しないが、ICチップやフレキシブルプリント回路基板を接続するための端子が設けられている。
【0018】
図2は、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトの一例を示す図である。
図2の例においては、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに並んでいる。副画素SP1及び副画素SP2が第1方向Xに並び、副画素SP1及び副画素SP3が第1方向Xに並んでいる。
【0019】
副画素SP1、SP2、SP3がこのようなレイアウトである場合、表示領域DAには、副画素SP2及び副画素SP3が第2方向Yに交互に配置された列と、複数の副画素SP1が第2方向Yに配置された列とが形成される。これらの列は、第1方向Xに交互に並んでいる。
【0020】
なお、副画素SP1、SP2、SP3のレイアウトは図2の例に限られない。他の一例として、各画素PXにおける副画素SP1、SP2、SP3が第1方向Xに順に並んでいてもよい。
【0021】
表示領域DAには、無機絶縁層5及び隔壁6が配置されている。無機絶縁層5は、副画素SP1、SP2、SP3においてそれぞれ開口AP1、AP2、AP3を有している。これらの開口AP1、AP2、AP3を有する無機絶縁層5は、リブと称する場合がある。
【0022】
隔壁6は、平面視において無機絶縁層5と重なっている。隔壁6は、開口AP1、AP2、AP3を囲む格子状に形成されている。隔壁6は、無機絶縁層5と同様に副画素SP1、SP2、SP3において開口を有するということもできる。
【0023】
副画素SP1、SP2、SP3は、表示素子20として、それぞれ表示素子201、202、203を備えている。
【0024】
副画素SP1の表示素子201は、開口AP1とそれぞれ重なる下電極LE1、上電極UE1、及び、有機層OR1を備えている。下電極LE1の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、有機層OR1、及び、上電極UE1を備える表示素子201は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR1及び上電極UE1のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR1は、例えば青波長域の光を放つ発光層を含む。
【0025】
副画素SP2の表示素子202は、開口AP2とそれぞれ重なる下電極LE2、上電極UE2、及び、有機層OR2を備えている。下電極LE2の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE2、有機層OR2、及び、上電極UE2を備える表示素子202は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR2及び上電極UE2のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR2は、例えば緑波長域の光を放つ発光層を含む。
【0026】
副画素SP3の表示素子203は、開口AP3とそれぞれ重なる下電極LE3、上電極UE3、及び、有機層OR3を備えている。下電極LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE3、有機層OR3、及び、上電極UE3を備える表示素子203は、平面視において隔壁6で囲まれている。有機層OR3及び上電極UE3のそれぞれの周縁部は、平面視において無機絶縁層5に重なっている。有機層OR3は、例えば赤波長域の光を放つ発光層を含む。
【0027】
図2の例においては、下電極LE1、LE2、LE3の外形は点線で示し、有機層OR1、OR2、OR3、及び、上電極UE1、UE2、UE3の外形は一点鎖線で示している。なお、図示した下電極、有機層、上電極のそれぞれの外形は、正確な形状を反映したものとは限らない。
【0028】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、表示素子のアノードに相当する。上電極UE1、UE2、UE3は、表示素子のカソード、あるいは、共通電極に相当する。
【0029】
下電極LE1は、コンタクトホールCH1を通じて副画素SP1の画素回路1(図1参照)に接続されている。下電極LE2は、コンタクトホールCH2を通じて副画素SP2の画素回路1に接続されている。下電極LE3は、コンタクトホールCH3を通じて副画素SP3の画素回路1に接続されている。
【0030】
図2の例においては、開口AP1の面積、開口AP2の面積、及び、開口AP3の面積は、互いに異なる。開口AP1の面積が開口AP2の面積よりも大きく、開口AP2の面積が開口AP3の面積よりも大きい。換言すると、開口AP1から露出した下電極LE1の面積は開口AP2から露出した下電極LE2の面積よりも大きく、開口AP2から露出した下電極LE2の面積は開口AP3から露出した下電極LE3の面積よりも大きい。
【0031】
図3は、図2中のA-B線に沿う表示装置DSPの概略的な断面図である。
回路層11は、基板10の上に配置されている。回路層11は、図1に示した画素回路1などの各種回路と、走査線GL、信号線SL、電源線PLなどの各種配線と、を含む。回路層11は、絶縁層12により覆われている。絶縁層12は、回路層11により生じる凹凸を平坦化する有機絶縁層である。
【0032】
下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12の上に配置され、互いに離間している。無機絶縁層5は、絶縁層12及び下電極LE1、LE2、LE3の上に配置されている。無機絶縁層5の開口AP1は下電極LE1に重なり、開口AP2は下電極LE2に重なり、開口AP3は下電極LE3に重なっている。下電極LE1、LE2、LE3の周縁部は、無機絶縁層5で覆われている。下電極LE1、LE2、LE3のうち、互いに隣接する下電極の間では、絶縁層12が無機絶縁層5により覆われている。下電極LE1、LE2、LE3は、絶縁層12に設けられたコンタクトホールを通じて副画素SP1、SP2、SP3のそれぞれの画素回路1に接続されている。なお、絶縁層12のコンタクトホールは、図3では省略するが、図2のCH1、CH2、CH3に相当する。
【0033】
隔壁6は、無機絶縁層5の上に配置された導電性を有する下部(茎)61と、下部61の上に配置された上部(笠)62と、を含む。図の右側に示した隔壁6の下部61は、開口AP1と開口AP2との間に位置している。図の左側に示した隔壁6の下部61は、開口AP2と開口AP3との間に位置している。上部62は、下部61よりも大きい幅を有している。上部62の両端部は、下部61の側面よりも突出している。このような隔壁6の形状は、オーバーハング状と呼ばれる。
【0034】
有機層OR1は、開口AP1を通じて下電極LE1に接触し、開口AP1から露出した下電極LE1を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
【0035】
有機層OR2は、開口AP2を通じて下電極LE2に接触し、開口AP2から露出した下電極LE2を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE2は、有機層OR2を覆い、下部61に接触している。
【0036】
有機層OR3は、開口AP3を通じて下電極LE3に接触し、開口AP3から露出した下電極LE3を覆うとともに、その周縁部が無機絶縁層5の上に位置している。上電極UE3は、有機層OR3を覆い、下部61に接触している。
【0037】
図3の例においては、副画素SP1はキャップ層CP1及び封止層SE1を有し、副画素SP2はキャップ層CP2及び封止層SE2を有し、副画素SP3はキャップ層CP3及び封止層SE3を有している。キャップ層CP1、CP2、CP3は、それぞれ有機層OR1、OR2、OR3から放たれた光の取り出し効率を向上させる光学調整層としての役割を有している。
【0038】
キャップ層CP1は、上電極UE1の上に配置されている。
キャップ層CP2は、上電極UE2の上に配置されている。
キャップ層CP3は、上電極UE3の上に配置されている。
【0039】
封止層SE1は、キャップ層CP1の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP1の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE2は、キャップ層CP2の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP2の各部材を連続的に覆っている。
封止層SE3は、キャップ層CP3の上に配置され、隔壁6に接触し、副画素SP3の各部材を連続的に覆っている。
【0040】
図3の例においては、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部は、副画素SP1の周囲の隔壁6の上に位置している。これらの部分は、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のうち開口AP1に位置する部分(表示素子201を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のそれぞれの一部は、副画素SP2の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR2、上電極UE2、及び、キャップ層CP2のうち開口AP2に位置する部分(表示素子202を構成する部分)から離間している。
同様に、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のそれぞれの一部は、副画素SP3の周囲の隔壁6の上に位置し、これらの部分は、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3のうち開口AP3に位置する部分(表示素子203を構成する部分)から離間している。
なお、隔壁6の上においては、有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、有機層OR3、上電極UE3、及び、キャップ層CP3が存在しない場合があり得る。
【0041】
封止層SE1、SE2、SE3の端部は、隔壁6の上に位置している。図3の例においては、副画素SP1、SP2間の隔壁6の上に位置する封止層SE1、SE2の端部同士が離間し、副画素SP2、SP3間の隔壁6の上に位置する封止層SE2、SE3の端部同士が離間している。
【0042】
封止層SE1、SE2、SE3は、樹脂層13によって覆われている。樹脂層13は、封止層14によって覆われている。封止層14は、樹脂層15によって覆われている。
【0043】
無機絶縁層5、封止層SE1、SE2、SE3、及び、封止層14は、例えば、シリコン窒化物(SiNx)、シリコン酸化物(SiOx)、シリコン酸窒化物(SiON)、または、酸化アルミニウム(Al)などの無機絶縁材料で形成されている。
【0044】
隔壁6の下部61は、導電材料で形成され、上電極UE1、UE2、UE3と電気的に接続されている。隔壁6の上部62は、例えば導電材料によって形成されているが、絶縁材料で形成されもよい。下部61は、上部62とは異なる材料で形成されている。
【0045】
下電極LE1、LE2、LE3は、例えば、インジウム錫酸化物(ITO)などの酸化物導電材料で形成された透明電極と、銀などの金属材料で形成された金属電極とを含む多層体である。
【0046】
有機層OR1は、発光層EM1を含む。有機層OR2は、発光層EM2を含む。有機層OR3は、発光層EM3を含む。発光層EM1、発光層EM2、及び、発光層EM3は、互いに異なる材料で形成されている。一例では、発光層EM1は、青波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM2は、緑波長域の光を放つ材料によって形成され、発光層EM3は、赤波長域の光を放つ材料によって形成されている。
また、有機層OR1、OR2、OR3の各々は、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの複数の機能層を含む。
【0047】
上電極UE1、UE2、UE3は、例えば、マグネシウム及び銀の合金(MgAg)などの金属材料で形成されている。
【0048】
キャップ層CP1、CP2、CP3は、複数の薄膜の多層体である。複数の薄膜は、いずれも透明であり、しかも、互いに異なる屈折率を有している。
【0049】
次に、図4乃至図10を参照して、表示装置DSPの製造方法について説明する。なお、図4乃至図10においては、絶縁層12よりも下方の図示を省略している。
【0050】
まず、図4に示すように、処理基板SUBを用意する。処理基板SUBを用意する工程は、絶縁層12の上に、副画素SP1の下電極LE1、副画素SP2の下電極LE2、副画素SP3の下電極LE3を形成する工程と、下電極LE1、LE2、LE3の各々と重なる開口AP1、AP2、AP3を有する無機絶縁層5を形成する工程と、無機絶縁層5の上に位置する下部61及び下部61の上に位置し下部61の側面から突出した上部62を含む隔壁6を形成する工程と、を含む。なお、無機絶縁層5に開口AP1、AP2、AP3を形成した後に、隔壁6を形成してもよいし、隔壁6を形成した後に、開口AP1、AP2、AP3を形成してもよい。
【0051】
続いて、表示素子201を形成する。
まず、後述するインライン型の蒸着装置に、処理基板SUBを搬入する。そして、図5に示すように、隔壁6をマスクとして、下電極LE1の上に、正孔注入層、正孔輸送層、電子ブロック層、発光層(EM1)、正孔ブロック層、電子輸送層、電子注入層などの各層を形成するための材料を順次蒸着して、有機層OR1を形成する。
その後、隔壁6をマスクとして、有機層OR1の上に、マグネシウム及び銀の混合物を蒸着して、上電極UE1を形成する。上電極UE1は、有機層OR1を覆い、下部61に接触している。
その後、隔壁6をマスクとして、上電極UE1の上に、第1透明層TL1を形成するための高屈折率材料及び第2透明層TL2を形成するための低屈折率材料を順次蒸着して、キャップ層CP1を形成する。
これらの有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、真空環境を維持した状態で連続して形成される。
【0052】
その後、後述するCVD(Chemical-Vapor Deposition)装置に処理基板SUBを搬入する。そして、キャップ層CP1及び隔壁6を連続的に覆うように、封止層SE1を形成する。
【0053】
有機層OR1、上電極UE1、キャップ層CP1、及び、封止層SE1は、少なくとも表示領域DAの全体に形成され、副画素SP1だけでなく副画素SP2、SP3にも配置されている。有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1は、オーバーハング状の隔壁6によって分断される。
【0054】
有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1がそれぞれ蒸着によって形成される際に、蒸着源から放たれた材料は、上部62によって遮られる。このため、上部62の上には、有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1のそれぞれの一部が積層される。上部62の上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1の各々は、下電極LE1の直上に位置する有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1から離間している。
封止層SE1は、隔壁6の直上のキャップ層CP1を覆うとともに、下電極LE1の直上のキャップ層CP1を覆い、かつ、隔壁6に接している。
【0055】
ここで、封止層SE1を形成する工程について、図6を参照しながらさらに説明する。なお、図6では、副画素SP1及び副画素SP2に亘る処理基板の断面を示している。
【0056】
まず、図6の上段に示すように、CVD装置において、第1無機絶縁層IL1を形成する。第1無機絶縁層IL1は、シリコン窒化物で形成する。
副画素SP1に位置する第1無機絶縁層IL1に着目すると、第1無機絶縁層IL1は、キャップ層CP1に接し、隔壁6の下部61の側面に接し、また、隔壁6の上部62に接している。また、第1無機絶縁層IL1は、上部62の下方に、閉じた空隙Vを有している。下電極LE1の直上において、第1無機絶縁層IL1は、厚さT101を有している。
【0057】
その後、図6の中段に示すように、ドライエッチング装置において、レジストを介することなく、第1無機絶縁層IL1の全体の異方性ドライエッチングを行う。異方性ドライエッチングでは、等方性ドライエッチングと比較して、サイドエッチングが進行しにくい。このため、下電極LE1、LE2の直上に位置する第1無機絶縁層IL1の厚さが低減し、また、隔壁6の上部62の直上に位置する第1無機絶縁層IL1の厚さが低減し、さらには、空隙Vの先端側の第1無機絶縁層IL1が除去され、空隙Vが開放される。異方性ドライエッチングを行った後の第1無機絶縁層IL1は、下電極LE1の直上において厚さT102を有している。厚さT102は、厚さT101より小さい。
【0058】
なお、隔壁6の上部62の下方に位置する第1無機絶縁層IL1は、ほとんど除去されない。つまり、異方性ドライエッチングを行った後において、第1無機絶縁層IL1は、隔壁6の下部61の側面、及び、隔壁6の上部62の底面を覆っている。
【0059】
その後、図6の下段に示すように、CVD装置において、第1無機絶縁層IL1の上に第2無機絶縁層IL2を形成する。第2無機絶縁層IL2は、第1無機絶縁層IL1と同一材料で形成する。つまり、第2無機絶縁層IL2は、シリコン窒化物で形成される。第1無機絶縁層IL1及び第2無機絶縁層IL2が同一材料で形成された場合、両者の界面はほとんど認識されない。つまり、図6に示した封止層SE1は、第1無機絶縁層IL1及び第2無機絶縁層IL2の積層体であるが、単一層とみなすことができる。このため、封止層SE1の内部での不所望な光の反射や散乱が抑制される。
【0060】
また、図示した例では、封止層SE1は、上部62の下方に、空隙を含まない。このように、封止層SE1が空隙を含まないことにより、空隙を起点としたクラックを防止することができる。なお、封止層SE1は、図6の上段に示した空隙Vよりも小さい空隙を含む場合があり得る。
【0061】
続いて、図7に示すように、封止層SE1の上に、所定の形状にパターニングされたレジストRSを形成する。レジストRSは、副画素SP1とその周囲の隔壁6の一部に重なっている。
【0062】
続いて、図8に示すように、レジストRSをマスクとしてエッチングを行うことにより、レジストRSから露出した封止層SE1、キャップ層CP1、上電極UE1、及び、有機層OR1を順次除去する。これにより、副画素SP2の下電極LE2及び副画素SP3の下電極LE3が露出する。
その後、レジストRSを除去する。これにより、副画素SP1に表示素子201が形成される。
【0063】
続いて、図9に示すように、表示素子202を形成する。表示素子202を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE2の上に、発光層EM2を含む有機層OR2、上電極UE2、キャップ層CP2、及び、封止層SE2を順に形成する。その後、封止層SE2の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE2、キャップ層CP2、上電極UE2、及び、有機層OR2が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP2に表示素子202が形成され、副画素SP3の下電極LE3が露出する。
【0064】
続いて、図10に示すように、表示素子203を形成する。表示素子203を形成する手順は、表示素子201を形成する手順と同様である。すなわち、下電極LE3の上に、発光層EM3を含む有機層OR3、上電極UE3、キャップ層CP3、及び、封止層SE3を順に形成する。その後、封止層SE3の上にレジストを形成し、このレジストをマスクとしたエッチングにより、封止層SE3、キャップ層CP3、上電極UE3、及び、有機層OR3が順次パターニングされる。このパターニングの後、レジストを除去する。これにより、副画素SP3に表示素子203が形成される。
【0065】
その後、図3に示した樹脂層13、封止層14、及び、樹脂層15を順に形成する。これにより、表示装置DSPが完成する。
【0066】
なお、以上の製造工程においては、最初に表示素子201が形成され、次に表示素子202が形成され、最後に表示素子203が形成される場合を想定したが、表示素子201、202、203の形成順はこの例に限られない。
【0067】
次に、表示素子20の構成例について説明する。
【0068】
図11は、表示素子20の一構成例を示す図である。
図11に示す表示素子20は、上記の表示素子201、202、203のいずれにも相当し得るものである。
なお、ここでは、下電極LEがアノードに相当し、上電極UEがカソードに相当する場合を例に説明する。
【0069】
表示素子20は、下電極LE(LE1、LE2、LE3)と上電極UE(UE1、UE2、UE3)との間に有機層OR(OR1、OR2、OR3)を備えている。
【0070】
有機層ORにおいて、正孔注入層HIL、正孔輸送層HTL、電子ブロック層EBL、発光層EML、正孔ブロック層HBL、電子輸送層ETL、及び、電子注入層EILは、この順に積層されている。
なお、有機層ORは、上記した機能層の他に、必要に応じてキャリア発生層などの他の機能層を含んでいてもよいし、上記した機能層の少なくとも1つが省略されてもよい。
【0071】
発光層EMLは、図3に示した発光層EM1、EM2、EM3のいずれかに相当する。
【0072】
キャップ層CP(CP1、CP2、CP3)は、第1透明層TL1と、第2透明層TL2と、を含む。第1透明層TL1は、上電極UEの上に配置されている。第1透明層TL1は、上電極UEよりも高い屈折率を有する高屈折率層である。第2透明層TL2は、第1透明層TL1の上に配置されている。第2透明層TL2は、第1透明層TL1よりも小さい屈折率を有する低屈折率層である。封止層SE(SE1、SE2、SE3)は、第2透明層TL2の上に配置されている。なお、キャップ層CPは、省略されてもよい。
【0073】
なお、有機層ORの構成については、図示したように有機層ORが1層の発光層EMLを備える構成に限らず、有機層ORが複数の発光層を備える構成であってもよい。
【0074】
次に、表示装置DSPの製造装置100について説明する。
【0075】
図12は、製造装置100の一構成例を示す図である。なお、図中に示す直線の矢印は、処理基板の搬送方向を示している。
【0076】
製造装置100は、メイン製造ライン101と、メイン製造ライン101に接続されたサブライン102、103と、を備えている。メイン製造ライン101においては、処理基板は、図の左側から右側に向かって搬送される。
【0077】
メイン製造ライン101は、前処理部PREと、インライン型の蒸着装置ID1、ID2と、CVD装置CVD1、CVD2、CVD3、CVD4、CVD5、CVD6、CVD7、CVD8と、ドライエッチング装置DRY1、DRY2、DRY3、DRY4と、を備えている。
【0078】
前処理部PREは、基板カセットステーションCASに接続されている。
蒸着装置ID1、ID2は、前処理部PREに対して、処理基板の搬送方向に沿った下流側に位置している。
CVD装置CVD1~CVD4は、蒸着装置ID1、ID2に対して下流側に位置している。
ドライエッチング装置DRY1~DRY4は、CVD装置CVD1~CVD4に対して下流側に位置している。
CVD装置CVD5~CVD8は、ドライエッチング装置DRY1~DRY4に対して下流側に位置している。
なお、メイン製造ライン101において、表示装置を製造するためには、1つの蒸着装置ID1と、1つのCVD装置CVD1と、1つのドライエッチング装置DRY1と、1つのCVD装置CVD5が設けられていればよい。
【0079】
基板カセットステーションCASは、下電極LE、無機絶縁層5、隔壁6などが形成された複数の処理基板(図4に示した処理基板SUB)を収容している。
【0080】
前処理部PREは、基板カセットステーションCASに接続されたロードロックチャンバーLL1と、処理基板に対してベーク処理を行う複数のベークチャンバーBK1、BK2、BK3と、処理基板に対してプラズマ処理を行う複数のプラズマチャンバーPL1、PL2、PL3と、搬送ロボットチャンバーRB1と、を備えている。
搬送ロボットチャンバーRB1は、ロードロックチャンバーLL1、ベークチャンバーBK1~BK3、及び、プラズマチャンバーPL1~PL3に接続され、処理基板を水平姿勢で搬送するロボットを備えている。
【0081】
蒸着装置ID1、ID2は、同一構成であり、有機層OR、上電極UE、及び、キャップ層CPをそれぞれ形成するための複数の蒸着チャンバーを備えている。後に詳述するが、蒸着装置ID1、ID2の各々において、複数の蒸着チャンバーは、一方向に並んでいる。例えば、蒸着装置ID1、ID2の各々は、図5に示した有機層OR1、上電極UE1、及び、キャップ層CP1を形成するように構成されている。
【0082】
CVD装置CVD1~CVD4は、いずれも同一構成であり、例えば、図6に示した第1無機絶縁層IL1を形成するように構成されている。
【0083】
ドライエッチング装置DRY1~DRY4は、いずれも同一構成であり、第1無機絶縁層IL1の厚さを低減するように構成されている。
【0084】
CVD装置CVD5~CVD8は、いずれも同一構成であり、例えば、図6に示した第2無機絶縁層IL2を形成するように構成されている。
【0085】
図示した例では、メイン製造ライン101は、さらに、姿勢変換チャンバーVCS1と、ローテーションチャンバーROT1、ROT2、ROT3、ROT4、ROT5、ROT6と、搬送チャンバーTRF1、TRF2、TRF3、TRF4と、姿勢変換チャンバーVCS2と、搬送ロボットチャンバーRB2と、ロードロックチャンバーLL2と、を備えている。
【0086】
姿勢変換チャンバーVCS1は、前処理部PREとローテーションチャンバーROT1との間に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS1は、前処理部PREにおいて水平姿勢で搬送された処理基板を90°回転して、処理基板の姿勢を垂直姿勢に変換する機構を備えている。また、姿勢変換チャンバーVCS1は、静電チャックにより処理基板を専用のキャリアに固定する機構も備えている。ローテーションチャンバーROT1に搬入される処理基板SUBの姿勢は、垂直姿勢である。
【0087】
ローテーションチャンバーROT1~ROT6は、いずれも同一構成であり、回転機構を備えている。回転機構は、垂直姿勢で搬入された処理基板を保持し、処理基板の法線に直交する回転軸を中心として、回転可能に構成されている。回転機構の回転角度は、例えば、90°、180°、270°であるが、その他の角度であってもよい。
【0088】
ローテーションチャンバーROT1は、姿勢変換チャンバーVCS1に接続されるとともに、蒸着装置ID1、ID2の上流側に接続されている。
ローテーションチャンバーROT2は、蒸着装置ID1、ID2の下流側に接続されている。
ローテーションチャンバーROT3は、複数のCVD装置CVD1~CVD4に接続されている。
ローテーションチャンバーROT4は、複数のドライエッチング装置DRY1~DRY4に接続されている。
ローテーションチャンバーROT5は、複数のCVD装置CVD5~CVD8に接続されている。
ローテーションチャンバーROT6は、ローテーションチャンバーROT5の下流側に位置している。
【0089】
搬送チャンバーTRF1~TRF4は、垂直姿勢の処理基板を一方向に搬送する搬送機構を備えている。
【0090】
搬送チャンバーTRF1は、ローテーションチャンバーROT2とローテーションチャンバーROT3とを接続している。
搬送チャンバーTRF2は、ローテーションチャンバーROT3とローテーションチャンバーROT4とを接続している。
搬送チャンバーTRF3は、ローテーションチャンバーROT4とローテーションチャンバーROT5とを接続している。
搬送チャンバーTRF4は、ローテーションチャンバーROT5とローテーションチャンバーROT6とを接続している。
【0091】
メイン製造ライン101においては、処理基板は、蒸着装置ID1、ID2、CVD装置CVD1~CVD8、ドライエッチング装置DRY1~DRY4、ローテーションチャンバーROT1~ROT6、搬送チャンバーTRF1~TRF4において、垂直姿勢で搬送される。
【0092】
姿勢変換チャンバーVCS2は、ローテーションチャンバーROT6に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS2は、ローテーションチャンバーROT6において垂直姿勢で搬送された処理基板を90°回転して、処理基板の姿勢を水平姿勢に変換する機構を備えている。また、姿勢変換チャンバーVCS2は、静電チャックによる固定を解除し、キャリアから処理基板を取り外す機構も備えている。
【0093】
搬送ロボットチャンバーRB2は、姿勢変換チャンバーVCS2、及び、ロードロックチャンバーLL2に接続され、処理基板を水平姿勢で搬送するロボットを備えている。ロードロックチャンバーLL2は、基板カセットステーションCASに接続されている。
【0094】
サブライン102は、ローテーションチャンバーROT11、ROT12、ROT13、ROT14、ROT15、ROT16と、搬送チャンバーTRF11、TRF12、TRF13、TRF14、TRF15、TRF16、TRF17、TRF18と、姿勢変換チャンバーVCS11、VCS12と、を備えている。
サブライン102は、複数のCVD装置CVD1、CVD3に接続され、複数のドライエッチング装置DRY1、DRY3に接続され、複数のCVD装置CVD5、CVD7に接続されている。また、サブライン102は、前処理部PREと蒸着装置ID1との間、及び、前処理部PREと蒸着装置ID2との間でメイン製造ライン101に接続されている。また、サブライン102は、蒸着装置ID1とCVD装置CVD1~CVD4との間、及び、蒸着装置ID2とCVD装置CVD1~CVD4との間でメイン製造ライン101に接続されている。
【0095】
ローテーションチャンバーROT11~ROT16は、いずれも同一構成であり、ローテーションチャンバーROT1などと同様に、垂直姿勢の処理基板を保持して回転可能な回転機構を備えている。
【0096】
ローテーションチャンバーROT13は、複数のCVD装置CVD1、CVD3に接続されている。
ローテーションチャンバーROT14は、複数のドライエッチング装置DRY1、DRY3に接続されている。
ローテーションチャンバーROT15は、複数のCVD装置CVD5、CVD7に接続されている。
【0097】
搬送チャンバーTRF11~TRF18は、垂直姿勢の処理基板を双方向に搬送可能な搬送機構を備えている。
【0098】
搬送チャンバーTRF11は、ローテーションチャンバーROT11とローテーションチャンバーROT12とを接続している。
搬送チャンバーTRF12は、ローテーションチャンバーROT12とローテーションチャンバーROT13とを接続している。
搬送チャンバーTRF13は、ローテーションチャンバーROT13とローテーションチャンバーROT14とを接続している。
搬送チャンバーTRF14は、ローテーションチャンバーROT14とローテーションチャンバーROT15とを接続している。
搬送チャンバーTRF15は、ローテーションチャンバーROT15とローテーションチャンバーROT16とを接続している。
搬送チャンバーTRF16は、ローテーションチャンバーROT1とローテーションチャンバーROT11とを接続している。
搬送チャンバーTRF17は、ローテーションチャンバーROT2とローテーションチャンバーROT12とを接続している。
搬送チャンバーTRF18は、ローテーションチャンバーROT6とローテーションチャンバーROT16とを接続している。
【0099】
姿勢変換チャンバーVCS11は、ローテーションチャンバーROT12に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS12は、ローテーションチャンバーROT16に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS11、12は、垂直姿勢で搬送された処理基板の姿勢を水平姿勢に変換する機構を備えている。また、姿勢変換チャンバーVCS11、12は、静電チャックによる固定を解除し、キャリアから処理基板を取り外す機構も備えている。
【0100】
サブライン103は、ローテーションチャンバーROT21、ROT22、ROT23、ROT24、ROT25、ROT26と、搬送チャンバーTRF21、TRF22、TRF23、TRF24、TRF25、TRF26、TRF27、TRF28と、姿勢変換チャンバーVCS21、VCS22と、を備えている。
サブライン103は、複数のCVD装置CVD2、CVD4に接続され、複数のドライエッチング装置DRY2、DRY4に接続され、複数のCVD装置CVD6、CVD8に接続されている。また、サブライン103は、前処理部PREと蒸着装置ID1との間、及び、前処理部PREと蒸着装置ID2との間でメイン製造ライン101に接続されている。また、サブライン103は、蒸着装置ID1とCVD装置CVD1~CVD4との間、及び、蒸着装置ID2とCVD装置CVD1~CVD4との間でメイン製造ライン101に接続されている。
【0101】
ローテーションチャンバーROT21~ROT26は、いずれも同一構成であり、ローテーションチャンバーROT1などと同様に、垂直姿勢の処理基板を保持して回転可能な回転機構を備えている。
【0102】
ローテーションチャンバーROT23は、複数のCVD装置CVD2、CVD4に接続されている。
ローテーションチャンバーROT24は、複数のドライエッチング装置DRY2、DRY4に接続されている。
ローテーションチャンバーROT25は、複数のCVD装置CVD6、CVD8に接続されている。
【0103】
搬送チャンバーTRF21~TRF28は、垂直姿勢の処理基板を双方向に搬送可能な搬送機構を備えている。
【0104】
搬送チャンバーTRF21は、ローテーションチャンバーROT21とローテーションチャンバーROT22とを接続している。
搬送チャンバーTRF22は、ローテーションチャンバーROT22とローテーションチャンバーROT23とを接続している。
搬送チャンバーTRF23は、ローテーションチャンバーROT23とローテーションチャンバーROT24とを接続している。
搬送チャンバーTRF24は、ローテーションチャンバーROT24とローテーションチャンバーROT25とを接続している。
搬送チャンバーTRF25は、ローテーションチャンバーROT25とローテーションチャンバーROT26とを接続している。
搬送チャンバーTRF26は、ローテーションチャンバーROT1とローテーションチャンバーROT21とを接続している。
搬送チャンバーTRF27は、ローテーションチャンバーROT2とローテーションチャンバーROT22とを接続している。
搬送チャンバーTRF28は、ローテーションチャンバーROT6とローテーションチャンバーROT26とを接続している。
【0105】
姿勢変換チャンバーVCS21は、ローテーションチャンバーROT22に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS22は、ローテーションチャンバーROT26に接続されている。姿勢変換チャンバーVCS21、22は、垂直姿勢で搬送された処理基板の姿勢を水平姿勢に変換する機構を備えている。また、姿勢変換チャンバーVCS21、22は、静電チャックによる固定を解除し、キャリアから処理基板を取り外す機構も備えている。
【0106】
なお、詳述しないが、姿勢変換チャンバーVCS11、VCS12、VCS21、VCS22は、それぞれ搬送ロボットチャンバーRBに接続されている。搬送ロボットチャンバーRBの各々は、基板カセットステーションCASに接続されたロードロックチャンバーと接続されている。
【0107】
このようなサブライン102、103は、処理基板を搬送するための搬送経路として、メイン製造ライン101とは別の迂回路を形成している。このようなサブライン102、103がメイン製造ライン101に接続されることにより、メイン製造ライン101及びサブライン102、103は、ループ状の搬送経路を形成している。
なお、図示した例では、製造装置100は、2つのサブライン102、103を備えているが、少なくとも1つのサブライン102を備えていれば、ループ状の搬送経路を形成することができる。
【0108】
図12に示す構成例においては、例えば、蒸着装置ID1は第1蒸着装置に相当し、蒸着装置ID2は第2蒸着装置に相当する。また、CVD装置CVD1~CDV4は第1CVD装置に相当し、CVD装置CVD5~CDV8は第2CVD装置に相当する。
【0109】
また、ローテーションチャンバーROT1は第1ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT2は第2ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT3は第3ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT4は第4ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT5は第5ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT6は第6ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT11は第7ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT12は第8ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT13は第9ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT14は第10ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT15は第11ローテーションチャンバーに相当し、ローテーションチャンバーROT16は第12ローテーションチャンバーに相当する。
【0110】
また、搬送チャンバーTRF1は第1搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF2は第2搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF3は第3搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF4は第4搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF11は第5搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF12は第6搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF13は第7搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF14は第8搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF15は第9搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF16は第10搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF17は第11搬送チャンバーに相当し、搬送チャンバーTRF18は第12搬送チャンバーに相当する。
【0111】
このような製造装置100によれば、前処理部PREにおいては、複数のベークチャンバー及び複数のプラズマチャンバーが設けられており、複数の処理基板の前処理を同時に行うことができる。
また、蒸着装置ID1、ID2においては、複数の処理基板に対して有機層OR、上電極UE、及び、キャップ層CPの形成を同時に行うことができる。
また、CVD装置CVD1~CVD4においては、複数の処理基板に対して第1無機絶縁層IL1の形成を同時に行うことができる。
また、ドライエッチング装置DRY1~DRY4においては、複数の処理基板に対して第1無機絶縁層IL1の厚さ低減を同時に行うことができる。
また、CVD装置CVD5~CVD8においては、複数の処理基板に対して第2無機絶縁層IL2の形成を同時に行うことができる。
したがって、製造歩留まりを向上することができる。
【0112】
また、製造装置100が同一処理を行う複数の装置を備えているため、一部の装置に故障が発生したり、一部の装置をメンテナンスしたりする場合であっても、製造停止することなく、メイン製造ライン101を稼働し続けることができる。
【0113】
図13は、蒸着装置ID1の一構成例を示す図である。
【0114】
蒸着装置ID1は、複数の蒸着チャンバーEV1、EV2、EV3、EV4、EV5、EV6、EV7、EV8、EV9、EV10を備えている。これらの蒸着チャンバーEV1~EV10は、一方向に沿って並んでいる。
【0115】
蒸着チャンバーEV1は、蒸着源S1を備えている。蒸着源S1は、正孔注入層HILを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV2は、蒸着源S2を備えている。蒸着源S2は、正孔輸送層HTLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV3は、蒸着源S3を備えている。蒸着源S3は、電子ブロック層EBLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV4は、蒸着源S4を備えている。蒸着源S4は、発光層EMLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV5は、蒸着源S5を備えている。蒸着源S5は、正孔ブロック層HBLを形成するための材料を放射するように構成されている。
【0116】
蒸着チャンバーEV6は、蒸着源S6を備えている。蒸着源S6は、電子輸送層ETLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV7は、蒸着源S7を備えている。蒸着源S7は、電子注入層EILを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV8は、蒸着源S8を備えている。蒸着源S8は、上電極UEを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV9は、蒸着源S9を備えている。蒸着源S9は、第1透明層TL1を形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV10は、蒸着源S10を備えている。蒸着源S10は、第2透明層TL2を形成するための材料を放射するように構成されている。
【0117】
蒸着装置ID1に搬入される前の処理基板SUBは、水平姿勢で搬送され、姿勢変換チャンバーVCS1において、キャリアCRに固定される。また、姿勢変換チャンバーVCS1において、処理基板SUBの姿勢は、垂直姿勢に変換される。垂直姿勢の処理基板SUBは、蒸着装置ID1に搬入される。蒸着装置ID1においては、処理基板SUBが垂直姿勢で搬送されながら、各蒸着チャンバーにおいて各材料が順次蒸着される。
【0118】
図13に示す構成例においては、例えば、蒸着チャンバーEV1は第1蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV2は第2蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV3は第3蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV4は第4蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV5は第5蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV6は第6蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV7は第7蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV8は第8蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV9は第9蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV10は第10蒸着チャンバーに相当する。
【0119】
図14は、蒸着装置ID1の他の構成例を示す図である。
【0120】
蒸着装置ID1は、複数の蒸着チャンバーEV1、EV2、EV3、EV4、EV5、EV6、EV7、EV8、EV9、EV10、EV11、EV12を備えている。これらの蒸着チャンバーEV1~EV12は、一方向に沿って並んでいる。
【0121】
蒸着チャンバーEV1は、蒸着源S1を備えている。蒸着源S1は、正孔注入層HILを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV2は、蒸着源S2を備えている。蒸着源S2は、正孔輸送層HTLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV3は、蒸着源S3を備えている。蒸着源S3は、電子ブロック層EBLを形成するための材料を放射するように構成されている。
【0122】
蒸着チャンバーEV4は、蒸着源S4を備えている。蒸着源S4は、発光層EM1を形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV5は、蒸着源S5を備えている。蒸着源S5は、発光層EM2を形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV6は、蒸着源S6を備えている。蒸着源S6は、発光層EM3を形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着源S4、S5、S6の各々から放射される材料は、互いに異なる色を放つ発光材料である。
【0123】
蒸着チャンバーEV7は、蒸着源S7を備えている。蒸着源S7は、正孔ブロック層HBLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV8は、蒸着源S8を備えている。蒸着源S8は、電子輸送層ETLを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV9は、蒸着源S9を備えている。蒸着源S9は、電子注入層EILを形成するための材料を放射するように構成されている。
【0124】
蒸着チャンバーEV10は、蒸着源S10を備えている。蒸着源S10は、上電極UEを形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV11は、蒸着源S11を備えている。蒸着源S11は、第1透明層TL1を形成するための材料を放射するように構成されている。
蒸着チャンバーEV12は、蒸着源S12を備えている。蒸着源S12は、第2透明層TL2を形成するための材料を放射するように構成されている。
【0125】
蒸着装置ID1に搬入される前の処理基板SUBは、水平姿勢で搬送され、姿勢変換チャンバーVCS1において、キャリアCRに固定される。また、姿勢変換チャンバーVCS1において、処理基板SUBの姿勢は、垂直姿勢に変換される。垂直姿勢の処理基板SUBは、蒸着装置ID1に搬入される。
【0126】
このような蒸着装置ID1において、表示素子201を形成する場合には、処理基板SUBが垂直姿勢で搬送されながら、蒸着チャンバーEV1~EV4において各材料が順次蒸着される。その後、蒸着チャンバーEV5、EV6においては、処理基板SUBは、材料が蒸着されることなく搬送される。その後、蒸着チャンバーEV7~EV12において各材料が順次蒸着される。
【0127】
表示素子202を形成する場合には、処理基板SUBが垂直姿勢で搬送されながら、蒸着チャンバーEV1~EV3において各材料が順次蒸着される。その後、蒸着チャンバーEV4においては、処理基板SUBは、材料が蒸着されることなく搬送される。その後、蒸着チャンバーEV5においては、材料が蒸着される。その後、蒸着チャンバーEV6においては、処理基板SUBは、材料が蒸着されることなく搬送される。その後、蒸着チャンバーEV7~EV12において各材料が順次蒸着される。
【0128】
表示素子203を形成する場合には、処理基板SUBが垂直姿勢で搬送されながら、蒸着チャンバーEV1~EV3において各材料が順次蒸着される。その後、蒸着チャンバーEV4、EV5においては、処理基板SUBは、材料が蒸着されることなく搬送される。その後、蒸着チャンバーEV6~EV12において各材料が順次蒸着される。
【0129】
図14に示す構成例においては、例えば、蒸着チャンバーEV1は第1蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV2は第2蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV3は第3蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV4は第4蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV5は第5蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV6は第6蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV7は第7蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV8は第8蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV9は第9蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV10は第10蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV11は第11蒸着チャンバーに相当し、蒸着チャンバーEV12は第12蒸着チャンバーに相当する。また、発光層EM1は第1発光層に相当し、発光層EM2は第2発光層に相当し、発光層EM3は第3発光層に相当する。
【0130】
図14に示した構成例によれば、蒸着装置ID1は、表示素子201~203のすべてを形成するために適用することができる。つまり、表示素子201~203をそれぞれ形成するための個別のメイン製造ライン101を必要とせず、製造装置100の規模を縮小することができる。
【0131】
なお、ここでは、蒸着装置ID2についての詳細な説明は省略するが、蒸着装置ID2は、図13または図14に示した蒸着装置ID1と同様に構成されている。
【0132】
図15は、CVD装置及びドライエッチング装置の概要を示す図である。
【0133】
CVD装置CVD1~CVD4は、それぞれ処理基板SUBと対向する対向電極CECを備えている。対向電極CECは、処理基板SUBとの間で、原料ガスをプラズマ化するのに必要な電圧が印加される電極である。
【0134】
CVD装置CVD1、CVD3に着目すると、CVD装置CVD1、CVD3の各々は、ローテーションチャンバーROT3に接続されたゲートと、ローテーションチャンバーROT13に接続されたゲートと、を有している。このため、CVD装置CVD1、CVD3の各々は、ローテーションチャンバーROT3との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能であり、また、ローテーションチャンバーROT13との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能である。
また、CVD装置CVD1、CVD3の各々において、対向電極CECは、処理基板SUBの搬送経路の外側に設けられている。
【0135】
CVD装置CVD2、CVD4の各々は、ローテーションチャンバーROT3との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能であり、また、ローテーションチャンバーROT23との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能である。
【0136】
ドライエッチング装置DRY1~DRY4は、それぞれ処理基板SUBと対向する対向電極CEDを備えている。対向電極CEDは、処理基板SUBとの間で、エッチングガスをプラズマ化するのに必要な電圧が印加される電極である。
【0137】
ドライエッチング装置DRY1、DRY3に着目すると、ドライエッチング装置DRY1、DRY3の各々は、ローテーションチャンバーROT4に接続されたゲートと、ローテーションチャンバーROT14に接続されたゲートと、を有している。このため、ドライエッチング装置DRY1、DRY3の各々は、ローテーションチャンバーROT4との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能であり、また、ローテーションチャンバーROT14との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能である。
また、ドライエッチング装置DRY1、DRY3の各々において、対向電極CEDは、処理基板SUBの搬送経路の外側に設けられている。
【0138】
ドライエッチング装置DRY2、DRY4の各々は、ローテーションチャンバーROT4との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能であり、また、ローテーションチャンバーROT24との間で処理基板SUBの搬入・搬出が可能である。
【0139】
メイン製造ライン101において、搬送チャンバーTRF1、TRF2、TRF3の各々は、蒸着装置ID1から搬送された処理基板SUBを一方向に搬送するための搬送経路と、蒸着装置ID2から搬送された処理基板SUBを一方向に搬送するための搬送経路と、を有している。搬送チャンバーTRF1などにおいては、キャリアCRが搬送経路の内側に位置し、処理基板SUBが搬送経路の外側に位置している。ローテーションチャンバーROT3は、回転軸AXを中心として回転可能な回転機構RTを備えている。回転機構RTは、図中の矢印で示すように、右回り及び左回りの双方向に回転可能である。ローテーションチャンバーROT4も、ローテーションチャンバーROT3と同様に構成されている。ローテーションチャンバーROT3などにおいては、キャリアCRが回転軸AXに面している。
【0140】
サブライン102において、搬送チャンバーTRF11、TRF12、TRF13の各々は、処理基板SUBを双方向に搬送するための2つの搬送経路を有している。ローテーションチャンバーROT13、ROT14は、ローテーションチャンバーROT3と同様に構成されている。
【0141】
サブライン103において、搬送チャンバーTRF21、TRF22、TRF23の各々は、処理基板SUBを双方向に搬送するための2つの搬送経路を有している。ローテーションチャンバーROT23、ROT24は、ローテーションチャンバーROT3と同様に構成されている。
【0142】
ここで、再び図12に戻り、製造装置100において、表示装置DSPを製造する際の処理基板の流れについて説明する。
【0143】
まず、通常モードの処理基板の流れについて説明する。
【0144】
基板カセットステーションCASから取り出された処理基板は、ロードロックチャンバーLL1に搬入される。その後、処理基板は、ベークチャンバーBK1~BK3のいずれかに搬入され、ベーク処理される。その後、処理基板は、プラズマチャンバーPL1~PL3のいずれかに搬入され、プラズマ処理される。
【0145】
その後、処理基板は、水平姿勢で姿勢変換チャンバーVCS1に搬入され、キャリアに固定される。さらに、処理基板の姿勢は、垂直姿勢に変換される。その後、処理基板は、ローテーションチャンバーROT1を経由して、蒸着装置ID1または蒸着装置ID2に搬入される。蒸着装置ID1または蒸着装置ID2においては、処理基板の上に、有機層OR、上電極UE、キャップ層CPが順に形成される。
【0146】
その後、処理基板は、ローテーションチャンバーROT2、搬送チャンバーTRF1を経由して、ローテーションチャンバーROT3に搬入される。ローテーションチャンバーROT3においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、CVD装置CVD1~CVD4のいずれかに搬入される。CVD装置CVD1~CVD4において、処理基板の上に、第1無機絶縁層IL1が形成される。
【0147】
その後、処理基板は、再びローテーションチャンバーROT3に搬入される。ローテーションチャンバーROT3においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、搬送チャンバーTRF2を経由して、ローテーションチャンバーROT4に搬入される。ローテーションチャンバーROT4においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、ドライエッチング装置DRY1~DRY4のいずれかに搬入される。ドライエッチング装置DRY1~4において、第1無機絶縁層IL1の厚さが低減される。
【0148】
その後、処理基板は、再びローテーションチャンバーROT4に搬入される。ローテーションチャンバーROT4においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、搬送チャンバーTRF3を経由して、ローテーションチャンバーROT5に搬入される。ローテーションチャンバーROT5においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、CVD装置CVD5~CVD8のいずれかに搬入される。CVD装置CVD5~CVD8において、処理基板の上に、第2無機絶縁層IL2が形成される。
【0149】
その後、処理基板は、再びローテーションチャンバーROT5に搬入される。ローテーションチャンバーROT5においては、処理基板を保持した回転機構が90°回転する。その後、処理基板は、搬送チャンバーTRF4、及び、ローテーションチャンバーROT6を経由して、垂直姿勢で姿勢変換チャンバーVCS2に搬入され、キャリアから解放される。さらに、処理基板の姿勢は、水平姿勢に変換される。その後、処理基板は、ロードロックチャンバーLL2に搬入された後、基板カセットステーションCASに搬入される。
【0150】
次に、製造装置100を構成する一部の装置に不具合が発生した場合に、処理基板を迂回する迂回モードについて、いくつかのケースを説明する。
【0151】
(ケース1)ドライエッチング装置DRY1~DRY4が使用不可
【0152】
例えば、蒸着装置ID1から搬出された処理基板は、ローテーションチャンバーROT2、搬送チャンバーTRF27、ローテーションチャンバーROT22、及び、姿勢変換チャンバーVCS21を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
蒸着装置ID2から搬出された処理基板は、ローテーションチャンバーROT2、搬送チャンバーTRF17、ローテーションチャンバーROT12、及び、姿勢変換チャンバーVCS11を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
【0153】
CVD装置CVD1、CVD3で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT13、搬送チャンバーTRF12、ローテーションチャンバーROT12、及び、姿勢変換チャンバーVCS11を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
CVD装置CVD2、CVD4で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT23、搬送チャンバーTRF22、ローテーションチャンバーROT22、及び、姿勢変換チャンバーVCS21を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
【0154】
このように、製造途中の処理基板を速やかに回収することができ、復旧までの時間を短縮することができる。
【0155】
(ケース2-1)CVD装置CVD5~CVD8が使用不可
【0156】
ドライエッチング装置DRY1、DRY3で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT14、搬送チャンバーTRF14、ローテーションチャンバーROT15、搬送チャンバーTRF15、ローテーションチャンバーROT16、及び、姿勢変換チャンバーVCS12を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
ドライエッチング装置DRY2、DRY4で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT24、搬送チャンバーTRF24、ローテーションチャンバーROT25、搬送チャンバーTRF25、ローテーションチャンバーROT26、及び、姿勢変換チャンバーVCS22を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
このように、製造途中の処理基板を速やかに回収することができ、復旧までの時間を短縮することができる。
【0157】
(ケース2-2)CVD装置CVD5~CVD8が使用不可
【0158】
ドライエッチング装置DRY1、DRY3で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT14、搬送チャンバーTRF13、及び、ローテーションチャンバーROT13を経由して、CVD装置CVD1、CVD3のいずれかに搬入される。そして、CVD装置CVD1、CVD3のいずれかにおいて、処理基板の上に、第2無機絶縁層IL2が形成される。つまり、CVD装置CVD1~CVD4は、CVD装置CVD5~CVD8の代わりに代用される。
このため、一部の製造装置に不具合が発生しても、表示装置の製造を継続することができる。
【0159】
(ケース3)ローテーションチャンバーROT4が使用不可
【0160】
CVD装置CVD1、CVD3で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT13、搬送チャンバーTRF13、及び、ローテーションチャンバーROT14を経由して、ドライエッチング装置DRY1、DRY3のいずれかに搬入される。ドライエッチング装置DRY1、DRY3で処理された処理基板は、ローテーションチャンバーROT14、搬送チャンバーTRF14、及び、ローテーションチャンバーROT15を経由して、CVD装置CVD5、CVD7のいずれかに搬入される。
つまり、メイン製造ライン101のいずれかの搬送系が使用不可の場合であっても、サブライン102、103を経由して処理基板を搬送することで、表示装置の製造を継続することができる。
【0161】
(ケース4)蒸着層の確認
【0162】
通常モードを開始する前に、蒸着装置ID1で形成される蒸着層(有機層OR、上電極UE、及び、キャップ層CP)の状態を確認するモードでは、蒸着装置ID1から搬出された処理基板は、ローテーションチャンバーROT2、搬送チャンバーTRF27、ローテーションチャンバーROT22、及び、姿勢変換チャンバーVCS21を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
これにより、他の層の影響を受けることなく蒸着層の状態を確認することができる。
【0163】
(ケース5)封止層の厚さの確認
【0164】
通常モードを開始する前に、CVD装置CVD1、CVD3で形成される第1無機絶縁層IL1の厚さを確認するモードでは、ローテーションチャンバーROT1から搬出された処理基板は、搬送チャンバーTRF16、ローテーションチャンバーROT11、搬送チャンバーTRF11、ローテーションチャンバーROT12、搬送チャンバーTRF12、及び、ローテーションチャンバーROT13を経由して、CVD装置CVD1、CVD3のいずれかに搬入される。CVD装置CVD1、CVD3において、第1無機絶縁層IL1が形成された処理基板は、ローテーションチャンバーROT13、搬送チャンバーTRF12、ローテーションチャンバーROT12、及び、姿勢変換チャンバーVCS11を経由して、基板カセットステーションCASに回収される。
これにより、他の層の影響を受けることなく第1無機絶縁層IL1の厚さを確認することができる。
【0165】
次に、製造装置100の他の構成例について説明する。
【0166】
図16は、製造装置100の他の構成例を示す図である。なお、図16においては、製造装置100のうち、前処理部PREからCVD装置CVD1~CVD4までの区間を示し、ドライエッチング装置DRY1~DRY4から下流側の装置の図示を省略している。
【0167】
図16に示す構成例は、図12に示した構成例と比較して、サブライン102、103がそれぞれ蒸着装置ID1、ID2の中間部に接続された点で相違している。
【0168】
メイン製造ライン101は、蒸着装置ID1の中間部、及び、蒸着装置ID2の中間部に位置するローテーションチャンバーROT1-1を備えている。
【0169】
蒸着装置ID1は、複数の蒸着チャンバーが並んだチャンバー群ID1-1と、複数の蒸着チャンバーが並んだチャンバー群ID1-2と、を有している。例えば、チャンバー群ID1-1は、図13に示した蒸着チャンバーEV1~EV5によって構成されている。また、チャンバー群ID1-2は、図13に示した蒸着チャンバーEV6~EV10によって構成されている。
蒸着装置ID2は、複数の蒸着チャンバーが並んだチャンバー群ID2-1と、複数の蒸着チャンバーが並んだチャンバー群ID2-2と、を有している。
【0170】
ローテーションチャンバーROT1-1は、チャンバー群ID1-1とチャンバー群ID1-2との間に接続され、また、チャンバー群ID2-1とチャンバー群ID2-2との間に接続されている。また、ローテーションチャンバーROT1-1は、サブライン102、103とも接続されている。
【0171】
サブライン102は、ローテーションチャンバーROT11とローテーションチャンバーROT12との間に、搬送チャンバーTRF11-1、TRF11-2と、ローテーションチャンバーROT11-1と、搬送チャンバーTRF16-1と、を備えている。
【0172】
搬送チャンバーTRF11-1は、ローテーションチャンバーROT11とローテーションチャンバーROT11-1とを接続している。
搬送チャンバーTRF11-2は、ローテーションチャンバーROT11-1とローテーションチャンバーROT12とを接続している。
搬送チャンバーTRF16-1は、ローテーションチャンバーROT1-1とローテーションチャンバーROT11-1とを接続している。
【0173】
サブライン103は、ローテーションチャンバーROT21とローテーションチャンバーROT22との間に、搬送チャンバーTRF21-1、TRF21-2と、ローテーションチャンバーROT21-1と、搬送チャンバーTRF26-1と、を備えている。
【0174】
搬送チャンバーTRF21-1は、ローテーションチャンバーROT21とローテーションチャンバーROT21-1とを接続している。
搬送チャンバーTRF21-2は、ローテーションチャンバーROT21-1とローテーションチャンバーROT22とを接続している。
搬送チャンバーTRF26-1は、ローテーションチャンバーROT1-1とローテーションチャンバーROT21-1とを接続している。
【0175】
図16に示す構成例においては、例えば、ローテーションチャンバーROT1-1は、第13ローテーションチャンバーに相当する。
【0176】
このような構成例においても、上記の構成例と同様の効果が得られる。
【0177】
加えて、蒸着装置ID1、ID2の一部の蒸着チャンバーが使用不可となった場合に、速やかに製造途中の処理基板を回収することができる。
【0178】
あるいは、チャンバー群ID1-1の一部の蒸着チャンバーが使用不可となった場合、チャンバー群ID2-1は、チャンバー群ID1-1の代わりに代用することができる。同様に、チャンバー群ID2-2の一部の蒸着チャンバーが使用不可となった場合、チャンバー群ID1-2は、チャンバー群ID2-2の代わりに代用することができる。このため、一部の蒸着チャンバーに不具合が発生しても、表示装置の製造を継続することができる。
【0179】
以上説明したように、本実施形態によれば、製造歩留まりの低下を抑制することが可能な表示装置の製造装置及び表示装置の製造方法を提供することができる。
【0180】
以上、本発明の実施形態として説明した製造装置及び製造方法を基にして、当業者が適宜設計変更して実施し得る全ての製造装置及び製造方法も、本発明の要旨を包含する限り本発明の範囲に属する。
【0181】
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変形例に想到し得るものであり、それら変形例についても本発明の範囲に属するものと解される。例えば、上述の実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、もしくは設計変更を行ったもの、または、工程の追加、省略もしくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0182】
また、上述の実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について、本明細書の記載から明らかなもの、または当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本発明によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0183】
DSP…表示装置 10…基板
5…無機絶縁層 AP1、AP2、AP3…開口
6…隔壁 61…下部 62…上部
SP1、SP2、SP3…副画素
20、201、202、203…表示素子(有機EL素子)
LE、LE1、LE2、LE3…下電極
UE、UE1、UE2、UE3…上電極
OR、OR1、OR2、OR3…有機層
CP、CP1、CP2、CP3…キャップ層
TL1…第1透明層 TL2…第2透明層
100…製造装置
101…メイン製造ライン102、103…サブライン
ROT…ローテーションチャンバー TRF…搬送チャンバー
ID1、ID2…蒸着装置 CVD…CVD装置
DRY…ドライエッチング装置 VCS…姿勢変換チャンバー
図1
図2
図3
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図5
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図16