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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179954
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】配送支援装置
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/08 20240101AFI20241219BHJP
   B65G 61/00 20060101ALI20241219BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20241219BHJP
   G06Q 30/01 20230101ALI20241219BHJP
【FI】
G06Q10/08
B65G61/00 540
G06Q50/28
G06Q50/10
G06Q30/01
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099304
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】中西 陽平
(72)【発明者】
【氏名】福村 俊治
(72)【発明者】
【氏名】ニコル エイドリアン
(72)【発明者】
【氏名】檀野 隆一
(72)【発明者】
【氏名】木村 俊範
(72)【発明者】
【氏名】阿部 佳明
【テーマコード(参考)】
5L010
5L030
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5L010AA16
5L030BB27
5L049AA16
5L049BB27
5L049CC11
5L049CC51
5L050CC11
(57)【要約】
【課題】配送先に配送人が荷物を届ける際に当該配送人が受ける精神的な負担を推測できるようにすること。
【解決手段】配送支援装置40は、過去に配送人が配送先に荷物を届けた際における当該配送先での荷物の受取人と当該配送人とのやり取り履歴が、配送先毎に登録されている第1データベース46と、第1データベース46に登録されている配送先に配送人が荷物を届ける際に当該配送人が受ける精神的な負担の大きさを示す評価値を、第1データベース46に登録されている当該配送先に対応付けられたやり取り履歴に基づいて算出する制御装置42とを備えている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
過去に配送人が配送先に荷物を届けた際における当該配送先での荷物の受取人と当該配送人とのやり取り履歴が、配送先毎に登録されているデータベースと、
前記データベースに登録されている配送先に配送人が荷物を届ける際に当該配送人が受ける精神的な負担の大きさを示す評価値を、前記データベースに登録されている当該配送先に対応付けられた前記やり取り履歴に基づいて算出する制御装置と、を備える
配送支援装置。
【請求項2】
前記やり取り履歴は、過去に配送人が配送先に荷物を届けた際に、当該配送先の前記受取人から当該配送人が苦情を言われたことがあるか否かに関する情報、及び、当該配送先の前記受取人から当該配送人がお礼を言われたことがあるか否かに関する情報を含んでおり、
前記制御装置は、
前記やり取り履歴に、配送先の前記受取人から配送人が苦情を言われたことがある旨が含まれている場合、前記やり取り履歴に、前記受取人から配送人が苦情を言われたことがある旨が含まれていない場合と比較して前記評価値を大きくし、
前記やり取り履歴に、配送先の前記受取人から配送人がお礼を言われたことがある旨が含まれている場合、前記やり取り履歴に、前記受取人から配送人がお礼を言われたことがある旨が含まれていない場合と比較して前記評価値を小さくする
請求項1に記載の配送支援装置。
【請求項3】
前記データベースには、荷物の再配達率が配送先毎に登録されており、
前記制御装置は、前記データベースに登録されている配送先に対応付けられた再配達率が高いほど値が大きくなるように、前記評価値を算出する
請求項1又は請求項2に記載の配送支援装置。
【請求項4】
前記データベースには、置き配を許可しているか否かに関する置き配情報が配送先毎に登録されており、
前記制御装置は、前記データベースに登録されている配送先に対応付けられた前記置き配情報が、置き配を許可していることを示している場合、前記置き配情報が、置き配を許可していないことを示している場合と比較して値が小さくなるように、前記評価値を算出する
請求項1又は請求項2に記載の配送支援装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記複数の配送先に荷物を順番に届ける配送スケジュールを作成する場合に、前記評価値を当該配送先毎に算出し、当該配送先毎の前記評価値を基に、前記配送スケジュールに従って荷物の配送を行った際における配送人の精神的な負担の大きさを予測する
請求項1に記載の配送支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配送先に荷物を届ける配送人を支援する配送支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、荷物の配送に伴う配送人の肉体的な負担を評価するとともに、当該評価に基づいて複数の荷物を配送するための配送経路を設定する情報提供方法を開示している。当該方法では、荷物の大きさや重量、荷物を配送する際の移動距離や移動時間、及び、配送人の心拍数、配送車の駐車地点から配送先までの間で台車が使用できるか否かなどに基づいて、配送人の肉体的な負担が評価される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第WO2020/003832号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
配送人が配送先まで荷物を届けた際に、配送先での荷物の受取人と配送人との間では、会話などのやり取りが行われる。そのやり取りの内容によっては、配送人の精神的な負担が大きくなるおそれがある。上記の方法では、配送人が荷物を配送先に届けた際における当該配送人の精神的な負担を考慮して配送経路を設定していない。本願の課題は、配送人が配送先に荷物を届けるに先立って、配送先に配送人が荷物を届ける際における当該配送人の精神的な負担の大きさを予測できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための配送支援装置は、過去に配送人が配送先に荷物を届けた際における当該配送先での荷物の受取人と当該配送人とのやり取り履歴が、配送先毎に登録されているデータベースと、前記データベースに登録されている配送先に配送人が荷物を届ける際に当該配送人が受ける精神的な負担の大きさを示す評価値を、前記データベースに登録されている当該配送先に対応付けられた前記やり取り履歴に基づいて算出する制御装置と、を備える。
【発明の効果】
【0006】
上記配送支援装置は、配送先に配送人が荷物を届ける際に当該配送人が受ける精神的な負担を推測できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、実施形態の配送支援装置と、複数の配送車及び携帯端末とを示す概略構成図である。
図2図2は、図1の配送支援装置が備える第1データベースに登録されている情報を示す図である。
図3図3は、図1の配送支援装置が備える第2データベースに登録されている情報を示す図である。
図4図4は、図1の配送支援装置が備える制御装置が実行する一連の処理を示すフローチャートである。
図5図5は、図2の第1データベースに登録されている情報を更新する際の処理の流れを示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、配送支援装置の一実施形態を図1図5に従って説明する。
図1には、配送支援装置40と複数の配送車10とが図示されている。ここでいう「配送車10」は、配送支援装置40によって荷物の配送が支援される車両である。「配送先」とは、配送車10によって荷物が送り届けられる場所である。
【0009】
<配送車>
複数の配送車10は、事前に設定された配送スケジュールに従って、複数の配送先DLに対して荷物をそれぞれ配送する。
【0010】
配送車10には、荷物を配送先DLに送り届ける配送人が乗車する。配送人は携帯端末20を所有している。携帯端末20としては、例えば、スマートフォンやタブレット端末を挙げることができる。携帯端末20は、通信ネットワーク100を介して配送支援装置40と通信可能に構成されている。
【0011】
<配送支援装置>
配送支援装置40は、通信機41と、制御装置42と、第1データベース46と、第2データベース48とを備えている。
【0012】
通信機41は、通信ネットワーク100を介して外部の通信機器と情報の送受信を行うための配送支援装置40のインターフェースである。例えば、通信機41は、通信ネットワーク100を介して受信した情報を制御装置42に出力する。また例えば、通信機41は、制御装置42が出力した情報を、配送人の携帯端末20に対して通信ネットワーク100を介して送信する。
【0013】
制御装置42の一例は電子制御装置である。この場合、制御装置42は、CPU43とメモリ44とを備えている。メモリ44は、CPU43によって実行される制御プログラムを記憶している。CPU43がメモリ44の制御プログラムを実行することにより、制御装置42は、配送車10を用いた荷物の配送を支援するための一連の処理を実行する。この一連の処理の具体的な内容については後述する。
【0014】
第1データベース46及び第2データベース48は、上記一連の処理を制御装置42が実行する際に参照する各種の情報が登録されている記憶装置である。
<第1データベース>
図2を参照し、第1データベース46に登録されている各種の情報について説明する。第1データベース46には、配送人が配送先DLに荷物を届ける際に配送人が受ける精神的な負担の大きさを予測する際に用いる各種の情報が登録されている。
【0015】
第1データベース46には、やり取り履歴、再配達率RT及び置き配情報が、配送先DL1~DL8、…毎に登録されている。
やり取り履歴とは、過去に配送人が配送先DLに荷物を届けた際における配送先DLでの荷物の受取人と配送人との間での会話などのやり取りに関する情報である。
【0016】
やり取り履歴は、過去の荷物の配送時に、受取人から配送人が苦情を言われたことがあるか否かに関する情報を含んでいる。詳しくは、やり取り履歴は、受取人から配送人が苦情を言われたことがあるか否かに関する情報として、苦情を言われた回数である苦情回数CntAを含んでいる。例えば、配送先DL1とのやり取り履歴における苦情回数CntAは苦情回数CntA(1)である。また例えば、配送先DL2とのやり取り履歴における苦情回数CntAは苦情回数CntA(2)である。
【0017】
やり取り履歴は、過去の荷物の配送時に、受取人から配送人がお礼を言われたことがあるか否かに関する情報を含んでいる。詳しくは、やり取り履歴は、受取人から配送人がお礼を言われたことがあるか否かに関する情報として、お礼を言われた回数であるお礼回数CntBを含んでいる。例えば、配送先DL1とのやり取り履歴におけるお礼回数CntBはお礼回数CntB(1)である。また例えば、配送先DL2とのやり取り履歴におけるお礼回数CntBはお礼回数CntB(2)である。
【0018】
再配達率RTとは、配送人が荷物を配送先DLに持って行った際に当該荷物の配送が完了できなかった確率である。例えば、配送先DL1の再配達率RTは再配達率RT(1)である。また例えば、配送先DL2の再配達率RTは再配達率RT(2)である。
【0019】
置き配情報は、置き配が許可されているか否かに関する情報である。図2に示す例では、配送先DL1、DL2、DL4、DL7の置き配情報は、置き配を許可していることを示している。一方、配送先DL3、DL5、DL6、DL8の置き配情報は、置き配を許可していないことを示している。
【0020】
<第2データベース>
図3を参照し、第2データベース48に登録されている各種の情報について説明する。第2データベース48には、配送人が配送先DLに荷物を届ける際における配送人の肉体的な負担の大きさを予測する際に用いる各種の情報が登録されている。
【0021】
第2データベース48には、荷物の重さWGT、駐車地点PS及び運搬距離Lが、配送先DL1~DL8、…毎に登録されている。
荷物の重さWGTとは、配送先DLに届ける荷物の重さである。例えば、配送先DL1宛の荷物の重さは重さWGT(1)である。また例えば、配送先DL2宛の荷物の重さは重さWGT(2)である。
【0022】
駐車地点PSとは、荷物を配送先DLに届ける際に配送車10を駐車する位置である。図3に示す例では、配送先DL1~DL3に荷物を届ける際の駐車地点PSは駐車地点PS1である。また、配送先DL4、DL5に荷物を届ける際の駐車地点PSは駐車地点PS2である。
【0023】
運搬距離Lは、配送車10から運び出した荷物を配送人が配送先DLに届ける際における駐車地点PSから配送先DLまでのルートの長さである。例えば、配送先DL1の運搬距離L1は、駐車地点PS1から配送先DL1までのルートの長さである。また例えば、配送先DL2の運搬距離L2は、駐車地点PS1から配送先DL2までのルートの長さである。また例えば、配送先DL4の運搬距離L4は、駐車地点PS2から配送先DL4までのルートの長さである。
【0024】
<配送支援装置で実行される一連の処理>
図4を参照し、配送支援装置40の制御装置42が実行する一連の処理を説明する。当該一連の処理は、配送人の精神的な負担及び肉体的な負担を考慮しつつ配送スケジュールSCを作成するための処理ルーチンである。
【0025】
ステップS11において、制御装置42は、配送人の人数Nthを取得する。続くステップS13において、制御装置42は計数Nとして1をセットする。そして、制御装置42は処理をステップS15に移行する。
【0026】
ステップS15において、制御装置42は、Nth人の配送人の中の、第N配送人用の配送スケジュールSC(N)を取得する。次のステップS17において、制御装置42は、ステップS15で取得した配送スケジュールSC(N)に含まれる全ての配送先DLを取得する。例えば、配送スケジュールSC(N)には、図2及び図3に示した複数の配送先DLの中の、配送先DL1~DL8が含まれているものとする。
【0027】
続くステップS19において、制御装置42は、ステップS15で取得した配送スケジュールSC(N)に従って荷物の配送を行った際における第N配送人の精神的な負担の大きさの予測値として、第1合計評価値FA(N)を算出する。以降では、こうした第1合計評価値FA(N)を、「第N配送人の第1合計評価値FA(N)」という。
【0028】
第N配送人の第1合計評価値FA(N)の算出手法の一例について説明する。制御装置42は、配送先DL1~DL8毎に、第N配送人が受ける精神的な負担の大きさである第1小別評価値を算出する。そして、制御装置42は、算出した複数の第1個別評価値の和を、第N配送人の第1合計評価値FA(N)として算出する。
【0029】
制御装置42は、配送先DL1に第N配送人が荷物を届ける際の第1個別評価値を、第1データベース46に登録されている複数の情報、すなわち配送先DL1のやり取り履歴、配送先DL1の再配達率RT(1)及び配送先DL1の置き配情報に基づいて算出する。以降では、配送先DL1に第N配送人が荷物を届ける際の第1個別評価値を、「配送先DL1の第1個別評価値」という。
【0030】
例えば、制御装置42は、配送先DL1のやり取り履歴に、配送先DL1の受取人から配送人が苦情を言われたことがある旨が含まれている場合、当該やり取り履歴に、配送先DL1の受取人から配送人が苦情を言われたことがない旨が含まれている場合と比較して配送先DL1の第1個別評価値を大きくする。詳しくは、制御装置42は、図2に示した苦情回数CntA(1)が多いほど値が大きくなるように配送先DL1の第1個別評価値を算出する。
【0031】
また例えば、制御装置42は、配送先DL1のやり取り履歴に、配送先DL1の受取人から配送人がお礼を言われたことがある旨が含まれている場合、当該やり取り履歴に、配送先DL1の受取人から配送人がお礼を言われたことがない旨が含まれている場合と比較して配送先DL1の第1個別評価値を小さくする。詳しくは、制御装置42は、図2に示したお礼回数CntB(1)が多いほど値が小さくなるように配送先DL1の第1個別評価値を算出する。
【0032】
また例えば、制御装置42は、配送先DL1の再配達率RT(1)が高いほど値が大きくなるように配送先DL1の第1個別評価値を算出する。
また例えば、制御装置42は、配送先DL1の置き配情報が、置き配が許可されていることを示している場合、配送先DL1の置き配情報が、置き配が許可されていないことを示している場合と比較して値が小さくなるように配送先DL1の第1個別評価値を算出する。
【0033】
なお、配送先DL1以外の他の配送先の第1個別評価値の算出手法は、配送先DL1の第1個別評価値の算出手法と同様である。そのため、配送先DL1以外の他の配送先の第1個別評価値の算出手法の説明は割愛する。
【0034】
制御装置42は、ステップS19において第1合計評価値FA(N)を算出すると、処理をステップS21に移行する。ステップS21において、制御装置42は、ステップS15で取得した配送スケジュールSC(N)に従って荷物の配送を行った際における第N配送人の肉体的な負担の大きさの予測値として、第2合計評価値FB(N)を算出する。以降では、こうした第2合計評価値FB(N)を、「第N配送人の第2合計評価値FB(N)」という。
【0035】
第N配送人の第2合計評価値FB(N)の算出手法の一例について説明する。制御装置42は、配送先DL1~DL8毎に、第N配送人が受ける肉体的な負担の大きさである第2小別評価値を算出する。そして、制御装置42は、算出した複数の第2個別評価値の和を、第N配送人の第2合計評価値FB(N)として算出する。
【0036】
制御装置42は、配送先DL1に第N配送人が荷物を届ける際の第2個別評価値を、第2データベース48に登録されている複数の情報、すなわち荷物の重さWGT(1)及び運搬距離L1に基づいて算出する。以降では、配送先DL1に第N配送人が荷物を届ける際の第2個別評価値を、「配送先DL1の第2個別評価値」という。
【0037】
例えば、制御装置42は、荷物の重さWGT(1)が重いほど値が大きくなるように配送先DL1の第2個別評価値を算出する。また例えば、制御装置42は、運搬距離L1が長いほど値が大きくなるように配送先DL1の第2個別評価値を算出する。
【0038】
なお、配送先DL1以外の他の配送先の第2個別評価値の算出手法は、配送先DL1の第2個別評価値の算出手法と同様である。そのため、配送先DL2以外の他の配送先の第2個別評価値の算出手法の説明は割愛する。
【0039】
制御装置42は、ステップS21において第2合計評価値FB(N)を算出すると、処理をステップS23に移行する。ステップS23において、制御装置42は、ステップS19で算出した第N配送人の第1合計評価値FA(N)と、ステップS21で算出した第N配送人の第2合計評価値FB(N)とに基づいて、第N配送人の総合評価値FC(N)を算出する。制御装置42は、第N配送人の第1合計評価値FA(N)が大きいほど値が大きくなるように、第N配送人の総合評価値FC(N)を算出する。制御装置42は、第N配送人の第2合計評価値FB(N)が大きいほど値が大きくなるように、総合評価値FC(N)を算出する。例えば、制御装置42は、以下の関係式(D1)を用いて総合評価値FC(N)を算出できる。関係式(D1)において、「α1」及び「α2」は、総合評価値FCのうち、第1合計評価値FAが占める割合を定めるための補正ゲインである。
【0040】
FC(N)←α1・FA(N)+α2・FB(N) ・・・(D1)
制御装置42は、総合評価値FC(N)を算出すると、処理をステップS25に移行する。ステップS25において、制御装置42は、計数Nが1だけ増えるように計数Nを更新する。続くステップS27において、制御装置42は、計数Nが人数Nthよりも大きいか否かを判定する。計数Nが人数Nthよりも大きい場合は、全ての配送人に対する総合評価値FCの算出が完了したと見なす。一方、計数Nが人数Nth以下である場合は、総合評価値FCの算出が未だ行われていない配送人がいると見なす。そのため、制御装置42は、計数Nが人数Nth以下である場合(S27:NO)、処理をステップS15に移行する。一方、制御装置42は、計数Nが人数Nthよりも大きい場合(S27:YES)、処理をステップS29に移行する。
【0041】
ステップS29において、制御装置42は、Nth人の配送人の総合評価値FCに基づいて、配送スケジュールSCの再調整処理を実行する。例えば、複数の配送人の総合評価値FCのばらつきが許容範囲内に収まるように、配送スケジュールSCを再調整する。この際、制御装置42は、総合評価値FCの大きい配送人の配送スケジュールSCに含まれる配送先DLの数を減らすとともに、総合評価値FCの小さい配送人の配送スケジュールSCに含まれる配送先DLの数を増やすとよい。制御装置42は、こうした再配送処理を完了させると、図4に示した一連の処理を終了する。
【0042】
<第1データベースの更新>
図5を参照し、第1データベース46に登録されている情報の更新手法の一例について説明する。
【0043】
配送人は、配送先DLに荷物を運んだ後に、自身の携帯端末20を操作する。すなわち、配送人は、配送先DLの受取人から苦情を言われたか否かを携帯端末20に入力する。すると、ステップS101において、携帯端末20は、受取人から配送人が苦情を言われたか否かに関する情報を、通信ネットワーク100を介して配送支援装置40に送信する。
【0044】
また、配送人は、配送先DLの受取人からお礼を言われたか否かを携帯端末20に入力する。すると、ステップS103において、携帯端末20は、受取人から配送人がお礼を言われたか否かに関する情報を、通信ネットワーク100を介して配送支援装置40に送信する。
【0045】
また、配送人は、再配達になったか否かを携帯端末20に入力する。すると、ステップS105において、携帯端末20は、再配達になったか否かに関する情報を、通信ネットワーク100を介して配送支援装置40に送信する。
【0046】
一方、配送支援装置40において、通信機41が、配送人の携帯端末20から苦情を言われたか否かに関する情報を受信すると、制御装置42がステップS201の処理を実行する。ステップS201において、制御装置42は、第1データベース46の配送先DLの苦情回数CntAを更新する。
【0047】
また、通信機41が、配送人の携帯端末20からお礼を言われたか否かに関する情報を受信すると、制御装置42がステップS203の処理を実行する。ステップS203において、制御装置42は、第1データベース46の配送先DLのお礼回数CntBを更新する。
【0048】
また、通信機41が、配送人の携帯端末20から再配達になったか否かに関する情報を受信すると、制御装置42がステップS205の処理を実行する。ステップS205において、制御装置42は、第1データベース46の配送先DLの再配達率RTを更新する。
【0049】
<本実施形態の作用及び効果>
(1)第1データベース46には、過去に配送人が配送先DLに荷物を届けた際における配送先DLの受取人と配送人とのやり取り履歴が登録されている。制御装置42は、第1データベース46に登録されているやり取り履歴に基づいて、配送先DLに配送人が荷物を届ける際に配送人が受ける精神的な負担の大きさを示す第1小別評価値を算出する。
【0050】
例えば、やり取り履歴は、過去に配送人が配送先DLに荷物を届けた際に受取人から配送人が苦情を言われたことがあるか否かに関する情報を含んでいる。そして、制御装置42は、やり取り履歴に、受取人から配送人が苦情を言われたことがある旨が含まれている場合、やり取り履歴に、受取人から配送人が苦情を言われたことがある旨が含まれていない場合と比較して第1小別評価値を大きくする。
【0051】
例えば、やり取り履歴は、過去に配送人が配送先DLに荷物を届けた際に受取人から配送人がお礼を言われたことがあるか否かに関する情報を含んでいる。そして、制御装置42は、やり取り履歴に、受取人から配送人がお礼を言われたことがある旨が含まれている場合、やり取り履歴に、受取人から配送人がお礼を言われたことがある旨が含まれていない場合と比較して第1小別評価値を小さくする。
【0052】
このようにやり取り履歴を参照して第1個別評価値を算出することにより、配送支援装置40は、配送先DLに配送人が荷物を届ける際に配送人が受ける精神的な負担を推測できる。
【0053】
(2)配送先DLに荷物を持って行っても荷物を配送先DLに置いてくることができない場合は、荷物の再配達が必要となるため、配送人が受ける精神的な負担が大きいと推測できる。そこで、配送支援装置40では、第1データベース46には、再配達率RTが配送先DL毎に登録されている。そして、制御装置42は、再配達率RTが高いほど値が大きくなるように、第1小別評価値を算出する。これにより、配送支援装置40は、配送先DLに配送人が荷物を届ける際に配送人が受ける精神的な負担の推測精度を高くできる。
【0054】
(3)置き配の場合は、配送人は受取人に直接会う必要がないため、配送人が受ける精神的な負担が小さいと推測できる。そこで、配送支援装置40では、第1データベース46には上記置き配情報が配送先DL毎に登録されている。そして、制御装置42は、置き配情報が、置き配を許可していることを示している場合、置き配情報が、置き配を許可していないことを示している場合と比較して値が小さくなるように第1小別評価値を算出する。これにより、配送支援装置40は、配送先DLに配送人が荷物を届ける際に配送人が受ける精神的な負担の推測精度を高くできる。
【0055】
(4)配送支援装置40では、配送スケジュールSCを作成する場合、制御装置42は、配送スケジュールSCに含まれる配送先DL毎に第1小別評価値を算出する。そして、制御装置42は、複数の配送先DLの第1小別評価値を基に、配送スケジュールSCに従って荷物の配送を行った際における配送人の精神的な負担の大きさを予測する。これにより、配送支援装置40では、配送人の精神的な負担の大きさを調整しつつ、配送スケジュールSCを作成できる。
【0056】
<変更例>
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0057】
・置き配を許可している配送先の第1小別評価値を算出する場合、制御装置42は、第1データベース46に登録されている他の情報の内容に拘わらず、第1小別評価値の最小値を、第1小別評価値として算出するようにしてもよい。
【0058】
・制御装置42は、第1小別評価値を算出するに際し、置き配情報を考慮することなく第1小別評価値を算出してもよい。この場合、第1データベース46には、置き配情報を登録しなくてもよい。
【0059】
・制御装置42は、第1小別評価値を算出するに際し、再配達率RTを考慮することなく第1小別評価値を算出してもよい。この場合、第1データベース46には、再配達率RTを登録しなくてもよい。
【0060】
・制御装置42は、第1小別評価値を算出するに際し、過去の配送時に受取人からお礼を言われたか否かを考慮することなく第1小別評価値を算出してもよい。この場合、第1データベース46に登録されるやり取り履歴は、お礼回数CntBを含まなくてもよい。
【0061】
・制御装置42は、第1小別評価値を算出するに際し、過去の配送時に受取人から苦情を言われたか否かを考慮することなく第1小別評価値を算出してもよい。この場合、第1データベース46に登録されるやり取り履歴は、苦情回数CntAを含まなくてもよい。
【0062】
・第1データベース46には、やり取り履歴として、苦情を言われたことがあるか否かを示す情報が登録されているのであれば、苦情回数CntAが登録されていなくてもよい。この場合、制御装置42は、1回でも苦情を言われたことがある場合には、苦情を1回も言われたことがない場合よりも値が大きくなるように第1小別評価値を算出するとよい。
【0063】
・第1データベース46には、やり取り履歴として、お礼を言われたことがあるか否かを示す情報が登録されているのであれば、お礼回数CntBが登録されていなくてもよい。この場合、制御装置42は、1回でもお礼を言われたことがある場合には、お礼を1回も言われたことがない場合よりも値が小さくなるように第1小別評価値を算出するとよい。
【0064】
・制御装置42は、CPUとROMとを備えて、ソフトウェア処理を実行するものに限らない。すなわち、制御装置42は、以下の(a)、(b)及び(c)の何れかの構成であればよい。
【0065】
(a)制御装置42は、コンピュータプログラムに従って各種処理を実行する一つ以上のプロセッサを備えている。プロセッサは、CPU並びに、RAM及びROMなどのメモリを含んでいる。メモリは、処理をCPUに実行させるように構成されたプログラムコード又は指令を格納している。メモリ、すなわちコンピュータ可読媒体は、汎用又は専用のコンピュータでアクセスできるあらゆる利用可能な媒体を含んでいる。
【0066】
(b)制御装置42は、各種処理を実行する一つ以上の専用のハードウェア回路を備えている。専用のハードウェア回路としては、例えば、特定用途向け集積回路、すなわちASIC又はFPGAを挙げることができる。なお、ASICは、「Application Specific Integrated Circuit」の略記であり、FPGAは、「Field Programmable Gate Array」の略記である。
【0067】
(c)制御装置42は、各種処理の一部をコンピュータプログラムに従って実行するプロセッサと、各種処理のうちの残りの処理を実行する専用のハードウェア回路とを備えている。
【符号の説明】
【0068】
10…配送車、20…携帯端末、40…配送支援装置、42…制御装置、43…CPU、44…メモリ、46…第1データベース、48…第2データベース。
図1
図2
図3
図4
図5