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特開2024-180004包装箱、ブランクシートおよび梱包体
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180004
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】包装箱、ブランクシートおよび梱包体
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/50 20060101AFI20241219BHJP
   B65D 5/60 20060101ALI20241219BHJP
   B65D 5/56 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65D5/50 C
B65D5/60 C
B65D5/56 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099402
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000122298
【氏名又は名称】王子ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】東川 一希
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA04
3E060BC02
3E060CC06
3E060CC18
3E060DA23
3E060EA02
(57)【要約】
【課題】袋体の袋口部を閉じた状態に保つことができ、袋体からの内容物の漏れ出しや溢れ出しを防ぐことができる包装箱を提供する。
【解決手段】紙製の包装箱2Aであって、筒状に形成された胴部10と、胴部10の上下の開口部に設けられた頂板20および底板30と、を備え、胴部10内に袋体3を収容可能である。頂板20には、袋体3の袋口部3aを差し込み可能、かつ、袋口部3aを閉じた状態で保持可能な第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが開口している。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒状に形成された胴部と、
前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、
前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、
前記胴部内に袋体を収容可能な紙製の包装箱であって、
前記頂板または前記胴部には、前記袋体の袋口部を差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で保持可能な固定部が開口または切り込まれていることを特徴とする包装箱。
【請求項2】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記固定部は、前記頂板または前記胴部の縁部に形成された窪み部であることを特徴とする包装箱。
【請求項3】
請求項2に記載の包装箱であって、
前記固定部には、
保持穴と、
前記頂板または前記胴部の縁部から前記保持穴まで延びている導入部と、が形成されており、
前記導入部は、前記保持穴に向かうに連れて幅が狭くなるように形成され、
前記保持穴は、前記導入部の前記保持穴側の端部よりも拡幅されていることを特徴とする包装箱。
【請求項4】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記頂板または前記胴部には、二つの前記固定部が開口しており、
前記袋口部を前記両固定部に差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で前記両固定部に保持可能であることを特徴とする包装箱。
【請求項5】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記頂板は、
前記胴部の上縁部に連設された内フラップおよび外フラップを備え、
前記内フラップの外面に前記外フラップが重ねられており、
前記固定部は、前記内フラップに形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項6】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記底板は、一枚の平板であり、
前記胴部は、前記底板の縁部に連続して立ち上げられた複数の壁体によって形成されており、
隣り合う前記壁体が連続していることを特徴とする包装箱。
【請求項7】
請求項1に記載の包装箱であって、
前記底板の内面には、防水処理が施されていることを特徴とする包装箱。
【請求項8】
請求項1に記載の包装箱であって、
ダブルフルートの段ボールによって形成されていることを特徴とする包装箱。
【請求項9】
筒状に形成された胴部と、
前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、
前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、
前記胴部内に袋体を収容可能な紙製の包装箱のブランクシートであって、
前記頂板または前記胴部には、前記袋体の袋口部を差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で保持可能な固定部が開口または切り込まれていることを特徴とするブランクシート。
【請求項10】
請求項1から請求項8のいずれか一項に記載の包装箱と、
前記包装箱に収容された袋体と、を備え、
前記袋体の袋口部が閉じられた状態で前記固定部に差し込まれていることを特徴とする梱包体。
【請求項11】
請求項10に記載の梱包体であって、
前記袋体が樹脂製であることを特徴とする梱包体。
【請求項12】
請求項10に記載の梱包体であって、
前記包装箱に吸水材が収容されていることを特徴とする梱包体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱、ブランクシートおよび梱包体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、生鮮食品や液体等の内容物を入れた袋体を、段ボール製の包装箱に収容する際には、袋体の袋口部を閉じて、袋口部を上向きにすることで、袋体から内容物が漏れないようにしている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2016-3025号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記した従来の梱包方法では、包装箱の搬送時に袋体が大きく揺れると、袋体の袋口部が下側に向いて、袋体から内容物(例えば、内容物に付着した結露水や内容物から染み出した水分を含む)が漏れ出す虞があり、内容物に粉体や粒状体が含まれている場合には内容物が溢れ出してしまう虞がある。
【0005】
本発明は、前記した問題を解決し、袋体の袋口部を閉じた状態に保つことができ、袋体からの内容物の漏れ出しや溢れ出しを防ぐことができる包装箱、ブランクシートおよび梱包体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、第一の発明は、紙製の包装箱であって、筒状に形成された胴部と、前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、前記胴部内に袋体を収容可能である。前記頂板または前記胴部には、前記袋体の袋口部を差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で保持可能な固定部が開口または切り込まれている。
なお、本発明における袋口部とは、袋体の袋口(開口)側の端部である。また、袋口部を閉じた状態とは、袋口部を絞った状態(捻じった状態を含む)である。また、本発明における袋体の形態は限定されるものではなく、筒体の底部を閉じて袋状に形成したものの他に、例えば、一枚のフィルムの四隅を束ねて袋状にしたものも含む。
【0007】
前記課題を解決するため、第二の発明は、前記包装箱を形成するためのブランクシートである。すなわち、第二の発明は、筒状に形成された胴部と、前記胴部の上側の開口部に設けられた頂板と、前記胴部の下側の開口部に設けられた底板と、を備え、前記胴部内に袋体を収容可能な紙製の包装箱のブランクシートである。前記頂板または前記胴部には、前記袋体の袋口部を差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で保持可能な固定部が開口または切り込まれている。
【0008】
前記課題を解決するため、第三の発明は、梱包体であって、第一発明の包装箱と、前記包装箱に収容された袋体と、を備え、前記袋体の袋口部が閉じられた状態で前記固定部に差し込まれている。
【0009】
本発明では、包装箱に袋体を収容する際に、袋体の袋口部を包装箱の固定部に差し込むことで、袋体の袋口部を包装箱に容易に固定できる。これにより、袋体の袋口部を閉じた状態に保つことができるため、袋体の袋口部からの内容物の漏れ出しや溢れ出しを防ぐことができる。
【0010】
また、本発明では、袋体の袋口部を絞って、包装箱の固定部に差し込むことで、袋体の袋口部を閉じた状態にすることができる。これにより、袋体の袋口部を結んだり、テープによって閉じたりしなくてもよいため、梱包作業の効率を高めることができる。
なお、袋口部を結んだり、テープによって閉じたりした場合でも、例えば、内容物が液体などの漏れ易いものである場合には、本発明によれば、更に袋口部を閉じた状態に維持できるため、袋体の封止に対して効果的である。
【0011】
本発明において、前記固定部の開口形状や切り込み形状は、スリットや穴など限定されるものではない。前記固定部が前記頂板または前記胴部の縁部に形成された窪み部である場合には、袋体の袋口部を固定部に差し込み易くなる。
【0012】
本発明において、前記固定部として、保持穴と、前記頂板または前記胴部の縁部から前記保持穴まで延びている導入部と、を形成した場合には、前記導入部は、前記保持穴に向かうに連れて幅が狭くなるように形成し、前記保持穴は、前記導入部の前記保持穴側の端部よりも拡幅することが好ましい。
このようにすると、固定部の導入部に袋体の袋口部を入り込ませ易くなるとともに、保持穴に嵌め込まれた袋口部が導入部側に抜け難くなる。
【0013】
本発明において、前記頂板または前記壁体に二つの前記固定部を開口させて、前記袋口部を前記両固定部に差し込み可能、かつ、前記袋口部を閉じた状態で前記両固定部に保持可能にすることが好ましい。
この構成では、一方の固定部に袋体の袋口部を差し込むとともに、袋体の袋口部を折り曲げて、袋体の袋口部の先端部を他方の固定部に差し込むことができる。これにより、袋体の袋口部は、折り曲げられた状態で、包装箱に固定されるため、袋体の袋口部からの内容物の漏れ出しや溢れ出しを確実に防ぐことができる。
【0014】
本発明において、包装箱は段ボール製でもよい。箱の型式は限定されるものではなく、A式やB式とすることができる。なお、包装箱が一般的なA式の段ボール箱である場合には、包装箱の製造コストを低減できる。
【0015】
本発明において、前記頂板が前記胴部の上縁部に連設された内フラップおよび外フラップを備え、前記内フラップの外面に前記外フラップが重ねられている場合には、前記固定部を前記内フラップに形成することが好ましい。
このようにすると、内フラップの外面に外フラップを重ねて頂板を閉じたときに、内フラップの固定部に差し込まれた袋口部が外フラップで覆われるため、包装箱の外観を良くすることができる。また、袋口部が外フラップに押さえられるため、固定部から袋口部が外れ難くなる。
【0016】
本発明において、前記底板が一枚の平板であり、前記胴部は、前記底板の縁部に連続して立ち上げられた複数の壁体を備えている場合には、隣り合う前記壁体を連続させることで、包装箱の底部の隅部に隙間が形成されないように構成することが好ましい。
このようにすると、保冷剤や氷によって袋体の表面に結露が生じても、包装箱の底部から水が漏れることを防ぐことができる。
なお、隣り合う前記壁体を連続させる構成としては、例えば、ブランクシートの状態において隣り合う壁体の間に中間壁を連設し、壁体を立ち上げたときに、中間壁が二つ折りに折り畳まれて、壁体の内面に重ねられる構成がある。
【0017】
本発明では、前記底板の内面に防水処理を施すことが好ましい。なお、頂板および胴部の内面にも防水処理を施すことが好ましい。
このようにすると、袋体の表面に結露が生じた場合でも、包装箱に水が染み込み難くなる。
【0018】
前記した包装箱をダブルフルートの段ボールによって形成した場合には、包装箱の保冷性および保温性を高めるとともに、包装箱の強度を高めることができる。
なお、シングルフルートの段ボールによって包装箱を形成した場合には、製造が容易になるとともに、紙の使用量を抑えることができる。
【0019】
前記した梱包体において、前記袋体が樹脂製である場合には、袋体から水分が染み出すことを防ぐことができる。
【0020】
前記した梱包体において、前記包装箱に吸水材を収容した場合には、袋体の表面に結露が生じた場合でも、吸水材が水を吸水するため、包装箱に水が染み込み難くなる。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、袋体の袋口部を包装箱の固定部に差し込むことで、袋口部を閉じた状態に保つことができるため、袋体の袋口部からの内容物の漏れ出しや溢れ出しを防ぐことができるとともに、梱包作業の効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】本発明の実施形態に係る包装箱を前方斜め上から見た斜視図である。
図2】本発明の実施形態に係る包装箱のブランクシートを示した図である。
図3】本発明の実施形態に係る包装箱において外フラップを開いた状態を示した斜視図である。
図4】本発明の実施形態に係る包装箱において外フラップを開いた状態を示した平面図である。
図5】本発明の実施形態に係る梱包体において、袋体の袋口部を第一固定部に差し込んだ状態を示した斜視図である。
図6】本発明の実施形態に係る梱包体において、袋体の袋口部を第一固定部および第二固定部に差し込んだ状態を示した斜視図である。
図7】本発明の実施形態に係る梱包体において、袋体の袋口部を第一固定部および第二固定部に差し込んだ状態を示した側断面図である。
図8】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、胴部に固定部を形成した構成の斜視図である。
図9】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第一変形例を示した平面図である。
図10】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第二変形例を示した平面図である。
図11】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第三変形例を示した平面図である。
図12】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第四変形例を示した平面図である。
図13】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第五変形例を示した平面図である。
図14】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第六変形例を示した平面図である。
図15】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第七変形例を示した平面図である。
図16】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第八変形例を示した平面図である。
図17】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、固定部の第九変形例を示した平面図である。
図18】本発明の実施形態に係る包装箱の変形例を示した図で、中間壁を備えている包装箱のブランクシートを示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
以下の説明において、前後左右方向とは、本実施形態の梱包体および包装箱を説明する上で便宜上設定したものであり、本発明の梱包体および包装箱の構成や使用状態を限定するものではない。
【0024】
本実施形態の梱包体1は、図7に示すように、段ボール製(紙製)の包装箱2A(図1参照)と、包装箱2Aに収容された袋体3と、を備えている。
本実施形態の袋体3は、筒体の底部を閉じて袋状に形成し、頂部に袋口部3aが形成されているが、袋体3の形態は限定されるものではなく、例えば、一枚のフィルムの四隅を束ねて袋状にしたものでもよい。
袋体3の材質は限定されるものではなく、樹脂製や紙製を用いることができ、環境負荷低減の観点から、ポリ乳酸(PLA),ポリグリコール酸(PGA),ポリブチレンサクシネート(PBS)などの生分解性樹脂を用いることや、内容物の鮮度保持の観点からガス透過速度および青果物の呼吸速度のバランスが調節された樹脂フィルムであるMAフィルム(例えば、住友ベークライト社製、Pプラス(登録商標))などを用いることが好ましい。
また、袋体3に収容される内容物も限定されるものではない。本実施形態では、ポリエチレンやポリプロピレン等の樹脂製の袋体3内に、内容物として野菜や果物等の生鮮食品と保冷剤とを収容した場合を一例として説明する。
袋体3の一端に袋口が開口している。以下の説明において、袋体3の袋口部3aとは、袋体3の袋口側の端部である。
【0025】
本実施形態の包装箱2Aは、図1に示すように、筒状の胴部10と、胴部10の上側の開口部に設けられた頂板20と、胴部10の下側の開口部に設けられた底板30と、を備えている。本実施形態の包装箱2Aは、シングルフルートの段ボールを用いたA式の段ボール箱である。
【0026】
本実施形態の包装箱2Aは、図2に示すように、段ボール製のシートを切り抜いたブランクシートS1を各折れ線において山折りまたは谷折りすることで形成される。図2に示すブランクシートS1は内面側が見えるように配置されている。
ブランクシートS1の折れ線は、ブランクシートS1の表面を線状に押し込んで形成された罫線(押罫)である。なお、罫線に断続的な切れ込みを形成してもよい。このようにすると、折れ線においてブランクシートS1を折り曲げ易くなる。
また、シートの表面のみを切断したハーフカットの切れ込みやシートを貫通した切れ込みを断続させて線状に形成することで折れ線を構成してもよい。
【0027】
胴部10は、図1に示すように、前後一対の壁体11,11と、左右一対の壁体12,12と、を備えている。本実施形態では、前後左右の四つの壁体11,12によって平面視で四角形の筒状の胴部10が形成されている。
【0028】
頂板20は、前後の壁体11,11の上縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された前後一対の内フラップ21,21と、左右の壁体12,12の上縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された左右一対の外フラップ22,22と、を備えている(図2参照)。頂板20は、両内フラップ21,21の上面に両外フラップ22,22を重ねることで形成されている。
【0029】
底板30は、前後の壁体11,11の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された前後一対の内フラップ31,31と、左右の壁体12,12の下縁部に折れ線を介してそれぞれ連設された左右一対の外フラップ32,32と、を備えている(図2参照)。底板30は、両内フラップ31,31の下面に両外フラップ32,32を重ねることで形成されている。
【0030】
本実施形態の包装箱2Aでは、図3に示すように、頂板20の前側の内フラップ21に第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが形成されている。第一固定部50Aおよび第二固定部60Aは、図6に示すように、袋体3の袋口部3aが差し込まれる部位である。
【0031】
第一固定部50Aは、図4に示すように、前側の内フラップ21の先端部(後縁部)に形成された窪み部である。本実施形態の第一固定部50Aは、内フラップ21の左右方向の中央部に形成されている。
【0032】
第一固定部50Aには、円形の保持穴53と、内フラップ21の先端縁部に形成された第一導入部51と、第一導入部51から保持穴53まで延びている第二導入部52と、が形成されている。
第一導入部51は、内フラップ21の先端縁部に形成された窪み部であり、左右の隅部は円弧状に湾曲している。
第二導入部52は、第一導入部51の底部の中央部から保持穴53まで延びている細長い開口部(シートを打ち抜いた状態の開口部)である。
【0033】
第一固定部50Aでは、第一導入部51の最大幅よりも第二導入部52の最大幅が狭くなっている。また、第二導入部52は、保持穴53に向かうに連れて幅が狭くなるように形成されている。また、保持穴53の内径は、第二導入部52の保持穴53側の端部(前側の端部)よりも拡幅されている。
【0034】
第二導入部52の幅は限定されるものではなく、図5に示すように、袋体3の袋口部3aを閉じた状態(絞った状態)で通過させることが可能な幅に設定されている。
保持穴53の大きさや形状は、袋体3の袋口部3aが閉じた状態で保持穴53に保持される大きさや形状であれば限定されるものではない。閉じた状態の袋口部3aを保持穴53に嵌め込むと、袋口部3aは閉じた状態に保たれる。
【0035】
第二固定部60Aは、図4に示すように、第一固定部50Aから離れた位置に形成されている。すなわち、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aは、互いに独立して設けられていて連通していない。
本実施形態の第二固定部60Aは、内フラップ21の左右方向の中央部であって、第一導入部51の保持穴53と内フラップ21の基端縁部との間に配置されている。すなわち、第二固定部60Aは、保持穴53に対して前側の壁体11側に間隔を空けて配置されている。なお、本実施形態では、第一固定部50Aの前側(第二導入部52の延長上)に第二固定部60Aを配置したが、第一固定部50Aの左右に第二固定部60Aを配置してもよい。
【0036】
図5に示すように、閉じた状態の袋口部3aの先端部を上向きにして第一固定部50Aの保持穴53に入り込ませた後に、図6に示すように、内フラップ21の外面側で袋口部3aを折り曲げて、袋口部3aの先端部を第二固定部60Aに差し込むことができる。
第二固定部60Aの大きさや形状は限定されるものではないが、袋口部3aの先端部を差し込み易いように設定されている。本実施形態では、第一固定部50Aの保持穴53の内径よりも第二固定部60Aの内径が大きく形成されている(図4参照)。これより、袋口部3aの先端部を第二固定部60Aに差し込み易くなっている。
【0037】
次に、梱包体1の組み立て方法について説明する。
まず、図2に示すブランクシートS1の各折れ線を折り曲げて、図1に示す包装箱2Aの胴部10および底板30を形成する。
続いて、図5に示すように、包装箱2Aの頂板20を開いた状態で、生鮮食品と保冷剤とが収容された袋体3を胴部10内に入れる。このとき、袋体3の袋口部3aを上向きにする。
【0038】
胴部10内に袋体3を入れた後に、壁体11に対して内フラップ21を折り曲げる。そして、袋体3の袋口部3aを絞り(必要に応じて捻じり)、その状態で袋口部3aを第一固定部50Aの第一導入部51、第二導入部52の順に差し込んでいき、袋口部3aを保持穴53に嵌め込む。これにより、袋口部3aは閉じた状態で第一固定部50Aに保持される。
【0039】
さらに、図6に示すように、内フラップ21の外面側で袋口部3aを折り曲げて、袋口部3aの先端部を外側から第二固定部60Aに差し込む。これにより、袋口部3aは、折り曲げられた状態で、包装箱2Aの内フラップ21に固定される。
そして、外フラップ22を閉じて、図7に示すように、内フラップ21の外面に外フラップ22を重ねる。このようにして、頂板20を形成して包装箱2Aの上側の開口部を閉じる。
【0040】
以上のような梱包体1では、図6に示すように、袋体3の袋口部3aを、包装箱2Aの第一固定部50Aおよび第二固定部60Aに差し込むことで、袋口部3aを包装箱2Aの頂板20に容易に固定できる。
これにより、袋体3の袋口部3aが上向きに閉じた状態に保たれるため、袋口部3aからの内容物(例えば、内容物に付着した結露水や内容物から染み出した水分を含む)の漏れ出しや溢れ出しを防ぐことができる。また、袋体3内の冷気が逃げ難くなる。
また、袋体3は樹脂製であり、遮水性を有しているため、袋体3から水分が染み出すことを防ぐことができる。
【0041】
本実施形態では、袋体3の袋口部3aを絞って、包装箱2Aの第一固定部50Aおよび第二固定部60Aに差し込むことで、袋口部3aを確実に閉じることができるため、梱包体1を梱包するときの作業効率を高めることができる。
なお、袋口部3aを結んだり、テープによって閉じたりした場合でも、更に袋口部3aが閉じた状態に維持されるため、これは、内容物が液体などの漏れ易いものである場合の袋体3の封止に対して効果的である。
【0042】
本実施形態の第一固定部50Aは、図4に示すように、内フラップ21の先端縁部に形成された窪み部であり、第一導入部51は第二導入部52よりも幅広であるとともに、第二導入部52は、保持穴53に向かうに連れて幅が狭くなっている。そのため、袋口部3aを第一固定部50Aに差し込み易い。
また、本実施形態では、保持穴53の内径が、第二導入部52の保持穴53側の端部よりも広く形成されているため、保持穴53に嵌め込まれた袋口部3aが第二導入部52側に抜け難い。
【0043】
本実施形態では、図7に示すように、内フラップ21の外面に外フラップ22を重ねて頂板20を閉じたときに、内フラップ21の外面側に配置された袋体3の袋口部3aが外フラップ22に覆われるため、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aから袋口部3aが外れ難くなるとともに、梱包体1の外観が良くなる。
【0044】
本実施形態の包装箱2Aは、図1に示すように、一般的なA式の段ボール箱であるため、製造コストを低減できる。さらに、包装箱2Aは、シングルフルートの段ボールによって形成されているため、製造が容易になるとともに、紙の使用量を抑えることができる。
【0045】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜に変更が可能である。
本実施形態の包装箱2Aでは、図2に示すように、頂板20の内フラップ21に第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが形成されているが、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aの位置は限定されるものではない。例えば、図8に示すように、胴部10の壁体11に第一固定部50Aおよび第二固定部60Aを形成してもよい。この構成では、第一固定部50Aは、壁体11の上縁部に形成された窪み部となる。なお、図8に示す包装箱2Bは、B式の段ボール箱である。
また、図8に示す包装箱2Bでは、第一固定部50Aは壁体11の上縁部に形成された窪み部であるが、第一固定部50Aや第二固定部60Aは、壁体11の中央部や下縁部側に形成してもよい。なお、内容物は下縁部側に収容されるため、固定部は上縁部側に設けた方が、内容物が漏れ難くなるため好ましい。
また、図示は省略するが、第一固定部50Aを頂板20(内フラップ21)に形成し、第二固定部60Aを胴部10に形成してもよい。あるいは、第二固定部60Aを内フラップ21と胴部10との角部に形成してもよい。
【0046】
本実施形態の第一固定部50Aおよび第二固定部60Aは、各種の段ボール箱の頂板20や胴部10を打ち抜くことで形成できる。また、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aを塞いでいる蓋板を内側または外側に折り返すことで、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aを開口させてもよい。
また、本実施形態では、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが段ボールシートを打ち抜くことで形成されているが、固定部の形成方法は限定されるものではない。例えば、複数の切れ込みを線状に形成したミシン目などを設けて、作業者がミシン目を切り開くことで固定部を形成してもよいし、固定部の内部を折り込む形で固定部を開口させてもよい。
【0047】
本実施形態の包装箱2Aは、図1に示すように、A式の段ボール箱であるが、本発明では、包装箱の型式は限定されるものではない。また、胴部10の形状も限定されるものではなく、四角形の筒状の他に、五角形、六角形または八角形などの多角形の筒状に形成してもよい。
【0048】
本実施形態では、図5および図6に示すように、第一固定部50A、第二固定部60Aの順に袋口部3aを差し込んでいたが、第二固定部60A、第一固定部50Aの順に袋口部3aを差し込んでもよい。
【0049】
また、包装箱2Aの内面に防水処理を施してもよい。このようにすると、袋体3の表面に結露が生じた場合でも、包装箱2Aに水が染み込み難くなる。
なお、包装箱2Aの底面に水等の液体が溜まり易いため、包装箱2Aの内面のうち、少なくとも底板30の内面に防水処理を施すことが好ましい。
防水処理としては、例えば、段ボールシートの内面にワックスや合成樹脂等の撥水剤や耐水剤を塗布する方法や、段ボールシートの内面に樹脂製のフィルムを設ける方法がある。
また、クラフト紙や吸水性ポリマー、エアレイド不織布(例えば、王子キノクロス社製、ハトシート(登録商標))等の吸水材を包装箱2Aに収容し、袋体3の結露による水を吸水材に吸水させることで、包装箱2Aに水が染み込み難くしてもよい。
【0050】
本実施形態の包装箱2Aは、シングルフルートの段ボールによって形成されているが、ダブルフルートの段ボールを用いた場合には、包装箱2Aの保冷性および保温性を高めるとともに、包装箱2Aの強度を高めることができる。
また、段ボールについては、Aフルート、Bフルート、Cフルート、Wフルート、Eフルートなどを特に制限なく使用することができ、3層段ボール(例えば、王子インターパック社製、ハイプルエース(登録商標))などを用いてもよい。ライナの坪量も特に制限されず、例えば、ライナ全体の坪量を70~550g/m2とすることができ、強度と加工性の観点から、100~500g/m2が好ましく、150~450g/m2がより好ましい。
また、中芯の坪量も特に制限されず、強度と加工性の観点から、120~200g/m2などを好適に使用することができる。また、薬剤で中芯を硬く強化した強化芯を使用してもよい。
また、本発明の包装箱に用いられる段ボールシートを製造する際には、ライナと中芯の接着に接着剤を用いるが、水濡れ、結露および湿気等により段ボール箱の強度が低下し難くなる観点から、耐水接着剤を使用することが好ましい。
さらに、本実施形態の包装箱2Aは段ボール製であるが、各種公知の板紙によって包装箱を形成してもよい。
【0051】
固定部の形態も限定されるものではない。本実施形態では、図4に示すように、第一固定部50Aは、内フラップ21の先端縁部に形成した窪み部であるが、第一固定部50Aは内フラップ21の基端縁部など他の縁部に形成した窪み部でもよい。
また、本実施形態では、図1に示すように、前側の内フラップ21に第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが形成されているが、後側の内フラップ21または両内フラップ21,21に第一固定部50Aおよび第二固定部60Aを形成してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、図4に示すように、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが内フラップ21に形成されているが、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aを外フラップ22に形成してもよい。
さらに、頂板20の構成は限定されるものではなく、例えば、頂板20が一枚の平板によって形成されている場合には、その平板に固定部を形成してもよい。
【0053】
本実施形態の第一固定部50Aには、第一導入部51、第二導入部52および保持穴53が形成されているが、本発明において固定部の形状は限定されるものではない。本実施形態では、段ボール製のシートを打ち抜くことで、第一固定部50Aを開口させているが、シートを線状に切り込むことで、スリット形状の固定部を形成してもよい。
【0054】
図9に示す第一固定部50Bのように、内フラップ21の先端縁部から保持穴53に向かうに連れて幅が狭くなっている導入部54と、保持穴53とによって固定部を形成してもよい。
また、図10に示す第一固定部50Cのように、一定の幅の導入部54と、保持穴53とによって、固定部をシンプルな形状に形成してもよい。
【0055】
また、図11に示すように、第一固定部50Dのように、固定部全体が一定の幅の直線状の開口部である場合には、内フラップ21の加工が容易になる。
また、図12に示すように、第一固定部50Dの左右両側に折れ線L1,L1を形成してもよい。折れ線L1は、第一固定部50Dの壁体11側の端部(前端部)から内フラップ21の先端縁部に亘って、内フラップ21の内面形成されたミシン目または罫線である。この構成では、第一固定部50Dの左右両側の部位を両折れ線L1,L1において折り曲げることで、第一固定部50Dに袋体の袋口部を差し込み易くなる。
【0056】
また、図13に示す第一固定部50Eのように、保持穴53の内周縁部に凹凸を形成してもよい。この構成では、保持穴53に嵌め込んだ袋体3の袋口部3aに、保持穴53の内周縁部の凹凸が引っ掛かるため、袋口部3aが保持穴53から抜け難くなる。なお、第一固定部50Eと同様に、第二固定部60Aの内周縁部に凹凸を形成してもよい。
【0057】
また、図14に示す第一固定部50Fのように、保持穴53内に複数の蓋板53aを設け、各蓋板53aを保持穴53の内周縁部に折れ線L2を介して連設してもよい。この構成では、袋体3の袋口部3aを保持穴53に差し込んだときに、各蓋板53aが折れ線L2において折れ曲がることで、保持穴53が開口する。そして、保持穴53に嵌め込んだ袋口部3aに、各蓋板53aが引っ掛かるため、袋口部3aが保持穴53から抜け難くなる。
【0058】
また、本実施形態では、図4に示すように、第一固定部50Aおよび第二固定部60Aが形成されているが、図15に示すように、第一固定部50Aのみを形成してもよい。また、図16に示すように、第二固定部60Aのみを形成してもよい。
なお、図16に示すように、第二固定部60Aのみを形成する場合は、第二固定部60Aに対して下側(内側)から袋口部3aを差し込んでもよいし、第二固定部60Aに対して上側(外側)から袋口部3aを差し込んでもよい。
【0059】
また、本実施形態では、図4に示すように、第二固定部60Aが穴形状に形成されているが、第二固定部60Aの配置や形状は限定されるものではない。例えば、第二固定部60Aを内フラップ21の左右の側部に配置してもよい。また、例えば、第一固定部50Aの左右の側方に第二固定部60Aを配置してもよい。
さらに、図17に示すように、第一固定部50Dと同様に、内フラップ21の先端縁部に形成した窪み部によって第二固定部60Bを形成してもよい。この構成でも、袋体の袋口部を第一固定部50Dおよび第二固定部60Bに差し込むことで、袋口部を上向きに折り曲げた状態で頂板20に固定できる。
【0060】
本発明を適用可能な包装箱の形状は限定されるものではなく、例えば、図18に示すブランクシートS2から組み立てられる包装箱のように、底板30が一枚の平板であり、底板30の縁部に立ち上げられる複数の壁体11,12によって胴部が形成されるように構成してもよい。図18に示すブランクシートS2では、隣り合う壁体11,12が中間壁13を介して連続している。
この構成では、各壁体11,12を底板30に対して立ち上げたときに、中間壁13が二つ折りに折り畳まれて、壁体11の内面に重ねられる。このような包装箱では、底部の隅部に隙間が形成されないため、袋体の表面に結露が生じた場合でも、包装箱の底部から水が漏れるのを防ぐことができる。
【符号の説明】
【0061】
1 梱包体
2A 包装箱(本実施形態)
2B 包装箱(変形例)
3 袋体
3a 袋口部
10 胴部
11 前後の壁体
12 左右の壁体
13 中間壁
20 頂板
21 内フラップ
22 外フラップ
30 底板
31 内フラップ
32 外フラップ
50A 第一固定部(本実施形態)
50B 第一固定部(変形例)
50C 第一固定部(変形例)
50D 第一固定部(変形例)
50E 第一固定部(変形例)
50F 第一固定部(変形例)
51 第一導入部
52 第二導入部
53 保持穴
53a 蓋板
54 導入部
60A 第二固定部(本実施形態)
60B 第二固定部(変形例)
S1 ブランクシート(本実施形態)
S2 ブランクシート(変形例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18