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特開2024-180023情報処理装置、情報処理システム、方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180023
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 40/02 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q40/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099430
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(74)【代理人】
【識別番号】100190942
【弁理士】
【氏名又は名称】風間 竜司
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 和也
【テーマコード(参考)】
5L040
5L055
【Fターム(参考)】
5L040BB13
5L055BB13
(57)【要約】
【課題】印影イメージの取得回数を低減する
【解決手段】複数の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、を備える、情報処理装置。
【選択図】図6

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、
前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記情報処理装置は、口座情報と顧客番号および印鑑登録種別を関連付けて記憶しているホストコンピュータに、前記複数の取引情報の各々に含まれる口座情報に関連付けられている顧客番号および印鑑登録種別の検索を依頼する検索依頼部をさらに備え、
前記特定部は、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として共通印鑑が関連付けられている口座情報に対応する取引群を、前記2以上の取引として特定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記印鑑照合依頼部は、前記2以上の取引については1回のみ前記印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記特定部は、前記複数の取引情報を入力した顧客の操作により選択された取引群を、前記2以上の取引として特定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記印鑑照合依頼部は、前記2以上の取引の各々について前記印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記情報処理装置は、前記2以上の取引についての印鑑照合処理の結果が一致であることに基づき、顧客が前記複数の取引情報を入力した入力端末に印鑑照合が完了したことを示す通知を送信する完了通知送信部をさらに備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
入力端末と、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、
前記入力端末は、顧客により複数の取引を示す複数の取引情報が入力される操作部を有し、
前記情報処理装置は、
前記複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、
前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、
を有する、情報処理システム。
【請求項8】
複数の取引を示す複数の取引情報を取得することと、
前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定することと、
前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼することと、
を含む、コンピュータにより実行される方法。
【請求項9】
コンピュータを、
複数の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、
前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、
前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、
として機能させるための、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、情報処理システム、方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、金融機関において、顧客により入力された複数の取引情報に基づき、複数の取引を連続的に実行するシステムが知られている。取引によっては、印鑑照合処理が行われることもある。例えば、出金取引では、スキャナによって取得された印影イメージと、事前に登録されている印影イメージとの照合が行われ、照合結果が一致であった場合に取引が実行され得る。金融機関におけるシステムに関しては、例えば特許文献1に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-6040号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、複数の取引の中に印鑑照合処理を伴う2以上の取引が含まれる場合、当該2以上の取引の数に相当する回数に亘り、印影イメージの取得が必要となる。
【0005】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、印影イメージの取得回数を低減することが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、複数の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、を備える、情報処理装置が提供される。
【0007】
前記情報処理装置は、口座情報と顧客番号および印鑑登録種別を関連付けて記憶しているホストコンピュータに、前記複数の取引情報の各々に含まれる口座情報に関連付けられている顧客番号および印鑑登録種別の検索を依頼する検索依頼部をさらに備え、前記特定部は、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として共通印鑑が関連付けられている口座情報に対応する取引群を、前記2以上の取引として特定してもよい。
【0008】
前記印鑑照合依頼部は、前記2以上の取引については1回のみ前記印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼してもよい。
【0009】
前記特定部は、前記複数の取引情報を入力した顧客の操作により選択された取引群を、前記2以上の取引として特定してもよい。
【0010】
前記印鑑照合依頼部は、前記2以上の取引の各々について前記印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼してもよい。
【0011】
前記情報処理装置は、前記2以上の取引についての印鑑照合処理の結果が一致であることに基づき、顧客が前記複数の取引情報を入力した入力端末に印鑑照合が完了したことを示す通知を送信する完了通知送信部をさらに備えてもよい。
【0012】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、入力端末と、情報処理装置とを備える情報処理システムであって、前記入力端末は、顧客により複数の取引を示す複数の取引情報が入力される操作部を有し、前記情報処理装置は、前記複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、を有する、情報処理システムが提供される。
【0013】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、複数の取引を示す複数の取引情報を取得することと、前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定することと、前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼することと、を含む、コンピュータにより実行される方法が提供される。
【0014】
また、上記課題を解決するために本発明の別の観点によれば、コンピュータを、複数の取引を示す複数の取引情報を取得する取引情報取得部と、前記複数の取引のうちで、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部と、前記2以上の取引のうちのいずれかの取引に関して取得された印鑑の印影イメージを用いて前記2以上の取引についての印鑑照合処理を印鑑照合システムに依頼する印鑑照合依頼部と、として機能させるための、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0015】
以上説明した本発明によれば、印影イメージの取得回数を低減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の一実施形態による取引システムの一例について説明する図である。
図2】本発明の一実施形態による印影スキャナ10の構成を示す説明図である。
図3】本発明の一実施形態による顧客操作端末20の構成を示す説明図である。
図4】本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40の構成を示す説明図である。
図5】顧客情報の具体例を示す説明図である。
図6】本発明の一実施形態による制御サーバ30の構成を示す説明図である。
図7】顧客操作端末20から受信されて取引情報記憶部340に記憶された取引情報の具体例を示す説明図である。
図8】顧客番号、印鑑登録種別および印鑑取得単位が追加された後の取引情報の具体例を示す説明図である。
図9】本発明の一実施形態による印鑑照合システム50の構成を示す説明図である。
図10】本発明の一実施形態による印鑑照合端末60の構成を示す説明図である。
図11】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図12】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図13】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図14】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図15】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図16】本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。
図17】取引選択画面の具体例を示す説明図である。
図18】印鑑スキャン画面の具体例を示す説明図である。
図19】ハードウェア構成90の一例を示したブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書および図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0018】
<1.概要>
本発明の一実施形態は、情報処理システムに関し、特に、金融機関における取引に用いられる取引システムに関する。まず、図1を参照して、本発明の一実施形態による取引システムの概要を説明する。
【0019】
図1は、本発明の一実施形態による取引システムの一例について説明する図である。本実施形態による取引システムは、例えば図1に示すように、印影スキャナ10と、顧客操作端末20と、制御サーバ30と、金融機関の勘定系システムとして機能するホストコンピュータ40と、印鑑照合システム50と、印鑑照合端末60と、を含む。図1においては印影スキャナ10、顧客操作端末20および印鑑照合端末60が1つずつ示されているが、本発明の一実施形態による取引システムは複数の印影スキャナ10、複数の顧客操作端末20および複数の印鑑照合端末60を有してもよい。
【0020】
(印影スキャナ)
印影スキャナ10は、例えば金融機関の店舗等の店頭に設置されたカウンター7に載置される。印影スキャナ10は、印鑑の印影イメージを取得する印影イメージ取得部130を有する。顧客が印鑑を印影イメージ取得部130に押し当てることにより、印影イメージ取得部130が印鑑の印影イメージを取得する。印影スキャナ10は、顧客操作端末20と通信可能に接続されており、取得した印影イメージを顧客操作端末20に送信する。
【0021】
(顧客操作端末)
顧客操作端末20は、例えばカウンター7に載置される入力端末の一例である。顧客操作端末20は、通信網5を介して制御サーバ30と接続される。また、顧客操作端末20は、操作表示部および制御部を有する。例えば、制御部が取引情報の入力画面を生成し、操作表示部が当該入力画面を表示する。顧客は、操作表示部への操作により、取引情報を入力する。取引情報には、入金または出金取引の指定、入金金額または出金金額、顧客の氏名、顧客の口座番号等が含まれる。顧客操作端末20は、受付番号を採番し、受付番号を取引情報に加える。顧客操作端末20は、取引情報を、通信網5を介して制御サーバ30に送信する。顧客操作端末20は、複数の取引情報に対して1つの受付番号を採番することも可能である。この場合、複数の取引からなる一連の取引が1つの受付番号に対応付けられることになる。
【0022】
なお、金融機関の店員は、カウンター7の付近に待機して顧客による顧客操作端末20の操作をアシストしてもよい。また、顧客操作端末20は、例えばタブレット端末、スマートフォン、ノートPC、またはデスクトップ型PC等により実現されてもよい。
【0023】
また、顧客操作端末20は、印影スキャナ10と通信可能に接続されている。顧客操作端末20は、印影スキャナ10から印影イメージを取得すると、受付番号および印影イメージを制御サーバ30に送信し、印鑑照合処理の結果を印鑑照合システム50から制御サーバ30を介して受信する。
【0024】
顧客操作端末20は、印鑑照合処理の結果が一致であった場合、入力された取引情報に基づいて取引を進めるための処理を行ってもよい。例えば、顧客操作端末20は、顧客操作端末20と通信接続されたプリンターに受付番号を印字出力させてもよい。受付番号の印字は、受付番号の英数字の印字であってもよいし、受付番号を示すバーコードや二次元コード(QRコード(登録商標))の印字であってもよい。顧客は、プリンターから印字出力されたレシートを受け取った後、図示しない現金処理装置の場所まで移動し、当該レシートを現金処理装置に読み取らせることで、顧客操作端末20で入力した取引を開始し得る。または、顧客操作端末20は、入力された取引情報を示す伝票を作成し、プリンターに伝票を印字出力させてもよい。顧客は、出力された伝票を窓口に持ち込むことにより取引を進め得る。
【0025】
(制御サーバ)
制御サーバ30は、取引システムの動作を制御する情報処理装置の一例である。制御サーバ30は、金融機関の各店舗に設けられた顧客操作端末20と通信網5を介して通信接続する。また、制御サーバ30は、ホストコンピュータ40および印鑑照合システム50にも接続される。例えば、制御サーバ30は、顧客操作端末20から印影イメージを受信すると、口座情報および印影イメージを含む印鑑照合依頼を印鑑照合システム50へ送信する。
【0026】
(ホストコンピュータ)
ホストコンピュータ40は、入金取引および出金取引などの各種取引を実行する。入金取引は、入金先の口座残高を増加させる処理を含み、出金取引は、出金元の口座残高を減少させる処理を含む。また、ホストコンピュータ40は、口座情報に関連付けて顧客情報を記憶している。顧客情報は、顧客番号および印鑑登録種別を含む。印鑑登録種別には、「共通」または「個別」が設定される。「共通」は、口座に関連付けられている印鑑が共通印鑑であることを示す。「個別」は、口座に関連付けられている印鑑が個別印鑑であることを示す。共通印鑑は、複数の口座で用いられる共通の印鑑として登録されている印鑑であり、個別印鑑は、共通印鑑として登録されていない印鑑である。
【0027】
(印鑑照合システム)
印鑑照合システム50は、制御サーバ30および印鑑照合端末60と接続されている。印鑑照合システム50は、各口座情報に関連付けて登録印影イメージを記憶している。登録印影イメージは、登録されている印鑑の印影イメージである。印鑑照合システム50は、制御サーバ30からの印鑑照合依頼の受信に基づき、印鑑照合依頼に含まれる口座情報に関連付けて記憶されている登録印影イメージを検索し、検索された登録印影イメージ、および印鑑照合依頼に含まれる印影イメージを印鑑照合端末60に送信する。
【0028】
(印鑑照合端末)
印鑑照合端末60は、印鑑照合システム50から受信された登録印影イメージおよび印影イメージを照合する印鑑照合処理を行い、両者が一致するか否かを判断する。印鑑照合処理の結果は、印鑑照合システム50を介して制御サーバ30に送信される。
【0029】
(背景)
比較例によるシステムでは、一連の取引の中に印鑑照合処理を伴う複数の取引が含まれる場合、各取引に対して印影イメージが取得される。すなわち、複数の取引の数に相当する回数に亘り、印影イメージの取得が必要となる。
【0030】
本件発明者は、上記事情を一着眼点にして本発明の一実施形態を創作するに至った。本発明の一実施形態によれば、複数の取引の中に印鑑照合処理を伴う2以上の取引が含まれる場合に、印影イメージの取得回数を低減し得る。以下、このような本発明の一実施形態による取引システムに含まれる各要素の構成をより具体的に説明する。
【0031】
<2.印影スキャナ>
図2は、本発明の一実施形態による印影スキャナ10の構成を示す説明図である。図2に示したように、本発明の一実施形態による印影スキャナ10は、通信部120、印影イメージ取得部130および制御部150を備える。
【0032】
(通信部120)
通信部120は、顧客操作端末20と通信する。例えば、通信部120は、制御部150からの制御に基づき、印影イメージ取得部130により取得された印影イメージを顧客操作端末20に送信する。
【0033】
(印影イメージ取得部130)
印影イメージ取得部130は、印鑑の印影イメージを取得する。例えば、印影イメージ取得部130は、印鑑が押し当てられる当接面、および、当接面側から印鑑を撮像して印影イメージを取得する撮像部を有してもよい。
【0034】
(制御部150)
制御部150は、印影スキャナ10の動作全般を制御する。例えば、制御部150は、印影イメージ取得部130による印影イメージの取得、および通信部120による印影イメージの顧客操作端末20への送信などを制御する。
【0035】
<3.顧客操作端末の構成>
図3は、本発明の一実施形態による顧客操作端末20の構成を示す説明図である。図3に示したように、本発明の一実施形態による顧客操作端末20は、操作表示部210、スキャナ通信部220、サーバ通信部230、および制御部250を備える。
【0036】
(操作表示部210)
操作表示部210は、顧客により操作が行われる操作部としての機能、および、顧客に情報を表示する表示部としての機能を包含する。例えば、操作表示部210は、制御部250による制御に従って取引情報の入力画面を操作表示部210に表示させ、顧客は、操作表示部210を操作することにより取引情報を入力する。取引情報は、店番、科目および口座番号からなる口座情報と、取引種別と、金額と、後述する受付番号を含む。
【0037】
(スキャナ通信部220)
スキャナ通信部220は、印影スキャナ10と通信する。例えば、スキャナ通信部220は、印影スキャナ10に印影イメージの取得指示を送信し、印影スキャナ10から印影イメージを受信する。
【0038】
(サーバ通信部230)
サーバ通信部230は、制御サーバ30と多様な情報を通信する。例えば、サーバ通信部230は、顧客により操作表示部210に入力された取引情報を制御サーバ30に送信する。また、サーバ通信部230は、印影スキャナ10からスキャナ通信部220により受信された印影イメージを、制御部250による制御に基づいて制御サーバ30に送信する。
【0039】
(制御部250)
制御部250は、顧客操作端末20の動作全般を制御する。例えば、制御部250は、図3に示したように、受付番号採番部252および取引情報受付部254の機能を有する。
【0040】
受付番号採番部252は、顧客による顧客操作端末20の操作の開始に伴い、受付単位で一意な受付番号を採番する。1の受付で複数の取引からなる一連の取引を示す複数の取引情報が入力された場合には、複数の取引情報に1つの受付番号が対応付けられることになる。
【0041】
取引情報受付部254は、操作表示部210に入力された取引情報を受け付ける。取引情報は、入金または出金を示す取引種別、口座情報(店番、科目、口座番号)、取引される金額などが挙げられる。取引情報受付部254は、取引情報の追加を受け付ける機能も有する。
【0042】
その他、制御部250は、スキャナ通信部220と印影スキャナ10との通信、サーバ通信部230と制御サーバ30との通信、および操作表示部210における表示などを制御する。
【0043】
<4.ホストコンピュータの構成>
図4は、本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40の構成を示す説明図である。図4に示したように、本発明の一実施形態によるホストコンピュータ40は、通信部420、顧客情報記憶部440および制御部450を備える。
【0044】
(通信部420)
通信部420は、制御サーバ30と多様な情報を通信する。例えば、通信部420は、制御サーバ30から顧客の口座情報を受信し、当該口座情報が示す口座を有する顧客の顧客番号、および当該口座に登録されている印鑑の種別である印鑑登録種別を制御サーバ30に送信する。また、通信部420は、制御サーバ30から取引の実行依頼を受信し、制御サーバ30に取引の実行結果を送信する。
【0045】
(顧客情報記憶部440)
顧客情報記憶部440は、顧客情報を記憶する。図5は、顧客情報の具体例を示す説明図である。顧客情報においては、店番と、科目と、口座番号と、顧客番号と、印鑑登録種別と、が関連付けられている。店番、科目および口座番号は、口座を特定する口座情報の一例である。図示の例では、店番「001」と、科目「普通」と、口座番号「1111111」と、顧客番号「111111111111」と、印鑑登録種別「共通」と、が関連付けられている。また、図示の例では、店番「001」と、科目「普通」と、口座番号「2222222」と、顧客番号「111111111111」と、印鑑登録種別「共通」と、が関連付けられている。また、図示の例では、店番「001」と、科目「普通」と、口座番号「3333333」と、顧客番号「111111111111」と、印鑑登録種別「個別」と、が関連付けられている。
【0046】
図5に示した3つの口座には、全て同一の顧客番号「111111111111」が関連付けられており、これは、3つの口座が全て同一の顧客の口座であることを示す。また、口座番号「1111111」と口座番号「2222222」には印鑑登録種別「共通」が関連付けられており、これは、口座番号「1111111」と口座番号「2222222」には同一の共通印鑑が登録されていることを示す。
【0047】
(制御部450)
制御部450は、ホストコンピュータ40の動作全般を制御する。例えば、制御部450は、制御サーバ30からの取引の実行依頼の受信に基づき、入金先の口座残高を増加させる処理を含む入金取引、および、出金元の口座残高を減少させる処理を含む出金取引などを実行する。
【0048】
また、制御部450は、制御サーバ30からの口座情報の受信に基づき、当該口座情報に関連付けられた顧客番号および印鑑登録種別を顧客情報記憶部440から検索する。制御部450は、検索された顧客番号および印鑑登録種別を通信部420に制御サーバ30へ送信させる。
【0049】
<5.制御サーバの構成>
図6は、本発明の一実施形態による制御サーバ30の構成を示す説明図である。図6に示したように、本発明の一実施形態による制御サーバ30は、通信部320、取引情報記憶部340および制御部350を備える。
【0050】
(通信部320)
通信部320は、顧客操作端末20、ホストコンピュータ40および印鑑照合システム50などとのインターフェースであり、顧客操作端末20、ホストコンピュータ40および印鑑照合システム50などとの間で多様な情報を通信する。例えば、通信部320は、顧客操作端末20から取引情報および印影イメージなどを受信する。また、通信部320は、印鑑照合が完了したことを示す通知を顧客操作端末20に送信する完了通知送信部としての機能を有する。
【0051】
また、通信部320は、顧客操作端末20から受信された取引情報に含まれる口座情報をホストコンピュータ40に送信し、ホストコンピュータ40から顧客番号および印鑑登録種別を受信する。また、通信部320は、印鑑照合システム50に印鑑照合依頼を送信し、印鑑照合システム50から印鑑照合結果を受信する。
【0052】
(取引情報記憶部340)
取引情報記憶部340は、取引情報を記憶する。取引情報記憶部340が記憶する取引情報には、制御部350により情報が追加されていく。取引情報記憶部340が記憶する取引情報の具体例については、図7および図8を参照して後述する。
【0053】
(制御部350)
制御部350は、制御サーバ30の動作全般を制御する。より具体的には、制御部350は、取引情報取得部352、検索依頼部354、スキャン対象確認部356、および印鑑照合依頼部358の機能を包含する。
【0054】
-取引情報取得部352
取引情報取得部352は、顧客操作端末20から通信部320により受信された取引情報を取得する。例えば、取引情報取得部352は、1の顧客に関して連続的に実行される複数の取引を示す複数の取引情報を同時または順次に取得する。取引情報取得部352は、取得した取引情報を取引情報記憶部340に記憶させる。取引情報取得部352は、複数の取引情報を取得した場合、枝番を発行することで各取引情報を区別可能とする。
【0055】
図7は、顧客操作端末20から受信されて取引情報記憶部340に記憶された取引情報の具体例を示す説明図である。図7に示したように、取引情報においては、受付番号、枝番、店番、科目、口座番号、取引種別、および金額が関連付けられている。図7に示した3つの取引情報の受付番号は同一の「001」であり、これは、3つの取引情報の示す3つの取引が連続的に実行される一連の取引であることを示す。図7には、顧客番号、印鑑登録種別なども示されているが、顧客番号、印鑑登録種別などは顧客操作端末20から取引情報が受信された段階では取引情報記憶部340に記憶されない。
【0056】
-検索依頼部354
検索依頼部354は、顧客操作端末20から受信された取引情報に含まれる口座情報を検索キーとする顧客情報検索依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる。検索依頼部354は、当該顧客情報検索依頼に対する応答として通信部320により顧客番号および印鑑登録種別がホストコンピュータ40から受信されると、取引情報記憶部340が記憶する取引情報に当該顧客番号および印鑑登録種別を追加する。
【0057】
-スキャン対象確認部356
スキャン対象確認部356は、一連の複数の取引の中で、同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定する特定部として機能する。具体的には、スキャン対象確認部356は、同一の受付番号に対応する一連の取引の中で、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として「共通」が関連付けられている口座情報に対応する取引群を、同一の印鑑が用いられる2以上の取引として特定する。これら2以上の取引に対応する取引情報には、スキャン対象確認部356は、印鑑取得単位として「1」を追加する。他の顧客番号が関連付けられた取引情報、および、印鑑登録種別として「個別」が関連付けられた口座情報に対応する取引情報には、印鑑取得単位として「2」以降の数字を順次1ずつ増加させながら追加する。
【0058】
図8は、顧客番号、印鑑登録種別および印鑑取得単位が追加された後の取引情報の具体例を示す説明図である。図8に示した例では、枝番が「001」である取引情報および「002」である取引情報には、顧客番号「111111111111」、印鑑登録種別「共通」、および印鑑取得単位「1」が追加されている。また、枝番が「003」である取引情報には、顧客番号「111111111111」、印鑑登録種別「個別」、および印鑑取得単位「2」が追加されている。
【0059】
スキャン対象確認部356は、図8に示した取引情報に基づき、スキャンが必要な印鑑を示す印鑑スキャン対象情報を通信部320に顧客操作端末20へ送信させる。印鑑スキャン対象情報は、例えば、受付番号、枝番、店番、科目、口座番号、印鑑登録種別および印鑑取得単位を含む。顧客操作端末20からは、印鑑スキャン対象情報に基づく印影イメージの取得の後、受付番号、枝番、印鑑登録種別、印鑑取得単位および印影イメージなどが関連付けて制御サーバ30へ送信される。スキャン対象確認部356は、顧客操作端末20から受信された印影イメージを取引情報記憶部340が記憶する取引情報に追加する。ここで、スキャン対象確認部356は、ある印鑑取得単位に関連付けられている印影イメージを、同一の印鑑取得単位が関連付けられている取引情報にも追加する。例えば、印鑑取得単位「1」が関連付けられている印影イメージが受信された場合、スキャン対象確認部356は、当該印影イメージを、図8において印鑑取得単位「1」が関連付けられている枝番「001」の取引情報、および枝番「002」の取引情報の双方に追加する。
【0060】
-印鑑照合依頼部358
印鑑照合依頼部358は、印鑑の印影イメージの印鑑照合処理を印鑑照合システム50に依頼する。具体的には、印鑑照合依頼部358は、取引情報における受付番号、枝番、店番、科目、口座番号および印影イメージを含む印鑑照合依頼を通信部320に印鑑照合システム50へ送信させる。
【0061】
ここで、印鑑照合依頼部358は、同一の印鑑が用いられる2以上の取引については、2以上の取引のいずれかの取引に関して取得された印影イメージを含む印鑑照合依頼を通信部320に印鑑照合システム50へ送信させる。例えば、印鑑照合依頼部358は、図8に示した枝番「001」に対応する取引、および枝番「002」に対応する取引について、枝番「001」の取引に関して取得されて取引情報に追加された印影イメージを含む印鑑照合依頼を通信部320に印鑑照合システム50へ送信させる。
【0062】
印鑑照合依頼部358は、同一の印鑑が用いられる2以上の取引では、1回のみ上記印鑑照合依頼の送信を制御してもよい。例えば、印鑑照合依頼部358は、枝番「001」に対応する取引でのみ印鑑照合依頼を通信部320に印鑑照合システム50へ送信させ、枝番「002」に対応する取引では印鑑照合依頼の送信を省略してもよい。または、印鑑照合依頼部358は、同一の印鑑が用いられる2以上の取引の各々で上記印鑑照合依頼の送信を制御してもよい。
【0063】
<6.印鑑照合システム>
図9は、本発明の一実施形態による印鑑照合システム50の構成を示す説明図である。図9に示したように、本発明の一実施形態による印鑑照合システム50は、通信部520、印影記憶部540および制御部550を備える。
【0064】
(通信部520)
通信部520は、制御サーバ30および印鑑照合端末60と通信する。例えば、通信部520は、制御サーバ30から印鑑照合依頼を受信し、印鑑照合端末60に照合用データを送信し、印鑑照合端末60から印鑑照合結果を受信する。
【0065】
(印影記憶部540)
印影記憶部540は、各口座情報に関連付けて登録印影イメージを記憶している。
【0066】
(制御部550)
制御部550は、印鑑照合システム50の動作全般を制御する。例えば、制御部550は、照合用データを作成して、通信部520に照合用データを印鑑照合端末60へ送信させる照合制御部552の機能を有する。
【0067】
具体的には、照合制御部552は、通信部520により印鑑照合依頼が受信されると、印鑑照合依頼に含まれる口座情報に関連付けて記憶されている登録印影イメージを印影記憶部540から取得する。そして、照合制御部552は、取得した登録印影イメージ、および、印鑑照合依頼に含まれる印影イメージを含む照合用データを作成する。照合制御部552は、通信部520に照合用データを印鑑照合端末60へ送信させ、通信部520により印鑑照合端末60から印鑑照合結果が受信されると、印鑑照合依頼に含まれる受付番号および枝番などと共に通信部520に印鑑照合結果を制御サーバ30へ送信させる。
【0068】
<7.印鑑照合端末>
図10は、本発明の一実施形態による印鑑照合端末60の構成を示す説明図である。図10に示したように、本発明の一実施形態による印鑑照合端末60は、表示部610、操作部612、通信部620および制御部650を備える。
【0069】
(表示部610)
表示部610は、多様な表示画面を表示する。例えば、表示部610は、印鑑照合端末60が印鑑照合結果を確認するための照合確認画面を表示する。照合確認画面は、通信部620により印鑑照合システム50から受信された照合用データに含まれる印影イメージ、登録印影イメージ、および後述する印鑑照合部652により得られた印鑑照合結果を含んでもよい。印鑑照合端末60のオペレータは、例えば、照合確認画面において目視で印影イメージと登録印影イメージを照合し、印鑑照合結果が正しいか否かを確認する。
【0070】
(操作部612)
操作部612は、印鑑照合端末60のオペレータにより操作が行われる構成である。印鑑照合端末60のオペレータは、例えば、表示部610に表示された印鑑照合部652による照合結果が正しいか否かを示す操作を操作部612に対して行う。
【0071】
(通信部620)
通信部620は、印鑑照合システム50と通信する。例えば、通信部620は、印鑑照合システム50から照合用データを受信し、オペレータにより確認された印鑑照合結果を印鑑照合システム50に送信する。
【0072】
(制御部650)
制御部650は、印鑑照合端末60の動作全般を制御する。例えば、制御部650は、通信部620により受信された照合用データに含まれる印影イメージと登録印影イメージを照合し、両者が一致することを示す印鑑照合結果、または両者が不一致であることを示す印鑑照合結果を得る。なお、本明細書においては機械的に印影イメージと登録印影イメージを照合する例を主に説明しているが、印影イメージと登録印影イメージの照合はオペレータによる目視での照合のみであってもよい。
【0073】
<8.動作>
以上、本発明の一実施形態による取引システムに含まれる各要素の構成を説明した。続いて、本発明の一実施形態による取引システムの動作を説明する。
【0074】
図11図16は、本発明の一実施形態による取引システムの動作を示すフローチャートである。まず、顧客が顧客操作端末20への操作を開始すると、顧客操作端末20の受付番号採番部252が一意な受付番号「001」を採番する(S101)。続いて、顧客が顧客操作端末20の操作表示部210に取引情報を入力する(S102)。ここでは、顧客が、取引種別が「出金」であり、金額が「1万円」である取引情報を入力したものとする。その後、顧客が、取引の追加があることを示す「取引追加あり」を操作表示部210で選択する(S103)。そして、顧客操作端末20のサーバ通信部230が、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引情報を制御サーバ30に送信する(S104)。制御サーバ30の取引情報取得部352は、通信部320により顧客操作端末20から取引情報が受信されると(S105)、枝番「001」を発行し、枝番「001」が追加された取引情報を取引情報記憶部340に保存する(S106)。
【0075】
その後、制御サーバ30の検索依頼部354が、顧客操作端末20から受信された取引情報に含まれる口座情報を検索キーとする顧客情報検索依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる(S107)。ホストコンピュータ40の通信部420が顧客情報検索依頼を受信すると(S108)、制御部450が、顧客情報検索依頼に含まれる口座情報に関連付けられている顧客番号および印鑑登録種別を顧客情報記憶部440から検索する(S109)。
【0076】
そして、通信部420が、顧客情報記憶部440により検索された顧客番号および印鑑登録種別を制御サーバ30に送信する(S110)。制御サーバ30の通信部320が顧客番号および印鑑登録種別をホストコンピュータ40から受信すると(S111)、検索依頼部354は、取引情報記憶部340が記憶する取引情報に当該顧客番号および印鑑登録種別を追加する(S112)。
【0077】
続いて、通信部320が登録完了を示す情報を顧客操作端末20に送信し(S113)、顧客操作端末20のサーバ通信部230が当該情報を受信すると(S114)、顧客が顧客操作端末20の操作表示部210に追加する取引の情報を入力する(S115)。ここでは、顧客が、取引種別が「出金」であり、金額が「2万円」である取引情報を入力したものとする。その後、顧客が、取引の追加がないことを示す「取引追加なし」を操作表示部210で選択する(S116)。顧客操作端末20のサーバ通信部230が、受付番号、店番、科目、口座番号、取引種別および金額を含む取引情報を制御サーバ30に送信する(S117)。制御サーバ30の取引情報取得部352は、通信部320により顧客操作端末20から取引情報が受信されると(S118)、枝番「002」を発行し、枝番「002」が追加された取引情報を取引情報記憶部340に保存する(S119)。
【0078】
その後、制御サーバ30の検索依頼部354が、顧客操作端末20から受信された取引情報に含まれる口座情報を検索キーとする顧客情報検索依頼を通信部320にホストコンピュータ40へ送信させる(S120)。ホストコンピュータ40の通信部420が顧客情報検索依頼を受信すると(S121)、制御部450が、顧客情報検索依頼に含まれる口座情報に関連付けられている顧客番号および印鑑登録種別を顧客情報記憶部440から検索する(S122)。
【0079】
そして、通信部420が、顧客情報記憶部440により検索された顧客番号および印鑑登録種別を制御サーバ30に送信する(S123)。制御サーバ30の通信部320が顧客番号および印鑑登録種別をホストコンピュータ40から受信すると(S124)、検索依頼部354は、取引情報記憶部340が記憶する取引情報に当該顧客番号および印鑑登録種別を追加する(S125)。
【0080】
続いて、通信部320が登録完了を示す情報を顧客操作端末20に送信し(S126)、顧客操作端末20のサーバ通信部230が当該情報を受信すると(S127)、サーバ通信部230が、受付番号を含む印鑑スキャン対象確認依頼を制御サーバ30に送信する(S128)。印鑑スキャン対象確認依頼は、顧客により取引情報が入力された一連の取引のうちで、印影イメージを印鑑のスキャンにより取得する必要がある取引の確認の依頼である。
【0081】
制御サーバ30の通信部320が印鑑スキャン対象確認依頼を受信すると(S129)、スキャン対象確認部356が、印鑑のスキャンが必要な取引を確認する(S130)。ここでは、印鑑スキャン対象確認依頼に含まれる受付番号に関連付けられている枝番「001」および枝番「002」の取引情報の双方の顧客番号が一致し、双方の印鑑登録種別が「共通」であることにより、スキャン対象確認部356が双方の取引情報に印鑑取得単位として「1」を追加する。
【0082】
そして、通信部320が、印鑑スキャン対象情報を顧客操作端末20に送信する(S131)。印鑑スキャン対象情報は、一連の取引についての、受付番号、店番、科目、口座番号、印鑑登録種別および印鑑取得単位を含む。
【0083】
顧客操作端末20のサーバ通信部230が印鑑スキャン対象情報を受信すると(S132)、顧客操作端末20が、スキャンが必要な印鑑の印影イメージを印影スキャナ10から取得する(S133)。例えば、顧客操作端末20の操作表示部210は、顧客が取引を選択する取引選択画面を表示し、取引選択画面において選択された取引についての印鑑スキャンを誘導する印鑑スキャン画面を表示してもよい。
【0084】
図17は、取引選択画面の具体例を示す説明図である。図17に示したように、取引選択画面では、取引ごとの取引No(枝番に対応)、店番、科目、口座番号および印鑑登録種別が示されている。また、印鑑取得単位が同一である2以上の取引のうちの1の取引にのみ、スキャンボタン72が配置される。図17に示した例では、取引Noが「001」である取引にのみスキャンボタン72が配置され、取引Noが「002」である取引には「スキャン不要」というテキストが配置されている。顧客がスキャンボタン72を選択してOKボタン76を押すと、操作表示部210は印鑑スキャン画面を表示する。なお、取引選択画面においてスキャンボタン72が配置されず、スキャン対象(スキャンボタン72が配置されるような取引)については一定時間経過後、順次印鑑スキャン画面に移るようにしてもよい。または、スキャン対象について自動選択しておき、自動選択結果について問題が無いことを顧客が確認した際に顧客がOKボタン76を押すことで操作表示部210は印鑑スキャン画面を表示するようにしてもよい。これにより、顧客は自身でスキャンする取引を選択する手間を削減することができる。
【0085】
図18は、印鑑スキャン画面の具体例を示す説明図である。図18に示したように、印鑑スキャン画面は、印鑑を印影スキャナ10の印影イメージ取得部130に押し当てることを案内する案内表示81と、取得された印影イメージの表示領域82と、「もう一度読み取る」ボタン83と、完了ボタン84を含む。顧客は、当該印鑑スキャン画面に従い、印鑑を印影イメージ取得部130に押し当て、表示領域82に表示された印影イメージを確認し、完了ボタン84を押す。
【0086】
印影イメージが取得されると、図14に示したように、顧客操作端末20のサーバ通信部230は、受付番号、印鑑登録種別、印鑑取得単位および印影イメージを制御サーバ30に送信する(S134)。制御サーバ30の通信部320が顧客操作端末20から受付番号、印鑑登録種別、印鑑取得単位および印影イメージを受信すると(S135)、スキャン対象確認部356は、取引情報記憶部340に記憶されている取引情報のうちで、受信された受付番号および印鑑取得単位と一致する取引情報に、受信した印影イメージを関連付けて保存する(S136)。
【0087】
そして、印鑑照合依頼部358は、枝番「001」の印鑑照合依頼を通信部320に印鑑照合システム50へ送信させる(S137)。印鑑照合依頼は、受付番号、店番、科目、口座番号および印影イメージを含む。印鑑照合依頼は、さらに枝番を含んでもよい。
【0088】
印鑑照合システム50の通信部520が制御サーバ30から印鑑照合依頼を受信すると(S138)、照合制御部552が通信部520に印鑑照合端末60へ照合用データを送信させる(S139)。具体的には、照合制御部552は、印鑑照合依頼に含まれる口座情報に関連付けて記憶されている登録印影イメージを印影記憶部540から取得する。そして、照合制御部552は、取得した登録印影イメージ、および、印鑑照合依頼に含まれる印影イメージを含む照合用データを作成し、通信部520に照合用データを印鑑照合端末60へ送信させる。
【0089】
印鑑照合端末60の通信部620が照合用データを受信すると(S140)、印鑑照合部652が印鑑照合を実施し(S141)、通信部620が印鑑照合結果を印鑑照合システム50に送信する(S142)。ここでは、印鑑照合結果が一致であったものとする。印鑑照合システム50の通信部520が印鑑照合端末60から印鑑照合結果を受信すると(S143)、通信部520は、S138で受信した印鑑照合依頼に含まれていた受付番号、店番、科目および口座番号などと共に当該印鑑照合結果を制御サーバ30に送信する(S144)。
【0090】
制御サーバ30の通信部320が印鑑照合システム50から印鑑照合結果を受信すると(S145)、印鑑照合依頼部358は、枝番が「001」である取引情報に印鑑照合結果を登録する(S146)。さらに、枝番が「001」である取引情報と印鑑取得単位が同一である、枝番が「002」である取引情報にも、同一の印鑑照合結果を登録する(S147)。続いて、制御サーバ30の通信部320が印鑑照合の完了を示す情報を顧客操作端末20に送信し(S148)、顧客操作端末20のサーバ通信部230が当該情報を受信する(S149)。その後、顧客操作端末20は、入力された取引情報に基づいて取引を進めるための処理を行い得る。
【0091】
<9.作用効果>
以上説明した本発明の一実施形態によれば、多様な作用効果が得られる。例えば、本発明の一実施形態によれば、同一の印鑑が用いられる2以上の取引については、2以上の取引のいずれかの取引に関して取得された印影イメージを含む印鑑照合依頼を制御サーバ30が印鑑照合システム50に送信する。かかる構成によれば、印影イメージの取得回数が低減されるので、顧客の手間も軽減される。
【0092】
また、本発明の一実施形態によれば、制御サーバ30のスキャン対象確認部356が、同一の受付番号に対応する一連の取引の中で、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として「共通」が関連付けられている口座情報に対応する取引群を、同一の印鑑が用いられる2以上の取引として特定する。かかる構成によれば、顧客による指定なしに自動的に同一の印鑑が用いられる2以上の取引を特定することが可能である。
【0093】
また、本発明の一実施形態によれば、制御サーバ30の印鑑照合依頼部358が、同一の印鑑が用いられる2以上の取引では、1回のみ印鑑照合依頼の送信を制御し得る。かかる構成によれば、制御サーバ30と印鑑照合システム50の間での印鑑照合依頼および印鑑照合結果の通信の回数、および印鑑照合の回数を低減することが可能である。
【0094】
また、本発明の一実施形態によれば、制御サーバ30の通信部320が、印鑑照合が完了したことを示す通知を顧客操作端末20に送信する。かかる構成によれば、顧客操作端末20において、入力された取引情報に基づいて取引を進めるための処理を進めることが可能となる。例えば、顧客操作端末20は、顧客操作端末20と通信接続されたプリンターに受付番号を印字出力させてもよい。
【0095】
<10.変形例>
以上、本発明の一実施形態を説明した。以下では、上述した実施形態の変形例を説明する。
【0096】
同一の受付番号に対応する一連の取引の中で、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として「個別」が関連付けられている口座情報に対応する複数の取引でも、同一の印鑑が用いられる可能性がある。例えば、一連の取引が(1)出金:個別、(2)出金:個別、である場合でも、各出金で用いられる口座に対応する顧客番号が同一であれば、各出金で用いられる口座に同一の印鑑が登録されている可能性がある。そこで、制御サーバ30は、同一の顧客番号が関連付けられ、かつ、印鑑登録種別として「個別」が関連付けられている口座情報に対応する複数の取引を示す情報を顧客操作端末20に送信してもよい。顧客操作端末20は、複数の取引から同一の印鑑が用いられる取引を顧客が選択するための選択画面を表示し、制御サーバ30は、選択画面において顧客により選択された取引群を同一の印鑑が用いられる2以上の取引として特定してもよい。また、制御サーバ30は、印鑑登録種別が「個別」となっている登録印鑑イメージを印鑑照合システム50から取得して、当該登録印鑑イメージを顧客操作端末20に送信してもよく、顧客操作端末20は、操作表示部210の選択画面に当該登録印鑑イメージを表示させてもよい。これにより、顧客は確信をもって複数の取引から同一の印鑑が用いられる取引を選択できるようになる。さらに、印鑑照合システム50の印影記憶部540に記憶されている登録印鑑イメージの類似度を印鑑照合端末60で算出したのち、印鑑照合システムが図示しない記憶部で当該算出結果を記憶しておき、制御サーバ30は、印鑑照合システム50から印鑑登録種別が「個別」となっている中で類似度の高い取引の情報を取得し、顧客操作端末20は、当該情報に基づき、複数の取引から同一の印鑑が用いられる可能性の高い取引を顧客が選択するための選択画面に表示してもよい。これにより、顧客自身が同一の印鑑を判断しなくても複数の取引から同一の印鑑が用いられる取引を選択できるようになるので、顧客の手間が低減される。このように顧客操作に基づいて特定された2以上の取引については、これら取引に用いられる口座に実際には異なる印鑑が登録されている可能性もあるので、2以上の取引の各々で制御サーバ30が印鑑照合システム50に印鑑照合依頼を送信してもよい。
【0097】
また、本発明の一実施形態が主に出金に適用される例を説明したが、本発明の一実施形態は、振込および定期預金の口座振替にも同様に適用可能である。
【0098】
<11.ハードウェア構成>
以上、本発明の一各実施形態を説明した。上述した取引情報の取得および印鑑照合依頼の送信などの情報処理は、ソフトウェアと、ハードウェアとの協働により実現される。以下、顧客操作端末20、制御サーバ30、ホストコンピュータ40、印鑑照合システム50および印鑑照合端末60などに適用され得るハードウェア構成例を説明する。
【0099】
図19は、ハードウェア構成90の一例を示したブロック図である。ハードウェア構成90は、CPU(Central Processing Unit)901と、ROM(Read Only Memory)902と、RAM(Random Access Memory)903と、ホストバス904と、を備える。また、ハードウェア構成90は、ブリッジ905と、外部バス906と、インターフェース907と、入力装置908と、表示装置909と、音声出力装置910と、ストレージ装置(HDD)911と、ドライブ912と、ネットワークインターフェース915とを備える。
【0100】
CPU901は、演算処理装置および制御装置として機能し、各種プログラムに従って動作全般を制御する。また、CPU901は、マイクロプロセッサであってもよい。ROM902は、CPU901が使用するプログラムや演算パラメータ等を記憶する。RAM903は、CPU901の実行において使用するプログラムや、その実行において適宜変化するパラメータ等を一時記憶する。これらはCPUバスなどから構成されるホストバス904により相互に接続されている。これらCPU901、ROM902およびRAM903とソフトウェアとの協働により、制御部150、制御部250、制御部350、制御部450、制御部550および制御部650などの機能が実現され得る。
【0101】
ホストバス904は、ブリッジ905を介して、PCI(Peripheral Component Interconnect/Interface)バスなどの外部バス906に接続されている。なお、必ずしもホストバス904、ブリッジ905および外部バス906を分離構成する必要はなく、1つのバスにこれらの機能を実装してもよい。
【0102】
入力装置908は、マウス、キーボード、タッチパネル、ボタン、マイクロフォン、センサー、スイッチおよびレバーなどユーザが情報を入力するための入力手段と、ユーザによる入力に基づいて入力信号を生成し、CPU901に出力する入力制御回路などから構成されている。ユーザは、該入力装置908を操作することにより、各種のデータを入力したり処理動作を指示したりすることができる。
【0103】
表示装置909は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)装置、プロジェクター装置、OLED(Organic Light Emitting Diode)装置およびランプなどの表示装置を含む。また、音声出力装置910は、スピーカおよびヘッドホンなどの音声出力装置を含む。
【0104】
ストレージ装置911は、本実施形態にかかる記憶部の一例として構成されたデータ格納用の装置である。ストレージ装置911は、記憶媒体、記憶媒体にデータを記録する記録装置、記憶媒体からデータを読み出す読出し装置および記憶媒体に記録されたデータを削除する削除装置などを含んでもよい。ストレージ装置911は、例えば、HDD(Hard Disk Drive)またはSSD(Solid State Drive)、あるいは同等の機能を有するメモリ等で構成される。このストレージ装置911は、ストレージを駆動し、CPU901が実行するプログラムや各種データを格納する。
【0105】
ドライブ912は、記憶媒体用リーダライタであり、ハードウェア構成90に内蔵、あるいは外付けされる。ドライブ912は、装着されている磁気ディスク、光ディスク、光磁気ディスク、または半導体メモリ等のリムーバブル記憶媒体84に記録されている情報を読み出して、RAM903またはストレージ装置911に出力する。また、ドライブ912は、リムーバブル記憶媒体84に情報を書き込むこともできる。
【0106】
ネットワークインターフェース915は、例えば、通信網5に接続するための通信デバイス等で構成された通信インターフェースである。また、ネットワークインターフェース915は、無線LAN(Local Area Network)対応通信装置であっても、有線による通信を行うワイヤー通信装置であってもよい。
【0107】
<12.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0108】
例えば、本明細書の顧客操作端末20、制御サーバ30、ホストコンピュータ40、印鑑照合システム50および印鑑照合端末60の処理における各ステップは、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はない。例えば、顧客操作端末20、制御サーバ30、ホストコンピュータ40、印鑑照合システム50および印鑑照合端末60の処理における各ステップは、フローチャートとして記載した順序と異なる順序で処理されても、並列的に処理されてもよい。例えば、フローチャートにおいて取引の情報を入力するステップ(本発明の一実施形態においてはS102及びS115)をまとめて行ったのち、取引情報を送信してもよい。この場合、取引追加有無を選択するステップ(本発明の一実施形態においてはS103及びS116)を省略することができるため、顧客の入力負荷を軽減することができる。
【0109】
また、顧客操作端末20、制御サーバ30、ホストコンピュータ40、印鑑照合システム50および印鑑照合端末60に内蔵されるCPU、ROMおよびRAMなどのハードウェアに、上述した顧客操作端末20、制御サーバ30、ホストコンピュータ40、印鑑照合システム50および印鑑照合端末60の各構成と同等の機能を発揮させるためのコンピュータプログラムも作成可能である。また、該コンピュータプログラムが記憶された非一時的な記憶媒体も提供される。
【符号の説明】
【0110】
10 印影スキャナ
120 通信部
130 印影イメージ取得部
150 制御部
20 顧客操作端末
210 操作表示部
220 スキャナ通信部
230 サーバ通信部
250 制御部
252 受付番号採番部
254 取引情報受付部
30 制御サーバ
320 通信部
340 取引情報記憶部
350 制御部
352 取引情報取得部
354 検索依頼部
356 スキャン対象確認部
358 印鑑照合依頼部
40 ホストコンピュータ
420 通信部
440 顧客情報記憶部
450 制御部
50 印鑑照合システム
520 通信部
540 印影記憶部
550 制御部
552 照合制御部
60 印鑑照合端末
610 表示部
612 操作部
620 通信部
650 制御部
652 印鑑照合部

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