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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179977
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】自動倉庫
(51)【国際特許分類】
   B65G 1/00 20060101AFI20241219BHJP
   B65G 1/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65G1/00 511J
B65G1/04 501
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099359
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003643
【氏名又は名称】株式会社ダイフク
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】小杉 悠貴
(72)【発明者】
【氏名】松尾 康伸
【テーマコード(参考)】
3F022
【Fターム(参考)】
3F022FF01
3F022JJ09
3F022MM51
3F022MM57
(57)【要約】
【課題】複数段の足場を利用する作業者の安全性を高めつつ、スタッカクレーンに対するメンテナンス作業を行い易いメンテナンス設備を備えた自動倉庫が望まれる。
【解決手段】収容棚と、スタッカクレーンと、メンテナンス設備と、を備えた自動倉庫であって、メンテナンス設備は、上下方向に並ぶ複数段の作業ステージ10を備え、第1層ステージ11及び上層ステージは、マスト貫通部14と、ステージ足場16と、を備え、第1層梯子2は、上下方向視で第1層ステージ11に対して外側に配置され、上層梯子3は、上下方向視で第1層ステージ11と重複する位置に配置され、上層ステージ12は、上層梯子3により作業者が上下方向に通行できるように上下方向に貫通する通行用貫通部を備え、通行用貫通部は、第1層ステージ11のステージ足場16と重複する位置に配置されている。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記スタッカクレーンのメンテナンスを行うためのメンテナンス設備と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、上下方向に沿うように前記走行台車に立設されたマストと、前記物品を保持及び移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、
前記メンテナンス設備は、上下方向視で前記収容棚と重複しない位置に配置されていると共に、前記スタッカクレーンが前記走行経路上に設定されたメンテナンス位置にある状態で前記スタッカクレーンの少なくとも一部が収容されるように構成され、
前記メンテナンス設備は、上下方向に並ぶ複数段の作業ステージを備え、
前記走行台車より上側に配置された複数段の前記作業ステージのうちの1つの前記作業ステージを第1層ステージとし、前記第1層ステージよりも上段の前記作業ステージを上層ステージとして、
前記第1層ステージ及び前記上層ステージは、前記メンテナンス位置にある前記スタッカクレーンの前記マストが上下方向に貫通するマスト貫通部と、前記マスト貫通部以外の領域に設けられて作業者の足場として機能するステージ足場と、を備え、
前記作業者が床面から前記第1層ステージに上るための梯子である第1層梯子は、上下方向視で前記第1層ステージに対して外側に配置され、
前記作業者が前記第1層ステージから前記上層ステージに上るための梯子である上層梯子は、上下方向視で前記第1層ステージと重複する位置に配置され、
前記上層ステージは、前記上層梯子により前記作業者が上下方向に通行できるように上下方向に貫通する通行用貫通部を備え、
前記通行用貫通部は、上下方向視で前記第1層ステージの前記ステージ足場と重複する位置に配置されている、自動倉庫。
【請求項2】
前記上層ステージは、前記ステージ足場の一部として開閉足場を備え、
前記開閉足場は、前記通行用貫通部を閉鎖して前記ステージ足場として機能する閉鎖状態と、前記通行用貫通部を前記作業者が通行できるように前記通行用貫通部を開放する開放状態と、に状態変更可能に構成されている、請求項1に記載の自動倉庫。
【請求項3】
複数段の前記作業ステージを支持する支持フレームが、複数段の前記作業ステージの外周を囲む位置に配置され、
前記上層梯子は、複数段の前記作業ステージに対して着脱自在であると共に、前記支持フレームに対して着脱自在である、請求項2に記載の自動倉庫。
【請求項4】
前記ステージ足場は、前記作業者の足場としては機能しない退避姿勢と、前記作業者の足場として機能する展開姿勢とに姿勢変更可能な可動足場を備え、
前記上層梯子の下部は、当該上層梯子が配置された前記作業ステージにおける前記可動足場以外の前記ステージ足場に支持されるように構成されている、請求項3に記載の自動倉庫。
【請求項5】
前記メンテナンス設備は、前記上層ステージとして、第1上層ステージと、前記第1上層ステージに対して1段上の第2上層ステージと、を備え、
前記第1上層ステージから前記第2上層ステージに上るための前記上層梯子の下部は、前記第1上層ステージにおける前記閉鎖状態の前記開閉足場に支持されるように構成されている、請求項4に記載の自動倉庫。
【請求項6】
前記メンテナンス設備は、前記上層梯子の下部と前記ステージ足場とを互いに固定するための固定部を更に備える、請求項4又は5に記載の自動倉庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記スタッカクレーンのメンテナンスを行うためのメンテナンス設備と、を備えた自動倉庫に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特開2007-246231号公報(特許文献1)には、自動倉庫に関する技術が開示されている。以下、背景技術の説明において括弧内に示す符号は特許文献1のものである。
【0003】
特許文献1の自動倉庫は、複数の物品を収容する収容棚(保管棚列2A)と、収容棚に物品を搬送するスタッカクレーン(スタッカクレーンC1)と、待避ゾーン(S)とを備えている。スタッカクレーンは、収容棚に沿って敷設された走行レール(R1)に案内されて走行する。また、スタッカクレーンは、収容棚に隣接する待避ゾーン(S)に移動可能に構成されている。待避ゾーンには、予備のスタッカクレーンが待機する駐留エリア(S1)と、スタッカクレーンに対して修理や点検を行うメンテナンスゾーン(S2)とが含まれている。この自動倉庫では、物品を搬送中のスタッカクレーンに不具合が生じた場合には、不具合が生じたスタッカクレーンをメンテナンスゾーン(S2)に移動させる。そして、駐留エリア(S1)で待機する予備のスタッカクレーンを使用して、物品の搬送を引き続き行えるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007-246231号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自動倉庫では、メンテナンスゾーンにおいて、不具合が生じたスタッカクレーンや定期点検の対象となるスタッカクレーンに対するメンテナンス作業が行われる。メンテナンス作業では、スタッカクレーンの比較的高い位置に対する修理や整備等に対応するために、床面よりも上側の位置に複数段の足場を備えたメンテナンス設備が設けられることがある。これにより、作業者は、足場を利用してスタッカクレーンに対するメンテナンス作業を行うことができる。このようなメンテナンス設備では、作業者が、複数段の足場の間を、梯子を利用して移動するように構成されることがある。その場合、梯子を昇り降りする作業者の安全性を高める必要がある。また、作業者がメンテナンス作業を行う各足場において、作業者の作業性を高めることが望ましい。
【0006】
そこで、複数段の足場を利用する作業者の安全性を高めつつ、スタッカクレーンに対するメンテナンス作業を行い易いメンテナンス設備を備えた自動倉庫が望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る自動倉庫は、複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記スタッカクレーンのメンテナンスを行うためのメンテナンス設備と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、上下方向に沿うように前記走行台車に立設されたマストと、前記物品を保持及び移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、
前記メンテナンス設備は、上下方向視で前記収容棚と重複しない位置に配置されていると共に、前記スタッカクレーンが前記走行経路上に設定されたメンテナンス位置にある状態で前記スタッカクレーンの少なくとも一部が収容されるように構成され、
前記メンテナンス設備は、上下方向に並ぶ複数段の作業ステージを備え、
前記走行台車より上側に配置された複数段の前記作業ステージのうちの1つの前記作業ステージを第1層ステージとし、前記第1層ステージよりも上段の前記作業ステージを上層ステージとして、
前記第1層ステージ及び前記上層ステージは、前記メンテナンス位置にある前記スタッカクレーンの前記マストが上下方向に貫通するマスト貫通部と、前記マスト貫通部以外の領域に設けられて作業者の足場として機能するステージ足場と、を備え、
前記作業者が床面から前記第1層ステージに上るための梯子である第1層梯子は、上下方向視で前記第1層ステージに対して外側に配置され、
前記作業者が前記第1層ステージから前記上層ステージに上るための梯子である上層梯子 は、上下方向視で前記第1層ステージと重複する位置に配置され、
前記上層ステージは、前記上層梯子により前記作業者が上下方向に通行できるように上下方向に貫通する通行用貫通部を備え、
前記通行用貫通部は、上下方向視で前記第1層ステージの前記ステージ足場と重複する位置に配置されている。
【0008】
本構成によれば、スタッカクレーンにおける、床面に立つ作業者の手が届かない箇所に対してメンテナンス作業を行う場合には、作業者は、第1層ステージ及び上層ステージのステージ足場を利用できるため、作業性の良い状態でメンテナンス作業を行うことができる。
その上で、本構成によれば、比較的床面に近い第1層ステージについては、第1層梯子を第1層ステージの外側に設けたことにより、通行用貫通部を不要とすることができ、第1層ステージのステージ足場を広く確保することができる。また、上層梯子及び通行用貫通部が、上下方向視で第1層ステージのステージ足場と重複する位置に配置されているため、上層梯子の下に第1層ステージのステージ足場が存在することになり、第1層ステージと上層ステージとの間を移動する作業者の安全性を高め易い。
このように、本構成によれば、ステージ足場を利用する作業者の安全性を高めつつ、スタッカクレーンに対するメンテナンス作業を行い易くできる。
【0009】
自動倉庫のさらなる特徴と利点は、図面を参照して説明する例示的且つ非限定的な実施形態についての以下の記載から明確となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】自動倉庫の平面図
図2】スタッカクレーンの側面図
図3】メンテナンス設備の斜視図
図4】第1層梯子が取り付けられた状態を模式的に示す斜視図
図5】上層ステージの作業ステージを模式的に示す斜視図
図6】第1層ステージの平面図
図7】上層ステージの平面図
図8】上層ステージの平面図
図9】上層ステージの平面図
図10】上層梯子の固定部を示す正面図
図11】可動足場の姿勢変更を模式的に示す側面図
図12】補助足場の姿勢変更を模式的に示す側面図
図13】第2退避姿勢の補助足場が支持されている状態を模式的に示す側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
自動倉庫の実施形態について、図面を参照して説明する。図1に示すように、自動倉庫100は、複数の物品Wを収容する収容棚5と、物品Wを搬送するスタッカクレーン4と、スタッカクレーン4のメンテナンスを行うためのメンテナンス設備1と、を備えている。本実施形態では、収容棚5とメンテナンス設備1とが互いに隣接するように配置されている。また、自動倉庫100には、スタッカクレーン4の走行経路6が、収容棚5とメンテナンス設備1に沿うように設定されている。
【0012】
以下では、上下方向視で走行経路6に沿う方向を経路方向Xとし、上下方向視で経路方向Xに直交する方向を経路直交方向Yとして説明する。そして、経路方向Xの一方側を経路方向第1側X1とし、その反対側を経路方向第2側X2とする。また、経路直交方向Yの一方側を経路直交方向第1側Y1とし、その反対側を経路直交方向第2側Y2とする。本例では、自動倉庫100は、入出庫コンベヤ94を更に備えている。そして、図1に示すように、メンテナンス設備1が、収容棚5に対して経路方向第1側X1に配置され、収容棚5が、入出庫コンベヤ94に対して経路方向第1側X1に配置されている。
【0013】
図1の例では、収容棚5は、走行経路6に対して経路直交方向Yの両外側に1組配置されている。また、入出庫コンベヤ94は、出庫用コンベヤ94aと入庫用コンベヤ94bとを備えており、これらのコンベヤは経路方向Xに沿うと共に、走行経路6を挟んで向かい合うように配置されている。スタッカクレーン4は、走行経路6を移動して、入出庫コンベヤ94と1組の収容棚5との間で物品Wの搬送を行う。本例では、収容棚5は、経路方向X及び上下方向に並ぶ複数の収容部(不図示)を備えている。複数の収容部のそれぞれは、物品Wを保管するように構成されている。
【0014】
図1及び図2に示すように、スタッカクレーン4は、収容棚5に沿って設定された走行経路6に沿って走行する走行台車41と、上下方向に沿うように走行台車41に立設されたマスト42と、物品Wを保持及び移載する移載装置43を支持していると共にマスト42に沿って昇降する昇降体44と、を備えている。本実施形態では、走行台車41は、走行経路6に沿って敷設された下部レールR1に案内されて走行する。走行台車41は、複数の走行輪45を備えており、これらの走行輪45が下部レールR1上を転動することで、走行経路6に沿って走行する。図1及び図3の例では、1対の下部レールR1が床面に敷設されている。
【0015】
図2に示すように、スタッカクレーン4は、マスト42として、走行経路6に沿う方向に離間して配置された第1マスト部材42aと第2マスト部材42bとを備えている。第1マスト部材42aと第2マスト部材42bとは、経路方向Xに分かれて配置されている。図示の例では、第1マスト部材42aは、第2マスト部材42bに対して経路方向第1側X1に配置されている。第1マスト部材42aと第2マスト部材42bとの上端は、上部フレーム46により相互に連結されている。本例では、上部フレーム46は、上部レールR2によって経路方向Xに案内される構成になっている。本例では、図1から図3に示すように、下部レールR1は、入出庫コンベヤ94と収容棚5とに沿うと共に、経路方向第1側X1の端部がメンテナンス設備1の内部に延びるように配置されている。一方、上部レールR2は、入出庫コンベヤ94と収容棚5とに沿うように配置されているが、メンテナンス設備1の内部には配置されていない。
【0016】
昇降体44は、図2に示すように、マスト42に沿って昇降することで、搬送中の物品Wを上下方向に移動させる。昇降体44は移載装置43を下方から支持している。物品Wは、移載装置43に載置された状態で、昇降体44に保持される。移載装置43は、物品Wを経路直交方向Yに移動させて、移載対象箇所(ここでは、収容棚5の各収容部及び入出庫コンベヤ94)との間で物品Wの移載を行う。本例では、移載装置43が備える移載機構はフォーク式とされているが、コンベヤ装置とされていてもよい。スタッカクレーン4が、入出庫コンベヤ94(図1)に対応する位置にある場合には、昇降体44は、出庫用コンベヤ94a又は入庫用コンベヤ94bに対応する高さに移動する。そして、移載装置43は、これらのコンベヤとの間で物品Wの受け渡しを行う。また、スタッカクレーン4が収容棚5(図1)との間で物品Wの受け渡しを行う場合には、受け渡しの対象となる収容部の正面にスタッカクレーン4が移動すると、昇降体44が、当該収容部に対応する高さに移動する。そして、移載装置43は、当該収容部との間で物品Wの受け渡しを行う。
【0017】
上述のとおり、スタッカクレーン4は、経路方向Xに沿って移動して、入出庫コンベヤ94と収容棚5との間で物品Wを搬送する。一方、スタッカクレーン4に不具合が生じた場合や、スタッカクレーン4の整備等を行う場合には、当該スタッカクレーン4をメンテナンス設備1に移動させる。なお、スタッカクレーン4の移動については、作業者がリモコンを操作してメンテナンス設備1に移動させてもよいし、自動倉庫100が備える制御装置が、スタッカクレーン4に生じた不具合を検知すると、当該スタッカクレーン4を自動的にメンテナンス設備1に移動させるようにしてもよい。メンテナンス設備1では、作業者により、スタッカクレーン4に対する修理や整備等のメンテナンス作業が行われる。なお、ここでは、「整備」には、スタッカクレーン4を最初に配置する際のスタッカクレーン4の調整や、定期的な点検におけるスタッカクレーン4の調整等が含まれる。
【0018】
図1及び図3に示すように、メンテナンス設備1は、上下方向視で収容棚5と重複しない位置に配置されていると共に、スタッカクレーン4が走行経路6上に設定されたメンテナンス位置7にある状態でスタッカクレーン4の少なくとも一部が収容されるように構成されている。上述したとおり、メンテナンス設備1は、収容棚5に対して経路方向第1側X1に隣接している。また、メンテナンス設備1は、スタッカクレーン4の走行経路6の経路方向第1側X1の端部を囲むように配置されている。図1及び図3の例では、メンテナンス設備1は、経路方向X及び経路直交方向Yに沿うように配置されている。
【0019】
本実施形態では、図1及び図6に示すように、メンテナンス設備1は、メンテナンス位置7にある状態で、スタッカクレーン4の全体を収容するように構成されている。また、メンテナンス設備1は、走行経路6に沿って移動して、メンテナンス設備1の内部に進入するスタッカクレーン4と干渉しないように構成されている。なお、メンテナンス設備1は、スタッカクレーン4の一部を収容するように構成されていてもよい。例えば、第1マスト部材42a及び第2マスト部材42bのいずれかが、上下方向視でメンテナンス設備1に重複しない位置に配置されていたり、上部フレーム46が、メンテナンス設備1の上端よりも高い位置に配置されていたりしてもよい。メンテナンス設備1の具体的な構成については、以下で説明する。
【0020】
図3に示すように、メンテナンス設備1は、上下方向に並ぶ複数段の作業ステージ10を備えている。これらの作業ステージ10は、走行台車41より上側に配置されている。従って、作業者は、各段の作業ステージ10を利用して、スタッカクレーン4における走行台車41よりも上側の部分に対するメンテナンス作業を行うことができる。以下では、走行台車41より上側に配置された複数段の作業ステージ10のうちの1つの作業ステージ10を第1層ステージ11とし、第1層ステージ11よりも上段の作業ステージ10を上層ステージ12とする。本実施形態では、第1層ステージ11は、複数段の作業ステージ10のうちの最下段の作業ステージ10とされている。
【0021】
本実施形態では、図3に示すように、メンテナンス設備1は、上層ステージ12として、第1上層ステージ12aと、第1上層ステージ12aに対して1段上の第2上層ステージ12bと、を備えている。すなわち、メンテナンス設備1は、最下段の作業ステージ10である第1層ステージ11と、第1層ステージ11に対して1段上の第1上層ステージ12aと、第2上層ステージ12bとを備えている。ここで、床面から第1層ステージ11までの高さ、第1層ステージ11から第1上層ステージ12aまでの高さ、及び第1上層ステージ12aから第2上層ステージ12bまでの高さのそれぞれは、一般的な作業者の身長よりも少し高くなる程度に設定されていると好ましい。例えば、これらの高さが、作業ステージ10上で起立した作業者の手が届く上下方向の最大の位置と同程度の高さに設定されていると好適である。このようにして作業ステージ10を複数段備えることで、作業ステージ10上で起立する作業者の手が届く上下方向の最大の位置よりも上側においてメンテナンス作業を行うことを回避できる。従って比較的背の高い脚立等を用いる必要がなく、各作業ステージ10で作業を行う作業者の作業効率及び作業者の安全性を向上させることができる。
【0022】
図3の例では、上記のとおり、第1層ステージ11、第1上層ステージ12a、及び第2上層ステージ12bが上下方向に並んで配置されているが、使用するスタッカクレーン4の規模に応じて、第2上層ステージ12bよりも上に更に作業ステージ10を設けてもよい。また、上層ステージ12として、第1上層ステージ12aのみを設けるようにしてもよい。床面と第1層ステージ11との間に、作業者が作業をするステージを別途設けるようにしてもよい。例えば、作業者が当該ステージを足場として、走行台車41や、床面と第1層ステージ11との間に配置させた昇降体44及び移載装置43に対するメンテナンス作業を行うようにすることもできる。このように、本例では、最下段の作業ステージ10と床面との間に、作業ステージ10とは異なる作業用の足場(ステージ)が設けられていてもよい。同様に、1つの段の作業ステージ10と、それより1つ上の段の作業ステージ10との間に、作業ステージ10とは異なる作業用の足場が設けられていても良い。
【0023】
図5から図9に示すように、第1層ステージ11及び上層ステージ12は、メンテナンス位置7にあるスタッカクレーン4のマスト42が上下方向に貫通するマスト貫通部14と、マスト貫通部以外の領域に設けられて作業者の足場として機能するステージ足場16と、ステージ足場16を支持する支持フレーム8と、を備えている。本実施形態では、作業ステージ10(ここでは、第1層ステージ11、第1上層ステージ12a、及び第2上層ステージ12b)は、ステージ足場16の外縁により囲まれた領域とされており、マスト貫通部14を含んでいる。そして、複数段の作業ステージ10を支持する支持フレーム8が、複数段の作業ステージ10の外周を囲む位置に配置されている。本例では、複数段の作業ステージ10のそれぞれに対応して複数の支持フレーム8が設けられている。ここで、「作業ステージ10の外周を囲む位置に配置」とは、作業ステージ10の外周を囲む位置の全域に(言い換えれば、全周に)配置されていることには限られず、作業ステージ10の外周を囲む位置の一部のみ(言い換えれば、全周のうちの一部のみ)に配置されていることを含んでいる。図3及び図6から図9の例では、各段の作業ステージ10の外周を囲む位置のうち、スタッカクレーン4の走行経路6と干渉する位置には支持フレーム8は設けられていない。
【0024】
図3に示すように、メンテナンス設備1は、複数の支柱91が上下方向に沿うように床面に立設されている。本例では、複数の支柱91のそれぞれは、メンテナンス設備1が全体として直方体形状となるように、経路方向X及び経路直交方向Yに分かれて配置されている。そして、複数(ここでは3つ)の支持フレーム8が、上下方向に互いに離間した状態で、これらの支柱91に支持されている。支持フレーム8は、経路方向X及び経路直交方向Yに沿うと共に、上下方向視で矩形状となるように配置されている。マスト貫通部14は、メンテナンス位置7における第1マスト部材42a及び第2マスト部材42bに対応して1組設けられている。1組のマスト貫通部14は、走行経路6に沿うと共に経路方向Xに分かれて配置されている。図5から図9の例では、各段の作業ステージ10に対応する支持フレーム8は、ステージ足場16の経路直交方向Yの両端部を支持すると共に、ステージ足場16の経路方向Xの両端部を支持している。一方、支持フレーム8は、経路方向第2側X2のマスト貫通部14に対応する箇所には設けられていない。これにより、スタッカクレーン4は、経路方向第2側X2から経路方向第1側X1に移動して、メンテナンス設備1内に進入することができる。なお、図示の例では、メンテナンス設備1は、複数の支柱91とは別に、メンテナンス設備1を補強するための複数の縦部材92を備えている。支持フレーム8は、複数の縦部材92にも支持されている。
【0025】
図6から図9に示すように、メンテナンス設備1内に進入したスタッカクレーン4は、第1マスト部材42aが、経路方向第1側X1のマスト貫通部14に配置され、第2マスト部材42bが、経路方向第2側X2のマスト貫通部14に配置される。また、昇降体44は、各段の作業ステージ10と干渉しない上下方向の位置に配置されると共に、上下方向視で作業ステージ10の中央領域(具体的には、1組のマスト貫通部14の一部と、後述する可動足場24及び補助足場25)に重複するように配置される。本例では、このようにスタッカクレーン4が配置される位置が、メンテナンス位置7とされている。
【0026】
図4に示すように、本例では、メンテナンス設備1は、メンテナンス設備1の内部を覆う壁体Kを備えている。壁体Kは、メンテナンス設備1の第1出入口90、第2出入口93、及びスタッカクレーン4の走行経路6を遮断する領域(ここでは、経路方向第2側X2のマスト貫通部14にスタッカクレーン4が出入りする領域)以外を覆うように配置されており、複数の支柱91に支持されている。第1出入口90は、床面と最下段の作業ステージ10(第1層ステージ11)との間に設けられている。作業者は、第1出入口90を通過して、床面と第1層ステージ11との間の作業領域に進入する。図4の例では、第1出入口90には、後述する第1層梯子2が配置されているが、作業者が床面と第1層ステージ11との間の作業領域に出入りする場合には、第1層梯子2は第1出入口90から取り外される。第2出入口93は、第1層ステージ11と第1上層ステージ12aとの間に設けられている。作業者は、第2出入口93を通過することで、第1上層ステージ12aに進入することができる。なお、壁体Kは、必ずしも設けられている必要はなく、壁体Kが配置される領域も、適宜変更することができる。図3では、壁体Kの記載は省略されている。
【0027】
図5から図9に示すように、ステージ足場16は、支持フレーム8に固定された固定足場22と、可動足場24と、を備えている。本実施形態では、ステージ足場16は、更に補助足場25を備えている。また、固定足場22及び可動足場24は、第1層ステージ11、第1上層ステージ12a、及び第2上層ステージ12bのそれぞれのステージ足場16に設けられている。なお、本例では、第1上層ステージ12a及び第2上層ステージ12bは互いに同じ構造とされている。従って以下では、必要に応じて、第1上層ステージ12a及び第2上層ステージ12bを、まとめて上層ステージ12として説明することがある。
【0028】
図5から図9に示すように、固定足場22は、マスト42の移動軌跡(図8及び図9の一点鎖線)を挟んで経路直交方向Yの一方側に配置された第1側固定足場26と、経路直交方向Yの他方側に配置された第2側固定足場27と、を含んでいる。また、固定足場22は、第1側固定足場26と第2側固定足場27との経路直交方向Yの内側に配置された複数の内側固定足場28を含んでいる。本例では、図6及び図7に示すように、第1層ステージ11及び上層ステージ12のそれぞれにおいて、第1側固定足場26は、第2側固定足場27に対して経路幅方向第1側に配置されている。また、第1側固定足場26と第2側固定足場27との間には、マスト貫通部14を含むスタッカクレーン4の走行経路6が形成されている。第2側固定足場27は、第1層ステージ11及び上層ステージ12において、経路方向Xの全域に配置されている。第1側固定足場26は、第1層ステージ11において経路方向Xの全域に配置されている(図6)。しかし、上層ステージ12において、第1側固定足場26は、経路方向Xの全域に配置されていない(図7~9)。上層ステージ12において、第1側固定足場26は、後述する通行用貫通部13に対して経路方向第2側X2に隣接するように配置されている。
【0029】
複数(ここでは4つ)の内側固定足場28は、可動足場24の移動軌跡を挟んで経路方向X及び経路直交方向Yに分かれて配置されている。また、これらの内側固定足場28は、第1側固定足場26と第2側固定足場27との経路直交方向Yの内側であって、作業ステージ10における経路方向Xの両端に分かれて配置されている。図6から図9の例では、4つの内側固定足場28のうちの経路方向第1側X1に配置された2つの内側固定足場28は、支持フレーム8に支持されている。また、経路方向第2側X2に配置された2つの内側固定足場28は、第1側固定足場26及び第2側固定足場27のいずれかに支持されている。
【0030】
図5から図9、及び図11に示すように、可動足場24は、第1退避姿勢T1と第1展開姿勢T2とに姿勢変更可能である。第1退避姿勢T1は、走行台車41が走行経路6に沿って走行する場合のマスト42の移動軌跡と干渉せず、作業者の足場としては機能しない姿勢であり、第1展開姿勢T2は、マスト42の移動軌跡と干渉するがメンテナンス位置7にあるスタッカクレーン4のマスト42と干渉せず、作業者の足場として機能する姿勢である。図11に示すように、可動足場24は、第1退避姿勢T1で起立した姿勢となり、第1展開姿勢T2で水平面に沿う姿勢となる。本実施形態では、可動足場24が第1退避姿勢T1である場合、図8及び図9に示すように、スタッカクレーン4の走行経路6は、可動足場24により遮断されていない。可動足場24が第1展開姿勢T2である場合、図6及び図7に示すように、スタッカクレーン4の走行経路6は、可動足場24により遮断される。具体的には、可動足場24は、第1展開姿勢T2において、走行経路6と上下方向視で重複するように配置される。本実施形態では、可動足場24は、第1展開姿勢T2で、メンテナンス位置7にあるスタッカクレーン4の第1マスト部材42aと第2マスト部材42bとの間に配置される。換言すると、可動足場24は、第1展開姿勢T2で、1組のマスト貫通部14の間に配置される。また、可動足場24は、第1展開姿勢T2において、第1側固定足場26と第2側固定足場27とに亘って配置される。換言すると、可動足場24が第1展開姿勢T2となることで、第1側固定足場26と第2側固定足場27とが接続される。
【0031】
図5から図9、及び図11に示すように、可動足場24は、固定足場22に取り付けられた揺動軸心P1回りに揺動するように構成されている。具体的には、可動足場24は、第2側固定足場27に取り付けられた揺動軸心P1回りに揺動するように構成されている。本例では、可動足場24は、連結機構52を介して第2側固定足場27に取り付けられている。ここでは、連結機構52はヒンジとされている。そして、可動足場24は、連結機構52により経路方向Xに沿う揺動軸心P1回りに揺動することで、第1退避姿勢T1と第1展開姿勢T2との間で姿勢変更することができる。図5から図9の例では、第2側固定足場27は、上下方向視で経路直交方向第2側Y2に窪んだ凹形状とされている。そして、凹形状である第2側固定足場27の窪んだ部分(経路直交方向第2側Y2に切り欠かれた部分)には、可動足場24が、経路方向Xに沿う揺動軸心P1回りに揺動自在に装着されている。図6及び図7に示すように、可動足場24は、第1展開姿勢T2で、第1側固定足場26と、第2側固定足場27とを接続するように配置される。作業者は、可動足場24を経路直交方向Yに移動することで、第1側固定足場26と、第2側固定足場27との間を行き来することができる。また、図8及び図9図11に示すように、可動足場24は、第1退避姿勢T1で、第2側固定足場27と上下方向視で重複するように配置されている。全ての作業ステージ10において、可動足場24が第1退避姿勢T1とされている場合、走行経路6は、可動足場24により遮断されないため、スタッカクレーン4は走行経路6を移動して、メンテナンス設備1の外部と、メンテナンス設備1の内部のメンテナンス位置7との間を行き来することができる。
【0032】
図5から図9、及び図11に示すように、メンテナンス設備1は、可動足場24を揺動軸心P1回りの揺動方向に付勢する付勢機構9を備えている。付勢機構9は、可動足場24を第1退避姿勢T1の側へ付勢するように構成されている。本例では、可動足場24は、連結機構52及び付勢機構9を介して第2側固定足場27に取り付けられている。本例では、付勢機構9は、連結機構52とは別体として構成されているが、連結機構52が付勢機構9の機能を備えるようにしてもよい。例えば、連結機構52及び付勢機構9を、パワーアシスト付きヒンジとすることができる。本実施形態では、図11に示すように、第1退避姿勢T1と第1展開姿勢T2との中間の姿勢を中間姿勢T3として、付勢機構9のトルクは、可動足場24が中間姿勢T3よりも第1退避姿勢T1の側に位置する状態では、可動足場24の自重により可動足場24に作用する揺動軸心P1回りのトルクよりも大きく、可動足場24が中間姿勢T3よりも第1展開姿勢T2の側に位置する状態では可動足場24の自重により可動足場24に作用する揺動軸心P1回りのトルクよりも小さくなるように設定されている。本例では、作業者は、床面と第1層ステージ11及び上層ステージ12との間を上り下りする場合、第1側固定足場26を利用する。そして、第1側固定足場26上の作業者により、可動足場24の姿勢変更が行われる。ここで、作業者は、例えば引掛け棒等で第1退避姿勢T1の可動足場24を引掛けて、経路直交方向第1側Y1に引く操作を行うことで、第1退避姿勢T1の可動足場24を第1展開姿勢T2に姿勢変更することができる。また、作業者は、第1展開姿勢T2の可動足場24を第1退避姿勢T1に姿勢変更する場合には、第1展開姿勢T2の可動足場24の取手(不図示)を利用して、可動足場24を持ち上げるように揺動させる。そして作業者は、上記付勢機構9を利用することができるため、付勢機構9が設けられていない場合に比べて、比較的小さな力で可動足場24の姿勢変更を行うことができる。
【0033】
図5から図9、及び図13に示すように、補助足場25は、固定足場22又は支持フレーム8に対して連結機構52を介して連結されている。本例では、補助足場25は、固定足場22(ここでは、内側固定足場28)に対して連結機構52を介して連結されている。補助足場25は、複数の内側固定足場28に対応して複数設けられている。そして、補助足場25は、内側固定足場28と、第1展開姿勢T2の可動足場24との間に配置される。図示の例では、複数の補助足場25は、1組のマスト貫通部14を含むスタッカクレーン4の走行経路6を挟んだ経路直交方向Yの両側と、第1展開姿勢T2の可動足場24を挟んだ経路方向第1側X1の両側とに分かれて配置されている。本実施形態では、補助足場25は、メンテナンス位置7にあるスタッカクレーン4の昇降体44の昇降軌跡(図6から図9の2点鎖線)と干渉しない姿勢であって作業者の足場としては機能しない第2退避姿勢U1と、メンテナンス位置7にあるスタッカクレーン4の昇降体44の昇降軌跡と干渉する姿勢であって作業者の足場として機能する第2展開姿勢U2とに姿勢変更可能である。複数の補助足場25のそれぞれは、第2展開姿勢U2で上記のように配置される。ここでは、連結機構52はヒンジとされている。そして図13に示すように、補助足場25は、連結機構52により経路直交方向Yに沿う軸心P2回りに揺動することで、第2退避姿勢U1と第2展開姿勢U2とに姿勢変更する。第2展開姿勢U2の補助足場25は、内側固定足場28と第1展開姿勢T2の可動足場24を接続する。本例では、第2退避姿勢U1の補助足場25は、内側固定足場28と上下方向視で重複するように配置されている。図示の例では、第2退避姿勢U1の補助足場25は、水平面に沿うような姿勢とされているが、第1退避姿勢T1の可動足場24のように、立ち上がる姿勢とすることもできる。ここで本実施形態では、図13に示すように、可動足場24に、補助足場25における連結機構52が設けられた部分とは異なる部分を下側から支える支持部23が設けられている。支持部23は、複数の補助足場25のそれぞれに対応するように、複数(ここでは、4つ)設けられている。支持部23は、可動足場24の経路方向Xの端部から経路方向Xの外側へ突出するように設けられている。これらの支持部23は、第2展開姿勢U2の補助足場25を下側から支えるように配置されている。このように、補助足場25は、内側固定足場28と支持部23とに支持されている。また、本例では、支持部23は、補助足場25を挟んだ連結機構52の反対側で補助足場25を支持する。このように、経路方向Xに分かれて配置された連結機構52(内側固定足場28に取り付けられたヒンジ)及び支持部23により、第2展開姿勢U2の補助足場25を支えることができるため、第2展開姿勢U2の補助足場25の安定性を高め易い。なお、補助足場25を支持する支持部23が、可動足場24に必ずしも設けられる必要はない。支持部23を可動足場24に設けない構成とすることで、例えば、補助足場25を可動足場24よりも先に展開姿勢にすることが可能になる。なお、以下では、可動足場24及び補助足場25のそれぞれの上述した姿勢について、まとめて「退避姿勢」及び「展開姿勢」と称することがある。
【0034】
図8及び図9に示すように、補助足場25は、第2展開姿勢U2で、メンテナンス位置7にある昇降体44と上下方向視で重複する。一方、補助足場25は、第2退避姿勢U1で、メンテナンス位置7にある昇降体44と上下方向視で重複しない。このため、図8に示すように、1つの作業ステージ10において補助足場25が第2展開姿勢U2であり、可動足場24が第1退避姿勢T1である場合には、スタッカクレーン4がメンテナンス位置7に配置されている状態で、昇降体44は、当該作業ステージ10を上下方向に通過することはできない。図9に示すように、1つの作業ステージ10において補助足場25が第2退避姿勢U1であり、可動足場24が第1退避姿勢T1である場合には、スタッカクレーン4がメンテナンス位置7に配置されている状態で、昇降体44は、当該作業ステージ10を上下方向に通過することができる。
【0035】
図5から図9、及び図12に示すように、本実施形態では、可動足場24における経路方向Xの両側縁に沿ってガイド柵61が設けられている。そして、ガイド柵61は、可動足場24に対して立設されたガイド姿勢V1と、可動足場24に沿う姿勢である折り畳み姿勢V2と、に姿勢変更可能とされている。ガイド柵61は、可動足場24の経路方向Xの両側縁において、第1展開姿勢T2で走行経路6と干渉する範囲に設けられている。図示の例では、ガイド柵61は、可動足場24の経路方向Xの両側縁における中央領域に1対配置されている。ガイド柵61は、連結機構52を介して可動足場24に連結されている。ここでは、連結機構52はヒンジである。そして図12に示すように、ガイド柵61は、連結機構52により経路直交方向Yに沿う軸心回りP3に揺動することで、ガイド姿勢V1と折り畳み姿勢V2とに姿勢変更する。折り畳み姿勢V2のガイド柵61は、上下方向視で第1展開姿勢T2の可動足場24と重複する。図示の例では、折り畳み姿勢V2のガイド柵61は、水平面に沿う姿勢とされているがこれには限定されない。
【0036】
また、このようなガイド柵61は、可動足場24以外の足場にも複数設けられている。図5から図9に示すように、ガイド柵61は、更に、補助足場25及び固定足場22(ここでは、内側固定足場28)に設けられている。本例では、ガイド柵61は、経路方向Xに隣接する補助足場25及び内側固定足場28のそれぞれにおいて、経路直交方向Yの内側(マスト貫通部14を向く側)の側縁に設けられている。補助足場25に連結機構52(ここでは、ヒンジ)を介して設けられているガイド柵61は、可動足場24に設けられたガイド柵61と同様に、補助足場25に対して立設されたガイド姿勢V1と、補助足場25に沿う姿勢である折り畳み姿勢V2とに姿勢変更可能に構成されている。一方、内側固定足場28に設けられているガイド柵61は、内側固定足場28に対して立設した状態で固定されており、姿勢変更を行うように構成されていない。図5の例では、可動足場24が第1展開姿勢T2であり、補助足場25が第2展開姿勢U2である場合に、全てのガイド柵61が立設した姿勢の状態を示している。このように、ステージ足場16における、1組のマスト貫通部14に隣接する部分の全てにガイド柵61を設けることで、ステージ足場16でメンテナンス作業を行う作業者の足が、マスト貫通部14にはみ出てしまったり、ステージ足場16上に置かれている工具や部品等が誤ってマスト貫通部14から落下してしまうことを抑制できる。なお、可動足場24及び補助足場25のそれぞれを退避姿勢(第1退避姿勢T1、第2退避姿勢U1)に姿勢変更する場合には、ガイド柵61を予め折り畳み姿勢V2にしておく必要があると好適である。これにより、ガイド柵61がガイド姿勢V1のまま可動足場24や補助足場25が姿勢変更することで、例えば、ガイド柵61が他の部材等に干渉し、可動足場24や補助足場25が適正な退避姿勢ではなく、中途半端な姿勢になることを回避し易くできる。
【0037】
図3及び図7から図9に示すように、上層ステージ12は、上層梯子3により作業者が上下方向に通行できるように上下方向に貫通する通行用貫通部13を備えている。通行用貫通部13は、上下方向視で第1層ステージ11のステージ足場16と重複する位置に配置されている。本実施形態では、第1上層ステージ12aと第2上層ステージ12bとのそれぞれに通行用貫通部13が設けられている。作業者は、第1上層ステージ12aの通行用貫通部13を通過することで、第1層ステージ11から第1上層ステージ12aに移動する。同様に、作業者は、第2上層ステージ12bの通行用貫通部13を通過することで、第1上層ステージ12aから第2上層ステージ12bに移動する。通行用貫通部13の通過に際しては、第1層ステージ11及び第1上層ステージ12aにそれぞれ設けられた上層梯子3が利用される。このような通行用貫通部13は、第1層ステージ11の第1側固定足場26と上下方向視で重複する位置に配置されている。
【0038】
本例では、通行用貫通部13は、上層ステージ12における、第1側固定足場26に対して経路方向第1側X1に隣接する位置に設けられている。そして、上層ステージ12における、第2側固定足場27が配置されている側には、通行用貫通部13は設けられていない。図示の例では、通行用貫通部13は、内側固定足場28、補助足場25、第1側固定足場26、及び支持フレーム8に囲まれるように配置されている。本実施形態では、図5から図9に示すように、上層ステージ12は、ステージ足場16の一部として開閉足場17を備えている。そして、開閉足場17は、通行用貫通部13を閉鎖してステージ足場16として機能する閉鎖状態(図5図7、及び図8)と、通行用貫通部13を作業者が通行できるように通行用貫通部13を開放する開放状態(図9)と、に状態変更可能に構成されている。開閉足場17は、連結機構52(ここでは、ヒンジ)を介して支持フレーム8に支持されている。そして、開閉足場17は、連結機構52により経路方向Xに沿う軸心回りに揺動することで、閉鎖状態と開放状態とに状態変更(姿勢変更)する。作業者は、例えば、上層梯子3を利用して、第1層ステージ11から通行用貫通部13を通過して第1上層ステージ12aに到達すると、開閉足場17を開放状態から閉鎖状態に状態変化させる。これにより、通行用貫通部13が開閉足場17により閉鎖されるため、作業者は、第1上層ステージ12aにおいて、開閉足場17を利用してメンテナンス作業を行うことができる。また、開閉足場17を閉鎖状態とすることで、作業者が誤って通行用貫通部13から落下してしまうことを回避できる。ここで、閉鎖状態の開閉足場17は、水平面に沿う姿勢とされている。そして、作業ステージ10における、閉鎖状態の開閉足場17、第1側固定足場26、内側固定足場28、第1展開姿勢T2の可動足場24、第2展開姿勢U2の補助足場25、及び第2側固定足場27との間で段差が生じていないと好適である。図示の例では、上層ステージ12において、2つの開閉足場17が経路方向Xに並んで配置されている。また、これらの開閉足場17と隣接する他の部材に、閉鎖状態の開閉足場17を下側から支持する支持体が設けられていると好適である。
【0039】
図3図4、及び図6に示すように、作業者が床面から第1層ステージ11に上るための梯子である第1層梯子2は、上下方向視で第1層ステージ11に対して外側に配置されている。第1層梯子2は、上述のとおり、第1層ステージ11に対して外側において、第1出入口90(図3)を塞ぐようにして設けられている。作業者は、第1出入口90を塞ぐようにして設けられた第1層梯子2を利用して、床面から第1層ステージ11に移動することができる。本実施形態では、第1層梯子2は、第1層ステージ11の第1側固定足場26につながるように設けられている。図4に示すように、第1出入口90は、経路直交方向Y視で壁体Kに対して経路方向第2側X2に設けられている。従って、第1層梯子2は、第1層ステージ11の第1側固定足場26の経路方向Xにおける中央部分に対して経路方向第2側X2の領域につながるように設けられる。第1層梯子2は、第1出入口90を形成する支持フレーム8に対して着脱自在である。
【0040】
図3及び図6から図8に示すように、作業者が第1層ステージ11から上層ステージ12に登るための梯子である上層梯子3は、上下方向視で第1層ステージ11と重複する位置に配置されている。本実施形態では、上層梯子3は、上下方向視で第1層ステージ11の第1側固定足場26に重複する位置に配置されている。そして、上層梯子3は、複数段の作業ステージ10に対して着脱自在であると共に、支持フレーム8に対して着脱自在である。
【0041】
本例では、第1層梯子2と上層梯子3とは、互いに同じ構造とされている。従って、以下では上層梯子3の構成について説明し、第1層梯子2の構成については説明を省略する。図10に示すように、上層梯子3には、上端部に鉤形状の係合部82が取り付けられている。また、これらの梯子の下端部には、滑り止め部材18bが、中継部材18aを介して取り付けられている。中継部材18aは、上層梯子3の下端部に固定されていると共に、滑り止め部材18bの上面に固定されている。そして、中継部材18aの滑り止め部材18bに当接している部分と、滑り止め部材18bとに、固定部材19を挿通するための挿通孔20が形成されている。ここでは、固定部材19は、ピンとされているが、締結ボルト等とされていてもよい。また、滑り止め部材18bは、弾性部材であると好適である。
【0042】
図4及び図6に示すように、第1層梯子2は、第1出入口90を形成する支持フレーム8に係合部82を係合させることで、第1出入口90の正面(第1出入口90に対して経路直交方向Yの外側)に取り付けられる。図示の例では、係合部82が支持フレーム8に係合した状態で、滑り止め部材18bが、経路方向Xに沿って配置された補助フレーム83の上面に当接する。また、第1出入口90に対して経路方向第1側X1に隣接する壁体Kには、第1保持部35が設けられている。第1保持部35は、第1層梯子2を保持可能に構成されている。具体的には、係合部82を第1保持部35のフレームに係合することで、第1層梯子2は第1保持部35に保持される。従って、第1層梯子2を使用しない場合には、第1層梯子2を第1保持部35に保持させると好適である。
【0043】
図6から図9に示すように、上層梯子3の下部は、当該上層梯子3が配置された作業ステージ10における可動足場24以外のステージ足場16に支持されるように構成されている。図6に示すように、第1層ステージ11から第1上層ステージ12aに上るための上層梯子3の下部は、第1層ステージ11における、第1側固定足場26の経路方向Xにおける中央部分に対して経路方向第1側X1の領域に支持される。また、図7及び図8に示すように、第1上層ステージ12aから第2上層ステージ12bに上るための上層梯子3の下部は、第1上層ステージ12aにおける閉鎖状態の開閉足場17に支持されるように構成されている。上層梯子3は、上層ステージ12において、閉鎖状態の開閉足場17に設けられる。このように、上層梯子3は、可動足場24以外のステージ足場16に配置されるため、作業者は、可動足場24の姿勢に拘らず第1上層ステージ12aと第2上層ステージ12bとの間を上り下りすることができる。本例では、複数の作業ステージ10(第1層ステージ11、上層ステージ12)に設けられるそれぞれの上層梯子3は、上下方向視で重複するように、各段の作業ステージ10の同じ位置に配置される。本実施形態では、図10に示すように、メンテナンス設備1は、上層梯子3の下部と、ステージ足場16における可動足場以外の部分とを互いに固定するための固定部18を更に備えている。本例では、固定部18は、上層梯子3の下端に取り付けられている中継部材18a、滑り止め部材18b、及び固定部材19とされている。第1層ステージ11の第1側固定足場26、及び上層ステージ12の開閉足場17のそれぞれの上層梯子3の取り付け位置には、固定部材19が貫通する不図示の貫通孔が形成されている。
【0044】
図10に示すように、各段の作業ステージ10の上方には、1つ上の段のステージ足場16を支持する支持フレーム8から下側に分岐した被係合部81が設けられている。上層梯子3は、係合部82が被係合部81に係合することにより、各段のステージ足場16に配置される。このように、上層梯子3の上部は、支持フレーム8に直接支持されているが、被係合部81が支持フレーム8とは異なる独立した部材として設けられることで、上層梯子3が、被係合部81を介して間接的に支持フレーム8に支持されていてもよい。また、係合部82が被係合部81に係合した状態では、滑り止め部材18bが、第1層ステージ11の第1側固定足場26又は上層ステージ12の開閉足場17の取付け位置に当接する。そして、固定部材19が挿通孔20及び不図示の貫通孔に挿通されることにより、上層梯子3の下部は、各段の作業ステージ10に固定される。また、上層梯子3を使用しない場合には、図7から図9に示すように、上層梯子3を、作業ステージ10の経路直交方向第1側Y1の端部に設けられた第2保持部36に保持させる。第2保持部36は、第1保持部35と同じ構造である。これにより、使用しない上層梯子3を、ステージ足場16のメンテナンス作業の邪魔になり難い位置に保管することができる。なお、図3の例では、メンテナンス設備1の上部のフレームに、支持部材84が固定されている。支持部材84は、上下方向視で通行用貫通部13に重複すると共に、最上段の作業ステージ10よりも上側に配置されている。この支持部材84には、例えば、落下防止ワイヤー等の安全装置を取り付けることができる。
【0045】
以下では、一例として、作業者が第2上層ステージ12bでメンテナンス作業を行う場合について説明する。ここでは、スタッカクレーン4は、既にメンテナンス位置7に配置されている状態とする。
【0046】
本実施形態では、図4に示すように、作業者は、第1出入口90の支持フレーム8に取り付けた第1層梯子2を利用して、第2出入口93から第1層ステージ11に移動する。そして、作業者は、上層梯子3を第1側固定足場26の取付け位置に固定すると、上層梯子3を利用して、第1上層ステージ12aに移動する。その際、作業者は、第1上層ステージ12aの通行用貫通部13を通過して、第1上層ステージ12aの第1側固定足場26に移動する。上層ステージ12の第1側固定足場26は、上述のとおり、通行用貫通部13に対して経路方向第2側X2に隣接配置されている。その後、作業者は、開閉足場17を開放状態から閉鎖状態にし、上層梯子3を、開閉足場17の取付け位置に固定する。作業者は、上層梯子3を利用して、第2上層ステージ12bに移動する。その際、作業者は、第2上層ステージ12bの通行用貫通部13を通過して、第2上層ステージ12bの第1側固定足場26に移動する。その後、作業者は、開閉足場17を開放状態から閉鎖状態にする。これにより、作業者は、開閉足場17を利用して、メンテナンス作業を行うことができる。従って、上層ステージ12の内部に通行用貫通部13を設けた場合であっても、作業者がメンテナンス作業を行うための足場を広く確保することができる。ここで、第1退避姿勢T1の可動足場24は、上述したとおり、第2側固定足場27と上下方向視で重複するように配置されている。このように、第1退避姿勢T1の可動足場24は、第1側固定足場26及び開閉足場17を移動する作業者の邪魔にならない場所に配置されるため、作業者の移動を含めたメンテナンス作業の作業効率を向上させることができる。
【0047】
次に、第1側固定足場26又は閉鎖状態の開閉足場17上の作業者は、可動足場24を第1退避姿勢T1から第1展開姿勢T2に姿勢変更する。これにより、作業者は、可動足場24及び第2側固定足場27を利用して、メンテナンス作業を行うことができる。次に、作業者は、補助足場25を第2退避姿勢U1から第2展開姿勢U2に姿勢変更する。これにより、作業者は、補助足場25を利用してメンテナンス作業を行うことができる。
【0048】
ここで、第2上層ステージ12bで昇降体44や移載装置43に対するメンテナンス作業を行う場合には、作業者は、自身がメンテナンス設備1の内部に入る前に、昇降体44を第2上層ステージ12bのステージ足場16よりも上に移動させる。従って、スタッカクレーン4に対するメンテナンス作業を行う場合には、スタッカクレーン4をメンテナンス設備1に収容する前に、各段の作業ステージ10において、可動足場24及び補助足場25を退避姿勢(第1退避姿勢T1、第2退避姿勢U1)にしておく必要がある。また、メンテナンス設備1を使用しない場合には、上層ステージ12の開閉足場17を開放状態にしておくと好適である。
【0049】
なお、本例では、可動足場24、補助足場25、及び開閉足場17に取り付けられる連結機構52をヒンジとしたが、連結機構52を直動案内機構等としてもよい。
【0050】
〔その他の実施形態〕
(1)上記の実施形態では、メンテナンス設備1は、収容棚5に隣接すると共に、スタッカクレーン4の走行経路6の経路方向第1側X1の端部領域に配置されている構成を例として説明した。しかしこのような構成に限定されることなく、メンテナンス設備1は、収容棚5とは離れた位置に配置されていてもよい。また、メンテナンス設備1は、スタッカクレーン4の走行経路6の途中に配置されていてもよい。この場合、スタッカクレーン4がメンテナンス設備1を通り抜けられるようにしてもよい。また、図1において、スタッカクレーン4が複数配置されていてもよく、複数のスタッカクレーン4のそれぞれに対応するように、複数のメンテナンス設備1が配置されていてもよい。例えば、2つのスタッカクレーン4を1つの収容棚5に沿って配置させる場合、メンテナンス設備1を、当該収容棚5に対して経路方向Xの両外側に1つずつ配置させることができる。また、1つのメンテナンス設備1の経路方向Xの両外側に、収容棚5を1つずつ配置させる場合には、それぞれの収容棚5に沿うように、スタッカクレーン4を1つずつ配置させることもできる。また、図1の一例では、収容棚5に対して、経路方向第2側X2に入出庫コンベヤ94が配置されているがこれには限定されず、入出庫コンベヤ94が配置される場所は適宜変更可能である。このように、自動倉庫100に設けられるメンテナンス設備1、スタッカクレーン4、走行経路6、及び入出庫コンベヤ94のそれぞれの数や配置について、適宜変更することができる。
【0051】
(2)上記の実施形態では、上層ステージ12は、ステージ足場16の一部として開閉足場17を備え、開閉足場17は、連結機構52を介して支持フレーム8に支持されると共に、連結機構52により揺動することで、閉鎖状態と開放状態とに状態変更可能である構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、上層ステージ12は、開閉足場17を備えていなくても良い。また、上層ステージ12が開閉足場17を備える場合であっても、開閉足場17が支持フレーム8に対して着脱自在に構成され、作業者が、開閉足場17を支持フレーム8に取り付けることで閉鎖状態とすることもできる。また開閉足場17は、支持フレーム8以外の部材に支持されるように構成されていてもよい。
【0052】
(3)上記の実施形態では、ステージ足場16は、補助足場25を備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。ステージ足場16は、必ずしも、補助足場25を備えていなくてもよい。また、ステージ足場16が補助足場25を備える場合であっても、補助足場25が第2退避姿勢U1と第2展開姿勢U2との間で姿勢変更可能に構成されていなくてもよい。この場合、例えば、補助足場25を作業ステージ10に対して脱着自在とすることもできる。
【0053】
(4)上記の実施形態では、上層梯子3は、複数段の作業ステージ10に対して着脱自在であると共に、支持フレーム8に対して着脱自在である構成を例として説明したが、これには限定されない。上層梯子3は、複数段の作業ステージ10及び支持フレーム8の少なくとも一方に、着脱ができないように固定されていてもよい。
【0054】
(5)上記の実施形態では、補助足場25は、固定足場22が備える内側固定足場28に対して連結機構52を介して連結されている構成を例として説明したが、これには限定されない。例えば、補助足場25が、固定足場22が備える第1側固定足場26又は第2側固定足場27に連結機構52を介して連結され、第2展開姿勢U2の補助足場25が、内側固定足場28と可動足場24(具体的には、支持部23)とにより経路方向Xの両側から支持される構成とすることもできる。また、補助足場25は、支持フレーム8に対して連結機構52を介して連結されていてもよい。例えば、図5から図9の例において、補助足場25が支持フレーム8に連結機構52を介して連結される構成において、内側固定足場28の部分も補助足場25とすることもできる。その場合、経路方向第2側X2の内側固定足場28に対応する支持フレーム8を更に配置させることもできる。
【0055】
(6)上記の実施形態では、第1上層ステージ12aから第2上層ステージ12bに上るための上層梯子3の下部は、第1上層ステージ12aにおける閉鎖状態の開閉足場17に支持される構成を例として説明したが、これには限定されない。第1上層ステージ12aから第2上層ステージ12bに上るための上層梯子3の下部は、例えば、開閉足場17に隣接する固定足場22に支持されていてもよい。
【0056】
(7)上記の実施形態では、スタッカクレーン4は、マスト42として、走行経路6に沿う方向に離間して配置された第1マスト部材42aと第2マスト部材42bとを備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。スタッカクレーン4は、マスト42として、第1マスト部材42aのみ備える構成とすることもできる。
【0057】
(8)上記の実施形態では、メンテナンス設備1は、上層梯子3の下部と、ステージ足場16における可動足場以外の部分とを互いに固定するための固定部18を備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。メンテナンス設備1は、このような固定部18を備えていなくてもよい。この場合、例えば、上層梯子3の下部が、ステージ足場16に固定されていない構成とすることもできる。
【0058】
(9)上記の実施形態では、可動足場24は、第2側固定足場27に取り付けられた揺動軸心P1回りに揺動する構成を例として説明したが、これには限定されない。可動足場24は、第1側固定足場26に取り付けられた揺動軸心回りに揺動するように設けられていてもよい。
【0059】
(10)上記の実施形態では、メンテナンス設備1は、可動足場24を揺動軸心P1回りの揺動方向に付勢する付勢機構9を備えている構成を例として説明したが、これには限定されない。メンテナンス設備1は、このような付勢機構9を必ずしも備えていなくてもよい。
【0060】
(11)上記の実施形態では、可動足場24における経路方向Xの両側縁に沿ってガイド柵61が設けられており、ガイド柵61は、可動足場24に対して立設されたガイド姿勢V1と、可動足場24に沿う姿勢である折り畳み姿勢V2と、に姿勢変更可能である構成を例として説明したが、これには限定されない。ガイド柵61は、上記のように姿勢変更せずに、ガイド姿勢V1の状態で可動足場24に固定されていてもよい。また、可動足場24にガイド柵61が設けられていない構成とすることもできる。
【0061】
(12)なお、上述した各実施形態で開示された構成は、矛盾が生じない限り、他の実施形態で開示された構成と組み合わせて適用すること(その他の実施形態として説明した実施形態同士の組み合わせを含む)も可能である。その他の構成に関しても、本明細書において開示された実施形態は全ての点で単なる例示に過ぎない。従って、本開示の趣旨を逸脱しない範囲内で、適宜、種々の改変を行うことが可能である。
【0062】
〔上記実施形態のまとめ〕
以下、上記において説明した自動倉庫のまとめについて説明する。
【0063】
本開示に係る自動倉庫は、複数の物品を収容する収容棚と、前記物品を搬送するスタッカクレーンと、前記スタッカクレーンのメンテナンスを行うためのメンテナンス設備と、を備えた自動倉庫であって、
前記スタッカクレーンは、前記収容棚に沿って設定された走行経路に沿って走行する走行台車と、上下方向に沿うように前記走行台車に立設されたマストと、前記物品を保持及び移載する移載装置を支持していると共に前記マストに沿って昇降する昇降体と、を備え、
前記メンテナンス設備は、上下方向視で前記収容棚と重複しない位置に配置されていると共に、前記スタッカクレーンが前記走行経路上に設定されたメンテナンス位置にある状態で前記スタッカクレーンの少なくとも一部が収容されるように構成され、
前記メンテナンス設備は、上下方向に並ぶ複数段の作業ステージを備え、
前記走行台車より上側に配置された複数段の前記作業ステージのうちの1つの前記作業ステージを第1層ステージとし、前記第1層ステージよりも上段の前記作業ステージを上層ステージとして、
前記第1層ステージ及び前記上層ステージは、前記メンテナンス位置にある前記スタッカクレーンの前記マストが上下方向に貫通するマスト貫通部と、前記マスト貫通部以外の領域に設けられて作業者の足場として機能するステージ足場と、を備え、
前記作業者が床面から前記第1層ステージに上るための梯子である第1層梯子は、上下方向視で前記第1層ステージに対して外側に配置され、
前記作業者が前記第1層ステージから前記上層ステージに上るための梯子である上層梯子 は、上下方向視で前記第1層ステージと重複する位置に配置され、
前記上層ステージは、前記上層梯子により前記作業者が上下方向に通行できるように上下方向に貫通する通行用貫通部を備え、
前記通行用貫通部は、上下方向視で前記第1層ステージの前記ステージ足場と重複する位置に配置されている。
【0064】
本構成によれば、スタッカクレーンにおける、床面に立つ作業者の手が届かない箇所に対してメンテナンス作業を行う場合には、作業者は、第1層ステージ及び上層ステージのステージ足場を利用できるため、作業性の良い状態でメンテナンス作業を行うことができる。
その上で、本構成によれば、比較的床面に近い第1層ステージについては、第1層梯子を第1層ステージの外側に設けたことにより、通行用貫通部を不要とすることができ、第1層ステージのステージ足場を広く確保することができる。また、上層梯子及び通行用貫通部が、上下方向視で第1層ステージのステージ足場と重複する位置に配置されているため、上層梯子の下に第1層ステージのステージ足場が存在することになり、第1層ステージと上層ステージとの間を移動する作業者の安全性を高め易い。
このように、本構成によれば、ステージ足場を利用する作業者の安全性を高めつつ、スタッカクレーンに対するメンテナンス作業を行い易くできる。
【0065】
ここで、前記上層ステージは、前記ステージ足場の一部として開閉足場を備え、
前記開閉足場は、前記通行用貫通部を閉鎖して前記ステージ足場として機能する閉鎖状態と、前記通行用貫通部を前記作業者が通行できるように前記通行用貫通部を開放する開放状態と、に状態変更可能に構成されていると好適である。
【0066】
本構成によれば、開閉足場を開放状態とすることで、作業者が上層梯子を利用して上下方向に通行できるようにしつつ、開閉足場を閉鎖状態とすることで上層ステージのステージ足場を広く確保することができる。
【0067】
また、複数段の前記作業ステージを支持する支持フレームが、複数段の前記作業ステージの外周を囲む位置に配置され、
前記上層梯子は、複数段の前記作業ステージに対して着脱自在であると共に、前記支持フレームに対して着脱自在であると好適である。
【0068】
本構成によれば、上層梯子を利用しない場合には、上層梯子を作業ステージから取り外して支持フレームに取り付けて保管することができる。従って、上層梯子が、各作業ステージにおいてステージ足場を移動する作業者の妨げになり難くすることができる。
【0069】
また、前記ステージ足場は、前記作業者の足場としては機能しない退避姿勢と、前記作業者の足場として機能する展開姿勢とに姿勢変更可能な可動足場を備え、
前記上層梯子の下部は、当該上層梯子が配置された前記作業ステージにおける前記可動足場以外の前記ステージ足場に支持されるように構成されていると好適である。
【0070】
本構成によれば、スタッカクレーンに対してメンテナンス作業を行う場合には、可動足場を展開姿勢とすることで、当該可動足場を利用してメンテナンス作業を行うことができる。また、可動足場を退避姿勢とすることで、可動足場がスタッカクレーンの移動の妨げにならないようにし、スタッカクレーンの移動を容易に行わせることができる。
また、上層梯子を、可動足場以外のステージ足場に固定できるため、作業者は、可動足場の姿勢に拘らず各段の作業ステージに移動することができる。
【0071】
また、前記メンテナンス設備は、前記上層ステージとして、第1上層ステージと、前記第1上層ステージに対して1段上の第2上層ステージと、を備え、
前記第1上層ステージから前記第2上層ステージに上るための前記上層梯子の下部は、前記第1上層ステージにおける前記閉鎖状態の前記開閉足場に支持されるように構成されていると好適である。
【0072】
本構成によれば、第1上層ステージから第2上層ステージに上るためには、第1上層ステージの開閉足場を閉鎖状態とする必要があるため、第1上層ステージの開閉足場を開放状態としたままで作業者が第2上層ステージに上ろうとすることを規制できる。従って、ステージ足場を利用する作業者の安全性を更に高め易い。
【0073】
また、前記メンテナンス設備は、前記上層梯子の下部と前記ステージ足場とを互いに固定するための固定部を更に備えると好適である。
【0074】
本構成によれば、上層梯子の下部とステージ足場とが固定部により固定されるため、上層梯子を利用する作業者の安全性を高め易い。
【0075】
本開示に係る自動倉庫は、上述した各効果のうち、少なくとも1つを奏することができればよい。
【符号の説明】
【0076】
1 :メンテナンス設備
2 :第1層梯子
3 :上層梯子
4 :スタッカクレーン
5 :収容棚
6 :走行経路
7 :メンテナンス位置
8 :支持フレーム
10 :作業ステージ
11 :第1層ステージ
12 :上層ステージ
12a :第1上層ステージ
12b :第2上層ステージ
13 :通行用貫通部
14 :マスト貫通部
16 :ステージ足場
17 :開閉足場
18 :固定部
24 :可動足場
42 :マスト
43 :移載装置
44 :昇降体
100 :自動倉庫
W :物品
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図9
図10
図11
図12
図13