IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東芝テック株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図1
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図2
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図3
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図4
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図5
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図6
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図7
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図8
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図9
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図10
  • 特開-会計機及びそのプログラム 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180014
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】会計機及びそのプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/12 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q40/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099416
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003562
【氏名又は名称】東芝テック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 尉修
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB64
5L055BB64
(57)【要約】
【課題】割引対象の支払い方法で代金が支払われる場合には自動的に決済金額を割引して決済可能とする。
【解決手段】会計機は、取得手段と、受付手段と、割引手段と、処理手段とを備える。取得手段は、取引の決済金額を取得する。受付手段は、決済金額を支払う支払い方法の選択入力を受け付ける。割引手段は、受付手段により受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法である場合、設定された割引率で決済金額の割引を行う。処理手段は、割引手段により割引が行われた決済金額を、受付手段により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理を実行する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
取引の決済金額を取得する取得手段と、
前記決済金額を支払う支払い方法の選択入力を受け付ける受付手段と、
前記受付手段により受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法である場合、設定された割引率で前記決済金額の割引を行う割引手段と、
前記割引手段により割引が行われた決済金額を、前記受付手段により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理を実行する処理手段と、
を具備する会計機。
【請求項2】
前記割引手段により前記決済処理の割引が行われると割引後の決済金額を表示する表示手段、
をさらに具備する請求項1記載の会計機。
【請求項3】
前記表示手段は、前記受付手段により支払い方法の選択入力を受け付けるまでは前記取得手段により取得した決済金額を表示する、請求項2記載の会計機。
【請求項4】
前記割引手段により割引が行われた決済金額に対して、前記受付手段により選択入力を受け付けた割引対象の支払い方法での支払い金額が不足している場合に割引前の決済金額に対する不足額を報知する報知手段、
をさらに具備する請求項1記載の会計機。
【請求項5】
割引対象の支払い方法に対して割引が成立する条件を判定する判定手段、
をさらに具備し、
前記割引手段は、前記受付手段により受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法でありかつその割引が成立する条件を満足する場合に、設定された割引率で前記決済金額の割引を行う、請求項1乃至4のうちいずれか一記載の会計機。
【請求項6】
会計機のコンピュータを、
取引の決済金額を取得する取得手段、
前記決済金額を支払う支払い方法の選択入力を受け付ける受付手段、
前記受付手段により受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法である場合、設定された割引率で前記決済金額の割引を行う割引手段、及び、
前記割引手段により割引が行われた決済金額を、前記受付手段により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理を実行する処理手段、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、会計機及びそのプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
商取引の決済に用いられる電子マネーには、自社及びグループ会社の店舗でのみ利用可能な電子マネーいわゆるハウス電子マネーと、交通系電子マネー、流通系電子マネー、クレジットカード系電子マネー等のように加盟店であれば利用可能な電子マネーいわゆる共通電子マネーとがある。ハウス電子マネーは、顧客を囲い込むことができるので、集客効果を期待できる。また、ハウス電子マネーの利用が拡大されることにより、自社への利益にもつながる。そこで、ハウス電子マネーで商取引を決済する場合には決済金額の割引を行うサービスを導入することで、ハウス電子マネーの利用率を高めようとする店舗が増えている。
【0003】
このような店舗では、店員は、客に代金の支払い方法を確認し、割引が成立する場合には会計機に対して決済金額を割り引くための操作を行ってから、客が求めた代金支払い方法で決済に係る操作を行っていた。このため、店員の負担が大きく、解決が望まれていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-077328号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態が解決しようとする課題は、割引対象の支払い方法で代金が支払われる場合には自動的に決済金額を割引して決済することができ、店員の負担を軽減できる会計機を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、会計機は、取得手段と、受付手段と、割引手段と、処理手段とを備える。取得手段は、取引の決済金額を取得する。受付手段は、決済金額を支払う支払い方法の選択入力を受け付ける。割引手段は、受付手段により受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法である場合、設定された割引率で決済金額の割引を行う。処理手段は、割引手段により割引が行われた決済金額を、受付手段により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理を実行する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、会計機の基本回路構成を示すブロック図である。
図2図2は、割引テーブルの構成を示す模式図である。
図3図3は、会計機のプロセッサが会計プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図4図4は、会計機のプロセッサが会計プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図5図5は、会計機のプロセッサが会計プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図6図6は、会計機のプロセッサが会計プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。
図7図7は、小計画面の一表示例を示す模式図である。
図8図8は、支払い方法選択画面の一表示例を示す模式図である。
図9図9は、割引支払い画面の一表示例を示す模式図である。
図10図10は、通常支払い画面の一表示例を示す模式図である。
図11図11は、残高不足画面の一表示例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、割引対象の支払い方法で代金が支払われる場合には自動的に決済金額を割引して決済することができ、店員の負担を軽減できる会計機の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0009】
因みに、会計機には、店員が商品登録に係る操作と決済に係る操作を行う対面式会計機、客が商品登録に係る操作と決済に係る操作を行うセルフ式会計機、商品登録に係る操作は店員が行い、決済に係る操作は客が行う分担式会計機等がある。いずれのタイプの会計機にも本発明を実施することは可能である。そこで本実施形態では、対面式会計機を例示する。また、割引対象の支払い方法を電子マネーとする。
【0010】
[会計機の構成説明]
図1は、会計機10の基本回路構成を示すブロック図である。会計機10は、プロセッサ11、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14、通信インターフェース15、キーボード16、タッチパネル17、客用ディスプレイ18、プリンタ19、カードリーダ20、スキャナインターフェース21、釣銭機インターフェース22及びシステム伝送路23等を備える。システム伝送路23は、アドレスバス、データバス、制御信号線等を含む。システム伝送路23は、プロセッサ11と他の各部とを接続し、相互間で授受されるデータ信号を伝送する。
【0011】
会計機10は、プロセッサ11と、メインメモリ12、補助記憶デバイス13、時計14及び通信インターフェース15とを、システム伝送路23で接続することにより、コンピュータを構成する。そしてシステム伝送路23に、キーボード16、タッチパネル17、客用ディスプレイ18、プリンタ19、カードリーダ20等の入出力デバイス及びスキャナインターフェース21、釣銭機インターフェース22等のデバイスインターフェースを接続し、コンピュータで制御することにより、会計機10としての機能を実現する。なお、システム伝送路23に接続される入出力デバイスまたはデバイスインターフェースは、上記のものに限定されないのは言うまでもないことである。
【0012】
プロセッサ11は、上記コンピュータの中枢部分に相当する。プロセッサ11は、オペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムに従って、会計機10としての各種の機能を実現するべく各部を制御する。プロセッサ11は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0013】
メインメモリ12は、上記コンピュータの主記憶部分に相当する。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域と揮発性のメモリ領域とを含む。メインメモリ12は、不揮発性のメモリ領域ではオペレーティングシステム又はアプリケーションプログラムを記憶する。メインメモリ12は、プロセッサ11が各部を制御するための処理を実行する上で必要なデータを不揮発性又は揮発性のメモリ領域で記憶する場合もある。メインメモリ12は、揮発性のメモリ領域を、プロセッサ11によってデータが適宜書き換えられるワークエリアとして使用する。不揮発性のメモリ領域は、例えばROM(Read Only Memory)である。揮発性のメモリ領域は、例えばRAM(Random Access Memory)である。
【0014】
補助記憶デバイス13は、上記コンピュータの補助記憶部分に相当する。例えばEEPROM(Electric Erasable Programmable Read-Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、あるいはSSD(Solid State Drive)等が補助記憶デバイス13となり得る。補助記憶デバイス13は、プロセッサ11が各種の処理を行う上で使用するデータ、プロセッサ11での処理によって作成されたデータ等を保存する。補助記憶デバイス13は、上記のアプリケーションプログラムを記憶する場合もある。
【0015】
時計14は、日付と時刻を計時する。プロセッサ11は、時計14によって計時されている日付と時刻を現在日時として処理する。
【0016】
通信インターフェース15は、通信ネットワークを介して接続された店舗サーバ、クレジットサーバ、電子マネーサーバ等との間でデータ通信を行うためのインターフェースである。店舗サーバは、会計機10が行う商品販売データの登録処理、取引の決済処理等を支援するためのサーバ用コンピュータである。クレジットサーバは、クレジットカード決済を支援するためのサーバ用コンピュータである。電子マネーサーバは、電子マネー決済を支援するためのサーバ用コンピュータである。
【0017】
キーボード16は、例えば買上商品の登録と取引の決済に必要な種々のキーを配置した入力デバイスである。タッチパネル17は、会計機10のオペレータである店員に対し、例えば登録された買上商品の品名、価格、合計金額等を表示するための出力デバイスである。タッチパネル17は、店員によるタッチ入力を検知するための入力デバイスでもある。客用ディスプレイ18は、商品を買い上げる客に対し、例えば登録された買上商品の品名、価格、合計金額等を表示するための出力デバイスである。プリンタ19は、レシート用紙にデータを印字して買上レシート等を発行するための出力デバイスである。カードリーダ20は、電子マネーカード、ポイントカード、クレジットカード等のカードデータを読み取るための入力デバイスである。
【0018】
スキャナインターフェース21は、スキャナ24とデータ通信を行うためのインターフェースである。スキャナ24は、バーコード、二次元コード等のコードをスキャニングして読み取る装置である。スキャナ24は、定置式のスキャナであってもよいし、手持ち式のスキャナであってもよい。
【0019】
釣銭機インターフェース22は、自動釣銭機25とデータ通信を行うためのインターフェースである。自動釣銭機25は、投入口から投入された紙幣又は硬貨の現金を計数し、金庫に金種別に収容する機能と、釣銭相当の現金を金庫から抽出して払出し口に払い出す機能とを有する。なお、自動釣銭機の代わりにドロワが接続されていてもよい。
【0020】
かかる構成の会計機10は、割引対象の支払い方法で代金が支払われる場合には自動的に決済金額を割引して決済するために、補助記憶デバイス13に割引テーブル131を備えている。また会計機10は、プロセッサ11が取得手段111、受付手段112、判定手段113、割引手段114、処理手段115、表示手段116及び報知手段117としての機能を有するように構成されている。なお、プロセッサ11が有する機能は、これらに限定されるものではない。
【0021】
図2は、割引テーブル131の構成を示す模式図である。図示するように割引テーブル131は、種別コードのカラムCaと、支払い方法のカラムCbと、割引フラグFaのカラムCcと、割引率のカラムCdと、割引条件のカラムCeとで構成される。
【0022】
種別コードのカラムCaには、支払い方法の種類毎に設定された一意の種別コードが記述される。支払い方法のカラムCbには、対応するカラムCaに記述された種別コードで特定される支払い方法の名称が記述される。図示するように本実施形態では、支払い方法として、現金、クレジットカード、電子マネー、コード決済、ポイント払い等を利用可能な店舗を例示する。また、電子マネーについては、「電子マネーA」、「電子マネーB」及び「電子マネーC」の3種類を利用可能とする。「電子マネーA」は、交通系電子マネー、流通系電子マネー、クレジットカード系電子マネー等の共通電子マネーである。「電子マネーB」及び「電子マネーC」は、自社及びグループ会社の店舗でのみ利用可能なハウス電子マネーである。「電子マネーB」は一般顧客向けのハウス電子マネーである。「電子マネーC」は、優良顧客向けのハウス電子マネーである。
【0023】
割引フラグFaのカラムには、対応するカラムCaに記述された種別コードで特定される支払い方法が割引対象であるか否かを識別するための1ビットデータが記述される。本実施形態では、割引対象であることを示す割引フラグFaを“1”とし、割引対象外であることを示す割引フラグFaを“0”とする。割引率のカラムCdには、対応するカラムCaに記述された種別コードで特定される支払い方法が割引対象である場合に、割引率が記述される。割引条件のカラムCeには、対応するカラムCaに記述された種別コードで特定される支払い方法が割引対象である場合に、その割引が成立する条件が記述される。本実施形態では、割引が成立する条件、いわゆる割引条件を曜日とする。
【0024】
さて、図2に示した割引テーブル131は、種別コード「100」と関連付けて、支払い方法「現金」と、割引フラグFa「0」とを記述している。種別コード「200」と関連付けて、支払い方法「クレジット」と、割引フラグFa「0」とを記述している。種別コード「300」と関連付けて、支払い方法「電子マネーA」と、割引フラグFa「0」とを記述している。種別コード「400」と関連付けて、支払い方法「電子マネーB」と、割引フラグFa「1」と、割引率「5%」と、割引条件「火曜日」を記述している。種別コード「500」と関連付けて、支払い方法「電子マネーC」と、割引フラグFa「1」と、割引率「10%」と、割引条件「木曜日」を記述している。種別コード「600」と関連付けて、支払い方法「コード決済」と、割引フラグFa「0」とを記述している。種別コード「700」と関連付けて、支払い方法「ポイント」と、割引フラグFa「0」とを記述している。すなわち割引テーブル131は、電子マネー以外の支払い方法と「電子マネーA」は割引対象外であり、「電子マネーB」と「電子マネーC」は割引対象であることを示している。また、「電子マネーB」は割引率が5%であり、火曜日であれば取引条件が成立することを示している。同様に、「電子マネーC」は割引率が10%であり、木曜日であれば取引条件が成立することを示している。
【0025】
図1の説明に戻る。
取得手段111は、取引の決済金額を取得する機能である。取引の決済金額は、会計機10の設置店舗が小売店の場合には、客が購入した商品の合計金額が取引の決済金額となる。会計機10の設置店舗が飲食店の場合には、客が飲食した商品の合計金額が取引の決済金額となる。会計機10の設置店舗が映画館、スポーツジム等のように役務を提供する店舗の場合には、役務の対価として客が支払う費用が取引の決済金額となる。
【0026】
受付手段112は、決済金額を支払う支払い方法の選択入力を受け付ける機能である。受付手段112は、キーボード16のキー入力又はタッチパネル17に対するタッチ入力により、現金、クレジットカード、電子マネー、コード決済、ポイント支払い等の種々の支払い方法の中からいずれか1つの支払い方法の選択入力を受け行ける。
【0027】
判定手段113は、受付手段112により受け付けた支払い方法が割引対象である場合に、割引条件が成立するか否かを判定する機能である。例えば割引テーブル131に対して図2に示すデータが記述されている場合、割引対象の支払い方法は、「電子マネーB」と「電子マネーC」である。そして、「電子マネーB」の割引条件は取引日が火曜日であることであり、「電子マネーC」に対して割引条件は取引日が木曜日であることである。判定手段113は、火曜日の取引において「電子マネーB」で支払われた場合、又は、木曜日の取引において「電子マネーC」で支払われた場合には、割引条件が成立すると判定する。それ以外は、割引条件が成立しないと判定する。
【0028】
割引手段114は、受付手段112により受け付けた支払い方法が割引対象である場合、設定された割引率で決済金額の割引を行う機能である。詳しくは、受付手段112により受け付けた支払い方法が割引対象でありかつ、判定手段113により割引が成立すると判定された場合に、割引手段114は、その支払い方法に対して割引テーブル131で設定された割引率で決済金額の割引を行う。
【0029】
処理手段115は、割引手段114により割引が行われた決済金額を、受付手段112により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理を実行する機能である。例えば、火曜日の取引において支払い方法が「電子マネーB」であったために割引が成立した場合、処理手段115は、「電子マネーB」の残高から割引手段114により割引が行われた決済金額を引き去る電子マネー決済処理を実行する。例えば、木曜日の取引において支払い方法が「電子マネーC」であったために割引が成立した場合、処理手段115は、「電子マネーC」の残高から割引手段114により割引が行われた決済金額を引き去る電子マネー決済処理を実行する。
【0030】
表示手段116は、割引手段114により決済金額の割引が行われると、割引後の決済金額を表示デバイスに表示する機能である。また表示手段116は、受付手段112により支払い方法の選択入力を受け付けるまでは取得手段111により取得した決済金額を表示する機能でもある。すなわち表示手段116は、受付手段112により支払い方法の選択入力を受け付けるまでは取得手段111により取得した割引前の決済金額を表示し、割引手段114により決済金額の割引が行われると、割引後の決済金額を表示デバイスに表示する。表示デバイスは、典型的にはタッチパネル171である。表示デバイスは、タッチパネル171と客用ディスプレイ172の双方であってもよい。表示デバイスは、客用ディスプレイ172の単独である場合もあり得る。
【0031】
報知手段117は、割引手段114により割引が行われた決済金額に対して、受付手段112により選択入力を受け付けた割引対象の支払い方法での支払い金額が不足している場合に、割引前の決済金額に対する不足額を報知する機能である。不足額の報知は、タッチパネル171に対する表示によって行う。不足額の報知は、音声出力等によって行ってもよい。
【0032】
上述した受付手段112、判定手段113、割引手段114、処理手段115、表示手段116及び報知手段117としての機能は、プロセッサ11が会計プログラムにしたがって実行する情報処理によって実現される。会計プログラムは、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13に記憶されるアプリケーションプログラムの一種である。会計プログラムをメインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールする方法は特に限定されるものではない。リムーバブルな記録媒体に会計プログラムを記録して、あるいは通信ネットワークを介した通信により会計プログラムを配信して、メインメモリ12又は補助記憶デバイス13にインストールすることができる。記録媒体は、CD-ROM,メモリカード等のようにプログラムを記憶でき、かつ装置が読み取り可能であれば、その形態は問わない。
【0033】
[会計機の動作説明]
図3乃至図6は、会計機10のプロセッサ11が会計プログラムに従って実行する情報処理の要部手順を示す流れ図である。また、図7乃至図11は、会計機10のタッチパネル17に表示される種々の画面例を示す模式図である。以下、図3乃至図6の流れ図及び図7乃至図11の画面例を用いて、会計機10の主要な動作を説明する。なお、会計機10は、小売店に設置されているものとする。
【0034】
因みに、以下に説明する情報処理の内容と手順は一例である。同様な作用効果を奏し得るのであれば、その内容及び手順は適宜変更することができる。また、画面例も一例である。出力されるテキストの内容、画像の配置、ソフトウェアキーの種類及びレイアウト等は、適宜変更することができる。
【0035】
会計機10を操作する店員は、客が取引の決済を申し出ると、その客が買い上げる商品の商品コードを1品ずつ会計機10に入力する。具体的には、バーコードが付されている商品については、店員は、そのバーコードをスキャナ24でスキャニングすることにより商品コードを入力する。生鮮食品等のようにバーコードが付されていない商品については、店員は、タッチパネル17に表示されたバーコード無商品の一覧画面から該当する商品にタッチすることにより商品コードを入力する。店員は、キーボード16のキー操作により商品コードを入力することも可能である。客が購入する全ての商品の商品コードを入力し終えると、店員は、小計キーを入力する。小計キーは、キーボード16に配置されたハードキーであってもよいし、タッチパネル17に表示されたソフトキーであってもよい。
【0036】
プロセッサ11は、ACT1として商品コードが入力されるのを待ち受ける。スキャナ24、タッチパネル17又はキーボード16を介して商品コードが入力されると、プロセッサ11は、ACT2へと進む。プロセッサ11は、ACT2として商品登録処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、商品コードで識別される商品の価格を取得し、商品コード、価格、販売点数、販売金額等を含む商品販売データを生成して取引メモリに登録する。取引メモリは、メインメモリ12における揮発性メモリ領域の一部である。
【0037】
商品登録処理を実行したプロセッサ11は、ACT3へと進む。プロセッサ11は、ACT3として小計キーが入力されたか否かを確認する。小計キーが入力されず(ACT3においてNO)、次の商品の商品コードが入力された場合には(ACT1においてYES)、プロセッサ11は、ACT2へと進む。すなわちプロセッサ11は、商品登録処理を実行する。このように、客が買い上げる商品の商品コードが入力される毎に、その商品に係る商品販売データが取引メモリに順次登録される。
【0038】
ACT3において、小計キーが入力されると、プロセッサ11は、ACT4へと進む。プロセッサ11は、ACT4としてタッチパネル17に小計画面SCa(図7を参照)を表示させる。
【0039】
図7は、小計画面SCaの一表示例である。図示するように小計画面SCaには、合計エリアARaが配置される。また、小計値引キーBTa、小計割引キーBTb及び支払いキーBTcの各ソフトキーが配置される。合計エリアARaには、合計点数と合計金額とが表示される。合計点数は、取引メモリに登録された各商品販売データの販売点数を合算した点数である。合計金額は、取引メモリに登録された各商品販売データの販売金額を合算した金額である。小計値引キーBTaは、合計金額に対する値引を宣言するための操作子である。小計割引キーBTbは、合計金額に対する割引を宣言するための操作子である。支払いキーBTcは、合計金額に対する支払いを宣言するための操作子である。
【0040】
プロセッサ11は、ACT4において、客用ディスプレイ18の画面も合計点数と合計金額とを表示した小計画面とする。そして、小計画面の表示を制御したプロセッサ11は、ACT5へと進む。プロセッサ11は、ACT5として支払いキーBTcが入力されるのを待ち受ける。なお、図示しないが、ACT5の待ち受け状態において、小計値引キーBTaが入力された場合には、プロセッサ11は、小計値引処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、合計金額からキーボード16を介して入力された値引額を減算し、値引後の合計金額が合計エリアARaに表示されるように小計画面SCaを更新する。また、小計割引キーBTbが入力された場合には、プロセッサ11は、小計割引処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、キーボード16を介して入力された割引率で合計金額の割引を行い、割引後の合計金額が合計エリアARaに表示されるように小計画面SCaを更新する。そして、小計値引処理又は小計割引処理を実行したプロセッサ11は、支払いキーBTcが入力されるのを待ち受ける。
【0041】
ACT5において支払いキーBTcが入力されると、プロセッサ11は、ACT6へと進む。プロセッサ11は、ワークエリアTaに割引前決済金額を記述する。割引前決済金額は、小計値引処理又は小計割引処理が実行されていない場合には、取引メモリに登録された各商品販売データの販売金額を合算した金額、すなわち合計金額である。小計値引処理又は小計割引処理が実行されている場合には、値引後又は割引後の合計金額である。
【0042】
ワークエリアTaに割引前決済金額を記述したプロセッサ11は、ACT7へと進む。プロセッサ11は、ACT7として組合せフラグFbを“0”とする。組合せフラグFbは、2種類以上の支払い方法を組み合わせて決済金額を支払うか否かを識別するための1ビットデータである。本実施形態では、2種類以上の支払い方法を組み合わせて決済金額を支払う場合の組合せフラグFbを“1”とし、単一の支払い方法で決済金額を支払う場合の組合せフラグFbを“0”とする。ACT7にておいては、まだ、単一の支払い方法で支払うのか、2種類以上の支払い方法を組み合わせて支払うのかが確定されていないので、プロセッサ11は、組合せフラグFbを“0”とする。
【0043】
組合せフラグFbを“0”としたプロセッサ11は、ACT8へと進む。プロセッサ11は、ACT8としてタッチパネル17の画面を支払い方法選択画面SCb(図8を参照)とする。なお、客用ディスプレイ18については、小計画面から遷移しない。
【0044】
図8は、支払い方法選択画面SCbの一表示例である。図示するように支払い方法選択画面SCbには、合計エリアARbが配置される。また、支払い方法選択キーBTdと、戻るキーBTeの各ソフトキーが配置される。合計エリアARbには、合計点数と決済前合計金額が表示される。支払い方法選択キーBTdは、現金、クレジットカード、電子マネーA、電子マネーB、電子マネーC、コード決済及びポイント支払いの各支払い方法がそれぞれ割り当てられた複数のソフトキーからなる。支払い方法選択キーBTdは、いずれかのソフトキーに割り当てられた支払い方法の選択入力を受け付けるための操作子である。戻るキーBTeは、小計画面SCaに戻ることを宣言するための操作子である。
【0045】
支払い方法選択画面SCbの表示を制御したプロセッサ11は、ACT9へと進む。プロセッサ11は、ACT9として支払い方法が選択されるのを待ち受ける。なお、図示しないが、ACT9の待ち受け状態において、戻るキーBTeが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT4へと戻り、タッチパネル17の画面を小計画面SCaに戻す。
【0046】
ACT9において支払い方法選択キーBTdが入力されると、プロセッサ11は、ACT10へと進む。プロセッサ11は、ACT10として支払い方法として電子マネーが選択されたか否かを確認する。電子マネー以外の支払い方法が選択された場合には、プロセッサ11はACT11へと進む。プロセッサ11は、ACT11として支払い方法に応じた決済処理を実行する。例えば現金が選択された場合には、自動釣銭機25に投入された預かり金額から割引前決済金額を引き去る現金決済処理を実行する。例えばクレジットカードが選択された場合には、クレジットカードで特定される口座から割引前決済金額を引き去るクレジット決済処理を実行する。例えばコード決済が選択された場合には、スキャナ24で読み取られた決済用コードで特定される残高から割引前決済金額を引き去るコード決済処理を実行する。例えばポイント支払いが選択された場合には、保有ポイントから割引前決済金額相当のポイントを引き去るポイント決済処理を実行する。なお、現金決済処理、クレジット決済処理、コード決済処理、ポイント決済処理については周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0047】
ACT11において決済処理を終えたプロセッサ11は、ACT12へと進む。プロセッサ11は、ACT12として割引前決済金額に残金が有るか否かを確認する。残金がない場合には取引が決済されたので、プロセッサ11は、会計プログラムに従った情報処理を終了する。
【0048】
残金がある場合には、取引が決済されていないので、プロセッサ11は、ACT13へと進む。プロセッサ11は、ACT13としてワークエリアTaの金額を残金に更新する。またプロセッサ11は、ACT14として組合せフラグFbを“1”とする。そしてプロセッサ11は、ACT8へと戻る。すなわちプロセッサ11は、タッチパネル17の画面を支払い方法選択画面SCbとする。そしてプロセッサ11は、ACT8以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、例えば電子マネー以外の支払い方法が選択された場合には、プロセッサ11は、その支払い方法で残金を支払う決済処理を実行する。かくして、割引前決済金額の全額が支払われたことを確認すると、プロセッサ11は、会計プログラムに従った情報処理を終了する。
【0049】
一方、ACT10において代金支払い方法として電子マネーが選択された場合には、プロセッサ11は、図4のACT21へと進む。プロセッサ11は、ACT21として残高問合せ処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、カードリーダ20又はスキャナ24で読み取った電子マネーIDで電子マネーサーバに残高を問い合わせる。
【0050】
電子マネーIDは、代金支払い方法として電子マネーを選択した客が所有する電子マネーの識別子である。例えば客は、電子マネーIDが記録された電子マネーカードを所持している。あるいは客は、電子マネーIDを示すバーコード又は二次元コードを表示可能なアプリケーションソフトウェアをインストールしたスマートフォンを所持している。客が電子マネーカードを提示した場合、店員は、その電子マネーカードのデータをカードリーダ20で読み取らせる。客がスマートフォンを提示した場合には、店員は、スマートフォンの画面に表示されているバーコード又は二次元コードをスキャナ24で読み取らせる。かくして、客が所有する電子マネーの電子マネーIDが入力されるので、プロセッサ11は、残高の問合せを行う。この問合せ対して電子マネーサーバから電子マネーの残高を取得すると、プロセッサ11は、ACT22へと進む。プロセッサ11は、ACT22としてワークエリアRに電子マネーの残高を記述する。
【0051】
ワークエリアRに電子マネーの残高を記述したプロセッサ11は、ACT23へと進む。プロセッサ11は、ACT23として組合せフラグFbを調べる。組合せフラグFbが“1”の場合、すなわち電子マネー以外の支払い方法で支払われた後の残金に対して電子マネー支払いが選択された場合には、プロセッサ11は、ACT33へと進む。ACT33以降の処理については後述する。
【0052】
これに対し、組合せフラグFbが“0”の場合、すなわち割引前決済金額に対して電子マネー支払いが選択された場合には、プロセッサ11は、ACT24へと進む。プロセッサ11は、ACT24として支払い方法として選択された電子マネーの種別コードに関連付けて割引テーブル131に記述されている割引フラグFaを調べる。
【0053】
割引フラグFaが“0”の場合、すなわち割引対象外の電子マネーでの支払いが宣言された場合には、プロセッサ11は、ACT33へと進む。ACT33以降の処理については後述する。
【0054】
これに対し、割引フラグFaが“1”の場合、すなわち割引対象の電子マネーでの支払いが宣言された場合には、プロセッサ11は、ACT25へと進む。プロセッサ11は、ACT25として割引条件が成立するか否かを判定する。具体的にはプロセッサ11は、支払い方法として選択された電子マネーの種別コードに関連付けて割引テーブル131に記述されている割引条件を取得する。そしてプロセッサ11は、その割引条件の曜日が、時計14によって計時されている日付の曜日と一致するか否かを確認する。曜日が一致した場合、プロセッサ11は、割引条件が成立すると判定する。曜日が一致しなかった場合には、プロセッサ11は、割引条件が成立しないと判定する。割引条件が成立しない場合、プロセッサ11は、ACT33へと進む。ACT33以降の処理については後述する。
【0055】
これに対し、割引条件が成立する場合には、プロセッサ11は、ACT26へと進む。プロセッサ11は、ACT26としてワークエリアDに割引率を記述する。すなわちプロセッサ11は、支払い方法として選択された電子マネーの種別コードに関連付けて割引テーブル131に記述されている割引率を取得し、その割引率をワークエリアDに記述する。そしてプロセッサ11は、ACT27として割引演算を行う。すなわちプロセッサ11は、ワークエリアDに記述された割引率でワークエリアTaに記述された割引前決済金額の割引を行う。プロセッサ11は、ACT28として割引後の決済金額、いわゆる割引後決済金額をワークエリアTbに記述する。
【0056】
ワークエリアTbに割引後決済金額を記述したプロセッサ11は、ACT29へと進む。プロセッサ11は、ACT29としてワークエリアRに記述された残高がワークエリアTbに記述された割引後決済金額以上であるか否かを確認する。残高が割引後決済金額以上である場合には、支払い方法として選択された電子マネーで割引後決済金額の全額を支払うことができる。ところが、残高が割引後決済金額よりも少ない場合には、その電子マネーで割引後決済金額の全額を支払うことはできない。
【0057】
ACT29において、残高が割引後決済金額以上であり、支払い方法として選択した種類の電子マネーだけで支払いが完結する場合には、プロセッサ11は、ACT30へと進む。プロセッサ11は、ACT30としてワークエリアRに記述された電子マネーの残高から、ワークエリアTbに記述された割引後の決済金額を引き去ることで、ワークエリアRの残高を支払い後の残高に更新する。またプロセッサ11は、ACT31として電子マネー決済処理を実行する。すなわちプロセッサ11は、電子マネーサーバにおいて当該電子マネーIDで管理されている電子マネーの残高を支払い後の残高に更新するための処理を行う。このような電子マネー決済処理は、周知の処理であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
【0058】
ACT31において電子マネー決済処理を終えたプロセッサ11は、ACT32へと進む。プロセッサ11は、ACT32としてタッチパネル17の画面を割引支払い画面SCc(図9を参照)とする。
【0059】
図9は、割引支払い画面SCcの一表示例である。割引支払い画面SCcには、決済情報エリアARcが配置される。また、閉じるボタンBTfが配置される。また、小計割引が適用されたことを示すテキストTxが表示される。決済情報エリアARcは、「合計」のエリアと「お預り」のエリアと「お釣り」のエリアとに区分される。そして「合計」のエリアには、合計点数と割引後決済金額とが表示される。「お預り」のエリアには、割引後決済金額が表示される。「お釣り」のエリアには0円が表示される。閉じるボタンBTfは、割引支払い画面SCcを閉じることを宣言するための操作子である。割引支払い画面SCcを確認した店員は、閉じるボタンBTfを入力する。
【0060】
プロセッサ11は、ACT32において、客用ディスプレイ18の画面も決済情報エリアARcの情報と小計割引が適用されたことを示すテキストTxとを表示した割引支払い画面とする。そして、割引支払い画面の表示を制御したプロセッサ11は、会計プログラムに従った情報処理を終了する。
【0061】
前述したように、ACT23において組合せフラグFbが“1”である場合、ACT24において割引フラグFaが“0”である場合、又はACT25において割引条件が不成立の場合には、プロセッサ11は、ACT33へと進む。プロセッサ11は、ACT33としてワークエリアRに記述された残高がワークエリアTaに記述されている割引前決済金額又は残金以上であるか否かを確認する。ここで、残高が割引前決済金額又は残金以上である場合には、支払い方法として選択された電子マネーで割引前決済金額又は残金の全額を支払うことができる。ところが、残高が割引前決済金額又は残金未満の場合には、その電子マネーで割引前決済金額又は残金の全額を支払うことはできない。
【0062】
ACT33において残高が割引前決済金額又は残金以上であり、電子マネーだけで支払いが完結する場合には、プロセッサ11は、ACT34へと進む。プロセッサ11は、ACT34としてワークエリアRに記述された電子マネーの残高から、ワークエリアTaに記述された割引前決済金額又は残金を引き去ることで、ワークエリアRの残高を支払い後の残高に更新する。またプロセッサ11は、ACT35として電子マネー決済処理を実行する。そして、電子マネー決済処理を終えると、プロセッサ11は、ACT36へと進む。プロセッサ11は、ACT36としてタッチパネル17の画面を通常支払い画面SCd(図10を参照)とする。
【0063】
図10は、通常支払い画面SCdの一表示例である。通常支払い画面SCdには、決済情報エリアARdが配置される。また、閉じるボタンBTgが配置される。小計割引が適用されたことを示すテキストTxは表示されない。決済情報エリアARdは、「合計」のエリアと「お預り」のエリアと「お釣り」のエリアとに区分される。そして「合計」のエリアには、合計点数と割引前決済金額とが表示される。「お預り」のエリアには、割引前決済金額が表示される。「お釣り」のエリアには0円が表示される。閉じるボタンBTfは、通常支払い画面SCdを閉じることを宣言するための操作子である。通常支払い画面SCdを確認した店員は、閉じるボタンBTfを入力する。
【0064】
プロセッサ11は、ACT32において、客用ディスプレイ18の画面も決済情報エリアARdの情報を表示した通常支払い画面とする。そして、通常支払い画面の表示を制御したプロセッサ11は、会計プログラムに従った情報処理を終了する。
【0065】
ACT29において、残高が割引後決済金額未満であり、支払い方法として選択した種類の電子マネーだけでは支払いが完結しない場合には、プロセッサ11は、図5のACT41へと進む。プロセッサ11は、ACT41としてタッチパネル17の画面を残高不足画面SCe(図11を参照)とする。
【0066】
図11は、残高不足画面SCeの一表示例である。残高不足画面SCeには、残高不足エリアAReと支払い金額エリアARfとが配置される。また、チャージキーBTh、全額支払いキーBTi及び変更キーBTjのソフトキーが配置される。残高不足エリアAReには、ワークエリアRに記述されている電子マネーの残高と不足額とが表示される。不足額は、ワークエリアTaに記述されている値引前決済金額から電子マネーの残高を減算した金額である。不足額は、ワークエリアTbに記述されている値引後決済金額から電子マネーの残高を減算した金額ではない。支払い金額エリアARfには、ワークエリアTaに記述されている値引前決済金額が表示される。チャージキーBThは、電子マネーのチャージを宣言するための操作子である。全額支払いキーBTiは、電子マネーの残高で値引前決済金額の一部を支払うことを宣言するための操作子である。変更キーBTjは、支払い方法として選択した種類の電子マネー以外の支払い方法に変更することを宣言するためのキーである。
【0067】
店員は、残高不足の客がチャージを希望した場合には、チャージキーBThを入力する。そうすると、タッチパネル17の画面がチャージ画面となるので、店員は不足額以上のチャージ金額を指定し、そのチャージ金額相当の現金を自動釣銭機25に投入する。
【0068】
店員は、残高不足の客がその残高で値引前決済金額の一部を支払うことを希望した場合には、全額支払いキーBTiを入力する。また、客が他の支払い方法への変更を申し出た場合には、店員は、変更キーBTjを入力する。
【0069】
残高不足画面SCeの表示を制御したプロセッサ11は、ACT42へと進む。プロセッサ11は、ACT42としてチャージキーBThが入力されたか否かを確認する。チャージキーBThが入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT43へと進む。プロセッサ11は、ACT43として全額支払いキーBTiが入力されたか否かを確認する。全額支払いキーBTiが入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT44へと進む。プロセッサ11は、ACT44として変更キーBTjが入力されたか否かを確認する。変更キーBTjが入力されていない場合、プロセッサ11はACT42へと戻る。このようにプロセッサ11は、ACT42乃至ACT44において、チャージキーBTh、全額支払いキーBTi又は変更キーBTjが入力されるのを待ち受ける。
【0070】
ACT42乃至ACT44の待ち受け状態において、チャージキーBThが入力されると、プロセッサ11は、ACT45へと進む。プロセッサ11は、ACT45としてタッチパネル17の画面をチャージ画面とする。チャージ画面は、チャージ金額の入力受け付ける画面である。チャージ画面の表示を制御したプロセッサ11は、ACT46へと進む。プロセッサ11は、ACT46としてチャージを待ち受ける。すなわちプロセッサ11は、チャージ画面で受け付けたチャージ金額Cに相当する現金が自動釣銭機25に投入されるのを待ち受ける。チャージ金額Cに相当する現金が自動釣銭機25に投入されると、プロセッサ11はACT47へと進む。プロセッサ11は、ACT47としてワークエリアRに記述された電子マネーの残高を、チャージ金額Cをチャージした金額に更新する。
【0071】
その後、プロセッサ11は、ACT29へと戻る。そしてプロセッサ11は、ACT29以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、不足額以上の金額がチャージされた場合には、支払い方法として選択した種類の電子マネーだけで支払いが完結するので、プロセッサ11は、ACT30乃至ACT32の処理を実行する。すなわち、割引後決済金額に対しての電子マネー決済処理が実行される。
【0072】
ACT42乃至ACT44の待ち受け状態において、全額支払いキーBTiが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT48へと進む。プロセッサ11は、ACT48としてワークエリアTaに記述されている割引前決済金額を、ワークエリアRに記述されている電子マネーの残高で減額した金額に更新する。そしてプロセッサ11は、ACT49としてワークエリアRの残高を“0”とする。またプロセッサ11は、ACT50として組合せフラグFbを“1”とする。その後、プロセッサ11は、ACT29へと戻る。したがって、ワークエリアRに記述された残高はワークエリアTbに記述された割引後決済金額以上でないので、プロセッサ61は、残高不足画面SCeにおける残高不足エリアAReの残高を“0”にした後、ACT42乃至ACT44の待ち受け状態に戻る。なお、このとき、チャージキーBTh及び全額支払いキーBTiの入力は無効となる。すなわちプロセッサ11は、変更キーBTjしか入力を受け付けない。
【0073】
ACT42乃至ACT44の待ち受け状態において、変更キーBTjが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT51へと進む。プロセッサ11は、ACT51として組合せフラグFbを“0”とする。その後、プロセッサ11は、ACT8へと戻る。すなわちプロセッサ11は、タッチパネル17の画面を支払い方法選択画面SCbとする。以後、プロセッサ11は、ACT9以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0074】
ACT33において、残高が割引前決済金額未満であり、支払い方法として選択した種類の電子マネーだけでは支払いが完結しない場合には、プロセッサ11は、図6のACT61へと進む。プロセッサ11は、ACT61としてタッチパネル17の画面を残高不足画面SCeとする。この残高不足画面SCeにおいても、残高不足エリアAReには、電子マネーの残高と、値引前決済金額から電子マネーの残高を減算した不足額とが表示される。また、支払い金額エリアARfには、値引前決済金額が表示される。
【0075】
店員は、残高不足の客がチャージを希望した場合には、チャージキーBThを入力し、チャージ金額相当の現金を自動釣銭機25に投入する。店員は、残高不足の客がその残高で値引前決済金額の一部を支払うことを希望した場合には、全額支払いキーBTiを入力する。また、客が他の支払い方法への変更を申し出た場合には、店員は、変更キーBTjを入力する。
【0076】
残高不足画面SCeの表示を制御したプロセッサ11はACT62としてチャージキーBThが入力されたか否かを確認する。チャージキーBThが入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT63へと進む。プロセッサ11は、ACT63として全額支払いキーBTiが入力されたか否かを確認する。全額支払いキーBTiが入力されていない場合、プロセッサ11は、ACT64へと進む。プロセッサ11は、ACT64として変更キーBTjが入力されたか否かを確認する。変更キーBTjが入力されていない場合、プロセッサ11はACT62へと戻る。このようにプロセッサ11は、ACT62乃至ACT64において、チャージキーBTh、全額支払いキーBTi又は変更キーBTjが入力されるのを待ち受ける。
【0077】
ACT62乃至ACT64の待ち受け状態において、チャージキーBThが入力されると、プロセッサ11は、ACT65へと進む。プロセッサ11は、ACT65としてタッチパネル17の画面をチャージ画面とする。そしてプロセッサ11は、ACT66としてチャージを待ち受ける。チャージ金額Cに相当する現金が自動釣銭機25に投入されると、プロセッサ11はACT67へと進む。プロセッサ11は、ACT67としてワークエリアRに記述された電子マネーの残高を、チャージ金額Cをチャージした金額に更新する。
【0078】
その後、プロセッサ11は、ACT33へと戻る。そしてプロセッサ11は、ACT33以降の処理を前述したのと同様に実行する。したがって、不足額以上の金額がチャージされた場合には、支払い方法として選択した種類の電子マネーだけで支払いが完結するので、プロセッサ11は、ACT34乃至ACT36の処理を実行する。すなわち、割引前決済金額に対しての電子マネー決済処理が実行される。
【0079】
ACT62乃至ACT64の待ち受け状態において、全額支払いキーBTiが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT68へと進む。プロセッサ11は、ACT68としてワークエリアTaに記述されている割引前決済金額を、ワークエリアRに記述されている電子マネーの残高で減額した金額に更新する。そしてプロセッサ11は、ACT69としてワークエリアRの残高を“0”とする。またプロセッサ11は、ACT70として組合せフラグFbを“1”とする。その後、プロセッサ11は、ACT33へと戻る。したがって、ワークエリアRに記述された残高はワークエリアTaに記述された割引前決済金額以上でないので、プロセッサ61は、残高不足画面SCeにおける残高不足エリアAReの残高を“0”にした後、ACT62乃至ACT64の待ち受け状態に戻る。なお、このとき、チャージキーBTh及び全額支払いキーBTiの入力は無効となる。すなわちプロセッサ11は、変更キーBTjしか入力を受け付けない。
【0080】
ACT62乃至ACT64の待ち受け状態において、変更キーBTjが入力された場合には、プロセッサ11は、ACT8へと戻る。すなわちプロセッサ11は、タッチパネル17の画面を支払い方法選択画面SCbとする。以後、プロセッサ11は、ACT9以降の処理を前述したのと同様に実行する。
【0081】
[会計機の作用効果]
以上のような動作を制御するプロセッサ11は、ACT6の処理により取得手段111としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT8及びACT9の処理により受付手段112としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT25の処理により判定手段113としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT26乃至ACT28の処理により割引手段114としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT30及びACT31の処理により処理手段115としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT8及びACT32の処理により表示手段116としての機能を実現する。プロセッサ11は、ACT41の処理により報知手段117としての機能を実現する。
【0082】
その結果、受付手段112で受け付けた支払い方法が割引対象の支払い方法であり、判定手段113により割引条件が成立すると判定された場合、会計機10では、取得手段111により取得した取引の決済金額に対して自動的に、割引手段114によって所定の割引率で割引演算が行われる。そして、処理手段115により、割引後の決済金額に対して受付手段112により受け付けた支払い方法で支払うための決済処理が実行される。
【0083】
したがって店員は、客が選択した支払い方法が割引対象であるか否か、また、割引対象である場合には割引条件を満足するか否か、について判断する必要がない。また店員は、割引が成立する場合に会計機10に対して決済金額を割り引くための操作を行う必要もない。よって、店員の負担を軽減できる会計機10を提供することができる。
【0084】
[他の実施形態]
前記実施形態では、対面式会計機を例示したが、セルフ式会計機及び分担式会計機においても同様に適用することができる。すなわち、プロセッサに取得手段111、受付手段112、判定手段113、割引手段114、処理手段115、表示手段116及び報知手段117としての機能を持たせることにより、割引対象の支払い方法で代金が支払われる場合には自動的に決済金額を割引して決済できる会計機とすることができる。
【0085】
前記実施形態では、割引対象の支払い方法を電子マネーとしたが、割引対象の支払い方法は電子マネーに限定されない。例えば割引テーブル131において、コード決済の種別コード「600」に対応した割引フラグFaを“1”とすることにより、コード決済を割引対象の支払い方法とすることができる。
【0086】
また、割引テーブル131のカラムCdの情報を適宜変更することにより、割引率を容易に変えることができる。同様に、割引テーブル131のカラムCeの情報を適宜変更することにより、割引条件についても容易に変えることができる。
【0087】
ところで割引条件は、曜日に限定されない。例えば、取引の合計金額に対する閾値を割引条件としてもよい。すなわち判定手段113は、割引対象の支払い方法で支払われる取引の合計金額が閾値以上である場合に割引条件が成立すると判定してもよい。また、割引条件を特定の商品としてもよい。すなわち判定手段113は、割引対象の支払い方法で支払われる取引の買上商品の中に特定の商品が含まれている場合に割引条件が成立すると判定してもよい。
【0088】
なお、判定手段113は、必ずしも必須の要件ではない。割引対象の支払い方法で支払われる取引についてはすべて割引を行うという運用の場合には、判定手段113を除くことができる。このような運用に対しても、店員の負担を軽減できることは言うまでもないことである。
【0089】
また、決済金額を自動的に割引するのではなく、自動的に値引する場合も本実施形態を適用することができる。すなわち、割引手段114を、決済金額から所定の金額を値引演算する値引手段とすればよい。
【0090】
この他、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態及びその変形は、発明の範囲に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0091】
10…会計機、11…プロセッサ、12…メインメモリ、13…補助記憶デバイス、14…時計、15…通信インターフェース、16…キーボード、17…タッチパネル、18…客用ディスプレイ、19…プリンタ、20…カードリーダ、21…スキャナインターフェース、22…釣銭機インターフェース、23…システム伝送路、131…割引テーブル、111…取得手段、112…受付手段、113…判定手段、114…割引手段、115…処理手段、116…表示手段、117…報知手段、SCa…小計画面、SCb…支払い方法選択画面、SCc…割引支払い画面、SCd…通常支払い画面、SCe…残高不足画面。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11