(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024001800
(43)【公開日】2024-01-10
(54)【発明の名称】発光装置
(51)【国際特許分類】
H01L 33/62 20100101AFI20231227BHJP
【FI】
H01L33/62
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022100686
(22)【出願日】2022-06-22
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】下田 陽一
(72)【発明者】
【氏名】神原 大蔵
(72)【発明者】
【氏名】重枝 裕司
(72)【発明者】
【氏名】市川 幸治
(72)【発明者】
【氏名】石河 裕之
【テーマコード(参考)】
5F142
【Fターム(参考)】
5F142AA58
5F142AA86
5F142BA02
5F142BA24
5F142CA03
5F142CA14
5F142CC14
5F142CC16
5F142CC26
5F142CG03
5F142DA14
5F142DB24
5F142FA01
(57)【要約】 (修正有)
【課題】樹脂とリードフレームとの剥離が防止され、ダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置を提供する。
【解決手段】板状の複数のリード電極12A、12Bと、複数のリード電極の間隙を埋設しつつ前記複数のリード電極の外周全体を囲むように設けられ、複数のリード電極を露出する開口部を有する樹脂枠体と、開口部から露出する複数のリード電極上に実装された半導体発光素子と、を有している。枠体の角部及び/又は外側面は、内部においてリード電極の端部が枠体の外側面22A、22Bから後退した位置で露出している凹部23を有する。
【選択図】
図1B
【特許請求の範囲】
【請求項1】
板状の複数のリード電極と、
前記複数のリード電極の間隙を埋設しつつ前記複数のリード電極の外周全体を囲むように設けられ、前記複数のリード電極を露出する開口部を有する樹脂枠体と、
前記開口部から露出する前記複数のリード電極上に実装された半導体発光素子と、を有し、
前記枠体の角部及び/又は外側面は、内部において前記リード電極の端部が前記枠体の外側面から後退した位置で露出している凹部を有する、半導体発光装置。
【請求項2】
前記凹部内で露出している前記リード電極の前記端部は矩形形状を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項3】
前記凹部内で露出している前記リード電極の前記端部はアーク形状を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項4】
前記凹部は前記リード電極の厚さに相当する高さを有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項5】
前記樹脂枠体の裏面は、前記樹脂枠体の前記裏面よりも低い外周部を有する請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項6】
前記リード電極の芯材が腐食性金属であり、前記リード電極の表面層が耐食性金属である請求項1に記載の半導体発光装置。
【請求項7】
前記リード電極の芯材が銅(Cu)、アルミ(Al)、鉄(Fe)の何れか1つ以上を含む金属であり、前記リード電極の表面層が金(Au)、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)の何れか1つ以上を含む金属である請求項6に記載の半導体発光装置。
【請求項8】
前記樹脂枠体は、前記凹部内で露出している前記リード電極の前記端部を前記樹脂枠体の外側面から隔てる区画壁を有する請求項1乃至6のいずれか一項に記載の半導体発光装置
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発光装置、特にリードフレームに発光ダイオード(LED)などの半導体発光素子が実装された発光装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、インサート成形によって樹脂体をリードフレームに設け、ダイサーで切断して形成される発光装置が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、切り欠き部を設けたリードフレームに樹脂成形体を形成し、切り欠き部に沿って樹脂成形体とリードフレームとを切断して発光装置を形成する方法が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、発光素子と第1及び第2のリードとを一体成形してなる第1の樹脂成形体と、発光素子を被覆する蛍光体を含有する第2の樹脂成形体と有する表面実装型発光装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010-62272号公報
【特許文献2】特開2006-156704号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、一体成形された樹脂及びリードフレームの切断によって、樹脂とリードフレームとの剥離、ダイシェア強度の低下、断線不良等の問題があった。
【0007】
本発明は上記した点に鑑みてなされたものであり、樹脂とリードフレームとの剥離が防止され、ダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の1実施形態による発光装置は、
板状の複数のリード電極と、
前記複数のリード電極の間隙を埋設しつつ前記複数のリード電極の外周全体を囲むように設けられ、前記複数のリード電極を露出する開口部を有する樹脂枠体と、
前記開口部から露出する前記複数のリード電極上に実装された半導体発光素子と、を有し、
前記枠体の角部及び/又は外側面は、内部において前記リード電極の端部が前記枠体の外側面から後退した位置で露出している凹部を有する、半導体発光装置。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1A】本発明の第1の実施形態による発光装置10の要部を示した概念図であり、上面側から見たときの斜視図である。
【
図1B】本発明の第1の実施形態による発光装置10の要部を示した概念図であり、下面側から見たときの斜視図である。
【
図3】被覆部材35を充填する前の発光装置10の上面を示す図である。
【
図4】発光装置10の裏面(回路基板への実装面)を示す図である。
【
図5】凹部23を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図6】回路基板40の配線41上に発光装置10をはんだ45を用いて実装したときのはんだ接合部を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図7】本実施形態の改変例であるアーク状(扇状)の凹部23を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【
図8】発光装置10の製造方法を示すフローチャートである。
【
図9A】発光装置10の製造工程S1及びS2を示す上面図である。
【
図9B】発光装置10の製造工程S3を示す上面図である。
【
図9C】発光装置10の製造工程S4を示す上面図である。
【
図9D】発光装置10の製造工程S5を示す上面図である。
【
図9E】発光装置10の製造工程S6及びS7を示す上面図である。
【
図9F】発光装置10の製造工程S8を示す上面図である。
【
図9G】発光装置10の製造工程S9を示す上面図である。
【
図10A】リードフレーム12の交点部Xを拡大して示す模式的な上面図である。
【
図10B】工程S4及び工程S5における交点部Xの断面を示す断面図である。
【
図10C】アーク状の凹部23を形成する場合のリードフレーム12の除去領域RCを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下においては、本発明の好適な実施形態について説明するが、適宜改変し、組合せてもよい。また、以下の説明及び添付図面において、実質的に同一又は等価な部分には同一の参照符を付して説明する。
[第1の実施形態]
図1A及び
図1Bは、本発明の第1の実施形態による発光装置10の要部を示した概念図であり、それぞれ上面側及び下面側から見たときの斜視図である。発光装置10は、複数のリード電極(以下、単にリードともいう。)及び樹脂枠体22を有している。以下においては、発光装置10が2つのリード12A、12Bを有する場合について説明するが、発光装置10は3つ以上のリードを有していてもよい。
【0011】
図1Aに示すように、樹脂枠体22には内部に発光素子が搭載された開口部25が設けられ、当該開口部25は被覆部材35によって充填されている。
【0012】
図1Bに示すように、発光装置10の裏面側の四隅には、リード12A及び12Bの角部が内部で露出する凹部23が設けられている。
【0013】
図2Aは発光装置10の上面を示す図であり、
図2Bは
図2Aに示すA-A線に沿った断面図である。また、
図2Cは
図2Aに示す方向Bから見たときの側面図である。また、
図3は被覆部材35を充填する前の発光装置10の上面を示す図であり、
図4は発光装置10の裏面(回路基板への実装面)を示す図である。
【0014】
(1)樹脂枠体及びリード
発光装置10は、板状のリード12A(第1電極)及びリード12B(第2電極)を有している。リード12A及びリード12Bのコア材(芯材)は、良エッチング性(腐食性)の金属である銅(Cu)からなり、表面には耐食性の金属であるニッケル/金(Ni/Au)がめっきされている。
【0015】
リード12A及びリード12Bのコア材としては、腐食性の金属であるアルミニウム(Al)、鉄-ニッケル-コバルト(Fe-Ni-Co)等の鉄合金などを用いることができる。
【0016】
また、リード12A及びリード12Bの表面には、プラチナ(Pt)、パラジウム(Pd)、ロジウム(Rh)等の耐食性の金属を用いることができる。
【0017】
本明細書において、リード12A及び12Bからなるリード対12(以下、発光装置10のリードフレーム12ともいう。)は略同一面上に、リード12A及び12B間の間隙(スリット)12Gによって互いに離間して形成されている。なお、以下において、リード12A及びリード12Bを特に区別しない場合は、単にリードと称する。
【0018】
リード12A及び12Bに樹脂枠体22がインサート成形され、樹脂枠体22がリード間の間隙を埋設しつつリードの外周全体を囲むように設けられ、樹脂パッケージとして形成されている。すなわち、樹脂枠体22の外側面及び当該外側面と略同一面において、リードは露出していない。
【0019】
樹脂枠体22は、例えば、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂に酸化チタン粒子を加えて形成されている(白樹脂)。あるいは、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂又はアクリル樹脂にカーボンブラックを加えて形成してもよい(黒樹脂)。
【0020】
図1A及び
図1Bに示すように、樹脂枠体22は矩形形状(矩形柱形状)を有し、互いに平行な2つの外側面22Aと、外側面22Aに垂直な2つの外側面22Bを有する。また、樹脂枠体22の裏面側の四隅には、リード12A及び12Bの角部が内部で露出する凹部23が設けられている。
【0021】
なお、
図2Cに示すように、リード12A及び12Bの角部を除く外側の縁部WSには薄肉部12Tが設けられている。また、
図4に示すように、リード12A及び12Bが対向する縁部WOには薄肉部12Tが設けられている。薄肉部12Tによってリード12A及び12Bの縁部は樹脂枠体22の樹脂によって覆われるので、ダイシング等の際に樹脂枠体22からリードが剥離することが防止される。
【0022】
かかる薄肉部12Tは、いわゆるハーフエッチングによって、リード12A及び12Bの厚さに対して、例えば50%程度の深さで削られて形成されている。
【0023】
(2)樹脂枠体の凹部
発光装置10は、発光装置10の裏面(すなわち、樹脂枠体22の裏面)が回路基板などの上に載置され、はんだ等を用いて実装される。
図1B及び
図4に示すように、樹脂枠体22の裏面側(実装面側)の四隅には凹部23が設けられている。
【0024】
また、上記したように、樹脂枠体22がリード間の間隙を埋設しつつリードの外周全体を囲むように設けられているが、凹部23の内部においてはリードの端部が露出している。
【0025】
(矩形状凹部)
図5は、凹部23を拡大して示す部分拡大斜視図である。凹部23において、樹脂枠体22は外側面22A及び22Bから窪んでおり、凹部23内においてリード12Aの矩形形状の角部が露出している。なお、リード12Aの角部が露出している凹部23について説明するが、リード12Bの角部が露出している凹部23の場合も同様である。
【0026】
具体的には、凹部23内において、リード12Aの角部の端面12Eが樹脂枠体22の外側面22A及び22Bよりも内側に後退した位置にあるように形成されている。すなわち、樹脂枠体22は凹部23内において、矩形状(L字形状)の底面22Hを有し、リード12Aの端面12Eは外側面22A及び22Bから間隔LSだけ内側に後退した位置にある(
図4)。
【0027】
また、リード12Aの当該角部の両側には樹脂枠体22の区画壁であるフィレットガード22Gが形成されている。樹脂枠体22のフィレットガード22G及び底面22Hによって凹部23内にはんだフィレットを収容する矩形状の空間が画定されている。すなわち、凹部23は、はんだフィレットを収容する矩形状の収容部として機能する。
【0028】
後述するように、底面22Hは、リード12Aのエッチングによって形成される場合、底面22H及びフィレットガード22Gの深さ(高さ)はリード12Aの厚さと略同一である。
【0029】
なお、リードフレーム12のコア材12Cのエッチングによって凹部23が形成され、当該エッチングのためにリードフレーム表面層(メッキ層)のフライス加工などが併用される場合、
図4及び
図5に示すように、樹脂枠体22の裏面22Rの外周部22R1は、当該加工によって僅かに裏面22Rよりも低く、裏面22Rに対して段差22Sを有するように形成されている。
【0030】
この場合、発光装置10の樹脂枠体22の外側面の下端にバリがあった場合であっても、発光装置10が回路基板から浮かないように実装することができる。したがって、ダイシェア強度が高く、かつ放熱性及び信頼性を損なうことの無い実装が可能である。
【0031】
また、発光装置10と同等なサイズの配線パターン上に実装する際に、配線パターン周縁にバリがあった場合であっても発光装置10が傾くことが防止され、光軸ずれを防止することができる。
【0032】
なお、樹脂枠体22の裏面22Rは段差22Sを有さず、平坦な面であってもよい。例えば、段差22Sが生じないようにリードフレーム12の表面層(メッキ層)だけをマイクロフライス等で除去することによって凹部23を形成してもよい。
【0033】
図6は、回路基板40の配線(ランド)41上に発光装置10をはんだ45を用いて実装したときのはんだ接合部を拡大して示す部分拡大斜視図である。
【0034】
はんだ45のフィレットは、凹部23内に形成されるので、発光装置10と同程度の大きさの配線上への実装においてもダイシェア強度を高く保つことができる。
【0035】
(アーク状凹部)
図7は、本実施形態の改変例である凹部23を拡大して示す部分拡大斜視図である。本改変例においては、アーク状(扇状)の凹部23が形成されている。
【0036】
より詳細には、凹部23内において、樹脂枠体22の底面22Hはアーク形状(又は四分円形状)を有し、リード12Aの端部の端面(側面)12Eは円柱側面の形状を有している。
【0037】
また、リード12Aの当該端部の両側には樹脂枠体22から延在して突出した区画壁であるフィレットガード22Gが形成されている。樹脂枠体22のフィレットガード22G及び底面22Hによって凹部23内にはんだフィレットを収容する四分円柱状の空間が画定されている。すなわち、上記アーク状の凹部23は、はんだフィレットを収容する収容部として機能する。このような、突出したフィレットガード22Gは、はんだフィレットの一部をネッキングするように挟み込むのでダイシェア強度を高くできる。
【0038】
上記矩形状の凹部23の場合と同様に、はんだ45のフィレットは、凹部23内に形成されるので、発光装置10と同程度の大きさの配線上への実装においてもダイシェア強度を高く保つことができる。
【0039】
なお、上記においては、樹脂枠体22の凹部23が矩形状及びアーク状の凹部である場合について説明したが、凹部23は、内部にリードの端面が露出し、当該リード端面に接続されるはんだフィレットを収容する空間を有するように形成されていればよい。
【0040】
また、凹部23が発光装置10(すなわち樹脂枠体22)の角部に設けられた場合を例に説明したが、これに限らない。例えば、発光装置10の側部に設けられていてもよい。より詳細には、
図4を参照して説明すると、リード12A又は12Bの隣接するリードとの接続部12AJ又は12BJの部分が矩形状(例えば、I字形状)の凹部23として形成されていてもよい。したがって、発光装置10の角部及び/又は側部に凹部23が設けられていてもよい。
【0041】
(3)発光装置の内部構造及び発光素子
図3に示すように、樹脂枠体22は、枠体の内側領域である開口部25(第1の開口部)を有し、リード12A及びリード12Bの表面の一部が開口部25から露出している。開口部25内には半導体発光素子(以下、単に発光素子という。)30が実装されている。
【0042】
本実施形態における発光素子30は、光源素子であるLED(Light Emitting Diode)31と、当該光源素子上に設けられた光学部材である蛍光体32とからなる。しかしながら、光源素子はレーザダイオード(LD)などであってもよい。また、当該光学部材は蛍光体に限定されない。また、光学部材が設けられていなくてもよい。
【0043】
より詳細には、例えば、リード12Aはアノード電極、リード12Bはカソード電極であり、リード12A上にLED31のp電極が接続されて載置され、LED31のn電極がリード12Bにボンディングワイヤで接続されている。
【0044】
また、LED31上には板状の蛍光体32が設けられている。あるいは、発光素子30はLED31上に設けられた透光体等の光学部材を有していてもよい。蛍光体としては、特に限定されないが、例えばYAG(イットリウムムアルミニウムガーネット)、LuAG(ルテチウムアルミニウムガーネット)、GYAG(ガドリニウムアルミニウムガーネット)、α、βサイアロン、SCASN、CASN、KFS等の各種蛍光体を適宜用いることができる。また、透光体等の光学部材を有する場合は、LED31の上面(出光面)にカドミウムセレン系(CdSn系)、インジウムリン系(InP系)またはインジウムナイトライド系(InN系)等のナノ粒子光変換部材を配置することもできる。特に、LED31の上面から百数十nm以内にナノ粒子光変換部材を配置すると、量子的にカップリングして光変換効率が向上するので好ましい。
【0045】
さらに、開口部25から露出するリード12B上にはツェナーダイオードである保護素子33が接合されて実装されている。保護素子33の他方の電極がボンディングワイヤによってリード12Aに接続されている。
【0046】
なお、保護素子33としてバリスタ等を用いることができる。また、キャパシタ、抵抗、受光素子等の受動素子が設けられていてもよい。
【0047】
樹脂枠体22の開口部25は、封止樹脂又は被覆樹脂である被覆部材35によって発光素子30の周囲の空間が充填されている。なお、
図3においては、内部構造の説明のため、被覆部材35は図示されていない。そして、発光素子30の表面(すなわち、蛍光体32の表面)は被覆部材35から露出している。
【0048】
図3に示すように、樹脂枠体22は上面視において矩形形状を有し、枠体の内側領域である矩形柱形状の開口部25を有する。なお、開口部25は矩形柱形状に限らず、円柱形状、円錐台形状等の形状を有していてもよい。
【0049】
(4)発光装置の製造方法
以下に発光装置10の製造方法についてフローチャート及び図面を参照して詳細に説明する。
【0050】
図8は、発光装置10の製造方法を示すフローチャートである。また、
図9A~9Gは、各工程を示す上面図である。なお、
図9A,
図9B,
図9E~9Gは上面図、
図9C及び
図9Bは裏面図である。また、各図において、図の明確さのため、装置毎に分割する際の切断線CLを実線で、素子搭載部を点線で示している。
【0051】
(S1)型抜き工程
準備したリードフレーム12となる銅(Cu)板を金型で打ち抜いて打抜き部12Nを形成する(
図9A)。なお、打ち抜きの代わりに、レジストマスクを形成し、エッチングで型抜きをしてもよい。また、リードフレーム12の外縁部の肉薄部12Tを形成する場合、打ち抜き部12Nを形成する前に肉薄部12Tとなる部分が開口したレジストマスクを形成し、エッチングして肉薄化しておく。
【0052】
(S2)メッキ工程
電解メッキによってリードフレーム12の上面にニッケル(Ni)及び金(Au)をこの順でメッキする(Ni/Auメッキ)(
図9A)。
【0053】
(S3)枠体成形工程
続いて、インサート成形によって、リードフレーム12に熱硬化性樹脂の樹脂枠体22を形成する(
図9B)。樹脂枠体22は、樹脂枠体22の内側領域である開口部25を有し、リード12A及びリード12Bの表面の一部が開口部25から露出している。
【0054】
(S4)メッキ除去工程
図10Aは、リードフレーム12の切断線CLの交点部X(
図9C、9Dを参照)を拡大して示す模式的な上面図であり、
図10Bは、工程S4及び工程S5における交点部Xの断面を示す断面図である。
【0055】
まず、ダイシング(矩形歯)によって、切断線CLに沿って一定の幅(メッキ除去部RB)でリードフレーム12の表面のメッキ層12Pを除去する(
図10B、上段)。メッキ除去部RBにはコア材12C(Cu)が露出する(
図9C)。
【0056】
なお、この際、樹脂枠体22の裏面22Rの外周部22R1も削られ、僅かに裏面22Rよりも低い段差22Sが形成される(
図5を参照)。
【0057】
なお、ダイシングに限らず、フライス加工等によってメッキ層12Pを除去してもよい。
【0058】
(S5)リードフレーム除去工程
続いて、エッチング溶液を用い、メッキ除去部のリードフレーム12のコア材12C(Cu)をエッチングする(
図10B、中段)。
【0059】
次に、エアーブラストによって樹脂枠体22側のメッキ層12Pを除去する(
図10B、下段)。除去手段としては、ウォータージェットブラスト等の方法もある。なお、樹脂枠体22側のメッキ層12Pを残すこともできる。その場合は、本工程をスキップすればよい。残したメッキ層12Pは、回路基板に発光装置10をはんだ付けする際に、はんだの誘引壁として機能する。
【0060】
交点部Xのリードフレーム12のエッチングによって樹脂枠体22の角部に矩形状の凹部23(
図5)が形成される(
図9D)。
【0061】
図10Cは、アーク状の凹部23を形成する場合の、リードフレーム12の除去領域RCを示している。リードフレーム12の交点部Xを円形に除去することで、リードの四隅の端面12Eが円柱側面の形状を有する凹部23(
図7)を形成することができる。
【0062】
(S6)素子実装工程
金錫(Au-Sn)クリームはんだを素子実装部に印刷する。次に、発光素子31、保護素子33をはんだ上にマウントする。
【0063】
リフロー(300℃加熱)を行って金錫はんだを溶融・固化して素子を実装する。
【0064】
金ワイヤを用いて発光素子31及び保護素子33のワイヤボンディングを行い、素子実装を行う(
図9E)。
【0065】
(S7)蛍光体板実装工程
透光性接着材であるシリコーン樹脂を発光素子31の出光面に塗布する。次に、蛍光体32を発光素子31上にマウントする。そして、180℃で仮硬化して蛍光体32を接着する(
図9E)。
【0066】
(S8)被覆部材充填工程
続いて、酸化チタン粒子を含有するシリコーン樹脂からなる被覆樹脂を樹脂枠体22の開口部25に充填し、150℃、3時間、加熱して樹脂を硬化して被覆部材35を形成する(
図9F)。
【0067】
(S9)個片化工程
最後に、ダイサーで素子単位毎に切断し、個片化する。以上の工程により、発光装置10が製造される(
図9G)。
【0068】
本発明によれば、リードフレーム除去工程(S5)において、エッチングによりリードフレーム12が切断されており、個片化工程(S9)においてはリードフレーム12を切断することはない。
【0069】
各発光装置に個片化する際にリードフレームを切断すると、リードフレームに掛かった切断応力によって樹脂枠体が剥離する場合があるが、本発明によれば、切断部分のリードフレーム12が予め除去されているので、リードフレーム12と樹脂枠体22が剥離することがない。したがって、ダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置を提供することができる。
【0070】
以上、詳細に説明したように、本発明によれば、枠体とリードフレームとの剥離が防止され、はんだ接合のダイシェア強度が高く、また断線不良等が生じ難い発光装置を提供することができる。
【符号の説明】
【0071】
10:発光装置
12:リードフレーム
12A,12B:リード
12E:リードの端面
22:樹脂枠体
22A,22B:外側面
22G:フィレットガード
22H:凹部の底面
22R:樹脂枠体22の裏面
22R1:裏面22Rの外周部
23:凹部
30:発光素子
31:LED
32:蛍光体
35:被覆部材
40:回路基板
45:はんだ
CL:切断線
RB:メッキ除去部