(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179990
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電子機器
(51)【国際特許分類】
G06F 1/18 20060101AFI20241219BHJP
G06F 1/16 20060101ALI20241219BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20241219BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F1/18 C
G06F1/16 312E
G06F1/16 312J
G06F1/20 B
G06F1/20 C
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099380
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】505205731
【氏名又は名称】レノボ・シンガポール・プライベート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 大輔
(72)【発明者】
【氏名】木下 宏晃
(72)【発明者】
【氏名】劉 ガロ
(72)【発明者】
【氏名】尾上 祐介
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA03
5E322AA11
5E322AB04
5E322AB06
5E322AB11
5E322FA04
5E322FA09
(57)【要約】
【課題】異音を生じさせることなく筐体間の熱輸送を可能にする電子機器を提供する。
【解決手段】電子機器10は、ヒンジ装置14により第1筐体12Aと第2筐体12Bとが回動可能に連結されている。グラファイトシート80Aは第1筐体12Aの内面に設けられ、180度姿勢時に背表紙部品49と接触する。グラファイトシート80Bは第2筐体12Bの内面に設けられ、180度姿勢時に背表紙部品49と接触する。フレキシブル基板38は第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間に亘って設けられ、筐体内で互いに逆向きに湾曲した第1折返し部102a及び第2折返し部102bを有する略S字形状の余長吸収部104を形成する。グラファイトシート80A,80Bは、余長吸収部104と接触する箇所の保護層106が摺動材である。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ装置により第1筐体と第2筐体とが回動可能に連結されている電子機器であって、
前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、
前記第2筐体と隣接する前記第1筐体の第1縁部と、前記第1筐体と隣接する前記第2筐体の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部と前記第2縁部との間に形成される隙間を覆い、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される、熱伝導材料製の背表紙部品と、
前記第1筐体の内面に設けられ、前記第2姿勢時に前記背表紙部品と接触する第1伝熱性シートと、
前記第2筐体の内面に設けられ、前記第2姿勢時に前記背表紙部品と接触する第2伝熱性シートと、
を備え、
前記第1伝熱性シートおよび前記第2伝熱性シートは、伝熱材層と、前記背表紙部品が位置する側である表側の全面に亘って摺動材で形成された保護層とを備え、
前記保護層と前記背表紙部品が接触する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項2】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1筐体と前記第2筐体との間に亘って設けられるフラットケーブルと、
前記フラットケーブルに対して、前記第1筐体から前記第2筐体に亘ってグラファイトシートが積層された積層体を備え、
前記第1伝熱性シートおよび前記第2伝熱性シートの前記保護層の少なくとも一部が前記積層体と接触する
ことを特徴とする電子機器。
【請求項3】
請求項1に記載の電子機器において、
前記第1伝熱性シートおよび前記第2伝熱性シートが前記背表紙部品と接触する箇所には前記第1筐体および前記第2筐体との間にクッション部材が設けられている
ことを特徴とする電子機器。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記摺動材はテフロンである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項5】
請求項1~3のいずれか1項に記載の電子機器において、
前記第1伝熱性シートおよび前記第2伝熱性シートはグラファイトシートである
ことを特徴とする電子機器。
【請求項6】
請求項2に記載の電子機器において、
前記フラットケーブルはフレキシブル基板である
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒンジ装置により第1筐体と第2筐体とが回動可能に連結されている電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネル式の液晶ディスプレイを有し、物理的なキーボードを持たないPCやスマートフォン等の電子機器が急速に普及している。この種の電子機器のディスプレイは、使用時には大きい方が望ましい反面、非使用時には小型化できることが望まれている。そこで、特許文献1では、例えば有機EL(Electro Luminescence)等のフレキシブルディスプレイを用いることで、筐体間を折り畳み可能に構成した電子機器が提案されている。
【0003】
特許文献1に記載の電子機器は、第1筐体に発熱をともなう処理装置が実装されており、第2筐体には発熱の小さいバッテリ装置が搭載されており、両者間で熱的なアンバランスが生じる。そのため、第1筐体および第2筐体の各内面にグラファイトシートを設け、該グラファイトシートをヒンジ装置の一部を構成する熱伝導材料製の背表紙部品を介して両筐体間の熱輸送を行っている。
【0004】
また、筐体間で送受信される情報量が大きい場合等、一般的な配線では太くなり過ぎるときは、フレキシブル基板を使用することが考えられる。筐体間の配線は回動動作時に生じる周長差によって伸縮動作を生じるため、特許文献2ではフレキシブル基板に略S字形状の折り返し部を設け、筐体同士が回動することによる経路長の変化を吸収している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2023-060600号公報
【特許文献2】特開2022-121092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般にグラファイトシートはグラファイトの成分の保護のために表面に保護膜が設けられる。保護膜としては強度、寸法安定性、化学的安定性、絶縁性などの観点からPET(polyethylene terephthalate)が多く用いられている。
【0007】
ところで、特許文献1に記載の電子機器に対して特許文献2に記載のようなフレキシブル基板を適用すると、第1筐体と第2筐体とが相対的に回動する際に保護膜にPETを用いたグラファイトシートとフレキシブル基板との間で摺動による異音が生じる懸念がある。
【0008】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、異音を生じさせることなく筐体間の熱輸送を可能にする電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の態様に係る電子機器は、ヒンジ装置により第1筐体と第2筐体とが回動可能に連結されている電子機器であって、前記第1筐体と前記第2筐体とを、互いに面方向で重なるように積層する第1姿勢と、互いに面方向と垂直する方向に並ぶ第2姿勢との間で、相対的に回動可能に連結するヒンジ装置と、前記第2筐体と隣接する前記第1筐体の第1縁部と、前記第1筐体と隣接する前記第2筐体の第2縁部とに沿って延在し、前記第1姿勢時に前記第1縁部と前記第2縁部との間に形成される隙間を覆い、前記第2姿勢時には前記第1縁部と前記第2縁部とを跨ぐように配置される、熱伝導材料製の背表紙部品と、前記第1筐体の内面に設けられ、前記第2姿勢時に前記背表紙部品と接触する第1伝熱性シートと、前記第2筐体の内面に設けられ、前記第2姿勢時に前記背表紙部品と接触する第2伝熱性シートと、を備え、前記第1伝熱性シートおよび前記第2伝熱性シートは、伝熱材層と、前記背表紙部品が位置する側である表側の全面に亘って摺動材で形成された保護層とを備え、前記保護層と前記背表紙部品が接触する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の上記態様によれば、異音を生じさせることなく筐体間の熱輸送が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態に係る電子機器を閉じて0度姿勢とした状態を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、電子機器を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す平面図である。
【
図3】
図3は、電子機器の内部構造を模式的に示す平面図である。
【
図5】
図5は、180度姿勢時のヒンジ装置およびその周辺の断面側面図である。
【
図6】
図6は、0度姿勢時のヒンジ装置およびその周辺の断面側面図である。
【
図7】
図7は、180度姿勢時の空間内およびヒンジ本体に沿う積層体の状態を示す断面側面図である。
【
図8】
図8は、0度姿勢時の空間内およびヒンジ本体に沿う積層体の状態を示す断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本発明にかかる電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0013】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を閉じて0度姿勢とした状態を示す斜視図である。
図2は、
図1に示す電子機器10を開いて180度姿勢とした状態を模式的に示す平面図である。
図3は、
図2に示す電子機器10の内部構造を模式的に示す平面図である。
図3では、カバー部材18A、18Bおよびサーマルモジュール30を取り外した状態としている。
図4は、電子機器10の分解斜視図である。
図5は、180度姿勢時のヒンジ装置14およびその周辺の断面側面図である。
図6は、0度姿勢時のヒンジ装置14およびその周辺の断面側面図である。
【0014】
図1~
図4に示すように、電子機器10は、第1筐体12Aと、第2筐体12Bと、ヒンジ装置14と、ディスプレイ16とを備える。ディスプレイ16は、筐体12A,12B間に亘って延在している。本実施形態では、本のように折り畳み可能なタブレット型PC或いはノート型PCとして用いられる電子機器10を例示する。電子機器10は、2つの筐体が相対的に回動可能に連結されている構成であればよい。
【0015】
各筐体12A,12Bは、互いに隣接して配置されている。第1筐体12Aは、フレーム部材17Aと、カバー部材18Aとを備える。フレーム部材17Aは、第2筐体12Bと隣接する第1端部12Aa以外の3辺に立壁を形成した矩形の枠状部材である。カバー部材18Aは、フレーム部材17Aの裏面開口を閉じるプレート状部材である(
図5も参照)。同様に、第2筐体12Bは、第1筐体12Aと隣接する第2端部12Ba以外の3辺に立壁を形成したフレーム部材17Bと、フレーム部材17Bの裏面開口を閉じるカバー部材18Bとを備える。フレーム部材17A,17Bの表面開口は、ディスプレイ16で閉じられる。
【0016】
各部材17A,17B,18A,18Bは、例えばステンレスやマグネシウム、アルミニウム等の金属部材、或いは炭素繊維等の強化繊維を含む繊維強化樹脂板等で構成される。つまり、部材17A,17B,18A,18Bは熱伝導材料であり適度な伝熱性を有する。
【0017】
ヒンジ装置14は、筐体12A,12Bを0度姿勢と180度姿勢との間で相対的に回動可能に連結している。ヒンジ装置14は、
図1に示す0度姿勢で形成される端部12Aa,12Ba間の隙間を隠す背表紙としても機能する。
【0018】
以下、電子機器10について、筐体12A,12Bの並び方向をX方向、これと直交する端部12Aa,12Baに沿う方向をY方向、筐体12A,12Bの厚み方向をZ方向、と呼んで説明する。Z方向に関しては、ディスプレイ16が設けられる側を表面とし、カバー部材18A,18Bが設けられる側を背面とする。また、第1筐体12Aとその構成要素に限りX方向について端部12Aaの方向をX1側とし、その反対側をX2側とする。
【0019】
さらに、筐体12A,12B間の角度姿勢について、互いに面方向で重なるように積層された状態を0度姿勢(第1姿勢、
図1参照)と呼び、互いに面方向と垂直する方向(X方向)に並んだ状態を180度姿勢(第2姿勢、
図2、
図3参照)と呼んで説明する。0度と180度の間の姿勢は適宜角度を刻んで呼ぶことができ、例えば筐体12A,12Bの互いの面方向が直交した状態が90度姿勢となる。これらの角度は説明の便宜上のものであり、実際の製品では角度数字の示す正確な角度位置から多少ずれた角度位置となることも当然生じ得る。
【0020】
図3に示すように、第1筐体12Aは、マザーボード20、通信モジュール22、SSD(Solid State Drive)24、バッテリ装置26を搭載している。第1筐体12Aにはサーマルモジュール30(
図4参照)が設けられている。
【0021】
サーマルモジュール30は、発熱する電気部品であるCPU20a、通信モジュール22、SSD24から受熱して広い範囲に拡散して放熱する放熱体であり、ベーパーチャンバ、グラファイトシートおよび1本以上のヒートパイプによって構成されている。
図4の符号60で示すように、ヒートパイプのうち1本はサーマルモジュール30におけるX1側の縁に沿って設けられており、発熱体の熱がヒートパイプ60まで熱輸送されるようになっている。
【0022】
マザーボード20は、例えばCPU(Central Processing Unit)20a等の電子部品が実装されている。CPU20aは、電子機器10の主たる制御や処理に関する演算を行う処理装置である。CPU20aは、電子機器10に搭載された電子部品の中で最大級の発熱体である。通信モジュール22は、例えば第2筐体12Bに搭載されたアンテナを介して送受信される無線通信の情報処理を行う。通信モジュール22は、例えばワイヤレスWANや第5世代移動通信システムに対応する。SSD24は、半導体メモリを用いた記憶装置である。第1筐体12Aは、マザーボード20以外にも各種電子部品が搭載される。通信モジュール22及びSSD24は、CPU20aに次ぐ発熱量の発熱体である。バッテリ装置26は電子機器10のサブ電源となる二次電池である。
【0023】
第2筐体12Bは、バッテリ装置32、ディスプレイボード34、及びサブカード36を搭載している。バッテリ装置32は、電子機器10のメイン電源となる二次電池であり、上記のバッテリ装置26より大型となっており第2筐体12B内の大部分を占める。ディスプレイボード34は、ディスプレイ16の制御基板である。サブカード36は、例えば電源ボタンやUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠した外部コネクタ等を実装した基板である。第2筐体12Bは、バッテリ装置32等以外にも各種電子部品が搭載される。
【0024】
バッテリ装置32、ディスプレイボード34、及びサブカード36は、それぞれ端部12Aa,12Baを跨ぐフレキシブル基板(フラットケーブル、FPC(Flexible Printed Circuits))38,40,42を用いてマザーボード20と接続されている。以下、フレキシブル基板38,40,42については特に区別する必要がない場合には、代表的にフレキシブル基板38とも呼ぶ。
【0025】
バッテリ装置32、ディスプレイボード34、及びサブカード36の発熱量は、CPU20a等に比べて小さい。このため、電子機器10は、第1筐体12A内での発熱量が第2筐体12B内の発熱量に比べて大きい。そこで、電子機器10は、左右の筐体12A,12B間での熱移動を促進し、各筐体12A,12Bの熱を均等化するための構成として、熱伝導部材78A,78B(
図4参照)、およびグラファイトシート86,88,90(
図4参照)を備えている。グラファイトシート86,88,90は、順にフレキシブル基板38,40、42の一部に積層され貼り合わされている。
【0026】
図1及び
図6に示す0度姿勢において、筐体12A,12Bは、二つ折りに折り畳まれた状態となる。ディスプレイ16は、有機ELで形成されたペーパー状のフレキシブルディスプレイである。0度姿勢時、ディスプレイ16は、
図2に示す第1筐体12A側の領域R1と第2筐体12B側の領域R2とが対向するように配置され、領域R1,R2間の境界領域である折曲領域R3が円弧状に折り曲げられた状態となる。
図2及び
図5に示す180度姿勢において、筐体12A,12Bは、互いに左右に並んで配置される。この際、ディスプレイ16は、領域R1,R2及び折曲領域R3がXY平面上に並んで配置され、全体として1枚の平板形状を成す。
【0027】
ディスプレイ16は、領域R1が第1筐体12Aに対して相対的に固定され、領域R2が第2筐体12Bに対して相対的に固定される。具体的には、
図5に示すように、領域R1の裏面16aが第1プレート44Aを介して第1筐体12Aと固定され、領域R2の裏面16aが第2プレート44Bを介して第2筐体12Bと固定される。
【0028】
図5に示すように、プレート44A,44Bは、ヒンジ装置14を間に挟むように左右に配置され、それぞれの表面44Aa,44Baでディスプレイ16を支持する。ディスプレイ16の裏面16aは、領域R1が第1プレート44Aの表面44Aaに粘着固定され、領域R2が第2プレート44Bの表面44Baに粘着固定される。プレート44A,44Bは、例えば炭素繊維にエポキシ樹脂等のマトリクス樹脂を含侵させた炭素繊維強化樹脂板と、この炭素繊維強化樹脂板の裏面の外周を囲むマグネシウム合金製の金属フレームとを有する構成である。
【0029】
ディスプレイ16の折曲領域R3は、筐体12A,12Bに対して相対移動可能である。180度姿勢時、折曲領域R3の裏面16aは、ヒンジ装置14で支持される(
図5参照)。0度姿勢時、折曲領域R3は、円弧状に折り曲げられ、裏面16aの一部がヒンジ装置14で支持され、大部分はヒンジ装置14から離間する(
図6参照)。
【0030】
図5、
図6に示すように、本実施形態のヒンジ装置14は、ヒンジ本体46と、第1サポートプレート48Aと、第2サポートプレート48Bとを有する。
【0031】
ヒンジ本体46は、筐体12A,12Bの端部12Aa,12Baを跨ぐ位置に設けられ、端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。ヒンジ本体46の断面は第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間で対称であって、2つの斜面46aとその間の頂面46bとによって台形をなしている。ヒンジ本体46は、アルミニウム等の金属材料で形成されたブロック状部品である。ヒンジ本体46には、180度姿勢でX方向に並ぶ2本のヒンジ軸が支持されている。
【0032】
図1及び
図5に示すように、ヒンジ本体46の外面には、背表紙部品49が取り付けられている。背表紙部品49は、ヒンジ本体46の外面形状に合わせた略U字状のプレートである。背表紙部品49は、例えばアルミニウム合金やステンレス等の熱伝導材料で形成されている。背表紙部品49は、外面品質を高めるための化粧カバーである。フレキシブル基板38,40,42は、端部12Aa,12Baを跨ぐ位置では、ヒンジ本体46と背表紙部品49との間を通過している。
【0033】
図5に示す180度姿勢時、ヒンジ本体46は、筐体12A,12B内に収納され、互いに近接した端部12Aa,12BaをX方向に跨ぐ。
図6に示す0度姿勢時、ヒンジ本体46は、大きく離間した端部12Aa,12Ba間に形成される隙間を塞ぐように配置される。この際、背表紙部品49が最外面に配置されることで、折り畳まれた電子機器10の外観意匠の低下を防止している(
図1参照)。
【0034】
すなわち背表紙部品49は、180度以外(例えば0度姿勢又は90度姿勢)の角度姿勢において、筐体12A,12B間に形成される隙間を覆う(
図1及び
図6参照)。これにより背表紙部品49は、この隙間から筐体12A,12Bの内部部品が外観に露呈することを防止する。背表紙部品49は、180度姿勢時には互いに近接した端部12Aa,12BaをX方向に跨ぐように配置され、筐体12A,12B内に収納される(
図5参照)。
【0035】
次に、サポートプレート48A,48Bは、アルミニウム等の金属材料で形成されたプレートであり、左右対称形状である。サポートプレート48A,48Bは、筐体12A,12Bの表側に設けられ、端部12Aa,12Baに沿ってY方向で略全長に亘って延在している。
【0036】
第1サポートプレート48Aは、第1プレート44Aとヒンジ本体46との間に配置される。第1サポートプレート48Aは、第1プレート44A側の縁部が所定のブラケットに対して回転軸を介して相対回転可能に連結されている。第1サポートプレート48Aは、ヒンジ本体46側の縁部がヒンジ本体46に対して相対移動可能である。第2サポートプレート48Bの構成及び取付構造等は、第1サポートプレート48Aと左右対称であるため、詳細な説明を省略する。
【0037】
サポートプレート48A,48Bは、筐体12A,12Bの回動動作に応じて揺動する。180度姿勢時、サポートプレート48A,48Bは、その表面でディスプレイ16の折曲領域R3の裏面16aを支持する。180度以外の角度姿勢では、サポートプレート48A,48Bは、ディスプレイ16との間に隙間を設けた状態、又はディスプレイ16を変形させない程度の僅かな力でディスプレイ16に接触する(
図6参照)。サポートプレート48A,48Bは、180度以外の角度姿勢でもディスプレイ16の折曲領域R3を支持し、その形状を矯正する構成としてもよい。このように、サポートプレート48A,48Bは、180度姿勢時にはディスプレイ16の折曲領域R3を平面で安定して支持する一方、折曲領域R3の折曲動作を阻害することはない。
【0038】
フレーム部材17Aにおける端部12Aaに沿う連結縁部50Aについて説明する。連結縁部50Aは、180度姿勢(
図5参照)において、フレーム部材17Bにおける端部12Baに沿う連結縁部50BとX方向についてほぼ対称で隣接する。また、連結縁部50Aと連結縁部50Bとは、0度姿勢(
図6参照)においてZ方向についてほぼ対称で対向する。連結縁部50Aと連結縁部50Bとは略対称形状であることから、連結縁部50Aのみ説明する。
【0039】
連結縁部50Aはフレーム部材17Aの一部であり、上記の通り適度な伝熱性を有している。連結縁部50Aは、背面形成部50Aa、中段部50Ab、低段部50Acを有する。背面形成部50Aaは、カバー部材18Aの端部と第1筐体12Aの端部12Aaまでの領域において該第1筐体12Aの背面を形成する部分である。背面形成部50AaにおけるX1側の内面には低い段差部50Adが形成されている。
【0040】
中段部50Abは背面形成部50AaからX2側に延在している部分である。中段部50Abにはカバー部材18Aが粘着テープ52によって固定される。背面形成部50Aaと中段部50Abとの間には段差があり、背面形成部50Aaとカバー部材18Aとはほぼ同一面を形成するようになっている。
【0041】
低段部50Acは中段部50Abから表面側にややシフトしてさらにX2側に延在している部分である。低段部50Acにはサーマルモジュール30の一部が固定される。
図5における中段部50Abの表面側、かつ低段部50AcのX1側には空間54が形成される。空間54にはフレキシブル基板38の一部が逆S字を描くように収納されている。また、第2筐体12Bにおける対称位置にも同様の空間があり、フレキシブル基板38の一部がS字を描くように収納されている。これにより電子機器10が0度姿勢から180度姿勢まで変形するのに対応してフレキシブル基板38が無理なく追従するようになっている。
【0042】
図4、
図5に示すように、電子機器10は、第1筐体12A内に設けられた第1熱伝導部材78Aと、第2筐体12B内に設けられた第2熱伝導部材78Bとを有する。第1熱伝導部材78Aは、グラファイトシート(第1伝熱性シート)80Aと、クッション部材82Aとを有する。第2熱伝導部材78Bは、グラファイトシート(第2伝熱性シート)80Bと、クッション部材82Bとを有する。熱伝導部材78A,78Bは、略左右対称に配置されている。グラファイトシート80A,80Bおよび後述するグラファイトシート73,86,88,90は炭素の同素体であるグラファイト(黒鉛)をシート状に加工したグラファイト層108(
図9参照)を保護層106で覆ったものであり、高い熱伝導率を有する。グラファイトシート80A,80B,73,86,88,90は薄く柔軟なシートである。
【0043】
図4に示すように、グラファイトシート80A,80Bは、Y方向に延在するシート80Aa,80Baと、該シート80Aa,80Baと直交するようにX方向に突出する3つのシート80Ab,80Bbとを有する。シート80Aaは端部12Aaに沿い、シート80Baは端部12Baに沿っている。シート80Abとシート80Bbとは反対方向に突出している。
【0044】
クッション部材82A,82Bは、ゴムやスポンジ等のように、柔軟性及びある程度の反発力を有する材料で形成される。本実施形態のクッション部材82A,82Bは、スポンジである。クッション部材82A,82Bは、グラファイトシート80A,80BよりもZ方向の厚みが大きく、例えば1~2mm程度である。クッション部材82A、82Bは、シート80Aa,80Baとシート80Ab,80Bbの3つの交差点にそれぞれ配置されている。これにより熱伝導部材78A,78Bは、クッション部材82A,82Bが配置された各位置にグラファイトシート80A,80Bが盛り上がった土手状の膨出部84が形成されている。
【0045】
グラファイトシート80Aは連結縁部50Aの背面形成部50Aaおよび中段部50Abの表面側に貼り付けられている。クッション部材82Aおよびこれに対応した膨出部84は段差部50Adに配置されている。グラファイトシート80Bおよびクッション部材82Bは連結縁部50Bにおいて、グラファイトシート80Aおよびクッション部材82Aと略対称となる位置に設けられている。
【0046】
図5に示すように、クッション部材82A,82Bは、180姿勢度時にグラファイトシート80A,80Bを背表紙部品49に対して押し付ける。従って、膨出部84がある部分では、熱伝導部材78A,78Bが背表紙部品49に接触する。これにより、第1フレーム部材17Aはグラファイトシート80A,背表紙部品49およびグラファイトシート80Bを介して第2フレーム部材17Bと熱接続されることになり、第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間で熱輸送がなされる。膨出部84は背表紙部品49の肩部に当接し、電子機器10が0度から180度に亘って変形する際に背表紙部品49に対する摺動距離は短く、該背表紙部品49の表面を変質させることがない。
図6に示すように、グラファイトシート80A,80Bは、0度姿勢時には背表紙部品49から離間しユーザから視認されないようになっている。
【0047】
次に、グラファイトシート86,88,90について説明する。上記のようにグラファイトシート86,88,90は、順にフレキシブル基板38,40,42における少なくとも第1筐体12Aから第2筐体12Bに亘る箇所において積層され、伝熱性の粘着テープなどによって貼り付けられている。以下、代表的に互いに貼り付けられたグラファイトシート86とフレキシブル基板38とについて説明する。グラファイトシート86は帯状であって、フレキシブル基板38とX方向の幅が等しい。互いに貼り付けられたグラファイトシート86とフレキシブル基板38とを積層体100とする。
【0048】
図5に示すように、グラファイトシート86とフレキシブル基板38とは第1筐体12Aから第2筐体12Bに亘る箇所において積層されていることから同じ配策経路となっている。したがって、積層体100は第1筐体12Aの空間54および第2筐体12Bにおける対応する空間でS字および逆S字を描くように収納されている。また、グラファイトシート86とフレキシブル基板38とは、背表紙部品49とヒンジ装置14との間の経路に配置されていることから、背面側は背表紙部品49で覆われて視認されない。また、表面側はディスプレイ16で覆われる。
【0049】
積層体100は、第1筐体12A内の空間54から連結縁部50Aの低段部50Acとディスプレイ16との隙間をX2方向へ延在する。この隙間を抜けたフレキシブル基板38はマザーボード20に接続される。一方、グラファイトシート86は、U字状の折返し部86aを形成し、一端部86bが低段部50Acの背面に至りヒートパイプ60によって伝熱性ラバー72を介して低段部50Acとの間で積層・挟持されて熱接続される。つまり、グラファイトシート86の一端部86bは、サーマルモジュール30および連結縁部50Aに対して熱接続されている。なお、この実施例ではグラファイトシート86の一端部86bは、ヒートパイプ60と低段部50Acとにより挟持されることにより熱接続されているが、熱接続の状態が保たれればこの三者の積層順は問われず、例えばグラファイトシート86の経路を変更するなどして積層順を変えてもよい。
【0050】
また、積層体100は第2筐体12B内において、第1筐体12A内と略対称に配置されており、グラファイトシート86の他端部86cはフレーム部材17Bやその一部である連結縁部50Bなどに対して熱接続されている。したがって、CPU20aなどの発熱体の熱はサーマルモジュール30からその端部であるヒートパイプ60に伝わり、さらに該ヒートパイプ60と低段部50Acとによって積層・挟持された一端部86bに伝えられてグラファイトシート86により第1筐体12Aから第2筐体12Bへと熱輸送がなされる。
【0051】
また、上記のとおり、ヒートパイプ60の熱は低段部50Acから連結縁部50A、第1熱伝導部材78A、背表紙部品49、第2熱伝導部材78B、および連結縁部50Bへと熱輸送される。これらの作用により、電子機器10では第1筐体12Aと第2筐体12Bとの間の温度バランスを調整することができる。第1筐体12Aでは温度上昇が適度に抑制されるためファンなどの他の冷却手段を省略することができる。ファンなどの機械的動作要素を省略することでコスト低減、騒音低減および薄型化を図ることができる。
【0052】
第1筐体12Aの内部およびヒンジ本体46に沿う積層体100についてさらに説明する。なお、積層体100の第2筐体12B内部の態様については第1筐体12A内部と略対称であることから説明を省略する。
【0053】
図7は、180度姿勢時の空間54内およびヒンジ本体46に沿う積層体100の状態を示す断面側面図である。
図8は、0度姿勢時の空間54内およびヒンジ本体46に沿う積層体100の状態を示す断面側面図である。
【0054】
第1筐体12Aにおける内部の空間54で、積層体100は並んで互いに逆向きに湾曲した第1折返し部102a及び第2折返し部102bを有する略S字形状の余長吸収部104を形成している。第1折返し部102aはX1側で第2折返し部102bはX2側とする第1折返し部102aおよび第2折返し部102bは所謂ヘアピンカーブの形状をなす。
【0055】
積層体100は、180度姿勢(
図7参照)においてヒンジ本体46の斜面46aが空間54にやや接近しており、必要とされる経路長が短いのに対して、0度姿勢(
図8参照)において斜面46aが空間54からやや離間することから経路長が長くなる。このように電子機器10が0度姿勢から180度姿勢まで変形するのに対応して、余長吸収部104によって積層体100が無理なく追従するようになっている。つまり、余長吸収部104は180度姿勢ではやや大きいのに対して、0度姿勢ではやや小さくなっている。積層体100はヒンジ本体46の頂面46bに対して粘着テープ52で固定されている。
【0056】
第1熱伝導部材78Aについてさらに説明する。
図9は、第1熱伝導部材78Aにおける膨出部84の断面図である。第1熱伝導部材78Aで膨出部84以外の箇所については
図9のクッション部材82Aが省略された構成となっている。第2熱伝導部材78Bについても同じ構成である。
【0057】
図7~
図9に示すように、第1熱伝導部材78Aのグラファイトシート80Aは、背表紙部品49と接する側である表側の全面に亘って摺動材で形成された保護層106で構成されている。本実施例のグラファイトシート80Aに保護層106以外の他の材質の保護層は設けられていない。
図7、
図8では保護層106を模式的に太線で示している。保護層106は摺動特性、耐摩耗性、絶縁性に優れるシートであり、例えばテフロン(登録商標)である。
【0058】
図9に示すように、クッション部材82Aは粘着テープ52によって連結縁部50Aに固定される。グラファイト層(伝熱材層)108はクッション部材82Aの表面に対して粘着テープ52によって固定される。グラファイト層108は2枚を粘着テープ52で貼り合わせた構成とすると熱効率などの観点から好適であるが、1層または3層以上でもよい。また、グラファイト層108は少なくともX1側についてはクッション部材82Aを覆う位置まで延在していれば、180度姿勢時(
図7参照)に該クッション部材82Aが圧縮されることにより背表紙部品49に対して確実に押圧気味に接触することができる。
【0059】
保護層106は、グラファイト層108の表面、および該グラファイト層108とクッション部材82Aとの各端面を囲むように粘着テープ52によって固定される。つまり、グラファイト層108は表面および端面が保護層106によって覆われて保護され形態が安定し摩耗などが抑制される。グラファイト層108の厚みは0.025mm程度であり、保護層106の厚みは0.07mm程度である。
【0060】
グラファイトシート80Aは、余長吸収部104と接触する箇所(
図7、
図8における符号106aの箇所)の保護層106が摺動材であることから、筐体間角度が変化するのにともなって余長吸収部104の形状および大きさが変化してグラファイトシート80Aに対して摺接しても摺動音などの異音を生じることがなく、且つ滑らかな動作が可能である。
【0061】
また、余長吸収部104を形成する積層体100はフレキシブル基板38にグラファイトシート86が積層されたものであるが、該グラファイトシート86の保護層はPETなどであっても摺接する対象がグラファイトシート80Aであればその保護層106が摺動材であることから異音を生じない。
【0062】
さらに、グラファイトシート80Aが背表紙部品49と接触する箇所(
図7、
図8における符号106bの箇所)の保護層106が摺動材であることから、背表紙部品49に対する摺接についても摺動音などの異音を生じることがなく、且つ滑らかな動作が可能である。さらにまた、箇所106bはフレーム部材17Aの連結縁部50Aとの間にクッション部材82Aが設けられており、筐体間角度の変化にともない背表紙部品49に摺接しながらある程度強く押し付けられるため異音が生じやすい箇所であるが、保護層106を設けることによる異音低減の効果が大きい。以上のグラファイトシート80Aの構成および作用はグラファイトシート80Bでも同様である。
【0063】
なお、保護層にPETを用いたグラファイトシートとフレキシブル基板との間で摺接による異音が生じる懸念があり、これを防止するためには別途摺動シートを貼り合わせることが考えられるが、PET層の上にさらに摺動シートを付加的に設けると伝熱性の低下、組み立て作業の工数増、およびコストアップを招く。これに対して本実施例では保護層自体が摺動材であるために別途の摺動シートを設ける必要がなく、上記の不都合がない。設計条件によりフレキシブル基板38,40,42はFFC(Flexible Flat Cable)など他のフラットケーブルで置き換えてもよい。グラファイト層108は、銅シート又はアルミニウムシート等の熱伝導材で置き換えてもよい。銅シート又はアルミニウムシートに対しても保護層106として摺動材を用いることで異音の抑制になるとともに絶縁性が確保される。
【0064】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0065】
10 電子機器
12A 第1筐体
12B 第2筐体
14 ヒンジ装置
17A,17B フレーム部材
38,40,42 フレキシブル基板(フラットケーブル)
49 背表紙部品
52 粘着テープ
80A グラファイトシート(第1伝熱性シート)
80B グラファイトシート(第2伝熱性シート)
82A,82B クッション部材
84 膨出部
86,88,90 グラファイトシート(伝熱性シート)
100 積層体
102a 第1折返し部
102b 第2折返し部
104 余長吸収部
106 保護層
108 グラファイト層(伝熱材層)