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特開2024-180037広告配信サーバ、広告配信システム及び広告配信方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180037
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】広告配信サーバ、広告配信システム及び広告配信方法
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/0207 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q30/0207 378
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099455
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】511218563
【氏名又は名称】株式会社CMerTV
(74)【代理人】
【識別番号】100118256
【弁理士】
【氏名又は名称】小野寺 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100166338
【弁理士】
【氏名又は名称】関口 正夫
(72)【発明者】
【氏名】井口 誠
(72)【発明者】
【氏名】藤田 賢寿
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】広告配信先の選択範囲を広げ、属性が同じであっても特定の記事と一緒に広告を出すことを抑制する。
【解決手段】通信ネットワークを介して、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、少なくとも1つの情報提供サーバとに接続される広告配信サーバであって、少なくとも1つの情報提供サーバから抽出した記事を取得する第1の情報取得部と、取得した記事を学習し、学習モデルを作成して多次元ベクトル群を保存する学習部と、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つから、広告配信先を決定するための決定情報を取得する第2の情報取得部と、決定情報を基に、学習モデルを用いて多次元ベクトルを生成し、多次元ベクトルに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、多次元ベクトル群から広告配信先となる情報提供サーバを決定する配信先決定部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信ネットワークを介して、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、少なくとも1つの情報提供サーバとに接続される広告配信サーバであって、
前記少なくとも1つの情報提供サーバから抽出した記事を取得する第1の情報取得部と、
取得した記事を学習し、学習モデルを作成して多次元ベクトル群を保存する学習部と、
前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも1つから、広告配信先を決定するための複数の決定情報を取得する第2の情報取得部と、
前記複数の決定情報を基に、前記学習モデルを用いて多次元ベクトルを生成し、該多次元ベクトルに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、前記多次元ベクトル群から前記広告配信先となる情報提供サーバを決定する配信先決定部と、
を備えた広告配信サーバ。
【請求項2】
前記第2の情報取得部は、前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも2つから前記複数の決定情報を取得する、請求項1に記載の広告配信サーバ。
【請求項3】
前記情報提供サーバに、新規公開又は更新された記事を前記情報提供サーバから受信するためのプログラム、又はアプリケーションプログラミングインターフェースを提供する、請求項1に記載の広告配信サーバ。
【請求項4】
前記記事は、記事毎にカノニカルURL又はIDが付与されている、請求項1に記載の広告配信サーバ。
【請求項5】
前記複数の決定情報は、広告主の広告のメッセージ、前記広告主の企業の商品又はサービスの紹介、前記広告の企画,提案、担当者の前記商品若しくは前記サービスのコンセプト又は前記商品若しくは前記サービスへの思い、及び前記広告主が配信したい記事、の少なくとも2つを含む、請求項1に記載の広告配信サーバ。
【請求項6】
請求項1から5のいずれか1項に記載の広告配信サーバと、該広告配信サーバと接続される、少なくとも1つの情報提供サーバと、前記広告配信サーバと接続される、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、前記情報提供サーバと接続されるユーザ端末とを備えた、広告配信システム。
【請求項7】
通信ネットワークを介して、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、少なくとも1つの情報提供サーバとに接続される広告配信サーバの広告配信方法であって、
前記広告配信サーバとしてのコンピュータが、
前記少なくとも1つの情報提供サーバから抽出した記事を取得する処理と、
取得した記事を学習し、学習モデルを作成して多次元ベクトル群を保存する処理と、
前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも1つから、広告配信先を決定するための複数の決定情報を取得する処理と、
前記複数の決定情報を基に、前記学習モデルを用いて多次元ベクトルを生成し、該多次元ベクトルに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、前記多次元ベクトル群から前記広告配信先となる情報提供サーバを決定する処理と、
を実行する広告配信方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広告配信サーバ、広告配信システム及び広告配信方法に関し、特に、情報提供サーバから抽出した記事を取得して学習モデルを生成し、学習モデルを用いて広告配信先を決定する広告配信サーバ、この広告配信サーバを含む広告配信システム及び広告配信方法に関する。
【背景技術】
【0002】
コンテキスト広告と呼ばれる、ユーザが閲覧している記事の内容に関連性の高い広告を、自動的にそのページ内に表示する広告方式が知られている。
また、広告掲載ホームページの内容を語彙解析し、ホームページの内容にマッチした広告内容を、自動的に配信する広告配信管理ネットワークシステムが特許文献1に記載されている。具体的には、特許文献1には、1以上の商用サイトと、商用サイトにリンクされた1以上のアフィリエイトサイトと、アフィリエイトサイトへの広告の配信及び広告掲載料の支払い管理を行う広告配信管理サイトとがネットワークに配置されている広告配信管理ネットワークシステムが、広告掲載ページの内容を語彙他の内容を解析しキーワードを抽出する手段と、抽出したキーワードにマッチする広告(テキスト・画像・動画・音声・バーコード・その他一切のクリエイティブ)を表示する手段を備え、ホームページの内容に合致した広告を表示することにより、掲載広告のクリック率や成約率を高めることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005-242711号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
広告主や広告制作会社が作成した広告に限らず、企業の商品又はサービスの紹介、企画,提案、担当者の商品若しくはサービスのコンセプト又は商品若しくはサービスへの思い、及び配信したい記事等の情報を考慮して広告配信先を決め、広告配信先の選択範囲を広げたい場合もある。
また、広告主は、記事の属性が同じ広告であっても、自動車の交通事故の記事に自動車の広告のように、属性が同じであっても特定の記事と一緒に広告を出したくない場合がある。
本発明の目的は、これらの課題を解決する広告配信サーバ、広告配信システム及び広告配信方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
(1) 本発明の第1の実施態様は、通信ネットワークを介して、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、少なくとも1つの情報提供サーバとに接続される広告配信サーバであって、
前記少なくとも1つの情報提供サーバから抽出した記事を取得する第1の情報取得部と、
取得した記事を学習し、学習モデルを作成して多次元ベクトル群を保存する学習部と、
前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも1つから、広告配信先を決定するための複数の決定情報を取得する第2の情報取得部と、
前記複数の決定情報を基に、前記学習モデルを用いて多次元ベクトルを生成し、該多次元ベクトルに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、前記多次元ベクトル群から前記広告配信先となる情報提供サーバを決定する配信先決定部と、
を備えた広告配信サーバである。
【0006】
(2) 上記(1)の広告配信サーバにおいて、前記第2の情報取得部は、前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも2つから前記複数の決定情報を取得してもよい。
【0007】
(3) 上記(1)の広告配信サーバにおいて、前記情報提供サーバに、新規公開又は更新された記事を前記情報提供サーバから受信するためのプログラム、又はアプリケーションプログラミングインターフェースを提供するようにしてもよい。
【0008】
(4) 上記(1)の広告配信サーバにおいて、前記記事は、記事毎にカノニカルURL又はIDが付与されているようにしてもよい。
【0009】
(5) 上記(1)の広告配信サーバにおいて、前記複数の決定情報は、前記広告主の広告のメッセージ、前記広告主の企業の商品又はサービスの紹介、前記広告の企画,提案、担当者の前記商品若しくは前記サービスのコンセプト又は前記商品若しくは前記サービスへの思い、及び前記広告主が配信したい記事、の少なくとも2つを含むようにしてもよい。
【0010】
(6) 本発明の第2の実施態様は、上記(1)から(5)のいずれかに記載の広告配信サーバと、該広告配信サーバと接続される、少なくとも1つの情報提供サーバと、前記広告配信サーバと接続される、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、前記情報提供サーバと接続されるユーザ端末とを備えた、広告配信システムである。
【0011】
(7) 本発明の第3の実施態様は、通信ネットワークを介して、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つと、少なくとも1つの情報提供サーバとに接続される広告配信サーバの広告配信方法であって、
前記広告配信サーバとしてのコンピュータが、
前記少なくとも1つの情報提供サーバから抽出した記事を取得する処理と、
取得した記事を学習し、学習モデルを作成して多次元ベクトル群を保存する処理と、
前記広告主端末、前記広告主サイト及び前記リンクサイトの少なくとも1つから、広告配信先を決定するための複数の決定情報を取得する処理と、
前記複数の決定情報を基に、前記学習モデルを用いて多次元ベクトルを生成し、該多次元ベクトルに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、前記多次元ベクトル群から前記広告配信先となる情報提供サーバを決定する処理と、
を実行する広告配信方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、広告主端末、広告主サイト及びリンクサイトの少なくとも1つから取得される複数の決定情報を考慮して広告配信先を決めることができ、広告配信先の選択範囲を広げることができる。また、本発明によれば、属性が同じであっても特定の記事と一緒に広告を掲載することを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の好適な実施形態の一例に係る広告配信システムの構成を示すブロック図である。
図2】広告配信サーバの一構成例を示すブロック図である。
図3】広告配信サーバの処理の概要を示す説明図である。
図4】広告配信サーバの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について図面を用いて詳細に説明する。
図1は、本発明の好適な実施形態の一例に係る広告配信システム10の構成を示すブロック図である。広告配信システム10は、リンク先サイト11、広告主サイト12、広告主端末13、広告配信サーバ15、情報提供サーバ14,16及びユーザ端末17を備えている。リンク先サイト11、広告主サイト12及び広告主端末13と、広告配信サーバ15とは、インターネット、専用通信回線等の通信ネットワーク21を介して相互に通信可能に接続される。また、情報提供サーバ14,16と、ユーザ端末17とはインターネット等の通信ネットワーク22を介して相互に通信可能に接続される。広告配信サーバ15と情報提供サーバ14,16とは、構内ネットワーク(LAN)、インターネット、又は専用通信回線等で接続される。
【0015】
広告配信サーバ15は、リンク先サイト11、広告主サイト12及び広告主端末13の全てと接続されなくともよく、リンク先サイト11、広告主サイト12、及び広告主端末13の1つ又は2つに接続されてもよい。
広告配信サーバ15は、リンク先サイト11、広告主サイト12、及び広告主端末13の1つ又は複数から取得される、広告配信先を決定するための複数の決定情報(例えば、広告主や広告制作会社が作成した広告を含む広告主の広告のメッセージ、広告主の企業の商品又はサービスの紹介、広告担当者や商品担当者等の担当者の商品若しくはサービスのコンセプト又は商品若しくはサービスへの思い、及び広告主が配信したい記事等の少なくとも2つ)を考慮して広告配信先を決めることができ、広告配信先の選択範囲を広げることができる。広告のメッセージは、例えば、広告主や広告制作会社が作成した広告、広告主が広告を通して伝えたい内容等である。
複数の決定情報は、例えば、テキスト、画像、動画、デザイン、音声、音楽、効果音等である。
広告配信サーバ15は、複数の決定情報を、リンク先サイト11、広告主サイト12及び広告主端末13のうちのいずれから取得する場合や、リンク先サイト11、広告主サイト12及び広告主端末13のうちの2つ又は3つから取得する場合がある。広告主サイト12にクリックのない広告が掲載されている場合には、広告主サイト12、又は広告主サイト12及び広告主端末13から複数の決定情報が取得される。
広告配信サーバ15は、1つの情報提供サーバに接続されてもよく、3つ以上の情報提供サーバに接続されてもよい。
【0016】
リンク先サイト11及び広告主サイト12は、例えばコンピュータで構成されるサーバであり、広告配信サーバ15及び情報提供サーバ14,16は、例えばコンピュータであり、広告主端末13及びユーザ端末17は、例えばスマートフォン、パーソナルコンピュータ等である。ユーザ端末17は、インターネット配信の動画を見ることのできる装置、例えば、TV、Amazon Fire TV等のTVのHDMI(HDMIは登録商標)端子に接続して使うデバイス、TVに接続されるTVレコーダやセットトップボックス等であってもよい。ユーザ端末17は、ブラウザを用いて情報提供サーバ14,16のウェブページを閲覧したり、情報提供サーバ14,16のアプリケーションソフトウェアによって情報を閲覧することができる。
【0017】
広告配信サーバ15は、例えば、情報提供サーバ14,16からユーザ端末17に提供する、情報提供サーバ14,16のウェブページやアプリケーションソフトウェア上の記事(テキスト、画像、動画、デザイン、音声、音楽、効果音等)を取得して、学習し、学習モデルを作成する。各記事は、この学習モデルにより、多次元ベクトル群のデータセット(多次元ベクトル群A)として、情報(意味として使えるもの)として保存しておく。この意味には、スポーツ>野球のような、属性だけでなく、喜怒哀楽といった感情的なものも含めたものとなる。
【0018】
学習モデルを作成する手法は特に限定されないが、文章データを処理する場合、教師なしデータを用いる双方向型のTransformerによる事前学習モデルであるBERT(Bidirectional Encoder Representations from Transformers)及びその派生方式を好適に用いることができる。なお、TransformerやBERT については特許出願がされており、例えば、特開2023-051724号公報、特開2023-047336号公報がある。
【0019】
広告配信サーバ15は、上記複数の決定情報、例えば、広告主サイト12のウェブページに掲載された情報、広告主サイト12のウェブページのリンク先のリンク先サイト11のウェブページに掲載された情報、広告主端末13を介して送信される情報を取得する。
広告配信サーバ15は、取得した複数の決定情報を基に、学習モデルから、多次元ベクトルXを生成する。
【0020】
多次元ベクトルXに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、多次元ベクトル群Aから広告配信先となる情報提供サーバを見つける。ベクトル近傍検索の方式は、公知の技術を用いることができ、例えば、「多次元データの高速近傍検索アルゴリズム」財団法人情報処理学会研究報告(2003年9月29日)に記載されている。近年では、「多次元ベクトルデータにおいて高速な近傍検索を実現するNGTの公開」,岩崎 <URL:https://techblog.yahoo.co.jp/lab/searchlab/ngt-1.0.0/>が公開されている。
広告の配信の際は、ベクトル間の距離、又は過去の配信実績等から、配信時の価格又は配信量の制御を行う。
広告配信サーバ15は、広告配信先となる情報提供サーバ14又は情報提供サーバ16に、広告、例えば、広告のメッセージに含まれる広告を送信する。広告配信先となる情報提供サーバ14又は情報提供サーバ16は、記事に広告を加えてユーザ端末17に提供する。
【0021】
図2は、広告配信サーバ15の一構成例を示すブロック図である。図3は、広告配信サーバ15の処理の概要を示す説明図である。
広告配信サーバ15は、情報取得部151、学習部152、学習モデル記憶部153、配信先決定部154、情報取得部155、及び出力部156を備えている。情報取得部151は第1の情報取得部、情報取得部155は第2の情報取得部となる。
情報取得部151は、ユーザ端末17に提供する情報提供サーバ14、16のウェブページやアプリケーションソフトウェア上の記事(テキスト、画像、動画、デザイン、音声、音楽、効果音等)を取得する。情報提供サーバ14,16がウェブサイトの場合は、記事にカノニカルURL(Canonical Uniform Resource Locator)と呼ばれる記事の「内容」毎に一意となる ID を付与する。情報提供サーバ14,16上でアプリケーションソフトウェアが動作する場合は、アプリケーションソフトウェア独自に記事にIDを付与する。例えば、図3に示すように、情報提供サーバ14が、A新聞社が所有するサーバである場合、情報取得部151は、Canonical URLに基づいてA新聞社のウェブページの記事枠から「スキンケアで若々しい肌」を含むテキスト(記事A)を取得する。情報提供サーバ16が、B新聞社が所有するサーバである場合、情報取得部151は、Canonical URLに基づいて、B新聞社のウェブページの記事枠から「ビタミンでヘルスケア」を含むテキスト(記事B)を取得する。以下の学習部152の動作は、記事にカノニカルURLを付与した場合について説明するが、アプリケーションソフトウェアが独自に記事にIDを付与した場合も同様に動作する。
【0022】
学習部152は、このID(Canonical URL)を基に記事の内容を分析する。コンテンツ分析を行う場合も検索エンジンと同じく、同一内容を別々に分析することによる重複処理を省くために canonical URL を基に行う。なお、Canonical URL は、内容が同じで異なる URL (例えば www の有無や、パーソナルコンピュータ(PC)とモバイル機器で異なる URL)で表示可能なシステム構成になっていると、検索エンジンで別々に認識されることにより検索効果が半減することを防止する目的で使用される。
学習部152は、取得した記事(テキスト、画像、動画、デザイン、音声、音楽、効果音等)を学習し、上述したように、学習モデルを作成して学習モデルを学習モデル記憶部153に記憶する。各記事は、この学習モデルにより、多次元ベクトル群のデータセット(多次元ベクトル群A)として、情報(意味として使えるもの)が学習モデル記憶部153に保存される。多次元ベクトル群Aの多次元ベクトルは、A新聞社、B新聞社と紐づけられて保存される。多次元ベクトルがA新聞社、B新聞社と紐づけられることで、広告配信先となるA新聞社、B新聞社を特定することができる。
【0023】
情報取得部155は、リンク先サイト11、広告主サイト12、及び広告主端末13の1つ又は複数から、上述した複数の決定情報、例えば、広告主サイト12のウェブページに掲載された広告,企業の商品紹介、広告主サイト12のウェブページのリンク先のリンク先サイト11のウェブページの内容、広告主端末13を介して送信される企画、提案等を受信する。広告主が美容用品を製造販売する会社である場合、図3に示すように、広告主サイト12のウェブページから「美肌をつくるクレンジング液」を含むテキスト、リンク先サイト11のウェブページから「肌を保湿する美容液」を含むテキストを取得する。
【0024】
配信先決定部154は、情報取得部155が取得した複数の決定情報を基に、学習モデル記憶部153に保存された学習モデルを用いて、広告の多次元ベクトルXを生成し、多次元ベクトルXに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、多次元ベクトル群Aから広告配信先を見つける。例えば、配信先決定部154は、広告主サイト12のウェブページの「美肌をつくるクレンジング液」を含むテキスト、リンク先サイト11のウェブページの「肌を保湿する美容液」を含むテキストから生成される多次元ベクトルXに対する多次元ベクトル群Aの近傍検索により、A新聞社のウェブページの記事枠から抽出された「スキンケア」、「若々しい肌」を含むテキストが類似すると判断し、広告配信先をA新聞社のウェブページの広告枠とする。
【0025】
配信先決定部154は、テキスト等の決定情報間の類似で広告配信先を決める場合、広告配信先のウェブページのURL、アプリケーション、ウェブページやアプリケーションの広告枠の位置を選ぶ。広告配信先を決定する場合、広告枠の大きさ、位置も考慮する。
また、配信先決定部154は、複数の決定情報に対して重み付け、例えば、広告主サイト12のウェブページに掲載された広告,企業の商品紹介、広告主サイト12のウェブページのリンク先のリンク先サイト11のウェブページの内容、広告主端末13を介して送信される企画、提案に対して重み付けを行い、広告配信先を決定してもよい。
情報提供サーバが1つの場合は、配信先決定部154は、例えば、その情報提供サーバから取得されるテキスト等の記事と、リンク先サイト11、広告主サイト12及び広告主端末13の少なくとも1つから取得されるテキスト等の複数の決定情報との間の類似で広告配信先として、その情報提供サーバが適するかどうかを判断する。配信先決定部154は、情報提供サーバが広告配信先として適さないと判断したときは、判断結果を広告主端末13に送信する。
【0026】
出力部156は、配信先決定部154が決定した、広告配信先へ広告を送信する。送信する広告は、例えば、広告のメッセージに含まれる広告である。送信する広告には、広告以外の情報、例えば、広告主が広告を通して伝えたい内容が含まれてもよい。
【0027】
広告配信サーバ15は、新聞社等の情報提供サーバ14,16に、HP(ホームページ)管理システムが使用されている場合、このHP管理システムにプラグイン(ソフトウェアに機能を追加する小さなプログラム)等のプログラム、又はアプリケーションプログラミングインターフェース(API)等を提供することで、記事の新規公開、記事の更新が短時間で広告配信サーバ15に送信できるようにしてもよい。こうすることで、広告配信サーバ15は、記事を分析して早期に分析結果を学習モデルに反映させることができる。
【0028】
NewsアプリアプリケーションやSNS(ソーシャルネットワーキングサービス)でよく用いられる複数のコンテンツをスクロールすることで閲覧することができる場合、コンテンツAとコンテンツBの間に広告を表示するようになっている。この場合もコンテンツAとコンテンツBをそれぞれ多次元ベクトルで分析し、類似性の高い広告をコンテンツAとコンテンツBの間に配信するができる。コンテンツを解析することで、業務威力妨害系のいたずらを投稿したコンテンツの隣に広告を出さないようにすることもできり。また、VR(仮想現実)の仮想空間内においても、各種コンテンツを分析し類似性の高い広告を表示することができる。
コンテンツA,Bは、例えば、テキスト、画像、動画、デザイン、音声、音楽、効果音等である。
【0029】
図4は、広告配信サーバの動作を示すフローチャートである。
ステップS11において、情報取得部151は、ユーザ端末17に提供する情報提供サーバ14、16のウェブページやアプリケーションソフトウェア上の記事を取得する。
ステップS12において、学習部152は、取得した記事を学習し、学習モデルを作成し、多次元ベクトル群のデータセット(多次元ベクトル群A)を保存する。
【0030】
ステップS13において、情報取得部155は、広告主サイト12等から複数の決定情報を取得し、配信先決定部154は、複数の決定情報基に、学習モデルを用いて多次元ベクトルXを生成する。
【0031】
ステップS14において、配信先決定部154は、多次元ベクトルXに対して、ベクトル近傍検索の方式を用いて、多次元ベクトル群Aから広告配信先を見つける。
【0032】
ステップS15において、情報取得部155は、広告配信先となる情報提供サーバのウェブページ等の記事が更新されたかどうかを判断し、更新されたと判断したときはステップS11に戻り、更新されない場合には処理を終了する。
【0033】
以上説明した本実施形態は以下の効果を有する。
従来のコンテキスト広告は、記事の属性を事前に規定したカテゴリに分類し、広告も同様に属性を分類し、記事の属性と同じ属性の広告を配信するものが認められる。この場合、自動車の交通事故の記事に自動車の広告のように、属性が同じであっても特定の記事と一緒に広告を出したくないと考える広告主が存在する。
本実施形態によれば、記事や広告の属性をカテゴリ分けするのではなく、規定したカテゴリを用いず、記事と、複数の決定情報とを、多次元ベクトルで分析することで類似性を導き出すことができ、広告主が意図しない記事と一緒に広告を出すことを抑制することができる。
また、本実施形態によれば、複数の決定情報、例えば、広告主や広告制作会社が作成した広告の他に、広告主の企業の商品紹介、広告主サイトとリンクするリンク先サイトの情報等を考慮して広告配信先の選択範囲を広げることができる。
【0034】
なお、上述した各実施形態における、ユーザ端末、広告主端末、広告主サイト、リンクサイト、広告配信サーバ及び情報提供サーバのそれぞれは、それぞれ、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。また、広告配信サーバによって行なわれる広告配信方法も、ハードウェア、ソフトウェア又はこれらの組み合わせにより実現することができる。ここで、ソフトウェアによって実現されるとは、コンピュータがプログラムを読み込んで実行することにより実現されることを意味する。
【0035】
プログラムは、様々なタイプの非一時的なコンピュータ可読媒体(non-transitory computer readable medium)を用いて格納され、コンピュータに供給することができる。非一時的なコンピュータ可読媒体は、様々なタイプの実体のある記録媒体(tangible storage medium)を含む。非一時的なコンピュータ可読媒体の例は、磁気記録媒体(例えば、ハードディスクドライブ)、光磁気記録媒体(例えば、光磁気ディスク)、SSD(solid state drive)、SDカード、USBメモリ、CD-ROM(Read Only Memory)、CD-R、CD-R/W、半導体メモリ(例えば、マスクROM、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(random access memory))を含む。また、プログラムは、様々なタイプの一時的なコンピュータ可読媒体(transitory computer readable medium)によってコンピュータに供給されてもよい。
【0036】
上述した実施形態は、本発明の好適な実施形態ではあるが、上記実施形態のみに本発明の範囲を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の変更を施した形態での実施が可能である。
例えば、上述した実施形態では、情報提供サーバが提供するウェブページの広告枠に広告を掲載し、ユーザ端末で閲覧する例について説明したが、例えば、特許第6185005号では、コンテンツサーバから記事等のコンテンツをユーザ端末に提供し、動画管理サーバから広告等の動画をユーザ端末に提供し、ユーザ端末側でコンテンツと動画を表示画面に表示している。このようなシステムに本発明を適用して、情報提供サーバから記事をユーザ端末に提供し、広告提供サーバから広告をユーザ端末に提供し、ユーザ端末側で記事と広告を表示画面に表示してもよい。
【符号の説明】
【0037】
10 広告配信システム
11 リンク先サイト
12 広告主サイト
13 広告主端末
15 広告配信サーバ
14,16 情報提供サーバ
17 ユーザ端末
21,22 通信ネットワーク
151 情報取得部(第1の情報取得部)
152 学習部
153 学習モデル記憶部
154 配信先決定部
155 情報取得部(第2の情報取得部)
156 出力部
図1
図2
図3
図4