(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180015
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置,情報処理プログラムおよび印刷システム
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20241219BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20241219BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G06F3/12 329
G03G21/00 370
B41J29/38 202
G06F3/12 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099417
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003649
【氏名又は名称】弁理士法人真田特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100189201
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 功
(72)【発明者】
【氏名】宗 毅志
(72)【発明者】
【氏名】白神 実
(72)【発明者】
【氏名】春日 健
【テーマコード(参考)】
2C061
2H270
【Fターム(参考)】
2C061AQ01
2C061AS02
2C061BB10
2C061CQ24
2C061CQ26
2C061CQ34
2C061HH03
2C061HJ03
2C061HJ04
2C061HJ10
2C061HK11
2C061HM01
2C061HM03
2H270MF01
2H270MF14
2H270MH06
2H270NC08
2H270NC09
2H270ND14
2H270ND15
2H270PB01
2H270ZC03
2H270ZC04
(57)【要約】
【課題】ユーザが装置の印刷性能を正確に把握することができるようにする。
【解決手段】印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックとを対応付けて出力する。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、
前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックと
を対応付けて出力する
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記制御部が、
複数種類の前記サブプロセスのそれぞれに対して、複数種類の前記性能モード毎に前記第2の処理スペックを算出して出力するとともに、
前記複数種類のサブプロセス毎に、前記複数種類の性能モードの中から選択された被選択性能モードでの前記第2の処理スペックを出力する
ことを特徴とする、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記制御部が、
前記印刷装置の前記パラメータを変更するために入力された更新用パラメータに基づいて、前記第2の処理スペックを算出する
ことを特徴とする、請求項1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
印刷装置を制御する印刷制御装置のプロセッサに、
前記印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、
前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックと
を対応付けて出力する
処理を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【請求項5】
媒体に印刷を行なう印刷ユニットと、
前記印刷ユニットによる印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックとを対応付けて出力する制御部と
を有することを特徴とする印刷システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置,情報処理プログラムおよび印刷システムに関する。
【背景技術】
【0002】
行政や、物流や流通等の特定の業界等においては、各種申請書や配送・管理伝票等の複数の用紙で構成された特殊フォーマットの用紙が多く用いられる。これらの用紙に対する印刷は一般的なパーソナルプリンタ装置や複合機等では対応が困難である、そのため、このような特殊フォーマットの用紙を用いる運用環境下では、まだまだ業務向けプリンタ装置に対してのニーズが多い。
【0003】
業務向けプリンタ装置においては、このような特殊フォーマットの用紙を用いる運用環境下でのニーズに合致するかを判断できるように、カタログやホームページ等に印刷速度,印刷範囲,使用できる用紙の種類とサイズ,消費電力,騒音等の装置性能値が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-109874号公報
【特許文献2】特開2017-219585号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、カタログ等で開示されている装置性能値は、特定の用紙,特定の設置場所,特定の温湿や度等、特定の環境条件で測定された値(以下、スペック値という場合がある)である。従って、ユーザが業務向けプリンタ装置を使用した場合に実際に得られる性能(実測値)はスペック値と異なることがある。
【0006】
そのため、用紙仕様や印刷量等の内部的な要因や、設置場所の気温等の外部的な要因により、基準となるスペック値(以下、基準値と表記)を満たせない特殊な運用環境下では、開示されている装置性能を得られないことがある。
【0007】
例えば、特に業務向けプリンタ装置に固有な機能として、規定の各種申請や配送・管理伝票などの既に印刷された所定の場所に正しく印字するための斜行補正が知られている。この斜行補正に対する要求精度が非常に高い状況でプリンタを使用すると、斜行補正にスペック値以上の時間が掛かることがある。また、気温の低い環境下において、印刷枚数はそれ程多くなく、時々複数枚印刷するだけの使用状況では、低消費電力モードの場合に、ヒータの昇温に時間がかかることがある。これらにより、スペック通りの印字スループットを実現できない場合がある。
【0008】
従って、ベンダが想定する環境から外れた運用環境下においては、ユーザが装置の印刷性能を正確に把握することが困難である。
【0009】
1つの側面では、本発明は、ユーザが装置の印刷性能を正確に把握することができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
このため、この印刷制御装置は、印刷装置を制御する印刷制御装置であって、前記印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックとを対応付けて出力する制御部を有する。
【発明の効果】
【0011】
一実施形態によれば、ユーザが装置の印刷性能を正確に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一実施形態に係る印刷システムの構成を模式的に示す図である。
【
図2】一実施形態に係る印刷システムの印刷制御装置の機能を実現するコンピュータのハードウェア(HW)構成例を示すブロック図である。
【
図3】一実施形態に係る印刷システムにおける簡易設定画面の例を示す図である。
【
図4】一実施形態に係る印刷システムにおける簡易設定画面の例を示す図である。
【
図5】一実施形態に係る印刷システムにおける簡易設定画面の例を示す図である。
【
図6】一実施形態に係る印刷システムにおける斜行補正特性情報を例示する図である。
【
図7】一実施形態に係る印刷システムにおける定着温度特性情報を例示する図である。
【
図8】一実施形態に係る印刷システムにおけるクールダウン特性情報を例示する図である。
【
図9】一実施形態に係る印刷システムにおける予測情報作成部が印刷速度指標値を演算式を用いて算出する際に参照する必要時間情報を例示する図である。
【
図10】一実施形態に係る印刷システムにおけるカスタム設定画面のトップ画面を例示する図である。
【
図11】一実施形態に係る印刷システムの斜行補正変更用のカスタム設定画面を例示する図である。
【
図12】一実施形態に係る印刷システムの定着温度変更用のカスタム設定画面を例示する図である。
【
図13】一実施形態に係る印刷システムのクールダウン変更用のカスタム設定画面を例示する図である。
【
図14】一実施形態に係る印刷システムの初期画面を例示する図である。
【
図15】一実施形態に係る印刷システムの印刷制御装置の処理を説明するためのフローチャートである。
【
図16】一実施形態に係る印刷システムの印刷制御装置におけるサブプロセスの実測時間を説明するための図である。
【
図17】一実施形態に係る印刷システムの印刷制御装置において初期画面に基づいてユーザが行なう入力操作を説明するためのフローチャートである。
【
図18】一実施形態に係る印刷システムの簡易設定入力モードにおける処理を説明するためのフローチャートである。
【
図19】一実施形態に係る印刷システムのカスタム設定入力モードに関する処理を説明するためのフローチャートである。
【
図20】一実施形態に係る印刷システムにおける、簡易設定入力モードとカスタム設定入力モードとの切り替え方法の変形例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して本情報処理装置,情報処理プログラムおよび印刷システムに係る実施の形態を説明する。ただし、以下に示す実施形態はあくまでも例示に過ぎず、実施形態で明示しない種々の変形例や技術の適用を排除する意図はない。すなわち、本実施形態を、その趣旨を逸脱しない範囲で種々変形(実施形態および各変形例を組み合わせる等)して実施することができる。また、各図は、図中に示す構成要素のみを備えるという趣旨ではなく、他の機能等を含むことができる。
【0014】
(A)構成
図1は一実施形態に係る印刷システム1の構成を模式的に示す図である。
【0015】
この
図1に例示する印刷システム1は、印刷制御装置2,印刷装置3およびディスプレイ4を有する。
【0016】
印刷装置3は媒体に印刷を行なう。印刷装置3は、例えば、業務向けプリンタ装置であってよい。印刷装置3は、媒体に印刷を行なう印刷ユニットを有する。媒体は、例えば、複数の用紙を重ねた複写式用紙等の特殊フォーマットの用紙であってよい。また、印字ユニットはインパクトピンを備えたプリントヘッドを備えてよい。印刷装置3が設置され、ユーザによって運用される環境をユーザ環境といってよい。
【0017】
印刷装置3は、複数種類のパラメータを任意に設定可能に構成され、各パラメータを適宜変更することで、その動作や性能を制御することができる。
【0018】
以下においては、パラメータが、印刷装置3において設定可能な種々のパラメータのうち、印刷性能への影響が大きい斜行補正、定着温度およびクールダウンに関するものである例について示す。すなわち、パラメータが、斜行補正精度,定着器予熱温度および冷却能力である例について示す。
【0019】
ディスプレイ4は、例えば、液晶表示装置や発光表示装置[LED(発光ダイオード)発光装置,有機発光表示装置等],電子ペーパー(コレステリック液晶ディスプレイ,電気泳動式ディスプレイ等),DMD(デジタルマイクロミラーデバイス),PDP(プラズマディスプレイパネル),FED(フィールドエミッションディスプレイ)等が含まれる。
【0020】
印刷制御装置2は、印刷装置3による印刷を制御する。一実施形態に係る印刷制御装置2の機能は、1台のコンピュータにより実現されてもよいし、2台以上のコンピュータにより実現されてもよい。さらに、印刷制御装置2の機能のうちの少なくとも一部は、クラウド環境により提供されるHW(Hardware)リソースおよびNW(Network)リソースを用いて実現されてもよい。
【0021】
(A-1)印刷制御装置2のハードウェア構成
図2は一実施形態に係る印刷システム1の印刷制御装置2の機能を実現するコンピュータ10のハードウェア(HW)構成例を示すブロック図である。印刷制御装置2の機能を実現するHWリソースとして、複数のコンピュータが用いられる場合は、各コンピュータが
図2に例示するHW構成を備えてよい。
【0022】
図2に示すように、コンピュータ10は、HW構成として、例示的に、プロセッサ10a、グラフィック処理装置10b、メモリ10c、記憶部10d、IF(Interface)部10e、IO(Input / Output)部10f、および読取部10gを備えてよい。
【0023】
プロセッサ10aは、種々の制御や演算を行なう演算処理装置の一例であり、種々の処理を実行する制御部である。プロセッサ10aは、コンピュータ10内の各ブロックとバス10jで相互に通信可能に接続されてよい。なお、プロセッサ10aは、複数のプロセッサを含むマルチプロセッサであってもよいし、複数のプロセッサコアを有するマルチコアプロセッサであってもよく、或いは、マルチコアプロセッサを複数有する構成であってもよい。
【0024】
プロセッサ10aとしては、例えば、CPU、MPU、APU、DSP、ASIC、FPGA等の集積回路(IC;integrated circuit)が挙げられる。なお、プロセッサ10aとして、これらの集積回路の2以上の組み合わせが用いられてもよい。CPUはCentral Processing Unitの略称であり、MPUはMicro Processing Unitの略称である。APUはAccelerated Processing Unitの略称である。DSPはDigital Signal Processorの略称であり、ASICはApplication Specific ICの略称であり、FPGAはField-Programmable Gate Arrayの略称である。
【0025】
グラフィック処理装置10bは、ディスプレイ4に対する画面表示制御を行なう。グラフィック処理装置10bとしては、種々の演算処理装置、例えば、GPU(Graphics Processing Unit)、APU、DSP、ASIC又はFPGA等の集積回路(IC)が挙げられる。
【0026】
メモリ10cは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。メモリ10cとしては、例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory)等の揮発性メモリ、および、PM(Persistent Memory)等の不揮発性メモリ、の一方または双方が挙げられる。
【0027】
記憶部10dは、種々のデータやプログラム等の情報を格納するHWの一例である。記憶部10dとしては、HDD(Hard Disk Drive)等の磁気ディスク装置、SSD(Solid State Drive)等の半導体ドライブ装置、不揮発性メモリ等の各種記憶装置が挙げられる。不揮発性メモリとしては、例えば、フラッシュメモリ、SCM(Storage Class Memory)、ROM(Read Only Memory)等が挙げられる。
【0028】
記憶部10dは、コンピュータ10の各種機能の全部若しくは一部を実現するプログラム10h(データ拡張プログラム)を格納してよい。
【0029】
例えば、印刷制御装置2のプロセッサ10aは、記憶部10dに格納されたプログラム10hをメモリ10cに展開して実行することにより、後述する印刷制御機能を実現できる。
【0030】
IF部10eは、本コンピュータ10と、他の装置との間の接続および通信の制御等を行なう通信IFの一例である。例えば、IF部10eは、イーサネット(登録商標)等のLAN(Local Area Network)、或いは、FC(Fibre Channel)等の光通信等に準拠したアダプタを含んでよい。当該アダプタは、無線および有線の一方又は双方の通信方式に対応してよい。
【0031】
また、印刷制御装置2は、IF部10eを介して印刷装置3と通信可能に接続されてよい。また、印刷制御装置2は、IF部10eおよびネットワークを介して、例えば、他のコンピュータと相互に通信可能に接続されてよい。なお、プログラム10hは、当該通信IFを介して、ネットワークからコンピュータ10にダウンロードされ、記憶部10dに格納されてもよい。印刷装置3はIF部10eに接続されてよい。
【0032】
IO部10fは、入力装置、および、出力装置、の一方又は双方を含んでよい。入力装置としては、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等が挙げられる。出力装置としては、例えば、モニタ、プロジェクタ、プリンタ等が挙げられる。また、IO部10fは、入力装置および出力装置が一体となったタッチパネル等を含んでもよい。出力装置は、グラフィック処理装置10bに接続されてよい。
【0033】
読取部10gは、記録媒体10iに記録されたデータやプログラムの情報を読み出すリーダの一例である。読取部10gは、記録媒体10iを接続可能又は挿入可能な接続端子又は装置を含んでよい。読取部10gとしては、例えば、USB(Universal Serial Bus)等に準拠したアダプタ、記録ディスクへのアクセスを行なうドライブ装置、SDカード等のフラッシュメモリへのアクセスを行なうカードリーダ等が挙げられる。なお、記録媒体10iにはプログラム10hが格納されてもよく、読取部10gが記録媒体10iからプログラム10hを読み出して記憶部10dに格納してもよい。
【0034】
記録媒体10iとしては、例示的に、磁気/光ディスクやフラッシュメモリ等の非一時的なコンピュータ読取可能な記録媒体が挙げられる。磁気/光ディスクとしては、例示的に、フレキシブルディスク、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイディスク、HVD(Holographic Versatile Disc)等が挙げられる。フラッシュメモリとしては、例示的に、USBメモリやSDカード等の半導体メモリが挙げられる。
【0035】
上述したコンピュータ10のHW構成は例示である。従って、コンピュータ10内でのHWの増減(例えば任意のブロックの追加や削除)、分割、任意の組み合わせでの統合、又は、バスの追加若しくは削除等は適宜行なわれてもよい。
【0036】
本印刷システム1においては、印刷制御装置2とディスプレイ4と印刷装置3とが一体に構成されてよい。例えば、印刷装置3の筐体内部に印刷制御装置2を搭載してよい。この場合に、印刷装置3のタッチパネルが上述したIO部10fとして機能してよい。
【0037】
(A-2)印刷制御装置2の機能構成例
図1に示すように、印刷制御装置2は、例示的に、実測情報作成部11,基準情報作成部12,予測情報作成部13および表示制御部14しての機能を備えてよい。これらの機能は、コンピュータ10(
図2参照)のハードウェアにより実現されてよい。
【0038】
基準情報作成部12は、印刷制御装置2についての印刷性能情報のスペック値を作成する。
【0039】
印刷性能情報は、ユーザに提示される印刷制御装置2の性能を表す情報であり、例えば、斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットを含んでよい。
【0040】
斜行補正時間は、斜行補正に要する時間である。斜行補正精度を高くすると斜行補正時間は長くなり、また、印刷制御装置2のスループットは低下する。逆に、斜行補正精度を低くすると斜行補正時間は短くなり、また、印刷制御装置2のスループットは向上する。
【0041】
定着温度到達時間は、印刷装置3の定着器(図示省略)をヒータ(図示省略)で予熱する際に、定着器が設定温度(定着器予熱温度)に到達するまでにかかる時間である。
【0042】
クールダウン時間は、印刷装置3の定着器等が高温になり、第1の所定温度(冷却開始温度)以上となった場合に、定着器等の冷却を開始してから、第2の所定温度(冷却目標温度)に到達するまでにかかる冷却時間である。
【0043】
スループットは、印刷性能を表す値であり、1時間あたりの印刷ページ数[単位:pph(Page Per Hour)]である。
【0044】
基準情報作成部12は、これらの斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットの各スペック値を取得する。斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットの各スペック値は、印刷装置3のベンダ等からカタログ値として予め提供されてよい。
【0045】
基準情報作成部12は、取得した印刷性能情報の各スペック値を記憶部10d等の所定の記憶領域に記憶させる。
【0046】
実測情報作成部11は、印刷装置3により実際に印刷を行なった結果に基づく印刷性能情報の実測値を作成する。
【0047】
印刷性能情報の実測値は、印刷制御装置2が実際に印刷を行なった性能を表す情報であり、例えば、斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットを含んでよい。斜行補正,定着温度到達およびクールダウンは、印刷装置3において行なわれる印刷に伴なって、印刷装置3において実行される処理(サブプロセス)である。
【0048】
実測情報作成部11は、印刷装置3による印刷実行中に、斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットを、それぞれ算出する。これらの、斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットの算出は、既知の種々の手法を用いて実現することができ、それぞれの詳細な説明は省略する。
【0049】
これらの実測値は、印刷装置3による印刷に伴うサブプロセス(斜行補正、定着温度到達、クールダウン)に関して、最後に行なった印刷時における(現在の)第1の処理スペックに相当する。
【0050】
実測情報作成部11は、作成(算出)した印刷性能情報の各実測値を記憶部10d等の所定の記憶領域に記憶させる。
【0051】
予測情報作成部13は、印刷制御装置2について、印刷条件を変更した場合の印刷性能情報の予測値を作成する。
【0052】
印刷性能情報の予測値は、印刷条件を変更して印刷制御装置2に印刷を行なわせる場合の性能を表す情報であり、例えば、斜行補正時間,定着温度到達時間,クールダウン時間およびスループットを含んでよい。
【0053】
予測情報作成部13は、入力装置(図示省略)からユーザが行なう入力操作に基づいて、印刷性能情報の各予測値を算出する。
【0054】
ここで、本印刷システム1は、ディスプレイ4に表示された簡易設定画面101(
図3~
図5参照)からユーザが入力操作を行なうことで印刷制御装置2のパラメータを変更するための入力操作を行なう簡易設定入力モードと、ディスプレイ4に表示されたカスタム設定画面102(
図11~
図13参照)からユーザが入力操作を行なうカスタム設定入力モードとの2種類の入力モードを有する。簡易設定入力モードおよびカスタム設定入力モードをパラメータ変更モードといってよい。
【0055】
予測情報作成部13は、これらの各入力モードのそれぞれにおいて、印刷性能情報の予測値を算出する。
まず、簡易設定入力モードについて説明する。
【0056】
図3~
図5は一実施形態に係る印刷システム1における簡易設定画面101の例を示す図である。
【0057】
簡易設定画面101は、複数種類のサブプロセスに関して、それぞれ複数の性能モードをユーザに選択肢として提示し、ユーザに、各サブプロセスについて性能モードを選択(入力)させる。
【0058】
図3~
図5に例示する簡易設定画面101は、選択入力部101aと、想定スループット提示部101bと、決定入力部101cとを有する。
【0059】
選択入力部101aは、ユーザに対して、複数種類のサブプロセスに関して、それぞれ複数の性能モードを選択肢として提示する提示画面としての機能と、ユーザに、各サブプロセスについて性能モードを選択(入力)させる入力画面としての機能を実現する。
【0060】
図3~
図5に例示する簡易設定画面101において、選択入力部101aは、サブプロセスとして、斜行補正,定着温度到達およびクールダウンを示している(符号P1参照)。
【0061】
また、この選択入力部101aにおいては、斜行補正に対して、性能モードとして、ノーマル,高精度および高速が対応付けられている(符号P2参照)。また、定着温度到達に対して、性能モードとして、ノーマル,エコおよび高速が対応付けられている(符号P3参照)。さらに、クールダウンに対して、性能モードとして、ノーマル,省エネおよび連続が対応付けられている(符号P4参照)。
【0062】
さらに、選択入力部101aにおいては、各性能モード(ノーマル,高精度,エコ,省エネ,高速,連続)に対応付けて、それぞれ印刷速度を示している(符号P5参照)。印刷速度は、各性能モードが選択された場合における印刷装置3のスループットの目安値(指標値)である。以下、選択入力部101aにおける印刷速度の値を印刷速度指標値といってよい。
【0063】
また、以下、斜行補正に関して、性能モードがノーマルであることをノーマルモードといってよく、また、性能モードが高精度であることを高精度モードといってよく、さらに、性能モードが高速であることを高速モードといってよい。
【0064】
同様に、定着温度到達に関して、性能モードがノーマルであることをノーマルモードといってよく、また、性能モードがエコであることをエコモードといってよく、さらに、性能モードが高速であることを高速モードといってよい。
【0065】
また、クールダウンに関して、性能モードがノーマルであることをノーマルモードといってよく、また、性能モードが省エネであることを省エネモードといってよく、さらに、性能モードが連続であることを連続モードといってよい。
【0066】
図3~
図5において、選択入力部101aにおける、各サブプロセス(斜行補正,定着温度到達およびクールダウン)に対応する、各性能モード(ノーマル,高精度,エコ,省エネ,高速および連続)での各印刷速度指標値が表示された表示領域(符号P5参照)が、それぞれユーザが性能モードを選択するための入力部となっている。
【0067】
すなわち、選択入力部101aにおいて、ユーザが、各サブプロセス(斜行補正,定着温度到達およびクールダウン)について、各性能モード(ノーマル,高精度,エコ,省エネ,高速および連続)に対応して表示された3種類の印刷速度指標値のうち、いずれかの印刷速度指標値を選択(クリック等)することで、印刷装置3に対する入力操作が行なわれる。
【0068】
すなわち、簡易設定画面101においては、ユーザが、各サブプロセスに対して、パラメータの最大値、ノーマル値および最小値のいずれかを選択することで、3段階の選択入力を行なうことができる。
【0069】
印刷速度指標値は、印刷装置3に関して予め作成された斜行補正特性情報,定着温度特性情報およびクールダウン特性情報に基づいて、予測情報作成部13が算出する。
【0070】
図6は一実施形態に係る印刷システム1における斜行補正特性情報を例示する図である。
【0071】
斜行補正特性情報は、斜行補正精度とスループットとの関係を示す。この
図6に示すように、印刷装置3は、斜行補正精度を低くするとスループットが向上し、斜行補正精度を高くするとスループットが低下する特性(斜行補正特性)を有する。
【0072】
斜行補正特性情報は、ユーザ環境において、印刷装置3にノーマルモードで印刷を実行させる際に、印刷制御装置2が、種々の斜行補正精度で印刷を行ない、各斜行補正精度でのスループットを記録することで取得してよい。また、斜行補正特性情報を印刷装置3のベンダ等が提供してよい。
【0073】
図6に例示する斜行補正特性情報における、スループットの最大値512,最小値366および中央値427が、
図3に例示する簡易設定画面101の、選択入力部101aの斜行補正に対する、高速,高精度およびノーマルの各印刷速度指標値として用いられている。
【0074】
すなわち、予測情報作成部13は、斜行補正特性情報における、スループットの最大値,最小値および中央値を取得し、これらの取得した値を、簡易設定画面101における印刷速度指標値として用いてよい。
【0075】
なお、
図6に示す例においては、斜行補正特性情報をグラフとして示しているが、これに限定されるものではない。斜行補正特性情報は数式やテーブル等のグラフ以外のフォーマットであってよい。
【0076】
図7は一実施形態に係る印刷システム1における定着温度特性情報を例示する図である。
【0077】
定着温度特性情報は、定着器余熱温度とスループットとの関係を示す。この
図7に示すように、印刷装置3は、定着器余熱温度を低くするとスループットが低下し、定着器余熱温度を高くするとスループットが向上する特性(定着温度特性)を有する。
【0078】
定着温度特性情報は、ユーザ環境において、印刷装置3にノーマルモードで印刷を実行させる際に、印刷制御装置2が、定着器余熱温度を種々変更しながら運用を行ない、各定着器余熱温度でのスループットを記録することで取得してよい。また、定着温度特性情報を印刷装置3のベンダ等が提供してよい。
【0079】
図7に例示する定着温度特性情報における、スループットの最大値429,最小値424および中央値427が、
図3に例示する簡易設定画面101の、選択入力部101aの定着温度到達に対する、高速,エコおよびノーマルの各印刷速度指標値として用いられている。
【0080】
すなわち、予測情報作成部13は、定着温度特性情報における、スループットの最大値,最小値および中央値を取得し、これらの取得した値を、簡易設定画面101における印刷速度指標値として用いてよい。
【0081】
なお、
図7に示す例においては、定着温度特性情報をグラフとして示しているが、これに限定されるものではない。定着温度特性情報は数式やテーブル等のグラフ以外のフォーマットであってよい。
【0082】
図8は一実施形態に係る印刷システム1におけるクールダウン特性情報を例示する図である。
【0083】
クールダウン特性情報は、冷却能力とスループットとの関係を示す。冷却能力は、例えば、冷却ファンの回転速度であってよく、回転速度を速くするほど冷却能力が高くなり、回転速度を遅くするほど冷却能力が低くなる。そして、
図8に示すように、印刷装置3は、冷却能力を低くするとスループットが低下し、冷却能力を高くするとスループットが向上する特性(クールダウン特性)を有する。
【0084】
実測情報作成部11は、ユーザ環境において、印刷装置3にノーマルモードで印刷を実行させる際に、冷却ファンを種々の回転速度(冷却能力)で回転させて印刷を行ない、各回転速度でのスループットを記録することで取得してよい。また、クールダウン特性情報を印刷装置3のベンダ等が提供してよい。
【0085】
図8に例示するクールダウン特性情報における、スループットの最大値449,最小値423および中央値427が、
図3に例示する簡易設定画面101の、選択入力部101aのクールダウンに対する、連続,省エネおよびノーマルの各印刷速度指標値として用いられている。
【0086】
すなわち、予測情報作成部13は、クールダウン特性情報における、スループットの最大値,最小値および中央値を取得し、これらの取得した値を、簡易設定画面101における印刷速度指標値として用いてよい。
【0087】
予測情報作成部13は、上述した各サブプロセスに関する印刷速度指標値を演算式を用いて算出してよい。
【0088】
図9は一実施形態に係る印刷システム1における予測情報作成部13が印刷速度指標値を演算式を用いて算出する際に参照する必要時間情報を例示する図である。
【0089】
図9に例示する必要時間情報においては、各性能プロパティの各性能モードに対して、各性能モードで印刷を行なう際に、各サブプロセスを実施するための必要時間が登録されている。なお、必要時間は、予め、試験印刷を行なうことで求めた値を設定してもよく、また経験に基づいて任意に設定してもよい。
【0090】
予測情報作成部13は、この必要時間情報を参照して、算出対象とする性能プロパティの性能モードに対応する必要時間と、算出対象以外の性能プロパティの各ノーマルモードに対応する必要時間とを用いて、印刷速度指標値を算出してよい。
【0091】
予測情報作成部13は、
図9に例示した必要時間情報に基づいて算出する1ページの印刷にかかる時間(斜行補正にかかる時間と定着温度到達にかかる時間とクールダウンにかかる時間との合計)を用いて、1時間に印刷できるページ数を算出してよい。
【0092】
一例として、例えば、
図5に示す例において、斜行補正プロセスの高速モードの印刷速度指標値を、以下の式で算出することができる。
【0093】
60×60/((20×5.9+7.5+15.1)/20)=512.09
≒512
なお、上記の式において、斜行補正の実施頻度は1ページ印刷する毎であり、定着温度到達およびクールダウンの実施頻度は20ページ印刷する毎であるものとする。また、60×60は単位を時間に換算するためのものである。
【0094】
簡易設定画面101の説明に戻る。
【0095】
想定スループット提示部101bは、選択入力部101aにおいてサブプロセス毎に選択された性能モード(印刷速度指標値)の選択結果から想定される、印刷装置3のスループットを示す。
【0096】
想定スループット提示部101bに表示されるスループットの値を想定スループットといってよい。
【0097】
予測情報作成部13は、選択入力部101aにおけるサブプロセス毎に選択された性能モード(印刷速度指標値)の選択結果に基づき、想定スループットを算出する。例えば、予測情報作成部13は、サブプロセス毎に選択された印刷速度指標値のそれぞれに所定の係数をかけたうえで平均をとってよい。係数は、例えば、サブプロセスにかかる処理の頻度に応じて設定してよい。例えば、斜行補正の実施頻度(例えば、1ページ印刷する毎)が定着温度到達およびクールダウンの実施頻度(例えば、20ページ印刷する毎)よりも高い場合に、斜行補正の印刷速度指標値に高い重みを設定してよい。
【0098】
なお、予測情報作成部13による想定スループットの算出はこれに限定されるものではなく、適宜変形して実施することができる。
【0099】
例えば、予測情報作成部13は、上述した必要時間情報を参照して、選択入力部101aにおいて選択された各性能モードに対応する各必要時間を用いて想定スループットを算出してよい。
【0100】
一例として、例えば、
図5に示す例において、斜行補正プロセスに高速モードを、定着温度到達にエコを、クールダウンに省エネを選択した場合の想定スループットを、以下の式で算出することができる。
【0101】
60×60/((20×5.9+8.6+16.9)/20)=501.74
≒502
なお、上記の式において、斜行補正の実施頻度は1ページ印刷する毎であり、定着温度到達およびクールダウンの実施頻度は20ページ印刷する毎であるものとする。また、60×60は単位を時間に換算するためのものである。
【0102】
図3に例示した簡易設定画面101においては、斜行補正,定着温度到達およびクールダウンのそれぞれに対してノーマルモードが選択されており(符号P6~P8参照)、これらの選択の結果として、想定スループットとして427が示されている(符号P9参照)。
【0103】
図4に例示した簡易設定画面101においては、斜行補正および定着温度到達に対してそれぞれ高速モードが(符号P6,P7参照)、クールダウンに対して連続モードが(符号P8参照)、それぞれ選択されており、これらの選択の結果として想定スループットとして547が示されている(符号P9参照)。
【0104】
すなわち、
図4に例示した簡易設定画面101は、斜行補正,定着温度到達およびクールダウンの全サブプロセスにおいて、スループットが最も高い性能モードがそれぞれ選択されている。このような、全サブプロセスにおいて、スループットが最も高い性能モードがそれぞれ選択された状態を全改善モードといってよい。
【0105】
図5に例示した簡易設定画面101においては、斜行補正に対して高速モードが選択されている(符号P6参照)。このような選択は、ユーザが、斜行補正に関しては精度を要求せずに、印刷速度を優先したことによる。
【0106】
また、定着温度到達に対してエコモードが(符号P7参照)、クールダウンに対して省エネモードが(符号P8参照)、それぞれ選択されている。このような選択は、印刷性能よりも省エネを優先したことによる。また、これらの選択の結果として、想定スループットとして502が示されている(符号P9参照)。
【0107】
簡易設定画面101の印刷速度指標値や想定スループットは、印刷装置3のパラメータ(斜行補正精度、定着予熱時間、冷却能力)を変化させて得られる性能モード(高精度、高速、ノーマル、連続、エコ、省エネ)で印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックに相当する。
【0108】
ユーザは、簡易設定画面101の選択入力部101aにおいて性能モードの選択を行ない、その結果表示される想定スループットの値を確認する。確認の結果、想定スループットが希望に沿うものである場合に、決定入力部101cをマウスを操作してクリックする等して選択する。
【0109】
予測情報作成部13は、決定入力部101cに対する選択操作が行なわれた場合に、その時点で選択入力部101aにおいて選択されている性能モードに対応する斜行補正精度,定着器余熱温度および冷却能力をパラメータとして取得する。
【0110】
印刷制御装置2は、このように取得されたパラメータを印刷装置3に反映させ、印刷を行なわせる。
次に、カスタム設定入力モードについて説明する。
【0111】
カスタム設定入力モードにおいては、ユーザが、ディスプレイ4に表示されたカスタム設定画面102を介して、印刷装置3の複数種類のサブプロセスのそれぞれについて、パラメータ値を任意に設定(入力)する。
【0112】
図10はカスタム設定画面102のトップ画面を例示する。以下、カスタム設定画面102のトップ画面に符号102-0を付して、トップ画面102-0と表す場合がある。
【0113】
トップ画面102-0は、
図10に示すように、選択入力部102aと決定入力部102cとを有する。
【0114】
選択入力部102aにおいては、複数種類のサブプロセス(斜行補正,定着温度到達およびクールダウン)に対して、実測時間,基準時間および想定改善時スループットをそれぞれ対応付けている。
【0115】
実測時間は、各サブプロセスにかかった時間の実測値であり、実測情報作成部11によって作成されたものである。
図10に示す例において、実測時間の単位は秒である。基準時間は、各サブプロセスにかかる時間のスペック値であり、基準情報作成部12によって作成されたものである。
図10に示す例において、基準時間の単位は秒である。
【0116】
想定改善時スループットは、その時点で設定されているパラメータで得られる印刷装置3のスループットの目安値(指標値)である。想定改善スループットの値は、予測情報作成部13が、前述した印刷速度指標値と同様の手法で算出してよい。
【0117】
トップ画面102-0の想定スループットは、印刷装置3のパラメータ(斜行補正精度、定着予熱時間、冷却能力)を変化させて得られる性能モード(高精度、高速、ノーマル、連続、エコ、省エネ)で印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックに相当する。
【0118】
また、トップ画面102-0の選択入力部102aは、各サブプロセスに対して設定要否が対応付けられている。
【0119】
選択入力部102aにおける各サブプロセスに対応付けられた設定要否の各領域には、それぞれ「変更する」と記載された変更ボタン102d-1~102d-3が配置されている。以下、以下、変更ボタン102d-1~102d-3を特に区別しない場合には、変更ボタン102dと表記する。
【0120】
ユーザが斜向補正に対応付けられた変更ボタン10d-1を選択(クリック)すると、
図11に示す斜行補正変更用のカスタム設定画面102-1に画面が切り替わる。また、ユーザが定着温度到達に対応付けられた変更ボタン10d-2を選択すると、
図12に示す定着温度変更用のカスタム設定画面102-2に画面が切り替わる。さらに、ユーザがクールダウンに対応付けられた変更ボタン10d-3を選択(クリック)すると、
図13に示すクールダウン変更用のカスタム設定画面102-3に画面が切り替わる。
【0121】
以下、カスタム設定画面102-0~10-3を特に区別しない場合には、カスタム設定画面102と表記する。
【0122】
図11は一実施形態に係る印刷システム1の斜行補正変更用のカスタム設定画面102-1を例示する図である。
【0123】
図11に例示する斜行補正変更用のカスタム設定画面102-1は、カスタム入力部102e-1と決定入力部102fとを含む。
【0124】
図11に例示するカスタム入力部102e-1は、ステータス,斜行角度,スループットおよびモードを対応付けたテーブルフォーマットを有する。
【0125】
ステータスには、デフォルト値,許容斜行角度下限,許容斜行角度上限および指定斜行角度が示されている。モードには、ノーマル,高精度,高速およびカスタムが示されている。
【0126】
この
図11に示す例においては、斜行補正の斜行角度のデフォルト値が2.0°であり、ノーマルモードにおいては、このデフォルト値の斜行角度2.0°が斜行補正に用いられる。また、このデフォルト値においては、スループットの目安として427pphが示されている。このデフォルト値のスループットは実測値である。
【0127】
ここで、ノーマルモードとは、印刷装置3における複数の印刷パラメータのデフォルト値を採用して印刷を行なうモードである。印刷パラメータは、例えば、斜行補正精度,定着器余熱温度,冷却能力を含んでよい。
【0128】
許容斜行角度下限は、斜行補正の設定値として設定可能な斜行角度の下限値を表す。この許容斜行角度下限には、斜行角度として1.5°が示されており、高精度モードにおいては、この斜行角度下限1.5°が斜向補正に用いられる。また、この斜行角度1.5°でのスループットの目安として366pphが算出されて示されている。
【0129】
許容斜行角度上限は、斜行補正の設定値として設定可能な斜行角度の上限値を表す。この許容斜行角度上限には、斜行角度として3.0°が示されており、高速モードにおいては、この斜行角度上限3.0°が斜向補正に用いられる。また、この斜行角度3.0°でのスループットの目安として512pphが算出されて示されている。
【0130】
カスタム設定画面102-1のカスタム入力部102e-1においては、ユーザが指定斜行角度を入力することができる。このようにして、ユーザが任意に設定した斜行角度(指定斜行角度)が、カスタムモードにおいて用いられる。
【0131】
図11に示す例においては、指定斜行角度に対応させて、指定斜行角度を入力するための入力領域102g-1が形成されている。
【0132】
ユーザが、許容斜行角度下限と許容斜行角度上限との間の任意の角度(斜行角度)を入力領域102g-1に入力する。
図11に示す例においては、ユーザが入力した斜行角度としてaaが示されている。
【0133】
予測情報作成部13は、ユーザにより入力された斜行角度aaに基づいてスループットの目安AApphを算出し、指定斜行角度に対応付けて表示させる。
【0134】
ユーザは、例えば、印刷を、印刷用紙のプレプリントの枠線内に厳密に行ないたく、且つ、印刷に時間がかかっても良い場合、指定斜行角度として許容斜行角度下限の1.5°を入力してよい。ただし、この場合、印刷装置3による印刷時間が基準時間を大幅に超えることとなる。一方、例えば、白紙にテキストを印刷する場合であって、字が読めれば良く、また、できるだけ早く印刷したい場合、ユーザは、指定斜行角度として許容斜行角度上限の3°を入力してよい。これにより、印刷装置3の印刷速度を速くすることができる。
【0135】
なお、ユーザが印刷精度および印刷速度に対する要求がそれほど厳しくない場合には、ユーザは、指定斜行角度として1.5°よりも大きく、3°未満の任意の角度を設定してよい。
【0136】
図12は一実施形態に係る印刷システム1の定着温度変更用のカスタム設定画面102-2を例示する図である。
【0137】
図12に例示する定着温度変更用のカスタム設定画面102-2は、カスタム入力部102e-2と決定入力部102fとを含む。
【0138】
図12に例示するカスタム入力部102e-2は、ステータス,余熱温度,スループットおよびモードを対応付けたテーブルフォーマットを有する。
【0139】
ステータスには、デフォルト値,余熱温度下限,余熱温度上限および指定余熱温度が示されている。モードには、ノーマル,エコ,高速およびカスタムが示されている。
【0140】
この
図12に示す例においては、定着器の余熱温度のデフォルト値が100℃であり、ノーマルモードにおいては、このデフォルト値の100℃が定着器の余熱温度として用いられる。また、このデフォルト値においては、スループットの目安として427pphが示されている。このデフォルト値(ノーマルモード)のスループットは実測値である。
【0141】
余熱温度下限には、定着器の余熱温度として80℃が示されており、エコモードにおいては、この余熱温度80℃が定着器の余熱温度として用いられる。また、この余熱温度80℃でのスループットの目安として424pphが算出されて示されている。
【0142】
余熱温度上限には、定着器の余熱温度として120℃が示されており、高速モードにおいては、この余熱温度120℃が定着器の余熱温度として用いられる。また、この余熱温度120℃でのスループットの目安として429pphが算出されて示されている。
【0143】
カスタム設定画面102-2のカスタム入力部102e-2においては、ユーザが指定余熱温度を入力することができる。このようにして、ユーザが任意に設定した余熱温度(指定余熱温度)が、カスタムモードにおいて用いられる。
【0144】
図12に示す例においては、指定余熱温度に対応させて、指定余熱温度を入力するための入力領域102g-2が形成されている。
【0145】
ユーザが、余熱温度下限と余熱温度上限との間の任意の温度(余熱温度)を入力領域102g-2に入力する。
図12に示す例においては、ユーザが入力した余熱温度としてbbが示されている。
【0146】
予測情報作成部13は、ユーザにより入力された余熱温度bbに基づいてスループットの目安BBpphを算出し、指定余熱温度に対応付けて表示させる。
【0147】
図13は一実施形態に係る印刷システム1のクールダウン変更用のカスタム設定画面102-3を例示する図である。
【0148】
図13に例示するクールダウン変更用のカスタム設定画面102-3は、カスタム入力部102e-3と決定入力部102fとを含む。
【0149】
図13に例示するカスタム入力部102e-3は、ステータス,冷却ファン回転数,スループットおよびモードを対応付けたテーブルフォーマットを有する。
【0150】
ステータスには、デフォルト値,冷却能力下限,冷却能力上限および指定冷却能力が示されている。モードには、ノーマル,省エネ,連続およびカスタムが示されている。
【0151】
この
図13に示す例においては、冷却ファンの回転数のデフォルト値が10Kppmであり、ノーマルモードにおいては、このデフォルト値の10Kppmが冷却ファンの回転数として用いられる。また、このデフォルト値においては、スループットの目安として427pphが示されている。このデフォルト値(ノーマルモード)のスループットは実測値である。
【0152】
冷却能力下限には、冷却ファンの回転数として8Kppmが示されており、省エネモードにおいては、この回転数8Kppmが冷却ファンの回転数として用いられる。また、この冷却ファンの回転数8Kppmでのスループットの目安として423pphが算出されて示されている。
【0153】
冷却能力上限には、冷却ファンの回転数として12Kppmが示されており、連続モードにおいては、この回転数12Kppmが冷却ファンの回転数として用いられる。また、この冷却ファンの回転数12Kppmでのスループットの目安として449pphが算出されて示されている。
【0154】
カスタム設定画面102-3のカスタム入力部102e-3においては、ユーザが指定冷却能力を入力することができる。このようにして、ユーザが任意に設定した冷却能力(指定冷却能力)が、カスタムモードにおいて用いられる。
【0155】
図13に示す例においては、指定冷却能力に対応させて、指定冷却能力(冷却ファンの回転数)を入力するための入力領域102g-3が形成されている。
【0156】
ユーザが、冷却能力下限と冷却能力上限との間の任意の回転数(冷却ファンの回転数)を入力領域102g-3に入力する。
図13に示す例においては、ユーザが入力した冷却能力としてccが示されている。
【0157】
予測情報作成部13は、ユーザにより入力された冷却能力ccに基づいてスループットの目安CCpphを算出し、指定冷却能力に対応付けて表示させる。
【0158】
なお、
図11~
図13に示した角度や温度,回転数の数値は目安であり、これらの各値に限定されない。また、ユーザの用紙種類・プリンタの設置環境によって、パラメータを限界まで変更してもカタログのスペック値に到達しない可能性がある。
【0159】
ユーザは、各カスタム設定画面102-1~102-3の入力領域102g-1~102b-3に数値入力を行ない、その結果表示されるスループットの目安値を確認する。確認の結果、スループットの目安が希望に沿うものである場合に、決定入力部102fをマウスを操作してクリックする等して選択する。以下、入力領域102g-1~102b-3を特に区別しない場合には、入力領域102gと表記する。
【0160】
予測情報作成部13は、決定入力部102fに対する選択操作が行なわれた場合に、その時点でカスタム設定画面102-1~102-3の入力領域102g-1~102b-3に入力されている指定斜行角度,指定余熱温度および指定冷却能力のいずれかの値をパラメータとして取得する。
【0161】
印刷制御装置2は、このように取得されたパラメータを印刷装置3に反映させ、印刷を行なわせる。
【0162】
上述した簡易設定入力モードとカスタム設定入力モードとの切り替えは、例えば、ディスプレイ4に表示された初期画面100において、ユーザが行なう選択入力に従って実施してよい。
【0163】
各カスタム設定画面102のスループットは、印刷装置3のパラメータ(斜行補正精度、定着予熱時間、冷却能力)を変化させて得られる性能モード(高精度、高速、ノーマル、連続、エコ、省エネ)で印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックに相当する。
【0164】
図14は一実施形態に係る印刷システム1の初期画面100を例示する図である。
【0165】
この
図14に例示する初期画面100は、プロセス情報100a,スループット情報100b,戻る選択部100c,簡易設定選択部100dおよびカスタム設定選択部100eを有する。
【0166】
後述する表示制御部14は、印刷制御装置2においてユーザが印刷装置3に印刷を実行させる実行指示を入力した際や、印刷実行を行なう前にユーザがパラメータを行なう旨の変更指示を入力した際に、この初期画面100をディスプレイ4に表示させてよい。
【0167】
プロセス情報100aは、斜行補正,定着温度到達およびクールダウンの3種類のサブプロセスについて、それぞれ実測時間,基準時間および想定改善時スループットを対応付けて示す。これらの値は、上述の如く、実測情報作成部11,基準情報作成部12および予測情報作成部13によって作成される。
【0168】
スループット情報100bは、スループットの実測値,基準値および全改善モード適用時の値を示す。これらの値も、上述の如く、実測情報作成部11,基準情報作成部12および予測情報作成部13によって作成される。
【0169】
これらのプロセス情報100aやスループット情報100bを参照することで、ユーザは、印刷装置3の性能の実測値と基準値と最善値とを把握することができる。
【0170】
初期画面100の想定改善時スループットや全改善スループットは、印刷装置3のパラメータ(斜行補正精度、定着予熱時間、冷却能力)を変化させて得られる性能モード(高精度、高速、ノーマル、連続、エコ、省エネ)で印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックに相当する。
【0171】
戻る選択部100cは、図示しない印刷指示入力画面に移行するためのものであり、ユーザがスループット情報100bの実測値で印刷を行なうことを許容する、すなわち変更不要である場合に、この戻る選択部100cを選択する入力を行なう。
【0172】
簡易設定選択部100dは、簡易設定入力モードに移行するためのものである。ユーザがスループットの実測値やサブプロセスの実測時間に許容できず、簡易設定画面101でサブプロセスの少なくとも1つに対して性能モードを指定することで、スループットの改善を行ないたい場合に、この簡易設定選択部100dを選択する入力を行なう。
【0173】
カスタム設定選択部100eは、カスタム設定入力モードに移行するためのものである。ユーザがスループットの実測値やサブプロセスの実測時間に許容できず、カスタム設定画面102で斜行角度や余熱温度、冷却能力の少なくとも1つを任意に設定(指定)することで、スループットの改善を行ないたい場合に、このカスタム設定選択部100eを選択する入力を行なう。
【0174】
(B)動作
上述の如く構成された一実施形態に係る印刷システム1の印刷制御装置2の処理を、
図15に示すフローチャート(ステップA1~A13)に従って説明する。
【0175】
ステップA1において、表示制御部14は、
図14に例示する初期画面100をディスプレイ4に表示させる。ユーザは、この初期画面100において、プロセス情報100aやスループット情報100bを参照することで、印刷装置3の性能の実測値と基準値と最善値とを把握することができる。
【0176】
ただし、印刷装置3の初回起動時には、プロセス情報100aの各実測時間とスループット情報100bの実測値は表示されない。
【0177】
ユーザは、必要に応じて、簡易設定入力モードやカスタム設定モードで、印刷装置3のパラメータ変更を行なう。ここで、簡易設定入力モードもしくはカスタム設定モードで、印刷装置3のパラメータ変更を行なったものとする。
【0178】
ステップA2において、印刷制御装置2は、時刻T1の測定を行ない記憶部10d等に記録する。
【0179】
ステップA3において、印刷制御装置2は、簡易設定入力モードもしくはカスタム設定モードによって変更されたパラメータによる斜行調節を行なう。
【0180】
ステップA4において、印刷制御装置2は、時刻T2の測定を行ない記憶部10d等に記録する。
【0181】
ステップA5において、印刷制御装置2は、簡易設定入力モードもしくはカスタム設定モードによって変更されたパラメータによる定着器の加熱を行なう。
【0182】
ステップA6において、印刷制御装置2は、時刻T3の測定を行ない記憶部10d等に記録する。
【0183】
ステップA7において、印刷制御装置2は、印刷装置3において消耗品の消耗等があれば、例えば、ディスプレイ4にユーザに対する警告を表示させる。
【0184】
ステップA8において、印刷制御装置2は、印刷装置3に印刷を実行させる。
【0185】
ステップA9において、印刷制御装置2は、印刷が完了したかを確認する。確認の結果、印刷が完了していない場合には(ステップA9のNoルート参照)、ステップA10に移行する。
【0186】
ステップA10において、印刷制御装置2は、時刻T4の測定を行ない記憶部10d等に記録する。
【0187】
ステップA11において、印刷制御装置2は、定着器を加熱するヒータにおいてオーバーヒートが発生しているかを確認する。確認の結果、オーバーヒートが発生している場合には(ステップA11のYesルート参照)、ステップA12に移行する。
【0188】
ステップA12において、印刷制御装置2は、簡易設定入力モードもしくはカスタム設定モードによって変更されたパラメータによるヒータの冷却を行なう。
【0189】
ステップA13において、印刷制御装置2は、時刻T5の測定を行ない記憶部10d等に記録する。その後、ステップA3に戻る。
【0190】
ステップA11における確認の結果、オーバーヒートが発生していない場合にも(ステップA11のNoルート参照)、ステップA13に移行する。
【0191】
また、ステップA9における確認の結果、印刷が完了した場合には(ステップA9のYesルート参照)、処理を終了する。
【0192】
図15に示したフローチャートにおいて、時刻T1~T5の記録を行なうことで、各サブプロセスの実測時間を算出することができる。
【0193】
図16はサブプロセスの実測時間を説明するための図であって、
図15に示すフローチャートにおける時間の測定ポイント,実測時間,基準時間および実測時間と基準時間との差を、サブプロセス毎に例示する。
【0194】
T2-T1を算出することで斜行補正の実測時間が求められる。また、T3-T2を算出することで定着温度到達の実測時間が求められる。さらに、T5-T4を算出することで、クールダウンの実測時間が求められる。
【0195】
このようにして求めた各実測時間を基準時間と比較することで、基準時間との乖離を容易に把握することができる。
【0196】
次に、
図15に示したフローチャートのステップA1において、初期画面100に基づいてユーザが行なう入力操作を、
図17に示すフローチャート(ステップB1~B4)に従って説明する。
【0197】
ディスプレイ4に表示された初期画面100(
図14参照)において、表示制御部14は、プロセス情報100a,スループット情報100bを表示させる。プロセス情報100aの実測時間およびスループット情報100bの実測値は、前回に印刷を行なった際に測定した値が反映される。
【0198】
ステップB1において、ユーザが初期画面100を参照して、パラメータ変更モードの選択を行なう。すなわち、ユーザは、簡易設定選択部100d,カスタム設定選択部100eおよび戻る選択部100cのいずれかを選択する。
【0199】
ユーザは、プロセス情報100aの実測時間およびスループット情報100bの実測値で表される印刷性能、すなわち、前回に印刷を行なった際の印刷性能に納得し、変更不要と判断する場合に、戻る選択部100cを選択する(ステップB2)。
【0200】
また、簡易設定入力モードにより、簡易設定画面101から印刷制御装置2のパラメータを変更する場合には、ユーザは簡易設定選択部100dを選択する(ステップB3)。
【0201】
また、カスタム設定入力モードにより、カスタム設定画面102から印刷制御装置2のパラメータを変更する場合には、ユーザはカスタム設定選択部100eを選択する(ステップB4)。その後、処理は
図15のフローチャートのステップA2に移行する。
【0202】
次に、一実施形態に係る印刷システム1の簡易設定入力モードにおける処理を、
図18に示すフローチャート(ステップC1~C5)に従って説明する。
【0203】
ステップC1において、表示制御部14は、ディスプレイ4に簡易設定画面101を表示させることで、ユーザにパラメータの変更対象のサブプロセスについていずれかの性能モードを選択させる。
【0204】
ユーザは、簡易設定画面101において、パラメータの変更対象のサブプロセスに対して、いずれかの性能モードを選択する(ステップC2~C4参照)。表示制御部14は、簡易設定画面101における選択された性能モードに関する表示状態を変更させる。
【0205】
ステップC5において、予測情報作成部13は、簡易設定画面101において、性能モードの選択が完了したか、すなわち、次のモード指定の要否を確認する。性能モードの入力が完了していない場合には(ステップC5のNoルート参照)、ステップC1に戻る。
【0206】
性能モードの入力が完了した場合、すなわち、決定入力部101cに対する選択入力が行なわれた場合には(ステップC5のYesルート参照)、処理を終了する。
【0207】
次に、一実施形態に係る印刷システム1のカスタム設定入力モードに関する処理を、
図19に示すフローチャート(ステップD1~D5)に従って説明する。
【0208】
ステップD1において、表示制御部14は、カスタム設定画面102を表示させるための特定操作が行なわれたかを確認する。特定操作は、例えば、初期画面100におけるカスタム設定選択部100eの選択入力であってよい。また、特定操作は、予め規定された特定の入力操作であってもよい。表示制御部14は、特定操作が行なわれない場合には(ステップD1のNoルート参照)、ステップD1を繰り返し実行して待機する。
【0209】
特定操作が行なわれると(ステップD1のYesルート参照)、ステップD2に移行する。ステップD2において、表示制御部14は、ディスプレイ4にカスタム設定画面102のトップ画面102-0を表示させる。
【0210】
ステップD3において、ユーザは、カスタム設定画面102のトップ画面102-0の実測時間や基準時間、想定改善時スループットを参照して、いずれかのサブプロセスに対してパラメータ変更を行なうか否かを判断する。
【0211】
ここで、パラメータ変更を行なわない場合には(ステップD3のNoルート参照)、処理を終了する。
【0212】
一方、パラメータ変更を行なう場合には(ステップD3のYesルート参照)、ステップD4に移行する。
【0213】
ステップD4において、ユーザは、トップ画面102-0の選択入力部102aにおいてパラメータを変更したいサブプロセスについて、対応する変更ボタン102dを選択(クリック)する。
【0214】
表示制御部14は、選択された変更ボタン102dに対応するカスタム設定画面102をディスプレイ4に表示させる。
【0215】
ステップD5において、ユーザは、カスタム設定画面102の入力領域102gに、数値入力を行なう。予測情報作成部13は、ユーザにより入力領域102gに入力された数値に基づいてスループットの目安を算出し、カスタム設定画面102に対応付けて表示させる。
【0216】
ユーザは、カスタム設定画面102に表示された各パラメータや、スループットの目安、モード等を考慮し、入力領域102gに入力した数値に決定する場合には、決定入力部102fを選択して、入力を確認する。その後、処理を終了する。
【0217】
(C)効果
このように、一実施形態に係る印刷システム1によれば、例えば、初期画面100およびカスタム設定画面102のトップ画面102-0において、複数種類のサブプロセスについての実測時間,基準時間および想定改善時スループットを表示する。
【0218】
これにより、ユーザが、印刷装置3のパラメータを変更する場合の印刷性能を容易に把握することができ、ユーザが装置の印刷性能を正確に把握することができる。
また、印刷装置3がベンダ等の想定していないような環境下で運用されている場合であっても、パラメータ変更後の印刷性能を容易に把握することができる。さらに、ユーザが実測時間と基準時間とを容易に比較することができ、これにより、例えば、スループットの実測値が基準値よりも低い場合に、印刷速度低下の原因を容易に特定することができる。
【0219】
また、簡易設定画面101において、複数種類のサブプロセスに対応させて、複数の性能モードを変化させた場合の各スループットの目安を表示させる。これによっても、ユーザが、各サブプロセスに対して適用させる性能モードを選択するに際して、パラメータ変更後の印刷性能を容易に把握することができ、利便性が高い。また、印刷装置3がベンダ等の想定していないような環境下で運用されている場合であっても、パラメータ変更後の印刷性能を容易に把握することができる。
【0220】
さらに、カスタム設定画面102において、ユーザが指定斜行角度や指定予熱温度、指定冷却能力を入力すると、予測情報作成部13が、スループットの目安を表示させる。これによっても、ユーザが、印刷装置3のパラメータを変更する場合の印刷性能を容易に把握することができ、利便性が高い。また、印刷装置3がベンダ等の想定していないような環境下で運用されている場合であっても、パラメータ変更後の印刷性能を容易に把握することができる。
【0221】
また、カスタム設定入力モードにおいて、ユーザがカスタム設定画面102に表示されたスループットを参照することで、印刷速度低下の原因やスループットの最大値と最小値等を把握することができ、希望する印刷性能を得ることができる。
【0222】
(D)その他
本実施形態の各構成および各処理は、必要に応じて取捨選択することができ、あるいは適宜組み合わせてもよい。
【0223】
そして、開示の技術は上述した実施形態に限定されるものではなく、本実施形態の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【0224】
例えば、上述した実施形態においては、
図14に例示する初期画面100において、ユーザが簡易設定選択部100dを選択することで簡易設定入力モードに移行し、カスタム設定選択部100eを選択することでカスタム設定入力モードに移行している。すなわち、簡易設定入力モードとカスタム設定入力モードとの切り替えは、ユーザが初期画面100において簡易設定選択部100dとカスタム設定選択部100eとを使い分けることで実現しているが、これに限定されるものではない。
【0225】
例えば、ユーザがタッチパネルの特定の領域を連続してタッチする回数に応じて、簡易設定入力モードとカスタム設定入力モードとの切り替えを行なってよい。
【0226】
図20は一実施形態に係る印刷システム1における、簡易設定入力モードとカスタム設定入力モードとの切り替え方法の変形例を示すフローチャート(ステップE1~E4)である。
【0227】
ステップE1において、予測情報作成部13が、ユーザがタッチパネルの特定の領域に2回連続でタッチしたかを確認する。確認の結果、ユーザがタッチパネルの特定の領域に2回連続でタッチした場合には(ステップE1のYesルート参照)、ステップE3に移行する。ステップE3において、予測情報作成部13が、カスタム設定入力モードに移行する。その後、処理を終了する。
【0228】
また、ステップE1における確認の結果、ユーザがタッチパネルの特定の領域に2回連続でタッチしていない場合には(ステップE1のNoルート参照)、ステップE2に移行する。
【0229】
ステップE2において、予測情報作成部13が、ユーザがタッチパネルの特定の領域に1回タッチしたかを確認する。確認の結果、ユーザがタッチパネルの特定の領域に1回タッチした場合には(ステップE2のYesルート参照)、ステップE4に移行する。ステップE4において、予測情報作成部13が、簡易設定入力モードに移行する。その後、処理を終了する。
【0230】
また、ステップE2における確認の結果、ユーザがタッチパネルの特定の領域に1回タッチしていない場合には(ステップE2のNoルート参照)、ステップE1に戻る。
【0231】
上述した実施形態においては、印刷装置3のパラメータが、斜行補正精度,定着器予熱温度および冷却能力である例について示しているが、これに限定されるものではない。他のパラメータとして、例えば、トナー等の消耗品の消耗度、ユーザフォントの使用の有無等、印刷速度に影響を与える種々のパラメータを用いてもよい。
【0232】
また、上述した開示により本実施形態を当業者によって実施・製造することが可能である。
【0233】
(E)付記
以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0234】
(付記1)
印刷装置を制御する印刷制御装置であって、
前記印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、
前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックと
を対応付けて出力する
制御部を有することを特徴とする情報処理装置。
【0235】
(付記2)
前記制御部が、
複数種類の前記サブプロセスのそれぞれに対して、複数種類の前記性能モード毎に前記第2の処理スペックを算出して出力するとともに、
前記複数種類のサブプロセス毎に、前記複数種類の性能モードの中から選択された被選択性能モードでの前記第2の処理スペックを出力する
ことを特徴とする、付記1に記載の情報処理装置。
【0236】
(付記3)
前記制御部が、
前記印刷装置の前記パラメータを変更するために入力された更新用パラメータに基づいて、前記第2の処理スペックを算出する
ことを特徴とする、付記1または2に記載の情報処理装置。
【0237】
(付記4)
印刷装置を制御する印刷制御装置のプロセッサに、
前記印刷装置による印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、
前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックと
を対応付けて出力する
処理を実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0238】
(付記5)
複数種類の前記サブプロセスのそれぞれに対して、複数種類の前記性能モード毎に前記第2の処理スペックを算出して出力するとともに、
前記複数種類のサブプロセス毎に、前記複数種類の性能モードの中から選択された被選択性能モードでの前記第2の処理スペックを出力する
処理を前記プロセッサに実行させることを特徴とする、付記4に記載の情報処理プログラム。
【0239】
(付記6)
前記印刷装置の前記パラメータを変更するために入力された更新用パラメータに基づいて、前記第2の処理スペックを算出する
処理を前記プロセッサに実行させることを特徴とする、付記4または5に記載の情報処理プログラム。
【0240】
(付記7)
媒体に印刷を行なう印刷ユニットと、
前記印刷ユニットによる印刷に伴うサブプロセスに関して、最後に行なった印刷時における第1の処理スペックと、前記印刷装置のパラメータを変化させて得られる性能モードで印刷を行なわせる場合に想定される第2の処理スペックとを対応付けて出力する制御部と
を有することを特徴とする印刷システム。
【0241】
(付記8)
前記制御部が、
複数種類の前記サブプロセスのそれぞれに対して、複数種類の前記性能モード毎に前記第2の処理スペックを算出して出力するとともに、
前記複数種類のサブプロセス毎に、前記複数種類の性能モードの中から選択された被選択性能モードでの前記第2の処理スペックを出力する
ことを特徴とする、付記7に記載の印刷システム。
【0242】
(付記9)
前記制御部が、
前記印刷装置の前記パラメータを変更するために入力された更新用パラメータに基づいて、前記第2の処理スペックを算出する
ことを特徴とする、付記7または8に記載の印刷システム。
【符号の説明】
【0243】
1 印刷システム
2 印刷制御装置
3 印刷装置
4 ディスプレイ
12 印刷制御装置
10 コンピュータ
10a プロセッサ
10b グラフィック処理装置
10c メモリ
10d 記憶部
10e IF部
10f IO部
10g 読取部
10h プログラム
10i 記録媒体
10j バス
11 実測情報作成部
12 基準情報作成部
13 予測情報作成部
14 表示制御部
100 初期画面
100a プロセス情報
100b スループット情報
100c 戻る選択部
100d 簡易設定選択部
100e カスタム設定選択部
101 簡易設定画面
101a,102a 選択入力部
101b 想定スループット提示部
101c,102c,102f 決定入力部
102-0 トップ画面
102-1~102-3 カスタム設定画面
102d-1~102d-3,102d 変更ボタン
102e-1~102e-3 カスタム入力部
102g-1~102g-3 入力領域