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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180035
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】ガスこんろ
(51)【国際特許分類】
   F24C 3/08 20060101AFI20241219BHJP
   F24C 15/10 20060101ALI20241219BHJP
   F23D 14/06 20060101ALI20241219BHJP
   F23D 14/48 20060101ALN20241219BHJP
【FI】
F24C3/08 Q
F24C15/10 E
F23D14/06 H
F23D14/48 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099452
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】谷野 涼
(72)【発明者】
【氏名】村田 元
(72)【発明者】
【氏名】平田 健
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AB02
3K017AC02
3K017AD01
3K017AD14
3K017CB02
3K017CB09
3K017CD02
3K017CD03
(57)【要約】
【課題】部品の種類が増えることを抑えながら、加熱調理における熱効率の向上を図る。
【解決手段】ガスこんろ9は、バーナキャップ2を有するガスバーナ1と、複数の爪部85を有する五徳8と、を備える。五徳8は、バーナキャップ2を囲むように設置される。バーナキャップ2は、バーナキャップ2の周方向に並んだ複数の炎孔21,22,23,24で構成された炎孔群28を有する。複数の炎孔21,22,23,24の向きは、バーナキャップ2の径方向外側の向きを基準として、バーナキャップ2の周方向の一側にそれぞれ傾いている。五徳8の複数の爪部85は、径方向の向きに、伸びている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口が設けられた天板を有するこんろ本体と、
バーナキャップを有するガスバーナと、
複数の爪部を有する五徳と、を備え、
前記ガスバーナは、前記天板の前記開口を通じて前記バーナキャップが露出するように、前記こんろ本体の内部に装着され、
前記五徳は、前記バーナキャップを囲むように前記天板の上に設置された、
ガスこんろであって、
前記バーナキャップは、
前記バーナキャップの周方向に並んだ複数の炎孔で構成された炎孔群を有し、
前記複数の炎孔の向きは、前記バーナキャップの径方向外側の向きを基準として、前記バーナキャップの周方向の一側にそれぞれ傾いており、
前記五徳の前記複数の爪部は、前記径方向の向きに伸びている、
ガスこんろ。
【請求項2】
前記複数の炎孔のうち、前記周方向の前記一側とは反対側の端に位置する所定の炎孔は、これを除いた他の炎孔よりも大きな噴出口を有する、
請求項1のガスこんろ。
【請求項3】
前記複数の炎孔のうち、前記周方向の前記一側とは反対側の端に位置する所定の炎孔は、これを除いた他の炎孔の角部よりも大きな面取りが設けられた角部を有し、
前記角部は、前記所定の炎孔の前記周方向の前記反対側の端に設けられた角部である、
請求項1のガスこんろ。
【請求項4】
前記複数の炎孔のうち、前記周方向の両端に位置する2つの炎孔を除いた、1つ以上の炎孔は、前記2つの炎孔よりも小さな噴出口を有する、
請求項1から3のいずれか一項のガスこんろ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ガスこんろに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ガスバーナを備えたガスこんろが開示されている。ガスバーナには、周方向に距離をあけて複数の炎孔が設けられている。各炎孔の向き(つまり、各炎孔から火炎が噴出する向き)は、径方向外側の向きではなく、この向きから周方向に傾いた向きに設定されている。
【0003】
特許文献1に開示されたガスこんろでは、ガスこんろに設置される固定台の爪部が伸びる向きも、径方向外側の向きではなく、この向きから周方向に傾いた向きに設定されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】実全昭61-039229号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記した従来のガスこんろによれば、ガスバーナから噴出する火炎と調理容器の接触範囲が広くなる。しかし、固定台として特別な形状のものを利用するため、部品の種類が増えてコスト増の原因となる。
【0006】
本開示が解決しようとする課題は、部品の種類が増えることを抑えながら、加熱調理における熱効率の向上を図ることができるガスこんろを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一様態に係るガスこんろは、開口が設けられた天板を有するこんろ本体と、バーナキャップを有するガスバーナと、複数の爪部を有する五徳と、を備える。前記ガスバーナは、前記天板の前記開口を通じて前記バーナキャップが露出するように、前記こんろ本体の内部に装着される。前記五徳は、前記バーナキャップを囲むように前記天板の上に設置される。前記バーナキャップは、前記バーナキャップの周方向に並んだ複数の炎孔で構成された炎孔群を有する。前記複数の炎孔の向きは、前記バーナキャップの径方向外側の向きを基準として、前記バーナキャップの周方向の一側にそれぞれ傾いている。前記五徳の前記複数の爪部は、前記径方向の向きに伸びている。
【発明の効果】
【0008】
本開示は、部品の種類が増えることを抑えながら、加熱調理における熱効率の向上を図ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、一実施形態のガスこんろの平面図である。
図2図2は、同上のガスこんろに設置されたガスバーナの平面図である。
図3図3は、同上のガスバーナの要部側面図である。
図4図4は、図3のA-A線断面図である。
図5図5は、図3の要部拡大図である。
図6図6は、図5のB-B線断面図である。
図7図7は、変形例のガスバーナの要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
1.一実施形態
図1には、一実施形態のガスこんろ9が示されている。一実施形態のガスこんろ9は、図示略のキッチンカウンターに設置されるドロップイン型のガスこんろである。以下の文中で用いる上下方向等の各方向は、ガスこんろ9が設置された状態を基準とする。
【0011】
(ガスこんろ)
一実施形態のガスこんろ9は、ガスバーナ1と、ガスバーナ1が装着されたこんろ本体7と、を備える。
【0012】
こんろ本体7は、ケーシング72と天板74を有する。こんろ本体7の箱型の外殻は、ケーシング72と天板74で構成されている。ケーシング72は、上方に開放された開口を有する矩形箱型のケーシングである。天板74は、ケーシング72の開口を覆うように、ケーシング72上に設置されている。
【0013】
天板74には複数の開口76が上下に貫通形成されており、各開口76を通じて、対応するガスバーナ1の一部(具体的には、後述するバーナキャップ2等)が上方に突出している。一実施形態のガスこんろ9においては、ガスバーナ1が左右に2つ設置され、これら左右のガスバーナ1の後ろに、別のガスバーナ1が1つ設置されている。左右のガスバーナ1は、後ろのガスバーナ1に比較して高火力のガスバーナである。
【0014】
こんろ本体7は、複数の操作部78を更に有している。一実施形態のガスこんろ9においては、複数の操作部78のうち少なくとも1つが操作されることで、対応するガスバーナ1の点火と消火の切換えや、対応するガスバーナ1の火力調整が行われる。
【0015】
さらに、一実施形態のガスこんろ9は、こんろ本体7の上面に設置される五徳8を、複数備える。複数の五徳8は、3つガスバーナ1に一対一で対応する3つの五徳8である。各五徳8は、対応するガスバーナ1のバーナキャップ2を囲んで位置するように、天板74の上面に設置されている。五徳8は、リング部81と、リング部81の外周縁部に結合された複数の爪部85と、を有する。
【0016】
こんろ本体7の天板74に五徳8が設置された状態において、リング部81は、ガスバーナ1のバーナキャップ2を同心円状に囲んで位置する。複数の爪部85は、リング部81の径方向の向きに延びるように設けられている。
【0017】
以下においては、一実施形態のガスこんろ9が備えるガスバーナ1の詳細な構成について説明する。
【0018】
(ガスバーナ)
図2及び図3に示されるガスバーナ1は、3つのガスバーナ1に含まれる1つのガスバーナ1である。3つのガスバーナ1は、基本的に共通の構成を有する。
【0019】
ガスバーナ1は、筒状のバーナキャップ2と、鍋底温度センサ3と、バーナ本体4と、ガス混合管5と、を備える。
【0020】
(バーナキャップ)
バーナキャップ2は、上下に貫通した円筒状の部材である。バーナキャップ2は、例えばアルミニウム合金で形成されている。筒状であるバーナキャップ2は、上下に貫通した貫通孔20を中心部分に有し(図4を参照)、かつ複数の炎孔群28を外周部分に有する。
【0021】
複数の炎孔群28は、バーナキャップ2の周方向に互いに距離をあけて形成されている。以下において、単に「周方向」というときは、バーナキャップ2の周方向を意味する。
【0022】
複数の炎孔群28は、具体的には、周方向に互いに距離をあけて形成された6つの炎孔群28である。6つの炎孔群28のうち、周方向において互いに隣接する2つの炎孔群28の間には、隔壁27がそれぞれ設けられている。各炎孔群28の詳細な構成については、改めて説明する。
【0023】
バーナキャップ2の上端部には、キャップカバー29が固定されている。キャップカバー29の外径寸法は、バーナキャップ2の外径寸法よりも大きい。
【0024】
(鍋底温度センサ)
鍋底温度センサ3は、ガスバーナ1によって加熱される鍋等の調理容器(図示略)の底面に当接して、温度を検出するように構成されている。鍋底温度センサ3は、バーナキャップ2及びキャップカバー29よりも上方に突出するように、バーナキャップ2の貫通孔20に挿通されている。鍋底温度センサ3のうち調理容器に当接するように構成された面30は、バーナキャップ2及びキャップカバー29よりも上方に位置する。
【0025】
(バーナ本体)
バーナ本体4は、上下に貫通した貫通孔43を中心部分に有する。貫通孔43には、鍋底温度センサ3が挿通されている。バーナ本体4の上部には、バーナキャップ2を載置するための載置部44が設けられている。
【0026】
(ガス混合管)
ガス混合管5は、バーナ本体4の外周壁から水平方向に突出するように、バーナ本体4の外周壁と一体に設けられている。
【0027】
ガス混合管5は、バーナ本体4の内部空間に連通する内部流路50と、内部流路50の上流端を構成する上流端開口51と、を有する。
【0028】
一実施形態のガスバーナ1では、上流端開口51に挿し込まれたガスノズル68を通じて、ガス混合管5に燃料ガスが供給されるとともに、上流端開口51とガスノズル68の隙間を通じて、周囲の空気が一次空気としてガス混合管5に供給される。ガス混合管5に供給された燃料ガスと一次空気は、ガス混合管5の内部流路50において混合された後に、バーナ本体4に供給される。
【0029】
さらに、ガスバーナ1は、点火プラグ62と、ガス混合管5をこんろ本体7内の所定位置に保持する保持台64と、を備える。
【0030】
(点火プラグ)
点火プラグ62は、バーナ本体4の外周面に沿って起立するように設置されている。点火プラグ62の先端部には、放電電極621が設けられている。放電電極621は、バーナキャップ2が有する点火ターゲット部26と対向する位置にある。
【0031】
一実施形態のガスバーナ1においては、点火プラグ62の放電電極621が、点火ターゲット部26との間でスパークを生じさせることで、各炎孔群28から吹き出した混合ガスが点火され、各炎孔群28から火炎が噴出する燃焼状態に至る。
【0032】
(保持台)
保持台64は、ガスバーナ1に設けられたフランジ部55を介して、ガス混合管5をケーシング72に固定させる。保持台64は、図示略の取付具を介して、ケーシング72に固定される。
【0033】
フランジ部55は、ガス混合管5の外周壁から水平方向に延出されている。フランジ部55は、バーナ本体4からガス混合管5に至る部分の全体から、水平方向に延出されている。
【0034】
保持台64は、ガスノズル68に接続されたガス管69の凸部697が嵌め込まれる凹部645を、有している。ガス管69の凸部697は、ガス管69の下流端部に設けられている。ガス管69の凸部697は、ガス管69の下流端部の全周にわたって、ガス管69の径方向外側に突出するように設けられている。
【0035】
(炎孔群の詳細な構成)
上記したように、バーナキャップ2の外周部分には、周方向に互いに距離をあけて6つ炎孔群28が形成されている。6つの炎孔群28は、共通の構成を有する。以下においては、炎孔群28の共通の構成について説明する。
【0036】
図5等に示されるように、一実施形態のガスバーナ1においては、炎孔群28は、周方向に並んだ複数の炎孔21,22,23,24で、構成されている。
【0037】
4つの炎孔21,22,23,24は、バーナキャップ2の径方向外側に向けて開口し、径方向内側に向けて開口し、かつ下側に向けて開口している。バーナキャップ2がバーナ本体4の載置部44に載せられた状態で、各炎孔21,22,23,24の下側の開口は、バーナ本体4の載置部44によって塞がれる。ガス混合管5からバーナ本体4に供給された燃料ガスは、各炎孔21,22,23,24の径方向内側の開口を通じて、各炎孔21,22,23,24に供給され、各炎孔21,22,23,24の径方向外側の開口を通じて外部に噴出する。
【0038】
(炎孔の向き)
図4及び図6等に示されるように、4つの炎孔21,22,23,24のそれぞれの向き(つまり、各炎孔21,22,23,24から火炎が噴き出す向き)は、バーナキャップ2の径方向外側の向きを基準として、周方向の一側に傾いている。ここでの周方向の一側は、具体的には平面視における反時計回りの側であり、以下においてはこの側を「第1側」という。
【0039】
これにより、一実施形態のガスバーナ1では、4つの炎孔21,22,23,24からの火炎が、バーナキャップ2の径方向外側の向きを基準として、第1側に傾いて噴出する。そのため、ガスバーナ1から噴出する火炎と調理容器の接触範囲が広くなり、加熱調理における熱効率の向上が図られる。上記の傾きの角度θは、例えば20°から27°の範囲内で設定されることが好ましいが、他の範囲内で設定されることも有り得る。
【0040】
(炎孔の噴出口)
4つの炎孔21,22,23,24の噴出口210,220,230,240は、以下の特徴的な構成を備える。
【0041】
以下においては区別のため、4つの炎孔21,22,23,24のうち、周方向の第2側の端に位置する炎孔21を、所定の炎孔21という。周方向の第2側は、周方向において第1側とは反対の側である。
【0042】
また、4つの炎孔21,22,23,24のうち、周方向の第1側の端に位置する炎孔24を、反対側の炎孔24という。所定の炎孔21と反対側の炎孔24の間に位置する2つの炎孔22,23を、中間の炎孔22,23という。
【0043】
4つの炎孔21,22,23,24のうち、所定の炎孔21は、これを除いた他の炎孔22,23,24よりも大きな噴出口210を有する。すなわち、所定の炎孔21の噴出口210は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230よりも大きな開口面積を有し、かつ、反対側の炎孔24の噴出口240よりも大きな開口面積を有する。反対側の炎孔24の噴出口240は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230よりも大きな開口面積を有する。つまり、4つの炎孔21,22,23,24のうち、所定の炎孔21の噴出口210が1番目に大きな開口面積を有し、反対側の炎孔24の噴出口240が2番目に大きな開口面積を有する。中間の炎孔22,23の噴出口220,230は、同一の開口面積を有する。
【0044】
所定の炎孔21の噴出口210は、他の炎孔22,23,24の噴出口220,230,240よりも、上下方向に長く形成されている。つまり、所定の炎孔21の噴出口210は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230よりも上下方向に長く形成され、かつ、反対側の炎孔24の噴出口240よりも上下方向に長く形成されている。反対側の炎孔24の噴出口240は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230よりも上下方向に長く形成されている。つまり、4つの炎孔21,22,23,24のうち、所定の炎孔21の噴出口210が、上下方向において1番長く形成され、反対側の炎孔24の噴出口240が、上下方向において2番目に長く形成されている。中間の炎孔22,23の噴出口220,230は、上下方向において同一の長さを有する。
【0045】
所定の炎孔21の噴出口210の上端は、他の炎孔22,23,24の噴出口220,230,240の上端よりも、上方に位置している。すなわち、所定の炎孔21の噴出口210の上端は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230の上端よりも高く位置し、かつ、反対側の炎孔24の噴出口240の上端よりも高く位置している。反対側の炎孔24の噴出口240の上端は、中間の炎孔22,23の噴出口220,230の上端よりも高く位置している。つまり、4つの炎孔21,22,23,24のうち、所定の炎孔21の噴出口210の上端が1番高く位置し、反対側の炎孔24の噴出口240の上端が2番目に高く位置している。中間の炎孔22,23の上端は、同じ高さに位置している。4つの炎孔21,22,23,24の下端は、同じ高さに位置する。
【0046】
なお、一実施形態のガスバーナ1では、所定の炎孔21と反対側の炎孔24の間に、2つの中間の炎孔22,23が設けられているが、中間の炎孔の数はこれに限定されず、1つだけ設けられてもよいし、3つ以上設けられてもよい。
【0047】
(炎孔の角部)
4つの炎孔21,22,23,24の角部215,216,225,226,235,236,245,246は、以下の特徴的な構成を備える。
【0048】
4つの複数の炎孔21,22,23,24のうち、所定の炎孔21は、周方向の両端に設けられた角部215,216を有する。周方向の両端の角部215,216は、周方向の第1側の端に設けられた角部215と、周方向の第2側の端に設けられた角部216と、からなる。角部215よりも周方向の第2側に位置する角部216は、角部215よりも径方向外側に位置している。
【0049】
図5及び図6に示されるように、周方向の第2側の角部216には、周方向の第1側の角部215よりも大きな面取りが設けられている。角部216の先端には、水平断面が円弧状の面216Rが形成されている。角部216には、周囲と滑らかにつながる円弧状の面216Rを形成するように面取り加工が行われることが好ましい。角部215には、角部216よりも小さな面取りが設けられてもよいし、面取りが設けられなくてもよい。
【0050】
反対側の炎孔24は、周方向の両端に設けられた角部245,246を有する。周方向の両端の角部245,246は、周方向の第1側の端に設けられた角部245と、周方向の第2側の端に設けられた角部246と、からなる。角部245よりも周方向の第2側に位置する角部246は、角部245よりも径方向内側に位置している。
【0051】
所定の炎孔21を反対側の炎孔24と対比すると、所定の炎孔21の角部216には、反対側の炎孔24の角部245,246よりも大きな面取りが設けられている。角部245,246には、角部216よりも小さな面取りが設けられてもよいし、面取りが設けられなくてもよい。
【0052】
中間の炎孔22は、周方向の両端に設けられた角部225,226を有する。周方向の両端の角部225,226は、周方向の第1側の端に設けられた角部225と、周方向の第2側の端に設けられた角部226と、からなる。角部225よりも周方向の第2側に位置する角部226は、角部225よりも径方向内側に位置している。
【0053】
所定の炎孔21を中間の炎孔22と対比すると、所定の炎孔21の角部216には、中間の炎孔22の角部225,226よりも大きな面取りが設けられている。角部225,226には、角部216よりも小さな面取りが設けられてもよいし、面取りが設けられなくてもよい。
【0054】
同様に、別の中間の炎孔23は、周方向の両端に設けられた角部235,236を有する。周方向の両端の角部235,236は、周方向の第1側の端に設けられた角部235と、周方向の第2側の端に設けられた角部236と、からなる。角部235よりも周方向の第2側に位置する角部236は、角部235よりも径方向外側に位置している。
【0055】
所定の炎孔21を別の中間の炎孔23と対比すると、所定の炎孔21の角部216には、中間の炎孔23の角部235,236よりも大きな面取りが設けられている。角部235,236には、角部216よりも小さな面取りが設けられてもよいし、面取りが設けられなくてもよい。
【0056】
以上のように、所定の炎孔21の角部216には、他の炎孔22,23,24の角部225,226,235,236,245,246よりも大きな面取りが設けられている。
【0057】
(五徳との関係)
図1に示されるように、こんろ本体7の天板74に五徳8が設置された状態において、リング部81は、対応するガスバーナ1のバーナキャップ2を同心円状に囲んで位置する。
【0058】
複数の爪部85は、リング部81の周方向に等間隔を隔てて配置された6つの爪部85である。五徳8がこんろ本体7に設置された状態において、リング部81の周方向は、五徳8に囲まれるバーナキャップ2の周方向に一致する。
【0059】
天板74に五徳8が設置された状態での平面視において、五徳8の各爪部85は、リング部81の径方向外側の向きに延びるように設けられている。換言すると、天板74に五徳8が設置された状態での平面視において、五徳8の各爪部85は、バーナキャップ2の径方向外側の向きに伸びるように設けられている。
【0060】
図4に示されるように、平面視において五徳8の6つの爪部85の間に形成される6つの空間S1と、バーナキャップ2の6つの炎孔群28と、は一対一に対応している。バーナキャップ2の各炎孔群28から噴出する火炎は、対応する1つの空間S1に向けて噴出する。
【0061】
既述のように、一実施形態のガスこんろ9では、バーナキャップ2から火炎が噴き出す向きが周方向の第1側に傾いているが、ここでの傾きの角度θを、例えば20°から27°の範囲内に設定することで、各炎孔群28から噴き出した火炎(すなわち各炎孔群28に含まれる炎孔21,22,23,24から噴き出した火炎)が爪部85に直接的に当たることが避けられる。
【0062】
(作用効果)
一実施形態のガスこんろ9では、上記したように、ガスバーナ1が備えるバーナキャップ2の6つの炎孔群28の各々において、4つの炎孔21,22,23,24の向きが、バーナキャップ2の径方向外側の向きを基準として、周方向の第1側に傾いている。そのため、バーナキャップ2の各炎孔群28から噴出する火炎と調理容器の接触範囲が広くなり、加熱調理における熱効率が向上する。
【0063】
加えて、一実施形態のガスこんろ9では、五徳8が有する6つの爪部85は、径方向外側の向きを基準としてこれよりも傾いているのではなく、径方向の向きに伸びている。そのため、この五徳8は、他の種類の加熱機器と共通して使用することが可能である。他の種類の加熱機器は、例えば、径方向外側に火炎が吹き出すように構成されたガスバーナを備えるガスこんろである。一実施形態のガスこんろ9によれば、五徳8として特別な形状のものを利用する必要がなく、コスト増大が抑えられる。
【0064】
また、一実施形態のガスこんろ9では、上記したように、バーナキャップ2の各炎孔群28を構成する4つの炎孔21,22,23,24のうち、周方向の第2側の端に位置する所定の炎孔21が、4つの炎孔21,22,23,24のうち最も大きな開口面積の噴出口210を有している。所定の炎孔21は、4つの炎孔21,22,23,24のうち最も上下寸法が大きな噴出口210を有している。
【0065】
そのため、一実施形態のガスこんろ9では、各炎孔群28において、周方向の第2側の端に位置する所定の炎孔21から噴出する火炎を、他の炎孔22,23,24から噴出する火炎よりも大きな火炎として生成することができる。これにより、五徳8の互いに隣接する2つの爪部85の間に形成される空間S1において、対応する炎孔群28の炎孔21,22,23,24から火炎が噴出する範囲に、偏りを生じることが抑えられる。そのため、実際の加熱調理において、火炎と調理容器の接触範囲に偏りを生じることが抑えられ、加熱調理の熱効率向上が図られる。
【0066】
また、一実施形態のガスこんろ9では、上記したように、バーナキャップ2の各炎孔群28を構成する4つの炎孔21,22,23,24のうち、周方向の第2側の端に位置する所定の炎孔21の角部216には、他の炎孔22,23,24よりも大きな面取りが設けられている。炎孔21の角部216は、炎孔群28の全体のうち、周方向の第2側の最も端に位置する角部である。
【0067】
そのため、一実施形態のガスこんろ9では、炎孔21から噴出する燃料ガスが、大きく面取りされた角部216に沿って、周方向の第2側に曲がって流れる(つまりコアンダ効果が生じる)。炎孔21から噴出する火炎は、炎孔21の向きに真っすぐ噴出する場合と比較して、周方向の第2側に曲がることで広がって噴出する。したがって、炎孔21から噴出する火炎と、炎孔21に隣接する爪部85と、の間に大きな隙間を生じることが、抑制される。一実施形態のガスこんろ9によれば、各炎孔群28から噴出する火炎と調理容器の接触範囲に偏りを生じることが抑えられ、ひいては、加熱調理における熱効率の向上が図られる。
【0068】
また、一実施形態のガスこんろ9では、バーナキャップ2の各炎孔群28において、周方向の両端の2つの炎孔21,24と比較して、その間に位置する2つの炎孔22,23が、小さな開口面積の噴出口220,230を有している。これにより、一実施形態のガスこんろ9では、4つの炎孔21,22,23,24のうち、両端の炎孔21,24よりも二次空気が不足しやすい位置にある2つの炎孔22,23において、二次空気の不足に起因して燃焼が悪化することが、抑えられる。
【0069】
2.変形例
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。本開示の意図する範囲内であれば、例えば以下に挙げる変形例のような適宜の設計変更を行うことが可能であり、また、以下の複数の変形例を適宜に組み合わせて適応することが可能である。
【0070】
一実施形態のガスこんろ9では、各炎孔群28における所定の炎孔21の噴出口210が、他の炎孔22,22,24とは異なる寸法形状を有しているが、これに限定されず、例えば、各炎孔群28を構成する炎孔21,22,22,24の噴出口210,220,230,240が互いに同一の寸法形状を有することや、両端の炎孔21,24の噴出口210.240が互いに同一の寸法形状を有することも有り得る。中間の炎孔22,23の噴出口220,230は互いに同一の寸法形状を有するが、互いに異なる寸法形状を有することも有り得る。
【0071】
また、一実施形態のガスこんろ9では、各炎孔群28における所定の炎孔21が、他よりも大きく面取りされた角部216を有しているが、これに限定されず、例えば、炎孔21の角部216が面取りされていないことも有り得るし、角部216に面取りが設けられる一方で、他の炎孔22,23,24の少なくとも1つが、角部216よりも大きく面取りされた角部を有することも有り得る。
【0072】
また、一実施形態のガスこんろ9では、炎孔21の角部216の面取りが、角部216に断面円弧状の面216Rを形成するように行われているが、これに限定されず、例えば図7に示されるように、角部216に平坦な面216Cを形成するように面取り加工が行われてもよい。この場合であっても、炎孔21から噴出する燃料ガスにはコアンダ効果が生じ得る。
【0073】
また、一実施形態のガスこんろ9では、周方向の一側を、平面視における反時計回りの側としているが、時計回りの側としてもよい。この場合、炎孔群28の炎孔配列は、一実施形態のガスこんろ9とは、反対向きに構成されることになる。
【0074】
3.まとめ
上記の実施形態及び各種の変形例に基づいて説明したように、第1の態様のガスこんろ(9)は、開口(76)が設けられた天板(74)を有するこんろ本体(7)と、バーナキャップ(2)を有するガスバーナ(1)と、複数の爪部(85)を有する五徳(8)と、を備える。ガスバーナ(1)は、天板(74)の開口(76)を通じてバーナキャップ(2)が露出するように、こんろ本体(7)の内部に装着される。五徳(8)は、バーナキャップ(2)を囲むように天板(74)の上に設置される。バーナキャップ(2)は、バーナキャップ(2)の周方向に並んだ複数の炎孔(21,22,23,24)で構成された炎孔群(28)を有する。複数の炎孔(21,22,23,24)の向きは、バーナキャップ(2)の径方向外側の向きを基準として、バーナキャップ(2)の周方向の一側にそれぞれ傾いている。五徳(8)の複数の爪部(85)は、径方向の向きに伸びている。
【0075】
第1の態様によれば、各炎孔群(28)における複数の炎孔(21,22,23,24)からの火炎が、バーナキャップ(2)の径方向外側の向きを基準として、周方向の一側に傾いた向きに噴出する。そのため、バーナキャップ(2)の各所から噴出する火炎と調理容器の接触範囲が広くなり、加熱調理における熱効率の向上が図られる。加えて、五徳(8)としては、複数の爪部(85)が径方向の向きに伸びたものを使用するので、他の種類の加熱機器と共通して五徳(8)を使用することが可能である。以上より、第1の態様によれば、部品の種類が増えることを抑えながら、加熱調理における熱効率の向上を図ることができる。
【0076】
第2の態様のガスこんろ(9)では、第1の態様において、複数の炎孔(21,22,23,24)のうち、周方向の一側とは反対側の端に位置する所定の炎孔(21)は、これを除いた他の炎孔(22,23,24)よりも大きな噴出口(210)を有する。
【0077】
第2の態様によれば、所定の炎孔(21)から噴出する火炎を、他の炎孔(22,23,24)から噴出する火炎よりも大きくすることができる。第1の態様では、所定の炎孔(21)から噴出する火炎と、五徳(8)の爪部(85)と、の間隔が広がりやすい傾向があるが、上記のように所定の炎孔(21)から噴出する炎を大きくすることで、火炎と調理容器の接触範囲の偏りが抑えられ、ひいては、加熱調理における熱効率の向上が図られる。
【0078】
第3の態様のガスこんろ(9)では、第1又は第2の態様において、複数の炎孔(21,22,23,24)のうち、周方向の一側とは反対側の端に位置する所定の炎孔(21)は、これを除いた他の炎孔(22,23,24)の角部(225,226,235,236,245,246)よりも大きな面取りが設けられた角部(216)を有する。角部(216)は、所定の炎孔(21)の周方向の反対側の端に設けられた角部である。
【0079】
第3の態様によれば、所定の炎孔(21)の角部(216)で、いわゆるコアンダ効果が生じることによって、所定の炎孔(21)から噴出する火炎を、周方向の一側とは反対側に曲げることで広がって噴出させることができる。第1の態様では、所定の炎孔(21)から噴出する火炎と、五徳(8)の爪部(85)と、の間隔が広がりやすい傾向があるが、上記のように所定の炎孔(21)から噴出する火炎を周方向の一側とは反対側に曲げて広がらせることで、火炎と調理容器の接触範囲の偏りが抑えられ、ひいては、加熱調理における熱効率の向上が図られる。
【0080】
第4の態様のガスこんろ(9)では、第1から第3のいずれか1つの態様において、複数の炎孔(21,22,23,24)のうち、周方向の両端に位置する2つの炎孔(21,24)を除いた、1つ以上の炎孔(22,23)は、2つの炎孔(21,24)よりも小さな噴出口(220,230)を有する。
【0081】
第4の態様によれば、両端の炎孔(21,24)の間に位置する1つ以上の炎孔(22,23)で二次空気が不足することを抑え、炎孔(22,23)から、比較的に短くて高温の火炎を噴出させることができる。そのため、加熱調理における熱効率が向上する。
【符号の説明】
【0082】
1 ガスバーナ
2 バーナキャップ
21 炎孔
210 噴出口
216 角部
22 炎孔
220 噴出口
23 炎孔
230 噴出口
24 炎孔
240 噴出口
28 炎孔群
4 バーナ本体
7 こんろ本体
74 天板
76 開口
8 五徳
85 爪部
9 ガスこんろ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7