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特開2024-179992情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179992
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 20/08 20120101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q20/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099382
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和也
【テーマコード(参考)】
5L020
5L055
【Fターム(参考)】
5L020AA39
5L055AA39
(57)【要約】
【課題】一連の取引の途中でエラーが発生した場合の不都合を緩和する。
【解決手段】入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図4

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、
現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、
前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記取引依頼部は、前記原資利用が可であると判断された入金取引については、現金処理装置への前記現金の投入を条件とせずに当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記判断部は、入金取引の前に順序付けられている出金取引が無い入金取引は前記原資利用が不可であると判断する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記判断部は、出金取引の後に順序付けられている1または2以上の入金取引の各々について、収支差分が1以上である場合には当該入金取引は原資利用が可であると判断し、
前記情報処理装置は、前記収支差分から当該入金取引の入金金額を減算した結果を新たな収支差分として算出する収支差分算出部をさらに備え、
前記収支差分の初期値は前記出金取引の出金金額である、前記請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記現金処理装置通信部は、前記原資利用が不可であると判断された入金取引の入金金額に応じた金額を前記指定金額として前記現金処理装置に送信する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記現金処理装置通信部は、前記一連の取引についての前記収支差分算出部による処理が終わった後の前記収支差分に応じた現金が、前記原資利用が可であると判断された取引の実行後に払い出されるように、払出金額を示す情報を前記現金処理装置に送信する、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記現金処理装置通信部は、前記一連の取引の途中でエラーが発生した場合、前記現金処理装置へ投入された現金の金額および実行済みの出金取引の出金金額の合計金額から、実行済みの入金取引の入金金額の合計金額を減算した結果を示す情報を前記現金処理装置に送信する、請求項6に記載の情報処理装置。
【請求項8】
現金処理装置、情報処理装置およびホストコンピュータを有する情報処理システムであって、
前記情報処理装置は、
入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、
現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、
前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、
を有し、
前記現金処理装置は、前記情報処理装置からの前記指定金額の受信に基づいて前記指定金額に相当する現金を払い出す現金処理部を有し、
前記ホストコンピュータは、前記情報処理装置からの前記入金取引の実行の依頼に基づいて前記入金取引を実行する、情報処理システム。
【請求項9】
コンピュータを、
入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、
現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、
前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、
として機能させるための、プログラム。
【請求項10】
入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得することと、
前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断することと、
現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信することと、
前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼することと、
を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、プログラムおよび情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関において、顧客により入力された複数の取引情報に基づき、複数の取引を連続的に実行するシステムが知られている。このようなシステムは、例えば特許文献1に開示されている。
【0003】
上記システムは、出金取引と入金取引が混在する一連のオンライン取引において、出金取引の出金額を原資に入金取引を実行し得る。原資とは、入金取引に利用可能な金銭を指す。例えば、一連の取引が、(1)入金取引:2万円、および(2)出金取引:10万円である場合、上記システムは、出金取引の出金金額である10万円を原資として入金取引:2万円を実行し、出金金額と入金金額の差額である8万円を顧客に払い出し得る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2015-152942号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一連の取引の途中でエラーが発生すると、不都合が生じる場合がある。例えば、入金取引の後に出金取引が順序付けられている一連の取引において、出金取引でエラーが発生した場合、出金取引の出金元の口座残高は変わらずに、結果として、原資がない状態で先の入金取引が成立し、入金先の口座残高が増えてしまう。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、一連の取引の途中でエラーが発生した場合の不都合を緩和することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0008】
前記取引依頼部は、前記原資利用が可であると判断された入金取引については、現金処理装置への前記現金の投入を条件とせずに当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼してもよい。
【0009】
前記判断部は、入金取引の前に順序付けられている出金取引が無い入金取引は前記原資利用が不可であると判断してもよい。
【0010】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、前記判断部は、出金取引の後に順序付けられている1または2以上の入金取引の各々について、収支差分が1以上である場合には当該入金取引は原資利用が可であると判断し、前記情報処理装置は、前記収支差分から当該入金取引の入金金額を減算した結果を新たな収支差分として算出する収支差分算出部をさらに備え、前記収支差分の初期値は前記出金取引の出金金額である、前記請求項3に記載の情報処理装置が提供される。
【0011】
前記現金処理装置通信部は、前記原資利用が不可であると判断された入金取引の入金金額に応じた金額を前記指定金額として前記現金処理装置に送信してもよい。
【0012】
前記現金処理装置通信部は、前記一連の取引についての前記収支差分算出部による処理が終わった後の前記収支差分に応じた現金が、前記原資利用が可であると判断された取引の実行後に払い出されるように、払出金額を示す情報を前記現金処理装置に送信してもよい。
【0013】
前記現金処理装置通信部は、前記一連の取引の途中でエラーが発生した場合、前記現金処理装置へ投入された現金の金額および実行済みの出金取引の出金金額の合計金額から、実行済みの入金取引の入金金額の合計金額を減算した結果を示す情報を前記現金処理装置に送信してもよい。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、現金処理装置、情報処理装置およびホストコンピュータを有する取引システムであって、前記情報処理装置は、入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、を有し、前記現金処理装置は、前記情報処理装置からの前記指定金額の受信に基づいて前記指定金額に相当する現金を払い出す現金処理部を有し、前記ホストコンピュータは、前記情報処理装置からの前記入金取引の実行の依頼に基づいて前記入金取引を実行する、取引システムが提供される。
【0015】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する判断部と、現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信する現金処理装置通信部と、前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼する取引依頼部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【0016】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を取得することと、前記一連の取引に含まれる入金取引の各々について、前記出金取引における出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断することと、現金の投入が行われる現金処理装置に指定金額を送信することと、前記原資利用が不可であると判断された入金取引については、前記現金処理装置への前記指定金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータに依頼することと、を含む、コンピュータにより実行される情報処理方法が提供される。
【発明の効果】
【0017】
以上説明した本発明によれば、一連の取引の途中でエラーが発生した場合の不都合を緩和することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の一実施形態による取引システムの一例について説明する図である。
図2】本発明の一実施形態による現金処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。
図3】本発明の一実施形態による顧客操作端末20の構成を示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態による制御サーバ30の構成を示す説明図である。
図5】記憶部340が記憶する取引情報の具体例を示す説明図である。
図6】収支情報の具体例を示す説明図である。
図7】収支外情報の具体例を示す説明図である。
図8】最終現金情報の具体例を示す説明図である。
図9】本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40の構成を示す説明図である。
図10】取引受付段階の動作を示すフローチャートである。
図11】取引受付段階の動作を示すフローチャートである。
図12】取引受付段階の動作を示すフローチャートである。
図13】取引受付段階の動作を示すフローチャートである。
図14】現金処理段階の動作を示すフローチャートである。
図15】現金処理段階の動作を示すフローチャートである。
図16】現金処理段階の動作を示すフローチャートである。
図17】現金処理段階の動作を示すフローチャートである。
図18】収支情報の具体例を示す説明図である。
図19】収支外情報の具体例を示す説明図である。
図20】ハードウェア構成90の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0020】
また、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素を、同一の符号の後に異なるアルファベットを付して区別する場合もある。ただし、実質的に同一の機能構成を有する複数の構成要素の各々を特に区別する必要がない場合、複数の構成要素の各々に同一符号のみを付する。
【0021】
<1.概要>
本発明の一実施形態は、情報処理システムに関し、特に、金融機関における取引に用いられる取引システムに関する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による取引システムの概要を説明する。
【0022】
図1は、本発明の一実施形態による取引システムの一例について説明する図である。本実施形態による取引システムは、例えば図1に示すように、金融機関の店舗等に設置される現金処理装置10と、顧客が操作する顧客操作端末20と、各装置の動作を制御する制御サーバ30と、金融機関の勘定系システムとして機能するホストコンピュータ40と、を含む。図1においては現金処理装置10および顧客操作端末20が1つずつ示されているが、本発明の一実施形態による取引システムは複数の現金処理装置10および複数の顧客操作端末20を有してもよい。
【0023】
(顧客操作端末)
顧客操作端末20は、例えば金融機関の店舗等の店頭に設置されたカウンター7に載置される。顧客操作端末20は、通信網5を介して制御サーバ30と接続される。また、顧客操作端末20は、操作表示部および制御部を有する。例えば、制御部が取引情報の入力画面を生成し、操作表示部が当該入力画面を表示する。顧客は、操作表示部への操作により、取引情報を入力する。取引情報には、入金または出金取引の指定、入金金額または出金金額、顧客の氏名、顧客の口座番号等が含まれる。なお、金融機関の店員は、カウンター7の付近に待機して顧客による顧客操作端末20の操作をアシストしてもよい。また、顧客操作端末20は、例えばタブレット端末、スマートフォン、ノートPC、またはデスクトップ型PC等により実現されてもよい。
【0024】
顧客操作端末20は、入力された取引情報を、通信網5を介して制御サーバ30に送信する。また、顧客操作端末20は、受付番号を採番し、カウンター7に載置されたプリンタ28に受付番号を印字出力させてもよい。受付番号の印字は、受付番号の英数字の印字であってもよいし、受付番号を示すバーコードや二次元コード(QRコード(登録商標))の印刷であってもよい。顧客は、プリンタ28から出力されたレシートを受け取った後、いずれかの現金処理装置10の場所まで移動し、当該レシートを現金処理装置10に読み取らせることで、顧客操作端末20で入力した取引を開始し得る。
【0025】
他の例として、顧客操作端末20に対して1つの現金処理装置10が紐付けられている場合、または顧客によりいずれかの現金処理装置10が指定された場合などには、制御サーバ30から当該現金処理装置10に取引情報が送信されることで、当該現金処理装置10が取引を開始し得る。
【0026】
なお、上記では一例としてプリンタ28が受付番号をレシート(紙媒体)に印字出力する旨を説明したが、顧客操作端末20は、例えば所定のICカードに受付番号を書き込んで、受付番号が書き込まれたICカードを排出してもよいし、顧客が携帯する個人端末(スマートフォン等)に受付番号を示す情報の表示画面情報を送信してもよい。
【0027】
(現金処理装置)
現金処理装置10は、顧客により操作されるセルフ型現金処理装置である。現金処理装置10は、紙幣処理部142および硬貨処理部144からなる現金処理部140を有する。紙幣処理部142では紙幣の投入および払い出しが行われ、硬貨処理部144では硬貨の投入および払い出しが行われる。また、図1に示すように、現金処理装置10の上面には、操作入力および表示の機能を有する操作表示部110と、レシートに印字されたバーコードまたは二次元コードを光学的に読み取る読取部120が設けられる。読取部120により受付番号が読み取られた場合、現金処理装置10は、受付番号を制御サーバ30に問い合わせ、受付番号に対応する情報を制御サーバ30から取得する。
【0028】
また、図1に示すように、現金処理装置10の紙幣処理部142には、紙幣の投入および払い出しが行われる紙幣口11が設けられ、硬貨処理部144には、硬貨の投入が行われる硬貨投入口19と、入金取引の取消しにより硬貨を返却する硬貨返却箱22と、硬貨の払い出しが行われる硬貨出金箱24が設けられる。
【0029】
(制御サーバ)
制御サーバ30は、取引システムの動作を制御する情報処理装置の一例である。制御サーバ30は、金融機関の各店舗に設けられた顧客操作端末20および現金処理装置10と通信網5を介して通信接続する。また、制御サーバ30は、ホストコンピュータ40にも接続される。制御サーバ30は、通信接続する各装置に対して動作の指示を行い得る。例えば制御サーバ30は、顧客操作端末20から受信した取引情報を記憶し、現金処理装置10からの受付番号の受信に基づき、現金処理装置10における現金の処理またはホストコンピュータ40における取引の実行を制御する。
【0030】
例えば、制御サーバ30は、現金処理装置10から出金取引に対応する受付番号を受信した場合、ホストコンピュータ40に出金取引の実行を依頼し、現金処理装置10に現金の払い出し(出金処理)を依頼する。
【0031】
また、顧客操作端末20では、複数の取引情報に対して1つの受付番号を採番することも可能である。この場合、制御サーバ30は、現金処理装置10から受信した受付番号に対応する複数の取引情報に基づいて、一連の取引を順次に制御してもよい。これにより、顧客作業の削減および取引に要する時間の削減が実現され得る。
【0032】
(ホストコンピュータ40)
ホストコンピュータ40は、入金取引および出金取引などの各種取引を実行する。入金取引は、入金先の口座残高を増加させる処理を含み、出金取引は、出金元の口座残高を減少させる処理を含む。また、ホストコンピュータ40は、顧客の個人情報(氏名、ID、電話番号、住所、口座番号、取引履歴、勤務先、家族構成等)の管理、および各店舗の情報(現金処理装置10の有高を含む)の管理等を行う。
【0033】
(背景)
比較例によるシステムでは、入金取引および出金取引を含む一連の取引において、出金取引の出金額を原資として入金取引を実行し得る。例えば、一連の取引が、(1)入金取引:2万円、および(2)出金取引:10万円である場合、上記システムは、出金取引の出金金額である10万円を原資として入金取引:2万円を実行し、出金金額と入金金額の差額である8万円を顧客に払い出し得る。
【0034】
しかし、一連の取引の途中でエラーが発生すると、不都合が生じる場合がある。例えば、上述した一連の取引の(2)出金取引でエラーが発生した場合、(2)出金取引の出金元の口座残高は変わらずに、結果として、原資がない状態で(1)入金取引が成立し、入金先の口座残高が2万円増えてしまう。
【0035】
なお、顧客により入力された取引の順序を入れ替えて複数の取引を実行することで、上記の不都合を回避できる場合もある。しかし、顧客は、履歴に残したい順序で取引を入力していることもあるので、取引の順序をシステム側で入れ替えると顧客に不都合が生じ得る。
【0036】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態を創作するに至った。本発明の一実施形態によれば、一連の取引でエラーが発生した場合の不都合を緩和することが可能である。例えば、上述した一連の取引の(2)出金取引でエラーが発生した場合でも、原資が確保された状態で(1)入金取引を成立させることが可能である。以下、このような本発明の一実施形態による取引システムに含まれる各要素の構成をより具体的に説明する。
【0037】
<2.現金処理装置の構成>
図2は、本発明の一実施形態による現金処理装置10の機能構成の一例を示すブロック図である。図2に示すように、現金処理装置10は、制御部100、操作表示部110、読取部120、通信部130、現金処理部140、および記憶部160を有する。
【0038】
(制御部100)
制御部100は、例えば、CPU(Central Processing Unit)等を中心に構成されており、現金処理装置10の各機能部を制御して、現金の受け入れ、および現金の払い出しなどを実行する。また、制御部100は、現金処理の結果を示す情報を通信部130に制御サーバ30へ送信させる制御を行う。また、制御部100は、読取部120により受付番号が読み取られた場合には、当該受付番号を通信部130に制御サーバ30へ送信させる。
【0039】
(操作表示部110)
操作表示部110は、操作の誘導画面および処理状況を示す画面などを表示する表示部および顧客が操作入力を行うための入力部としての機能を包含する。表示部としての機能は、例えば、CRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイ装置、液晶ディスプレイ(LCD)装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置により実現される。また、入力部としての機能は例えばタッチパネルにより実現される。なお、表示部および操作入力部の機能は分離して構成されてもよい。
【0040】
(読取部120)
読取部120は、バーコードおよび二次元コードといった符号化された情報を光学的に読み取る機能を有する。読取部120は、例えばカメラまたはコードリーダにより実現されてもよい。本発明の一実施形態において読取部120が読み取る情報としては、主に受付番号が想定される。
【0041】
(通信部130)
通信部130は、通信網5を介して制御サーバ30に接続される。通信部130は、制御サーバ30から現金処理に関する情報を受信したり、現金処理の結果を制御サーバ30に送信したりする。通信部130が用いる通信方式は、有線通信方式であってもよいし、無線通信方式であってもよい。有線通信方式としては、IEEEに則ったイーサネットケーブルを用いる通信方式が挙げられ、無線通信方式としては、IEEEに則ったWiFiを用いる通信方式が挙げられる。
【0042】
(現金処理部140)
現金処理部140は、紙幣および硬貨などの現金の入金処理、および出金処理を行う。入金処理においては、顧客により投入された現金を計数する計数処理、および現金を収納部に収納する収納処理などが行われる。出金処理では、収納部からの現金の繰り出し処理、および繰り出された現金を紙幣口11または硬貨出金箱24に搬送する搬送処理などが行われる。
【0043】
(記憶部160)
記憶部160は、ROM(Read Only Memory)およびRAM(Random Access Memory)等から実現され、現金処理装置10の動作を制御するための制御プログラム、現金処理装置10の取引時における入力データ、および表示画面等を格納する。
【0044】
<3.顧客操作端末の構成>
図3は、本発明の一実施形態による顧客操作端末20の構成を示す説明図である。図3に示したように、本発明の一実施形態による顧客操作端末20は、操作表示部210、プリンタ通信部220、サーバ通信部230、および制御部250を備える。
【0045】
(操作表示部210)
操作表示部210は、顧客により操作が行われる操作部としての機能、および、顧客に情報を表示する表示部としての機能を包含する。例えば、操作表示部210は、制御部250による制御に従って取引情報の入力画面を操作表示部210に表示させ、顧客は、操作表示部210を操作することにより取引情報を入力する。
【0046】
(プリンタ通信部220)
プリンタ通信部220は、プリンタ28と通信する。例えば、プリンタ通信部220は、制御部250による制御に従い、受付番号を示す二次元コードをプリンタ28に送信する。
【0047】
(サーバ通信部230)
サーバ通信部230は、制御サーバ30と多様な情報を通信する。例えば、サーバ通信部230は、顧客により操作表示部210に入力された取引情報を制御サーバ30に送信する。また、サーバ通信部230は、制御サーバ30から入金処理または出金処理のための情報を受信する。
【0048】
(制御部250)
制御部250は、顧客操作端末20の動作全般を制御する。例えば、制御部250は、図3に示したように、受付番号採番部252および取引情報受付部254の機能を有する。
【0049】
受付番号採番部252は、顧客による顧客操作端末20の操作の開始に伴い、受付単位で一意な受付番号を採番する。1の受付で複数の取引からなる一連の取引を示す複数の取引情報が入力された場合には、複数の取引情報に1つの受付番号が対応付けられることになる。
【0050】
取引情報受付部254は、操作表示部210に入力された取引情報を受け付ける。取引情報は、入金または出金を示す取引種別、口座情報(店番、科目、口座番号)、取引される金額などが挙げられる。取引情報受付部254は、取引情報の追加を受け付ける機能も有する。
【0051】
<4.制御サーバの構成>
図4は、本発明の一実施形態による制御サーバ30の構成を示す説明図である。図4に示したように、本発明の一実施形態による制御サーバ30は、通信部320、記憶部340および制御部350を備える。
【0052】
(通信部320)
通信部320は、現金処理装置10、顧客操作端末20、およびホストコンピュータ40などとのインターフェースであり、現金処理装置10、顧客操作端末20、およびホストコンピュータ40などとの間で多様な情報を通信する。例えば、通信部320は、現金処理装置10から受付番号、および現金処理装置10における現金処理の結果などを受信する現金処理装置通信部としての機能を有する。また、通信部320は、現金処理装置10に現金処理に関する情報を送信する機能を有する。また、通信部320は、顧客操作端末20から取引情報を受信する。また、通信部320は、ホストコンピュータ40に各種取引の実行依頼を送信するホスト通信部としての機能を有する。
【0053】
(記憶部340)
記憶部340は、制御サーバ30における動作に用いられる多様な情報を記憶する。例えば、記憶部340は、制御部350からの制御に基づき、取引情報、収支情報、収支外情報、および最終現金情報などを記憶する。これら情報については、制御部350の説明部分において詳細に説明する。
【0054】
(制御部350)
制御部350は、制御サーバ30の動作全般を制御する。より具体的には、制御部350は、取引情報取得部352、原資利用可否判断部354、収支外情報保存部356、収支情報保存部358、最終現金情報保存部360、コード作成部362、取引情報検索部366、最終現金情報検索部368、取引依頼部370の機能を包含する。
【0055】
-取引情報取得部352
取引情報取得部352は、顧客操作端末20から通信部320により受信された取引情報を取得する。例えば、取引情報取得部352は、1の顧客に関して実行される、入金取引および出金取引を含む一連の取引を示す複数の取引情報を同時または順次に取得する。取引情報取得部352は、取得した取引情報を記憶部340に記憶させる。
【0056】
図5は、記憶部340が記憶する取引情報の具体例を示す説明図である。図5に示したように、取引情報においては、受付番号と、枝番と、店番と、科目と、口座番号と、取引種別と、金額と、オンラインタイミングと、ステータスと、が関連付けられている。図示の例では、受付番号「001」と、枝番「001」と、店番「001」と、科目「普通」と、口座番号「1111111」と、取引種別「入金」と、金額「20000」と、オンラインタイミング「現金投入後」と、ステータス「済」と、が関連付けられている。同様に、受付番号「001」、枝番「002」のエントリ、および、受付番号「001」、枝番「003」のエントリにも、店番と、科目と、口座番号と、取引種別と、金額と、オンラインタイミングと、ステータスと、が関連付けられている。
【0057】
顧客操作端末20から取得される取引情報には、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額が含まれ、枝番は取引情報取得部352により設定され、オンラインタイミングおよびステータスは制御サーバ30における処理過程で設定される。オンラインタイミングは、該当する取引が実行されるタイミングを示す。例えば、「現金投入後」は、現金処理装置10へ原資となる現金が投入された後に取引が行われることを示し、「現金払出前」は、現金処理装置10における現金の払い出し前に取引が行われることを示す。ステータスは、該当する取引が実行済みであるか未実行であるかを示す。
【0058】
-原資利用可否判断部354
原資利用可否判断部354は、一連の取引に含まれる入金取引の各々について、当該一連の取引に含まれる出金金額を原資に用いて取引を実行することである原資利用の可否を判断する。具体的には、原資利用可否判断部354は、顧客操作端末20から取得された取引情報における取引種別が「入金」である場合、後述する収支情報保存部358により管理される収支情報を参照することで、当該入金取引が原資利用可能であるか否かを判断する。原資利用可否判断部354は、出金取引は一律的に原資利用が可であると判断してもよいが、顧客により特定の操作が行われた出金取引については原資利用が不可であると判断してもよい。収支情報は、原資利用が可であると判断された取引である収支内取引の情報である。
【0059】
図6は、収支情報の具体例を示す説明図である。図6に示したように、収支情報においては、受付番号と、枝番と、収支原資と、収支消費と、収支差分と、収支現金投入と、収支現金払出と、が関連付けられている。図示の例では、受付番号「001」と、枝番「001」と、収支原資「100000」と、収支消費「0」と、収支差分「100000」と、収支現金投入「0」と、収支現金払出「100000」と、が関連付けられている。また、図示の例では、受付番号「001」と、枝番「002」と、収支原資「0」と、収支消費「30000」と、収支差分「70000」と、収支現金投入「0」と、収支現金払出「70000」と、が関連付けられている。
【0060】
枝番は、受付番号が同一である取引についてのエントリを区別可能とするための番号である。収支原資には、取引が出金取引である場合に当該出金取引における出金金額が設定される。収支消費には、取引が入金取引であり、原資利用が可であると判断された場合に、当該入金取引における入金金額が設定される。収支差分は、直前の枝番の収支差分に対して収支原資を加算した結果、または直前の枝番の収支差分から収支消費を減算した結果である。収支差分の初期値は、一連の取引における出金取引の中で最初に順序付けられている出金取引の出金金額である。
【0061】
あるエントリの収支現金投入は、一連の取引がそのエントリに対応する取引で終了するとした場合に、収支内取引の範囲内で現金処理装置10への現金投入が必要となる金額を示す。この収支現金投入には、当該エントリの収支差分が「0」未満であれば収支差分の絶対値が設定され、収支差分が「0」以上であれば「0」が設定される。
【0062】
あるエントリの収支現金払出は、一連の取引がそのエントリに対応する取引で終了するとした場合に、収支内取引の範囲内で、現金処理装置10からの現金の払い出しが必要となる金額を示す。この収支現金払出には、当該エントリの収支差分が「0」以上であれば収支差分と同じ金額が設定され、収支差分が「0」未満であれば「0」が設定される。
【0063】
原資利用可否判断部354は、上述した収支情報から、顧客操作端末20から取得された取引情報に含まれる受付番号を検索キーとして検索されるエントリの中で、枝番が最大であるエントリにおける収支差分が1以上である場合に、原資利用が可であると判断する。すなわち、原資利用可否判断部354は、入金取引の入金金額の一部にでも出金取引の出金金額を充当できる場合に、原資利用が可であると判断する。
【0064】
ただし、原資利用可否判断部354は、顧客操作端末20から取得された取引情報に含まれる受付番号を検索キーとして検索されるエントリの中で、枝番が最大であるエントリにおける収支差分が入金金額以上である場合に、原資利用が可であると判断してもよい。すなわち、原資利用可否判断部354は、入金取引の全入金金額に出金取引の出金金額を充当できる場合に、原資利用が可であると判断してもよい。
【0065】
-収支外情報保存部356
収支外情報保存部356は、原資利用可否判断部354により原資利用が不可であると判断された取引である収支外取引の情報を収支外情報として記憶部340に保存する。
【0066】
図7は、収支外情報の具体例を示す説明図である。図7に示したように、収支外情報においては、受付番号と、枝番と、収支外現金投入と、収支外現金払出と、が関連付けられている。図示の例では、受付番号「001」と、枝番「001」と、収支外現金投入「20000」と、収支外現金払出「0」が関連付けられている。
【0067】
収支外情報保存部356は、枝番には、受付番号が同一である取引についてのエントリを区別可能とするための番号を設定する。また、収支外情報保存部356は、収支外現金投入には、原資利用が不可であると判断された入金取引の入金金額を設定する。また、収支外情報保存部356は、原資利用が不可であると判断された出金取引の出金金額を設定する。
【0068】
なお、収支外情報保存部356は、図5に示した取引情報において原資利用可否判断部354により原資利用が不可であると判断された入金取引に対応するエントリのオンラインタイミングに「現金投入後」を設定する。
【0069】
-収支情報保存部358
収支情報保存部358は、顧客操作端末20から取得された取引情報の取引種別が「出金」である場合、例えば図6に示した受付番号「001」、枝番「001」であるエントリのように、当該出金取引の出金金額を以降の入金取引で利用できる収支原資として収支情報に保存する。
【0070】
また、収支情報保存部358は、原資利用可否判断部354により原資利用が可であると判断された入金取引の入金金額を、例えば図6に示した受付番号「001」、枝番「002」であるエントリのように、収支消費として収支情報に保存する。また、収支情報保存部358は、直前の枝番の収支差分から収支消費を減算した結果を新たな収支差分として算出して収支情報に設定する収支差分算出部としての機能を有する。また、収支情報保存部358は、収支情報に応じて収支現金投入および収支現金払出を設定する。
【0071】
なお、収支情報保存部358は、図5に示した取引情報において原資利用可否判断部354により原資利用が可であると判断された取引に対応するエントリのオンラインタイミングに「現金払出前」を設定する。
【0072】
-最終現金情報保存部360
最終現金情報保存部360は、一連の取引において現金処理装置10に投入されるべき現金の金額である最終現金投入金額、および一連の取引において現金処理装置10から払い出されるべき現金の金額である最終現金払出金額を最終現金情報として記憶部340に保存する。
【0073】
図8は、最終現金情報の具体例を示す説明図である。図8に示したように、最終現金情報においては、受付番号と、最終現金投入金額と、最終現金払出金額と、現金処理状況と、が関連付けられている。図示の例では、具体的には、受付番号「001」と、最終現金投入金額「20000」と、最終現金払出金額「70000」と、現金処理状況「未完了」と、が関連付けられている。
【0074】
最終現金情報保存部360は、図6に示した収支情報において今回の受付番号に関連付けられているエントリのうちで枝番が最大であるエントリの収支現金払出と、図7に示した収支外情報において今回の受付番号に関連付けられている収支外現金払出と、を合計した結果を最終現金払出金額に設定する。また、最終現金情報保存部360は、図6に示した収支情報において今回の受付番号に関連付けられている収支現金投入と、図7に示した収支外情報において今回の受付番号に関連付けられている収支外現金投入と、を合計した結果を最終現金投入金額に設定する。当該最終現金投入金額は、現金処理装置10へ投入すべき現金の金額として指定される指定金額の一例である。
【0075】
-コード作成部362
コード作成部362は、一連の取引に対応する受付番号を示す二次元コードを作成する。
【0076】
-取引情報検索部366
取引情報検索部366は、現金処理装置10から受付番号が受信されると、当該受付番号を検索キーにして、図5に示した取引情報からエントリを検索する。そして、検索されたエントリのうちで、ステータスが「未」であるエントリから、枝番が最小であるエントリのオンラインタイミングを取得する。
【0077】
-最終現金情報検索部368
最終現金情報検索部368は、取引情報検索部366により取得されたオンラインタイミングが「現金投入後」である場合には、現金処理装置10から受信された受付番号に対応する最終現金投入金額を、図8を参照して説明した最終現金情報から検索する。また、最終現金情報検索部368は、取引情報検索部366により取得されたオンラインタイミングが「現金払出前」である場合には、現金処理装置10から受信された受付番号に対応する最終現金払出金額を、図8を参照して説明した最終現金情報から検索する。
【0078】
-取引依頼部370
取引依頼部370は、ホストコンピュータ40へ取引の実行依頼を送信する機能である。例えば、取引依頼部370は、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引依頼を、通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる。
【0079】
<5.ホストコンピュータの構成>
図9は、本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40の構成を示す説明図である。図9に示したように、本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40は、通信部420および制御部450を備える。
【0080】
(通信部420)
通信部420は、制御サーバ30と多様な情報を通信する。例えば、通信部420は、取引種別が「入金」である取引依頼である入金依頼、および取引種別が「出金」である取引依頼である出金依頼を制御サーバ30から受信する。また、通信部420は、取引の実行完了を示す通知を制御サーバ30に送信する。
【0081】
(制御部450)
制御部450は、ホストコンピュータ40の動作全般を制御する。例えば、ホストコンピュータ40は、入金実行部452および出金実行部454としての機能を有する。
【0082】
入金実行部452は、通信部420による入金依頼の受信に基づき、入金先の口座残高を増加させる処理を含む入金取引を実行する。また、出金実行部454は、通信部420による出金依頼の受信に基づき、出金元の口座残高を減少させる処理を含む出金取引を実行する。
【0083】
<6.動作>
以上、本発明の一実施形態による取引システムに含まれる各要素の構成を説明した。続いて、本発明の一実施形態による取引システムの動作を説明する。本発明の一実施形態による取引システムの動作は、取引情報の入力が行われる取引受付段階と、現金処理装置10を用いた現金処理が行われる現金処理段階と、に大別される。以下では、取引受付段階の動作、および現金処理段階の動作を順次説明する。
【0084】
(取引受付段階)
図10図13は、取引受付段階の動作を示すフローチャートである。まず、顧客が顧客操作端末20への操作を開始すると、顧客操作端末20の受付番号採番部252が一意な受付番号「001」を採番する(S101)。続いて、顧客が顧客操作端末20の操作表示部210に取引情報を入力する(S102)。ここでは、顧客が、取引種別が「入金」であり、金額が「2万円」である取引情報を入力したものとする。その後、顧客が、取引の追加があることを示す「取引追加あり」を操作表示部210で選択する(S103)。そして、顧客操作端末20のサーバ通信部230が、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引情報を制御サーバ30に送信する(S104)。なお、例えば、顧客操作端末20側の図示しない記憶部で取引の順序を記憶しておき、今回の取引が入金取引の前に順序付けられている出金取引が無い入金取引であった場合、今回の入金取引が原資利用不可となり現金投入が必須となるがそれで問題が無いか確認するメッセージを顧客操作端末20の操作表示部210に表示させてもよい。また、問題がある場合に操作表示部210を用いて顧客に取引を訂正させるようにしてもよい。これにより、顧客は今回の取引を出金取引の取引金額を原資とすることを意図していた場合に訂正が可能となる。制御サーバ30の取引情報取得部352は、通信部320により顧客操作端末20から取引情報が受信されると(S105)、枝番を発行し、枝番が追加された取引情報を記憶部340に保存する(S106)。
【0085】
そして、制御サーバ30の原資利用可否判断部354が、受信された取引情報が示す入金取引の原資利用の可否を判断する(S107)。ここでは、受付番号に対応するエントリが収支情報に存在しないので、当該入金取引の原資利用は不可であると判断される。このため、収支外情報保存部356が、当該取引情報が示す「2万円」を収支外情報における収支外現金投入として記憶部340に保存する(S108)。その後、収支外情報保存部356が、取引情報におけるオンラインタイミングに「現金投入後」を設定する(S109)。
【0086】
そして、制御サーバ30が顧客操作端末20に取引情報の登録完了を示す情報を送信すると(S110)、顧客が顧客操作端末20の操作表示部210に追加する取引の情報を入力する(S111)。ここでは、顧客が、取引種別が「出金」であり、金額が「10万円」である取引情報を入力したものとする。なお、取引情報の登録完了を示す情報は原資利用不可の取引であることを示す情報を含んでいてもよい。この場合、顧客操作端末20は、受信した当該情報において原資利用不可の取引であれば、今回の入金取引が原資利用不可となり現金投入が必須となるがそれで問題が無いか確認するメッセージを顧客操作端末20の操作表示部210に表示させてもよい。また、問題がある場合に操作表示部210を用いて顧客に取引を訂正させるようにしてもよい。これにより、顧客は今回の取引を出金取引の取引金額を原資とすることを意図していた場合に訂正が可能となる。その後、顧客が、取引の追加があることを示す「取引追加あり」を操作表示部210で選択する(S112)。顧客操作端末20のサーバ通信部230が、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引情報を制御サーバ30に送信する(S113)。制御サーバ30の取引情報取得部352は、通信部320により顧客操作端末20から取引情報が受信されると(S114)、枝番を発行し、枝番が追加された取引情報を記憶部340に保存する(S115)。
【0087】
続いて、制御サーバ30の収支情報保存部358は、当該出金取引の出金金額「10万円」を、当該出金取引よりも後に順序付けられる入金取引で利用できる収支原資として収支情報に保存し、それに伴い、収支差分および収支現金払出にも「10万円」を設定する(S116)。続いて、収支情報保存部358が、取引情報におけるオンラインタイミングに「現金払出前」を設定し(S117)、通信部320が顧客操作端末20に取引情報の登録完了を示す情報を送信(S118)。
【0088】
さらに、顧客が顧客操作端末20の操作表示部210に取引情報を入力する(S119)。ここでは、顧客が、取引種別が「入金」であり、金額が「3万円」である取引情報を入力したものとする。その後、顧客が、取引の追加がないことを示す「取引追加なし」を操作表示部210で選択する(S120)。そして、顧客操作端末20のサーバ通信部230が、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引情報を制御サーバ30に送信する(S121)。制御サーバ30の取引情報取得部352は、通信部320により顧客操作端末20から取引情報が受信されると(S122)、枝番を発行し、枝番が追加された取引情報を記憶部340に保存する(S123)。
【0089】
そして、制御サーバ30の原資利用可否判断部354が、受信された取引情報が示す入金取引の原資利用の可否を判断する(S124)。ここでは、受付番号に対応するエントリのうちで枝番が最大であるエントリの収支差分が「10万円」であるので、原資利用可否判断部354は、当該入金取引の原資利用は可であると判断する。このため、収支情報保存部358が、当該入金取引の入金金額「3万円」を、収支消費として収支情報に保存し、それに伴い、収支差分および収支現金払出を「7万円」に設定する(S125)。続いて、収支情報保存部358が、取引情報におけるオンラインタイミングに「現金払出前」を設定し(S126)、通信部320が顧客操作端末20に取引情報の登録完了を示す情報を送信(S127)。
【0090】
その後、顧客操作端末20は、S120において「取引追加なし」が選択されたことに基づき、取引の追加がないことを示す情報を受付番号と共に制御サーバ30に送信する(S128)。制御サーバ30の通信部320が当該情報を受信すると(S129)、最終現金情報保存部360が、図8を参照して説明した最終現金情報を作成する(S130)。ここでは、最終現金情報保存部360は、収支情報において枝番が最大であるエントリの収支現金投入「0円」と、収支外情報の収支外現金投入「2万円」を合計した結果である「2万円」を最終現金投入金額に設定する。また、最終現金情報保存部360は、収支情報において枝番が最大であるエントリの収支現金払出「7万円」と、収支外情報の収支外現金投入「0円」を合計した結果である「7万円」を最終現金払出金額に設定する。
【0091】
そして、制御サーバ30のコード作成部362が受付番号「001」を示す二次元コードを作成し(S131)、通信部320が当該二次元コードを顧客操作端末20に送信する(S132)。顧客操作端末20のサーバ通信部230が二次元コードを受信すると(S133)、プリンタ通信部220が二次元コードをプリンタ28に出力し、プリンタ28が、二次元コードが印刷されたレシートを出力する(S134)。
【0092】
(現金処理段階)
図14図17は、現金処理段階の動作を示すフローチャートである。顧客がレシートを持って現金処理装置10の前に移動し、レシートに印刷されている二次元コードを現金処理装置10の読取部120が読み取ると(S201)、二次元コードから得られた受付番号「001」を通信部130が制御サーバ30に送信する(S202)。制御サーバ30の通信部320が受付番号を受信すると(S203)、取引情報検索部366が、取引情報における受付番号「001」、枝番「001」を含むエントリのオンラインタイミングを取得する(S204)。ここでは、オンラインタイミングとして「現金投入後」が取得される。その後、最終現金情報検索部368が、受付番号「001」を検索キーにして最終現金情報を検索する(S205)。続いて、通信部320が、検索された最終現金情報における最終現金投入金額を現金処理装置10に送信する(S206)。
【0093】
そして、現金処理装置10の通信部130が最終現金情報を受信すると(S207)、操作表示部110が最終現金投入金額の投入を誘導する画面を表示し、顧客が最終現金投入金額に相当する現金を現金処理部140に投入する(S208)。その後、通信部130が、現金の投入が完了した旨を示す情報を受付番号「001」と共に制御サーバ30に送信する(S209)。
【0094】
制御サーバ30の通信部320が現金処理装置10から現金の投入が完了した旨を示す情報を受信すると(S210)、取引依頼部370が、受付番号「001」、枝番「001」を含むエントリの取引情報を含む入金依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる(S211)。
【0095】
ホストコンピュータ40の通信部420が入金依頼を受信すると(S212)、入金実行部452が当該入金依頼に従って入金取引を実行する(S213)。そして、通信部420が入金取引の完了を示す情報を制御サーバ30に送信する(S214)。
【0096】
制御サーバ30の通信部320が入金取引の完了を示す情報を受信すると(S215)、取引情報検索部366が、取引情報における当該入金取引のステータスを「済」に更新し、次の取引情報に対応する受付番号「001」、枝番「002」を含むエントリのオンラインタイミングを取得する(S216)。ここでは、オンラインタイミングとして「現金払出前」が取得される。オンラインタイミングが「現金払出前」であるので、取引依頼部370は、現金の払い出し前に、受付番号「001」、枝番「002」を含むエントリの取引情報を含む出金依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる(S217)。
【0097】
ホストコンピュータ40の通信部420が出金依頼を受信すると(S218)、出金実行部454が当該出金依頼に従って出金取引を実行する(S219)。そして、通信部420が出金取引の完了を示す情報を制御サーバ30に送信する(S220)。
【0098】
制御サーバ30の通信部320が出金取引の完了を示す情報を受信すると(S221)、取引情報検索部366が、取引情報における当該出金取引のステータスを「済」に更新し、次の取引情報に対応する受付番号「001」、枝番「003」を含むエントリのオンラインタイミングを取得する(S222)。ここでは、オンラインタイミングとして「現金払出前」が取得される。オンラインタイミングが「現金払出前」であるので、取引依頼部370は、現金の払い出し前に、受付番号「001」、枝番「003」を含むエントリの取引情報を含む入金依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる(S223)。
【0099】
ホストコンピュータ40の通信部420が入金依頼を受信すると(S224)、入金実行部452が当該入金依頼に従って入金取引を実行する(S225)。そして、通信部420が入金取引の完了を示す情報を制御サーバ30に送信する(S226)。
【0100】
制御サーバ30の通信部320が入金取引の完了を示す情報を受信すると(S227)、取引情報検索部366が、取引情報における当該入金取引のステータスを「済」に更新し、次の取引情報に対応する受付番号「001」、枝番「004」を含むエントリが存在しないことを確認する(S228)。すなわち、全ての取引が終了したので、最終現金情報検索部368は、受付番号「001」を検索キーにして最終現金情報を検索し(S229)、通信部320が最終現金情報における最終現金払出金額を現金処理装置10に送信する(S230)。
【0101】
現金処理装置10の通信部130が最終現金払出金額を受信すると(S231)、制御部100による制御に従って現金処理部140が最終現金払出金額に相当する現金の払い出しを行い(S232)、現金の払い出しが完了した旨を示す情報を受付番号と共に通信部130が制御サーバ30に送信する(S233)。
【0102】
制御サーバ30の通信部320が現金の払い出しが完了した旨を示す情報を受信すると(S234)、最終現金情報検索部368が受付番号「001」を検索キーにして最終現金情報を検索し、検索された最終現金情報における現金処理状況を「完了」に更新する(S235)。その後、制御サーバ30の通信部320が現金取引の完了を示す情報を現金処理装置10に送信し、現金処理装置10が当該情報を受信し、操作表示部110が取引完了画面を表示することで(S237)、一連の取引が完了する。
【0103】
<7.他の取引例>
上記では、一連の取引が、(1)入金取引:2万円、(2)出金取引:10万円、(3)出金取引:3万円である例を主に説明した。以下では、他の一連の取引が行われる場合の処理を説明する。
【0104】
(第1の例)
第1の例として、一連の取引が、(1)出金取引:10万円、(2)入金取引:15万円、である例を説明する。この例では、図18に示したような収支情報が得られ、収支外情報が無いことから、最終現金投入金額が「5万円」となり、最終現金払出金額が「0円」となる。また、双方の取引に対応する取引情報においてオンラインタイミングが「現金払出前」となる。
【0105】
このように、最終現金投入金額が1円以上であり、最初の取引のオンラインタイミングが「現金払出前」である場合、最終現金情報保存部360は、最初の取引のオンラインタイミングを「現金投入後」に更新してもよい。かかる構成によれば、一連の取引において現金の投入が必要となる場合には、最初の取引の実行前に現金処理装置10が現金の投入を受け付けることが可能となる。
【0106】
(第2の例)
第2の例として、一連の取引が、(1)出金取引:5万円、(2)入金取引:2万円、である例を説明する。さらに、顧客が、出金取引の5万円に相当する現金の払い出しを望む場合があり、現金処理装置10に対して、(1)出金取引:5万円、を収支外取引とするための特定の操作が行われたとする。
【0107】
この場合、図19に示すように、(1)出金取引:5万円に対応する情報、(2)入金取引:2万円に対応する情報、の双方が、収支外情報として得られ、収支情報が無いことから、最終現金投入金額が「2万円」となり、最終現金払出金額が「5万円」となる。このように、特定の取引を収支外取引とする特定の操作を現金処理装置10において受け付け可能とすることにより、顧客の意図に沿う処理を実現することが可能である。
【0108】
なお、上記では出金取引を収支外取引とする操作が可能であることを説明したが、同様に、入金取引を収支外取引とする操作も可能である。
【0109】
<8.作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態による制御サーバ30は、出金取引における出金金額の原資利用が不可であると判断された入金取引については、現金処理装置10への最終現金投入金額に相当する現金の投入が行われた後に当該入金取引の実行をホストコンピュータ40に依頼する。かかる構成によれば、現金処理装置10へ投入された現金が出金取引における出金金額の原資利用が不可であると判断された入金取引の原資となるので、一連の取引における各取引を、原資を確保した状態で実行することが可能である。
【0110】
一方、本発明の一実施形態による制御サーバ30は、出金取引における出金金額の原資利用が可であると判断された入金取引については、現金処理装置10への現金の投入を条件とせずに当該入金取引の実行をホストコンピュータ40に依頼する。かかる構成により、顧客による現金の投入金額を低減すること、または、顧客による現金の投入を不要とすることが可能となる。
【0111】
また、本発明の一実施形態による制御サーバ30の原資利用可否判断部354は、入金取引の前に順序付けられている出金取引が無い入金取引は原資利用が不可であると判断する。かかる構成によれば、現金処理装置10へ投入された現金を原資として確保して入金取引が行われるので、当該入金取引の後のエラーの発生の有無によらず当該入金取引を不都合なく完了することが可能である。
【0112】
また、本発明の一実施形態による制御サーバ30の原資利用可否判断部354は、出金取引の後に順序付けられている1または2以上の入金取引の各々について、収支差分が1以上である場合には当該入金取引は原資利用が可であると判断する。かかる構成によれば、出金取引の出金金額が最大限に原資として活用されるので、最終現金投入金額を低減することが可能となる。
【0113】
また、本発明の一実施形態による制御サーバ30の通信部320は、原資利用が不可であると判断された入金取引の入金金額に応じて算出される最終現金投入金額を現金処理装置10に送信する。これにより、顧客が当該最終現金投入金額を投入することが期待される。かかる構成により、原資利用が不可であると判断された入金取引の原資をより確実に確保した状態で当該入金取引を実行することが可能である。
【0114】
また、本発明の一実施形態による制御サーバ30の通信部320は、一連の取引の完了後に、現金処理装置10からの払出金額である最終現金払出金額を現金処理装置10に送信する。現金処理装置10は、最終現金払出金額の受信に基づき、最終現金払出金額に相当する現金を顧客に払い出す。一連の取引の完了前に現金を払い出し、その後にエラーが発生した場合には、結果的に原資がない状態で途中までの取引が実行されたことになる不都合が発生し得るが、上記構成によればそのような不都合の発生を回避することが可能である。
【0115】
なお、本発明の一実施形態による制御サーバ30は、一連の取引の途中でエラーが発生した場合、現金処理装置10へ投入された現金の金額および実行済みの出金取引の出金金額の合計金額から、実行済みの入金取引の入金金額の合計金額を減算した結果を示す情報を現金処理装置10に送信してもよい。現金処理装置10が当該情報に相当する現金を払い出すことにより、実行された取引と、払い出される現金の整合をとることが可能である。なお、現金処理装置10は、当該情報をエラーの発生状況(一連の取引のどの段階でエラーが発生したか等)とともに操作表示部110に表示させてもよい。これにより、顧客はエラーの発生状況に加え、実行された取引と、払い出される現金の整合が取れていることを確認することができる。
【0116】
<9.ハードウェア構成>
以上、本発明の各実施形態を説明した。上述した原資利用の可否の判断、取引の実行依頼などの情報処理は、ソフトウェアと、ハードウェアとの協働により実現される。以下、顧客操作端末20、制御サーバ30およびホストコンピュータ40などに適用され得るハードウェア構成例を説明する。
【0117】
図20は、ハードウェア構成90の一例を示したブロック図である。ハードウェア構成90は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、を備える。また、ハードウェア構成90は、ブリッジ905と、外部バス906と、インターフェース907と、入力装置908と、表示装置909と、音声出力装置910と、ストレージ装置(HDD)911と、ドライブ912と、ネットワークインターフェース915とを備える。
【0118】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904により相互に接続されている。これらCPU901、ROM902およびRAM903とソフトウェアとの協働により、顧客操作端末20の制御部250、制御サーバ30の制御部350およびホストコンピュータ40の制御部450などの機能が実現され得る。
【0119】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0120】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサー、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、該入力装置908を操作することにより、各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0121】
表示装置909は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置910は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0122】
ストレージ装置911は、本実施形態にかかる記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置911は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置911は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置911は、ストレージを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0123】
ドライブ912は、記憶媒体用リーダライタであり、ハードウェア構成90に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ912は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体84に記録されている情報を読み出して、RAM903またはストレージ装置911に出力する。また、ドライブ912は、リムーバブル記憶媒体84に情報を書き込むこともできる。
【0124】
ネットワークインターフェース915は、例えば、通信網5に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース915は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0125】
<10.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0126】
例えば、本明細書の現金処理装置10、顧客操作端末20、制御サーバ30およびホストコンピュータ40の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、現金処理装置10、顧客操作端末20、制御サーバ30およびホストコンピュータ40の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。例えば、フローチャートにおいて取引の情報を入力するステップ(本発明の一実施形態においてはS102、S111及びS120)をまとめて行ったのち、取引情報を送信してもよい。この場合、取引追加有無を選択するステップ(本発明の一実施形態においてはS103、S112及びS120)を省略することができるため、顧客の入力負荷を軽減することができる。
【0127】
また、現金処理装置10、顧客操作端末20、制御サーバ30およびホストコンピュータ40に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した現金処理装置10、顧客操作端末20、制御サーバ30およびホストコンピュータ40の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムが記憶された非一時的な記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0128】
10 現金処理装置
100 制御部
110 操作表示部
120 読取部
130 通信部
140 現金処理部
160 記憶部
20 顧客操作端末
210 操作表示部
220 プリンタ通信部
230 サーバ通信部
250 制御部
252 受付番号採番部
254 取引情報受付部
28 プリンタ
30 制御サーバ
320 通信部
340 記憶部
350 制御部
352 取引情報取得部
354 原資利用可否判断部
356 収支外情報保存部
358 収支情報保存部
360 最終現金情報保存部
362 コード作成部
366 取引情報検索部
368 最終現金情報検索部
370 取引依頼部
40 ホストコンピュータ
420 通信部
450 制御部
452 入金実行部
454 出金実行部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図13
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図18
図19
図20