(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179962
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】衣類処理装置及び衣類処理装置の制御方法
(51)【国際特許分類】
D06F 58/34 20200101AFI20241219BHJP
D06F 73/02 20060101ALI20241219BHJP
D06F 58/10 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
D06F58/34
D06F73/02
D06F58/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099314
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】糀 幸久
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 智也
(72)【発明者】
【氏名】山本 将平
【テーマコード(参考)】
3B167
3B168
【Fターム(参考)】
3B167AA24
3B167AB23
3B167AB32
3B167AB43
3B167AC14
3B167AE03
3B167AE04
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3B167BA64
3B167BA78
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3B167KA84
3B167LA08
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3B168AB32
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3B168AE03
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA48
3B168BA64
3B168BA78
3B168JM01
3B168JM02
3B168JM03
3B168WA08
(57)【要約】
【課題】本開示は、衣類等の被処理物を蒸気に晒してシワ伸ばしなどを行う衣類処理装置において、扉の開閉を運転開始の条件とすることにより、使用者が被処理物の確認をすることを促すことができる衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示における衣類処理装置100は、被処理物4を収容する収容部5を有し前面に開口を有する外殻2と、前記開口を開閉する扉3と、を有する筐体1と、収容部5内で被処理物4を保持する保持部(懸架部8)と、収容部5内の空気を処理して循環させる空気処理装置6と、扉3の開閉状態を検知する開閉検知部42と、計時機能を有し、処理運転を実行する制御部40と、を備える。制御部40は、処理運転が開始される前の所定時間T1以内に扉3が開閉されたことを開閉検知部42によって検知することにより、処理運転の開始を許容する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理物を収容する収容部を有し前面に開口を有する外殻と、前記開口を開閉する扉と、を有する筐体と、
前記収容部内で前記被処理物を保持する保持部と、
前記収容部内の空気を処理して循環させる空気処理装置と、
前記扉の開閉状態を検知する開閉検知部と、
計時機能を有し、処理運転を実行する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記処理運転が開始される前の所定時間以内に前記扉が開閉されたことを前記開閉検知部によって検知することにより、前記処理運転の開始を許容する、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記扉が閉止されたら計時を開始し、前記所定時間が経過したら、電源をOFF又は操作部をロック、にする、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記開閉検知部によって前記扉の開閉操作を検知することにより電源をONにする機能を備え、
前記扉は、電源スイッチを兼ねるように構成される、
請求項1又は2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記電源スイッチを前記扉の開閉操作の検知によるものだけに限定する、
請求項3に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
請求項1に記載の衣類処理装置において、
前記制御部は、前記扉が閉止されたら計時を開始し、前記所定時間が経過したら、電源をOFF又は操作部をロック、にする、
衣類処理装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気、熱、外力を付与するなどして衣類等の被処理物の状態を改善する衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される織物処理装置は、処理空間を形成する主本体と、前記主本体に連結され、前記処理空間を選択的に開閉するように構成されたドアと、前記主本体と連通する処理部であって、前記処理空間に蒸気を供給するように構成された蒸気供給部と、前記処理空間に乾燥空気を供給するように構成された乾燥空気供給部とを備える前記処理部と、前記蒸気供給部及び前記乾燥空気供給部を選択的に動作して、前記処理空間内の湿度を第1所定値と該第1所定値より低い第2所定値との間に維持するように構成された制御機とを備え、前記制御機は、前記処理空間内の湿度が前記第2所定値以下の場合、前記蒸気供給装置を、動作するように構成される。
【0003】
そして、前記ドアの開閉を感知して、前記制御機に対応信号を送信するように構成されたドアセンサをさらに備え、前記制御機は、前記ドアセンサにより感知された前記ドアの開閉状態に基づいて、前記蒸気供給部及び前記乾燥空気供給部を選択的に動作するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、衣類等の被処理物を蒸気に晒してシワ伸ばしなどを行う衣類処理装置において、扉の開閉を運転開始の条件とすることにより、使用者が被処理物の確認をすることを促すことができる衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示における衣類処理装置は、被処理物を収容する収容部を有し前面に開口を有する外殻と、前記開口を開閉する扉と、を有する筐体と、前記収容部内で前記被処理物を保持する保持部と、前記収容部内の空気を処理して循環させる空気処理装置と、前記扉の開閉状態を検知する開閉検知部と、計時機能を有し、処理運転を実行する制御部と、を備え、前記制御部は、前記処理運転が開始される前の所定時間以内に前記扉が開閉されたことを前記開閉検知部によって検知することにより、前記処理運転の開始を許容するものである。
【0007】
本開示における衣類処理装置の制御方法は、扉が閉止されたら計時を開始し、所定時間が経過したら、電源をOFF又は操作部をロック、にする制御方法である。
【発明の効果】
【0008】
本開示における衣類処理装置及びその制御方法は、処理運転の開始の直前に、使用者が収容された被処理物の確認をすることを促すことができる。これにより、衣類処理装置が、処理済みの被処理物に対して無駄な運転を行ったり、適合しない処理により被処理物にダメージを与えたりすることを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の機械室を見えるようにした斜視図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の側面断面図
【
図4】実施の形態1における衣類処理装置の空気処理装置及び蒸気供給装置の構成模式図
【
図5】実施の形態1における衣類処理装置の操作部の模式図
【
図6】実施の形態1における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のフローチャート
【
図7】実施の形態1における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0010】
(本開示の基礎となった知見等)
衣類等の被処理物の生地についたシワを伸ばすためには、スチームアイロンのように高温の蒸気をシワ部分に噴霧することが有効な手段である。従来技術による衣類処理装置は、被処理物が本体内に吊り下げられて蒸気に晒され、乾燥されることにより、シワ伸ばし及び脱臭などの衣類処理を行う。そして、衣類処理装置は、処理運転が終わった状態で、そのまま被処理物を保管しておくことが可能である。また、使用者は、衣類処理装置を一時的な保管庫として、処理をするつもりがないものを収容することもあり、衣類処理装置をクローゼット代わりに利用することがある。
【0011】
一般的に、衣類処理装置の処理運転は、使用者が衣類処理装置内に被処理物を収容した後、電源をONにし、被処理物に応じた運転設定を行って運転開始のスイッチを操作することで開始される。しかしながら、使用者が衣類処理装置を上記のようなクローゼット代わりに利用していた場合、処理済みの衣類又は処理不可の衣類などが収容されている可能性がある。もし、使用者が、このことに気付かず、処理したい衣類をセットしたと勘違いをした場合、処理済みの衣類であれば、再度処理することになって、無駄なエネルギーを使うことになる。また、処理不可の衣類であれば、生地又は付属物が縮んだり、変質したり、変色したりする可能性がある。
【0012】
そこで、発明者らは、これらを含めた不具合の発生を抑制することに着目し、本開示の主題を提供するに至った。
【0013】
本開示は、この課題を解決するために、使用者が衣類処理装置の処理運転を開始するためには、運転開始の直前に扉を開けることを必須とする構成とすることによって、使用者に衣類等の被処理物をあらためて確認することを促すようにすることにより、使用者の不注意から、無駄な運転、及び、被処理物の変質、等の不具合の発生を抑制する衣類処理装置を提供する。
【0014】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0015】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0016】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図5を用いて実施の形態1を説明する。
【0017】
[1-1.衣類処理装置の基本構成]
図1は、本実施の形態における衣類処理装置100の概略斜視図である。
図2は、
図1において前面下部に設けられる液体タンク装置80を取り外して機械室7を見えるようにした概略斜視図である。
【0018】
図1に示すように、衣類処理装置100の筐体1は、前面に開口を有する外殻2と、この開口を開閉する扉3とを含む。衣類等の被処理物4が収容される収容部5が、筐体1内の上部空間に内包するように設けられる。つまり、扉3の内面は、収容部5を形成する。収容部5の開口に合わせて扉3の内面外周にシール部材3aが取り付けられる。シール部材3aは、ゴム等の柔軟材で形成される。これにより、収容部5は、扉3が閉じられることにより閉空間となり、気密性が保たれる。
【0019】
液体タンク装置80は、給水タンク15、排水タンク18及びタンク収容部81(
図3参照)を含み、筐体1内の下部空間の前部に設けられる。そして、
図2に示すように、空気処理装置6などが収容される機械室7が、筐体1内の下部空間の後部に設けられる。なお、被処理物4は、人が身に着ける衣類及び小物類全般を含むほか、ハンカチ、タオル、布袋などの小物類など、繊維製品全般を含む。
【0020】
被処理物4が掛けられたハンガ4aを吊り下げる懸架部8が、収容部5内の上部に設けられる。懸架部8は、吊り下げられた被処理物4を揺動させる揺動機構が設けられてもよい。また、小物類を保持する棚8a又はフックなどが設けられてもよく、懸架部8を含めてこれらを保持部と称する。収容部5内の空気を加熱したり除湿したりして循環させる空気処理装置6、及び、収容部5内に蒸気を供給する蒸気供給装置13が、機械室7に設けられる。
【0021】
図3は、本実施の形態における衣類処理装置100の側面断面図である。
図3に示すように、収容部5は、外殻2とは別のケース5aで形成され、外殻2との間に空間を有するように構成される。ケース5aの天面には、換気口30及び換気口30を開閉する開閉装置31が設けられる。換気口30は、衣類処理装置100の停止時に開成され、収容部5内の空気が外殻2との間の空間を介して自然に換気されるための出入口になる。
【0022】
図3に示すように、機械室7には、空気処理装置6及び蒸気供給装置13が設けられる。
図4は、
図3に示す空気処理装置6及び蒸気供給装置13の構成模式図である。
【0023】
空気処理装置6は、除湿部10、空気加熱部9、送風部11、及び、これらを連接する送風路12を含む。送風路12は、収容部5の下面前部に開口して設けられる吸込口12a、及び、収容部5の下面後部に開口して設けられる吹出口12bを有する。送風部11は、ファン11a及びモータ11bを有し、吸込口12aから収容部5内の空気を吸い込み、吹出口12bから吹き出して循環させるとともに、収容部5内の空気を撹拌する。除湿部10は、処理運転の乾燥工程において、循環する空気を除湿して被処理物4の乾燥を促進する。同様に、空気加熱部9は、収容部5内の空気の温度を上昇させて被処理物4に含まれる水分の蒸発を促進する。
【0024】
除湿部10で除湿して回収された凝縮水を収容するための排水タンク18が、除湿部10から集水部19及び排水ポンプ20を介して設けられる。また、収容部5の下面は、収容部5の内壁で結露して垂れてきた凝縮水が集まるように傾斜して形成され、凝縮水を集水部19に導く回収管(図示せず)が設けられる。これにより、収容部5内が高湿になり内壁で凝縮水が発生しても本体外に漏れることなく回収される。貯水部として機能する排水タンク18は、使用者が溜まった水を廃棄できるように脱着可能に配設される。
【0025】
なお、空気処理装置6は、例えば、公知のヒートポンプユニットで構成されてもよい。
ヒートポンプユニットは、圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器を冷媒配管で連接して構成され、冷媒配管内に冷媒を循環させて熱交換を行う。ヒートポンプユニットは、凝縮器が空気加熱部9に該当し、蒸発器が除湿部10に該当する。空気加熱部9及び除湿部10がヒートポンプユニットで構成されれば、単なる換気として筐体1の外部へ湿気を強制的に排出したり、水冷装置のように多量の除湿用冷却水を使用したりせずに、省電力で効率的に乾燥運転を実施できる。
【0026】
蒸気供給装置13は、供給される水を貯留するための給水部14、蒸気発生部16及び蒸気吐出部17を含む。給水部14は、脱着可能な給水タンク15、給水タンク15が本体側に接続される接続部14a、給水タンク15の水位を検知する水位検知部50、給水ポンプ14b、及びこれらを連通接続する給水管14c、を含む。水位検知部50は、接続部14aと給水ポンプ14bとの間に設けられる。つまり、水位検知部50は、脱着可能な給水タンク15には配設されず、本体側に固定される。
【0027】
蒸気発生部16は、水と蒸気を溜める容器16a及び水を加熱し蒸発させる水加熱部16bを含み、容器16aに給水ポンプ14bからの給水管14cが接続される。蒸気吐出部17は、蒸気発生部16から連接される蒸気配管17a及び吐出口17bを含む。吐出口17bは、蒸気配管17aの先端で収容部5に開口する。なお、吐出口17bは、高温の蒸気が被処理物4に直接当たらないように形成されてもよい。これにより、より高温の蒸気の熱による素材の劣化を抑制できる。また、吐出口17bを含む近傍で結露して発生した凝縮水を集水部19に導く排水経路が設けられてもよい。さらに、容器16a内の蒸気の圧力を検知して吐出を制御する制御弁等が設けられてもよい。
【0028】
衣類処理装置100の処理運転を実行する制御部40が、収容部5の上方後部の空間など任意の場所に設けられる。そして、衣類処理装置100の運転を設定するための操作部41が、扉3の前面に配設される。また、
図1に示すように、扉3の開閉状態を検知する開閉検知部42が機械室7の前面などの所定位置に設けられてもよい。さらに、収容部5内の温度を検知する温度検知部が収容部5の内壁などの所定位置に設けられてもよい。
【0029】
図5は、衣類処理装置100の操作部41の模式図である。制御部40は、例えば、乾燥運転、シワ伸ばし運転、除菌消臭運転などの運転コースの制御を含み、かつ、それぞれの運転コースに応じて、「標準」「お急ぎ」「しっかり」などの処理条件を含む。そして、使用者によるこれらの設定に応じて運転制御を行うように構成される。操作部41は、運転コース設定ボタン、及びスタート/一時停止ボタンなどのほか、これらの設定表示、時間表示及び警告表示等が設けられる。なお、処理条件として、被処理物4の素材設定などが設けられてもよい。また、電源スイッチは、操作部41に独立したボタンが設けられてもよい。さらに、電源スイッチは、使用者が操作部41のどこかに触ることにより静電検知して電源がONになる構成、又は、扉3の開閉検知部42の検知により電源がONになる構成、等でもよい。さらに操作部を含めて、使用者の操作が所定時間Tなければ自動的にOFFになる構成でもよい。
【0030】
制御部40は、例えば、シワ伸ばし運転において、蒸気供給装置13を制御して蒸気発生部16で蒸気を発生させる蒸気供給工程を含む。このとき、制御部40は、給水ポンプ14bを動作させて蒸気発生部16の容器16aに給水し、かつ水加熱部16bに通電し、給水された水を加熱して蒸気を発生させ、収容部5内へ放出する。
【0031】
制御部40は、このようにして、収容部5内の温度が所定温度になるように制御する。これにより、収容部5内は、温度が高くなるとともに蒸気が充満し、被処理物4は湿気を多く含んでシワが伸び易くなる。
【0032】
また、制御部40は、シワ伸ばし運転において、蒸気供給工程後に、空気処理装置6を動作させて、収容部5内の空気を除湿するとともに加熱して循環させる乾燥工程を行ってもよい。これにより、被処理物4の乾燥が促進される。
【0033】
[1-2.衣類処理装置の基本動作]
以上のように構成された衣類処理装置について、一例として、シワ伸ばし運転の動作を説明する。
図6は、本実施の形態における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のフローチャートであり、Stepに沿って順番に説明する。
【0034】
Step1: 使用者は、衣類処理装置100の扉3を開き、シワ伸ばしを行う衣類などの被処理物4を収容部5上部の懸架部8にセットする。使用者は、セットした後、扉3を閉める。
【0035】
Step2: 使用者は、扉3の前面にある操作部41を操作する。まず、運転コース設定ボタンで処理したい運転コース(本実施の形態では、「シワ伸ばし」)を設定する。次に、運転コースに応じた条件設定を選択する。そして、スタート/一時停止ボタンを押してシワ伸ばし運転をスタートさせる。
【0036】
Step3: 使用者の設定に応じて、収容部5の温度及び処理時間などが制御部40により設定され、処理運転が開始される。このほか、懸架部8の揺動動作が設定されてもよい。シワ伸ばし運転において、被処理物4の揺動はシワ伸ばしを促進させることができる。
【0037】
Step4: シワ伸ばし運転が、設定に応じた所定の処理時間だけ実行される。
【0038】
Step5: 処理時間が経過すれば、適宜乾燥工程が実行される。制御部は、乾燥工程が終了すれば所定の報知を実行してシワ伸ばし運転を終了する。
【0039】
以上の通り、被処理物4のシワ伸ばし運転は、被処理物4を収容部5内で蒸気に晒す蒸気供給工程と、その後に送風乾燥させる乾燥工程と、を含む。これにより、衣類処理装置100でシワ伸ばし処理される被処理物4は、生地についたシワが伸ばされて緩和される。また、蒸気による脱臭効果も発揮される。そして、乾燥されることにより、使用者がアイロンがけをする手間が削減される。さらに、素材設定がされれば、蒸気供給工程で生地の素材に応じて運転条件が異なる設定とされることにより、シワが取れ難い素材の被処理物4についても、より効率的にシワ伸ばし処理を行える。
【0040】
[1-3.扉開閉における制御及び作用]
衣類処理装置100は、扉3の開閉状態を検知する開閉検知部42を備える。開閉検知部42は、
図1に示すように、扉3が近接する本体前面の所定位置に設けられる。開閉検知部42が設けられる位置は、確実に検知できる位置であれば、特に限られない。また、検知の確実性を向上するために、複数のスイッチが設けられてもよい。開閉検知部42の形式は特に限られず、外殻2側又は扉3側に設けられるリミットスイッチなどの機械式スイッチ、あるいは、外殻2側及び扉3側にマグネット及び磁気センサが設けられる磁気スイッチ、等でもよい。開閉検知部42は、扉3の動きを検知してもよいし、扉3の閉状態又は開状態の静止位置を検知してもよい。
【0041】
本実施の形態において、開閉検知部42は2個設けられる。1つは、収容部5より上部の前面にリミットスイッチで構成される第1開閉検知部42aが設けられる。もう1つは、扉3のヒンジと反対側の機械室7の前部に磁気センサで構成される第2開閉検知部42bが設けられ、磁気センサに対向する扉3の内面に磁石42cが設けられる。
【0042】
扉3は、第1開閉検知部42aを利用して、電源ONスイッチの機能を有して電源スイッチを兼ねる。なお、使用者が操作する電源スイッチを扉3の開閉動作の検知によるものだけに限定してもよい。これにより、操作部41等に電源スイッチを設ける必要がなくなる。
【0043】
制御部40は、扉3が開けられたこと及び閉じられたことによる第1開閉検知部42aの変化を検知することにより、扉3の開閉操作が行われたことを検知し、衣類処理装置100の電源をONにする。電源ONのタイミングは、扉3が開けられたとき又は閉じられたときのいずれでもよい。第2開閉検知部42bは、扉3が確実に閉止されていることを検知することができ、安全性も向上させる。なお、制御部40は、使用者による扉3の操作又は操作部41への入力がなければ、動作タイミングごとに設定された所定時間T後に自動的に電源をOFFにしてもよい。
【0044】
このように、衣類処理装置100は、使用者が処理運転を行うときに電源をONにするために、一旦、扉3を開閉する必要があるように構成される。さらに、制御部40は、処理運転が開始される前の所定時間T1以内に扉3が開閉されたことを開閉検知部42によって検知することにより、処理運転の開始を許容する。制御部40は、この所定時間T1が経過したら、電源をOFFにしたり、操作部41を操作できないようにロックしたりしてもよい。この構成により、使用者が扉3の開閉操作を再度行わなければならないようにできる。
【0045】
通常の使用において、使用者は、衣類処理の準備として被処理物4をセットしたらすぐに処理設定をして処理運転を開始する。このため、扉3が電源スイッチを兼ねていることは、別途、電源スイッチをONにする操作が除かれるため、使い勝手がよくなる。
【0046】
もし、使用者が事前に被処理物4をセットして時間が経過していた場合、電源をONにするために、単なる電源スイッチのON操作ではなく、扉3の開閉操作を行うことを強制することになる。しかしながら、これは使用者に対して、先にセットした被処理物4の再確認とともに、例えば、時間が経過したことにより、その間に使用者以外により処理が必要でないものが収容されていないかなどの点検を促すことができる。例えば、熱に弱いデリケートな素材の衣類等は、特別な設定が必要なため、生地又は付属物が縮んだり、変質したり、変色したりする等のダメージを受ける可能性があるので、注意が必要である。
【0047】
これは、一般の注意深い使用者であれば処理運転前に行う動作と考えられ、その動作忘れを抑制できる。また、注意を払わない使用者に対しては、衣類処理装置100の取扱説明書等で、扉3を開けての収容物の確認/点検等の操作及び目的を周知することにより、より効果的に促すことができる。
【0048】
なお、制御部40は、時計及びタイマー等の計時機能も備えている。このため、電源OFF時でも極めてわずかな電流が常時流れている。このため、衣類処理装置100は、図示しない電源プラグが電源コンセントに接続されている必要があり、制御部40にわずかな電流が常時流れている。本実施の形態では、操作部41の表示又は動作表示灯を点灯するなど、一般的な使用者が見て、衣類処理装置100の操作及び運転が可能、又は、運転中と判断できる状態を、電源がONと規定し、これ以外の状態(扉3の操作検知、時計表示状態、等を含む)を、電源がOFFと規定する。
【0049】
本開示の衣類処理装置100について、上記したシワ伸ばし運転の基本動作に加えられた機能を含めて説明する。
図7は、本実施の形態における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のより詳細なフローチャートである。
【0050】
Step10: 使用者は、衣類処理装置100の扉3を開き、シワ伸ばしを行う衣類などの被処理物4を収容部5上部の懸架部8にセットする。使用者は、セットした後、扉3を閉める。なお、事前に被処理物4がセットされていた場合、使用者は、先にセットされた被処理物4の再確認を含めて、例えば、使用者以外により予定外のものが収容されていないかなどの点検を行う。この使用者による扉3の開閉操作により、衣類処理装置100の電源がONになる。
【0051】
Step11: 制御部40は、初期待機として扉3が閉止されてからの時間を計測する。本実施の形態において、ここでの所定時間T1は、Step20を開始するまでの時間とし、Step20を処理運転の開始と定義する。使用者がすぐにStep20の設定作業に移行すれば問題ない。しかし、例えば、計測される時間が所定時間T1の1分間を経過した場合、電源をOFF、又は操作部をロック、にする。このように多くの時間が経過した場合、使用者が衣類処理装置100から離れたことも想定される。このため、運転処理の開始前に、使用者に扉3を開けて収容物を再確認することを促すことができる。なお、この所定時間T1は1分間に限られるものではない。
【0052】
Step20: 使用者は、扉3を閉止してから1分以内に、扉3の前面にある操作部41を操作する。まず、運転コース設定ボタンで処理したい運転コース(本実施の形態では、「シワ伸ばし」)を設定する。次に、運転コースに応じた条件設定を選択する。そして、スタート/一時停止ボタンを押してシワ伸ばし運転をスタートさせる。
【0053】
Step30: 使用者の設定に応じて、収容部5の温度及び処理時間などが制御部40により設定され、処理運転が開始される。このほか、懸架部8の揺動動作が設定されてもよい。シワ伸ばし運転において、被処理物4の揺動はシワ伸ばしを促進させることができる。
【0054】
Step40: シワ伸ばし運転が、設定に応じた所定の処理時間だけ実行される。
【0055】
Step50: 処理時間が経過すれば、適宜乾燥工程が実行される。制御部は、乾燥工程が終了すれば所定の報知を実行してシワ伸ばし運転を終了する。制御部40は、所定時間T、例えば3分後に自動で電源をOFFにする。
【0056】
以上のフローチャートに基づいた処理運転によれば、衣類処理装置100は、処理運転の開始前に、使用者が収容された被処理物4の確認をすることを促すことができる。これにより、衣類処理装置100が、処理済みの被処理物4に対して無駄な運転を行ったり、適合しない処理により被処理物4にダメージを与えたりすることを抑制できる。つまり、使用者は処理したい衣類などの被処理物4を、無駄なく確実に処理することができ、処理が必要ない被処理物4を不注意で処理してしまうことを抑制できる。
【0057】
[1-4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置100は、被処理物4を収容する収容部5を有し前面に開口を有する外殻2と、前記開口を開閉する扉3と、を有する筐体1と、収容部5内で被処理物4を保持する保持部(懸架部8)と、収容部5内の空気を処理して循環させる空気処理装置6と、扉3の開閉状態を検知する開閉検知部42と、計時機能を有し、処理運転を実行する制御部40と、を備える。制御部40は、処理運転が開始される前の所定時間T1以内に扉3が開閉されたことを開閉検知部42によって検知することにより、処理運転の開始を許容する。
【0058】
この構成により、衣類処理装置100は、処理運転の開始前に、使用者が収容された被
処理物4の確認をすることを促すことができる。これにより、衣類処理装置100が、処理済みの被処理物4に対して無駄な運転を行ったり、適合しない処理により被処理物4にダメージを与えたりすることを抑制できる。
【0059】
本実施の形態において、制御部40は、扉3が閉止されたら計時を開始し、所定時間T1が経過したら、電源をOFF又は操作部41をロック、にしてもよい。
【0060】
この構成により、扉3が閉止されて所定時間T1が経過したら、使用者が扉3の開閉操作を再度行わなければならないようにできる。
【0061】
本実施の形態において、制御部40は、開閉検知部42によって扉3の開閉操作を検知することにより電源をONにする機能を備え、扉3は、電源スイッチを兼ねるように構成されてもよい。
【0062】
この構成により、使用者にとっては、別途、電源スイッチをONにする操作が除かれるため、使い勝手がよくなる。
【0063】
本実施の形態において、衣類処理装置100は、電源スイッチを扉3の開閉操作の検知によるものだけに限定されてもよい。
【0064】
この構成により、操作部41等に電源スイッチを設ける必要がなくなる。
【0065】
本実施の形態の衣類処理装置100の制御方法は、扉3が閉止されたら計時を開始し、所定時間T1が経過したら、電源をOFF又は操作部41をロック、にする。
【0066】
この構成により、衣類処理装置100において、扉3が閉止されて所定時間T1が経過したら、使用者が扉3の開閉操作を再度行わなければならないようにできる。
【0067】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0068】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0069】
実施の形態1では、衣類処理装置100の一例として、扉3が電源スイッチの機能を有し、扉3の開閉を開閉検知部42で検知することにより電源がONになる構成を説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、基本構成でも説明したように、電源スイッチが操作部41等に設けられ、開閉検知部42による検知は、扉3が閉止されて所定時間T1後に電源をOFFにする開閉チェックだけの機能であってもよい。衣類処理装置100は、処理運転の開始前の開閉チェック機能さえ備えていれば、使用者に、収容済の被処理物の再確認及び収容物点検を促すことができる。
【0070】
また、実施の形態1では、開閉検知部42は、リミットスイッチ及び磁気センサを例示したが、これに限られるものではない。例えば、静電スイッチ、赤外線等の光学センサにより扉3を検知したり、扉3を自動開閉式にして、それを駆動するステップモータ等で扉3を検知したりしてもよい。また、位置を検知するもの、又は、動きを検知するもの等、扉3の開閉動作又は開閉状態を確実に検知できるものであればよい。
【0071】
また、実施の形態1では、電源ONのタイミングは、扉3が開けられたとき又は閉じられたときのいずれでもよいと説明したが、扉3を開けたまま放置されることも考えられるので、例えば、扉3が開けられたときには、内部照明だけ点灯して所定時間T後には消灯し、扉3が閉じられたときに所定時間T1の計測とともに処理運転を開始するための電源をONにしてもよい。
【0072】
また、被処理物4の処理運転は、シワ伸ばしに限らず、脱臭、乾燥、香り付けなどの剤処理等、衣類等で行われる処理全般を含む。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本開示は、衣類等の被処理物を吊り下げて収容し、着用後や折畳み収納後、洗濯後、及び洗濯乾燥後に被処理物の生地についたシワを伸ばす衣類処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 筐体
2 外殻
3 扉
3a シール部材
4 被処理物
5 収容部
5a ケース
6 空気処理装置
7 機械室
8 懸架部(保持部)
8a 棚
9 空気加熱部
10 除湿部
11 送風部
11a ファン
11b モータ
12 送風路
12a 吸込口
12b 吹出口
13 蒸気供給装置
14 給水部
14a 接続部
14b 給水ポンプ
14c 給水管
15 給水タンク
16 蒸気発生部
16a 容器
16b 水加熱部
17 蒸気吐出部
17a 蒸気配管
17b 吐出口
18 排水タンク
19 集水部
20 排水ポンプ
30 換気口
31 開閉装置
40 制御部
41 操作部
42 開閉検知部
42a 第1開閉検知部
42b 第2開閉検知部
50 水位検知部
80 液体タンク装置
81 タンク収容部
100 衣類処理装置