(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179973
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】建材パネルの製造方法
(51)【国際特許分類】
E04C 2/292 20060101AFI20241219BHJP
B32B 15/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
E04C2/292
B32B15/18
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099352
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】596066482
【氏名又は名称】明正工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100096884
【弁理士】
【氏名又は名称】末成 幹生
(72)【発明者】
【氏名】永上 修一
【テーマコード(参考)】
2E162
4F100
【Fターム(参考)】
2E162CA31
2E162CA35
2E162CB02
2E162CB03
2E162CB06
2E162CD01
2E162CD02
4F100AB03A
4F100AB03C
4F100AT00B
4F100BA03
4F100BA06
4F100GB07
(57)【要約】
【課題】CO
2の排出量の削減に寄与できる建材パネルの製造方法を提供する。
【解決手段】互いに対向配置される一対の面材21、22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有する建材パネルの製造方法であって、電炉によって製造された鋼板から一対の面材21、22を製造し、当該一対の面材21、22に芯材30が接合される。金属製の面材21、22は、例えば、カラー鋼板、フッ素鋼板、塩ビ鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))、SUS等のステンレス板等の弾性を有する薄板材である。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、を有する建材パネルの製造方法であって、
電炉によって製造された鋼板から前記一対の面材を製造し、当該一対の面材に前記芯材が接合されることを特徴とする建材パネルの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建材パネル製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
工場や倉庫等の屋根や外壁等を、複数の建材パネルを接合することによって簡易に施工する場合がある。例えば、一対の金属板からなる面材の間に耐火性あるいは断熱性を有する芯材を挟んだ金属サンドイッチパネルは、密閉性や断熱機能に優れるとともに、施工性が良好である(特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の金属板からなる面材としては、カラー鋼板等の鋼板が用いられ、その鋼板としては、天然資源である鉄鉱石を主な原料として高炉で製造された鋼板が用いられている。しかし、 高炉で鋼板を製造する場合は、鉄鉱石を溶融するエネルギーに加えて、鉄鉱石中に含まれる酸素を除去するために多くのコークスを使用する必要がある。このため、CO2(二酸化炭素)の排出量が多く、近年のSDGsの社会的流れにそぐわない面があるため、改善の余地がある。
【0005】
そこで本発明は、CO2の排出量の削減に寄与することができる建材パネルの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の建材パネルの製造方法は、互いに対向配置される一対の面材と、前記一対の面材の間に挟まれて配置される芯材と、を有する建材パネルの製造方法であって、
電炉によって製造された鋼板から前記一対の面材を製造し、当該一対の面材に前記芯材が接合されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、CO2の排出量の削減に寄与することができる建材パネルの製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係る建材パネルを接合して構築される外壁の一部を概略的に示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る建材パネルの横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1は、実施形態の複数のパネル(建材パネル)10を横方向に接合して構築される外壁1の一部を示している。パネル10は長手方向を有する長方形の形状を有し、長手方向を上下方向に沿った状態で外壁1として組み込まれる。
図2は、幅方向(短手方向)に沿ったパネル10の横断面を示している。
【0010】
図2に示すように、パネル10は、互いに対向配置される一対の金属製の面材21,22と、一対の面材21、22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有する。すなわちパネル10は、2枚の面材21、22の間に芯材30が挟まれた金属サンドイッチパネルである。
【0011】
金属製の面材21、22は、例えば、カラー鋼板、フッ素鋼板、塩ビ鋼板、溶融55%アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板(ガルバリウム鋼板(登録商標))、SUS等のステンレス板等の弾性を有する薄板材であるが、これらに限定されない。面材21、22の厚さは、例えば0.25~1.2mm程度であるが、この範囲に限定されない。
【0012】
実施形態の面材21、22は、リサイクル資源である鉄スクラップを主な原料として電炉によって製造された鋼板から製造されている。このように電炉により製造された鋼板が、所定の処理および加工が施されて、面材21、22に製造される。鋼板の処理としては、例えばめっき処理が代表的なものであり、上述のような溶融亜鉛めっきが施された鋼板や、あるいはメッキ層の上に焼き付け塗装を行って上述したカラー鋼板に仕上げて、面材21、22として用いられる。
【0013】
芯材30は、所定の長さ寸法、幅寸法、高さ寸法を有する直方体状の形状に成形されている。芯材30は、用途(例えば、耐火、耐熱、断熱、防音等)に応じたものが用いられ、例えば、ロックウールやグラスウール等の無機繊維体、ウレタンフォームやフェノールフォーム、イソシアネートヌレートフォーム等の樹脂発泡体等が挙げられるが、これらに限定されない。例えばロックウールの場合には、フェノール樹脂等のバインダ樹脂を適宜な割合で含侵し、例えば120~220kg/m3程度の高密度に圧縮されて使用される。
【0014】
芯材30の両面に各面材21、22が接着剤によって接着されてパネル10が構成される。その接着剤としては、面材21、22および芯材30の材質等に応じて選択され、例えば、ウレタン系接着剤、エポキシ系接着剤等の樹脂系接着剤が用いられる。
【0015】
パネル10の全体寸法は任意であって、施工する外壁1に対応したものとされるが、例えば、長手方向(外壁1での上下方向)の寸法が900~13000mm程度、幅方向の寸法が400~1200mm程度、厚さが25~300mm程度であるが、これに限定はされない。
【0016】
図2に示すように、パネル10は、幅方向の一端側(
図2で右端側)および他端側(
図2で左端側)のそれぞれに、第1の接合端部40および第2の接合端部50を有する。第1の接合端部40および第2の接合端部50のそれぞれは、互いに篏合する形状を有する。1枚のパネル10の第1の接合端部40に、そのパネル10に隣接させた他のパネル10の第2の接合端部50を篏合させて、パネル10どうしが接合される。
【0017】
第1の接合端部40には、パネル10の長手方向(
図2で紙面表裏方向)に沿って延びる溝状の凹部41が形成され、さらに凹部41の底部41aに、長手方向に沿って延びる断面台形状の内側凸部42が形成されている。凹部41は、各芯材30の幅方向側端面から幅方向にそれぞれ突出する面材21、22の各突片部21a、22aにより形成されている。凹部41内の底部41aおよび内側凸部42は、芯材30を加工することにより形成されている。各突片部21a、22aは、面材21、22のそれぞれの幅方向の端部が内側に折り返し加工されることにより形成されている。内側凸部42は、パネル10の厚さ方向の中央に配置されている。底部41aから接合方向である幅方向外側に突出する内側凸部42の高さは、各突片部21a、22aの突出長さよりも小さく、凹部41から幅方向外側に突出してはいない。
【0018】
第2の接合端部50には、パネル10の長手方向に沿って延びる凸部51が形成され、さらに凸部51には、長手方向に沿って延びる断面逆台形状の内側凹部52が形成されている。凸部51は、パネル10の厚さを、厚さ方向の両側から減じることで形成されている。内側凹部52は、パネル10の厚さ方向の中央に配置されている。凸部51の、内側凹部52を除く部分は各面材21、22で覆われている。内側凹部52は、芯材30を加工することにより形成されている。
【0019】
パネル10どうしの接合は、一方のパネル10の第1の接合端部40に、当該一方のパネル10に隣接させた他方のパネル10の第2の接合端部50を篏合させる。詳しくは、第1の接合端部40の凹部41に第2の接合端部50の凸部51を嵌合させるとともに、第2の接合端部50の内側凹部52に第1の接合端部40の内側凸部42を嵌合させる。これにより、パネル10どうしが幅方向に接合される。この接合を幅方向に連続させて所定枚数のパネル10を接合し、外壁1が構築される。
【0020】
実施形態のパネル10は、互いに対向配置される一対の面材21、22と、一対の面材21。22の間に挟まれて配置される芯材30と、を有するパネルであって、電炉によって製造された鋼板から一対の面材21、22を製造し、当該一対の面材21、22に芯材30が接合されて製造される。
【0021】
パネル10の面材21、22は、リサイクル資源である鉄スクラップを主な原料とする電炉により製造された鋼板から製造されている。天然資源である鉄鉱石を主な原料とする高炉により鋼板を製造する場合には、鉄鉱石を溶融するエネルギーを要するとともに、鉄鉱石中に含まれる酸素を除去するために多くのコークスを使用する。これに対し、電炉により鋼板を製造する場合には、鉄スクラップを溶融して鋼板にするため、酸素を除去する必要がなく、高炉での鋼板の製造に比して二酸化炭素の排出量を大幅に削減できる。したがって実施形態の面材21、22によれば、高炉での鋼板の製造と比較して、CO2の排出量の削減(例えば75%程度)に寄与することができる。
【符号の説明】
【0022】
10 建材パネル
21、22 面材
30 芯材