(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179967
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】保護リレー装置
(51)【国際特許分類】
H02H 3/02 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H02H3/02 J
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099341
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000006013
【氏名又は名称】三菱電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久村 大作
(72)【発明者】
【氏名】新宮 勇
(72)【発明者】
【氏名】長岡 啓
【テーマコード(参考)】
5G142
【Fターム(参考)】
5G142BC02
5G142BD03
(57)【要約】
【課題】効率的な演算処理が可能な保護リレー装置を提供する。
【解決手段】電力を送電する送電設備の複数の箇所にそれぞれ設けられた複数の外部機器をそれぞれ制御する保護リレー装置であって、メモリと、メモリにアクセス可能に設けられ、メモリに格納されたデータに基づいて所定の演算処理を実行するCPUと、複数の外部機器の一部の外部機器との間でメモリの第1の領域を用いて基板間通信によりデータ授受を実行するための基板間通信制御部と、複数の外部機器の残りの外部機器と基板間通信によりデータ授受を実行する拡張ユニットに対応して設けられ、拡張ユニットとの間でメモリの第2の領域を用いてユニット間通信によりデータ授受を実行するユニット間通信制御部とを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電力を送電する送電設備の複数の箇所にそれぞれ設けられた複数の外部機器をそれぞれ制御する保護リレー装置であって、
メモリと、
前記メモリにアクセス可能に設けられ、前記メモリに格納されたデータに基づいて所定の演算処理を実行するCPUと、
前記複数の外部機器の一部の外部機器との間で前記メモリの第1の領域を用いて基板間通信によりデータ授受を実行するための基板間通信制御部と、
前記複数の外部機器の残りの外部機器と基板間通信によりデータ授受を実行する拡張ユニットに対応して設けられ、前記拡張ユニットとの間で前記メモリの第2の領域を用いてユニット間通信によりデータ授受を実行するユニット間通信制御部とを備える、保護リレー装置。
【請求項2】
前記ユニット間通信制御部は、所定のタイミング毎に前記拡張ユニットからの前記残りの外部機器の一括されたデータを受信する、請求項1記載の保護リレー装置。
【請求項3】
前記ユニット間通信制御部は、所定のタイミング毎に前記拡張ユニットに対して前記残りの外部機器への一括されたデータを送信する、請求項1記載の保護リレー装置。
【請求項4】
前記メモリの格納領域は、前記拡張ユニット毎に割り当てられている、請求項1記載の保護リレー装置。
【請求項5】
前記CPUは、前記拡張ユニット毎に割り当てられた前記メモリの格納領域に対して一括でデータを取得する、請求項4記載の保護リレー装置。
【請求項6】
前記CPUは、前記拡張ユニット毎に割り当てられた前記メモリの格納領域に対して一括でデータを書き込む、請求項4記載の保護リレー装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、保護リレー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
保護リレー装置内のハードウェア構成は、一般的にリレー演算基板とI/O基板が1:Nで接続され、基板間通信にて外部機器の入出力情報をリレー演算基板へ集約する。
【0003】
母線保護装置のような外部機器との接続点数が多いシステムへ適用する場合、保護リレーユニット1台で外部機器との接続を全て賄うのは困難であり、ユニットを拡張した装置構成が必要となる。
【0004】
この点で、特許文献1においては、保護リレー装置として、ベースユニットと増設ユニットとを持ち、外部機器(計器用変成部、遮断器等)との接続方式、及びユニット間の通信に関する物理的な方式(無線、光ファイバー等)の適用例が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一方で、外部機器との接続点数に応じて拡張ユニットを組み込む装置構成となるが、母線保護では事故発生時の高速切り離し要求等があり、拡張ユニット構成においても1ユニット構成と同等の保護リレー性能が求められる。
【0007】
保護リレーの特徴上、電気角の周期でI/O情報のデータ授受を含めたリレー演算処理を実施する必要があるため、拡張ユニットを有した装置構成においても、リレー演算基板対するI/O情報のデータ授受に要する時間を短縮することが保護リレーの性能を確保するための課題となる。
【0008】
本開示は、上記の課題を解決するためのものであって、効率的な演算処理が可能な保護リレー装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ある開示に従う電力を送電する送電設備の複数の箇所にそれぞれ設けられた複数の外部機器をそれぞれ制御する保護リレー装置であって、メモリと、メモリにアクセス可能に設けられ、メモリに格納されたデータに基づいて所定の演算処理を実行するCPUと、複数の外部機器の一部の外部機器との間でメモリの第1の領域を用いて基板間通信によりデータ授受を実行するための基板間通信制御部と、複数の外部機器の残りの外部機器と基板間通信によりデータ授受を実行する拡張ユニットに対応して設けられ、拡張ユニットとの間でメモリの第2の領域を用いてユニット間通信によりデータ授受を実行するユニット間通信制御部とを備える。
【発明の効果】
【0010】
ある開示に従う保護リレー装置は、効率的な演算処理が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】実施の形態1に従う保護リレー装置10について説明する図である。
【
図2】実施の形態1に従うリレー演算基板RCA、拡張基板RCB、RCCについて説明する図である。
【
図3】実施の形態1に従うメモリ12に格納されるデータ情報について説明する図である。
【
図4】実施の形態1に従うデータ受信の処理の流れについて説明するタイミングチャート図である。
【
図5】実施の形態1に従うデータ送信の処理の流れについて説明するタイミングチャート図である。
【
図6】実施の形態1に従う所定の演算処理について説明するタイミングチャート図である。
【
図7】実施の形態2についてメモリマップについて説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、以下では、図中の同一又は相当部分には同一符号を付して、その説明は原則的に繰返さないものとする。
【0013】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に従う保護リレー装置10について説明する図である。
【0014】
図1を参照して、保護リレー装置10は、電力を送電する送電設備の複数の箇所にそれぞれ設けられた複数の外部機器をそれぞれ制御する装置である。
【0015】
具体的には、外部機器群100として、送電設備の複数の箇所にそれぞれ設けられた外部機器が設けられる。外部機器の一例としては、計器用変成器、遮断器、CB、LS等である。なお、これ以外の機器も外部機器として設けられていてもよい。
【0016】
保護リレー装置10は、各種の外部機器と接続可能に設けられた複数のI/O基板を有する。
【0017】
保護リレー装置10は、メインのリレーユニットRA以外に拡張ユニットRB、RCを含む。拡張ユニットRB、RCを設けることにより外部機器との接続点数を増加させることが可能である。
【0018】
リレーユニットRAは、リレー演算基板RCAと、電源基板VAと、複数のI/O基板FA1~FANとを含む。
【0019】
複数のI/O基板FA1~FANは、外部機器群100のうちの外部機器と接続可能に設けられる。
【0020】
電源基板VAは、リレーユニットRAに電源電圧を供給する。
リレー演算基板RCAは、保護リレー装置10のコントローラであり、種々の情報を集約して、所定の演算処理を実行する。
【0021】
リレー演算基板RCAは、基板間通信を介して複数のI/O基板FA1~FANと通信可能に設けられている。
【0022】
また、リレー演算基板RCAは、拡張ユニットRB、RCとユニット間通信を介して通信可能に設けられている。
【0023】
リレーユニットRBは、拡張基板RCBと、電源基板VBと、複数のI/O基板FB1~FBMとを含む。
【0024】
複数のI/O基板FB1~FBMは、外部機器群100のうちの外部機器と接続可能に設けられる。
【0025】
電源基板VBは、拡張ユニットRBに電源電圧を供給する。
拡張基板RCBは、リレー演算基板RCAとの間でユニット間通信を介して通信可能に設けられている。拡張基板RCBは、外部機器と接続されたI/O基板FB1~FBMを介して基板間通信によりデータの授受を実行する。
【0026】
リレーユニットRCは、拡張基板RCCと、電源基板VCと、複数のI/O基板FC1~FCLとを含む。
【0027】
複数のI/O基板FC1~FCLは、外部機器群100のうちの外部機器と接続可能に設けられる。
【0028】
電源基板VCは、拡張ユニットRCに電源電圧を供給する。
拡張基板RCCは、リレー演算基板RCAとの間でユニット間通信を介して通信可能に設けられている。拡張基板RCCは、外部機器と接続されたI/O基板FC1~FCLを介して基板間通信によりデータの授受を実行する。
【0029】
図2は、実施の形態1に従うリレー演算基板RCA、拡張基板RCB、RCCについて説明する図である。
【0030】
図2を参照して、リレー演算基板RCAは、リレーCPU1と、メモリ12と、基板間通信コントローラ部14と、ユニット間通信コントローラ部16、18とを含む。
【0031】
リレーCPU1は、メモリ12にアクセス可能に設けられ、メモリ12に格納されたデータに基づいて保護リレー装置10における各種の演算処理を実行する。
【0032】
基板間通信コントローラ部14は、複数のI/O基板FA1~FANを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信によりデータ授受を実行する。
【0033】
本例においては、メモリ12に設けられたリレーユニット領域12AがリレーユニットRAの格納領域として設けられる。
【0034】
リレーユニット領域12Aには、複数のI/O基板FA1~FANを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信により授受したデータが格納される。また、リレーユニット領域12Aには、複数のI/O基板FA1~FANを介して接続された複数の外部機器に送信するデータが格納される。
【0035】
ユニット間通信コントローラ部16、18は、拡張基板RCB、RCCにそれぞれ対応して設けられる。
【0036】
ユニット間通信コントローラ部16、18は、拡張ユニットRB、RCの拡張基板RCB、RCCとの間でユニット間通信によりデータ授受を実行する。
【0037】
本例においては、メモリ12に設けられた拡張ユニット領域12Bが拡張ユニットRBの格納領域として設けられる。
【0038】
拡張ユニット領域12Bには、拡張ユニットRBが複数のI/O基板FB1~FBMを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信により授受したデータが格納される。また、拡張ユニット領域12Bには、ユニット間通信により拡張ユニットRBの複数のI/O基板FB1~FBMを介して接続された複数の外部機器に送信するデータが格納される。
【0039】
また、メモリ12に設けられた拡張ユニット領域12Cが拡張ユニットRCの格納領域として設けられる。
【0040】
拡張ユニット領域12Cには、拡張ユニットRCが複数のI/O基板FC1~FCLを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信により授受したデータが格納される。また、拡張ユニット領域12Cには、ユニット間通信により拡張ユニットRCの複数のI/O基板FC1~FCLを介して接続された複数の外部機器に送信するデータが格納される。
【0041】
拡張基板RCBは、ユニット間通信コントローラ部20と、メモリ22と、基板間通信コントローラ部24とを含む。
【0042】
ユニット間通信コントローラ部20は、ユニット間通信コントローラ部16との間でユニット間通信を実行する。
【0043】
基板間通信コントローラ部24は、拡張ユニットRBの複数のI/O基板FB1~FBMを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信を実行する。
【0044】
メモリ22は、ユニット間通信コントローラ部20と基板間通信コントローラ部24との間でのデータの授受を実行するための一時的格納領域である。
【0045】
拡張基板RCCは、ユニット間通信コントローラ部30と、メモリ32と、基板間通信コントローラ部34とを含む。
【0046】
ユニット間通信コントローラ部30は、ユニット間通信コントローラ部18との間でユニット間通信を実行する。
【0047】
基板間通信コントローラ部34は、拡張ユニットRCの複数のI/O基板FC1~FCLを介して接続された複数の外部機器との間で基板間通信を実行する。
【0048】
メモリ32は、ユニット間通信コントローラ部30と基板間通信コントローラ部34との間でのデータの授受を実行するための一時的格納領域である。
【0049】
図3は、実施の形態1に従うメモリ12に格納されるデータ情報について説明する図である。
【0050】
図3を参照して、上りルートと、下りルートに大別される。上りルートの情報は、IO側からCPU側へのデータ情報である。下りルートの情報は、CPU側からIO側へのデータ情報である。
【0051】
上りルートについて説明する。
リレーユニットRAは、I/O基板FA1~FANから外部機器からの入力情報(AI(Analog Input)データおよびDI(Digital Input)データ)および外部のエラー情報の入力を受ける。具体的には、I/O基板FA1~FAN内のAI基板を介してAIデータの入力を受ける。また、I/O基板FA1~FAN内のDI基板を介してDIデータの入力を受ける。また、リレーユニットRAは、外部のエラー情報として各種I/O基板FA1~FANの異常および装置内の電源基板VAの異常(電源低下等)の入力を受ける。
【0052】
拡張ユニットRBは、I/O基板FB1~FAMから外部機器からの入力情報(AI(Analog Input)データおよびDI(Digital Input)データ)および外部のエラー情報の入力を受ける。具体的には、I/O基板FB1~FBM内のAI基板を介してAIデータの入力を受ける。また、I/O基板FB1~FBM内のDI基板を介してDIデータの入力を受ける。また、拡張ユニットRBは、外部のエラー情報として各種I/O基板FB1~FBMの異常および装置内の電源基板VBの異常(電源低下等)の入力を受ける。
【0053】
拡張ユニットRCは、I/O基板FC1~FCLから外部機器からの入力情報(AI(Analog Input)データおよびDI(Digital Input)データ)および外部のエラー情報の入力を受ける。具体的には、I/O基板FC1~FCL内のAI基板を介してAIデータの入力を受ける。また、I/O基板FC1~FCL内のDI基板を介してDIデータの入力を受ける。また、拡張ユニットRCは、外部のエラー情報として各種I/O基板FC1~FCLの異常および装置内の電源基板VCの異常(電源低下等)の入力を受ける。
【0054】
上りルートのデータに関して、外部機器の入力情報だけではなく、I/O基板のエラー情報や拡張ユニット電源の異常情報なども載せることにより、リレーCPU1は、拡張ユニットの異常部位の特定や判別を行うことも可能である。
【0055】
下りルートについて説明する。
リレーユニットRAは、外部機器への出力情報(DO(Digital Output)データ)および設定情報ならびに同期情報をI/O基板FA1~FANに出力する。具体的には、I/O基板FA1~FAN内のDO基板を介してDOデータを出力する。また、リレーユニットRAは、設定情報としてコンフィグ等の初期設定情報や同期情報であるI/O基板への同期タイミング設定の情報をI/O基板FA1~FANに出力する。
【0056】
一例として、同期情報は、ユニット間のサンプリングタイミングを調整する情報である。コンフィグ等の初期設定情報は、各I/O基板の初期状態(コンフィグレーション)を決定する設定情報であり、なお、同じフォーマットでPayloadに乗せて通知するようにしてもよい。同期情報や初期設定情報を、出力データ情報と異なるタイミングで送信したい場合は、下りルートを一括のフレームで送信する必要性はなく、送りたいタイミングで分割して送信するようにしてもよい。
【0057】
拡張ユニットRBは、外部機器への出力情報(DO(Digital Output)データ)および設定情報ならびに同期情報をI/O基板FB1~FBMに出力する。具体的には、I/O基板FB1~FBM内のDO基板を介してDOデータを出力する。また、リレーユニットRAは、設定情報としてコンフィグ等の初期設定情報や同期情報であるI/O基板への同期タイミング設定の情報をI/O基板FB1~FBMに出力する。
【0058】
拡張ユニットRCは、外部機器への出力情報(DO(Digital Output)データ)および設定情報ならびに同期情報をI/O基板FC1~FCLに出力する。具体的には、I/O基板FC1~FCL内のDO基板を介してDOデータを出力する。また、リレーユニットRAは、設定情報としてコンフィグ等の初期設定情報や同期情報であるI/O基板への同期タイミング設定の情報をI/O基板FC1~FCLに出力する。
【0059】
図4は、実施の形態1に従うデータ受信の処理の流れについて説明するタイミングチャート図である。
【0060】
図4を参照して、保護リレー装置10は、所定の周期毎に処理を実行する。データの送受信処理は並列的に実行することが可能である。シリアルの双方向通信(全二重)の仕様とすれば、上り/下りのバッティングも意識する必要は無い。
【0061】
本例においては、サンプリングタイムとして時刻T1、T2のタイミングで実行する場合が示されている。
【0062】
具体的には、所定の周期に従ってリレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCは、I/O基板と接続された外部機器のデータを基板間通信により受信する。
【0063】
例えば、リレーユニットRAの基板間通信コントローラ部14は、I/O基板FA1~FANと接続された外部機器のデータを基板間通信により受信する。
【0064】
基板間通信コントローラ部14は、受信したデータをメモリ12のリレーユニット領域12Aに納する。
【0065】
また、拡張ユニットRBの基板間通信コントローラ部24は、I/O基板FB1~FBMと接続された外部機器のデータを基板間通信により受信する。基板間通信コントローラ部24は、メモリ22に受信したデータを格納する。次に、ユニット間通信コントローラ部20は、メモリ22に格納された受信したデータをユニット間通信のための通信フレームに集約してリレーユニットRAに送信する。
【0066】
ユニット間通信フレームは、フラグ部(Flag)、ヘッダー部(Header)、ペイロード部(Payload)、FCS(Frame Check Sequence)部とで構成される。ペイロード部にI/O基板で受信したデータが含まれる。通信フレームに集約するため効率的にデータを授受受することが可能であり、通信時間を短縮することが可能である。
【0067】
リレーユニットRAのユニット間通信コントローラ部16は、受信した通信フレームをメモリ12の拡張ユニット領域12Bに格納する。
【0068】
また、拡張ユニットRCの基板間通信コントローラ部34は、I/O基板FC1~FCLと接続された外部機器のデータを基板間通信により受信する。基板間通信コントローラ部34は、メモリ32に受信したデータを格納する。次に、ユニット間通信コントローラ部20は、メモリ32に格納された受信したデータをユニット間通信のための通信フレームに集約してリレーユニットRAに送信する。
【0069】
リレーユニットRAのユニット間通信コントローラ部18は、受信した通信フレームをメモリ12の拡張ユニット領域12Cに格納する。
【0070】
ユニット間通信は、ユニット間通信コントローラ同士で行われる。そして、授受したデータをメモリに格納する。これによりリレーCPU1は、拡張ユニットを追加した場合であっても通信時間を確保する必要がなく、効率的な演算処理が可能である。
【0071】
なお、ペイロード部(Payload)のデータ長が短く、ユニット間通信区間に余裕がある場合には、データの再送機能を設けることにより伝送の信頼性を上げるようにしてもよい。
【0072】
次の時刻T2のタイミングにおいて、リレーCPU1は、メモリ12にアクセスしてメモリリード処理によりデータを一括で取得する。具体的には、リレーユニット領域12A、拡張ユニット領域12Bおよび拡張ユニット領域12Cに格納された受信されたデータを取得し、当該取得したデータに基づいて所定の処理を実行する。なお、本例においては、時刻T2のタイミングにおいて、リレーCPU1は、メモリ12にアクセスしてメモリリード処理を実行する場合について説明したが、時刻T1のタイミングにおいてメモリリード処理を実行するようにしてもよい。
【0073】
また、上記で説明したのと同様に、時刻T1のタイミングにおいて、リレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCは、I/O基板と接続された外部機器のデータを基板間通信により受信し、上記の処理を繰り返す。
【0074】
本例において、時刻T1と時刻T2との間において、基板間通信コントローラ部14がメモリ12のリレーユニット領域12Aに受信したデータを格納する。また、ユニット間通信コントローラ部16、18が拡張ユニットRB、RCからの外部機器の受信したデータをメモリ12の拡張ユニット領域12B、12Cに格納する。
【0075】
したがって、リレーCPU1は、メモリリード処理でデータを一括で読み込む処理以外、データ送受信処理以外の処理が可能となる。これにより、保護リレー装置が拡張ユニットを組み込む構成においても効率的な演算処理が可能であり、保護リレーの性能を確保することが可能である。
【0076】
図5は、実施の形態1に従うデータ送信の処理の流れについて説明するタイミングチャート図である。
【0077】
図5を参照して、保護リレー装置10は、所定の周期毎に処理を実行する。
本例においては、サンプリングタイムとして時刻T1、T2のタイミングで実行する場合が示されている。
【0078】
具体的には、所定の周期に従ってリレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCは、I/O基板と接続された外部機器のデータを基板間通信により送信する。
【0079】
例えば、リレーユニットRAの基板間通信コントローラ部14は、I/O基板FA1~FANと接続された外部機器に対してデータを基板間通信により送信する。
【0080】
具体的には、基板間通信コントローラ部14は、メモリ12のリレーユニット領域12Aに格納されているデータを順次送信する。
【0081】
また、拡張ユニットRBの基板間通信コントローラ部24は、I/O基板FB1~FBMと接続された外部機器に対してデータを基板間通信により送信する。
【0082】
具体的には、基板間通信コントローラ部24は、メモリ22の拡張ユニット領域12Bに格納されているデータを順次送信する。
【0083】
また、拡張ユニットRCの基板間通信コントローラ部34は、I/O基板FC1~FCLと接続された外部機器に対してデータを基板間通信により送信する。
【0084】
具体的には、基板間通信コントローラ部34は、メモリ32の拡張ユニット領域12Cに格納されているデータを順次送信する。
【0085】
時刻T1と時刻T2との間において、リレーCPU1は、メモリライト処理で外部機器に送信するためのデータをリレーユニット領域12A、拡張ユニット領域12B、拡張ユニット領域12Cにそれぞれ一括で書き込む。
【0086】
ユニット間通信コントローラ部16は、拡張ユニット領域12Bに格納されたデータをユニット間通信により拡張ユニットRBに対して送信する。
【0087】
拡張ユニットRBのユニット間通信コントローラ部20は、ユニット間通信コントローラ部16から送信されたデータを受信して、メモリ22に格納する。
【0088】
ユニット間通信コントローラ部18は、拡張ユニット領域12Cに格納されたデータをユニット間通信により拡張ユニットRCに対して送信する。
【0089】
拡張ユニットRCのユニット間通信コントローラ部30は、ユニット間通信コントローラ部18ら送信されたデータを受信して、メモリ32に格納する。
【0090】
そして、次の時刻T2のタイミングにおいて、基板間通信コントローラ部14、上記で説明したのと同様に、I/O基板FA1~FANと接続された外部機器にデータを基板間通信により順次送信する。基板間通信コントローラ部24は、I/O基板FB1~FBMと接続された外部機器に対してデータを基板間通信により順次送信する。基板間通信コントローラ部34は、I/O基板FC1~FCLと接続された外部機器に対してデータを基板間通信により順次送信する。
【0091】
本例において、時刻T1と時刻T2との間において、基板間通信コントローラ部14がメモリ12のリレーユニット領域12Aに格納されたデータを送信する。また、ユニット間通信コントローラ部16、18は、メモリ12の拡張ユニット領域12B、12Cに格納された外部機器に送信するデータをユニット間通信により送信する。したがって、リレーCPU1は、メモリライト処理でデータを一括で書き込む処理以外、データ送受信処理以外の処理が可能となる。これにより、保護リレー装置が拡張ユニットを組み込む構成としても効率的な演算処理が可能であり、保護リレーの性能を確保することが可能である。
【0092】
図6は、実施の形態1に従う所定の演算処理について説明するタイミングチャート図である。
【0093】
図6を参照して、一例として時刻T2におけるリレーCPU1の処理が示されている。
リレーCPU1は、メモリ12に格納されたデータをメモリリード処理で一括して取得する。そして、取得したデータ(一例としてAIデータ)をキューに格納する(a)。複数段のキューが設けられている場合に複数段のキューに格納されたAIデータに基づいて事故モード判定処理を実行する(b)。本例においては正常である場合が示されている。
【0094】
リレーCPU1は、判定結果のデータ(一例としてDOデータ)を下りルートで送信する(c)。一例としてリレーCPU2は、所定の演算処理の一例として上記事故モード判定処理を所定周期毎に実行する。なお、判定結果のデータに限られず他のデータを送信するようにしてもよい。例えば表示出力等のデジタル出力情報を送信するようにしてもよい。
【0095】
本例においては、時刻Tm、Tm+1、Tnの処理が示されている。
リレーCPU1は、時刻Tmにおいて、メモリ12に格納されたデータをメモリリード処理で一括して取得する。そして、取得したデータ(一例としてAIデータ)をキューに格納する(a)。複数段のキューが設けられている場合に複数段のキューに格納されたAIデータに基づいて事故モード判定処理を実行する(b)。次に、リレーCPU1は、判定結果のデータ(一例として正常)を下りルートで送信する(c)。
【0096】
リレーCPU1は、時刻Tm+1において、上記と同様の処理を実行する。
一方で、リレーCPU1は、時刻Tnにおいて、メモリ12に格納されたデータをメモリリード処理で一括して取得する。そして、取得したデータ(一例としてAIデータ)をキューに格納する(a)。複数段のキューが設けられている場合に複数段のキューに格納されたAIデータに基づいて事故モード判定処理を実行する(b)。本例においては事故検出である場合が示されている。次に、リレーCPU1は、判定結果のデータ(一例として事故検出)にしたがってTrip指令を下りルートで送信する(c)。
【0097】
これにより一例として外部機器の一つである遮断器を動作させて電力供給をストップさせることが可能である。
【0098】
実施の形態2.
上記の実施の形態1においては、メモリ12において、リレーユニット領域12A、拡張ユニット領域12B、拡張ユニット領域12Cのようにユニット毎に格納領域を分ける構成について説明した。
【0099】
本例においては、1つのメモリ12においてメモリ領域を工夫することによりさらに効率的な演算処理が可能な構成について説明する。
【0100】
図7は、実施の形態2についてメモリマップについて説明する図である。
図7を参照して、メモリ12は、上りルートのデータ情報を格納する領域と、下りルートのデータ情報を格納する領域とにグルーピングして分ける。
【0101】
上りルートのデータ情報を格納する領域において、リレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCそれぞれに対して格納する領域が事前に割り当てられている。
【0102】
下りルートのデータ情報を格納する領域において、リレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCそれぞれに対して格納する領域が事前に割り当てられている。
【0103】
本例の如くメモリマップを形成することにより、例えばメモリ12に対してリレーCPU1は、メモリリード処理を実行する際にスタートアドレスからエンドアドレスを1回指定することにより一括でリレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCの全データを取得することが可能である。
【0104】
メモリ12に対してリレーCPU1は、メモリライト処理を実行する際にスタートアドレスからエンドアドレスを1回指定することにより一括でリレーユニットRA、拡張ユニットRB、RCの全データを書き込むことが可能である。
【0105】
当該構成によりメモリリード処理およびメモリライト処理を高速化することが可能であり保護リレー装置10は効率的な演算処理が可能である。
【0106】
リレーCPU1が定周期で扱うデータ量は大きいためリレーCPU1とメモリ12との間は、大容量で且つ高速通信が可能なシリアルバス(一例としてPCIe)を適用するようにしてもよい。高速なシリアルバスの特徴として、大容量のデータを一括で送信もしくは受信することには適している。リレーCPU1は、DMA(Direct Memory Access)機能を使うことにより、データ転送中に他の処理を並列で実施して、データ転送に必要な時間を確保するようにしてもよい。
【0107】
拡張ユニットを増設したい場合にも、柔軟にメモリ増設の対応が出来るように、メモリマップを工夫することが可能である。例えば、上りと下りの先頭アドレスはある程度開けておくようにしておいてもよい。
【0108】
今回開示された各実施の形態は、矛盾しない範囲で適宜組み合わせて実施することも予定されている。今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本開示の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0109】
1 保護リレー装置、12,22,32 メモリ、12A リレーユニット領域、12B,12C 拡張ユニット領域、14,24,34 基板間通信コントローラ部、16,18,20,30 ユニット間通信コントローラ部、100 外部機器群。