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特開2024-179981試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179981
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置
(51)【国際特許分類】
   G09B 19/00 20060101AFI20241219BHJP
   G06Q 50/20 20120101ALI20241219BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G09B19/00 G
G06Q50/20
H04N7/18 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099364
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】吉永 有沙
(72)【発明者】
【氏名】荻原 弘樹
(72)【発明者】
【氏名】阿曽 紀之
(72)【発明者】
【氏名】登 一樹
【テーマコード(参考)】
5C054
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C054CA04
5C054CC02
5C054FC12
5C054FC13
5C054FE09
5C054FE14
5C054FE17
5C054HA19
5L049CC34
5L050CC34
(57)【要約】
【課題】所定の行動を行った受験者を確認しやすくする。
【解決手段】サーバは、複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域A1に並べて表示し、前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域A2に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
【請求項2】
前記所定の行動を行った受験者が複数存在する場合に、前記受験者それぞれが行った前記所定の行動の種類と回数から定まる値に基づいて、前記第2表示領域における前記受験者に関する映像それぞれの並び順を決定し、
前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する処理は、決定した前記並び順に従って、前記受験者に関する映像を前記第2表示領域に表示する、ことを特徴とする請求項1に記載の試験監視支援方法。
【請求項3】
前記所定の行動の種類に対応付けて重みを示す値が予め設定されており、
前記所定の行動を行った受験者が複数存在する場合に、複数の前記受験者ごとに各受験者が行った行動の種類に対応する重みを示す値の最大値を特定し、特定した各受験者の最大値に基づいて、前記第2表示領域における前記受験者に関する映像それぞれの並び順を決定し、
前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する処理は、決定した前記並び順に従って、前記受験者に関する映像を前記第2表示領域に表示する、
ことを特徴とする請求項1に記載の試験監視支援方法。
【請求項4】
前記受験者に関する映像は、前記受験者を撮影した映像及び前記受験者が試験中に操作している画面の映像の少なくとも一方である、ことを特徴とする請求項1に記載の試験監視支援方法。
【請求項5】
複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により所定の行動を行ったことを検知した受験者に関する映像を、前記表示画面の前記第1表示領域においてまとめて表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
【請求項6】
複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域において、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を他の受験者に関する映像とは異なる態様で表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
【請求項7】
複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
【請求項8】
複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示する表示処理部と、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視する監視部と、を備え、
前記表示処理部は、前記監視部が前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像をさらに表示する、
ことを特徴とする試験監視支援装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置に関する。
【背景技術】
【0002】
コロナ禍以降、試験方式の転換が求められている中、自宅受験型のオンライン試験を実施する組織や機関が増えつつある。オンライン試験を公正に実施するためには、受験者を撮影したカメラ映像や受験者が操作する画面の映像を試験監督がリモート監視し、受験者が不正を行っていないかを確認する必要がある。
【0003】
これに対し、各受験者を映した映像や試験中の音声を認識して、不正行為や不正のおそれがある不審行為などを自動的に検出する技術(システム監視技術)が知られている(例えば特許文献1等参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2022-29113号公報
【特許文献2】特開2022-74561号公報
【特許文献3】特開2002-116684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
試験監督が受験者をリモート監視する場合に、上記特許文献1のようなシステム監視技術を補助的に用いることが考えられる。例えば、システム監視技術により不正行為等が検出された受験者を試験監督に通知し、通知された受験者の不正の有無を試験監督が目視により判断することが考えられる。
【0006】
しかしながら、従来は、システム監視技術により不正行為等が検出された受験者を試験監督に適切に通知する方法や受験者の情報を表示する方法について検討がなされていなかった。
【0007】
1つの側面では、本発明は、所定の行動を行った受験者を確認しやすくすることが可能な試験監視支援方法、試験監視支援プログラム及び試験監視支援装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
一つの態様では、試験監視支援方法は、複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する、処理をコンピュータが実行する試験監視支援方法である。
【発明の効果】
【0009】
所定の行動を行った受験者を確認しやすくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】一実施形態に係る試験システムの構成を概略的に示す図である。
図2】受験者、試験監督、セキュリティエージェントの関係を示す図である。
図3図3(a)は、サーバのハードウェア構成の一例を示す図であり、図3(b)は、受験者用端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】試験監督用端末及びエージェント用端末のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】サーバ、試験監督用端末、及びエージェント用端末の機能ブロック図である。
図6】受験者情報テーブルの一例を示す図である。
図7図7(a)は、不正テーブルの一例を示すであり、図7(b)は、不正検知テーブルの一例を示す図である。
図8】不正チェック用画面を示す図(その1)である。
図9】不正チェック用画面を示す図(その2)である。
図10】不正チェック用画面を示す図(その3)である。
図11】確定用画面を示す図である。
図12】サーバの処理(その1)を示すフローチャートである。
図13図13(a)~図13(c)は、受験者「桜田花子」が不正と疑われる行動を行った場合における受験者情報テーブル及び不正検知テーブルの更新について説明するための図である。
図14】サーバの処理(その2)を示すフローチャートである。
図15】サーバの処理(その3)を示すフローチャートである。
図16】変形例に係る不正チェック用画面を示す図(その1)である。
図17】変形例に係る不正チェック用画面を示す図(その2)である。
図18】変形例に係る不正チェック用画面を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、一実施形態について、図1図15に基づいて詳細に説明する。図1には、一実施形態に係る試験システム100の構成が概略的に示されている。本実施形態の試験システム100は、オンライン試験を実施する組織や団体、及び試験を受験する受験者が利用するシステムであり、オンライン試験を実施するとともに、受験者の不正の有無をチェックして試験が公正に行われるようにするためのシステムである。
【0012】
試験システム100は、図1に示すように、試験監視支援装置としてのサーバ10、受験者用端末60、試験監督用端末70、エージェント用端末80等を備える。サーバ10、受験者用端末60、試験監督用端末70、エージェント用端末80は、インターネットなどのネットワークNWに接続されている。
【0013】
本実施形態においては、図2に示すように、複数(例えば6~12名程度)の受験者がルームそれぞれに割当てられており、各ルームに1名程度の試験監督が割り当てられているものとする。また、本実施形態においては、試験監督とは別に、複数のルームを取りまとめて監視するセキュリティエージェントが存在している。試験監督は、担当するルーム内の受験者のうち不正を行っている可能性が高いと判断した受験者をセキュリティエージェントに知らせる役割を有する。一方、セキュリティエージェントは、各ルームの試験監督が不正を行っている可能性が高いと判断した受験者を監視し、不正行為の有無を正式に判断する役割を有する。
【0014】
(サーバ10の概要)
サーバ10は、受験者用端末60と通信して、試験を実施するために必要な処理を実行する。また、サーバ10は、受験者に関する映像(受験者の顔付近の映像や受験者が操作している画面の映像)を受験者用端末60から取得して、試験監督用端末70やエージェント用端末80に提供する画面(不正チェック用画面や確定用画面)を生成する。また、サーバ10は、受験者に関する映像をAIを用いて監視し、受験者が不正と疑われる行動(予め定められている所定の行動)を行っていないかを確認(チェック)する。不正と疑われる行動には、一定時間以上継続して受験者の視線が上を向くことや、試験の画面における不審な操作などが含まれる。
【0015】
図3(a)には、サーバ10のハードウェア構成の一例が示されている。図3(a)に示すように、サーバ10は、CPU(Central Processing Unit)90、ROM(Read Only Memory)92、RAM(Random Access Memory)94、ストレージ(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive))96、ネットワークインタフェース97、及び可搬型記憶媒体用ドライブ99等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス98に接続されている。サーバ10では、ROM92あるいはストレージ96に格納されているプログラム(試験監視支援プログラムを含む)、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ99が可搬型記憶媒体91から読み取ったプログラムをCPU90が実行することにより、図5に示す各部の機能が実現される。なお、図5の各部の機能は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等の集積回路により実現されてもよい。なお、図5の各部の詳細については後述する。
【0016】
(受験者用端末60の概要)
図1に戻り、受験者用端末60は、PC(Personal Computer)、タブレット型端末、スマートフォンなど、受験者が利用可能な端末である。受験者は、受験者用端末60を用いて、サーバ10にアクセスし、サーバ10から提供される試験の画面において試験問題を解き、解答をサーバ10に送信する。この試験が実施されている間、受験者用端末60は、受験者の顔やその周辺の映像を撮影して、サーバ10に送信する。また、受験者用端末60は、受験者が操作している画面(試験の画面)の映像をサーバ10に送信する。
【0017】
図3(b)には、受験者用端末60のハードウェア構成の一例が示されている。図3(b)に示すように、受験者用端末60は、CPU190、ROM192、RAM194、ストレージ196、ネットワークインタフェース197、表示部193、入力部195、カメラ189、及び可搬型記憶媒体用ドライブ199等を備えている。これらサーバ10の構成各部は、バス198に接続されている。表示部193は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等であり、入力部195は、キーボードやマウス、タッチパネル等を含む。カメラ189は、表示部193近傍に設けられており、受験者の顔付近を撮影できるようになっている。
【0018】
(試験監督用端末70及びエージェント用端末80の概要)
試験監督用端末70及びエージェント用端末80は、試験監督やセキュリティエージェントが利用可能なPC等の端末である。図4には、試験監督用端末70及びエージェント用端末80のハードウェア構成の一例が示されている。図4に示すように、試験監督用端末70及びエージェント用端末80は、CPU290、ROM292、RAM294、ストレージ296、ネットワークインタフェース297、表示部293、入力部295、及び可搬型記憶媒体用ドライブ299等を備えている。これら試験監督用端末70及びエージェント用端末80の構成各部は、バス298に接続されている。試験監督用端末70及びエージェント用端末80では、ROM292あるいはストレージ296に格納されているプログラム、或いは可搬型記憶媒体用ドライブ299が可搬型記憶媒体291から読み取ったプログラムをCPU290が実行することにより、図5に示す各部の機能が実現される。
【0019】
次に、図5に基づいて、サーバ10、試験監督用端末70、及びエージェント用端末80それぞれの機能について説明する。
【0020】
(サーバ10の機能について)
サーバ10は、図5に示すように、試験実施部12、映像取得部14、表示処理部としての画面生成部16、監視部としての不正検知部18、テーブル更新部20を有する。
【0021】
試験実施部12は、受験者用端末60と通信して、試験を実施するために必要な処理を実行する。例えば、試験実施部12は、受験者が受験者用端末60を用いてサーバ10にログインしてきた場合に、当該受験者を受験者情報テーブル22における管理対象とする。また、試験実施部12は、受験者用端末60に対して試験の画面を提供し、受験者用端末60から受験者の解答結果を受信すると、解答結果と正答とを比較して、採点を行う。また、試験実施部12は、受験者が不正を行ったとサービスエージェントが判断した場合に、判断結果を受験者に通知したり、その受験者の試験を中止するなどの処理を実行する。
【0022】
映像取得部14は、受験者用端末60から送信されてくる受験者に関する映像(受験者の顔付近の映像や受験者が操作している画面の映像)を取得し、映像DB24に格納する。また、映像取得部14は、取得した映像を画面生成部16に送信する。なお、映像DB24は、受験者に関する映像を格納するデータベースであり、受験者の情報(受験番号等)と対応付けて各映像が格納される。
【0023】
画面生成部16は、映像取得部14が取得した映像を用いて、試験監督用端末70に提供する画面(図8等に示す不正チェック用画面)やエージェント用端末80に提供する画面(図11に示す確定用画面)を生成する。このとき、画面生成部16は、映像取得部14から取得した受験者に関する映像、受験者情報テーブル22や不正検知テーブル28に格納されている情報、映像DB24に格納されている映像等に基づいて各画面を生成する。また、画面生成部16は、生成した画面を試験監督用端末70やエージェント用端末80に対して提供する。なお、画面生成部16の具体的な処理については後述する。
【0024】
不正検知部18は、AIを用いて映像DB24に格納された受験者に関する映像を監視し、不正と疑われる行動を行った受験者と、その行動の種類を特定し、不正検知テーブル28に格納する。不正検知部18は、不正検知テーブル28に情報を格納する際に、不正テーブル26を参照する。また、不正検知部18は、不正検知テーブル28に格納した情報に基づいて、受験者情報テーブル22を更新する。
【0025】
テーブル更新部20は、試験監督用端末70及びエージェント用端末80における操作情報を受け付けた場合に、受け付けた操作情報に基づいて、受験者情報テーブル22や不正検知テーブル28を更新する。
【0026】
ここで、サーバ10が有する受験者情報テーブル22、不正テーブル26、及び不正検知テーブル28について説明する。
【0027】
(受験者情報テーブル22)
図6には、ルーム1用の受験者情報テーブル22の一例が示されている。なお、図6の受験者情報テーブル22は、ルームごとに生成されるものとする。ただし、これに限らず、受験者情報テーブル22に全受験者の情報が格納されてもよい。全受験者の情報が格納される場合、受験者情報テーブル22においては、各受験者に対応付けてルームの情報を格納すればよい。なお、各受験者がどのルームに割当てられるかは、試験開始前に予め決められていてもよいし、ログイン順に各ルームに割当てられるようにしてもよい。
【0028】
受験者情報テーブル22は、図6に示すように、「受験番号」、「氏名」、「終了フラグ(finish)」、「不正検知フラグ(FD)」、「不正疑惑フラグ(doubt)」、「不正確定フラグ(illegal_act)」、「不正累積得点」、「画面上部表示フラグ(TOS)」、「不正レベル(最大)」の各項目を有する。
【0029】
「受験番号」及び「氏名」の欄には、受験者に割り振られた受験番号、及び受験者の氏名が格納される。「終了フラグ(finish)」の欄には、受験者が試験中であれば「0」、受験者が試験を終了していれば「1」が格納される。「不正検知フラグ(FD)」の欄には、不正検知部18が受験者に関する映像から不正と疑われる行動を検知した場合に「1」が格納され、不正を検知していない場合に「0」が格納される。
【0030】
「不正疑惑フラグ(doubt)」の欄には、試験監督が不正を行っている可能性が高いと判断した場合(セキュリティエージェントに監視依頼を出した場合)に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。「不正確定フラグ(illegal_act)」の欄には、セキュリティエージェントが不正を行っていると最終判断した場合に「1」が格納され、それ以外の場合に「0」が格納される。
【0031】
「不正累積得点」の欄には、受験者が試験開始後に行った不正と疑われる行動それぞれの不正レベルを合計した値が格納される。後述する不正テーブル26においては、不正と疑われる行動の種類ごとに不正レベルが定められている。不正累積得点は、受験者が不正と疑われる行動を行うたびに、増加する。「画面上部表示フラグ(TOS)」の欄には、各受験者について、後述する画面上部表示を行う場合に「1」が格納され、画面上部表示を行わない場合に「0」が格納される。「不正レベル(最大)」の欄には、受験者が試験開始後に行った不正と疑われる行動それぞれの不正レベルのうち、最も大きな値(最大値)が格納される。
【0032】
(不正テーブル26)
図7(a)には、不正テーブル26の一例が示されている。図7(a)に示すように、不正テーブル26は、「不正コード」、「不正対象」、「不正種別」、「不正レベル」の各項目を有する。「不正コード」の欄には、不正と疑われる行動の種類ごとの識別情報が格納される。「不正対象」の欄には、不正と疑われる行動が行われたことを判断する判断対象(目線、人、電子機器、画面など)が格納される。「不正種別」の欄には、判断対象がどのような場合に不正と疑われる行動に該当するかの情報が格納される。例えば、不正コード「0001-001」の不正と疑われる行動は、目線が上(又は下)を向いている状態が一定以上続くこと、である。「不正レベル」の欄には、不正と疑われる行動の種類ごとに定められた点数が格納される。なお、本実施形態においては、「不正レベル」の値が大きいほど、重大な不正であることを意味している。
【0033】
(不正検知テーブル28)
図7(b)には、不正検知テーブル28の一例が示されている。なお、図7(b)の不正検知テーブル28は、ルームごとに生成されるものとする。ただし、これに限らず、不正検知テーブル28には、全ルームの受験者の情報が格納されてもよい。不正検知テーブル28には、不正検知部18が検知した不正と疑われる行動についての情報が格納されている。不正検知テーブル28は、図7(b)に示すように、「不正検知No.」、「受験番号」、「不正検知開始時刻」、「解除時刻」、「不正コード」の各項目を有する。
【0034】
「不正検知No.」の欄には、不正と疑われる行動を検知した順に付与される通し番号が格納される。「受験番号」の欄には、不正と疑われる行動を行った受験者の受験番号が格納される。「不正検知開始時刻」の欄には、不正と疑われる行動が行われた時刻の情報が格納される。「解除時刻」の欄には、不正が無かったと判断した時刻が格納される。「不正コード」の欄には、不正と疑われる行動の種類を示す識別情報が格納される。
【0035】
(試験監督用端末70の機能について)
図5に戻り、試験監督用端末70は、画面更新部72、入力受付部74、報知部76を有する。
【0036】
画面更新部72は、画面生成部16から送信されてくる不正チェック用画面を表示部293に表示する。不正チェック用画面は、図8図10に示すような画面である。不正チェック用画面には、図8に示すように、ルーム内の受験者全員の個別画面を表示する第1表示領域A1と、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面を表示する第2表示領域A2とが設けられている。また、不正チェック用画面には、受験者の行動を詳細に検討するために用いられる第3表示領域A3が設けられている。
【0037】
図8の不正チェック用画面は、ルーム内の受験者の全員が不正と疑われる行動を行っていない場合に、試験監督用端末70の表示部293上に表示される画面である。図8の場合、第1表示領域A1に、ルーム内の受験者全員の個別画面が表示される。個別画面の並び順は、受験番号順であり、左上→中央上→右上→左下→中央下→右下の順に受験番号が大きくなっている。一方、第2表示領域A2には、受験者の個別画面は表示されず、「不正の疑いがある受験者は検出されていません」というメッセージが表示される。また、第3表示領域A3については、何も表示されていない状態となっている。なお、各受験者の個別画面には、各受験者の顔付近を撮影した映像P1と、受験者が操作している画面の映像P2と、「不正チェック」ボタンと、「監視依頼」ボタンとが設けられている。映像P1,P2はリアルタイムの映像である。また、個別画面には、受験番号、氏名、不正累積得点、不正レベルが表示されている。
【0038】
図9の不正チェック用画面は、ルーム内の受験者の一部が不正と疑われる行動を行った場合に、試験監督用端末70の表示部293上に表示される画面である。図9の場合、第1表示領域A1に、ルーム内の受験者全員の個別画面が表示されている。この場合にも、第1表示領域A1における個別画面の並び順は、図8と同様、受験番号順である。一方、第2表示領域A2には、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面が表示される。第2表示領域A2における画面の並び順については後述する。また、第3表示領域A3については、何も表示されていない状態となっている。
【0039】
図10の不正チェック用画面は、図9の画面において、試験監督が第2表示領域A2(又は第1表示領域A1)内に存在する「小林哲郎」の個別画面において、「不正チェック」ボタンを押した場合に表示される画面である。「不正チェック」ボタンが押された場合、画面更新部72は、その旨を画面生成部16に通知する。そして、画面生成部16は、不正検知テーブル28と映像DB24から必要なデータを取得し、第3表示領域A3を更新して、画面更新部72に送信する。なお、第3表示領域A3には、「小林哲郎」が過去に不正と疑われる行動を行ったときの映像や、不正と疑われる行動の情報が表示される。
【0040】
入力受付部74は、図8図10に示すような不正チェック用画面において、試験監督が入力部295を介して入力した情報(操作情報)を取得し、画面更新部72や報知部76に送信する。
【0041】
報知部76は、試験監督がいずれかの受験者の個別画面において「監視依頼」ボタンを押した場合に、当該受験者の監視依頼の情報をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。なお、試験監督は、ある受験者が不正行為を行っていると判断した場合に、その受験者をサービスエージェントに確認してもらうために、その受験者の個別画面において「監視依頼」ボタンを押す。
【0042】
(エージェント用端末80)
エージェント用端末80は、図5に示すように、画面更新部84、入力受付部86、処理部88を有する。画面更新部84は、画面生成部16により生成された確定用画面(図11参照)を受信し、エージェント用端末80の表示部293に表示する。
【0043】
図11の確定用画面には、個別画面表示用領域A11と、不正チェック用領域A12と、が設けられている。個別画面表示用領域A11には、試験監督用端末70において「監視依頼」ボタンが押された受験者の個別画面が表示される。なお、図11の個別画面には、受験者の顔付近を撮影した映像P1と、受験者が操作している画面の映像P2と、「不正チェック」ボタンと、「不正あり」ボタンと、「不正なし」ボタンが設けられている。セキュリティエージェントが「不正チェック」ボタンを押したという情報が入力受付部86から送信されてきた場合、画面更新部84は、その旨をサーバ10の画面生成部16に通知する。そして、画面生成部16は、不正検知テーブル28と映像DB24から必要なデータを取得し、不正チェック用領域A12を更新して、画面更新部84に送信する。なお、図11の確定用画面の不正チェック用領域A12には、「小林哲郎」が過去に不正と疑われる行動を行ったときの映像や、不正と疑われる行動の情報が表示されている。
【0044】
入力受付部86は、確定用画面において、セキュリティエージェントが押したボタンの情報(操作情報)を取得し、画面更新部84や処理部88に送信する。
【0045】
処理部88は、「不正あり」ボタンが押されたという情報を入力受付部86から受信すると、その旨をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。このとき、テーブル更新部20は、処理部88から受信した情報に基づいて、受験者情報テーブル22(不正確定フラグ(illegal_act))を更新する。また、処理部88は、「不正なし」ボタンが押されたという情報を入力受付部86から受信すると、その旨をサーバ10のテーブル更新部20に送信する。テーブル更新部20は、処理部88から受信した情報に基づいて、不正検知テーブル28(解除時刻)や受験者情報テーブル22(不正検知フラグ(FD)、不正疑惑フラグ(doubt))を更新する。
【0046】
(処理について)
次に、各装置の処理について、フローチャートに沿って詳細に説明する。
【0047】
(サーバ10の処理(その1))
以下、サーバ10の処理(その1)について、図12のフローチャートに沿って詳細に説明する。図12の処理は、受験者の少なくとも1人がログインしており、試験開始時刻になった段階から開始されるものとする。なお、図12の処理が開始される段階では、受験者情報テーブル22の「終了フラグ(finish)」は、ログインしている受験者であれば「0」、ログインしていない受験者であれば「1」となっている。また、その他の欄については、全て初期化され、「0」又は「-」となっている。
【0048】
図12の処理が開始されると、まず、ステップS10において、不正検知部18が、AIによる不正検知処理(監視処理)を開始する。
【0049】
次いで、ステップS11において、画面生成部16は、不正チェック用画面(図8)を生成し、試験監督用端末70に送信する。これにより、試験監督用端末70の表示部293には、各試験監督が担当するルームの不正チェック用画面(図8)が表示されるようになっている。
【0050】
次いで、ステップS12において、試験実施部12が、入退出(ログイン/ログアウト)があったか否かを判断する。このステップS12の判断が肯定されると、ステップS14に移行する。
【0051】
ステップS14に移行すると、試験実施部12は、受験者情報テーブル22の終了フラグ(finish)を変更する。例えば、終了フラグ(finish)が「1」であった受験者がログインした場合には、試験実施部12は、終了フラグ(finish)を「0」に変更する。また、終了フラグ(finish)が「0」であった受験者がログアウトした場合には、試験実施部12は、終了フラグ(finish)を「1」に変更する。また、ステップS14においては、画面生成部16が、不正チェック用画面を更新する。具体的には、画面生成部16は、不正チェック用画面の第1表示領域A1に、終了フラグ(finish)が「0」となっている受験者の個別画面を受験番号順に並べて表示する。ステップS14の後は、ステップS16に移行する。なお、ステップS12の判断が否定された場合には、ステップS14を経ずに、ステップS16に移行する。
【0052】
ステップS16に移行すると、試験実施部12は、受験者情報テーブル22を参照して、終了フラグが全て「1」又は試験終了時刻であるか否かを判断する。このステップS16の判断が肯定された場合には、図12の全処理を終了する。一方、ステップS16の判断が否定された場合には、ステップS18に移行する。
【0053】
ステップS18に移行すると、不正検知部18は、不正が検知されたか否かを判断する。このステップS18の判断が否定された場合には、ステップS12に戻る。
【0054】
これに対し、ステップS18の判断が肯定されると、ステップS20に移行し、不正検知部18は、受験者情報テーブル22において、不正検知された受験者の不正検知フラグ(FD)を「1」に設定する。
【0055】
次いで、ステップS22において、不正検知部18は、不正種別を判定し、不正テーブル26を参照して、不正検知テーブル28及び受験者情報テーブル22を更新する。例えば、図13(a)に示す受験者「桜田花子」が不正コード「0001-002」の不正と疑われる行動を行った場合、不正検知テーブル28には、図13(b)に示すようなデータが格納される。また、受験者情報テーブル22は、図13(c)に示すように、不正検知フラグ(FD)、不正累積得点、画面上部表示フラグ(TOS)、不正レベル(最大)の各項目が更新される。
【0056】
次いで、ステップS24において、画面生成部16は、受験者情報テーブル22に基づいて不正チェック用画面を更新する。すなわち、画面生成部16は、図8の不正チェック用画面において、画面上部表示フラグ(TOS)が「1」となっている受験者「桜田花子」の個別画面を第2表示領域A2に表示する。その後は、ステップS12に戻り、ステップS12~S24の処理・判断が繰り返され、ステップS16の判断が肯定された段階で、図12の全処理が終了する。
【0057】
なお、受験者情報テーブル22が図6に示すような状態である場合には、不正チェック用画面は図9に示すような画面となる。具体的には、図9に示すように、第1表示領域A1には、ルーム内の受験者の個別画面が受験番号順に表示される。また、第2表示領域A2には、画面上部表示フラグ(TOS)が「1」である「小林哲郎」、「古田凛」、「本田悟」の個別画面が表示される。なお、第2表示領域A2においては、個別画面を優先度が高い順に並べるものとする。本実施形態では、不正累積得点(受験者それぞれが行った行動の種類と回数から定まる値)が大きいほど、優先度が高いものとする。また、不正累積得点が同一の場合には、不正レベル(最大)が大きいほど優先度が高いものとする。
【0058】
このように、本実施形態では、AIによって不正と疑われる行動を行ったことが検知された受験者を不正チェック用画面の第2表示領域A2にまとめて表示する。これにより、試験監督の目線を画面の一部に集中させることができるため、試験監督は、不正と疑われる行動を行った受験者を見落としなく目視にてチェックすることが可能となる。また、第2表示領域A2においては、優先度が高い順に個別画面を表示するため、試験監督は、優先度を考慮して受験者をチェックすることができる。また、本実施形態では、第1表示領域A1の並び順は変更しないこととしている。これにより、第2表示領域A2の表示が変更する度に第1表示領域A1における個別画面の並び順が変わる場合と比べ、不正チェックの際に試験監督が目移りするのを抑制することができる。
【0059】
(サーバ10の処理(その2))
次に、サーバ10の処理(その2)について、図14のフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、図14の処理は、図12の処理と同時並行的に実行される処理である。
【0060】
図14の処理が開始されると、まず、ステップS50において、画面生成部16は、試験監督用端末70の画面更新部72から、「不正チェック」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS50の判断が否定された場合には、ステップS54に移行し、テーブル更新部20は、試験監督用端末70の報知部76から、「監視依頼」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS54の判断が否定された場合には、ステップS50に戻る。その後は、ステップS50、S54のいずれかの判断が肯定されるまで、ステップS50、S54を繰り返し実行する。
【0061】
ステップS50、S54を繰り返し実行した結果、ステップS50の判断が肯定された場合には、ステップS52に移行する。ステップS52に移行すると、画面生成部16は、不正チェック用画面の第3表示領域A3を更新する。例えば、図9の不正チェック用画面において、受験者「小林哲郎」の個別画面の「不正チェック」ボタンが押された場合には、画面生成部16は、図7(b)の不正検知テーブル28から、「小林哲郎」の受験番号「Cbt0004」のレコードを抽出する。そして、画面生成部16は、抽出したレコードの「不正検知開始時刻」に対応する映像(例えば、不正検知開始時刻の前後所定時間の映像)を映像DB24から取得する。更に、画面生成部16は、取得した映像と、不正検知開始時刻と、不正コードから特定できる情報と、を表示する画面を生成し、生成した画面を用いて第3表示領域A3を更新する。この結果、不正チェック用画面は、図10に示すように更新される。
【0062】
試験監督は、図10の不正チェック用画面(第3表示領域A3)を参照することで、受験者が過去にどのような行動を行ったかを確認することができる。試験監督は、この確認の結果、不正を行っている可能性が高く、セキュリティエージェントに不正の有無の最終判断を行ってもらいたいと考えた場合には、第2表示領域A2の個別画面において「監視依頼」ボタンを押す。
【0063】
一方、図14のステップS50、S54を繰り返し実行した結果、ステップS54の判断が肯定された場合(「監視依頼」ボタンが押された場合)には、ステップS56に移行する。ステップS56に移行すると、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正疑惑フラグ(doubt)を「0」から「1」に変更する。
【0064】
次いで、ステップS58において、画面生成部16は、不正疑惑フラグが「1」となっている受験者の情報に基づいて、確定用画面を生成し、エージェント用端末80の画面更新部84に送信する。例えば、図10の不正チェック用画面において、受験者「小林哲郎」の個別画面の「監視依頼」ボタンが押され、「小林哲郎」の不正疑惑フラグ(doubt)が「1」になったとする。この場合、画面生成部16は、図11に示すような確定用画面(ただし、不正チェック用領域A12には何も表示されていないものとする)を生成し、エージェント用端末80の画面更新部84に送信する。
【0065】
その後は、上記処理が繰り返し実行されるようになっており、図12の処理が終了すると、図14の処理も終了する。
【0066】
(サーバ10の処理(その3))
次に、サーバ10の処理(その3)について、図15のフローチャートに沿って詳細に説明する。なお、図15の処理は、図12図14の処理と同時並行的に実行される処理である。
【0067】
図15の処理が開始されると、まず、ステップS70において、画面生成部16が、エージェント用端末80の画面更新部84から、確定用画面において「不正チェック」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS70の判断が否定された場合には、ステップS74に移行し、テーブル更新部20は、エージェント用端末80の処理部88から、「不正あり」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS74の判断が否定された場合には、ステップS78に移行し、テーブル更新部20は、エージェント用端末80の処理部88から、「不正なし」ボタンが押されたという情報を受信したか否かを判断する。このステップS78の判断が否定された場合には、ステップS70に戻る。その後は、ステップS70、S74、S78のいずれかの判断が肯定されるまで、ステップS70、S74、S78を繰り返し実行する。
【0068】
ステップS70、S74、S78を繰り返し実行した結果、ステップS70の判断が肯定された場合(確定用画面で「不正チェック」ボタンが押された場合)には、ステップS72に移行する。ステップS72に移行すると、画面生成部16は、図14のステップS52と同様の処理を行うことで、確定用画面の不正チェック用領域A12を更新する。これにより、確定用画面は、不正チェック用領域A12に何も表示されていない状態から、図11のように受験者の過去の行動をチェックできる状態に更新される。
【0069】
また、図15のステップS70、S74、S78を繰り返し実行した結果、ステップS74の判断が肯定された場合(確定用画面で「不正あり」ボタンが押された場合)には、ステップS76に移行する。なお、セキュリティエージェントは、確定用画面内の個別画面や不正チェック用領域A12の表示を確認した結果、受験者が不正を行っていると最終判断した場合に、当該受験者の個別画面において「不正あり」ボタンを押す。ステップS76に移行すると、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正確定フラグ(illegal_act)を「0」から「1」に変更する。また、試験実施部12は、受験者情報テーブル22の不正確定フラグ(illegal_act)が「1」である受験者に対して、不正行為があった旨を通知したり、その受験者の試験を中止するなどの所定の処理を実行する。
【0070】
一方、図15のステップS70、S74、S78を繰り返し実行した結果、ステップS78の判断が肯定された場合(確定用画面で「不正なし」ボタンが押された場合)には、ステップS80に移行する。なお、セキュリティエージェントは、確定用画面内の個別画面や不正チェック用領域A12の表示を確認した結果、受験者が不正を行っていないと最終判断した場合に、当該受験者の個別画面において「不正なし」ボタンを押す。ステップS80に移行すると、テーブル更新部20は、不正検知テーブル28において対応する受験者の「解除時刻」に現在時刻を入力する。なお、解除時刻の欄に時刻情報が入力されたレコードは、その時刻以降において画面生成に利用されないレコードとなるものとする。また、テーブル更新部20は、受験者情報テーブル22の不正検知フラグ(FD)、不正疑惑フラグ(doubt)、不正累積得点、画面上部表示フラグ(TOS)、不正レベル(最大)をリセット(「0」又は「-」に設定)する。
【0071】
その後は、上記処理が繰り返し実行されるようになっており、図12の処理が終了すると、図15の処理も終了する。
【0072】
以上、詳細に説明したように、本実施形態によると、画面生成部16は、複数の受験者用端末60のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を不正チェック用画面の第1表示領域A1に並べて表示する(図8、S11、S14)。また、不正検知部18は、受験者に関する映像をAIを用いて解析することにより、試験中の受験者の行動を監視する(S10)。そして、画面生成部16は、不正検知部18が受験者が不正と疑われる行動を行ったことを検知した場合(S18:肯定)に、不正チェック用画面の第2表示領域A2に、当該受験者の個別画面を表示する(図9、S24)。このように、不正検知部18が不正と疑われる行動を行ったと判断した受験者の個別画面をまとめて第2表示領域A2に表示することで、試験監督が注視すべき個別画面を不正チェック用画面の一部に集めることができる。これにより、試験監督は不正と疑われる行動を行った受験者を見落とすことなく、目視によりチェックすることが可能となる。すなわち、不正と疑われる行動を行った受験者を確認しやすくすることができる。したがって、試験監督の負担軽減や検知精度の向上を図ることができる。また、試験監督の負担軽減により、一人の試験監督が担当する受験者の数を増やすことが可能となる。
【0073】
また、本実施形態では、第2表示領域A2に個別画面を表示する際の並び順を、優先度に基づいて決定する(S24)。優先度が高い順又は低い順に個別画面を並べて表示することで、試験監督は受験者の不正チェックをしやすくなる。ここで、優先度は、受験者それぞれが行った不正と疑われる行動の種類と回数から定まる値(不正累積得点)である。これにより、悪質な不正を多く行っている受験者の優先度が高くなるようにすることができるので、試験監督は、優先度の高い受験者を重点的にチェックすることが可能となる。また、不正累積得点が同一の場合に不正スコア(最大)が大きい順に個別画面を並べて表示することで、悪質な不正を行った受験者ほど優先度が高いものとして表示することができる。
【0074】
なお、上記実施形態では、第2表示領域A2に並べる個別画面それぞれの優先度を各受験者の不正累積得点とする場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、個別画面それぞれの優先度を各受験者の不正スコア(最大)から決定してもよい。すなわち、第2表示領域A2において、個別画面を不正スコア(最大)が大きい順に並べ、不正スコア(最大)が同一の場合には、不正累積得点順に並べることとしてもよい。また、不正累積得点と不正スコア(最大)とを所定の式に投入した結果得られる値を優先度としてもよい。
【0075】
なお、上記実施形態においては、不正と疑われる行動を行った受験者を第2表示領域A2に表示する場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、図16に示すような不正チェック用画面がある場合において、受験者情報テーブル22が図6に示すようになったときに、図17に示すように個別画面の表示順を入れ替えることとしてもよい。すなわち、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面を並び順の前側(又は後側)に配置するようにしてもよい。このようにしても、上記実施形態と同様、試験監督が注視すべき個別画面を不正チェック用画面の一部に集めることができる。したがって、試験監督は不正と疑われる行動を行った受験者を見落とすことなく、目視によりチェックすることが可能となる。
【0076】
また、例えば、図16に示すような不正チェック用画面が表示されている場合において、受験者情報テーブル22が図6に示すようになったときに、図18に示すような表示を行うようにしてもよい。すなわち、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面をその他の受験者の個別画面とは異なる態様(画面の外枠の太さや、色彩、模様など)で表示するようにしてもよい。このようにしても、試験監督が注視すべき個別画面を特定しやすくできるので、試験監督は不正と疑われる行動を行った受験者を見落とすことなく、目視によりチェックすることが可能となる。なお、不正と疑われる行動を行った受験者の個別画面をその他の受験者の個別画面とは異なる態様で表示することは、上記実施形態(図8図9)や変形例(図17)のような表示を行う際にも適用することが可能である。これにより、試験監督が注視すべき個別画面をより特定しやすく表示することができる。
【0077】
なお、上記の処理機能は、コンピュータによって実現することができる。その場合、処理装置が有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記憶媒体(ただし、搬送波は除く)に記録しておくことができる。
【0078】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD(Digital Versatile Disc)、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)などの可搬型記憶媒体の形態で販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0079】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、可搬型記憶媒体に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶装置に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶装置からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、可搬型記憶媒体から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0080】
上述した実施形態は本発明の好適な実施の例である。但し、これに限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変形実施可能である。
【0081】
なお、以上の実施形態の説明に関して、更に以下の付記を開示する。
(付記1) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
(付記2) 前記所定の行動を行った受験者が複数存在する場合に、前記受験者それぞれが行った前記所定の行動の種類と回数から定まる値に基づいて、前記第2表示領域における前記受験者に関する映像それぞれの並び順を決定し、
前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する処理は、決定した前記並び順に従って、前記受験者に関する映像を前記第2表示領域に表示する、ことを特徴とする付記1に記載の試験監視支援方法。
(付記3) 前記所定の行動の種類に対応付けて重みを示す値が予め設定されており、
前記所定の行動を行った受験者が複数存在する場合に、複数の前記受験者ごとに各受験者が行った行動の種類に対応する重みを示す値の最大値を特定し、特定した各受験者の最大値に基づいて、前記第2表示領域における前記受験者に関する映像それぞれの並び順を決定し、
前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する処理は、決定した前記並び順に従って、前記受験者に関する映像を前記第2表示領域に表示する、ことを特徴とする付記1に記載の試験監視支援方法。
(付記4) 前記受験者に関する映像は、前記受験者を撮影した映像及び前記受験者が試験中に操作している画面の映像の少なくとも一方である、ことを特徴とする付記1~3のいずれかに記載の試験監視支援方法。
(付記5) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により所定の行動を行ったことを検知した受験者に関する映像を、前記表示画面の前記第1表示領域においてまとめて表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
(付記6) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域において、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を他の受験者に関する映像とは異なる態様で表示する、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする試験監視支援方法。
(付記7) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
(付記8) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により所定の行動を行ったことを検知した受験者に関する映像を、前記表示画面の前記第1表示領域においてまとめて表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
(付記9) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示し、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視し、
前記監視により前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域において、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を他の受験者に関する映像とは異なる態様で表示する、
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする試験監視支援プログラム。
(付記10) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示する表示処理部と、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視する監視部と、を備え、
前記表示処理部は、前記監視部が前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域とは異なる第2表示領域に、前記所定の行動を行った受験者に関する映像をさらに表示する、
ことを特徴とする試験監視支援装置。
(付記11) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示する表示処理部と、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視する監視部と、を備え、
前記表示処理部は、前記監視部により所定の行動を行ったことが検知された受験者に関する映像を、前記表示画面の前記第1表示領域においてまとめて表示する、ことを特徴とする試験監視支援装置。
(付記12) 複数の受験者用端末のそれぞれから受信した試験中の受験者に関する映像を表示画面の第1表示領域に並べて表示する表示処理部と、
前記受験者に関する映像を解析することにより、試験中の前記受験者の行動を監視する監視部と、を備え、
前記表示処理部は、前記監視部が前記受験者が所定の行動を行ったことを検知した場合に、前記表示画面の前記第1表示領域において、前記所定の行動を行った受験者に関する映像を他の受験者に関する映像とは異なる態様で表示する、ことを特徴とする試験監視支援装置。
【符号の説明】
【0082】
10 サーバ(試験監視支援装置)
12 試験実施部
14 映像取得部
16 画面生成部(表示処理部)
18 不正検知部(監視部)
20 テーブル更新部
60 受験者用端末
A1 第1表示領域
A2 第2表示領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18