(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024179997
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】水性分散体組成物およびその製造方法、食品、化粧料ならびに医薬品
(51)【国際特許分類】
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A61P 3/04 20060101ALI20241219BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20241219BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20241219BHJP
A61P 33/14 20060101ALI20241219BHJP
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A61K 8/49 20060101ALI20241219BHJP
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A61K 8/81 20060101ALI20241219BHJP
A61K 8/39 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
A23L33/105
A23L29/00
A61P9/12
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A61K8/63
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A61K8/81
A61K8/39
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099389
(22)【出願日】2023-06-16
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】000222118
【氏名又は名称】artience株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100124936
【弁理士】
【氏名又は名称】秦 恵子
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕一
(72)【発明者】
【氏名】唐木田 直人
【テーマコード(参考)】
4B018
4B035
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B018LB01
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(57)【要約】
【課題】長期にわたって分散安定性が担保でき沈殿が抑制できる、ピペリン類を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品、化粧料および医薬品の提供。
【解決手段】ピペリン類を含む固体粒子と、水性媒体と、分散助剤とを含み、前記分散助剤は、リン脂質、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、多糖類、糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含む、水性分散体組成物。ならびに、その製造方法、それを用いた食品、化粧料および医薬品。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ピペリン類を含む固体粒子と、水性媒体と、分散助剤とを含み、
前記分散助剤は、リン脂質、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、多糖類、糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含む、水性分散体組成物。
【請求項2】
前記分散助剤が、レシチン、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、γ-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酵素処理ステビア、酵素処理ルチン、酵素処理ナリンジンおよび酵素処理ヘスペリジンから選ばれる少なくとも1種を含む、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項3】
前記固体粒子の平均粒子径が、500nm以下である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項4】
前記固体粒子と、前記分散助剤との含有質量割合が、1:1~2.5:1である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項5】
前記固体粒子が、湿式摩砕粉砕処理物である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項6】
超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物である、請求項1に記載の水性分散体組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を含む食品。
【請求項8】
請求項1~6のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を含む化粧料。
【請求項9】
請求項1~6のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を含む医薬品。
【請求項10】
請求項1~6のいずれか一項に記載の水性分散体組成物を製造する方法であって、
ピペリン類を含む固体粒子と、分散助剤と、水性媒体とを、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る、水性分散体組成物の製造方法。
【請求項11】
前記固体粒子が、湿式摩砕粉砕処理物である、請求項10に記載の水性分散体組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品、化粧料ならびに医薬品に関する。
【背景技術】
【0002】
ピペリン類は、ヒハツやコショウの果実に含まれている、アルカロイドに分類される有機化合物であり、血流機能改善効果、パーキンソン病抑制効果、エネルギー代謝向上効果、抗菌・抗酸化効果など様々な効果を有することが知られている。
特許文献1には、ピペリン類配合茶系飲料が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
適用用途や使用形態などの選択肢をより広げるため、ピペリン類を水性媒体中に分散させた水性分散体組成物の形態で調製する要望が多くある。しかしながら、ピペリン類は、難水溶性の固体粒子の形態のものが多く、水性分散体組成物を調製しようとすると、水性分散体組成物中でピペリン類粒子が沈殿し、濁ってしまうことがあった。
【0005】
また、ピペリン類の持つ薬学効果を最大限発揮させることを考えると、ピペリン類粒子を微細化し、比表面積を増大させて、水溶解度を向上させることが重要である。しかし、一般的に、水性分散体中に含まれる粒子の粒子径が小さくなると比表面積の増加に起因して、凝集力が働くため、粒子の分散安定性を担保することが困難となる傾向がある。そこで、水性分散体の形態で、微細化されたピペリン類粒子であっても、長期的に分散安定性を担保できる技術の開発が望まれていた。
【0006】
本開示は、長期にわたって分散安定性が担保でき沈殿が抑制できる、ピペリン類を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品、化粧料および医薬品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係る水性分散体組成物、その製造方法、食品、化粧料および医薬品は、下記[1]~[11]の構成を有することができる。
[1]ピペリン類を含む固体粒子と、水性媒体と、分散助剤とを含み、前記分散助剤は、リン脂質、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、多糖類、糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含む、水性分散体組成物。
[2]前記分散助剤が、レシチン、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、γ-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酵素処理ステビア、酵素処理ルチン、酵素処理ナリンジンおよび酵素処理ヘスペリジンから選ばれる少なくとも1種を含む、[1]に記載の水性分散体組成物。
[3]前記固体粒子の平均粒子径が、500nm以下である、[1]または[2]に記載の水性分散体組成物。
[4]前記固体粒子と、前記分散助剤との含有質量割合が、1:1~2.5:1である、[1]~[3]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[5]前記固体粒子が、湿式摩砕粉砕処理物である、[1]~[4]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[6]超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物である、[1]~[5]のいずれかに記載の水性分散体組成物。
[7][1]~[6]のいずれかに記載の水性分散体組成物を含む食品。
[8][1]~[6]のいずれかに記載の水性分散体組成物を含む化粧料。
[9][1]~[6]のいずれかに記載の水性分散体組成物を含む医薬品。
[10][1]~[6]のいずれかに記載の水性分散体組成物を製造する方法であって、ピペリン類を含む固体粒子と、分散助剤と、水性媒体とを、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散して、水性分散体組成物を得る、水性分散体組成物の製造方法。
[11]前記固体粒子が、湿式摩砕粉砕処理物である、[10]に記載の水性分散体組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、長期にわたって分散安定性が担保でき沈殿が抑制できる、ピペリン類を含む水性分散体組成物およびその製造方法、前記水性分散体組成物を用いた食品、化粧料および医薬品を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本開示に係る水性分散体組成物、その製造方法、食品、化粧料および医薬品について説明する。
なお、本明細書において、数値範囲を示す「~」は、その前後に記載された数値を下限値及び上限値として含むことを意味する。
本明細書中に段階的に記載されている数値範囲において、一つの数値範囲で記載された上限値又は下限値は、他の段階的な記載の数値範囲の上限値又は下限値に置き換えてもよい。また、本明細書中に記載されている数値範囲において、その数値範囲の上限値又は下限値は、実施例に示されている値に置き換えてもよい。
さらに、本明細書において、水性分散体組成物に含まれる各成分の量は、当該組成物中に、各成分に該当する物質が複数含まれる場合、特に断らない限り、当該複数の物質の合計量を意味する。
【0010】
<水性分散体組成物>
本開示に係る水性分散体組成物(以降、本組成物とも記す)は、ピペリン類を含む固体粒子と、水性媒体と、特定の分散助剤とを含み、必要に応じて、その他の添加剤を含むことができる。なお、前記分散助剤は、リン脂質、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、多糖類、糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含む。
このような構成の本組成物は、上記ピペリン類を含む固体粒子の分散状態を長期間安定に維持し、色味などの外観の変化を抑制できる。
【0011】
(ピペリン類を含む固体粒子)
本組成物におけるピペリン類とは、ピペリン(piperine)とその類縁化合物ならびにそれらの誘導体を含むものであり、これらからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を指す。前記類縁化合物としては、例えば、ピペラニン(piperanine)、シャビシン(chavicine)、イソピペリン(isopiperine)、イソシャビシン(isochavicine)を挙げることができる。前記誘導体としては、例えば、テトラヒドロピペリン(Tetrahydropiperine)を挙げることができる。ピペリン類は、1種類(例えば、ピペリンのみ)から構成されていてもよいし、2種類以上(例えば、ピペリンおよびシャビシン)から構成されていてもよい。しかしながら、生体機能性作用発現の観点から、ピペリン類は、少なくともピペリンまたはテトラヒドロピペリンを含むことが好ましい。ピペリン類中のピペリンおよびテトラヒドロピペリンの合計含有割合(本組成物中に両化合物の一方のみを含む場合は、本組成物に含まれる化合物の含有割合)は、例えば、50質量%~100質量%とすることができる。
【0012】
ピペリン類は、植物原料としてコショウ科コショウ属の植物であるヒハツ(Piper longum)、コショウ(Piper nigrum)、ヒハツモドキ(Piper retrofractum)等の果実や果穂に含有されており、ピペリンやシャビシンは、辛味成分としても知られている。本組成物では、これらの乾燥物やそれらの粉砕物がピペリン類含有素材として利用できる。また、これらの植物原料を熱水やアルコールなどを用いて抽出したエキスやその乾燥粉体も好適に利用することができる。このように、本組成物におけるピペリン類は、上述した植物原料からの抽出物であってもよいし、市販品であってもよい。また、当該ピペリン類は、天然物由来の化合物であってもよいし、合成品であってもよい。なお、本組成物においては、植物原料の産地等は特に限定されない。また、抽出の際、抽出原料となる植物(の部位)はそのままの状態で抽出作業に供してもよいが、抽出効率を向上させる観点から、粉砕した状態で抽出作業に供してもよい。ピペリン類の抽出方法としては、従来公知の方法を適宜使用できる。
【0013】
ピペリン類は、血管拡張による血流機能改善に伴う冷え性や高血圧の改善効果、アドレナリン放出によるエネルギー代謝の促進や栄養吸収、ダイエット効果、抗菌、防腐、殺虫効果、パーキンソン病の抑制効果、生体利用効率向上効果などを有することが知られている。このため、これらの機能を活用した食料品、化粧料、医薬品などが種々開発されている。以下では、ピペリン類のうち特にピペリンに着目した説明を行うことがあるが、本組成物はこれらの実施形態には限定されない。
【0014】
本組成物において、水性分散体中におけるピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径は、500nm以下であることが好ましい。ピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径が500nm以下であれば、本組成物中のピペリン類を含む固体粒子の分散安定性がより向上し、長期にわたって沈殿を容易に抑制できるほか、微細化により溶解度がより向上し薬学的効果も期待できる。また、沈殿抑制の観点から、ピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径は300nm以下であることがより好ましく、100nm以下であることがさらに好ましい。固体粒子の分散安定性を容易に確保する観点から、ピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径は50nm以上であることが好ましい。ピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径の測定方法に関しては後述する。
【0015】
固体粒子は、ピペリン類を含むものであり、原料由来の他の成分を含むことができるが、ピペリン類のみから構成されてもよい。原料由来の他の成分としては、例えば、食物繊維、タンパク質、脂質、ピペリン分解物や、低分子有機化合物(例えば、高純度ピペリンを溶剤抽出法で調製した場合、溶剤抽出時に同時に抽出されるもの)などが挙げられる。固体粒子中のピペリン類の含有割合は、1質量%~100質量%とすることが好ましい。
また、本組成物中、固体粒子(特にピペリン類)の含有割合は、適宜設定できるが、食品や医薬品等の製剤化時の設計自由度の観点から、4質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上がさらに好ましい。固体粒子の凝集および沈殿抑制の観点から、本組成物中の固体粒子(特にピペリン類)の含有割合は、30質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましい。
本組成物中のピペリン類の含有割合は、従来公知の方法(例えば、食品衛生学雑誌、60巻、5号、p.134~143、2019年)により、HPLC法にて定量分析することができる。
【0016】
ここで、本組成物における固体粒子は、長期間の沈殿抑制ならびに粒子微細化の観点から、湿式摩砕粉砕処理物であることが好ましい。また、本組成物における固体粒子の分散方法は、詳細は後述するが、超音波処理(超音波分散)、ホモジナイザー処理(ホモジナイザー分散)またはビーズミル分散を用いることが好ましい。したがって、本組成物は、上記固体粒子、後述する、水性媒体、分散助剤、必要に応じて、他の添加剤を用いた、超音波分散処理物、ホモジナイザー分散処理物またはビーズミル分散処理物であることが好ましい。
【0017】
また、本組成物におけるピペリン類を含む固体粒子は、結晶性粒子、非晶質性粒子のいずれであっても良い。固体粒子に対する結晶性粒子、非晶質性粒子の判別は、X線回折法で行う。具体的には、固体粒子のX線回折法による測定結果において、ピークを有する場合には固体粒子は結晶性粒子であると判別され、ピークを有さない場合には固体粒子は非晶質性粒子であると判別される。一般的に、結晶性粒子に比べ、非晶質性粒子の方が、水溶解度が向上するものの、析出発生など分散安定性が低下する他、耐光性試験で分解が見られるなど、経時安定性に懸念が生じる傾向がある。
【0018】
(水性媒体)
水性媒体は、少なくとも水を含み、水からなることもできる。前記水は、特に限定されず使用目的によって適宜設定でき、例えば、水道水、天然水、精製水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水、深層水などを使用できる。
【0019】
本組成物中の水性媒体の配合割合は適宜設定できるが、食品や医薬品等の製剤化時の設計自由度の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましい。固体粒子の凝集および沈殿抑制の観点から、本組成物中の水性媒体の配合割合は、60質量%以上が好ましく、75質量%以上がより好ましい。
【0020】
水性媒体は、水に加え、さらに、水溶性有機溶剤等の、水と均一に混合し得るか、または、水に溶解しうる溶剤、pH調整剤、および、防腐剤からなる群より選ばれる少なくとも1種の成分を含有することができる。
【0021】
前記水溶性有機溶剤とは、水に対する25℃での溶解度が10(g/100g-H2O)以上の有機溶剤を指す。水溶性有機溶剤としては、固体粒子の分散を安定に維持しうるという観点から、溶解度が30(g/100g-H2O)以上の有機溶剤が好ましく、溶解度が50(g/100g-H2O)以上の有機溶剤がより好ましい。
【0022】
前記水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、2-ブタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、メチルエチルケトン、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸メチル、アセト酢酸メチル、N-メチルピロリドン、ジメチルスルフォキシド、エチレングリコール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、グリセリン等が挙げられる。水性媒体が水溶性有機溶剤を含む場合、水溶性有機溶剤は1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
水性媒体における水溶性有機溶剤の含有量は、目的に応じて、適宜選択することができる。生体適用容易性等の観点から、水溶性有機溶剤の含有量は、水性媒体中、40質量%以下であることが好ましく、1質量%~20質量%であることがより好ましい。また、水性媒体に水溶性有機溶剤を含有しない態様も好ましい。
【0024】
(分散助剤)
本組成物には、特定の分散助剤を含む。当該分散助剤は、リン脂質、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンフィトステロール、多糖類、糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコールおよび酵素処理物から選ばれる少なくとも1種を含む。これらの中でも、分散助剤は、長期間の沈降抑制の観点から、レシチン、サポニン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアガム、キサンタンガム、γ-シクロデキストリン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、酵素処理ステビア、酵素処理ルチン、酵素処理ナリンジンおよび酵素処理ヘスペリジンから選ばれる少なくとも1種を含むことが好ましい。
【0025】
本組成物における分散助剤の(合計)含有量は、目的に応じて適宜選択できるが、安定性担保の観点から1質量%以上が好ましく、2.5質量%以上がより好ましく、5質量%以上がさらに好ましい。また、本組成物における分散助剤の(合計)含有量は、食品や医薬品等の製剤化時の設計自由度の観点から、20質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましい。
【0026】
前記固体粒子と、前記分散助剤との含有質量割合は、長期間の沈降抑制の観点から、1:1~2.5:1であることが好ましく、1:1~1.5:1であることがより好ましい。なお、水性分散体中のピペリン類を含む固体粒子の濃度(含有割合)はより高い方が製剤化時の処方設計自由度が増すと考えられる。また、水性分散体中に添加する分散助剤の種類によっては、ピペリン類の吸収性を低下させる可能性もあるため、分散剤の配合量はできるだけ少ない方が望ましいと考えられる。しかしながら、分散剤の配合量を少なくした場合、分散安定性とトレードオフになるため、適宜必要量を見極めて配合量を決定することが望ましい。以下に、各分散助剤に関して説明する。
【0027】
(リン脂質)
リン脂質は、フォスファチドとも称され、グリセロリン脂質、及びスフィンゴリン脂質がある。本組成物に用いられるリン脂質は、グリセロリン脂質、及びスフィンゴリン脂質のいずれであってもよい。しかし、ピペリン類を含む固体粒子の分散性をより向上させるという観点からは、グリセロリン脂質が好ましく、なかでも、レシチン等がより好ましい。
【0028】
レシチンとは、ホスファチジルコリン(以降、PCと略することもある)自体、又は、少なくともホスファチジルコリンを含む混合物を指す。少なくともホスファチジルコリンを含む混合物とは、一般的に、ホスファチジルコリンの他に、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルイノシトール、N-アシルホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジン酸、リゾホスファチジルコリン、リゾホスファチジン酸、スフィンゴミエリン、スフィンゴエタノールアミン等を含み得る混合物である。
【0029】
レシチンとしては、大豆由来、卵黄由来をはじめ、いずれの動植物由来のレシチンを使うことができる。また、下記のように精製や蒸留により純度を向上させたレシチンや各種処理を施したレシチンとして、高度精製レシチン、分別レシチン、水素添加レシチンおよび酵素分解レシチン等も使用することができる。
【0030】
高度精製レシチンとは、アセトン等の溶媒を用いて脱油・粉末化したレシチンである。高度精製レシチンの市販品の例としては、フォスフォリポン20(商品名、リポイド社製)、レシオンP(商品名、理研ビタミン製)、SLP-ホワイト(商品名、辻製油製)、エマルメティック300(商品名、ルーカスマイヤーコスメティックス社製)等が挙げられる。
【0031】
分別レシチンとは、高度精製レシチンから、各種溶媒への溶解度差を利用したり、蒸留等の操作を行なったりして、特定のリン脂質の含有量を高めたレシチンである。分別レシチンの市販品の例としては、フォスフォリポン50(PC45質量%含有)、フォスフォリポン85G(PC80質量%含有)、フォスフォリポン90G(PC94質量%含有)(以上、いずれも商品名、リポイド社製)、エマルメティック900(PC50質量%含有)、エマルメティック930(PC95質量%含有)(以上、いずれも商品名、ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP-PC70、SLP-PC90(以上、いずれも商品名、辻製油製)等が挙げられる。
【0032】
水素添加レシチンとは、レシチン構造中の脂肪酸ポリエン酸を酸化し、光安定性向上のために、水素添加処理を行って飽和脂肪酸に変換したレシチンである。水素添加レシチンは、化粧料、皮膚外用剤等の医薬品には好ましく用いることができるものの、飲食品には使用することが難しい。水素添加レシチンの市販品の例としては、エマルメティック320(商品名、ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLPホワイトH(商品名、辻製油製)等がある。PCの含有量を高め、さらに水素添加処理を行ったレシチンの市販品の例としては、エマルメティック950(商品名、ルーカスマイヤーコスメティックス社製)、SLP-PC92H(商品名、辻製油製)、フォスフォリポン90H(商品名、リポイド社製)等が挙げられる。
【0033】
酵素分解レシチンとは、通常、グリセリンに結合している2位の脂肪酸のエステル結合を酵素によって選択的に分解して得られるレシチンであり、通常のレシチンと区別するためにリゾレシチンとも呼ばれる。代表的なリゾレシチンの市販品の例としては、SLPホワイトリゾ、SLP-LPC70(いずれも商品名、辻製油製)が挙げられる。
【0034】
(サポニン)
サポニンは、サポゲニンと糖から構成される配糖体の総称である。サンポンソウをはじめとする様々な植物に含まれる。白色の無定形粉末で、両親媒性を有するため、水に混ぜると溶解し、界面活性作用を示す。
【0035】
(ショ糖脂肪酸エステル)
ショ糖脂肪酸エステルは、ショ糖と脂肪酸メチルのエステル交換反応で得られる。本組成物におけるショ糖脂肪酸エステルは、脂肪酸の炭素数が12~20の化合物が好ましく、炭素数が12~18の化合物がより好ましく、炭素数が14~16の化合物がさらに好ましく、炭素数が14の化合物が特に好ましい。脂肪酸の炭素数を12以上20以下とすることにより、ピペリン類を含む固体粒子の分散安定性がより向上する。
ショ糖脂肪酸エステルの具体例としては、ショ糖ジオレイン酸エステル、ショ糖ジステアリン酸エステル、ショ糖ジパルミチン酸エステル、ショ糖ジミリスチン酸エステル、ショ糖ジラウリン酸エステル、ショ糖モノオレイン酸エステル、ショ糖モノステアリン酸エステル、ショ糖モノパルミチン酸エステル、ショ糖モノミリスチン酸エステル、ショ糖モノラウリン酸エステル等が挙げられる。
これらの中でも、ショ糖脂肪酸エステルとしては、ショ糖モノステアリン酸エステル(化粧品の成分表示名称:ステアリン酸スクロース)が好ましい。
【0036】
ショ糖脂肪酸エステルとしては、市販品を使用できる。ショ糖脂肪酸エステルの市販品(商品名)の例としては、三菱ケミカル(株)の「リョートー(登録商標)シュガーエステル」シリーズの「S-070」〔HLB(Hydrophilic-Lipophilic Balance)値(カタログ値):1以下、モノエステル体(カタログ値):約0質量%〕、「S-170」〔HLB値(カタログ値):約1、モノエステル体(カタログ値):約1質量%〕、「S-270」〔HLB値(カタログ値):約2、モノエステル体(カタログ値):約10質量%〕、「S-370」〔HLB値(カタログ値):約3、モノエステル体(カタログ値):約20質量%〕、「S-370F」〔HLB値(カタログ値):約3、モノエステル体(カタログ値):約20質量%〕、「S-570」〔HLB値(カタログ値):約5、モノエステル体(カタログ値):約30質量%〕、「S-770」〔HLB値(カタログ値):約7、モノエステル体(カタログ値):約40質量%〕、「S-970」〔HLB値(カタログ値):約9、モノエステル体(カタログ値):約50質量%〕、「S-1170」〔HLB値(カタログ値):約11、モノエステル体(カタログ値):約55質量%〕、「S-1170F」〔HLB値(カタログ値):約11、モノエステル体(カタログ値):約55質量%〕、「S-1570」〔HLB値(カタログ値):約15、モノエステル体(カタログ値):約70質量%〕、「S-1670」〔HLB値(カタログ値):約16、モノエステル体(カタログ値):約75質量%〕(以上、ショ糖ステアリン酸エステル)等が挙げられる。
また、ショ糖脂肪酸エステルの市販品(商品名)の例としては、第一工業製薬(株)の「DKエステル(登録商標)」シリーズの「SS」〔HLB値(カタログ値):約19、モノエステル体(カタログ値):97質量%〕、「F-160」、「F-140」、「F-110」、「F-90」、「F-70」、「F-50」、「F-20W」、「F-10」、「FA-10E」、「コスメライク(登録商標)」シリーズの「S-10」、「S-50」、「S-70」、「S-110」、「S-160」、「S-190」〔HLB値(カタログ値):約19、モノエステル体(カタログ値):97質量%〕等が挙げられる。
これらの中でも、ショ糖脂肪酸エステルの市販品(商品名)としては、「リョートー(登録商標)シュガーエステル」シリーズの「S-1170」、「S-1170F」、「S-1570」、及び「S-1670」、「DKエステル(登録商標)」シリーズの「SS」、「F-160」、「F140」、及び「F110」、並びに、「コスメライク(登録商標)」シリーズの「S-110」、「S-160」、及び「S-190」からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。また、ショ糖脂肪酸エステルにおけるモノエステル体の含有率が高いことから、ショ糖脂肪酸エステルの市販品としては、「DKエステル(登録商標)」シリーズの「SS」及び「コスメライク(登録商標)」シリーズの「S-190」から選ばれる少なくとも1種が特に好ましい。
【0037】
(ポリグリセリン脂肪酸エステル)
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、ポリグリセロールに脂肪酸をエステル結合して作られる。ポリグリセリン脂肪酸エステルは、特に制限されないが、ポリグリセリン脂肪酸エステルに含まれるポリグリセリン構造は、直鎖状、分岐鎖状、または環状のいずれであってもよい。
本組成物に用いうるポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、平均重合度が2以上のポリグリセリンと、炭素数8~18の脂肪酸とのエステルが挙げられる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの調製に用いうるポリグリセリンの平均重合度は2以上であることが好ましく、2~10であることがより好ましい。ポリグリセリン脂肪酸エステルの調製に用いうる炭素数8~18の脂肪酸としては、例えば、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸等が挙げられる。
ポリグリセリン脂肪酸エステルに含まれる脂肪酸構造は、例えば、本組成物の経時安定性がより優れる傾向を示すという観点から、分岐鎖及び不飽和炭素結合の少なくとも一方を有することが好ましい。
【0038】
ポリグリセリン脂肪酸エステルは、1分子のポリグリセリンに1種類の脂肪酸がエステル結合したものであってもよく、1分子のポリグリセリンに2種類以上の脂肪酸がエステル結合したものであってもよい。
【0039】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、例えば、本組成物の経時安定性がより優れる傾向を示すという観点から、分岐鎖及び不飽和炭素結合の少なくとも一方を有する脂肪酸構造を含むことが好ましく、分岐鎖及び不飽和炭素結合のいずれか一方を有する脂肪酸構造を含むことがより好ましい。
【0040】
ポリグリセリン脂肪酸エステルの具体例としては、ラウリン酸ポリグリセリル-6、ミリスチン酸ポリグリセリル-6、ステアリン酸ポリグリセリル-6、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-6、ラウリン酸ポリグリセリル-10、ミリスチン酸ポリグリセリル-10、ステアリン酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-10、オレイン酸ポリグリセリル-10、リノール酸ポリグリセリル-10等が挙げられる。
これらの中でも、ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、オレイン酸ポリグリセリル-6、オレイン酸ポリグリセリル-10、リノール酸ポリグリセリル-10、イソステアリン酸ポリグリセリル-6、及びイソステアリン酸ポリグリセリル-10からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、イソステアリン酸ポリグリセリル-10及びオレイン酸ポリグリセリル-10から選ばれる少なくとも1種がより好ましい。
【0041】
ポリグリセリン脂肪酸エステルとしては、市販品を使用できる。ポリグリセリン脂肪酸エステルの市販品の例としては、例えば、NIKKOL DGMS,NIKKOL DGMO-CV,NIKKOL DGMO-90V,NIKKOL DGDO,NIKKOL DGMIS,NIKKOL DGTIS,NIKKOL Tetraglyn 1-SV,NIKKOL Tetraglyn 1-O,NIKKOL Tetraglyn 3 -S,NIKKOL Tetraglyn 5-S,NIKKOL Tetraglyn 5-O,NIKKOL Hexaglyn 1-L,NIKKOL Hexaglyn 1-M,NIKKOL Hexaglyn 1-SV,NIKKOL Hexaglyn 1-O,NIKKOL Hexaglyn 3-S,NIKKOL Hexaglyn4-B,NIKKOL Hexaglyn 5-S,NIKKOL Hexaglyn 5-O,NIKKOL Hexaglyn PR-15,NIKKOL Decagly n 1-L,NIKKOL Decaglyn 1-M,NIKKOL Decagly n 1-SV,NIKKOL Decaglyn 1-50SV,NIKKOL D ecaglyn 1-ISV,NIKKOL Decaglyn 1-O,NIKKOL Decaglyn 1-OV,NIKKOL Decaglyn 1-LN,NIKKOL Decaglyn 2-SV,NIKKOL Decaglyn 2-ISV,NIKKOL Decaglyn 3-SV,NIKKOL Decaglyn 3-OV,NIKKOL Decaglyn 5-SV,NIKKOL Decaglyn 5-HS,NIKKOL Decaglyn 5-IS,NIKKOL Decaglyn 5-OV,NIKKOL Decaglyn 5-O-R,NIKKOL Decaglyn 7-S,NIKKOL Decaglyn 7-O,NIKKOL Decaglyn 10-SV,NIKKOL Decaglyn 10-IS,NIKKOL Decaglyn 10-OV,NIKKOL Decaglyn 10-MAC,NIKKOL Decaglyn PR-20(以上、いずれも商品名、日光ケミカルズ(株))が挙げられる。なお、「NIKKOL」は日光ケミカルズ(株)の登録商標である。
【0042】
さらに、リョートー(登録商標)ポリグリエステル、L-7D、L-10D、M-7D、M-10D、P-8D、SWA-10D、SWA-15D、SWA-20D、S-24D、S-28D、O-15D、O-50D、B-70D、B-100D、ER-60D、LOP-120DP、DS13W、DS3、HS11、HS9、TS4、TS2、DL15、DO13(以上、いずれも商品名、三菱ケミカル(株))、サンソフト(登録商標)Q-17UL、サンソフトQ-14S、サンソフトA-141C(以上、いずれも商品名、太陽化学(株))、ポエム(登録商標)DO-100、ポエムJ-0021(以上、いずれも商品名、理研ビタミン(株))等が挙げられる。
【0043】
(ソルビタン脂肪酸エステル)
ソルビタン脂肪酸エステルは、ソルビトールと脂肪酸のエステル化反応により、合成した化合物である。また、ソルビタン脂肪酸エステルに、エチレンオキサイドを付加した、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルの形態であっても良い。
【0044】
ソルビタン脂肪酸エステルとしては、ソルビタンモノラウラート(sorbitan monolaurate;Span20)、ソルビタンモノオレアート(sorbitan monooleate;Span80)などが挙げられる。
【0045】
ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、市販のTween系界面活性剤が最も代表的である。ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルとしては、例えば、ポリオキシエチレンソルビタンモノラウラ―ト(Polyoxyethylene sorbitan monolaurate;Tween20)、ポリオキシエチレンソルビタンモノパルミタート(polyoxyethylene sorbitan monopalmitate;Tween40)、ポリオキシエチレンソルビタンモノステアラート(polyoxyethylene sorbitan monostearate;Tween60)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレアート(polyoxyethylene sorbitan monooleate;Tween80)などが挙げられる。
【0046】
(ポリオキシエチレンフィトステロール)
ポリオキシエチレンフィトステロール(POEフィトステロール)は、下記一般式(I)で表される化合物である。
R-O-(EO)n-H 一般式(I)
一般式(I)中、Rは、フィトステリル基を表す。EOはエチレンオキシド基を表し、nは5~60を表す。nは、固体粒子の分散安定性がより向上するという観点から、10~50の範囲であることが好ましく、10~30の範囲であることがより好ましい。
POEフィトステロールとして、本開示の効果を損なわない範囲において、親水性の部分構造にポリオキシエチレン基に加え、ポリオキシプロピレン基(POP)、ポリオキシブチレン基(POB)を含むPOEフィトステロールを用いてもよい。
POEフィトステロールとしては、POEフィトステロールエーテル、POE/POPフィトステロールエーテル、POE/POP/POBフィトステロールエーテル、POE/POBフィトステロールエーテル等が挙げられる。POEフィトステロールエーテルは市販品としても入手可能であり、市販品の具体例としては、NIKKOLシリーズのBPS-5、BPS-10、BPS-20、BPS-30(以上、いずれも商品名、日光ケミカルズ製)が挙げられる。
【0047】
(多糖類)
前記多糖類としては、植物由来、海藻由来または微生物由来の天然多糖類が挙げられ、酸性多糖類、中性多糖類、塩基性多糖類等が好ましく適応できる。酸性多糖類としては、ペクチン、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アラビアガム、キサンタンガム、ジェランガム、トラガントガム、イヌリン、カラギーナン、ポリガラクツロン酸、寒天、ポリフィラン、フノラン、フルセラン等が挙げられる。中性多糖類としては、タマリンドシードガム、グァーガム、ローカストビーンガム、デンプン、プルラン、ラミナラン、コンニャクマンナン等が挙げられる。塩基性多糖類としては、キトサンが挙げられる。
これらの中では、長期的な分散安定性の観点から、アラビアガムおよびキサンタンガムの少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0048】
(糖誘導体)
前記糖誘導体としては、セルロース誘導体が挙げられる。セルロース誘導体としては、セルロースを構成するグルコースのヒドロキシ基の一部がエーテル化されたエーテル化セルロースが挙げられる。前記エーテル化セルロースとしては、具体的には、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、及びカルボキシメチルセルロース塩が挙げられる。ここで、カルボキシメチルセルロース塩としては、カルボキシメチルセルロースナトリウム等のカルボキシメチルセルロースアルカリ金属塩、カルボキシメチルセルロースカルシウム等のカルボキシメチルセルロースアルカリ土類金属塩が挙げられる。
【0049】
また糖誘導体として、セルロース誘導体の他に、シクロデキストリンが挙げられる。シクロデキストリンは、ブドウ糖(グルコース)がα-1,4結合で環状に連なったオリゴ糖で、その構造から環状オリゴ糖とも呼ばれている。また、シクロデキストリン中のグルコースの数が6、7、8個のものは、それぞれα-シクロデキストリン、β-シクロデキストリン、γ-シクロデキストリンと呼ばれている。
これらの糖誘導体の中では、長期的な分散安定性の観点から、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースおよびγ-シクロデキストリンから選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0050】
(ポリビニルピロリドン)
ポリビニルピロリドン(PVP)は、N-ビニル-2-ピロリドンを重合した非イオン性の水溶性高分子化合物である。ポリビニルピロリドンは、白い粉末で空気中の水分をよく(約18質量%まで)吸収する。ポリビニルピロリドンは市販品を適宜使用できる。ポリビニルピロリドンは、例えば、アセチレン、アンモニアおよびホルムアルデヒドからN-ビニル-2-ピロリドンを合成した後、酸化剤などの存在下で重合させることにより得られる。
【0051】
(ポリビニルアルコール)
ポリビニルアルコールは、水溶性の合成樹脂として知られている。本組成物では、従来公知のポリビニルアルコールを適宜使用できる。ポリビニルアルコールは、例えば、酢酸ビニルモノマーを重合したポリ酢酸ビニルをけん化することにより作製できる。
【0052】
(酵素処理物)
本組成物においては、分散助剤として、酵素処理物が使用できる。酵素処理物の代表例としては、酵素処理ステビア、酵素処理ルチン、酵素処理ナリンジンおよび酵素処理ヘスペリジンが挙げられる。酵素処理物としては、従来公知のものを使用できる。例えば、酵素処理物として、特開平10-70994号公報、特開平3-7593号公報、特開平5-194164号公報等に記載の方法により製造されたものを使用できる。
酵素処理ルチンの市販品としては、例えば、「αGルチンH」、「αGルチンP」、「αGルチンPS」(いずれも商品名、東洋精糖(株)製)が挙げられる。
酵素処理ヘスペリジンの市販品としては、例えば、「αGヘスペリジンH」、「αGヘスペリジンPS」、「αGヘスペリジンPA-T」、「αGヘスペリジンPA-LE」(いずれも商品名、東洋精糖(株)製)が挙げられる。
酵素処理ステビアの市販品としては、例えば、「αGスイートP」、「αGスイートPX」、「αGスイートPA」、「αGスイートH」(いずれも商品名、東洋精糖(株)製)等が挙げられる。
酵素処理ナリンジンの市販品としては、例えば、「ナリンビッド」(商品名、林原株式会社製)、「αGナリンジンH」(商品名、東洋精糖(株)製)が挙げられる。
【0053】
(他の添加剤)
本組成物は、本開示の効果を損なわない範囲において、使用用途などに応じて、他の添加剤を含むことができる。使用可能な添加剤種としては、食品添加物の使用基準便覧第49版(公益社団法人日本食品衛生協会)、医薬品添加物規格2018(薬事日報社)、化粧品成分ガイド第7版(薬事日報社)に記載の物質が挙げられる。
【0054】
<水性分散体組成物の製造方法>
本組成物は、ピペリン類を含む固体粒子と、分散助剤と、水媒体とを含む混合物に剪断力を付与することで、ピペリン類を含む固体粒子を機械的に微細化させ、ピペリン類を含む固体粒子を含有する分散物を調製することができる。剪断力の付与に用いる剪断力の付与装置には特に制限はないが、超音波分散、ホモジナイザー分散またはビーズミル分散のいずれかの手法が好ましい。中でも、粒子微細化の観点から、ビーズミル分散が特に好ましい。
【0055】
超音波分散は、超音波を発するチップを液中に浸すことで発生するキャビテーションの力により、粒子の解砕・分散を行う手法である。市販の超音波分機としては、UH-50UH-50F、UH-300、UH-600、UH-600S、UH-600SH(以上、いずれも商品名、(株)エムエステー)、PSF-600、PSF-1200、RUS-600TCVP(以上、いずれも商品名、(株)日本精機製作所)、などが挙げられる。
【0056】
ホモジナイザー分散は、大別すると、攪拌式ホモジナイザー、高圧式ホモジナイザーなどが挙げられる。
攪拌式ホモジナイザーは、攪拌羽根が高速回転することによって粉体を液体中に巻き込むと同時に、羽根のカッティング作用で粒子の分散を行う装置である。市販の攪拌式ホモジナイザーとしては、エムテクニック社製、クレアミックスWモーションCLM-1.7/5.5W、クレアSS5-100(いずれも商品名)、プライミクス社製、アヂホモミクサー2M型、HV-M(商品名)等が挙げられる。
高圧式ホモジナイザーは、粉砕する対象物を、高圧又は超高圧に加圧し、スリット(隙間)を通過する際に発生する剪断力により、粉砕、分散を行う装置を指し、一般的には高圧ホモジナイザー、超高圧ホモジナイザーと呼ばれる装置を含む。高圧式ホモジナイザー装置としては、例えば、スターバースト(商品名、(株)スギノマシン)、ナノヴェイダ(商品名、吉田機械興業(株))、マイクロフルイダイザーM-110E/H(商品名、みづほ工業(株))等が挙げられる。
【0057】
ビーズミル分散は、溶剤(水性媒体)中で、各種成分(固体粒子、分散助剤など)を混合し、ビーズ同士の衝突力で粗大粒子もしくは凝集物(凝集粒子)を粉砕、微細化、分散する方法である。その際、粒子表面に分散助剤(樹脂や界面活性剤)が被覆される。これにより、水性分散体組成物の安定性が向上し長期の沈降抑制が容易となる。これらの分散方法は、従来公知の条件で適宜行うことができ、例えば、ビーズミル分散は、直径0.1~0.5mmの(ジルコニア)ビーズを用いて、0.1~20時間行うことができる。
【0058】
ビーズミルとしては、市販品を使用することができる。本組成物の調製に使用しうるビーズミルの市販品としては、スターミルナノゲッター、スターミルZRS、スターミルLMZ、アジテータミルLMK(以上、いずれも商品名、アシザワ・ファインテック(株))、スパイクミル、マイティーミル、マイティーミルマークII、キーミル(以上、いずれも商品名、(株)井上製作所)、アペックスミル、スーパーアペックスミル、ウルトラアペックスミル(以上、いずれも商品名、寿工業(株))、サンドグラインダー(SLG)、レディーミル(RMV-03)、ナノレディーミル(RMV-03)、ウルトラビスコミル(UVM)、ウルトラ-Xビスコミル(UVX)、ニュービスコミル(NVM)(以上、いずれも商品名、アイメックス(株))、SCミル、MSCミル、アトライタ、ファインミル(以上、いずれも商品名、三井鉱山(株))、アニュラーギャップ型ビーズミル(商品名、(株)ユーロテック)、ダイノーミルECM、DYNO-MILL NPM-NANO Performance Mill(以上、いずれも商品名、(株)シンマルエンタープライズ)、ファインミル(商品名、三菱重工業(株))、MicroMediaP1(商品名、日本アイリッヒ社)等が挙げられる。
【0059】
なお、上記固体粒子は、長期的な分散安定性および沈降抑制の観点から、湿式摩砕粉砕処理物であることが好ましい。固体粒子を機械的に混練および摩砕するための装置としては、従来公知のものを適宜使用できるが、例えば、ニーダー、二本ロールミル、三本ロールミル、ボールミル、アトライター、横型サンドミル、縦型サンドミル、フレットミル、フーバーマーラー、円盤ブレード混練分散機等の装置を用いることができる。固体粒子の所望の微細化程度に応じて、これらの装置の処理条件(温度、回転数など)を適宜調整できる。
【0060】
固体粒子の湿式摩砕粉砕処理物は、例えば、以下の工程を経て得ることができる。すなわち、ピペリン類を含む被処理物、水溶性無機塩および水溶性有機溶剤をともに機械的に混練し、その後に、水溶性無機塩と水溶性有機溶剤を除去することにより、固体粒子の湿式摩砕粉砕処理物を得ることができる。
具体的には、溶媒中で、撹拌翼、ディソルバー、ホモジナイザー等を用いて、上記被処理物、水溶性無機塩および水溶性有機溶剤の混合物を均一にした後に、濾過及び水洗により、水溶性無機塩と水溶性溶剤を除去する。
【0061】
上記水溶性無機塩は、被処理物を摩砕・微粒子化する効果を有する。水溶性のものを使用することで洗浄により除去することが可能である。使用できる無機塩として、例えば、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化アンモニウム、硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム、硫酸カリウム、硫酸カルシウム、リンゴ酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、クエン酸二ナトリウム、クエン酸二水素ナトリウム、クエン酸二水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、リン酸水素二ナトリウム、およびリン酸水素二カリウム等が挙げられる。この中でも好ましくは塩化ナトリウムである。
水溶性無機塩の添加量は特に限定されないが、処理効率と生産効率の観点から、被処理物100質量部に対し、50~2000質量部用いることが好ましく、300~1000質量部用いることがより好ましい。また、上記水溶性無機塩は、単一種類でも複数種類を併用して用いてもよい。
【0062】
上記水溶性有機溶媒は、被処理物および水溶性無機塩を湿潤する働きをするものであり、水に溶解(混和)し、かつ用いる水溶性無機塩を実質的に溶解しないものを用いることが好ましい。
上記水溶性有機溶媒としては、例えば、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオール、モノアセチン、ジアセチン、トリアセチン、トリプロピオニン、トリブチリン、2-メチルペンタン-2,4-ジオール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、1,2,6-ヘキサントリオール、クエン酸トリエチル、およびクエン酸アセチルトリエチルが挙げられる。
水溶性有機溶剤の添加量は特に限定されないが、被処理物100質量部に対し、5~1000質量部用いることが好ましく、50~500質量部用いることがより好ましい。また、上記水溶性有機溶剤は、単一種類でも複数種類を併用して用いてもよい。
【0063】
前記混合物を均一にする際に使用する溶媒は、水溶性無機塩及び水溶性有機溶媒が溶解し易く、かつ、摩砕された難水溶性薬物が溶解し難い溶媒であって、かつ、生理学的に許容される溶媒であれば、特に限定されるものではない。当該溶媒としは、水が好ましいが、水以外の溶媒も使用することができる。水以外の溶媒として、例えば、酢酸、メタノール、エタノール等の有機溶媒を水との混合液が挙げられる。また、濾過方法は、特に限定されるものではなく、通常、有機化合物の含有物を濾過するために用いられる公知の方法で行うことができる。濾過方法として、例えば、減圧濾過法、加圧濾過法、限外濾過膜法等が挙げられる。水溶性無機塩及び水溶性有機溶媒を除去した後、乾燥処理を行うことにより、得られた被処理物から、塩等の除去に用いた溶媒を除去することができる。乾燥方法は、特に限定されるものではなく、通常、有機化合物を乾燥するために用いられる方法で行うことができる。乾燥方法として、例えば、減圧乾燥法、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、凍結噴霧乾燥法等が挙げられる。当該乾燥における乾燥温度や乾燥時間等は特に制限されるものではないが、被処理物の化学的安定性の保持及び粒子の二次凝集を防止するために、乾燥は低温で行うことが好ましく、凍結乾燥法、噴霧乾燥法、凍結噴霧乾燥法で行うことが好ましい。
【0064】
また、湿式摩砕粉砕処理物作製時の乾燥凝集を防ぐため、水性分散体を作製する際、水溶性無機塩及び水溶性有機溶媒を除去した後の含水状態の湿式摩砕処理物を用いて水性分散体を調製してもよい。
【0065】
<水性分散体中のピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径測定法>
水性分散体中の固体粒子の平均粒子径測定法としては、動的光散乱法、レーザー回析散乱法などの公知の手法により測定することができるが、本組成物では動的光散乱法での値を採用する。動的光散乱法による粒子径測定装置としては、Zetasizer Nano(商品名、Malvern社製)、MicrotracUPA(商品名、日機装株式会社製)等が挙げられる。上述したように、本組成物においては、ピペリン類を含む固体粒子の平均粒子径は500nm以下であることが望ましい。粒子の平均粒子径は、個数基準での累積粒度分布における累積50%となる粒子径(d50)であってよい。
【0066】
<食品、化粧料、医薬品及び医薬部外品>
本組成物は、食品、化粧料、医薬品および医薬部外品の素材として使用することができ、これらに含有させることができる。
【0067】
本組成物を配合する食品(飲食品)としては、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、コーヒー、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。
【0068】
これらの食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができる。例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L-アスコルビン酸、dl-α-トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。
【0069】
さらに、これらの食品には、例えば、抗酸化物質(還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、ルテイン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セサミン、リグナン類、カテキン、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス)、健康食品素材(V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、EPA、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、プロテイン、オクタコサノール、DHA、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、コンドロイチン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、オオバコ、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、EPA、DPA、甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ロイヤルゼリー、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、キトサン、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、セージ、ローズマリー、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、グルコサミン、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、スッポン、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、亜鉛、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、ローズマリー、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、トコトリエノール、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α-リポ酸、生コーヒー豆エキス)なども配合することができる。
【0070】
食品中の本組成物の含有割合は、適宜設定できるが、病気予防や健康維持の観点から、1~30質量%であることが好ましく、1~20質量%であることがより好ましい。
【0071】
本組成物を配合する化粧料の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、乳液、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
【0072】
また、上記化粧料には、本組成物の他に、本開示の効果を損なわない範囲で、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
【0073】
さらに、本組成物は、薬品(医薬品や医薬部外品を含む)の素材として添加することができ、例えば、液剤、ハップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤、外用液剤などの剤型を採用できる。当該薬品に本組成物以外に含むことができる原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、カオリン、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0074】
上記薬品、化粧料の投与量は、投与方法、病状、患者の年齢等によって変化し得るが、大人では、通常、1日当たり有効成分として0.5~5000mg、子供では通常0.5~3000mg程度投与することができる。上記薬品中の本組成物の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は0.3~15.0質量%、非経口投与による場合は、0.01~10質量%とすることができる。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与することが求められる場合もある。
【実施例0075】
以下、本開示を実施例に基づいて説明するが、本開示はこれによって限定されるものではない。なお、実施例中の「部」及び「%」とは、それぞれ「質量部」及び「質量%」を表す。
【0076】
[調製例]
<ピペリン類微細化固体粒子P-1の作製>
まず、固体粒子として、ピペリン類微細化固体粒子を作製した。具体的には、以下の材料をステンレス製1ガロンニーダー(井上製作所社製)に仕込み、50℃で8時間混練した。
・ピペリン類を含む被処理物
バイオペリン(商品名、サビンサジャパンコーポレーション社製):100質量部、
・水溶性無機塩
塩化ナトリウム:1000質量部、
・水溶性有機溶剤
ジアセチン:150質量部。
次に、この混練物を10リットルの水に投入し、1時間攪拌してスラリー状とし、濾過、水洗を繰り返して塩化ナトリウム及びジアセチンを除いた後、凍結乾燥を行い、湿式摩砕粉砕処理物である98質量部のピペリン類微細化固体粒子P-1を得た。得られたピペリン類微細化固体粒子P-1の平均一次粒子径は、230nmであった。
【0077】
なお、得られたピペリン類微細化固体粒子の平均一次粒子径は、透過型電子顕微鏡(日本電子社製、商品名:「JEM-1200EX」)を用い、10万倍での観察試料中の全粒子の一次粒子径を計測してその平均値を用いた。なお、粒子形状が球状でない場合は、長径と短径を計測し、(長径+短径)/2により求められる値を粒子径とした。
【0078】
<ピペリン類微細化固体粒子P-2~4の作製>
ピペリン類を含む被処理物の種類(商品名、生産社名等)、水溶性有機溶剤の種類/質量部、塩化ナトリウムの質量部、混練条件を下記表1に記載のものに変更した以外は、ピペリン類微細化固体粒子P-1の調製と同様の手法にて、ピペリン類微細化固体粒子P-2~4を作製した。各微細化固体粒子の透過型電子顕微鏡で測定した平均一次粒子径を表1に示す。
【0079】
【0080】
[実施例1]
<水性分散体組成物の作製>
以下の材料を混合し、超音波装置(ヤマト科学株式会社、商品名:「LUH150」)を用いて、超音波照射を2時間行い、水性分散体組成物S-1を得た。
・ピペリン類を含む固体粒子
バイオペリン(商品名、サビンサジャパン社製・ピペリン):5質量部、
・分散助剤
ポリグリセリン脂肪酸エステル(三菱ケミカル社製、商品名:リョートーポリグリエステルM-7D:5質量部、
・水性媒体
精製水:90質量部。
【0081】
<水性分散体組成物の沈降抑制評価、および平均粒子径による分散安定性評価>
作製した水性分散体組成物を、温度:25℃、相対湿度:60%RHの環境で7日間長期保管し、長期保管後に、目視により沈降がないか確認し、以下の評価基準に従い、沈降抑制の評価を行った。表2および3に評価結果を示す。
・沈降抑制の評価基準
A:目視にて沈降なし
B:やや沈降あり
C:沈降あり
また、上記長期保管前(初期)および後に、水性分散体組成物に含まれる分散粒子の粒子径(50%メジアン径)を測定して、水性分散体組成物の平均粒子径による分散安定性評価を行った。具体的には、長期保管前後の水性分散体組成物をそれぞれ、粒度分布測定装置(商品名:MicrotracUPA、日機装株式会社製)を用いて、当該組成物に含まれる分散粒子体の粒子径(50%メジアン径)を測定し、平均粒子径とした。表2および3に測定結果を示す。なお、長期保管前後の水性分散体組成物に含まれる分散粒子の平均粒子径の変化が少ないほど、当該組成物の分散安定性に優れていると言える。
【0082】
[実施例2]
分散装置を、上記超音波装置から、攪拌式ホモジナイザー(エムテクニック社製、商品名:「クレアミックスCLM-0.8S」)に変更して、ホモジナイズ処理を2時間行った以外は実施例1と同様にして、水性分散体組成物S-2を得た。
【0083】
[実施例3]
分散装置を、上記超音波装置から、高圧式ホモジナイザー(スギノマシン社製、商品名:「スターバーストミニ」)に変更して、100MPaの高圧ホモジナイズ処理を10回行った以外は実施例1と同様にして、水性分散体組成物S-3を得た。
【0084】
[実施例4]
分散装置を、上記超音波装置から、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いた、アイガーミル(アイガージャパン社製、商品名:「ミニモデルM-250 MKII」)に変更して3時間分散した後、孔径5.0μmのフィルタで濾過した以外は実施例1と同様にして、水性分散体組成物S-4を得た。
【0085】
[実施例5~31、比較例1、2]
ピペリン類を含む固体粒子、分散助剤の種類(商品名、生産社名等)および質量部を表2または表3に記載したものに変更した以外は、実施例4と同様の手法にて、水性分散体組成物S-5~S-33を作製した。なお、実施例24~31では、2種類の分散助剤を併用し、比較例1および2では、分散助剤を使用しなかった。
【0086】
【0087】
【0088】
表2および表3より、特定の分散助剤を使用することで、長期間にわたって、分散安定性を保持でき、かつ沈殿を抑制できることが分かった。また、分散助剤の中では、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、レシチン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、酵素処理物が特に良好な結果が得られた。また、ピペリン類を含む固体粒子に湿式摩砕粉砕処理を施すことで、より微細なピペリン類水性分散体の調製が可能であることが分かった。