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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179964
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】衣類処理装置
(51)【国際特許分類】
   D06F 58/10 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
D06F58/10 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099316
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100151378
【弁理士】
【氏名又は名称】宮村 憲浩
(74)【代理人】
【識別番号】100157484
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 智之
(72)【発明者】
【氏名】山本 将平
(72)【発明者】
【氏名】仁藤 智也
(72)【発明者】
【氏名】岩佐 徹
【テーマコード(参考)】
3B168
【Fターム(参考)】
3B168AB22
3B168AB23
3B168AB30
3B168AB32
3B168AC14
3B168AE02
3B168AE03
3B168AE04
3B168AE07
3B168BA38
3B168WA08
(57)【要約】
【課題】本開示は、衣類等の被処理物を蒸気に晒してシワ伸ばしなどを行う衣類処理装置において、被処理物の収容部の開口の上辺とシール部材との接触部の近傍に高温高湿の循環空気が直接衝突する強さを低減し、シール部材における不具合を抑制する衣類処理装置を提供する。
【解決手段】本開示における衣類処理装置100は、前面に開口を有し被処理物4を収容する収容部5を内包する外殻2、及び、前記開口を開閉する扉3、を含む筐体1と、収容部5内で被処理物4を保持する保持部(懸架部8)と、収容部5内の空気を処理して循環させる空気処理装置6と、収容部5内に蒸気を供給する蒸気供給装置13と、を備える。扉3は、収容部5を形成する内面に収容部5の開口と接触するシール部材3aを有し、前記開口の上辺に接触するシール部材3aの下部に突起部60が形成される。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面に開口を有し被処理物を収容する収容部を内包する外殻、及び、前記開口を開閉する扉、を有する筐体と、
前記収容部内で前記被処理物を保持する保持部と、
前記収容部内の空気を処理して循環させる空気処理装置と、
前記収容部内に蒸気を供給する蒸気供給装置と、を備え、
前記扉は、前記収容部を形成する内面に前記外殻の前記開口と接触するシール部材を有し、前記開口の上辺に接触する前記シール部材の下部に突起部が形成される、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記突起部は、前記扉が閉じられたとき、先端が前記収容部の内部に入り込むように形成される、
請求項1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記突起部は、前記扉の側辺に設けられる前記シール部材の内周側にさらに形成される、請求項1または2に記載の衣類処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、蒸気、熱、外力を付与するなどして衣類等の被処理物の状態を改善する衣類処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に記載される衣類処理装置は、掛けられる衣類を収容するように構成された処理チャンバーと、処理チャンバーの下側に垂直に位置し、機械装置を収納するように構成されたサイクルチャンバーを定義するケースを備える。衣類処理装置は、処理チャンバーをサイクルチャンバーと区画する分離板と、ケースを開閉するように構成されたドアと、ドアの内側面に配置され、処理チャンバーで生成された凝縮水を分離板の上側に案内するように構成されたドアライナーと、分離板に配置され、ドアライナーからの凝縮水を処理チャンバーの内側に案内するように構成された凝縮水案内部材と、を備えてなる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2018-504954号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、衣類等の被処理物を蒸気に晒してシワ伸ばしなどを行う衣類処理装置において、被処理物の収容部の開口の上辺とシール部材との接触部の近傍に高温高湿の循環空気が直接衝突する強さを低減し、シール部材における不具合を抑制する衣類処理装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における衣類処理装置は、前面に開口を有し被処理物を収容する収容部を内包する外殻、及び、前記開口を開閉する扉、を含む筐体と、前記収容部内で前記被処理物を保持する保持部と、前記収容部内の空気を処理して循環させる空気処理装置と、前記収容部内に蒸気を供給する蒸気供給装置と、を備え、前記扉は、前記収容部を形成する内面に前記収容部の前記開口と接触するシール部材を有し、前記開口の上辺に接触する前記シール部材の下部に突起部が形成される。
【発明の効果】
【0006】
本開示における衣類処理装置は、収容部の開口の上辺とシール部材との接触部の近傍に高温高湿の循環空気が直接衝突する強さを低減し、シール部材における不具合を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施の形態1における衣類処理装置の斜視図
図2】実施の形態1における衣類処理装置の機械室を見えるようにした斜視図
図3】実施の形態1における衣類処理装置の側面断面図
図4】実施の形態1における衣類処理装置の空気処理装置及び蒸気供給装置の構成模式図
図5】実施の形態1における衣類処理装置の操作部の模式図
図6】実施の形態1における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のフローチャート
図7】実施の形態1における衣類処理装置の扉の内面上部の斜視図
図8】実施の形態1における衣類処理装置の扉上部近傍の側面断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
(本開示の基礎となった知見等)
衣類等の被処理物の生地についたシワを伸ばすためには、スチームアイロンのように高温の蒸気をシワ部分に噴霧することが有効な手段である。従来技術による衣類処理装置では、被処理物は吊り下げられて蒸気に晒される。衣類処理装置において、蒸気を発生させるスチームユニット及び送風を行う空気処理装置は、被処理物が収容される収容部の下方に設けられ、加湿された空気が収容部内を対流したり循環したりする。このとき、収容部の上部で扉に設けられるシール部材、及び、シール部材と収容部との接触部では、循環する高温高湿の空気が扉の内面に沿って上昇して衝突するなどして風圧が掛かり易い。このような状況から上部のシール部材は劣化し易かったり、少しの隙間でも空気が漏れやすくなったりする可能性がある。
【0009】
そこで、発明者らは、収容部内の気流を制御してシール部材の劣化及びそれに伴う不具合の発生を抑制することに着目し、本開示の主題を提供するに至った。
【0010】
本開示は、この課題を解決するために、循環空気がシール部材に衝突する強さを低減する突起部を形成することにより、シール部材による不具合を抑制する衣類処理装置を提供する。
【0011】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0012】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0013】
(実施の形態1)
以下、図1図5を用いて実施の形態1を説明する。
【0014】
[1-1.衣類処理装置の基本構成]
図1は、本実施の形態における衣類処理装置100の概略斜視図である。図2は、図1において前面下部に設けられる液体タンク装置80を取り外して機械室7を見えるようにした概略斜視図である。
【0015】
図1に示すように、衣類処理装置100の筐体1は、前面に開口を有する外殻2と、この開口を開閉する扉3とを含む。衣類等の被処理物4が収容される収容部5が、筐体1内の上部空間に内包するように設けられる。つまり、扉3の内面は、収容部5を形成する。収容部5の開口に合わせて扉3の内面外周にシール部材3aが取り付けられる。シール部材3aは、ゴム等の柔軟材で形成される。これにより、収容部5は、扉3が閉じられることにより閉空間となり、気密性が保たれる。
【0016】
液体タンク装置80は、給水タンク15、排水タンク18及びタンク収容部81(図3参照)を含み、筐体1内の下部空間の前部に設けられる。そして、図2に示すように、空気処理装置6などが収容される機械室7が、筐体1内の下部空間の後部に設けられる。なお、被処理物4は、人が身に着ける衣類及び小物類全般を含むほか、ハンカチ、タオル、布袋などの小物類など、繊維製品全般を含む。
【0017】
被処理物4が掛けられたハンガ4aを吊り下げる懸架部8が、収容部5内の上部に設け
られる。懸架部8は、吊り下げられた被処理物4を揺動させる揺動機構が設けられてもよい。また、小物類を保持する棚8a又はフックなどが設けられてもよく、懸架部8を含めてこれらを保持部と称する。収容部5内の空気を加熱したり除湿したりして循環させる空気処理装置6、及び、収容部5内に蒸気を供給する蒸気供給装置13が、機械室7に設けられる。
【0018】
図3は、本実施の形態における衣類処理装置100の側面断面図である。図3に示すように、収容部5は、外殻2とは別のケース5aで形成され、外殻2との間に空間を有するように構成される。ケース5aの天面には、換気口30及び換気口30を開閉する開閉装置31が設けられる。換気口30は、衣類処理装置100の停止時に開成され、収容部5内の空気が外殻2との間の空間を介して自然に換気されるための出入口になる。
【0019】
図3に示すように、機械室7には、空気処理装置6及び蒸気供給装置13が設けられる。図4は、図3に示す空気処理装置6及び蒸気供給装置13の構成模式図である。
【0020】
空気処理装置6は、除湿部10、空気加熱部9、送風部11、及び、これらを連接する送風路12を含む。送風路12は、収容部5の下面前部に開口して設けられる吸込口12a、及び、収容部5の下面後部に開口して設けられる吹出口12bを有する。送風部11は、ファン11a及びモータ11bを有し、吸込口12aから収容部5内の空気を吸い込み、吹出口12bから吹き出して循環させるとともに、収容部5内の空気を撹拌する。除湿部10は、処理運転の乾燥工程において、循環する空気を除湿して被処理物4の乾燥を促進する。同様に、空気加熱部9は、収容部5内の空気の温度を上昇させて被処理物4に含まれる水分の蒸発を促進する。
【0021】
除湿部10で除湿して回収された凝縮水を収容するための排水タンク18が、除湿部10から集水部19及び排水ポンプ20を介して設けられる。また、収容部5の下面は、収容部5の内壁で結露して垂れてきた凝縮水が集まるように傾斜して形成され、凝縮水を集水部19に導く回収管(図示せず)が設けられる。これにより、収容部5内が高湿になり内壁で凝縮水が発生しても本体外に漏れることなく回収される。貯水部として機能する排水タンク18は、使用者が溜まった水を廃棄できるように脱着可能に配設される。
【0022】
なお、空気処理装置6は、例えば、公知のヒートポンプユニットで構成されてもよい。ヒートポンプユニットは、圧縮機、凝縮器、膨張器及び蒸発器を冷媒配管で連接して構成され、冷媒配管内に冷媒を循環させて熱交換を行う。ヒートポンプユニットは、凝縮器が空気加熱部9に該当し、蒸発器が除湿部10に該当する。空気加熱部9及び除湿部10がヒートポンプユニットで構成されれば、単なる換気として筐体1の外部へ湿気を強制的に排出したり、水冷装置のように多量の除湿用冷却水を使用したりせずに、省電力で効率的に乾燥運転を実施できる。
【0023】
蒸気供給装置13は、供給される水を貯留するための給水部14、蒸気発生部16及び蒸気吐出部17を含む。給水部14は、脱着可能な給水タンク15、給水タンク15が本体側に接続される接続部14a、給水タンク15の水位を検知する水位検知部50、給水ポンプ14b、及びこれらを連通接続する給水管14c、を含む。水位検知部50は、接続部14aと給水ポンプ14bとの間に設けられる。つまり、水位検知部50は、脱着可能な給水タンク15には配設されず、本体側に固定される。
【0024】
蒸気発生部16は、水と蒸気を溜める容器16a及び水を加熱し蒸発させる水加熱部16bを含み、容器16aに給水ポンプ14bからの給水管14cが接続される。蒸気吐出部17は、蒸気発生部16から連接される蒸気配管17a及び吐出口17bを含む。吐出口17bは、蒸気配管17aの先端で収容部5に開口する。なお、吐出口17bは、高温
の蒸気が被処理物4に直接当たらないように形成されてもよい。これにより、より高温の蒸気の熱による素材の劣化を抑制できる。また、吐出口17bを含む近傍で結露して発生した凝縮水を集水部19に導く排水経路が設けられてもよい。さらに、容器16a内の蒸気の圧力を検知して吐出を制御する制御弁等が設けられてもよい。
【0025】
衣類処理装置100の運転制御を行う制御部40が、収容部5の上方後部の空間など任意の場所に設けられる。そして、衣類処理装置100の運転を設定するための操作部41が、扉3の前面に配設される。また、図1に示すように、扉3の開閉状態を検知する開閉検知部42が機械室7の前面などの所定位置に設けられてもよい。さらに、収容部5内の温度を検知する温度検知部が収容部5の内壁などの所定位置に設けられてもよい。
【0026】
図5は、衣類処理装置100の操作部41の模式図である。制御部40は、例えば、乾燥運転、シワ伸ばし運転、除菌消臭運転などの運転コースの制御を含み、かつ、それぞれの運転コースに応じて、「標準」「お急ぎ」「しっかり」などの処理条件を含む。そして、使用者によるこれらの設定に応じて運転制御を行うように構成される。操作部41は、運転コース設定ボタン、及びスタート/一時停止ボタンなどのほか、これらの設定表示、時間表示及び警告表示等が設けられる。なお、処理条件として、被処理物4の素材設定などが設けられてもよい。また、電源スイッチは、操作部41に独立したボタンが設けられてもよい。さらに、電源スイッチは、使用者が操作部41のどこかに触ることにより静電検知して電源がONになる構成、又は、扉3の開閉検知部42の検知により電源がONになる構成、等でもよい。さらに操作部を含めて、使用者の操作が所定時間Tなければ自動的にOFFになる構成、等でもよい。
【0027】
制御部40は、例えば、シワ伸ばし運転において、蒸気供給装置13を制御して蒸気発生部16で蒸気を発生させる蒸気供給工程を含む。このとき、制御部40は、給水ポンプ14bを動作させて蒸気発生部16の容器16aに給水し、かつ水加熱部16bに通電し、給水された水を加熱して蒸気を発生させ、収容部5内へ放出する。
【0028】
制御部40は、このようにして、収容部5内の温度が所定温度になるように制御する。これにより、収容部5内は、温度が高くなるとともに蒸気が充満し、被処理物4は湿気を多く含んでシワが伸び易くなる。
【0029】
また、制御部40は、シワ伸ばし運転において、蒸気供給工程後に、空気処理装置6を動作させて、収容部5内の空気を除湿するとともに加熱して循環させる乾燥工程を行ってもよい。これにより、被処理物4の乾燥が促進される。
【0030】
[1-2.衣類処理装置の基本動作]
以上のように構成された衣類処理装置について、一例として、シワ伸ばし運転の動作を説明する。図6は、本実施の形態における衣類処理装置のシワ伸ばし運転のフローチャートであり、Stepに沿って順番に説明する。
【0031】
Step1: 使用者は、衣類処理装置100の扉3を開き、シワ伸ばしを行う衣類などの被処理物4を収容部5上部の懸架部8にセットする。使用者は、セットした後、扉3を閉める。
【0032】
Step2: 使用者は、扉3の前面にある操作部41を操作する。まず、運転コース設定ボタンで処理したい運転コース(本実施の形態では、「シワ伸ばし」)を設定する。次に、運転コースに応じた条件設定を選択する。そして、スタート/一時停止ボタンを押してシワ伸ばし運転をスタートさせる。
【0033】
Step3: 使用者の設定に応じて、収容部5の温度及び処理時間などが制御部40により設定され、処理運転が開始される。このほか、懸架部8の揺動動作が設定されてもよい。シワ伸ばし運転において、被処理物4の揺動はシワ伸ばしを促進させることができる。
【0034】
Step4: シワ伸ばし運転が、設定に応じた所定の処理時間だけ実行される。
【0035】
Step5: 処理時間が経過すれば、適宜乾燥工程が実行される。制御部は、乾燥工程が終了すれば所定の報知を実行してシワ伸ばし運転を終了する。
【0036】
以上の通り、被処理物4のシワ伸ばし運転は、被処理物4を収容部5内で蒸気に晒す蒸気供給工程と、その後に送風乾燥させる乾燥工程と、を含む。これにより、衣類処理装置100でシワ伸ばし処理される被処理物4は、生地についたシワが伸ばされて緩和される。また、蒸気による脱臭効果も発揮される。そして、乾燥されることにより、使用者がアイロンがけをする手間が削減される。さらに、素材設定がされれば、蒸気供給工程で生地の素材に応じて運転条件が異なる設定とされることにより、シワが取れ難い素材の被処理物4についても、より効率的にシワ伸ばし処理を行える。
【0037】
[1-3.扉内面の突起部の構成及び作用]
衣類処理装置100の収容部5は、上下方向に長く形成されており、空気処理装置6の吹出口12bは収容部5の下面又は上面に構成される。このため、収容部5の内部を循環する空気は、収容部5の内面において上下方向に沿った気流が発生する。また、吹出口12bの近傍には蒸気の吐出口17bが設けられる。吐出された蒸気は、空気処理装置6による気流がなくても収容部5の内部を対流する。このようにして、収容部5の背面に沿って上昇する気流、又は、扉3の内面に沿って上昇する気流が発生すると、その気流は収容部5の開口の上辺に向かって流れる。
【0038】
上記基本構成で説明したように、収容部5の開口に合わせて扉3の内面外周にシール部材3aが取り付けられている。シール部材3aは、例えば、冷蔵庫扉に設けられるものと同様のゴム等の柔軟材で形成されたものである。具体的には、図8に示すように、複数の空洞部3cを有し、対向する外殻2の金属部分に密着するように空洞部3cの一部に磁石3dが組み込まれ、所定の厚みとクッション性を備えて構成される。
【0039】
収容部5の開口の上辺に向かって流れる気流は、扉3の下部及び側部に設けられるシール部材3aに比べて、扉3の上部に設けられるシール部材3aに直接衝突する勢いが強い。これにより、扉3の上部では収容部5から空気が漏れる可能性が高くなる。
【0040】
そして、衣類処理装置100は、シワ伸ばし運転又は乾燥運転を行うとき、高温高湿空気を対流させたり、又は、高温で乾燥した空気を収容部5の内部で循環させたりする。このような運転時、収容部5の開口の上辺と接触して気密性を保っているシール部材3aに向けて高温の空気が流れる。このようにして、高温の気流が柔軟材で形成されたシール部材3aに衝突する。つまり、扉3の上部に設けられるシール部材3aは、高温の蒸気及び気流の風圧に晒されやすい。これにより、シール部材3aは劣化が促進されたり、空気が漏れる隙間が増長されたりする可能性がある。
【0041】
また、収容部5の開口の先端とシール部材3aとの接触面より外側は、機外であって、収容部5の内部よりも温度が低い。このため、収容部5の内部が高温高湿で運転される場合、この温度差によっては、シール部材3a及びシール部材3aの固定部3b、あるいは、収容部5の開口の先端とシール部材3aとの接触面より内側の壁面などが冷やされて、これらに結露する可能性がある。特に、高温高湿の気流が衝突するように流れると、これ
らの結露が促進される可能性がある。
【0042】
図7は、本実施の形態における衣類処理装置100の扉3の内面上部の斜視図である。図8は、図3に示す破線円Aの範囲内であって、扉3上部のシール部材3aの近傍を拡大した側面断面図である。
【0043】
本実施の形態の衣類処理装置100は、図7に示すように、扉3の上部内面において、シール部材3aの下側つまり内周側にリブ形状の突起部60が設けられる。突起部60は、上辺全体に設けられる上辺突起部61と、上辺突起部61に連続し、両側の側辺の上部の一部に設けられる側辺突起部62と、を含む。
【0044】
突起部60は、シール部材3aの柔軟性を阻害しないように、シール部材3aから内周側にわずかに離れて設けられる。突起部60の奥行き(高さ)寸法は、扉3が収容部5の開口を閉止してシール部材3aが外殻2及び収容部5の先端(破線P)に密着した状態で、突起部60の先端が先端(破線P)より収容部5の内部に入り込むように形成されてもよい。つまり、突起部60は、扉3が閉じられたとき、先端が収容部5の内部に入り込むように形成されてもよい。本実施の形態では、図8に示すように、収容部5の内部に寸法Dだけ入り込んで形成される。したがって、突起部60は、扉3の上部に設けられるシール部材3a及びその固定部3bを覆うように形成される。
【0045】
上記のように構成された衣類処理装置100の収容部5において、扉3の内面を下方から上昇する気流の場合、気流は上辺突起部61に衝突し、シール部材3aの手前で流れ方向が横方向つまり後方向に変えられる。これにより、シール部材3a及びその固定部3bの近傍に直接衝突する気流の強さが低減される。
【0046】
また、収容部5の背面に沿って上昇し、上面を前方へ流れる気流の場合、気流はシール部材3aと収容部5の先端との接触部には衝突する。しかしながら、衝突直後には上辺突起部61で覆われて流れ方向が下方向に代えられる。これにより、シール部材3aの大部分及び固定部3bに直接衝突する気流の強さが低減される。
【0047】
さらに、いずれの方向からの気流であっても、上辺突起部61に衝突して流れ方向が変えられた気流により、側方への圧力が高まるが、側辺突起部62に衝突してさらに流れ方向が変えられる。つまり、側方へ流れる気流は、扉3の側辺に設けられるシール部材3aのうち上部に位置するシール部材3aに衝突するが、側辺突起部62によって直接衝突する強さが低減される。
【0048】
特に、これらの突起部60は、扉3が閉じられたとき、先端が収容部5の内部に入り込んでシール部材3a及びその固定部3bを覆うように形成される。これにより、直接衝突する気流の強さをより確実に低減でき、シール部材3aにおける不具合を抑制できる。
【0049】
以上説明したように、本実施の形態の衣類処理装置100は、扉3の内面に収容部5の開口と接触するシール部材3aを有し、開口の上辺に接触するシール部材3aの下部に突起部60(上辺突起部61及び側辺突起部62)が形成される。これにより、収容部5の開口の上辺に接触するシール部材3aの近傍に高温高湿の循環空気が直接衝突する強さを低減し、シール部材3aの劣化が促進されたり、隙間が増長されたりして、空気が漏れたり結露の発生が促進されたりするような、シール部材3aにおける不具合を抑制できる。
【0050】
[1-4.効果等]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置100は、前面に開口を有し被処理物4を収容する収容部5を内包する外殻2、及び、前記開口を開閉する扉3、を含む筐
体1と、収容部5内で被処理物4を保持する保持部(懸架部8)と、収容部5内の空気を処理して循環させる空気処理装置6と、収容部5内に蒸気を供給する蒸気供給装置13と、を備える。扉3は、収容部5を形成する内面に収容部5の開口と接触するシール部材3aを有し、前記開口の上辺に接触するシール部材3aの下部に突起部60が形成される。
【0051】
この構成により、衣類処理装置100は、収容部5の開口の上辺とシール部材3aとの接触部の近傍に高温高湿の循環空気が直接衝突する強さを低減する。これにより、シール部材3aの劣化等、シール部材3aにおける不具合を抑制できる。
【0052】
本実施の形態において、衣類処理装置100の突起部60は、扉3が閉じられたとき、先端が収容部5の内部に入り込むように形成されてもよい。
【0053】
この構成により、突起部60は、扉3の上部に設けられるシール部材3a及びその固定部3bを覆うように形成される。これにより、直接衝突する気流の強さをより確実に低減でき、シール部材3aにおける不具合を抑制できる。
【0054】
本実施の形態において、衣類処理装置100の突起部60は、扉3の側辺に設けられるシール部材3aの内周側にさらに形成されてもよい。
【0055】
上辺突起部61に衝突して流れ方向が変えられた気流により、側方への圧力が高まる。しかし、この構成により、側方へ流れる気流は、側辺の突起部60である側辺突起部62によって側辺に設けられるシール部材3aのうち、上部に位置するシール部材3aに直接衝突する強さが低減される。
【0056】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0057】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0058】
実施の形態1では、衣類処理装置の一例として、扉3の内面のシール部材3aの内周側に設けられる突起部60について、上部だけに設けられる構成を説明した。しかしながら、扉3の上部だけに限られない。例えば、シール部材3a全体の内周側に設けられてもよい。この構成によれば、どの方向からの気流に対しても、シール部材3aに循環空気が直接衝突する強さを低減し、シール部材3aにおける不具合を抑制できる。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本開示は、衣類等の被処理物を吊り下げて収容し、着用後や折畳み収納後、洗濯後、及び洗濯乾燥後に被処理物の生地についたシワを伸ばす衣類処理装置に適用可能である。
【符号の説明】
【0060】
1 筐体
2 外殻
3 扉
3a シール部材
3b 固定部
3c 空洞部
3d 磁石
4 被処理物
5 収容部
5a ケース
6 空気処理装置
7 機械室
8 懸架部(保持部)
8a 棚
9 空気加熱部
10 除湿部
11 送風部
11a ファン
11b モータ
12 送風路
12a 吸込口
12b 吹出口
13 蒸気供給装置
14 給水部
14a 接続部
14b 給水ポンプ
14c 給水管
15 給水タンク
16 蒸気発生部
16a 容器
16b 水加熱部
17 蒸気吐出部
17a 蒸気配管
17b 吐出口
18 排水タンク
19 集水部
20 排水ポンプ
30 換気口
31 開閉装置
40 制御部
41 操作部
42 開閉検知部
50 水位検知部
60 突起部
61 上辺突起部
62 側辺突起部
80 液体タンク装置
81 タンク収容部
100 衣類処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8