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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180009
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】液体吐出ヘッド及び液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/14 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B41J2/14 303
B41J2/14 603
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099408
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】324006865
【氏名又は名称】理想テクノロジーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】戸塚 貴之
(72)【発明者】
【氏名】深澤 正勝
【テーマコード(参考)】
2C057
【Fターム(参考)】
2C057AF65
2C057AG14
2C057AG45
2C057AG68
2C057BA05
2C057BA14
(57)【要約】
【課題】ベースプレートの破損を抑制できる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供すること。
【解決手段】実施形態の液体吐出ヘッドは、アクチュエータと、ベースプレートと、を備える。アクチュエータは、一方向に配置される複数の圧力室を有する。ベースプレートは、一面に前記アクチュエータが設けられるとともに、前記アクチュエータの長手方向に延びる、隅部が曲面の矩形状か、又は、前記長手方向の端部が曲面状の長孔が前記アクチュエータに並んで形成される。
【選択図】 図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方向に配置される複数の圧力室を有するアクチュエータと、
一面に前記アクチュエータが設けられるとともに、前記一面に開口し、前記アクチュエータの長手方向に延びる、隅部が曲面の矩形状か、又は、前記長手方向の端部が曲面状の長孔が前記アクチュエータに並んで形成されるベースプレートと、
を備える液体吐出ヘッド。
【請求項2】
前記長孔の短手方向の幅をWとしたときに、前記長孔の隅部の曲率半径Rは、
W×0.2±(W×0.2×0.25)≦R≦W×0.5±(W×0.5×0.25)
である、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項3】
前記アクチュエータは、前記圧力室と交互に前記一方向に配置される複数の空気室を有し、前記長手方向に直交する方向に並んで一対設けられ、
前記長孔は、前記一対のアクチュエータの間に設けられる、請求項1に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項4】
前記長孔は、前記一対のアクチュエータの間に液体を供給する供給口である、請求項3に記載の液体吐出ヘッド。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかに記載の液体吐出ヘッドを備える液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液体を吐出する液体吐出ヘッドは、高生産性が求められ、また、高速化や液滴量増加が必須となっている。例えば、液体吐出ヘッドとして、シェアモードシェアードウォール式のインクを吐出するインクジェットヘッドが知られている。このようなインクジェットヘッドは、大きな変位が取れるシェアモードを用い、圧電体で形成される圧力室の剛性も高いため、ハイパワーとなり、高粘度インクの吐出や大きな液滴の吐出に向いている。しかしながら、インクジェットヘッドは、同じ駆動柱を2つの圧力室で共有するため、同時に駆動できるのは1/3となる所謂3サイクル駆動がベースとなっている。
【0003】
また、インクジェットヘッドとして、圧電体に多数の溝を形成し、1本おきに、その出入口を感光性樹脂で塞ぎ、塞がれない溝を圧力室、塞いだ溝を空気室(ダミー室)として、独立駆動の構造例が知られている。
【0004】
このようなインクジェットヘッドのベースプレートにおいては、複数の穴を配列させたインク供給が主だった。生産性の高い高速印字を求められる昨今のプリンタ業界において、従来構造ではインク供給が追い付かないことが懸念されており、大容量かつ高速なインク供給が求められている。その手段として、インク供給穴の形状を長手方向に大きな長方形とすることも考えられる。しかしながら、長方形のインク供給穴とした場合、ベースプレートに外部から力が加わった場合、破損しやすいという問題点がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-189031号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明が解決しようとする課題は、ベースプレートの破損を抑制できる液体吐出ヘッド及び液体吐出装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の液体吐出ヘッドは、アクチュエータと、ベースプレートと、を備える。アクチュエータは、一方向に配置される複数の圧力室を有する。ベースプレートは、一面に前記アクチュエータが設けられるとともに、前記アクチュエータの長手方向に延びる、隅部が曲面の矩形状か、又は、前記長手方向の端部が曲面状の長孔が前記アクチュエータに並んで形成される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す斜視図。
図2】実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す分解斜視図。
図3】実施形態に係る液体吐出ヘッドの構成を示す下面図。
図4】実施形態に係る液体吐出ヘッドのヘッド本体及びマニフォールドユニットの構成を拡大して示す断面図。
図5】実施形態に係るヘッド本体の構成を一部省略して示す下面図。
図6】実施形態に係るヘッド本体のベースプレートの構成を示す斜視図。
図7】実施形態に係るベースプレートの構成を、図6中VII-VII線断面で示す斜視図。
図8】実施形態に係るヘッド本体の構成を一部省略して示す下面図。
図9】実施形態に係るベースプレートの一部を拡大して示す説明図。
図10】実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す説明図。
図11】比較例に係るベースプレートの一部を拡大して示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、実施形態に係る液体吐出ヘッド1及び液体吐出ヘッド1を用いた液体吐出装置2について、図1乃至図10を参照して説明する。図1は、実施形態に係る液体吐出ヘッド1の構成を示す斜視図である。図2は、液体吐出ヘッド1の構成を示す分解斜視図であり、図3は、液体吐出ヘッド1の構成を示す下面図である。
【0010】
図4は、液体吐出ヘッド1のヘッド本体11及びマニフォールドユニット12の構成を拡大して示す断面図である。図5は、ヘッド本体11の構成を、ノズルプレート114を省略して示す下面図である。図6は、ヘッド本体11のベースプレート111の構成を示すとともに、液体の流れを矢印で示す斜視図であり、図7は、ベースプレート111の構成を、図6中VII-VII線断面で示すとともに、液体の流れを矢印で示す斜視図である。図8は、ヘッド本体のノズルプレート114を省略して示すとともに、図5のベースプレート111とは、供給口1111の端部形状が異なる例を示す下面図である。図9は、ベースプレート111の供給口1111の隅部を拡大して示す説明図である。図10は、液体吐出ヘッド1を用いる液体吐出装置2の構成を示す説明図である。
【0011】
図1乃至図10中に互いに直交するX軸、Y軸、Z軸を示す。また、以下の説明において、X軸に沿った方向を第1方向Xとし、Y軸に沿った方向を第2方向Yとし、Z軸方向に沿った方向を第3方向Zとして説明する。また、各図において説明のため、適宜構成を拡大、縮小または省略して示している。
【0012】
液体吐出ヘッド1は、例えば、図10に示すインクジェット記録装置などの液体吐出装置2に設けられるインクジェットヘッドである。液体吐出ヘッド1は、液体吐出装置2に設けられた液体収容部としての供給タンク2132を含むヘッドユニット2130に設けられる。
【0013】
液体吐出ヘッド1は、供給タンク2132に貯留された液体としてのインクが供給される。なお、液体吐出ヘッド1は、インクを循環させない非循環型のヘッドであってもよく、また、インクを循環させる循環型のヘッドであってもよい。本実施形態において、液体吐出ヘッド1は、非循環型のヘッドの例を用いて説明する。
【0014】
図1乃至図3に示すように、液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11と、マニフォールドユニット12と、回路基板13と、を備える。例えば、液体吐出ヘッド1は、アクチュエータ113を一対有するヘッド本体11を二組有する、シェアモードシェアードウォール式サイドシュータ―型の4列一体構造ヘッドである。
【0015】
ヘッド本体11は、液体を吐出する。図1乃至図5、及び、図8に示すように、ヘッド本体11は、ベースプレート111と、枠体112と、アクチュエータ113と、ノズルプレート114と、マスクプレート115と、を備える。また、ヘッド本体11は、共通液室116を有する。本実施形態の例においては、一つのヘッド本体11がアクチュエータ113を2つ有する例を用いて説明する。なお、図5及び図8におけるヘッド本体11は、ノズルプレート114及びマスクプレート115が省略された状態である。
【0016】
図5乃至図8に示すように、ベースプレート111は、例えばセラミックス材料により矩形板状に形成される。ベースプレート111は、例えば、一方向(第1方向X)に長い矩形状に形成される。ベースプレート111は、単数の供給口1111と、単数又は複数の排出口1112と、を有する。図5及び図8に示すように、ベースプレート111には、一対のアクチュエータ113が設けられるとともに、アクチュエータ113を駆動するための配線パターンが形成される。供給口1111及び排出口1112は、ベースプレート111の両主面間を貫通する貫通孔である。例えば、供給口1111及び排出口1112は、切削加工により形成される。
【0017】
供給口1111は、例えば、共通液室116と対向する位置に単数設けられる。供給口1111は、アクチュエータ113の長手方向(第1方向X)に沿って延びる一方向に長い長孔である。供給口1111は、インクが供給され、そして、一対のアクチュエータ113の間に配置されることで、一対のアクチュエータ113の間に液体を供給する。図6に、供給口1111に供給されるインクの例を矢印で示し、図7に、供給口1111から共通液室116にインクが供給されるインクの流の例を矢印で示す。
【0018】
供給口1111は、例えば、隅部が所定の曲率半径Rで形成された一方向に長い長方形状の長孔か、又は、両端部が所定の曲率半径Rで形成された半円状の曲面状に形成され、幅が一様な長孔である。供給口1111の長手方向の長さは、例えば、アクチュエータ113の長手方向の幅(長さ)以上の長さか、又は、アクチュエータ113の長さよりも小さく、且つ、アクチュエータ113に形成された通常のインク吐出の際に駆動する圧力室1131が設けられる範囲と同程度の長さに設定される。
【0019】
供給口1111の短手方向の幅をWとしたときに、図9に示す供給口1111の隅部又は端部の曲面の曲率半径Rは、
W×0.2≦R≦W×0.5
に設定される。
【0020】
例えば、曲率半径RがR=W×0.5に設定された場合には、供給口1111は、図5に示すように、両端部が曲率半径Rの半円状の長孔となる。
【0021】
また、例えば、曲率半径RがR<W×0.5に設定された場合には、供給口1111は、図8に示すように、四隅(隅部)が曲面状の長方形状の長孔となる。
【0022】
なお、上述の曲率半径Rは、加工精度等を考慮した精度幅を含む。例えば、精度幅は、25%である。即ち、曲率半径Rは、精度幅を考慮すると、上記の式は、
W×0.2±(W×0.2×0.25)≦R≦W×0.5±(W×0.2×0.25)
となる。
【0023】
例えば、図5の供給口1111の例では、供給口1111の幅WがW=0.55mmである場合には、供給口1111の端部の曲面の曲率半径Rは、R=0.275mm±0.069mmとなる。
【0024】
なお、曲率半径Rの下限値(W×0.2±(W×0.2×0.25))は、例えば、供給口1111の隅部に加わる応力の緩和が可能であって、且つ、加工が可能な値である。また、曲率半径Rの上限値(W×0.5±(W×0.2×0.25))は、供給口1111の端部が半円状となる値であって、且つ、加工が可能な値である。なお、曲率半径Rが上限値よりも大きいと、供給口1111の端部の頂部が尖ることから、応力が集中する虞がある。
【0025】
排出口1112は、例えば、複数設けられる。排出口1112は、例えば、ベースプレート111の、各アクチュエータ113の長手方向の少なくとも一方の端部に隣接する位置に設けられる。図5に示す例では、排出口1112は、例えば、各アクチュエータ113の長手方向の両端にそれぞれ隣接して一つずつ設けられることで、ベースプレート111に4つ形成される。
【0026】
図5に示すように、枠体112は、ベースプレート111の一方の主面(一面)に接着剤等により固定される。枠体112は、ベースプレート111に設けられた供給口1111、複数の排出口1112、及び、アクチュエータ113を囲う。
【0027】
例えば、枠体112は、一方向(第1方向X)に長い矩形枠状に形成されることで、枠体112の長手方向に沿って一方向に長い開口を形成する。枠体112の開口には、一対のアクチュエータ113、供給口1111及び2つの排出口1112が配置される。
【0028】
アクチュエータ113は、一方向(第1方向X)に長い板状に形成される。一対のアクチュエータ113は、ベースプレート111の一方の主面に接着される。図5に示すように、一対のアクチュエータ113は供給口1111を挟んで、アクチュエータ113の長手方向と直交する短手方向(第2方向Y)に二列に並んでベースプレート111に設けられる。アクチュエータ113は、枠体112の開口内に配置され、ベースプレート111の主面に接着される。具体例として、アクチュエータ113は、一方向に長い矩形板状の二枚の圧電材料を、互いの分極方向が逆向きとなるように対向して接着することで形成される。ここで、圧電材料は、例えば、PZT(チタン酸ジルコン酸鉛)である。アクチュエータ113は、例えば熱硬化性を有するエポキシ系接着剤によってベースプレート111の一方の主面に接着される。
【0029】
アクチュエータ113は、例えば、長手方向(第1方向X)に等間隔に交互に配置された複数の圧力室1131及び複数の空気室1132を有する。アクチュエータ113は、ベースプレート111側とは反対の主面側に、アクチュエータ113の長手方向に複数の溝が形成され、これら複数の溝により複数の圧力室1131及び複数の空気室1132が形成される。換言すると、アクチュエータ113は、長手方向に等間隔に配置された、間に溝を形成する複数の壁1133を有する。複数の壁1133により形成される複数の溝は、一つ置きに隣り合う壁の間に感光性樹脂材料等で出入口を塞ぎ、空気室1132となるダミーを設ける。これにより、複数の圧力室1131と交互に配置される複数の空気室1132が形成される。このようなアクチュエータ113は、圧力室1131及び空気室1132を交互に配置することで、圧力室1131を隣接の駆動に関係なく独立して駆動させることができる。また、複数の壁1133は、駆動電圧が印加することで、圧力室1131の容積を変化させる駆動素子としての圧電体である。
【0030】
アクチュエータ113のベースプレート111とは反対側の面は、ノズルプレート114に接着される。また、アクチュエータ113は、複数の圧力室1131を駆動するための配線パターンが形成される。
【0031】
図2及び図3に示すように、ノズルプレート114は、板状に形成される。ノズルプレート114は、枠体112のベースプレート111とは反対側の主面に接着剤等により固定される。ノズルプレート114は、複数の圧力室1131と対向する位置に形成された複数のノズル1141を有する。本実施形態において、ノズルプレート114は、複数のノズル1141が一方向(第1方向X)に並ぶノズル列1142を二列有する。
【0032】
複数の圧力室1131と対向する複数のノズル1141は、液体吐出ヘッド1による印字等の動作時に、インクを噴射する穴である。
【0033】
マスクプレート115は、例えば、ノズルプレート114の外面側の主面、ノズルプレート114の外周側及び枠体112の外周面及びベースプレート111の外周面を覆う。また、マスクプレート115は、マニフォールドユニット12の後述する第1マニフォールド1213を覆う。
【0034】
図2及び図3に示すように、マスクプレート115は、一対のノズルプレート114の液体を吐出する複数のノズル1141により構成されるノズル列1142を露出させる一対の窓1151を有する。
【0035】
図5及び図8に示すように、共通液室116は、ベースプレート111、枠体112、アクチュエータ113及びノズルプレート114に形成されるインクが充填される空間である。共通液室116は、供給口1111と連通する。共通液室116は、一対のアクチュエータ113の周囲に設けられる。具体的には、共通液室116は、一対のアクチュエータ113の周囲に形成され、複数の圧力室1131のインクの出入口と連通する。また、共通液室116は、排出口1112と連通する。
【0036】
図1図2及び図4に示すように、マニフォールドユニット12は、マニフォールド121と、天板122と、インク供給管123と、インク排出管124と、ダンパー127と、を備える。なお、インク供給管123、インク排出管124の数は適宜設定できる。
【0037】
マニフォールド121は、板状又はブロック状に形成される。マニフォールド121は、ベースプレート111の供給口1111と連続し、液体供給流路を形成する供給路と、ベースプレート111の排出口1112と連続し、液体排出路を形成する排出路と、を形成する。なお、マニフォールド121は、例えば、一対のヘッド本体11に接続されることから、一対の供給路及び一対の排出路を有する。供給路及び排出路は、孔や溝によって形成されるインクの流路である。供給路は、インク供給管123及びベースプレート111の供給口1111を流体的に接続する。
【0038】
マニフォールド121の一方の主面は、ベースプレート111の主面に固定される。また、マニフォールド121は、ベースプレート111が固定される主面とは反対の主面に、天板122が固定される。また、マニフォールド121は、インク供給管123、インク排出管124が例えば、天板122を介して固定される。排出路は、例えば、インク排出管124及びベースプレート111の複数の排出口1112を流体的に接続する。
【0039】
マニフォールド121は、例えば、第1マニフォールド1213と、第2マニフォールド1214と、を備える。マニフォールド121は、第1マニフォールド1213及び第2マニフォールド1214が一体に組み立てられることで形成される。
【0040】
第1マニフォールド1213は、矩形板状に形成される。第1マニフォールド1213は、例えば、一対の供給路の一部及び一対の排出路の一部を構成する溝及び開口が形成される。供給路及び排出路の一部を構成する溝及び開口は、供給路及び排出路の形状や、他の流体流路の形状に基づいて、配置や大きさ等が適宜設定される。
【0041】
本実施形態において、第1マニフォールド1213には、例えば、図2に示すように、供給路の一部を形成する一対の第1開口12131と、排出路の一部を形成する一対の第2開口12132と、が形成される。
【0042】
第2マニフォールド1214は、矩形板状に形成される。第2マニフォールド1214は、例えば、一対の供給路の一部及び一対の排出路の一部を構成する溝及び開口が形成される。供給路及び排出路の一部を構成する溝及び開口は、供給路及び排出路の形状や、他の流体流路の形状に基づいて、配置や大きさ等が適宜設定される。
【0043】
本実施形態において、第2マニフォールド1214には、例えば、図2に示すように、供給路の一部を形成する一対の第3開口12141と、排出路の一部を形成する一対の第4開口12142と、が形成される。
【0044】
また、第2マニフォールド1214は、液体吐出ヘッド1を液体吐出装置2内に固定し、ヘッド本体11の位置を規定するデータムプレートを兼ねる。具体例として、図1及び図2に示すように、第2マニフォールド1214は、長手方向(第1方向X)の両端にそれぞれ形成される一対のフランジ部12147を有する。フランジ部12147には、液体吐出ヘッド1の固定及び位置合わせを行うデータム穴12148が形成される。
【0045】
このような第1マニフォールド1213及び第2マニフォールド1214は、一体に接合されることで、供給路、排出路を形成する。
【0046】
天板122は、マニフォールド121のベースプレート111が設けられる面とは反対の面、換言すると、第2マニフォールド1214の第1マニフォールド1213が設けられる面とは反対の面に設けられる。天板122は、インク供給管123及びインク排出管124のそれぞれをマニフォールド121の供給路及び排出路のそれぞれと連通させる開口を有する。
【0047】
インク供給管123は、供給路に接続される。インク排出管124は、排出路に接続される。本実施形態において液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11を一対備えることから、インク供給管123及びインク排出管124は、それぞれ一対設けられる。
【0048】
ダンパー127は、弾性変形可能な薄膜状、シート状又はシート状に形成される。図2及び図4に示すように、ダンパー127は、第2マニフォールド1214に形成された供給路の一部を形成する第3開口12141を覆う。ダンパー127は、供給路の圧力変動に応じて弾性変形する。ダンパー127は下面が供給路と対向する。例えば、ダンパー127は、ポリイミド製フィルムにより形成される。
【0049】
図1及び図2に示すように、回路基板13は、一端がベースプレート111の配線パターンを介してアクチュエータ113の配線パターンに連結される。回路基板13は、例えば、配線フィルムと、配線フィルムに搭載されたドライバICと、配線フィルムに実装されたプリント配線ベースプレートと、を備える。
【0050】
回路基板13は、ドライバICにより駆動電圧をアクチュエータの配線パターンに印加することでアクチュエータを駆動し、圧力室1131の容積を増減させて、ノズル1141から液滴を吐出させる。
【0051】
配線フィルムは、例えば、複数設けられる。配線フィルムは、例えば、ドライバICが実装されたCOF(Chip on Film)である。ドライバICは、配線フィルムを介して圧力室1131に形成された配線パターンに電気的に接続される。プリント配線ベースプレートは、各種電子部品やコネクタが搭載されたPWA(Printing Wiring Assembly)である。
【0052】
このように構成された液体吐出ヘッド1は、例えば、図10に示される液体吐出装置2の例であるインクジェット記録装置に、データムプレートを兼ねる第2マニフォールド1214を介して取り付けられる。以下、液体吐出装置2をインクジェット記録装置2として説明する。液体吐出ヘッド1は、インクジェット記録装置2に設けられた液体収容部としての供給タンク2132に接続される。液体吐出ヘッド1は、供給タンク2132との間でインクを循環させる循環型のヘッドか、又は、供給タンク2132からインクが供給され、そして、メンテナンス時にメンテナンス装置2117にインクを排出する非循環型のヘッドである。液体吐出ヘッド1は、ヘッド本体11のノズルプレート114のノズル1141が下方に向く姿勢で配置される。
【0053】
以下、液体吐出ヘッド1を有するインクジェット記録装置2について、図10を参照して説明する。インクジェット記録装置2は、筐体2111と、媒体供給部2112と、画像形成部2113と、媒体排出部2114と、支持装置である搬送装置2115と、メンテナンス装置2117と、制御部2118と、を備える。
【0054】
インクジェット記録装置2は、媒体供給部2112から画像形成部2113を通って媒体排出部2114に至る所定の搬送路2001に沿って、吐出対象物である記録媒体として例えば用紙Pを搬送しながらインク等の液体を吐出することで、用紙Pに画像形成処理を行うインクジェットプリンタである。
【0055】
媒体供給部2112は複数の給紙カセット21121を備える。画像形成部2113は、用紙を支持する支持部2120と、支持部2120の上方に対向配置された複数のヘッドユニット2130と、を備える。媒体排出部2114は、排紙トレイ21141を備える。
【0056】
支持部2120は、画像形成を行う所定領域にループ状に備えられる搬送ベルト21201と、搬送ベルト21201を裏側から支持する支持プレート21202と、搬送ベルト21201の裏側に備えられた複数のベルトローラ21203と、を備える。
【0057】
ヘッドユニット2130は、複数のインクジェットヘッドである液体吐出ヘッド1と、各液体吐出ヘッド1上にそれぞれ搭載された液体タンクとしての複数の供給タンク2132と、インクを供給するポンプ2134と、液体吐出ヘッド1と供給タンク2132とを接続する接続流路2135と、を備える。
【0058】
本実施形態において、液体吐出ヘッド1として例えば、シアン、マゼンダ、イエロー、ブラックの4色の液体吐出ヘッド1と、これらの各色のインクをそれぞれ収容する4色の供給タンク2132を備える。供給タンク2132は接続流路2135によって液体吐出ヘッド1に接続される。
【0059】
ポンプ2134は、例えば圧電ポンプで構成される送液ポンプである。ポンプ2134は、制御部2118に接続され、制御部2118により駆動制御される。
【0060】
接続流路2135は、液体吐出ヘッド1のインク供給管123に接続される供給流路を備える。また、接続流路2135は、液体吐出ヘッド1のインク排出管124に接続される回収流路を備える。例えば、液体吐出ヘッド1が非循環式であることから、回収回路は、メンテナンス装置2117に接続される。なお、例えば、液体吐出ヘッド1が循環式の場合には、回収流路は、供給タンク2132に接続される。
【0061】
搬送装置2115は、媒体供給部2112の給紙カセット21121から画像形成部2113を通って媒体排出部2114の排紙トレイ21141に至る搬送路2001に沿って、用紙Pを搬送する。搬送装置2115は、搬送路2001に沿って配置される複数のガイドプレート対21211~21218と、複数の搬送用ローラ21221~21228と、を備えている。搬送装置2115は、用紙Pを液体吐出ヘッド1に相対移動可能に支持する。
【0062】
メンテナンス装置2117は、例えば、メンテナンス時にノズルプレート114の外面に残存するインクを吸引し、回収する。また、液体吐出ヘッド1が非循環式である場合には、メンテナンス装置2117は、メンテナンス時に、ノズル1141からヘッド本体11内のインクを回収する。このようなメンテナンス装置2117は、回収したインクを貯留するトレイやタンク等を有する。
【0063】
制御部2118は、プロセッサの一例としてのCPU21181と、各種のプログラムなどを記憶するROM(Read Only Memory)、各種の可変データや画像データなどを一時的に記憶するRAM(Random Access Memory)等のメモリと、外部からのデータの入力及び外部へのデータの出力をするインターフェイス部と、を備える。
【0064】
このように構成された液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置2によれば、ベースプレート111の供給口1111を、隅部が曲面状の長方形状の長孔とするか、又は、端部が曲面状の長孔とした。これにより、供給口1111の隅部に応力が集中することを防止できる。即ち、図11に示す比較例のベースプレート111の供給口1115のように、隅部が曲面でない場合には、ベースプレート111の外部から力が印加された場合や、一方のアクチュエータ113が高温となり、ベースプレート111に部分的に高い温度が加わる場合等に、供給口1115の隅部に応力が集中し、ベースプレート111に割れ1116が生じる虞がある。これに対し、供給口1111の隅部が曲面状に形成されるか、又は、供給口1111の端部が半円状等の曲面状に形成されると、応力が緩和されることから、ベースプレート111に割れが生じることが抑制できる。
【0065】
また、供給口1111は、一方向に長い長孔であることから、大容量かつ高速なインクの供給が可能となる。
【0066】
以上、説明した実施形態に係る液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置2によれば、ベースプレート111の破損を抑制できる。
【0067】
なお、本発明の実施形態は上述した構成に限定されない。例えば、上述した例では、ヘッド本体11は、非循環式の例を説明したが循環式のヘッド本体であってもよい。
【0068】
また、上記実施形態において、液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置2は、液体としてのインクを吐出する記録装置に用いられる例を示したが、これに限られるものではない。即ち、液体吐出ヘッド1及び液体吐出装置2は、例えば3Dプリンタ、産業用の製造機械、医療用途にも用いることが可能である。
また、上記実施形態において、液体吐出ヘッド1のアクチュエータ113は、複数の圧力室1131と、圧力室1131と交互に配置される複数の空気室1132と、を有する構成を説明したがこれに限定されない。例えば、アクチュエータ113は、複数の空気室1132を有さない構成であってもよい。
【0069】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、液体吐出ヘッド及び液体吐出装置によれば、ベースプレートの破損を抑制できる。
【0070】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0071】
1…液体吐出ヘッド、2…液体吐出装置(インクジェット記録装置)、11…ヘッド本体、12…マニフォールドユニット、13…回路基板、111…ベースプレート、112…枠体、113…アクチュエータ、114…ノズルプレート、115…マスクプレート、116…共通液室、121…マニフォールド、122…天板、123…インク供給管、124…インク排出管、127…ダンパー、1111…供給口、1112…排出口、1131…圧力室、1132…空気室、1133…壁、1141…ノズル、1142…ノズル列、1151…窓、1213…第1マニフォールド、1214…第2マニフォールド、2001…搬送路、2111…筐体、2112…媒体供給部、2113…画像形成部、2114…媒体排出部、2115…搬送装置、2117…メンテナンス装置、2118…制御部、2120…支持部、2130…ヘッドユニット、2132…供給タンク、2134…ポンプ、2135…接続流路、12131…第1開口、12132…第2開口、12141…第3開口、12142…第4開口、12147…フランジ部、12148…データム穴、21121…給紙カセット、21141…排紙トレイ、21201…搬送ベルト、21202…支持プレート、21203…ベルトローラ、21211~21218…ガイドプレート対、21221~21228…搬送用ローラ。
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