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特開2024-180025車速表示装置、車速表示方法、及び車速表示プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180025
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車速表示装置、車速表示方法、及び車速表示プログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 50/14 20200101AFI20241219BHJP
   B60K 35/23 20240101ALI20241219BHJP
   B60K 35/00 20240101ALI20241219BHJP
   G01D 7/00 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B60W50/14
B60K35/00 A
B60K35/00 Z
G01D7/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099432
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100187311
【弁理士】
【氏名又は名称】小飛山 悟史
(74)【代理人】
【識別番号】100161425
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 鉄平
(72)【発明者】
【氏名】河野 陽大
(72)【発明者】
【氏名】岩瀬 寿文
(72)【発明者】
【氏名】井上 久展
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 広矩
【テーマコード(参考)】
2F041
3D241
3D344
【Fターム(参考)】
2F041EA01
2F041EA05
2F041EA08
3D241BA60
3D241CC01
3D241CC08
3D241CC17
3D241CE04
3D241CE05
3D241DB01Z
3D241DB02Z
3D241DB12Z
3D344AA19
3D344AB01
3D344AC25
3D344AD01
(57)【要約】
【課題】車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる車速表示装置、車速表示方法、及び車速表示プログラムを提供する。
【解決手段】車両制御を実行可能な車両において、車両の車速と車速の表示範囲とを表す第1画像を生成し、車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する車速の範囲を表す第2画像を生成し、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両の表示部に表示させる。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置であって、
前記車両の車速と前記車速の表示範囲とを表す第1画像を生成する第1画像生成部と、
前記車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する前記車速の範囲を表す第2画像を生成する第2画像生成部と、
前記第1画像に沿って前記第2画像を配置するように前記第1画像及び前記第2画像を前記車両の表示部に表示させる表示制御部と、を備える、車速表示装置。
【請求項2】
前記車両の周辺状況を取得する周辺状況取得部を備え、
前記車両制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含み、
所定の前記機能要素についての前記車速条件では、前記車速の範囲が前記周辺状況に応じて変化し、
前記第2画像生成部は、前記周辺状況と前記車速条件とに基づいて、同一の前記機能要素について前記周辺状況に応じて前記車速の範囲を変化させて前記第2画像を生成する、請求項1に記載の車速表示装置。
【請求項3】
前記車両制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含み、
前記第2画像は、前記自動運転制御の実行中に所定の前記機能要素が有効となる前記車速の範囲を表す第3画像と、前記自動運転制御の実行中に前記車両のドライバの非保舵状態又は周囲非視認状態を許容する前記車速の範囲を表す第4画像と、を含み、
前記表示制御部は、前記第1画像を挟んで前記第1画像の一方側に前記第3画像を配置すると共に前記第1画像の他方側に前記第4画像を配置するように前記第3画像及び前記第4画像を前記車両の表示部に表示させる、請求項1又は2に記載の車速表示装置。
【請求項4】
車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置を用いる車速表示方法であって、
前記車両の車速と前記車速の表示範囲とを表す第1画像を生成するステップと、
前記車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する前記車速の範囲を表す第2画像を生成するステップと、
前記第1画像に沿って前記第2画像を配置するように前記第1画像及び前記第2画像を前記車両の表示部に表示させるステップと、
を備える、車速表示方法。
【請求項5】
車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置としてコンピュータを機能させる車速表示プログラムであって、前記車速表示プログラムは、前記コンピュータを、
前記車両の車速と前記車速の表示範囲とを表す第1画像を生成する第1画像生成部、
前記車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する前記車速の範囲を表す第2画像を生成する第2画像生成部、及び、
前記第1画像に沿って前記第2画像を配置するように前記第1画像及び前記第2画像を前記車両の表示部に表示させる表示制御部、として機能させる、車速表示プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車速表示装置、車速表示方法、及び車速表示プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、定速巡航時に自車が走行する走行速度の設定値と走行道路の制限速度(規制速度)とを表示部に表示させる車両用表示装置を開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-118554号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
運転支援制御及び自動運転制御の何れかを含む車両制御に関する予め設定された車速条件については、例えば車両のマニュアル等に記載される。しかしながら、車速条件に相当する車速の範囲を事前に正確に記憶することは、ドライバにとって負担となり得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置であって、車両の車速と車速の表示範囲とを表す第1画像を生成する第1画像生成部と、車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する車速の範囲を表す第2画像を生成する第2画像生成部と、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両の表示部に表示させる表示制御部と、を備える。
【0006】
本開示の一態様に係る車速表示装置によれば、車両の表示部において第2画像が第1画像に沿って配置されるため、ドライバは、第1画像に併せて第2画像を容易に視認することができる。これにより、車両が走行中であっても、ドライバは、車速条件に相当する車速の範囲を容易に認識することができる。この結果、車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる。
【0007】
一実施形態では、車速表示装置は、車両の周辺状況を取得する周辺状況取得部を備え、車両制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含み、所定の機能要素についての車速条件では、車速の範囲が周辺状況に応じて変化し、第2画像生成部は、周辺状況と車速条件とに基づいて、同一の機能要素について周辺状況に応じて車速の範囲を変化させて第2画像を生成してもよい。この場合、周辺状況に応じた車速の範囲を表すように第2画像が変化するため、ドライバは、車両が走行中であっても、車速条件に相当する車速の範囲の変化を認識することができる。
【0008】
一実施形態では、車両制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含み、第2画像は、自動運転制御の実行中に所定の機能要素が有効となる車速の範囲を表す第3画像と、自動運転制御の実行中に車両のドライバの非保舵状態又は周囲非視認状態を許容する車速の範囲を表す第4画像と、を含み、表示制御部は、第1画像を挟んで第1画像の一方側に第3画像を配置すると共に第1画像の他方側に第4画像を配置するように第3画像及び第4画像を車両の表示部に表示させてもよい。この場合、第2画像の一部又は全部は、第1画像を挟んで第3画像と第4画像とに分割して表示される。これにより、第2画像のうち第3画像によって表される第2車速範囲と第4画像によって表される第2車速範囲とをドライバが混同することを抑制することができる。
【0009】
本開示の他の態様は、車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置を用いる車速表示方法であって、車両の車速と車速の表示範囲とを表す第1画像を生成するステップと、車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する車速の範囲を表す第2画像を生成するステップと、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両の表示部に表示させるステップと、を備える。
【0010】
本開示の他の態様に係る車速表示方法によれば、車両の表示部において第2画像が第1画像に沿って配置されるため、ドライバは、第1画像に併せて第2画像を容易に視認することができる。これにより、車両が走行中であっても、ドライバは、車速条件に相当する車速の範囲を容易に認識することができる。この結果、車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる。
【0011】
本開示の更に他の態様は、車両制御を実行可能な車両に設けられる車速表示装置としてコンピュータを機能させる車速表示プログラムであって、車速表示プログラムは、コンピュータを、車両の車速と車速の表示範囲とを表す第1画像を生成する第1画像生成部、車両制御に関する予め設定された車速条件に相当する車速の範囲を表す第2画像を生成する第2画像生成部、及び、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両の表示部に表示させる表示制御部、として機能させる。
【0012】
本開示の更に他の態様に係る車速表示プログラムによれば、車両の表示部において第2画像が第1画像に沿って配置されるため、ドライバは、第1画像に併せて第2画像を容易に視認することができる。これにより、車両が走行中であっても、ドライバは、車速条件に相当する車速の範囲を容易に認識することができる。この結果、車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる。
【発明の効果】
【0013】
本開示のいくつかの態様によれば、車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施形態に係る車速表示装置を備える車両を示すブロック図である。
図2】表示部に表示される第1画像及び第2画像の第1の例を示す図である。
図3】表示部に表示される第1画像及び第2画像の第2の例を示す図である。
図4】表示部に表示される第1画像及び第2画像の第3の例を示す図である。
図5】表示部に表示される第1画像及び第2画像の第4の例を示す図である。
図6】表示部に表示される第1画像並びに、第3画像及び第4画像を含む第2画像の例を示す図である。
図7】車速表示処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下の説明において、同一又は相当する要素同士には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
【0016】
図1は、実施形態に係る車速表示装置を備える車両を示すブロック図である。図1に示されるように、車速表示装置100は、自動運転制御(車両制御)を実行可能な車両1に設けられている。車両1は、例えば乗用車等である。
【0017】
[自動運転システムの構成]
車両1には、自動運転システム2が搭載されている。自動運転システム2は、車両1の自動運転制御を実行するシステムである。自動運転制御とは、ドライバが運転操作をすることなく、車両1の走行する道路に沿って自動で車両1を走行させる車両制御である。
【0018】
車両1が実行可能な自動運転制御には、ドライバに周辺確認が求められる自動運転制御が含まれる。ドライバに周辺確認が求められる自動運転制御は、ドライバに運転責任が課される支援レベル(レベル3未満)の自動運転制御に対応する。「ドライバに周辺確認が求められる」とは、周囲非視認状態を許容しないことを意味する。「周囲非視認状態」は、所定の周辺確認行動をドライバが行っていない状態(いわゆるアイズオフ)に相当する。「周囲非視認状態」は、ドライバの顔向き又は視線方向が所定の制限時間を超えて所定の周辺確認範囲を外れる状態であってもよい。ドライバの顔向き又は視線方向は、例えばドライバモニタカメラの撮像画像に基づいて算出されてもよい。
【0019】
ドライバに周辺確認が求められる自動運転制御では、車両1のドライバに一時的な非保舵状態が許容されてもよい。「非保舵状態」とは、所定の保舵行動をドライバが行っていない状態(いわゆるハンズオフ)を意味する。「一時的な非保舵状態」は、所定の許容時間を超えない範囲内でドライバが車両1のステアリングホイールを保舵していない状態であってもよい。ステアリングホイールの保舵は、例えば、車両1のステアリングホイールに設けられたタッチセンサ等の検出結果に基づいて認識されてもよい。
【0020】
車両1が実行可能な自動運転制御には、ドライバに周辺確認が求められない自動運転制御が含まれてもよい。ドライバに周辺確認が求められない自動運転制御は、ドライバに運転責任が課されない支援レベル(レベル3以上)の自動運転制御に対応する。「ドライバに周辺確認が求められない」とは、いわゆるアイズオフを許容することを意味する。ここでのレベル3の自動運転制御では、所定の低車速域においてのみ、ドライバに周辺確認が求められない自動運転制御を実行可能であってもよい。
【0021】
自動運転システム2は、自動運転ECU[Electronic Control Unit]20、外部センサ21、地図データベース22、内部センサ23、GPS[Global Positioning System]受信機24、及び、アクチュエータ25を備える。
【0022】
自動運転ECU20は、CPU[Central Processing Unit]、ROM[Read Only Memory]、RAM[Random Access Memory]、CAN[Controller Area Network]通信回路などを有する電子制御ユニットである。自動運転ECU20は、CPUが出力する信号に基づいてハードウェアを制御し、後述する自動運転ECU20の機能を実現する。より具体的な動作の一例としては、自動運転ECU20は、CAN通信回路を動作させてデータを入出力し、入力データをRAMに記憶し、ROMに記憶されているプログラムをRAMにロードし、RAMにロードされたプログラムを実行する。自動運転ECU20は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。自動運転ECU20の機能の一部は、車両1と通信可能なサーバで実行されてもよい。
【0023】
外部センサ21は、カメラ又はレーダセンサのいずれかを少なくとも含む。カメラは、車両1の周辺の状況を撮像する撮像機器である。カメラは、例えば車両1のフロントガラスの裏側に設けられ、車両前方を撮像する。レーダセンサは、電波(例えばミリ波)又は光を利用して車両1の周辺の物体を検出する検出機器である。レーダセンサには、例えば、レーダ(ミリ波レーダ)又はライダー[LiDAR:Light Detection and Ranging]が含まれる。外部センサ21は、撮像画像及び周辺の物体に関する検出情報を自動運転ECU20に送信する。
【0024】
地図データベース22は、地図情報を記憶するデータベースである。地図データベース22は、例えば、車両1に搭載されたHDD[Hard Disk Drive]等の記録装置内に形成されている。地図データベース22に記憶された地図情報には、例えば、道路の位置情報、道路形状の情報(例えば曲率情報)、交差点及び分岐点の位置情報等が含まれる。地図情報には、道路の位置及び道路形状等についての精度がナビゲーション用の地図よりも高い、いわゆる高精度地図情報が含まれてもよい。
【0025】
内部センサ23は、車両1の走行状態を検出する車載センサである。内部センサ23は、車速センサを含む。内部センサ23は、加速度センサ及びヨーレートセンサを含んでいてもよい。車速センサ、加速度センサ、及びヨーレートセンサとしては、公知のセンサを用いることができる。内部センサ23は、車両1の走行状態に関する検出情報を自動運転ECU20に送信する。
【0026】
GPS受信機24は、3個以上のGPS衛星から信号を受信することにより、車両1の位置(例えば車両1の緯度及び経度)を測定する。GPS受信機24は、測定した車両1の位置情報を自動運転ECU20へ送信する。
【0027】
アクチュエータ25は、車両1の走行制御に用いられる機器であり、自動運転ECU20からの制御信号に応じて動作する。アクチュエータ25は、駆動アクチュエータ、ブレーキアクチュエータ、及び操舵アクチュエータを少なくとも含む。駆動アクチュエータは、例えば動力源としてのエンジン又はモータ等に設けられ、車両1の駆動力を制御する。ブレーキアクチュエータは、例えば液圧ブレーキシステムに設けられ、車両1の車輪へ付与する制動力を制御する。操舵アクチュエータは、例えば電動パワーステアリングシステムのアシストモータであり、車両1の操舵トルクを制御する。
【0028】
自動運転ECU20は、車両1の地図上の位置、車両1の外部環境、及び、車両1の走行状態を認識可能に構成されている。
【0029】
自動運転ECU20は、外部センサ21の検出情報に基づいて、車両1の周辺の外部環境を認識する。外部環境には、車両1に対する物体の位置、車両1に対する物体の相対速度、及び車両1に対する物体の移動方向などが含まれる。物体には、車両1の周辺の他車両等の移動物体、及び、車両1の周辺の構造物等の静止物体が含まれる。外部環境には、外部センサ21の検出情報から区画線認識処理によって認識された区画線及び道路形状が含まれる。
【0030】
自動運転ECU20は、車両制御のために用いる地図情報を取得可能に構成されている。自動運転ECU20は、地図情報を地図データベース22から取得する。自動運転ECU20は、車両1と通信可能なサーバから通信ネットワークを介して地図情報を取得してもよい。
【0031】
自動運転ECU20は、内部センサ23の検出結果に基づいて、車両1の走行状態を認識する。走行状態には、車両1の車速が含まれる。走行状態には、車両1の加速度、車両1のヨーレートが含まれてもよい。
【0032】
自動運転ECU20は、GPS受信機24の位置情報及び地図情報に基づいて、車両1の地図上の位置を取得する。自動運転ECU20は、SLAM[Simultaneous Localization and Mapping]技術により車両1の地図上の位置を認識してもよい。
【0033】
自動運転ECU20は、目的地、地図情報、車両1の地図上の位置、外部環境、及び走行状態(車速、ヨーレートなど)に基づいて、車両1の走行計画を生成する。目的地は、ドライバを含む乗員が設定した目的地であってもよく、自動運転システム2が提案した目的地であってもよい。
【0034】
車両1の進路は、自動運転制御により走行中の車両1が未来に走行することが予定される走行軌跡である。自動運転ECU20は、目的地、現在の車両1の地図上の位置、及び地図情報に基づいて目的地までの車両1の目標ルート(車線単位の経路)を算出する。
【0035】
自動運転ECU20は、車両1が進路に沿って走行するための速度パターン(速度計画)を算出する。自動運転ECU20は、乗員の設定した自動運転制御の設定速度、地図情報に含まれる制限速度(例えば法定最高速度)、地図情報に含まれる一時停止線、信号機などの位置情報、先行車、歩行者などの外部環境などに基づいて、車両1の速度パターンを算出する。自動運転ECU20は、車両1の進路及び速度パターンを算出することで、車両1の進路及び速度パターンを含む走行計画を生成する。
【0036】
自動運転ECU20は、生成した走行計画に基づいて、車両1の自動運転制御を実行する。自動運転ECU20は、アクチュエータ25に制御信号を送信することにより、車両1の車速、操舵角をコントロールして自動運転制御を実行する。
【0037】
自動運転ECU20による自動運転制御においては、1又は複数の車速条件が予め設定されている。車速条件は、自動運転制御に関する車速の範囲の条件である。
【0038】
車速条件は、自動運転制御の実行中に所定の機能要素が有効となるための車速の範囲の条件を含む。機能要素とは、自動運転制御を構成する要素をなす機能である。自動運転制御は、1以上の機能要素を含む。機能要素は、例えば、渋滞支援、車線変更支援、及び追い越し支援の少なくとも一つが含まれる。機能要素は、レーントレーシングアシスト、レーンキープコントロール、アダプティブクルーズコントロール、レーダクルーズコントロール、及び、プリクラッシュセーフティの少なくとも一つが含まれてもよい。車速条件は、自動運転制御の実行中に自動車線変更(車線変更支援)が有効となるための第1車速範囲の条件を含む。車速条件は、自動運転制御の実行中に追越し提案(追い越し支援)が有効となるための第2車速範囲の条件を含む。
【0039】
車速条件は、自動運転制御の実行中に車両1のドライバの非保舵状態又は周囲非視認状態を許容するための車速の範囲の条件を含む。一例として、車速条件は、自動運転制御を実行中に非保舵状態(いわゆるハンズオフ)を一時的に許容するための第3車速範囲の条件を含む。第3車速範囲の車速条件は、支援レベルがレベル3未満の自動運転制御を実行中の条件であってもよい。車速条件は、自動運転制御を実行中に周囲非視認状態(いわゆるアイズオフ)を許容するための第4車速範囲の条件を含む。第4車速範囲の車速条件は、支援レベルがレベル3の自動運転制御を実行中の条件であってもよい。
【0040】
車速条件は、自動運転制御それ自体が使用不可能となるための車速の範囲の条件を含んでもよい。一例として、車速条件は、自動運転制御それ自体が使用不可能となるための第5車速範囲の条件を含む。
【0041】
自動運転ECU20は、車両1の車速と各車速条件とに基づいて、車速条件が満たされているか否かを判定する。例えば、自動運転ECU20は、車両1の車速が第1車速範囲に含まれる場合、第1車速範囲の車速条件が満たされていると判定し、自動運転制御の実行中の自動車線変更を有効とする。自動運転ECU20は、車両1の車速が第2車速範囲に含まれる場合、第2車速範囲の車速条件が満たされていると判定し、自動運転制御の実行中の追越し提案を有効とする。自動運転ECU20は、支援レベルがレベル3未満の自動運転制御を実行中において、車両1の車速が第3車速範囲に含まれる場合、第3車速範囲の車速条件が満たされていると判定し、一時的な非保舵状態を許容する。自動運転ECU20は、支援レベルがレベル3の自動運転制御を実行中において、車両1の車速が第4車速範囲に含まれる場合、第4車速範囲の車速条件が満たされていると判定し、周囲非視認状態を許容する。自動運転ECU20は、車両1の車速が第5車速範囲に含まれる場合、第5車速範囲の車速条件が満たされていると判定し、自動運転制御それ自体を使用不可能とする。
【0042】
所定の機能要素については、車速条件の車速の範囲が周辺状況に応じて変化してもよい。ここでの周辺状況は、例えば、車両1が走行している道路の道路形状が挙げられる。一例として、自動運転制御の実行中の自動車線変更についての車速条件では、周辺状況として車両1がカーブを走行中か否かに応じて第1車速範囲が変化してもよい。自動運転制御の実行中の追越し提案についての車速条件では、周辺状況として車両1がカーブを走行中か否かに応じて第2車速範囲が変化してもよい。自動運転制御それ自体の使用可否についての車速条件では、周辺状況として車両1がカーブを走行中か否かに応じて第5車速範囲が変化してもよい。周辺状況は、車両1が走行している道路の道路形状に限定されない。
【0043】
[車速表示装置の構成]
次に、本実施形態に係る車速表示装置100の構成について説明する。車速表示装置100は、車両1の車速に関する画像を表示する装置である。車速表示装置100は、主に、車両1に搭載された表示制御ECU10と、設定入力部15と、ディスプレイ装置(表示部)16と、で構成されている。車速表示装置100は、車両1の周辺状況を取得するための外部センサ21、及び、車両1の車速を取得するための内部センサ23を含んでもよい。
【0044】
表示制御ECU10は、CPU、ROM、RAM、CAN通信回路などを有する電子制御ユニット(コンピュータ)である。表示制御ECU10は、ディスプレイ装置16を制御する。表示制御ECU10は、ディスプレイ装置16に内蔵された電子制御ユニットであってもよい。表示制御ECU10は、自動運転ECU20の一部分であってもよい。表示制御ECU10は、複数の電子ユニットから構成されていてもよい。表示制御ECU10は、例えば自動運転ECU20と通信可能に接続されている。表示制御ECU10の機能の一部は、車両1と通信可能なサーバで実行されてもよい。
【0045】
設定入力部15は、車両1の乗員の設定入力を受け付ける機器である。設定入力は、ディスプレイ装置16に表示する車両1の車速に関する画像についての設定の入力を意味する。設定入力について、具体的には後述する。
【0046】
設定入力部15としては、例えば、車両1に設けられたHMI[Human Machine Interface]の入力部(例えばカーナビゲーション装置のタッチパネルディスプレイ、ボタン等)を用いることができる。設定入力部15は、乗員による設定入力の操作を受け付ける。設定入力部15は、受け付けた乗員の設定入力の情報を表示制御ECU10に送信する。
【0047】
ディスプレイ装置16は、車両1に搭載され、ドライバに対して画像を表示する表示器である。画像は、ディスプレイ装置16の所定の表示領域に表示される。ディスプレイ装置16は、表示制御ECU10により制御され、画像を表示領域に表示する。ディスプレイ装置16としては、図形の大きさ、図形の形状、輝度、色等を変更可能な表示器が用いられる。
【0048】
ディスプレイ装置16の一例として、インストルメントパネルのドライバ前方に設けられた液晶ディスプレイ(いわゆるマルチインフォメーションディスプレイ[MID:Multi Information Display])が用いられる。その他、ディスプレイ装置16として、ヘッドアップディスプレイ[HUD:Head Up Display]又はナビゲーションシステムの液晶ディスプレイ等が用いられてもよい。ヘッドアップディスプレイは、車両1のインストルメントパネル内に設置された映写部から、フロントウィンドシールドの表示面(フロントウィンドシールドの内側の反射面)に画像を照射する表示装置である。
【0049】
以下、表示制御ECU10の機能について説明する。図1に示されるように、表示制御ECU10は、機能的構成として、情報取得部(周辺状況取得部)11、第1画像生成部12、第2画像生成部13、及び、表示制御部14を有している。
【0050】
情報取得部11は、ディスプレイ装置16に表示するために、車両1の車速を取得する。ここでの情報取得部11は、自動運転ECU20の認識結果を用いて、車両1の車速を取得することができる。
【0051】
情報取得部11は、車両1の周辺状況を取得する。周辺状況は、例えば、車両1が走行している道路の道路形状が挙げられる。周辺状況は、例えば、車両1が走行している道路がカーブであるか直線路であるかの状況を含む。情報取得部11は、車両1の車両位置及び地図情報に基づいて、車両1の周辺状況を取得してもよい。情報取得部11は、車両1の外部環境に基づいて、車両1の周辺状況を取得してもよい。ここでの情報取得部11は、自動運転ECU20の認識結果を用いて、車両1の車両位置、地図情報、及び外部環境を取得することができる。情報取得部11は、例えば、車両1の車両位置が地図上のカーブの範囲に存在している場合に、車両1がカーブを走行中であると判定してもよい。情報取得部11は、例えば、区画線認識処理によって認識された区画線及び道路形状がカーブである場合に、車両1がカーブを走行中であると判定してもよい。
【0052】
第1画像生成部12は、車両1の車速と車速の表示範囲とを表す第1画像を生成する。第1画像は、車両1のスピードメーター画像のうち、車両1の現在の車速を示す部分の画像に相当する。車速の表示範囲は、予め設定された所定の速度の範囲である。車速の表示範囲は、例えば、0km/h以上180km/h以下の速度の範囲である。
【0053】
第2画像生成部13は、車速条件に相当する車速の範囲を表す第2画像を生成する。第2画像は、車両1のスピードメーター画像のうち、車両1の現在の車速が車速条件に相当する車速の範囲に属するか否かを対比するための画像に相当する。第2画像生成部13は、車両1が位置している現在の地図上の位置において適用されている車速条件に相当する車速の範囲を、第2画像として生成する。つまり、第2画像は、リアルタイムな車速条件に相当する車速の範囲に相当する。
【0054】
表示制御部14は、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両1のディスプレイ装置16に表示させる。第1画像及び第2画像は、現在提供されている自動運転制御の機能がどの車速域で利用可能であるかを表すように協働する。表示制御部14は、別の第2画像を介して第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両1のディスプレイ装置16に表示させてもよい。
【0055】
図2は、表示部に表示される第1画像及び第2画像の第1の例を示す図である。図2には、車両1のスピードメーター画像30が例示されている。図2に示されるように、スピードメーター画像30は、針31の先端で車両1の車速を示すタイプのスピードメーターの画像である。
【0056】
スピードメーター画像30は、所定の点33を中心として回動する針31と、点33を中心とする円弧部32と、を有している。針31は、車両1の車速を表す第1画像である。円弧部32は、車速の表示範囲を表す第1画像である。円弧部32は、点33を中心とする円の周方向に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部32は、点33の下方において延在していない。円弧部32は、点33の下方に向かって開口するC字状をなしている。円弧部32の内部には、説明のための目安として、車速の表示範囲に含まれる複数の車速値を示している。図2の例では、複数の車速値は、0km/h、40km/h、90km/h、140km/h、及び180km/hである。実際のスピードメーター画像30では、例えば、0km/hから180km/hまで10km/h刻みで車速値が記載されていてもよい。
【0057】
図2の例では、第2画像は、円弧部34~円弧部38である。円弧部34は、上述の自動車線変更に関する第1車速範囲を表す第2画像である。円弧部34の内部には、自動車線変更を意味する車両の平面視のアイコンが描かれている。円弧部34は、円弧部32に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部34と円弧部32とは、隣接する位置での車速値が互いに等しくなるように配置されている。円弧部34の低速側端部34aは、第1車速範囲の下限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部34の高速側端部34bは、第1車速範囲の上限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部34の幅は、円弧部32の幅と同等であってもよい。
【0058】
円弧部35は、上述の追越し提案に関する第2車速範囲を表す第2画像である。円弧部35は、円弧部34を介して円弧部32に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部35、円弧部34、及び円弧部32は、隣接する位置での車速値が互いに等しくなるように配置されている。円弧部35の低速側端部35aは、第2車速範囲の下限値に相当する位置で円弧部34と隣接している。円弧部35の高速側端部35bは、第2車速範囲の上限値に相当する位置で円弧部34と隣接している。
【0059】
円弧部35の幅は、円弧部34の幅よりも小さい。つまり、円弧部32に近い側に位置する円弧部34の幅の方が、円弧部35の幅よりも大きくてもよい。円弧部32に近い側に位置する円弧部34の幅が円弧部35の幅よりも大きいことは、円弧部34の「自動車線変更」の方が円弧部35の「追越し提案」よりもドライバへの表示において重要であることを意味してもよい。
【0060】
円弧部35の低速側端部35aは、円弧部34の低速側端部34aよりも高車速側に位置している。円弧部35の高速側端部35bは、円弧部34の高速側端部34bよりも低車速側に位置している。円弧部32に近い側に位置する円弧部34の方が、円弧部35よりも、周方向の延在長が大きい。円弧部32に近い側に位置する円弧部34の第1車速範囲の方が、円弧部35の第2車速範囲よりも、車速の範囲が広くてもよい。
【0061】
円弧部36は、上述の一時的な非保舵状態(ハンズオフ)に関する第3車速範囲を表す第2画像である。円弧部36の内部には、一時的な非保舵状態を意味するステアリングホイールのアイコンが描かれている。円弧部36は、円弧部34及び円弧部35を介して円弧部32に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部36、円弧部34、円弧部35、及び円弧部32は、隣接する位置での車速値が互いに等しくなるように配置されている。円弧部36の低速側端部36aは、第3車速範囲の下限値に相当する位置で円弧部35と隣接している。円弧部36の高速側端部36bは、第3車速範囲の上限値に相当する位置で円弧部35と隣接している。
【0062】
円弧部36の幅は、円弧部35の幅と同等であり、円弧部34の幅よりも小さい。
【0063】
円弧部36の低速側端部36aは、円弧部35の低速側端部35aよりも高車速側に位置している。円弧部36の高速側端部36bは、円弧部35の高速側端部35bよりも低車速側に位置している。円弧部32に近い側に位置する円弧部35の方が、円弧部36よりも、周方向の延在長が大きい。円弧部32に近い側に位置する円弧部35の第2車速範囲の方が、円弧部36の第3車速範囲よりも、車速の範囲が広くてもよい。
【0064】
円弧部37は、上述の周囲非視認状態(アイズオフ)に関する第4車速範囲を表す第2画像である。円弧部37は、円弧部32に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部37と円弧部32とは、隣接する位置での車速値が互いに等しくなるように配置されている。円弧部37の低速側端部37aは、第4車速範囲の下限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部37の高速側端部37bは、第4車速範囲の上限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部37の高速側端部37bは、円弧部34の低速側端部34aよりも低車速側に位置している。円弧部37は、円弧部34よりも低車速側において円弧部32に沿って延在している。円弧部37の幅は、円弧部32の幅と同等であってもよい。
【0065】
円弧部38は、上述の自動運転制御それ自体の使用不可に関する第5車速範囲を表す第2画像である。円弧部38は、円弧部32に沿って延在する所定の幅の帯状をなしている。円弧部38と円弧部32とは、隣接する位置での車速値が互いに等しくなるように配置されている。円弧部38の低速側端部38aは、第5車速範囲の下限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部38の高速側端部38bは、第5車速範囲の上限値に相当する位置で円弧部32と隣接している。円弧部38の低速側端部38aは、円弧部34の高速側端部34bよりも高車速側に位置している。円弧部38は、円弧部34よりも高車速側において円弧部32に沿って延在している。円弧部38の幅は、円弧部32の幅と同等であってもよい。
【0066】
第2画像生成部13は、車両1の周辺状況と車速条件とに基づいて、同一の機能要素について周辺状況に応じて車速の範囲を変化させて第2画像を生成してもよい。「周辺状況に応じて車速の範囲を変化させる」とは、例えば、道路形状(例えばカーブ)、地形(例えば勾配)、天候(例えば雨又は風)、及びVICS(登録商標)の情報等による制限に応じて、同一の機能要素について車速条件の車速の範囲が変化し得ることを意味する。車速条件の車速の範囲の変化は、自動運転ECU20において予め設定されている内容であってもよい。
【0067】
図3は、表示部に表示される第1画像及び第2画像の第2の例を示す図である。図3には、例えば図2の状態が車両1の直線路の走行中であるとしたときに車両1がカーブの走行中となった場合の車両1のスピードメーター画像30が例示されている。車速条件の車速の範囲が車両1の周辺状況に応じて変化する場合、図3に示されるように、車速条件の車速の範囲がリアルタイムに変化し得る。
【0068】
図3の例では、一時的な非保舵状態(ハンズオフ)に関する第3車速範囲と、周囲非視認状態(アイズオフ)に関する第4車速範囲とは、車両1の直線路の走行中から変更されていない。円弧部36を表す第2画像と、円弧部37を表す第2画像と、は図2から変化していない。
【0069】
追越し提案に関する第2車速範囲は、車両1の直線路の走行中の第2車速範囲と比べて変更されている。第2車速範囲の上限値は、ハンズオフに関する第3車速範囲の上限値と同等まで小さくされている。第2車速範囲の下限値は、ハンズオフに関する第3車速範囲の下限値に近付くように大きくされている。円弧部35を表す第2画像は、上限値及び下限値の変更に応じて図2から変化している。
【0070】
自動車線変更に関する第1車速範囲は、車両1の直線路の走行中の第2車速範囲と比べて変更されている。第1車速範囲の上限値は、追越し提案に関する第2車速範囲の上限値に近付くように小さくされている。第1車速範囲の下限値は、追越し提案に関する第2車速範囲の下限値に近付くように大きくされている。円弧部34を表す第2画像は、上限値及び下限値の変更に応じて図2から変化している。
【0071】
自動運転制御それ自体の使用不可に関する第5車速範囲は、車両1の直線路の走行中の第2車速範囲と比べて変更されている。第5車速範囲の上限値は、車両1の直線路の走行中から変更されていない。第5車速範囲の下限値は、自動車線変更に関する第1車速範囲の上限値に近付くように小さくされている。円弧部38を表す第2画像は、上限値及び下限値の変更に応じて図2から変化している。
【0072】
第2画像生成部13は、車両1の乗員の設定入力、又は、予め記憶された設定パターン情報に基づいて、複数の第2画像のうちディスプレイ装置16に表示しない第2画像を決定してもよい。車両1の乗員は、設定入力により、ディスプレイ装置16に表示される第2画像の種類を任意にカスタマイズすることができる。設定パターン情報は、車速表示装置100の設計の際に複数の第2画像の重要度に応じてディスプレイ装置16に表示するか否かを予め設定されたパターン情報である。
【0073】
第2画像生成部13は、周辺状況に応じて第2画像の表示又は非表示を切り替えてもよい。ここでの周辺状況としては、例えば天候及び車両1の周辺の他車両等の現在状況であってもよい。第2画像生成部13は、周辺状況に応じて第2画像のドライバへの表示における重要度を変更してもよい。第2画像生成部13は、例えば天候が雨の場合、自動車線変更に関する円弧部34は表示する一方で追越し提案に関する円弧部35及び一時的な非保舵状態(ハンズオフ)に関する円弧部36は表示しないように、第2画像の重要度を下げるように変更してもよい。第2画像生成部13は、例えば車両1が低車速であっても車両1の周辺の現在状況が周辺確認を省略できない場合、周囲非視認状態(アイズオフ)に関する円弧部37は表示しないように、第2画像の重要度を下げるように変更してもよい。周辺確認を省略できない場合とは、例えば、過去の道路状況に基づいて定められた通常の状況と比べて、他車両の数が多い場合及びその他障害物(例えば道路工事等)が新たに存在する場合、等であってもよい。第2画像の重要度は、周辺状況に応じて重み付けされていてもよい。例えば、同一の周辺状況であっても、一時的な非保舵状態(ハンズオフ)に関する円弧部36、及び、周囲非視認状態(アイズオフ)に関する円弧部37は、自動車線変更に関する円弧部34、及び、追越し提案に関する円弧部35よりも大きい重み付けとされることで、ディスプレイ装置16から非表示とされ易くてもよい。
【0074】
図4は、表示部に表示される第1画像及び第2画像の第3の例を示す図である。図4には、例えば図2の状態から円弧部34及び円弧部38以外の第2画像がディスプレイ装置16に表示されない車両1のスピードメーター画像30が例示されている。図4の例では、例えば天候が雨であることに応じて、或いは、車両1の乗員の設定入力に応じて、円弧部34及び円弧部38以外の第2画像が非表示とされている。
【0075】
第1画像生成部12及び第2画像生成部13は、スピードメーター画像30として、図2図4の円形の例とは異なり、直線的に車速が刻まれたスピードメーター画像40を生成してもよい。図5は、表示部に表示される第1画像及び第2画像の第4の例を示す図である。図5には、所定の方向を長手方向として延在する棒グラフ41が描画されている。所定の方向は、例えば車両1に設置された状態のディスプレイ装置16における車両1の車幅方向に対応してもよい。図5に示されるように、棒グラフ41は、外枠42と値表示43とを有している。外枠42は、上記長手方向に沿う長方形をなしている。値表示43は、上記長手方向に沿う長方形をなしており、図の紙面に向かって左詰めで外枠42内に描かれている。値表示43は、例えば、外枠42内とは異なる色彩又は模様を有していてもよい。
【0076】
外枠42及び値表示43は、例えば、外枠42内の図の紙面に向かって左側の端部を原点とする車速を表す画像である。外枠42内の位置及び値表示43の右端の位置は、紙面に向かって右側に位置するほど高い車速を表す。外枠42の長手方向の寸法は、車速の表示範囲を表している。外枠42及び値表示43は、車速及び車速の表示範囲を表す第1画像である。
【0077】
外枠42及び値表示43の図の紙面に向かって上側には、円弧部34~円弧部38に対応する帯部44~帯部48が並べて表示されている。帯部44は、上述の自動車線変更に関する第1車速範囲を表す第2画像である。帯部45は、上述の追越し提案に関する第2車速範囲を表す第2画像である。帯部46は、上述の一時的な非保舵状態(ハンズオフ)に関する第3車速範囲を表す第2画像である。帯部47は、上述の周囲非視認状態(アイズオフ)に関する第4車速範囲を表す第2画像である。帯部48は、上述の自動運転制御それ自体の使用不可に関する第5車速範囲を表す第2画像である。表示制御部14は、外枠42及び値表示43に沿って帯部44~帯部48を配置するように外枠42及び値表示43及び帯部44~帯部48を車両1のディスプレイ装置16に表示させる。
【0078】
第2画像は、自動運転制御の実行中に所定の機能要素が有効となる車速の範囲を表す第3画像と、自動運転制御の実行中に車両のドライバの非保舵状態又は周囲非視認状態を許容する車速の範囲を表す第4画像と、を含んでもよい。表示制御部14は、第1画像を挟んで第1画像の一方側に第3画像を配置すると共に第1画像の他方側に第4画像を配置するように第3画像及び第4画像を車両1のディスプレイ装置16に表示させてもよい。図6は、表示部に表示される第1画像並びに、第3画像及び第4画像を含む第2画像の例を示す図である。
【0079】
図6の例では、帯部44は、自動運転制御の実行中に自動車線変更が有効となる車速の範囲を表す第3画像である。帯部45は、自動運転制御の実行中に追越し提案が有効となる車速の範囲を表す第3画像である。帯部46は、自動運転制御の実行中に車両1のドライバの一時的な非保舵状態(ハンズオフ)を許容する車速の範囲を表す第4画像である。帯部47は、自動運転制御の実行中に車両1のドライバの周囲非視認状態(アイズオフ)を許容する車速の範囲を表す第4画像である。外枠42及び値表示43の一方(図の紙面に向かって上側)に帯部44及び帯部45が表示されることで、車両1のドライバが自動運転制御の動作に関する車速の範囲を認識しやすくなる。外枠42及び値表示43の他方(図の紙面に向かって下側)に帯部46~帯部48が表示されることで、車両1のドライバが自動運転制御に対してのドライバの行動及び操作に関する車速の範囲を認識しやすくなる。
【0080】
[車速表示装置の処理、車速表示方法、及び車速表示プログラムの処理]
次に、車速表示装置100の処理の一例について、図7のフローチャートを参照して説明する。図7は、車速表示処理(車速表示方法)の一例を示すフローチャートである。図7に示される処理(ステップ)は、例えば、車両1の主電源がONとなっている場合、所定の演算周期ごとに繰り返し実行される。
【0081】
図7に示されるように、車速表示装置100の表示制御ECU10は、S01において、情報取得部11により、車速の取得を行う。情報取得部11は、例えば、内部センサ23の検出結果に基づく自動運転ECU20の認識結果を用いて、車両1の車速を取得する。
【0082】
S02において、表示制御ECU10は、情報取得部11により、周辺状況の取得を行う。情報取得部11は、例えば、車両1の車両位置及び地図情報に基づいて、車両1の周辺状況を取得する。情報取得部11は、車両1の外部環境に基づいて、車両1の周辺状況を取得してもよい。情報取得部11は、例えば、外部センサ21の検出結果、地図データベース22の地図情報、及びGPS受信機24の受信結果に基づく自動運転ECU20の認識結果を用いて、車両1の車両位置、地図情報、及び外部環境を取得することができる。
【0083】
S03において、表示制御ECU10は、第1画像生成部12により、第1画像の生成を行う。第1画像生成部12は、車両1のスピードメーター画像のうち、車両1の現在の車速を示す部分の画像を生成する。第1画像生成部12は、例えば図2図4のような、所定の点33を中心として回動する針31と、点33を中心とする円弧部32と、を有するスピードメーター画像30を生成する。第1画像生成部12は、例えば図5及び図6のような、外枠42と値表示43とを有する棒グラフ41としてスピードメーター画像40を生成してもよい。
【0084】
S04において、表示制御ECU10は、第2画像生成部13により、第2画像の生成を行う。第2画像生成部13は、車速条件を取得し、車両1のスピードメーター画像のうち、車両1の現在の車速が車速条件に相当する車速の範囲に属するか否かを対比するための画像を生成する。第2画像生成部13は、例えば図2のような、円弧部34~円弧部38を生成する。第2画像生成部13は、例えば図3のように、車両1の周辺状況と車速条件とに基づいて、同一の機能要素について周辺状況に応じて車速の範囲を変化させて第2画像を生成してもよい。第2画像生成部13は、例えば図4のように、周辺状況に応じて第2画像の表示又は非表示を切り替えてもよい。第2画像生成部13は、車両1の乗員の設定入力、又は、予め記憶された設定パターン情報に基づいて、複数の第2画像のうちディスプレイ装置16に表示しない第2画像を決定してもよい。第2画像生成部13は、例えば図5及び図6のような、帯部44~帯部48を生成してもよい。
【0085】
S05において、表示制御ECU10は、表示制御部14により、第1画像及び第2画像の表示を行う。表示制御部14は、例えば図2図5のように、第1画像に沿って第2画像を配置するように第1画像及び第2画像を車両1のディスプレイ装置16に表示させる。表示制御部14は、例えば図6のように、第1画像を挟んで第1画像の一方側に第3画像を配置すると共に第1画像の他方側に第4画像を配置するように第3画像及び第4画像を車両1のディスプレイ装置16に表示させてもよい。その後、表示制御ECU10は、図7の処理を終了する。
【0086】
[車速表示プログラム]
車速表示プログラムは、表示制御ECU10を、上述した情報取得部11、第1画像生成部12、第2画像生成部13、及び表示制御部14として機能(動作)させる。車速表示プログラムは、例えば、ROM又は半導体メモリなどの非一時的な記録媒体によって提供される。また、車速表示プログラムは、ネットワークなどの通信を介して提供されてもよい。
【0087】
以上説明した車速表示装置100、車速表示方法、及び車速表示プログラムによれば、車両1のディスプレイ装置16において第2画像が第1画像に沿って配置されるため、ドライバは、第1画像に併せて第2画像を容易に視認することができる。これにより、車両1が走行中であっても、ドライバは、車速条件に相当する車速の範囲を容易に認識することができる。この結果、車速条件に相当する車速の範囲を事前に記憶する負担をドライバから省くことができる。
【0088】
車速表示装置100、車速表示方法、及び車速表示プログラムでは、車両1の周辺状況が取得される。自動運転制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含む。所定の機能要素についての車速条件では、車速の範囲が周辺状況に応じて変化する。周辺状況と車速条件とに基づいて、同一の機能要素について周辺状況に応じて車速の範囲を変化させるように第2画像が生成される。これにより、周辺状況に応じた車速の範囲を表すように第2画像が変化するため、ドライバは、車両1が走行中であっても、車速条件に相当する車速の範囲の変化を認識することができる。
【0089】
車速表示装置100、車速表示方法、及び車速表示プログラムでは、自動運転制御は、自動運転制御を構成する要素をなす機能である1以上の機能要素を含む。第2画像は、自動運転制御の実行中に所定の機能要素が有効となる車速の範囲を表す第3画像と、自動運転制御の実行中に車両1のドライバの非保舵状態又は周囲非視認状態を許容する車速の範囲を表す第4画像と、を含む。第1画像を挟んで第1画像の一方側に第3画像を配置すると共に第1画像の他方側に第4画像を配置するように第3画像及び第4画像が車両1のディスプレイ装置16に表示される。これにより、第2画像の一部又は全部は、第1画像を挟んで第3画像と第4画像とに分割して表示される。これにより、第2画像のうち第3画像によって表される第2車速範囲と第4画像によって表される第2車速範囲とをドライバが混同することを抑制することができる。
【0090】
なお、ドライバは、第1画像に併せて第2画像を視認することで、例えば、ドライバが使用したい機能要素の車速条件に合うように、車両1の車速を調整することができる。仮に、速度域に応じて提供される機能要素等をドライバが把握できていないと、例えば、ドライバが設定車速を上げすぎて自動運転が使用できなくなったり、カーブでの自動車線変更等が利用できなくなったり、などの不便を感じることが起き得る。車速表示装置100、車速表示方法、及び車速表示プログラムによれば、速度域に応じて提供される機能要素等をドライバが目視で確認できるようになるため、例えばハンズオフを利用したい場合に設定車速を上げすぎない等の対応をすることができる。
【0091】
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は、上記実施形態に限定されるものではない。
【0092】
上記実施形態では、同一の機能要素について周辺状況に応じて車速の範囲を変化させるように第2画像が生成されたが、この例は必須ではない。周辺状況に応じて車速の範囲は変化しなくてもよい。この場合、図7のS02の処理は省略されてもよい。
【0093】
上記実施形態では、スピードメーター画像として、図2図6を例示したが、これらに限定されない。その他の機能要素の第2画像が含まれてもよい。円弧状又は直線状以外の形状として、第1画像及び第2画像が生成されてもよい。
【0094】
図3は、車両1の周辺状況として道路形状がカーブである場合の例示であったが、この例に限定されない。周辺状況としては、例えば、地形、天候、又はVICSの情報等による制限であってもよい。図5及び図6の直線状のスピードメーター画像40において、周辺状況に応じて車速の範囲を変化させるように第2画像が生成されてもよい。
【0095】
図4は、車両1の周辺状況として天候及び車両1の周辺の他車両等の現在状況である場合の例示であったが、この例に限定されない。周辺状況としては、例えば、道路形状、地形、又はVICSの情報等による制限であってもよい。図5及び図6の直線状のスピードメーター画像40において、周辺状況に応じて第2画像の表示又は非表示を切り替えてもよい。
【0096】
上記実施形態では、車速表示装置100は、自動運転制御を実行可能な車両1に設けられていたが、運転支援制御を実行可能な車両に設けられていてもよい。運転支援制御は、ドライバの運転操作を補助するための制御である。運転支援制御は、上述の機能要素の何れかに対応する機能(例えばアダプティブクルーズコントロール)であってもよい。
【符号の説明】
【0097】
1…車両、11…情報取得部(周辺状況取得部)、12…第1画像生成部、13…第2画像生成部、14…表示制御部、16…ディスプレイ装置(表示部)、100…車速表示装置。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7