(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180024
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報処理装置、情報処理システム、および情報処理プログラム
(51)【国際特許分類】
G08G 1/09 20060101AFI20241219BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20241219BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20241219BHJP
【FI】
G08G1/09 D
G08G1/00 A
G06T7/00 650Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099431
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000005223
【氏名又は名称】富士通株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松宮 康夫
【テーマコード(参考)】
5H181
5L096
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB15
5H181CC02
5H181CC04
5H181MC19
5L096AA06
5L096BA04
5L096CA05
5L096DA02
5L096HA11
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】最短経路検索や自動運転時の経路選択において、経路上や周辺の信号機の各ランプの切り替え割合の情報を利用できれば、より高精度な最適経路設定が期待できる。しかしながら、従来の信号機の切り替えに関する情報を収集するシステムでは、各信号機に対して可視カメラ装置を設置することが要求されるため、当該システムを実現させることはコスト的に容易でない。
【解決手段】情報処理装置は、可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、信号機の第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から信号機を特定し、信号機の第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間を算出する処理を実行する制御部を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出する
処理を実行する制御部を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】
前記点灯時間に基づいて、前記所定期間における前記信号機の各ランプの点灯割合を算出する処理を前記制御部が実行することを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記輝度に基づいて、前記各ランプの温度を計測し、
前記温度に基づいて、前記所定期間における前記各ランプの前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記温度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記各ランプの温度差に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
地図情報と、前記信号機の前記第1の画像における位置とに基づいて、前記信号機の地図上の位置を特定し、
前記地図上の位置、および前記点灯時間または前記点灯割合を、他の情報処理装置に送信する
処理を前記制御部が実行することを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記第1の画像から前記信号機の型式を特定する
処理を前記制御部が実行し、
前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記型式および前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項7】
可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出し、
前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記所定期間における前記信号機の各ランプの点灯割合を、他の情報処理装置に送信する
処理を実行する第1の情報処理装置と、
前記第1の情報処理装置から送信された前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記所定期間を受信する
処理を実行する第2の情報処理装置と
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【請求項8】
可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、信号機の点灯時間や点灯割合を計測する情報処理装置、情報処理システム、および情報処理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
地図データベースの整備や、GPS(Global Positioning System)などを利用した車両位置の把握技術の普及に伴い、カーナビゲーションでの最短経路検索などが一般的に利用されるようになっている。また、AI(Artificial Intelligence)を利用した画像認識の応用などにより、自動運転技術の普及が期待されている。
【0003】
このような最短経路検索や自動運転時の経路選択において、経路上や周辺の信号機の各ランプの切り替え割合の情報を利用できれば、より高精度な最適経路設定が期待できる。ここで、信号機の各ランプの切り替え割合の情報とは、例えば、10分間など、所定期間における信号機の赤、青、黄、右折などの各点灯時間の割合の情報である。
【0004】
また、幹線道路などでは渋滞対策などの目的で信号機の切り替え割合は動的に管理され始めているが、道路上を走行する車両にその情報を提供する枠組みの整備は遅れており、信号機の切り替え割合を実測することが要求される。
【0005】
そのため、信号機の切り替えに関する情報を実測する方法として、例えば、信号機を観測する可視カメラ装置を設置し、当該可視カメラ装置によって撮像された画像から当該情報を収集するシステムがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2013-186507号公報
【特許文献2】特開2022-062263号公報
【特許文献3】米国特許出願公開第2012/0146811号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、当該システムでは、各信号機に対して可視カメラ装置を設置することが要求されるため、当該システムを実現させることはコスト的に容易でない。
【0008】
1つの側面では、信号機の点灯情報をより容易に計測できる情報処理装置、情報処理システム、および情報処理プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの態様において、情報処理装置は、可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、信号機の第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から信号機を特定し、信号機の第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間を算出する処理を実行する制御部を備える。
【発明の効果】
【0010】
1つの側面では、信号機の点灯情報をより容易に計測できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、本実施形態にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。
【
図2】
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、本実施形態にかかる可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40による信号機の撮像の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、本実施形態にかかる赤外線画像における輝度と温度との関係の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、本実施形態にかかる信号機の温度と点灯割合との関係の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、本実施形態にかかる点灯情報計測処理の流れを示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、情報処理装置10のハードウェア構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本実施形態に係る情報処理装置、情報処理システム、および情報処理プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例により本実施形態が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0013】
(全体構成)
まず、本実施形態を実施するための情報処理システムについて説明する。
図1は、本実施形態にかかる情報処理システム1の構成例を示す図である。
図1に示すように、情報処理システム1は、情報処理装置10と、収集装置100と、他の情報処理装置200とが、ネットワーク50を介して相互に通信可能に接続されるシステムである。
【0014】
ネットワーク50には、有線や無線を問わず、例えば、インターネットなどの各種通信網を採用できる。また、ネットワーク50は、単一のネットワークではなく、例えば、インターネットとイントラネットとがゲートウェイなどネットワーク装置やその他の装置(図示せず)を介して構成されてよい。
【0015】
情報処理装置10は、例えば、自動車などの移動体に設置される情報処理装置である。また、情報処理装置10は、例えば、可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40を備える、または可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40と通信可能に接続される。
【0016】
可視カメラ装置30は、例えば、カラー画像を撮像するためのRGBカメラ装置である。また、赤外線カメラ装置40は、例えば、赤外線画像を撮像するための赤外線カメラ装置(熱赤外線カメラ装置などともいう)である。可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40は、例えば、同一視野を同一タイミングで撮像するように制御される。なお、可視カメラ装置30や赤外線カメラ装置40によって撮像される画像は、例えば、可視カメラ装置30や赤外線カメラ装置40によって撮影された映像の一連のフレームであってよい。
【0017】
情報処理装置10は、例えば、可視カメラ装置30によって撮像された画像から信号機を特定し、当該信号機の可視画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置40によって撮像された画像から当該信号機を特定する。なお、可視カメラ装置30によって撮像された画像と、赤外線カメラ装置40によって撮像された画像とを区別するため、以下、それぞれを、「可視画像」と、「赤外線画像」という場合がある。
【0018】
また、情報処理装置10は、例えば、信号機の赤外線画像における輝度に基づいて、10分間など、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間または点灯割合を算出することにより信号機の点灯情報を計測する。なお、信号機の各ランプとは、例えば、信号機の赤、青、黄、右折などのランプである。また、情報処理装置10は、例えば、計測した信号機の位置情報および点灯情報を、収集装置100や他の情報処理装置200に送信する。なお、
図1では、情報処理装置10は、便宜上1つしか示されていないが、様々な移動体に設置され、様々な箇所の信号機の点灯情報を計測してよい。そのため、情報処理装置10は、例えば、自分以外の情報処理装置10に、計測した信号機の位置情報および点灯情報を送信することもできる。
【0019】
収集装置100は、例えば、情報処理システム1の管理者などによって管理されるサーバコンピュータなどの情報処理装置である。または、収集装置100は、クラウドコンピューティングサービスを提供するサービス提供者によって管理されるクラウドコンピュータ装置であってもよい。また、
図1では、収集装置100を1台のコンピュータとして示しているが、複数台のコンピュータで構成される分散型コンピューティングシステムであってもよい。
【0020】
収集装置100は、例えば、各移動体に設置された情報処理装置10から、信号機の位置情報および点灯情報を受信し、収集する。そして、収集装置100は、例えば、収集した、信号機の位置情報および点灯情報を、各移動体での最適経路設定などに用いるために、情報処理装置10や他の情報処理装置200に送信する。
【0021】
他の情報処理装置200も、例えば、自動車などの移動体に設置される情報処理装置である。しかしながら、他の情報処理装置200は、情報処理装置10とは異なり、信号機の点灯情報の計測は行わず、情報処理装置10によって計測された信号機の位置情報および点灯情報を受信して、最適経路設定などに用いるのみである。ただし、他の情報処理装置200も、受信した、信号機の位置情報および点灯情報を、情報処理装置10や収集装置100、自分以外の他の情報処理装置200に送信できる。
【0022】
このように、情報処理装置10や他の情報処理装置200は、収集装置100を介して、または、情報処理装置10や他の情報処理装置200によるバケツリレー方式で、各信号機の位置情報および点灯情報を受信できる。これにより、情報処理装置10や他の情報処理装置200は、各信号機の位置情報および点灯情報を、最適経路設定などに用いることができる。
【0023】
(情報処理装置10の機能構成)
次に、情報処理装置10の機能構成について説明する。
図2は、本実施形態にかかる情報処理装置10の構成例を示す図である。
図2に示すように、情報処理装置10は、通信部11、記憶部12、および制御部20を有する。
【0024】
通信部11は、収集装置100など、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、ネットワークインタフェースカードなどの通信インタフェースである。
【0025】
記憶部12は、各種データや、制御部20が実行するプログラムを記憶する機能を有し、例えば、メモリやハードディスクなどの記憶装置により実現される。記憶部12は、撮像DB13、輝度温度DB14、点灯DB15、地
図DB16、および位置DBなどを記憶する。なお、DBは、データベース(Data Base)の略称である。
【0026】
撮像DB13は、例えば、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像や、赤外線カメラ装置40によって撮像された赤外線画像や、これらの画像に関する情報などを記憶する。
図3は、本実施形態にかかる可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40による信号機の撮像の一例を示す図である。
図3に示すように、可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40は、例えば、同一視野を同一タイミングで撮像するように制御され、可視画像31および赤外線画像41が撮像され、両画像が対応付けて撮像DB13に記憶される。
【0027】
図2の説明に戻り、輝度温度DB14は、例えば、赤外線画像41の輝度、および信号機の各ランプの温度に関する情報などを記憶する。
図4は、本実施形態にかかる赤外線画像における輝度と温度との関係の一例を示す図である。
図4に示す赤外線画像41-1は、赤外線カメラ装置40によって撮像された赤外線画像41の信号機の部分を切り取った部分画像である。赤外線画像41-1では、明るい部分が高輝度で示される。また、
図4の下部に示すように、例えば、信号機の各ランプの輝度と温度との関係を、輝度温度DB14に予め記憶しておくことで、各ランプの輝度から温度も推定でき、信号機の各ランプの輝度に基づいて、各ランプが点灯しているか否かが推定可能である。例えば、
図4の例では、赤外線画像41-1の輝度から、青色のランプの温度が31度に達している場合、情報処理装置10は、青色のランプが点灯していると判定できる。また、例えば、赤外線画像41-1の輝度から、赤色のランプが38度、および右折のランプが27度に達している場合、情報処理装置10は、右折ランプ(直進は赤)が点灯していると判定できる。なお、
図4に示す各ランプの温度は一例であり、
図4に示す値より大きくても小さくてもよい。
【0028】
しかしながら、実際には、信号機の温度は、ランプの点灯に伴う発熱の他、太陽による輻射の影響を受ける。そのため、本実施形態では、例えば、黄色が点灯した際の温度を基準として各ランプの温度差により、各ランプが点灯しているか否かが判定される。各ランプの温度差による点灯判定の詳細については後述する。
【0029】
図2の説明に戻り、点灯DB15は、例えば、計測された信号機の各ランプの点灯時間や点灯割合に関する点灯情報などを記憶する。点灯DB15に記憶される点灯時間や点灯割合は、例えば、10分間など、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間または点灯割合であってよい。
【0030】
地
図DB16は、例えば、道路や各信号機の位置を含む地図に関する情報などを記憶する。また、地
図DB16は、例えば、情報処理装置10を備えた車両など移動体の現在の位置や向きなどに関する情報を記憶してよい。
【0031】
位置DB17は、例えば、点灯情報が計測された信号機の位置に関する情報などを記憶する。信号機の位置は、例えば、計測を行った情報処理装置10を備えた車両の位置や向き、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像31における車両から信号機までの距離などに基づいて、既存アルゴリズムを用いて推定可能である。
【0032】
なお、記憶部12に記憶される上記情報はあくまでも一例であり、記憶部12は、上記情報以外にも様々な情報を記憶できる。
【0033】
制御部20は、情報処理装置10全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部20は、取得部21、特定部22、計測部23、および出力部24を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0034】
取得部21は、例えば、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像31や、赤外線カメラ装置40によって撮像された赤外線画像41を、撮像DB13から取得する。
【0035】
特定部22は、例えば、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像31である第1の画像から信号機を特定する。より具体的には、特定部22は、例えば、既存の物体検出アルゴリズムを用いて、画像から信号機を検出するように予め訓練された機械学習モデルに可視画像31を入力し、信号機を特定する。なお、可視画像31から信号機を特定することは、可視画像31から信号機の各ランプを特定することを含む。
【0036】
また、特定部22は、例えば、信号機の第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置40によって撮像された赤外線画像41である第2の画像から信号機を特定する。より具体的には、特定部22は、例えば、可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40は同一視野を同一タイミングで撮像するように制御されるため、可視画像31の信号機の位置から、対応する赤外線画像41の信号機を特定する。
【0037】
また、特定部22は、例えば、地
図DB16に記憶された地図情報と、特定した、信号機の第1の画像における位置とに基づいて、点灯情報が計測された信号機の地図上の位置を、信号機の位置情報として特定する。なお、信号機の地図上の位置の特定には、さらに、例えば、計測を行った情報処理装置10を備えた車両の位置や向き、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像31における車両から信号機までの距離などに基づいてよい。
【0038】
また、特定部22は、例えば、第1の画像から信号機の型式を特定する。より具体的には、特定部22は、例えば、既存の物体検出アルゴリズムを用いて、画像から信号機の型式を検出するように予め訓練された機械学習モデルに可視画像31を入力し、信号機の型式を特定する。信号機の型式を特定することにより、例えば、赤外線画像41から信号機の輝度や温度、延いては点灯情報を推定する際などに、特定された型式ごとにアルゴリズムを切り替えることにより、推定精度を向上させることができる。なお、信号機の型式の特定は、例えば、厳密に型式を特定するのではなく、電球式やLED(Light Emitting Diode)式など、大まかな分類の特定であってもよい。
【0039】
計測部23は、例えば、信号機の第2の画像における輝度に基づいて、10分間など、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間または点灯割合を算出することにより信号機の点灯情報を計測する。なお、所定期間における点灯時間とは、例えば、所定期間に各ランプがどのくらい点灯していたかを示すランプごとの合計時間である。また、所定期間における点灯割合とは、例えば、所定期間に各ランプがどのくらい点灯していたかを示すランプごとの割合である。なお、信号機の第2の画像における輝度に基づいて点灯時間または点灯割合を算出する処理は、例えば、輝度に基づいて各ランプの温度を計測し、当該温度に基づいて、各ランプの点灯時間または点灯割合を算出する処理を含んでよい。このような、各ランプの輝度や温度に基づいて、各ランプの点灯時間または点灯割合を算出する処理は、例えば、
図4を用いて説明したように、輝度温度DB14に記憶された輝度と温度との関係に基づいて推定可能である。
【0040】
また、計測部23は、例えば、信号機の各ランプの温度差に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間または点灯割合を算出することにより計測する。これは、信号機の温度は、ランプの点灯に伴う発熱の他、太陽による輻射の影響を受けるため、信号機の各ランプの温度のみで各信号機が点灯しているか否かを正確に推定できないためである。各ランプの温度差に基づく、点灯時間または点灯割合の計測について、
図5を用いて、より具体的に説明する。
【0041】
図5は、本実施形態にかかる信号機の温度と点灯割合との関係の一例を示す図である。
図5は、黄色が点灯した際の温度を基準(温度差0)として、各ランプの温度差により、各ランプが点灯しているか否かを推定する例である。
図5の上部に示すように、例えば、信号機の各ランプの温度差と点灯割合との関係を予め算出し、記憶部12に記憶しておくことで、計測された各ランプの温度差から各ランプの点灯割合や点灯時間を推定可能である。なお、
図5の下部に示すように、計測された、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間や点灯割合などは、計測された温度や温度差などと対応付けて、点灯DB15に記憶されてよい。
【0042】
また、計測部23は、例えば、特定部22によって特定された信号機の型式、および信号機の第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間または点灯割合を算出することにより計測する。例えば、信号機の型式や、電球式やLED式などの点灯方式によって、各ランプの輝度や点灯した際の温度が異なる場合がある。そのため、例えば、信号機の型式や点灯方式を特定することで、信号機の輝度や温度、延いては点灯情報を推定するためのアルゴリズムを、特定した型式や点灯方式ごとに切り替えることにより、推定精度を向上させることができる。
【0043】
出力部24は、例えば、特定部22によって特定された信号機の位置情報、および計測部23によって計測された信号機の点灯情報を、他の情報処理装置に送信する。なお、送信先である他の情報処理装置は、例えば、収集装置100や他の情報処理装置200、自分以外の情報処理装置10であってよい。
【0044】
(処理の流れ)
次に、情報処理装置10によって実行される点灯情報計測処理の流れを説明する。
図6は、本実施形態にかかる点灯情報計測処理の流れを示すフローチャートである。
【0045】
まず、
図6に示すように、情報処理装置10は、例えば、可視カメラ装置30によって撮像された可視画像31、および赤外線カメラ装置40によって撮像された赤外線画像41を、撮像DB13から取得する(ステップS101)。なお、可視画像31および赤外線画像41は、それぞれ、可視カメラ装置30および赤外線カメラ装置40から情報処理装置10に随時送信され、撮像DB13に記憶される。
【0046】
次に、情報処理装置10は、例えば、ステップS101で取得した可視画像31を、画像から信号機を検出するように予め訓練された機械学習モデルに入力し、可視画像31から信号機を特定する(ステップS102)。なお、ステップS102における信号機を特定することは、例えば、信号機の各ランプや、信号機の型式または点灯方式を特定することを含んでよい。
【0047】
次に、情報処理装置10は、例えば、ステップS102で可視画像31から特定した信号機の位置を用いて、ステップS101で取得した赤外線画像41から信号機の各ランプの温度を計測する(ステップS103)。より具体的には、例えば、情報処理装置10は、可視画像31および赤外線画像41を同一視野および同一タイミングで撮像するように制御するため、可視画像31の信号機の位置から、対応する赤外線画像41の信号機を特定する。そして、情報処理装置10は、例えば、赤外線画像41における信号機の輝度に基づいて、輝度温度DB14に記憶された輝度と温度との関係を用いて信号機の各ランプの温度を計測する。
【0048】
次に、情報処理装置10は、例えば、ステップS103で計測した信号機の各ランプの温度から、10分間など、所定期間における信号機の各ランプの点灯情報を計測する(ステップS104)。当該点灯情報は、例えば、所定期間に各ランプがどのくらい点灯していたかを示すランプごとの点灯時間や点灯割合を算出することにより計測されてよい。また、各ランプの温度から各ランプの点灯情報を計測することは、例えば、各ランプの温度差から各ランプの点灯時間や点灯割合を算出することにより信号機の点灯情報を計測することを含んでよい。
【0049】
次に、情報処理装置10は、例えば、地図情報と、ステップS102で可視画像31から特定した信号機の位置とから、温度や点灯情報を計測した信号機の地図上の位置を信号機の位置情報として特定する(ステップS105)。なお、ステップS105で用いる地図情報は、例えば、地
図DB16に予め記憶された、道路や各信号機の位置を含む地図情報であってよい。また、信号機の地図上の位置を特定することは、例えば、計測を行った情報処理装置10を備えた車両など移動体の位置や向き、可視画像31における移動体から信号機までの距離などに基づいて信号機の位置を特定することを含んでよい。
【0050】
次に、情報処理装置10は、例えば、ステップS105で特定した信号機の位置情報と、ステップS104で計測した信号機の各ランプの点灯情報を他の情報処理装置に出力する(ステップS106)。なお、出力先である他の情報処理装置は、例えば、収集装置100や他の情報処理装置200、自分以外の情報処理装置10であってよい。また、ステップS106の実行後、
図6に示す点灯情報計測処理は終了するが、出力先である他の情報処理装置は、例えば、ステップS106で出力された信号機の位置情報および各ランプの点灯情報を最適経路設定などに用いてよい。
【0051】
(効果)
上述したように、情報処理装置10は、可視カメラ装置30によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、信号機の第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置40によって撮像された第2の画像から信号機を特定し、信号機の第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間を算出する。
【0052】
このようにして、情報処理装置10は、可視画像31の信号機の位置に基づいて特定された赤外線画像41の信号機の各ランプの輝度に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯時間を算出する。これにより、情報処理装置10は、信号機の点灯情報をより容易に計測できる。
【0053】
また、情報処理装置10は、点灯時間に基づいて、所定期間における信号機の各ランプの点灯割合を算出する。
【0054】
これにより、情報処理装置10は、信号機の点灯情報をより容易に計測できる。
【0055】
また、情報処理装置10によって実行される、輝度に基づいて、点灯時間を算出する処理は、輝度に基づいて、各ランプの温度を計測し、温度に基づいて、所定期間における各ランプの点灯時間を算出する処理を含む。
【0056】
これにより、情報処理装置10は、信号機の点灯情報をより容易に計測できる。
【0057】
また、情報処理装置10によって実行される、温度に基づいて、点灯時間を算出する処理は、各ランプの温度差に基づいて、点灯時間を算出する処理を含む。
【0058】
これにより、情報処理装置10は、信号機の点灯情報をより容易かつ正確に計測することができる。
【0059】
また、情報処理装置10は、地図情報と、信号機の第1の画像における位置とに基づいて、信号機の地図上の位置を特定し、信号機の地図上の位置、および点灯時間または前記点灯割合を、他の情報処理装置に送信する。
【0060】
これにより、他の情報処理装置は、信号機の位置情報および点灯情報を最適経路設定などに用いることができる。
【0061】
また、情報処理装置10は、第1の画像から信号機の型式を特定し、情報処理装置10によって実行される、輝度に基づいて、点灯時間を算出する処理は、型式および輝度に基づいて、点灯時間を算出する処理を含む。
【0062】
これにより、情報処理装置10は、信号機の点灯情報をより容易かつ正確に計測することができる。
【0063】
(システム)
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報は、特記する場合を除いて任意に変更されてもよい。また、実施例で説明した具体例、分布、数値などは、あくまで一例であり、任意に変更されてもよい。
【0064】
また、各装置の構成要素の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その構成要素の全部または一部は、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合されてもよい。さらに、各装置の各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPU(Central Processing Unit)および当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現され得る。
【0065】
(ハードウェア)
図7は、情報処理装置10のハードウェア構成例を説明する図である。なお、収集装置100や他の情報処理装置200も、
図7に示す情報処理装置10のハードウェア構成例と同様の構成をとることができる。
図7に示すように、情報処理装置10は、通信装置10a、HDD(Hard Disk Drive)10b、メモリ10c、プロセッサ10dを有する。また、
図7に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0066】
通信装置10aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他の情報処理装置との通信を行う。HDD10bは、
図2に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0067】
プロセッサ10dは、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD10bなどから読み出してメモリ10cに展開することで、
図2などで説明した各機能を実行するプロセスを動作させるハードウェア回路である。すなわち、このプロセスは、情報処理装置10が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、プロセッサ10dは、取得部21、特定部22、計測部23、および出力部24などと同様の機能を有するプログラムをHDD10bなどから読み出す。そして、プロセッサ10dは、取得部21、特定部22、計測部23、および出力部24などと同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0068】
このように情報処理装置10は、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムを読み出して実行することで動作制御処理を実行する情報処理装置として動作する。また、情報処理装置10は、媒体読取装置によって記録媒体からプログラムを読み出し、読み出されたプログラムを実行することで上述した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、情報処理装置10によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他の情報処理装置がプログラムを実行する場合や、情報処理装置10と他の情報処理装置とこれらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本実施形態が同様に適用されてよい。
【0069】
また、
図2に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0070】
以上の実施例を含む実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0071】
(付記1)可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出する
処理を実行する制御部を備えたことを特徴とする情報処理装置。
【0072】
(付記2)前記点灯時間に基づいて、前記所定期間における前記信号機の各ランプの点灯割合を算出する処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0073】
(付記3)前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記輝度に基づいて、前記各ランプの温度を計測し、
前記温度に基づいて、前記所定期間における前記各ランプの前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0074】
(付記4)前記温度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記各ランプの温度差に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記3に記載の情報処理装置。
【0075】
(付記5)地図情報と、前記信号機の前記第1の画像における位置とに基づいて、前記信号機の地図上の位置を特定し、
前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記点灯割合を、他の情報処理装置に送信する
処理を前記制御部が実行することを特徴とする付記2に記載の情報処理装置。
【0076】
(付記6)前記第1の画像から前記信号機の型式を特定する
処理を前記制御部が実行し、
前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記型式および前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記1に記載の情報処理装置。
【0077】
(付記7)可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出し、
前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記所定期間における前記信号機の各ランプの点灯割合を、他の情報処理装置に送信する
処理を実行する第1の情報処理装置と、
前記第1の情報処理装置から送信された前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記所定期間を受信する
処理を実行する第2の情報処理装置と
を備えたことを特徴とする情報処理システム。
【0078】
(付記8)前記点灯時間に基づいて、前記点灯割合を算出する処理を前記第1の情報処理装置が実行することを特徴とする付記7に記載の情報処理システム。
【0079】
(付記9)前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記輝度に基づいて、前記各ランプの温度を計測し、
前記温度に基づいて、前記所定期間における前記各ランプの前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記7に記載の情報処理システム。
【0080】
(付記10)前記温度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記各ランプの温度差に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記9に記載の情報処理システム。
【0081】
(付記11)地図情報と、前記信号機の前記第1の画像における位置とに基づいて、前記信号機の地図上の位置を特定する
処理を前記第1の情報処理装置が実行することを特徴とする付記7に記載の情報処理システム。
【0082】
(付記12)前記第1の画像から前記信号機の型式を特定する
処理を前記第1の情報処理装置が実行し、
前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記型式および前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記7に記載の情報処理システム。
する情報処理システム。
【0083】
(付記13)可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出する
処理をコンピュータに実行させることを特徴とする情報処理プログラム。
【0084】
(付記14)前記点灯時間に基づいて、前記所定期間における前記信号機の各ランプの点灯割合を算出する処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記13に記載の情報処理プログラム。
【0085】
(付記15)前記輝度に基づいて、前記点灯時間または前記点灯割合を計測する処理は、
前記輝度に基づいて、前記各ランプの温度を計測し、
前記温度に基づいて、前記所定期間における前記各ランプの前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記13に記載の情報処理プログラム。
【0086】
(付記16)前記温度に基づいて、前記点灯時間を算出る処理は、
前記各ランプの温度差に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記15に記載の情報処理プログラム。
【0087】
(付記17)地図情報と、前記信号機の前記第1の画像における位置とに基づいて、前記信号機の地図上の位置を特定し、
前記信号機の地図上の位置、および前記点灯時間または前記点灯割合を、他の情報処理装置に送信する
処理を前記コンピュータに実行させることを特徴とする付記14に記載の情報処理プログラム。
【0088】
(付記18)前記第1の画像から前記信号機の型式を特定する
処理を前記コンピュータに実行させ、
前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する処理は、
前記型式および前記輝度に基づいて、前記点灯時間を算出する
処理を含むことを特徴とする付記13に記載の情報処理プログラム。
【0089】
(付記19)プロセッサと、
プロセッサに動作可能に接続されたメモリと
を備えた情報処理装置であって、プロセッサは、
可視カメラ装置によって撮像された第1の画像から信号機を特定し、
前記信号機の前記第1の画像における位置に基づいて、赤外線カメラ装置によって撮像された第2の画像から前記信号機を特定し、
前記信号機の前記第2の画像における輝度に基づいて、所定期間における前記信号機の各ランプの点灯時間を算出する
処理を実行することを特徴とする情報処理装置。
【符号の説明】
【0090】
1 情報処理システム
10 情報処理装置
10a 通信装置
10b HDD
10c メモリ
10d プロセッサ
11 通信部
12 記憶部
13 撮像DB
14 輝度温度DB
15 点灯DB
16 地
図DB
17 位置DB
20 制御部
21 取得部
22 特定部
23 計測部
24 出力部
30 可視カメラ装置
31 可視画像
40 赤外線カメラ装置
41 赤外線画像
50 ネットワーク
100 収集装置
200 他の情報処理装置