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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180007
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】免疫細胞の分化調節剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 33/242 20190101AFI20241219BHJP
   A61P 17/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 37/02 20060101ALI20241219BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20241219BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20241219BHJP
   A61Q 19/00 20060101ALI20241219BHJP
   C12N 5/0786 20100101ALN20241219BHJP
【FI】
A61K33/242
A61P17/00
A61P37/02
A61P43/00 111
A61K8/19
A61Q19/00
C12N5/0786
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099406
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】506298242
【氏名又は名称】ロイヤル化粧品株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】平川 修司
(72)【発明者】
【氏名】桃園 正
【テーマコード(参考)】
4B065
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4B065AA90X
4B065AC20
4B065BA30
4B065BB02
4B065CA44
4B065CA50
4C083AB191
4C083CC02
4C083EE12
4C083EE13
4C086AA01
4C086AA02
4C086HA01
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA63
4C086NA14
4C086ZA89
4C086ZC41
(57)【要約】
【課題】本発明は、金箔を含む免疫細胞の分化調節剤を提供することを目的とする。
【解決手段】金箔を含む、免疫細胞の分化調節剤。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金箔を含む、免疫細胞の分化調節剤。
【請求項2】
免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進する作用を有する、請求項1に記載の分化調節剤。
【請求項3】
表皮細胞のtp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子発現を抑制する、請求項1又は2に記載の分化調節剤。
【請求項4】
Nnt遺伝子の発現を促進する作用を有する、請求項1又は2に記載の分化調節剤。
【請求項5】
金箔を含む、tp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子の発現抑制剤。
【請求項6】
金箔を含む、Nnt遺伝子の発現促進剤。
【請求項7】
前記金箔の厚さが50~100,000nmである、請求項1に記載の分化調節剤、又は請求項5に記載の発現抑制剤、又は請求項6に記載の発現促進剤。
【請求項8】
前記金箔の含有量が0.001~0.3質量%である、請求項1に記載の分化調節剤、又は請求項5に記載の発現抑制剤、又は請求項6に記載の発現促進剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、金箔を含む免疫細胞の分化調節剤に関する。
【背景技術】
【0002】
免疫は、生体が体内の自己又は非自己を識別して非自己を排除するために行う細胞性及び体液性の生物学的反応の総称である。免疫系は、生命活動において非常に重要な生理的メカニズムであり、免疫細胞の分化は、免疫系の活性化や抑制に関与していることから、免疫細胞の分化調節剤が求められている。
以上のことから、免疫細胞の分化の調節や制御に関する種々の研究がなされてきた。非特許文献1では、マクロファージへの分化過程、マクロファージ前駆細胞等に関する知見が開示されている。非特許文献2では、T細胞の分化を制御する転写制御機構が解明されたことが開示されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】高橋 潔、“マクロファージの発生と分化”、日本リンパ網内系学会会誌、1997年、第37巻、3号、37~52ページ.
【非特許文献2】Kakugawa et al.,2017, CellReports19,1176-1188.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これまで金箔が、免疫細胞の分化を調節することは知られていない。本発明は、金箔を含む免疫細胞の分化調節剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らが鋭意検討した結果、金箔が、免疫細胞の分化を調節することを見出し、本発明を完成した。
【0006】
すなわち、本発明は以下のとおりである。
[1]
金箔を含む、免疫細胞の分化調節剤。
[2]
免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進する作用を有する、[1]に記載の分化調節剤。
[3]
表皮細胞のtp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子発現を抑制する、[1]又は[2]に記載の分化調節剤。
[4]
Nnt遺伝子の発現を促進する作用を有する、[1]~[3]のいずれかに記載の分化調節剤。
[5]
金箔を含む、tp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子の発現抑制剤。
[6]
金箔を含む、Nnt遺伝子の発現促進剤。
[7]
前記金箔の厚さが50~100,000nmである、[1]~[4]のいずれかに記載の分化調節剤、又は[5]に記載の発現抑制剤、又は[6]に記載の発現促進剤。
[8]
前記金箔の含有量が0.001~0.3質量%である、[1]~[4]及び[7]のいずれかに記載の分化調節剤、又は[5]若しくは[7]に記載の発現抑制剤、又は[6]若しくは[7]に記載の発現促進剤。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、金箔を含む免疫細胞の分化調節剤、tp53及びPomc遺伝子の発現抑制剤、及びNnt遺伝子の発現促進剤を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態(以下、「本実施形態」という)について、詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0009】
本実施形態は、金箔を含む、免疫細胞の分化調節剤(以下、単に「分化調節剤」ともいう。)に関する。免疫細胞の分化とは、特に限定されないが、例えば、免疫細胞が、マクロファージ、樹状細胞、好中球、T細胞、B細胞、NK細胞等へ変化することを意味する。この中でも、本実施形態の分化調節剤は、免疫細胞のマクロファージへの分化を調節することが好ましく、M1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化を調節することがより好ましい。
【0010】
本実施形態の分化調節剤に含まれる金箔は、免疫細胞のM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化を調節する作用を有していてもよい。分化を調節するとは、免疫細胞のM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化を促進すること又は抑制することが挙げられる。
【0011】
免疫細胞のM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化を促進するとは、本実施形態に係る分化調節剤を作用させない場合と比較して、本実施形態に係る分化調節剤を作用させた場合に、系全体に占めるM1マクロファージ又はM2マクロファージの割合が増えることをいう。
【0012】
免疫細胞のM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化を抑制するとは、本実施形態に係る分化調節剤を作用させない場合と比較して、本実施形態に係る分化調節剤を作用させた場合に、系全体に占めるM1マクロファージ又はM2マクロファージの割合が減少することをいう。
【0013】
本実施形態において、免疫細胞のM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化とは、特に限定されないが、例えば、未分化マクロファージがM1マクロファージ又はM2マクロファージへの分化すること、M1マクロファージがM2マクロファージに分極すること、M2マクロファージがM1マクロファージに分極すること、ランゲルハンス細胞等のマクロファージの一種がM2マクロファージに分化することを含む。
【0014】
免疫細胞のM2マクロファージへの分化は、INHBA若しくはFASLGの遺伝子発現の亢進、及び/又はEGR1若しくはBGL11Aの遺伝子発現の抑制を指標にすることができる。
【0015】
本実施形態の分化調節剤は、免疫細胞のM1マクロファージへの分化を抑制する作用を有すること、免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進する作用を有することが好ましい。
【0016】
本実施形態の分化調節剤は、表皮細胞のtp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子発現を抑制することが好ましい。tp53遺伝子は、アポトーシス制御抑制遺伝子であり、Pomc遺伝子は、Proopiomelanocortinをコードする遺伝子であり、Pomc遺伝子の転写産物は組織によって異なるプロセシングを受け、種々の神経ペプチドとして作用する。
【0017】
表皮細胞のtp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子発現の抑制は、金箔が免疫細胞の分化を調節することを介して効果が発揮されてもよく、金箔が免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進することを介して効果が発揮されてもよい。これは、免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進した結果、線維芽細胞、角化細胞、表皮細胞等を刺激するためである。
【0018】
本実施形態の金箔を含む分化調節剤は、tp53及びPomcからなる群から選択される1以上の遺伝子の発現抑制剤(以下、単に「発現抑制剤」ともいう。)としても使用できる。
【0019】
本実施形態の分化調節剤は、Nnt遺伝子の発現を促進することが好ましい。Nnt遺伝子は、メラノサイトのミトコンドリア内膜に局在してredoxバランス(抗酸化状態)の維持機能を担う酵素・Nicotinamide Nnucleotide Transhydrogenaseに関連する遺伝子である。
【0020】
Nnt遺伝子発現を促進することは、金箔が免疫細胞の分化を調節することを介して効果が発揮されてもよく、金箔が免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進することを介して効果が発揮されてもよい。これは、免疫細胞のM2マクロファージへの分化を促進した結果、メラノサイトを刺激するためである。
【0021】
すなわち、本実施形態の金箔を含む分化調節剤は、Nnt遺伝子の発現促進剤(以下、単に「発現促進剤」ともいう。)としても使用できる。
【0022】
本実施形態の分化調節剤がNnt遺伝子の発現を促進する作用は、H22等の酸化ストレス存在下において、より効果を発揮する傾向にある。
【0023】
金箔とは、金を叩いてごく薄く延ばし、箔状態にしたものをいう。金箔は、金のみで作られた「純金箔」であっても、銀、銅、プラチナ等との合金で作られた「合金箔」であってもよい。
【0024】
金箔の厚さについては特に限定されないが、50~100,000nmであることが好ましく、50~10,000nmであることがより好ましく、50~1,000nmであることがさらに好ましく、50~200nmであることがさらにより好ましく、100~120nmであることが特に好ましい。金箔の厚さが大きすぎると、単位面積あたりの重量が重くなり、コストが増加する傾向にある。金箔の厚さは、原料の重さ・比重と面積から算出することができる。
【0025】
金箔の製造方法は種々知られており(例えば、特開2016-202370号公報等)、当業者はこれらの方法を参照することによって金箔を容易に作成することができる。例えば、工業的にローラー等で圧延されて作成される工業箔等が挙げられる。また、手工業的な金箔の製造方法で作成される緑付金箔及び断切金箔等が挙げられる。本実施形態の分化調節剤、発現抑制剤、発現促進剤には、いずれの方法で作成された金箔を用いてもよいが、製造の容易性と品質面から断切金箔を用いることが好ましい。
【0026】
本実施形態の分化調節剤、発現抑制剤、発現促進剤に含まれる金箔の含有量は、特に限定されるものではないが、本発明の効果の観点から、0.001~0.3質量%であることが好ましく、0.005~0.2質量%であることがより好ましく、0.01~0.2質量%であることがさらに好ましい。
【0027】
本実施形態の分化調節剤、発現抑制剤、発現促進剤の形態としては、特に限定されないが、例えば、皮膚外用剤として用いることができる。皮膚外用剤としては、特に限定されないが、例えば、乳液、クリーム、化粧水、美容液、ジェル、パック、洗顔料、石鹸、メーキャップ化粧料等が挙げられる。
【0028】
本実施形態の分化調節剤、発現抑制剤、発現促進剤には、通常化粧料に用いられる、油剤、粉体(顔料、樹脂粒子)、界面活性剤、粘剤、樹脂、水系着色剤、防腐剤、香料、紫外線吸収剤、溶媒、天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分、ペプチド、ペプチド誘導体、アミノ酸類、消炎剤、多価アルコール等の保湿剤、塩類、酸化防止剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤等の成分を適宜配合することができる。
【0029】
油剤としては、通常化粧料に用いられる揮発性及び不揮発性の油剤、溶剤、並びに樹脂等が挙げられ、常温で液体、ペースト、固体のいずれであっても構わない。油剤の例としては、例えばイソステアリルアルコール、ラウリルアルコール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等の高級アルコール;イソステアリン酸、ウンデシレン酸、オレイン酸等の脂肪酸;イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ミリスチン酸ミリスチル、ラウリン酸ヘキシル、オレイン酸デシル、ミリスチン酸イソプロピル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、モノステアリン酸グリセリン、フタル酸ジエチル、モノステアリン酸エチレングリコール、オキシステアリン酸オクチル、リンゴ酸ジイソステアリル等のエステル類;流動パラフィン、パラフィン、ワセリン、スクワラン等の炭化水素;ラノリン、還元ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、キャンデリラロウ、セレシン、オゾケライト、マイクロクリスタリンワックス等のロウ;ポリエチレンワックス、エチレン・α-オレフィン・コオリゴマー、エチレンプロピレンポリマー等が挙げられる。
【0030】
粉体の例としては、赤色104号、赤色102号、赤色226号、赤色201号、赤色202号、黄色4号、黒色401号等の色素;青色1号アルミニウムレーキ、黄色4号アルミニウムレーキ、黄色5号アルミニウムレーキ、黄色203号バリウムレーキ等のレーキ色素;ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、ベンガラ、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料;酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料;タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料;雲母チタン等のパール顔料;硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩;シリカ、アルミナ等の無機粉体、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等が挙げられ、またこれらを従来公知の表面処理、例えば、N-アシル化リジン処理、アミノ酸処理、親水性高分子処理、油剤処理、シリコーン処理、金属石鹸処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等を施したものを使用することも可能である。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)に特に制限はない。粉体の大きさとしては、5nm~100μmの範囲に入るものが好ましく、さらに好ましくは10nm~25μmである。これらの粉体は単独で処理しても、混合物を形成し、それをまとめて処理しても構わない。また、混合物の色を肌色等に調整したものを処理することも可能である。さらに、微粒子酸化チタン、微粒子酸化亜鉛等の紫外線散乱成分を使用することで紫外線防御機能を有する処理粉体とすることも可能である。
【0031】
界面活性剤としては、例えばアニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、ノニオン性界面活性剤、両性界面活性剤を用いることができる。より詳しくは脂肪酸石鹸、α-アシルスルホン酸塩、N-アシルアミノ酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、スルホコハク酸塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等のアニオン性界面活性剤、塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム等のカチオン性界面活性剤、ラウリン酸アルカノールアミド、POE(ポリオキシエチレン、以下同じ)ソルビタン脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POE脂肪酸エステル、ポリエーテル変性シリコーン等のノニオン性界面活性剤、カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等の両性界面活性剤が挙げられる。また、サポニン、糖系界面活性剤等の天然系界面活性剤を用いることもできる。
【0032】
防腐剤としては、例えば安息香酸、安息香酸ナトリウム、ウンデシレン酸、サリチル酸、ソルビン酸又はその塩、デヒドロ酢酸又はその塩、パラオキシ安息香酸メチル(メチルパラベン)、パラオキシ安息香酸エチル(エチルパラベン)、パラオキシ安息香酸プロピル(プロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸イソプロピル(イソプロピルパラベン)、パラオキシ安息香酸ブチル(ブチルパラベン)、パラオキシ安息香酸イソブチル(イソブチルパラベン)、パラオキシ安息香酸ベンジル(ベンジルパラベン)等の有機酸及びその誘導体、イソプロピルメチルフェノール、グルコン酸クロルヘキシジン、クレゾール、チモール、パラクロロフェノール、フェニルエチルアルコール、フェニルフェノール、フェニルフェノールナトリウム、フェノキシエタノール、ペンチレングリコール、フェノキシジグリコール、フェノール、ベンジルアルコール等のフェノール類、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セチルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、塩化メチルベンゼトニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム、臭化アルキルイソキノリウム、臭化ドミフェノン等の4級アンモニウム塩、茶エキス、ヒノキチオール、リンゴエキス等の植物抽出液、クロラミンT、クロルヘキシジン、ジンクピリチオン等を挙げることができる。
【0033】
有機系紫外線吸収剤の例としては、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、パラジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン-5-硫酸、2,2’-ジヒドロキシ-4-メトキシベンゾフェノン、p-メトキシハイドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、パラアミノ安息香酸(以後、PABAと略す)、サリチル酸ホモメンチル、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3,3-ジフェニルアクリレート、オクチルジメチルPABA、サリチル酸オクチル、2-フェニル-ベンズイミダゾール-5-硫酸、サリチル酸トリエタノールアミン、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、2,4-ジヒドロキシベンゾフェニン、2,2’,4,4’-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’-ジヒドロキシ-4,4’-ジメトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4-N-オクトキシベンゾフェノン、4-イソプロピルジベンゾイルメタン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、4-(3,4-ジメトキシフェニルメチレン)-2,5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等が挙げられる。
【0034】
溶媒の例としては、精製水、環状シリコーン、エタノール、軽質流動イソパラフィン、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、次世代フロン等が挙げられる。
【0035】
天然系の植物抽出成分、海藻抽出成分、生薬成分の例としては、アシタバエキス、アボガドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、ハトムギ種子エキス、オオムギエキス、コヌカエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、ナンノクロロプシスオクラタエキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キウイエキス、キナエキス、キューカンバーエキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、サッカロミセスエキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セージエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、センチフォリオバラエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、ハスエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ユズエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
【0036】
ペプチド及びペプチド誘導体の例としては、カルノシン、アンセリン、ホモアンセリン、アラニルグルタミン、ジペプチド-2、ジペプチド-4、アセチルジペプチド-1セチル、酢酸ヘキサノイルジペプチド-3ノルロイシン、トリペプチド-1、トリペプチド-2、トリペプチド-3、トリペプチド-5、トリフルオロアセチルトリペプチド-2、パルミトイルトリペプチド-1、パルミトイルトリペプチド-5、パルミトイルトリペプチド-8、トリペプチド-10シトルリン、グルタチオン、カプロオイルテトラペプチド-3、アセチルテトラペプチド-2、アセチルテトラペプチド-5、アセチルテトラペプチド-9、アセチルテトラペプチド-11、アセチルテトラペプチド-15、パルミトイルテトラペプチド-7、ペンタペプチド-3、ペンタペプチド-18、パルミトイルペンタペプチド-4、ヘキサペプチド-2、ヘキサペプチド-3、ヘキサペプチド-9、ヘキサペプチド-10、ヘキサペプチド-33、アセチルヘキサペプチド-1、アセチルヘキサペプチド-8、アセチルグルタミニルヘプタペプチド-1、オクタペプチド-2、ノナペプチド-1、オリゴペプチド-6、オリゴペプチド-34、デカペプチド-2、デカペプチド-4、アセチルデカペプチド-3等を挙げることができる。
【0037】
消炎剤の例としては、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等を挙げることができる。
【0038】
水系着色剤の例としては、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色226号、カラメル、銅クロロフィル、クチナシ、ウコン、ベニバナ等天然由来の色素等を挙げることができる。
【0039】
多価アルコールとしては、化粧料の材料として汎用されている任意の成分を使用することができ、例えば、グリセリン、ジグリセリン、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、3-メチル-1,3-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、ポリグリセリンおよびその誘導体、ポリオキシエチレングリセリン(26E.O)、ソルビトールやキシリトール、トレハロース、イノシトール、マルチトール、ラクチトール、パラチニット、エリスリトール等の糖アルコール等を挙げることができる。
【0040】
本実施形態の皮膚外用剤は、粘度を調整するために、増粘剤を添加してもよい。増粘剤としては水溶性高分子を挙げることができる。水溶性高分子としては、外用剤用として一般に使用され得る、合成水溶性高分子、半合成水溶性高分子、天然水溶性高分子等が挙げられる。
【0041】
合成水溶性高分子としては、例えばアクリル酸メタクリル酸長鎖アルキル(炭素数10~30)共重合体、エチレンオキシド-プロピレンオキシドブロック共重合体、カルボキシビニルポリマー(カルボマー)、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリビニルメチルエーテル、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチレンオキシド等が挙げられる。これらの中でも使用性等の点から、アクリル酸メタクリル酸長鎖アルキル(炭素数10~30)共重合体(例えば、B.F.グッドリッチ社製の「PEMULEN TR-1」等)、カルボキシビニルポリマー(例えば、B.F.グッドリッチ社製の「カーボポール934」、「カーボポール940」、「カーボポール941」等)が好ましく用いられる。
【0042】
半合成水溶性高分子としては、例えばカルボキシメチルセルロースまたはその塩(例えば、ナトリウム塩、カリウム塩等)、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース系高分子;可溶性デンプン、カルキシメチルデンプン、メチルデンプン等のデンプン系水溶性高分子;アルギン酸プロピレングリコールエステル、アルギン酸塩等のアルギン酸系水溶性高分子;多糖類系水溶性誘導体等が挙げられる。
【0043】
天然水溶性高分子としては、例えばグアーガム、ローカストビンガム、クインスシード、カラギーナン、ガラクタン、アラビアガム、トラガカントガム、ペクチン、マンナン、デンプン、キサンタンガム、デキストラン、プルラン、サクシノグルカン、カードラン、ヒアルロン酸、ゼラチン、カゼイン、アルブミン、コラーゲン等が挙げられる。
【0044】
これら水溶性高分子は単独で用いてもよく、あるいは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0045】
本実施形態の分化調節剤、発現抑制剤、及び発現促進剤の製造方法としては、特に限定されず従来の製造方法を用いることができ、適宜、金箔を単独で又は混合した上で添加する方法を用いることができる。
【実施例0046】
以下、本実施の形態を実施例及び比較例によってさらに具体的に説明するが、本実施の形態はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、本実施の形態に用いられる測定方法は以下のとおりである。
【0047】
[実施例1]
[延金刺激したTHP-1細胞上清の調製と分化の調節]
(1)THP-1細胞(ヒト単球系白血病細胞株,No.JCRB0112、国立研究開発法人 医薬基盤・健康・栄養研究所)は、37℃/5%CO2の条件下でディッシュ及び培養メディウムを用いて継代維持培養した物を用いた。
(2)C1群(コントロール群)とC2群(延金群)を準備し、乾熱滅菌処理した延金(4cm角、厚さ50,000~100,000nm、川崎製箔所)を、C2群の6cmディッシュの底面にセットした。
(3)培養した細胞を5×106cell/mLになるよう培養メディウムを用いて調製し,ディッシュに5mLずつ播種した。
(4)4日間共培養後に細胞懸濁液を回収し、遠心分離後、得られた上清を小分けして-70℃凍結保管した。試験実施時に解凍後、培養メディウムで3倍希釈し実施例2以降の実験に用いた。
(5)遠心分離により得られた細胞ペレットのRNAを抽出した。
(6)抽出により得られたRNAの定量的遺伝子発現解析(RT-qPCR)を行い、M2マクロファージへの分化の指標として知られている遺伝子の発現変動について調べた。
[結果]
C2群では、C1群と比較して、TGF-βスーパーファミリーに分類されるINHBAの遺伝子が5.43倍に増加し、FASLGの遺伝子の発現が確認された。また、EGR1の遺伝子が0.5倍に減少し、BCL11Aの遺伝子も0.19倍に減少した。
これらの遺伝子発現の変動は、M2マクロファージへの分化の指標として知られている。
以上より、延金処理により、THP-1細胞のM2マクロファージへの分化が促進されたことが分かった。
【0048】
[実施例2]
[tp53遺伝子の発現抑制]
(1)37℃/5%CO2の条件下でディッシュ及び培養メディウムを用いて継代維持培養したHaCaT細胞(ヒト表皮角化細胞株,No.300493-SF、NPO法人プライメイト・アゴラ)を準備した。
(2)培養した各細胞を2×105cell/mLの細胞濃度で6cmディッシュに5mLずつ播種した。
(3)播種24時間後に接着を確認し、培養液を除去後に、THP-1細胞の培養上清及びTHP-1細胞に延金を作用させた培養上清(3倍希釈)を5mLずつ添加した。
(4)次いで、UV照射(50mJ/cm2)した上で24時間培養した。
(5)(4)での培養実施後、培地を抜いてPBSで洗浄し、得られた細胞ペレットをRNA抽出し、RT-qPCR解析に用いた。
[RT-qPCR解析]
(1)RNA抽出:得られた細胞ペレットにRNAiso plus(タカラバイオ株式会社)を用いて常法通りtotal RNAを抽出し、さらに液相でDNase処理し、RNeasy MinElute Cleanup Kit(QIAGEN)で精製した。
(2)RNA定量:得られたRNAの吸光度(230,260,280及び320nm)を吸光度計(Ultrospec 200,Pharmacia Biotech)で測定し、RNAの濃度算定及び定量を行った。
(3)RNA純度:A260/230比が1.5以上**並びにA260/280比が1.8以上**を基準とした。
**経済産業省化学物質安全対策、遺伝子解析を用いた発がん性等評価開発に関する調査報告書(平成29年3月)“定量PCR法による簡易肝発がん性予測法のためのプロトコルVer.2017.02.03”を参照
(4)逆転写反応(RT反応,cDNA合成):得られたtotal RNA,PrimeScript Reverse Transcriptase,Oligo dT primer及びdNTPを用いて逆転写反応を実施し、PCR反応の鋳型となるcDNAを作製した。
(5)PCR Primerの設計・作製:UV応答遺伝子であるtp53遺伝子、標準遺伝子(low-density lipoprotein receptor-related protein 10(LRP10))を対象とした。これらの遺伝子について、ヒト及びマウスゲノム情報データベース及びオンラインPrimer3を組み合わせたPrimer-BLAST プログラムを用い、特異性,melting temperature(Tm)、プライマー内/間相補性、産物サイズ条件を満たすprimerセット(センス及びアンチセンス)配列を設計した。それぞれの配列に基づき、各primerを作製した。
各primerセットを用いて下記のようにリアルタイムPCRを行い、増幅産物のDissociation curveがsingle peakであることを確認した。
(6)リアルタイム-PCR,qPCR:TB Green Premix Ex Taq,50×ROX,primerセットを用い、得られたcDNAをテンプレートにして、リアルタイムPCR装置(Mx 3000P,Agilent Technologies)で増幅させた既知量GAPDHフラグメントの増幅曲線より、それぞれのcDNA(mRNA)コピー数を算出した。p53遺伝子発現量について、標準遺伝子(LRP10)mRNA量に対する相対量として表し、それらの比較から発現亢進あるいは発現抑制を検討した。
[結果]
UV照射群において、THP-1細胞の培養上清を添加した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、p53遺伝子の発現量が、1.03倍であった。これはTHP-1細胞の培養上清を作用させない場合と比較して0.62倍であった。また、THP-1細胞に延金を作用させた培養上清を添加した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、p53遺伝子の発現量が0.82倍であった。これは、延金を作用させなかったTHP-1細胞の培養上清を添加した場合と比較して0.79倍であった。この結果より、金箔によるp53遺伝子の発現抑制が認められた。
【0049】
[実施例3]
[Pomc遺伝子の発現抑制]
(1)37℃/5%CO2の条件下でディッシュ及び培養メディウムを用いて継代維持培養したHaCaT細胞(ヒト表皮角化細胞株,No.300493-SF、NPO法人プライメイト・アゴラ)を準備した。
(2)培養した各細胞を2×105cell/mLの細胞濃度で6cmディッシュに5mLずつ播種した。
(3)播種24時間後に接着を確認し、培養液を除去後に、THP-1細胞の培養上清及びTHP-1細胞に延金を作用させた培養上清(3倍希釈)を5mLずつ添加し、24時間培養した。
(4)次いで、UV照射(50mJ/cm2)した上で、又は非UV照射で24時間培養した。
(5)(4)での培養実施後、培地を抜いてPBSで洗浄し、得られた細胞ペレットをRNA抽出し、RT-qPCR解析に用いた。
[RT-qPCR解析]
(5)PCR Primerの設計・作製において、Pomc遺伝子を対象にした以外は、実施例2と同様に解析した。
[結果]
・非UV照射
THP-1細胞の培養上清を添加し、非UV照射で培養した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Pomc遺伝子の発現量が、1.34倍であった。また、THP-1細胞に延金を作用させた培養上清を添加し、非UV照射下で培養した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Pomc遺伝子発現量が0.59倍であった。これは、THP-1細胞の培養上清を添加した場合と比較すると0.44倍であった。この結果より、金箔によるPomc遺伝子の強い発現抑制が認められた。
・UV照射
THP-1細胞の培養上清を添加し、UV照射した上で培養した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Pomc遺伝子の発現量が、7.50倍であった。一方、THP-1細胞に延金を作用させた培養上清を添加した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Pomc遺伝子発現量が3.25倍であった。これは、THP-1細胞の培養上清を添加した場合と比較すると0.43倍であった。この結果より、金箔によるPomc遺伝子の強い発現抑制が認められた。
【0050】
[実施例4]
[Nnt遺伝子の発現促進]
(1)37℃/5%CO2の条件下でディッシュ及び培養メディウムを用いて継代維持培養したB16F10細胞(マウスメラノーマ由来細胞株,No.RCB2630、NPO法人プライメイト・アゴラ)を準備した。
(2)培養した各細胞を2×105cell/mLの細胞濃度で6cmディッシュに5mLずつ播種した。
(3)播種24時間後に接着を確認し、培養液を除去後に、THP-1細胞の培養上清及びTHP-1細胞に延金を作用させた培養上清(3倍希釈)を5mLずつ添加した。
(4)次いで、B16F10細胞にH22(1mM)を処置し、24時間培養した。
(5)(4)での培養実施後、培地を抜いてPBSで洗浄し、得られた細胞ペレットをRNA抽出し、RT-qPCR解析に用いた。
[RT-qPCR解析]
(5)PCR Primerの設計・作製において、Nnt遺伝子を対象にした以外は、実施例2と同様に解析した。
[結果]
・H22存在下
THP-1細胞の培養上清を添加した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Nnt遺伝子の発現量が0.19倍であった。一方、THP-1細胞に延金を作用させた培養上清を添加した群では、標準遺伝子(LRP10)mRNA量と比較して、Nnt遺伝子の発現量が0.39倍であった。これはTHP-1細胞の培養上清を添加した群と比較して2.06倍であった。この結果より、金箔によるNnt遺伝子の発現促進(亢進)が認められた。