(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180010
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】オイルレベル検出装置
(51)【国際特許分類】
F01M 11/12 20060101AFI20241219BHJP
F01M 1/16 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F01M11/12 Z
F01M1/16 G
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099409
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100087480
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 修平
(72)【発明者】
【氏名】内田 賢治
【テーマコード(参考)】
3G015
3G313
【Fターム(参考)】
3G015BL05
3G015BL07
3G015CA07
3G015FA02
3G015FB08
3G015FC12
3G015FE01
3G313EA13
3G313EA14
3G313FA10
(57)【要約】
【課題】油面の検出精度を向上させることが可能なオイルレベル検出装置を提供することを課題とする。
【解決手段】貯留部からオイルを吐出するオイルポンプと、前記貯留部における油面が所定の位置にあることを検出する検出部と、内燃機関の負荷状況に応じて、前記オイルポンプの吐出量を増加させる制御部と、を具備するオイルレベル検出装置。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯留部からオイルを吐出するオイルポンプと、
前記貯留部における油面が所定の位置にあることを検出する検出部と、
内燃機関の負荷状況に応じて、前記オイルポンプの吐出量を所定の量まで増加させる制御部と、を具備するオイルレベル検出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はオイルレベル検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
内燃機関のオイルレベルを検出する技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
オイルパンにオイルレベルスイッチを設ける。オイルレベルスイッチは、オイルの液面(油面)がある位置まで低下したことを検出する。オイルポンプの吐出量に応じて油面の位置は変化する。吐出量が減少することで、油面の位置が低下しにくくなる。オイルレベルスイッチによって、油面の低下を検出することが困難である。そこで、油面の検出精度を向上させることが可能なオイルレベル検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的は、貯留部からオイルを吐出するオイルポンプと、前記貯留部における油面が所定の位置にあることを検出する検出部と、内燃機関の負荷状況に応じて、前記オイルポンプの吐出量を所定の量まで増加させる制御部と、を具備するオイルレベル検出装置によって達成することができる。
【発明の効果】
【0006】
油面の検出精度を向上させることが可能なオイルレベル検出装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1(a)および
図1(b)は実施形態に係るオイルレベル検出装置を例示する模式図である。
【
図2】
図2(a)および
図2(b)は実施形態に係るオイルレベル検出装置を例示する模式図である。
【
図3】
図3は実施形態における処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本実施形態のオイルレベル検出装置について説明する。ただし、図面中、各部の寸法、比率等は、実際のものと完全に一致するようには図示されていない場合がある。また、図面によっては細部が省略されて描かれている場合もある。
【0009】
図1(a)から
図2(b)は実施形態に係るオイルレベル検出装置100を例示する模式図である。
図1(a)および
図2(a)は内燃機関が停止している状態であり、
図1(b)および
図2(b)は内燃機関が運転している状態である。
【0010】
図1(a)から
図2(b)に示すように、オイルレベル検出装置100は、オイルパン10(貯留部)、オイルレベルスイッチ12(検出部)、オイルポンプ14、およびECU(Electronic Control Unit)20(制御部)を有する。
【0011】
オイルパン10は例えば内燃機関のクランクケースに取り付けられている。オイルパン10にはオイル15が貯留されている。オイル15の液面が油面16である。
【0012】
図1(a)、
図1(b)、
図2(a)および
図2(b)における油面16の位置をそれぞれL1、L2、L3、およびL4とする。オイルパン10の底面を基準として、位置L2は位置L1より低い。位置L3は位置L1より高い。位置L4は位置L3より低く、位置L2より高い。
【0013】
オイルポンプ14にはオイル通路17が接続されている。オイル通路17の端部はオイル15に沈められている。オイルポンプ14は、オイルパン10からオイルを汲み上げる。オイルはオイル通路17を流れ、内燃機関の部品などに供給される。オイルは部品などからオイルパン10に落下し、再びオイルポンプ14によって汲み上げられる。オイルポンプ14は、オイルの吐出量を変化させることができる。
【0014】
オイルレベルスイッチ12は、オイルパン10の内部に設けられている。油面16がオイルレベルスイッチ12より上にある状態では、オイルレベルスイッチ12は警報を発しない。オイルレベルスイッチ12は、油面16がオイルレベルスイッチ12の位置になったことを検出し、警報を発する。回転数センサ18は内燃機関の回転数を検出する。
【0015】
ECU20は、オイルレベルスイッチ12、オイルポンプ14、および回転数センサ18に電気的に接続されている。ECU20は、オイルレベルスイッチ12が検知する油面16の位置を取得し、回転数センサ18が検出する内燃機関の回転数を取得する。ECU20は、内燃機関の負荷状況に応じて、オイルポンプ14の回転数を制御することで、オイルポンプ14によるオイルの吐出量を変化させる。負荷状況とは、内燃機関の回転数、油温、水温、吸入負荷率などといった運転条件である。
【0016】
図1(a)および
図1(b)の例、ならびに
図2(a)および
図2(b)の例に示すように、内燃機関の停止中の油面16に比べ、内燃機関の運転中の油面16は低くなる。内燃機関の運転に伴い、オイルポンプ14が駆動し、オイル15をくみ出すことで、油面16が低下する。
【0017】
オイルレベル検出装置100は、オイルレベルの低下を検知し、車両の使用者に通知する。例えば、停止中の油面16が
図1(a)の位置L1以下にあることを検知したい。一方、オイルレベル検出装置100は、内燃機関の運転中に動作する。そこで、
図1(a)および
図1(b)の例のように、内燃機関の停止中に位置L1以下にある油面16が、内燃機関の運転中にオイルレベルスイッチ12の位置まで低下すればよい。
【0018】
図3は実施形態における処理を例示するフローチャートである。内燃機関が始動する(ステップS10)。回転数センサ18は回転数を検出し、ECU20は内燃機関の回転数Rを取得する(ステップS12)。ECU20は、内燃機関の回転数Rが所定の回転数Rth以下であるか否か判定する(ステップS14)。否定判定(No)の場合、処理は終了する。肯定判定(Yes)の場合、ECU20はオイルポンプ14によるオイルの吐出量を所定の量まで増加させ、例えば吐出量を最大値とする(ステップS16)。オイルポンプ14の動作後の油面16がオイルレベルスイッチ12の位置まで達したか否か判定する(ステップS18)。否定判定の場合、処理は終了する。肯定判定の場合、オイルレベルスイッチ12は警告を出力する(ステップS20)。警告は例えば音声、ランプなどで行われる。ステップS20の後、処理は終了する。
【0019】
本実施形態によれば、ECU20はオイルポンプ14の吐出量を増加させる(ステップS16)。オイルポンプ14が駆動することで、オイル15の油面16が低下する。オイルレベル検出装置100は、油面16が位置L1以下であることを精度よく検出し、警告することができる。
【0020】
図1(a)の例では、吐出前の油面16が位置L1にある。オイルポンプ14の吐出量が最大値まで増加する(ステップS16)。
図1(b)に示すように、吐出後の油面16は位置L2になり、オイルレベルスイッチ12の位置まで低下する。オイルレベルスイッチ12は油面16を検知し、警告を出力する(ステップS20)。このように、オイルレベル検出装置100は油面16が位置L1以下であることを検出することができる。
【0021】
図2(a)の例では、吐出前の油面16が位置L1よりも高い位置L3にある。
図2(b)に示すように、吐出後の油面16は位置L4になり、オイルレベルスイッチ12まで達しない。オイルレベルスイッチ12は油面16を検知せず、警告も発しない(ステップS18でNo)。
【0022】
内燃機関の運転中における油面16の位置は、内燃機関の回転数に依存する。例えば回転数Rが閾値Rthより高い場合、停止時の油面16が位置L1より高いにも関わらず、運転中の油面16はオイルレベルスイッチ12の位置に達する恐れがある。ECU20は、内燃機関の回転数Rに応じて、オイルポンプ14の吐出量を変化させる。回転数RがRthより大きい場合、吐出量は増加されない。油面16はオイルレベルスイッチ12の位置には達しない。回転数RがRth以下である場合、吐出量が増加され、例えば最大値に設定される。油面16がオイルレベルスイッチ12の位置に達する。油面16の検出精度が向上する。内燃機関の回転数R、油温、水温および吸入負荷率など、負荷状況に応じて、ECU20は吐出量を変化させてもよい。
【0023】
オイルレベルスイッチ12の位置、およびオイルポンプ14の吐出量は、検出したい油面16の位置に応じて定める。停止時の油面16の位置がL1以下であり、かつ吐出量を増加させた際の油面16の位置がオイルレベルスイッチ12の高さになればよい。
【0024】
内燃機関の始動後(ステップS10)から停止までの間に、ECU20は少なくとも1回は吐出量を増加させる。停止時の油面16が位置L1であるか否かを検出することができる。増加時の吐出量は、例えばオイルポンプ14に可能な最大の吐出量でもよいし、最大吐出量より少なくてもよい。
【0025】
以上本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0026】
10 オイルパン、12 オイルレベルスイッチ、14 オイルポンプ、15 オイル、16 油面、17 オイル通路、18 回転数センサ、20 ECU、100 オイルレベル検出装置