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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180040
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】電力変換装置
(51)【国際特許分類】
   H02M 7/48 20070101AFI20241219BHJP
【FI】
H02M7/48 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099462
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000003137
【氏名又は名称】マツダ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】杉本 学
【テーマコード(参考)】
5H770
【Fターム(参考)】
5H770AA24
5H770BA02
5H770QA06
5H770QA14
5H770QA28
5H770QA31
(57)【要約】
【課題】コネクタとバスバーとの接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる電力変換装置を提供する。
【解決手段】電力変換装置は、ACバスバーモジュール151とコネクタ156とを含むACコネクタ部を備える。ACバスバーモジュール151は、3本のバスバー152~154を有する。各バスバー152~154は、連結部152c,153c,154cを有する。コネクタ156の接続箇所156b,156cは、接続箇所156aよりも車両前方側にオフセット配置されている。接続箇所156b,156cでコネクタ156に接続されるバスバー153,154の連結部153c,154cは、車両左方側からの側面視で、コネクタ156における接続箇所156a~156cが配された領域の外側を迂回するように配策されている。
【選択図】図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
n個(n:2以上の整数)のパワーモジュールを有するパワーモジュール部と、
前記n個のパワーモジュールのそれぞれに接続されたn本のバスバーと、前記n本のバスバーに接続され、外部機器との接続に供されるコネクタと、を有するコネクタ部と、
を備える電力変換装置であって、
前記n本のバスバーのそれぞれは、前記コネクタに対して接続される接続部と、前記n個のパワーモジュールのそれぞれに接続されるモジュール側接続部と、前記接続部と前記モジュール側接続部との間を連続的に連結する連結部と、を有し、
前記n個のパワーモジュールは、所定の方向である第1方向に沿って配された第1パワーモジュールと第2パワーモジュールとを含み、
前記コネクタは、前記n本のバスバーにおける前記接続部のそれぞれと接続されたn箇所の接続箇所であって、前記第1方向に交差する面内に配された前記n箇所の接続箇所を有し、
前記第1パワーモジュールに接続された前記バスバーを第1バスバーとし、当該第1バスバーの前記接続部を第1接続部とし、当該第1バスバーの前記連結部を第1連結部とし、前記第2パワーモジュールに接続された前記バスバーを第2バスバーとし、当該第2バスバーの前記接続部を第2接続部とし、当該第2バスバーの前記連結部を第2連結部とし、前記n箇所の接続箇所の内の、前記第1接続部が接続される箇所を第1接続箇所とし、前記第2接続部が接続される箇所を第2接続部とする場合に、
前記第1接続箇所と前記第2接続箇所とは、前記第1方向に交差する第2方向にオフセット配置されるとともに、前記第1接続箇所が前記第2方向で前記第2接続箇所よりも前記パワーモジュール部に近い部分に配置されており、
前記第2連結部は、前記第1連結部よりも長さが長く形成されているとともに、前記第1方向から見る場合に、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所が配された領域の外側を迂回するように配策されている、
電力変換装置。
【請求項2】
前記コネクタ部は、前記外部機器との間で3相交流電力の入出力が可能なACコネクタ部であり、
前記nは3であり、
前記パワーモジュール部は、前記第1パワーモジュールおよび前記第2パワーモジュールに加えて、前記第1方向に沿って配された第3パワーモジュールを含み、
前記第3パワーモジュールに接続された前記バスバーを第3バスバーとし、当該第3バスバーの前記接続部を第3接続部とし、当該第3バスバーの前記連結部を第3連結部とし、前記n箇所の接続箇所の内の、前記第3接続部が接続される箇所を第3接続箇所とする場合に、
前記第1接続箇所、前記第2接続箇所、および前記第3接続箇所は、前記第1方向からの平面視で環状に配置されており、
前記第3連結部は、前記第1連結部よりも長さが長く形成されているとともに、前記第1方向からの平面視で、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所が配された領域の外側を迂回するように配策されている、
請求項1に記載の電力変換装置。
【請求項3】
前記第1連結部、前記第2連結部、および前記第3連結部は、
前記第1連結部と前記第3連結部とが第1の所定箇所で互いに対向するとともに、当該第1の所定箇所では、前記第2連結部が、前記第1連結部および前記第2連結部と対向せず、
前記第2連結部と前記第3連結部とが第2の所定箇所で互いに対向するとともに、当該第2の所定箇所では、前記第1連結部が、前記第2連結部および前記第3連結部と対向しない、
ように配策されている、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項4】
前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向の一方側に開口部を有し、前記パワーモジュール部および前記コネクタ部を収容する筐体本体と、前記ケース本体の前記開口部を塞ぐ蓋とを有する筐体をさらに備え、
前記第2連結部および前記第3連結部は、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所に対して、前記第3方向における前記開口部が設けられた前記一方側とは反対側に迂回するように配策されている、
請求項2に記載の電力変換装置。
【請求項5】
前記電力変換装置および前記外部機器は、車両に搭載されており、
前記第3方向における前記一方側は、前記車両の上側である、
請求項4に記載の電力変換装置。
【請求項6】
前記第2接続箇所は、前記第1接続箇所および前記第3接続箇所よりも、前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側となる位置に配されており、
前記第2連結部は、前記第2接続部の近傍部分であって、前記第1連結部および前記第3連結部と離間した部分に前記車両の上下方向に延びるように設けられた部位を有する、
請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項7】
前記外部機器は、前記車両の走行用のモータであるとともに、外殻としてのモータハウジングを有し、
前記車両には、前記外部機器に隣接して配置されるとともに、外殻としてのアクスルハウジングを有する変速機も搭載されており、
前記電力変換装置の前記筐体は、前記モータハウジングおよび前記アクスルハウジングの少なくとも一方のハウジング上で、前記コネクタ部が収容された部分が、前記パワーモジュール部が収容された部分よりも、前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側となるように配設されており、且つ、当該筐体における前記衝突荷重の入力方向側の端部が、前記モータハウジングまたは前記アクスルハウジングと面一あるいはそれよりも前記入力方向とは反対側に後退した箇所に位置するように配設されている、
請求項5に記載の電力変換装置。
【請求項8】
前記n本のバスバーは、前記連結部が絶縁材料により一体にモールドされている、
請求項1から請求項6の何れかに記載の電力変換装置。
【請求項9】
前記コネクタ部は、更に前記モータの中性点へ接続される中性線バスバーが接続されている、
請求項1から請求項7の何れかに記載の電力変換装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力変換装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、モータを走行用の駆動源として備える車両が増加している。このような車両では、モータに電力供給するための高電圧バッテリを搭載している。また、車両には、バッテリから供給された直流電力を交流電力に変換するための電力変換装置も搭載されている。
【0003】
電力変換装置とモータやバッテリとは、電力変換装置のコネクタに対してモータやバッテリから延びる配線に接続されたコネクタを接続することにより、互いの間の電力供給路が形成される。特許文献1には、モータとの電気接続のためのコネクタを有する電力変換装置が開示されている。
【0004】
特許文献1の電力変換装置では、ケースの一側壁に固定されたコネクタを備える。コネクタは、ケースの外方に向けて突出するように設けられた3つのプラグを有する。コネクタを当該コネクタが固定された上記一側壁の法線方向外側から見る場合に、プラグの中心が環状に配置されている。
【0005】
一方、コネクタとパワーモジュールとを電気接続する3本のバスバー(U相バスバー、V相バスバー、W相バスバー)は、それぞれがケース内方からコネクタに向けて延伸するように配策されている。3本のバスバーは、ケースの深さ方向における同じ高さ位置において、互いに上記一側壁の幅方向に離間し、且つ、並行するように配策されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第5455887号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、車載用の電力変換装置に限らず、種々の用途で採用される電力変換装置に対しては、外観サイズの小型化を求められる。このように電力変換装置の外観サイズを小型化することで、全体的な装置の占有スペースを狭くすることができ、空間の有効利用が可能となる。
【0008】
しかしながら、従来技術に係る電力変換装置では、コネクタに接続される3本のバスバーをコンパクトに配設することが困難である。即ち、従来技術に係る電力変換装置では、コネクタへのバスバーの接続作業を考慮して、バスバー同士の隙間を大きくとる必要がある。仮に、従来技術のバスバーの配策形態を採用しつつ、バスバー同士の隙間を狭くしようとする場合には、各バスバーを長手方向に分割した上で、コネクタに各バスバーの要素を接続した後に、それぞれの要素に残りの要素を接続する作業が必要となることが考えられる。よって、このような形態を採用しようとする場合には、作業が煩雑になるとともに、部材数が増加してしまうこととなり、実際に採用するのは困難である。
【0009】
なお、上記では、電力変換装置における交流電力の入出力に係るコネクタを一例として問題点を提起したが、直流電力の入出力に係るコネクタでも同じ問題が生じ得る。
【0010】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、コネクタとバスバーとの接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる電力変換装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の一態様に係る電力変換装置は、パワーモジュール部とコネクタ部とを備える。前記パワーモジュール部は、n個(n:2以上の整数)のパワーモジュールを有する。前記コネクタ部は、前記n個のパワーモジュールのそれぞれに接続されたn本のバスバーと、前記n本のバスバーに接続され、外部機器との接続に供されるコネクタと、を有する。
【0012】
本態様に係る電力変換装置において、前記n本のバスバーのそれぞれは、前記コネクタに対して接続される接続部と、前記n個のパワーモジュールのそれぞれに接続されるモジュール側接続部と、前記接続部と前記モジュール側接続部との間を連続的に連結する連結部と、を有する。また、前記n個のパワーモジュールは、所定の方向である第1方向に沿って配された第1パワーモジュールと第2パワーモジュールとを含む。また、前記コネクタは、前記n本のバスバーにおける前記接続部のそれぞれと接続されたn箇所の接続箇所であって、前記第1方向に交差する面内に配された前記n箇所の接続箇所を有する。
【0013】
本態様に係る電力変換装置において、前記第1パワーモジュールに接続された前記バスバーを第1バスバーとし、当該第1バスバーの前記接続部を第1接続部とし、当該第1バスバーの前記連結部を第1連結部とし、前記第2パワーモジュールに接続された前記バスバーを第2バスバーとし、当該第2バスバーの前記接続部を第2接続部とし、当該第2バスバーの前記連結部を第2連結部とし、前記n箇所の接続箇所の内の、前記第1接続部が接続される箇所を第1接続箇所とし、前記第2接続部が接続される箇所を第2接続部とする。この場合に、前記第1接続箇所と前記第2接続箇所とは、前記第1方向に交差する第2方向にオフセット配置されるとともに、前記第1接続箇所が前記第2方向で前記第2接続箇所よりも前記パワーモジュール部に近い部分に配置されている。また、前記第2連結部は、前記第1連結部よりも長さが長く形成されているとともに、前記第1方向から見る場合に、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所が配された領域の外側を迂回するように配策されている。
【0014】
上記態様に係る電力変換装置では、第2バスバーの第2連結部がコネクタの接続箇所が配された領域(以下、「接続領域」と記載する。)の外側を迂回するように配策されているので、上記特許文献1に開示のバスバーの配策形態よりも装置サイズの小型化を図りながら、コネクタへのバスバーの接続に係る作業性を確保することができる。即ち、上記態様に係る電力変換装置では、第1バスバーと第2バスバーとのモジュール側接続部同士の隙間や、連結部同士の隙間を狭くしても、第2連結部が接続領域の外周を迂回するように配策することで、少なくともコネクタへの第1バスバーおよび第2バスバーの接続時に作業者がアクセス容易となる。よって、上記態様に係る電力変換装置では、コネクタとバスバーとの接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる。
【0015】
上記態様に係る電力変換装置において、前記コネクタ部は、前記外部機器との間で3相交流電力の入出力が可能なACコネクタ部であってもよい。この場合に、前記nは3である。また、前記パワーモジュール部は、前記第1パワーモジュールおよび前記第2パワーモジュールに加えて、前記第1方向に沿って配された第3パワーモジュールを含んでもよい。
【0016】
本態様に係る電力変換装置において、前記第3パワーモジュールに接続された前記バスバーを第3バスバーとし、当該第3バスバーの前記接続部を第3接続部とし、当該第3バスバーの前記連結部を第3連結部とし、前記n箇所の接続箇所の内の、前記第3接続部が接続される箇所を第3接続箇所とする。この場合に、前記第1接続箇所、前記第2接続箇所、および前記第3接続箇所は、前記第1方向からの平面視で環状に配置されてもよい。また、前記第3連結部は、前記第1連結部よりも長さが長く形成されているとともに、前記第1方向からの平面視で、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所が配された領域の外側を迂回するように配策されてもよい。
【0017】
上記態様に係る電力変換装置では、ACコネクタ部が3本のバスバーを有し、第3バスバーの連結部も接続領域の外側を迂回するように配策されているので、第3バスバーと他のバスバー(第1バスバー、第2バスバー)の連結部との隙間を狭くしても、コネクタへのバスバーの接続に係る高い作業性を確保することができる。
【0018】
上記態様に係る電力変換装置において、前記第1連結部、前記第2連結部、および前記第3連結部は、前記第1連結部と前記第3連結部とが第1の所定箇所で互いに対向するとともに、当該第1の所定箇所では、前記第2連結部が、前記第1連結部および前記第2連結部と対向せず、前記第2連結部と前記第3連結部とが第2の所定箇所で互いに対向するとともに、当該第2の所定箇所では、前記第1連結部が、前記第2連結部および前記第3連結部と対向しない、ように配策されている、としてもよい。
【0019】
上記態様に係る電力変換装置では、第1連結部と第3連結部とが対向する箇所(第1の所定箇所)では第2連結部が対向せず、第2連結部と第3連結部とが対向する箇所(第2の所定箇所)では第1連結部が対向しないように各連結部が配策されているので、3つの連結部が三重に対向する形態に対して、バスバーの配策領域の小型化を図ることができる。
【0020】
上記態様に係る電力変換装置において、前記第1方向および前記第2方向の双方に交差する第3方向の一方側に開口部を有し、前記パワーモジュール部および前記コネクタ部を収容する筐体本体と、前記ケース本体の前記開口部を塞ぐ蓋とを有する筐体をさらに備えてもよい。また、前記第2連結部および前記第3連結部は、前記コネクタにおける前記n箇所の接続箇所に対して、前記第3方向における前記開口部が設けられた前記一方側とは反対側に迂回するように配策されてもよい。
【0021】
上記態様に係る電力変換装置では、第2連結部および第3連結部のそれぞれが、接続領域に対して筐体の開口部が設けられた側(一方側)とは反対側に迂回するように配策されているので、コネクタへのバスバーの接続作業において、作業者は筐体本体の開口部から接続領域にアクセスすることができる。よって、装置の外観サイズの小型化を可能としながら、コネクタへのバスバーの接続に係る高い作業性を確保することができる。
【0022】
上記態様に係る電力変換装置において、前記電力変換装置および前記外部機器は、車両に搭載されてもよい。この場合に、前記第3方向における前記一方側は、前記車両の上側であってもよい。
【0023】
上記態様に係る電力変換装置では、筐体本体の開口部が車両の上側を向くように形成されているので、作業者はコネクタへのバスバーの接続時に車両の上方から容易に接続領域にアクセスすることができる。よって、高い作業性を確保するのに優位である。
【0024】
上記態様に係る電力変換装置において、前記第2接続箇所は、前記第1接続箇所および前記第3接続箇所よりも、前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側となる位置に配されてもよい。この場合に、前記第2連結部は、前記第2接続部の近傍部分であって、前記第1連結部および前記第3連結部と離間した部分に前記車両の上下方向に延びるように設けられた部位を有してもよい。
【0025】
上記態様に係る電力変換装置では、第2バスバーの第2連結部が、第1連結部および第3連結部と離間した部分に上下方向に延びるように設けられた部位(以下では、「上下延伸部位」と記載する。)を有しているので、仮に車両に対して衝突荷重が入力された場合にも、第2連結部の上下延伸部位が単独で衝撃を受けて変形する。このため、上記態様に係る電力変換装置では、第2連結部の変形により衝撃荷重の一部を吸収することができ、他のバスバーとの短絡や、パワーモジュール部へ衝撃荷重が作用するのを抑制することができる。よって、上記態様に係る電力変換装置では、当該電力変換装置を搭載する車両の高い安全性を確保するのに優位である。
【0026】
上記態様に係る電力変換装置において、前記外部機器は、前記車両の走行用のモータであるとともに、外殻としてのモータハウジングを有してもよい。また、前記車両には、前記外部機器に隣接して配置されるとともに、外殻としてのアクスルハウジングを有する変速機も搭載されてもよい。この場合に、前記電力変換装置の前記筐体は、前記モータハウジングおよび前記アクスルハウジングの少なくとも一方のハウジング上で、前記コネクタ部が収容された部分が、前記パワーモジュール部が収容された部分よりも、前記車両において想定される衝突荷重の入力方向側となるように配設されてもよい。さらに、このような配設状態において、当該筐体における前記衝突荷重の入力方向側の端部が、前記モータハウジングまたは前記アクスルハウジングと面一あるいはそれよりも前記入力方向とは反対側に後退した箇所に位置するように配設されていてもよい。
【0027】
上記態様に係る電力変換装置では、筐体におけるコネクタ部が収容された部分(以下では、「コネクタ収容部分」と記載する。)が衝突荷重の入力方向側となるように配されており、筐体におけるコネクタ収容部分側の端部がモータハウジングまたはアクスルハウジングと面一あるいはそれよりも後退した箇所に位置するように配されているので、仮に衝突荷重が入力された場合においても、電力変換装置の筐体の上記端部に集中的に荷重が入力されることがなく、高い安全性を確保することができる。
【0028】
上記態様に係る電力変換装置において、前記n本のバスバーは、前記連結部が絶縁材料により一体にモールドされてもよい。
【0029】
上記態様に係る電力変換装置では、全てのバスバーの連結部が絶縁材料により一体にモールドされているので、n本のバスバーを1つの部品としてハンドリングすることができる。よって、電力変換装置の組み立て時において、n本のバスバーをバラバラにハンドリングする場合に比べて高い作業性を確保することができる。
【発明の効果】
【0030】
上記の各態様に係る電力変換装置では、コネクタとバスバーとの接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
図1】本発明の第1実施形態に係る電力変換装置を備える車両の構成を示す模式図である。
図2】電力変換装置の配置形態を示す正面図である。
図3】電力変換装置の配置形態を示す側面図である。
図4】電力変換装置の外観構成を示す平面図である。
図5】電力変換装置の内部構成を示す斜視図である。
図6】電力変換装置におけるACバスバーモジュールの構成と、モータ側コネクタの構成とを示す斜視図である。
図7】樹脂モールド部を省略した状態でACバスバーモジュールを示す斜視図である。
図8】バスバーにおける各連結部の配策形態を示す平面図である。
図9】バスバーにおける各連結部の配策形態を示す側面図である。
図10】バスバーにおける各連結部の配策形態を示す背面図である。
図11】本発明の第2実施形態に係る電力変換装置の構成の内の、ACコネクタ部の一部構成を示す背面図である。
図12】ACコネクタ部の一部構成を示す側面図である。
図13】本発明の第3実施形態に係る電力変換装置の構成の内の、ACコネクタ部の一部構成を示す背面図である。
図14】ACコネクタ部の一部構成を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0032】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明を例示的に示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0033】
[第1実施形態]
1.車両Vの構成
本発明の第1実施形態に係る電力変換装置100が搭載された車両Vの構成について、図1を用いて説明する。なお、以下では、車両Vの前後方向を単に「前後方向」と記載し、車両Vの左右方向(車幅方向)を単に「左右方向」と記載し、車両Vの上下方向を単に「上下方向」と記載する。
【0034】
図1に示すように、車両Vは、パワートレインPTと、電力変換装置100と、高電圧バッテリ200と、低電圧バッテリ300とが搭載されている。
【0035】
車両Vは、所謂、ハイブリッド電気自動車(HEV)であり、車両Vには、走行用の駆動源、つまり車両V(車輪W)の駆動源としてそれぞれ機能するエンジンEとモータMとが搭載されている。パワートレインPTは、エンジンEとモータMを含む。パワートレインPTは、エンジンEおよびモータMに加えて、変速機TMおよびデファレンシャルギアDFを備える。
【0036】
モータMは、3相交流電力の供給を受けて回転する3相3線式の交流モータであって、出力軸と、出力軸の周囲に配された永久磁石を有するロータと、ロータの外周に配設され、複数のティースのそれぞれにコイルが巻回されてなるステータとを備える。複数のコイルは、U相のコイル、V相のコイル、およびW相のコイルで構成されており、各相のコイルに対して互いに異なる位相の電流が供給される。
【0037】
変速機TMは、モータMに接続されており、モータMから入力された回転を減速して出力する。デファレンシャルギアDFは、変速機TMから出力された回転をドライブシャフトS等を介して車輪Wに伝達する。
【0038】
本実施形態では、一例としてパラレル式のハイブリッド電気自動車を車両Vとし、モータMのみの駆動力による走行、モータMとエンジンEの双方の駆動力による走行、およびエンジンEのみの駆動力による走行が可能である。なお、車両Vは減速回生が可能であり、モータMは車両Vの減速時に車輪Wからの伝達力によって発電する。
【0039】
高電圧バッテリ200は、モータMとの間で電力の授受を行うバッテリである。モータMが走行用の駆動源として駆動する場合、高電圧バッテリ200はモータMに給電する。一方、車両Vの減速時にモータMが発電機として駆動する場合、高電圧バッテリ200はモータMによって生成された電力を蓄電する。
【0040】
電力変換装置100は、3相3線式のモータMに接続されるインバータ装置であって、高電圧バッテリ200からの直流電力を交流電力に変換してモータMに給電する。具体的に、電力変換装置100は、直流電力を3相交流電力に変換する。
【0041】
また、電力変換装置100は、車両Vの減速時にモータMが発電機として駆動する場合、モータMにより生成された交流電力を直流電力に変換して高電圧バッテリ200に供給する。
【0042】
低電圧バッテリ300は、車両Vの各部に設けられた電装品に給電するためのバッテリである。低電圧バッテリ300は、高電圧バッテリ200よりも公称電圧が低いバッテリである。
【0043】
なお、高電圧バッテリ200は、例えば、公称電圧が24V以上のリチウムイオンバッテリやニッケル水素バッテリであるのに対して、低電圧バッテリ300は、例えば、公称電圧が12V、あるいは24Vの鉛バッテリ、またはリチウムイオンバッテリである。
【0044】
本実施形態では、パワートレインPT、電力変換装置100、および低電圧バッテリ300は、車両Vの前部に区画されたパワートレインルームR1内に収容されている。高電圧バッテリ200は、パワートレインルームR1の後方に区画された車室R2の床下などに搭載されている。
【0045】
なお、車両Vには、モータMおよびエンジンEを含むパワートレインPTを統括的に制御するコントローラであるPCM(パワートレイン・コントロール・モジュール)400が搭載されている。
【0046】
2.電力変換装置100の配置
パワートレインルームR1内における電力変換装置100の配置について、図2および図3を用いて説明する。図2は、電力変換装置100およびその周辺機器を車両Vの前方側から見た正面図である。図3は、電力変換装置100とモータMとを車両Vの左方から見た側面図である。なお、図2および図3では、低電圧バッテリ300の図示を省略している。
【0047】
図2に示すように、パワートレインルームR1において、エンジンE、モータM、変速機TMの順に右方から配置されている。エンジンEは、エンジン下部501と、エンジン下部501の上方に配されたエンジン上部502とを有する。モータMは、エンジンEのエンジン下部501に対して左方に隣接して配されている。
【0048】
モータMは、外殻として第1モータハウジング511と第2モータハウジング521とを有する。第1モータハウジング511はエンジン下部501の左側外面に接合され、第2モータハウジング521は第1モータハウジング511の左側に隙間なく接続されている。
【0049】
変速機TMは、外殻としてアクスルハウジング531を有する。アクスルハウジング531は、右方から左方へと向けて断面サイズが漸減する台錐形状を有する。
【0050】
電力変換装置100は、車両Vの左右方向において、第2モータハウジング521の上方からアクスルハウジング531の上方にかけての部分に配置されている。
【0051】
電力変換装置100は、車両Vの前後方向における前部にACコネクタ部150を有する。ACコネクタ部150は、モータMとの接続のためのバスバーおよびコネクタが内蔵されており、電力変換装置100の他の部分よりもケース(筐体)の下面が下方に位置するように形成されている。なお、本実施形態において、ケース101は、上方に向けて開口された開口部を有するケース本体(筐体本体)102と、ケース本体102の開口部を塞ぐ蓋103との組み合わせをもって構成されている。
【0052】
ここで、モータMにおける第1モータハウジング511の前端部511aに当接し、上下方向に延びる仮想線L1を引く場合に、電力変換装置100のケース101におけるACコネクタ部150が収容された端部(前端部)150aは、仮想線L1に略合致する位置に配されている。即ち、本実施形態では、ACコネクタ部150の前端部150aが第1モータハウジング511の前端部511aに対して面一となるように、電力変換装置100が配置されている。
【0053】
なお、電力変換装置100は、ケース101の上面101aから上方に突出するPCMコネクタ143を有する。PCM400(図1を参照。)は、PCMコネクタ143を介して電力変換装置100に接続される。
【0054】
3.電力変換装置100の構成
電力変換装置100の構成について、図4を用いて説明する。図4は、電力変換装置100を車両Vの上下方向における上方から平面視した平面図である。
【0055】
図4に示すように、電力変換装置100は、ケース101の内部に収容された、DCコネクタ部110、ノイズ除去部120、平滑部130、パワーモジュール部140、およびACコネクタ部150を有する。DCコネクタ部110、ノイズ除去部120、平滑部130、パワーモジュール部140、およびACコネクタ部150は、車両Vの前後方向における後方側から前方側へと順に配設されている。
【0056】
ここで、ACコネクタ部150は、左右方向における中心線L3が、電力変換装置100におけるACコネクタ部150を除く他の部分の中心線L2に対して右方にオフセット配置されている(矢印A)。
【0057】
DCコネクタ部110は、高電圧バッテリ200との接続に供される複数の端子を有する。ノイズ除去部120は、電力変換装置100からの高周波成分のノイズの漏洩を防止するための機能部であって、例えば、フェライトコアを含み構成されている。ノイズ除去部120は、DCコネクタ部110と平滑部130との間の電力流通路中に挿設されている。
【0058】
平滑部130は、直流電力を平滑化する機能部であって、平滑コンデンサ(一例として、フィルムコンデンサ)を含み構成されている。平滑部130は、ノイズ除去部120とパワーモジュール部140との間の電力流通路中に挿設されている。
【0059】
パワーモジュール部140は、3個のIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)144a~144cを有するモジュール本体部141と、モジュール本体部141におけるIGBT144等を電気的に制御する制御回路部142とを有する。なお、モジュール本体部141における3個のIGBT144a~144cは、左右方向(第1方向)に沿って配されている。
【0060】
PCMコネクタ143は、制御回路部142に接続されている。そして、制御回路部142に形成された制御部は、PCM400からの指令を受けてモジュール本体部141のIGBT144a~144cを制御して、直流電力と交流電力の変換量などを変更する。なお、以下では、IGBT144a~144cを纏めて「IGBT144」と記載する場合がある。
【0061】
電力変換装置100において、パワーモジュール部140のモジュール本体部141は、U相、V相、W相のそれぞれに対応する部分が、IGBT144を含むパワー半導体などの電子部品を組み合わせて構成されている。
【0062】
パワーモジュール部140のモジュール本体部141は、平滑部130とACコネクタ部150との間の電力流通路中に挿設されている。
【0063】
ACコネクタ部150は、モータMとの電気接続に供されるコネクタおよびバスバーを有する。電力変換装置100は、ACコネクタ部150を介してモータMに向けて交流電力を送出する。また、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合に、電力変換装置100は、ACコネクタ部150を介してモータMから交流電力を受け入れる。
【0064】
モータMに対して走行のための交流電力を供給する場合には、高電圧バッテリ200から出力された直流電力が、DCコネクタ部110を介してノイズ除去部120に入力される。ノイズ除去部120を通過した直流電力は、平滑部130で平滑化され、パワーモジュール部140へと送出される。
【0065】
パワーモジュール部140では、PCM400からの指令に従って、3相交流電力へと変換される。そして、変換された3相交流電力は、ACコネクタ部150を介してモータMへと送出される。
【0066】
逆に、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合には、モータMで生成された3相交流電力がACコネクタ部150を介してパワーモジュール部140へと入力される。そして、入力された交流電力は、パワーモジュール部140で直流電力へと変換される。変換後の直流電力は、平滑部130で平滑化され、ノイズ除去部120で高周波成分のノイズが除去された後に、DCコネクタ部110を介して高電圧バッテリ200に送出される。これにより、高電圧バッテリ200が充電される。
【0067】
なお、電力変換装置100と高電圧バッテリ200との間の電力流通路中には、図示を省略するDC-DCコンバータが挿設されている。
【0068】
4.モータMと電力変換装置100との接続構造、およびACコネクタ部150の内部構造
モータMと電力変換装置100との接続構造、およびACコネクタ部150の内部構造について、図5から図7を用いて説明する。図5は、ケース本体102から蓋103を取り外した状態で電力変換装置100を示す斜視図である。図6は、モータ側コネクタ512とACコネクタ部150の一部構成とを示す斜視図である。図7は、樹脂モールド部155を省略した状態でACコネクタ部150の一部構成を示す斜視図である。
【0069】
図5に示すように、モータMと電力変換装置100との電気接続は、モータ側コネクタ512とACコネクタ部150のコネクタ156との嵌合によりなされている(矢印B部分)。モータ側コネクタ512は、第1モータハウジング511に固定されており、その一部がケース101のケース本体102内に侵入している。具体的に、図6に示すように、モータ側コネクタ512は、円柱形状のベース部512aと、ベース部512aの端面から左方に向けて突出した3本の端子部512b~512dとを有する。
【0070】
なお、端子部512b~512dのそれぞれは、モータMのU相、V相、W相の各モータコイルに対して配線(図示を省略。)により電気接続されている。
【0071】
モータ側コネクタ512は、ベース部512aの一部と、3本の端子部512b~512dがケース本体102内に侵入するように配設されている。そして、ケース本体102内において、モータ側コネクタ512の端子部512b~512dは、ACコネクタ部150におけるコネクタ156の雌型端子部(図示を省略。)に挿入されて(図6の矢印C)、モータ側コネクタ512とコネクタ156とが電気接続されている。
【0072】
なお、本実施形態では、一例として、端子部512bがU相端子部であり、端子部512cがV相端子部であり、端子部512dがW相端子部である。
【0073】
図7に示すように、コネクタ156は、モータ側コネクタ512の端子部512b~512dの嵌入を受け入れる側とは反対側(左側)に3箇所の接続箇所156a~156cを有する。各接続箇所156a~156cは、それぞれが円筒形状を有する。そして、3箇所の接続箇所156a~156cは、左右方向からの平面視で環状に配されている。
【0074】
図6に示すように、ACコネクタ部150において、コネクタ156に対しては、ACバスバーモジュール151がボルトBLTの締結によって接続されている。ACバスバーモジュール151は、3本のバスバー152~154と、樹脂モールド部155とを有する。
【0075】
図7に示すように、バスバー(第1バスバー)152は、コネクタ156の接続箇所(第1接続箇所)156aと接続される接続部(第1接続部)152aと、パワーモジュール部140のIGBT144aと接続されるモジュール側接続部152bと、接続部152aとモジュール側接続部152bとの間を連続的に連結する連結部(第1連結部)152cとを有する。
【0076】
バスバー(第2バスバー)153は、コネクタ156の接続箇所(第2接続箇所)156bと接続される接続部(第2接続部)153aと、パワーモジュール部140のIGBT144bと接続されるモジュール側接続部153bと、接続部153aとモジュール側接続部153bとの間を連続的に連結する連結部(第2連結部)153cとを有する。
【0077】
バスバー(第3バスバー)154は、コネクタ156の接続箇所(第3接続箇所)156cと接続される接続部(第3接続部)154aと、パワーモジュール部140のIGBT144cと接続されるモジュール側接続部154bと、接続部154aとモジュール側接続部154bとの間を連続的に連結する連結部(第3連結部)154cとを有する。
【0078】
樹脂モールド部155は、絶縁材料(例えば、エポキシ系樹脂)で形成されており、バスバー152~154の外周部を覆うとともに、バスバー152~154同士の隙間に充填形成されている。これにより、電力変換装置100の組み立て時において、ACバスバーモジュール151は、1つの部品としてハンドリングされる。
【0079】
本実施形態において、バスバー152はU相バスバーであり、バスバー153はV相バスバーであり、バスバー154はW相バスバーである。
【0080】
5.バスバー152~154における各連結部152c,153c,154cの配策構造
バスバー152~154における各連結部152c,153c,154cの配策構造について、図8から図10を用いて説明する。図8は、バスバー152~154を上方から見た平面図である。図9は、バスバー152~154とコネクタ156とを左方から見た側面図である。図10は、バスバー152~154を後方から見た背面図である。
【0081】
図8に示すように、コネクタ156の接続箇所156aと接続箇所156b,156cとは、前後方向(第2方向)にオフセット配置されている。具体的に、接続箇所156aは、接続箇所156b,156cよりも後方側(パワーモジュール部140に近い側)に配置されている。なお、本実施形態では、接続箇所156cは、接続箇所156bよりも後方側に配置されている。換言すると、バスバー152の接続部152aは、バスバー153,154の各接続部153a,154aよりも後方側にオフセット配置されている。なお、コネクタ156の接続箇所156a~156cは、左右方向からの平面視で環状に配置されている。
【0082】
バスバー152~154の各連結部152c,153c,154cは、モジュール側接続部152b,153b,154bの近傍部分において、前後方向に直線的に延伸するとともに、互いに並行する部位を有する。本実施形態では、各バスバー152~154における直線的に延伸する部位に、電流センサー157~159が取り付けられている。電流センサー157~159は、既知のセンサーであるため詳細な説明を省略するが、各バスバー152~154を流れる電流値を検出するセンサーである。
【0083】
図9および図10に示すように、バスバー152~154の各連結部152c,153c,154cは、前後方向に直線的に延伸する部分の前端部分で下方に曲折されている。バスバー152の連結部152cは、下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに前方へと方向を変えて延伸して接続部152aと連結されている。
【0084】
バスバー153の連結部153cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方、前方、上方、右方の順に方向を変えて延伸して接続部153aと連結されている。ここで、図9に示すように、バスバー153においては、接続部153aに対して前方側から連結部153cが連結されている。そして、バスバー153の連結部153cがコネクタ156の3つの接続箇所156a~156c(図7などを参照。)が配された領域(図9のE1領域)を横断しないように配策されている。即ち、バスバー153の連結部153cは、コネクタ156の3つの接続箇所156a~156cが配された領域(E1領域)を前後方向に横断せず、当該領域の外周の内の下方を迂回するように配策されている。
【0085】
なお、バスバー153の連結部153cは、接続部153aとの連結部分の近傍が上下方向に延伸するように配策されているが、当該部分は周辺にバスバー152,154の連結部152c,154cが近接しないように配されている。
【0086】
バスバー154の連結部154cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方および右方の順に方向を変えて延伸して接続部154aをと連結されている。図9に示すように、バスバー154においては、接続部154aに対して下方側から連結部154cが連結されている。そして、バスバー154の連結部154cがコネクタ156の上記領域を横断しないように配策されている。即ち、バスバー154の連結部154cは、上記領域(E1領域)を横断せず、当該領域の外周の内の下方を迂回するように配策されている。
【0087】
さらに、本実施形態のACコネクタ部150において、3本のバスバー152~154の連結部152c,153c,154cは、互いの重なりを生じる部分(主面同士が対向する部分)において、2本のバスバー152~154しか重ならないように配策がなされている。具体的に、バスバー152の連結部152cとバスバー153の連結部153cとは、主面同士が対向しないように配策されている。
【0088】
バスバー152の連結部152cとバスバー154の連結部154cとは、図8のD2部分、図10のF2部分で互いが対向するが、これらの部分ではバスバー153の連結部153cが離間するように配策されている。
【0089】
同様に、バスバー153の連結部153cとバスバー154の連結部154cとは、図8のD1,D3部分、図9のE2部分、図10のF1部分で互いが対向するが、これらの部分ではバスバー152の連結部152cが離間するように配策されている。
【0090】
以上のように、バスバー152~154の連結部152c,153c,154cを、互いの重なりが2枚を上限として配策しているので、3本のバスバー152~154の連結部152c,153c,154cが三重に重なる場合に比べて、当該重なり部分(主面同士が対向する部分)の厚みを薄くすることができる。
【0091】
6.効果
本実施形態に係る電力変換装置100では、バスバー153の連結部153cがコネクタ156の接続箇所156a~156cが配された領域(図9のE1領域)の外周を迂回するように配策されているので、上記特許文献1に開示のバスバーの配策形態よりも装置サイズを小型化しながら、コネクタ156へのバスバー152~154の接続に係る作業性を確保することができる。即ち、電力変換装置100では、バスバー152とバスバー153とのモジュール側接続部152a,153a同士の隙間や、連結部152c,153c同士の隙間を狭くしても、連結部153cがE1領域の外周を迂回するように配策することで、少なくともコネクタ156へのバスバー152およびバスバー153の接続時に作業者がアクセス容易となる。よって、電力変換装置100では、コネクタ156とバスバー152~154との接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる。
【0092】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、ACコネクタ部150が3本のバスバー152~154を有し、バスバー154の連結部154cも領域E1の外周を迂回するように配策されているので、バスバー154と他のバスバー152,153の連結部152c,153cとの隙間を狭くしても、コネクタ156へのバスバー152~154の接続に係る高い作業性を確保することができる。
【0093】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、バスバー152の連結部152cとバスバー154の連結部154cとが対向する部分ではバスバー153の連結部153cが離間し(対向せず)、バスバー153の連結部153cとバスバー154の連結部154cとが対向する部分ではバスバー152の連結部152cが離間する形態(対向しない形態)を採用するので、3本のバスバー152~154の連結部152c,153c,154cが三重に対向する形態に対して、ACバスバーモジュール151のサイズの小型化を図ることができる。
【0094】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、バスバー153の連結部153cおよびバスバー154の連結部154cのそれぞれが、E1領域に対して下方(ケース本体102の開口部とは反対側)に迂回するように配策されているので、コネクタ156へのバスバー152~154の接続作業において、作業者はケース本体102の開口部からE1領域に容易にアクセス可能である。よって、装置100の外観サイズの小型化を可能としながら、コネクタ156へのバスバー152~154の接続に際しての高い作業性を確保することができる。
【0095】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、ケース本体102の開口部が上方向に向けて開口されているので、作業者はコネクタ156へのバスバー152~154の接続時に車両Vの上方から容易にE1領域にアクセスすることができる。よって、高い作業性を確保するのに優位である。
【0096】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、バスバー153の連結部513cが、バスバー152の連結部152cおよびバスバー154の連結部154cと離間した部分に上下方向に延びるように設けられた上下延伸部位を有しているので、仮に車両Vに対して前方から衝突荷重が入力された場合にも、バスバー153の連結部153cにおける上下延伸部位が単独で衝撃を受けて変形する。このため、電力変換装置100では、バスバー153の連結部153cの変形により衝撃荷重の一部を吸収することができ、他のバスバー152,154との短絡や、パワーモジュール部140へ衝撃荷重が作用するのを抑制することができる。よって、電力変換装置100では、当該電力変換装置100を搭載する車両Vの高い安全性を確保するのに優位である。
【0097】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、ケース101におけるACコネクタ部150が収容されたコネクタ収容部分が衝突荷重の入力方向側(前方側)となるように配されており、ケース101におけるコネクタ収容部分側の端部150aが第1モータハウジング511面一となるように配されているので、仮に前方から衝突荷重が入力された場合においても、電力変換装置100のケース101の上記端部150aに集中的に荷重が入力されることがなく、高い安全性を確保することができる。
【0098】
また、本実施形態に係る電力変換装置100では、全てのバスバー152~154の連結部152c,153c,154cが樹脂モールド部155により一体にモールドされているので、3本のバスバー152~154を1つの部品としてハンドリングすることができる。よって、電力変換装置100の組み立て時において、3本のバスバー152~154をバラバラにハンドリングする場合に比べて高い作業性を確保することができる。
【0099】
以上のように、本実施形態に係る電力変換装置100では、コネクタ156とバスバー152~154との接続に係る作業性を確保しながら、外観サイズの小型化を図ることができる。
【0100】
[第2実施形態]
本発明の第2実施形態に係る電力変換装置160について、図11および図12を用いて説明する。なお、本実施形態に係る電力変換装置160は、3相4線式のモータMに接続される点を除き、上記第1実施形態と同じ構成を有する。このため、図11および図12では、ACコネクタ部250の一部構成を抜き出して図示している。また、以下では、上記第1実施形態と重複する部分の説明については省略する。
【0101】
図11および図12に示すように、電力変換装置160は、3相4線式の交流モータMに接続されるインバータ装置である。電力変換装置160のACコネクタ部250は、モータMとの電気接続に供されるコネクタ256およびACバスバーモジュール251を有する。電力変換装置160も、ACコネクタ部250を介してモータMに向けて交流電力を送出する。また、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合に、電力変換装置160は、ACコネクタ部250を介してモータMから交流電力を受け入れる。
【0102】
図12に示すように、コネクタ256は、4箇所の接続箇所を有する(H領域)。各接続箇所は、上記第1実施形態の接続箇所156a~156cと同様に、それぞれが円筒形状を有する。
【0103】
ACコネクタ部250において、コネクタ256に対しては、ACバスバーモジュール251がボルトBLTの締結によって接続されている。図11および図12に示すように、ACバスバーモジュール251は、4本のバスバー252~254と、樹脂モールド部とを有する。なお、図11および図12では、樹脂モールド部の図示を省略している。
【0104】
本実施形態では、一例として、バスバー252がU相バスバーであり、バスバー253がV相バスバーであり、バスバー254がW相バスバーであり、バスバー255が中性線(N相)バスバーである。
【0105】
図11および図12に示すように、バスバー(第1バスバー)254は、コネクタ256のW相の接続箇所(第1接続箇所)と接続される接続部(第1接続部)254aと、パワーモジュール部のW相のIGBTと接続されるモジュール側接続部254bと、接続部254aとモジュール側接続部254bとの間を連続的に連結する連結部(第1連結部)254cとを有する。
【0106】
バスバー(第2バスバー)253は、コネクタ256のV相の接続箇所(第2接続箇所)と接続される接続部(第2接続部)253aと、パワーモジュール部のV相のIGBTと接続されるモジュール側接続部253bと、接続部253aとモジュール側接続部253bとの間を連続的に連結する連結部(第2連結部)253cとを有する。
【0107】
バスバー(第3バスバー)252は、コネクタ256のU相の接続箇所(第3接続箇所)と接続される接続部(第3接続部)252aと、パワーモジュール部のU相のIGBTと接続されるモジュール側接続部252bと、接続部252aとモジュール側接続部252bとの間を連続的に連結する連結部(第3連結部)252cとを有する。
【0108】
バスバー255は、コネクタ256のモータMの中性点に接続された中性線の接続箇所と接続される接続部255aと、パワーモジュール部の中性線のIGBTまたは中性線自体と接続されるモジュール側接続部255bと、接続部255aとモジュール側接続部255bとの間を連続的に連結する連結部255cとを有する。
【0109】
図示を省略しているが、樹脂モールド部は、上記第1実施形態と同様に、絶縁材料(例えば、エポキシ系樹脂)で形成されており、バスバー252~255の外周部を覆うとともに、バスバー252~255同士の隙間に挿設されている。これにより、電力変換装置160の組み立て時において、ACバスバーモジュール251は、1つの部品としてハンドリングされる。
【0110】
続いて、バスバー252~255における各連結部252c,253c,254c,255cの配策構造について説明する。
【0111】
図12に示すように、バスバー254の接続部254aは、バスバー253,255の各接続部253a,255aよりも後方側にオフセット配置されている。バスバー252の接続部252aは、バスバー253,255の各接続部253a,255aよりも前方側にオフセット配置されており、バスバー254の接続部254aと前後方向において略同じ位置に配置されている。
【0112】
詳細な図示を省略するが、バスバー252~255の各連結部252c,253c,254c,255cは、モジュール側接続部252b,253b,254b,255bの近傍部分において、前後方向に直線的に延伸するとともに、互いに並行する部位を有する。本実施形態においても、各バスバー252~255における直線的に延伸する部位に、電流センサーが取り付けられている。
【0113】
図11に示すように、バスバー252~255の各連結部252c,253c,254c,255cは、前後方向に直線的に延伸する部分の前端部分で下方に曲折されている。図11および図12に示すように、バスバー254の連結部254cは、下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに前方へと方向を変えて延伸して接続部254aと連結されている。
【0114】
バスバー253の連結部253cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方、前方、上方の順に方向を変えて延伸して接続部253aと連結されている。ここで、図12に示すように、バスバー253においては、接続部253aに対して下方側から連結部253cが連結されている。そして、バスバー253の連結部253cがコネクタ256の4つの接続箇所が配されたH領域を横断しないように配策されている。即ち、バスバー253の連結部253cは、コネクタ256の4つの接続箇所が配されたH領域を前後方向に横断せず、当該領域の外周の内の下方を迂回するように配策されている。
【0115】
バスバー252の連結部252cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方、右方、前方の順に方向を変えて延伸して接続部252aをと連結されている。図12に示すように、バスバー252においては、接続部252aに対して後方側から連結部252cが連結されている。そして、バスバー252の連結部252cがコネクタ256の上記H領域を横断しないように配策されている。即ち、バスバー252の連結部252cも、上記H領域を横断せず、当該領域の外周の内の後方を迂回するように配策されている。
【0116】
バスバー255の連結部255cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方、前方、上方,後方の順に方向を変えて延伸して接続部255aと連結されている。図12に示すように、バスバー255においては、接続部255aに対して前方側から連結部255cが連結されている。そして、バスバー255の連結部255cがコネクタ256の上記H領域を横断しないように配策されている。即ち、バスバー255の連結部255cも、上記H領域を横断せず、当該領域の外周の内の後方を迂回するように配策されている。
【0117】
さらに、本実施形態のACコネクタ部250においても、4本のバスバー252~255の連結部252c,253c,254c,255cは、互いの重なりを生じる部分(主面同士が対向する部分)において、2本のバスバーしか重ならないように配策がなされている。具体的に、バスバー254の連結部254cとバスバー253の連結部253cとは、図11のG4部分で互いが対向するが、当該部分では他のバスバー252,255の連結部252c,255cが離間するように配策されている。
【0118】
バスバー253の連結部253cとバスバー252の連結部252cとは、図11のG2部分で互いが対向するが、当該部分では他のバスバー254,255の連結部254c,255cが離間するように配策されている。
【0119】
バスバー252の連結部252cとバスバー255の連結部255cとは、図11のG1部分で互いが対向するが、当該部分では他のバスバー253,254の連結部253c,254cが離間するように配策されている。
【0120】
バスバー253の連結部253cとバスバー255の連結部255cとは、図12のG3部分で互いが対向するが、当該部分ではバスバー252,254の連結部252c,254cが離間するように配策されている。
【0121】
上記のように、バスバー252~255の連結部252c,253c,254c,255cを、互いの重なりが2枚を上限として配策しているので、4本のバスバー252~255の連結部252c,253c,254c,255cが三重や四重に重なる場合に比べて、当該重なり部分(主面同士が対向する部分)の厚みを薄くすることができる。
【0122】
本実施形態に係る電力変換装置160においても、ACコネクタ部250が4本のバスバー252~255を有する点を除き、上記第1実施形態と同じ構成を備える。よって、本実施形態に係る電力変換装置160も、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0123】
ここで、3相4線式における中性線は、車体のアース接続可能な部位またはバッテリの負極に電気的に接続して接地する方式がある。この場合、中性線に接続されたバスバー255が他のバスバー252~254よりも車両前方に位置していることにより、仮に電力変換装置160の図示しないケースに対して前方から衝突荷重が入力された場合に、第1実施形態に比して更に、ケースとの短絡の危険性を抑制することができる。よって、電力変換装置160では、当該電力変換装置160を搭載する車両Vの高い安全性を確保するのに優位である。
【0124】
[第3実施形態]
本発明の第3実施形態に係る電力変換装置170について、図13および図14を用いて説明する。なお、本実施形態に係る電力変換装置170は、単相2線式のモータMに接続される点を除き、上記第1実施形態と同じ構成を有する。このため、図13および図14では、ACコネクタ部350の一部構成を抜き出して図示している。また、以下では、上記第1実施形態と重複する部分の説明については省略する。
【0125】
図13および図14に示すように、電力変換装置170は、単相2線式の交流モータMに接続されるインバータ装置である。電力変換装置170のACコネクタ部350は、モータMとの電気接続に供されるコネクタ356およびACバスバーモジュール351を有する。電力変換装置170も、ACコネクタ部350を介してモータMに向けて交流電力を送出する。また、車両Vの減速時にモータMが発電機として機能する場合に、電力変換装置170は、ACコネクタ部350を介してモータMから交流電力を受け入れる。
【0126】
図13および図14に示すように、コネクタ356は、2箇所の接続箇所を有する(J領域)。各接続箇所は、上記第1実施形態の接続箇所156a~156cと同様に、それぞれが円筒形状を有する。
【0127】
ACコネクタ部350において、コネクタ356に対しては、ACバスバーモジュール351がボルトBLTの締結によって接続されている。図13および図14に示すように、ACバスバーモジュール351は、2本のバスバー352,353と、樹脂モールド部とを有する。なお、図13および図14では、樹脂モールド部の図示を省略している。
【0128】
本実施形態では、一例として、バスバー352がU相バスバーであり、バスバー353がN相バスバーである。バスバー(第1バスバー)352は、コネクタ356のU相の接続箇所(第1接続箇所)と接続される接続部(第1接続部)352aと、パワーモジュール部のU相のIGBTと接続されるモジュール側接続部352bと、接続部352aとモジュール側接続部352bとの間を連続的に連結する連結部(第1連結部)352cとを有する。
【0129】
バスバー(第2バスバー)353は、コネクタ356のN相の接続箇所(第2接続箇所)と接続される接続部(第2接続部)353aと、パワーモジュール部のN相のIGBTと接続されるモジュール側接続部353bと、接続部353aとモジュール側接続部353bとの間を連続的に連結する連結部(第2連結部)353cとを有する。
【0130】
図示を省略しているが、樹脂モールド部は、上記第1実施形態と同様に、絶縁材料(例えば、エポキシ系樹脂)で形成されており、バスバー352,353の外周部を覆うとともに、バスバー352,353同士の隙間に挿設されている。これにより、電力変換装置170の組み立て時において、ACバスバーモジュール351は、1つの部品としてハンドリングされる。
【0131】
続いて、バスバー352,353における各連結部352c,353cの配策構造について説明する。
【0132】
図14に示すように、バスバー353の接続部353aは、バスバー352の接続部352aよりも前方側にオフセット配置されている。詳細な図示を省略するが、バスバー352,353の各連結部352c,353cは、モジュール側接続部352b,353bの近傍部分において、前後方向に直線的に延伸するとともに、互いに並行する部位を有する。本実施形態においても、各バスバー352,353における直線的に延伸する部位に、電流センサーが取り付けられている。
【0133】
図13に示すように、バスバー352,353の各連結部352c,353cは、前後方向に直線的に延伸する部分の前端部分で下方に曲折されている。図13および図14に示すように、バスバー352の連結部352cは、下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに前方へと方向を変えて延伸して接続部352aと連結されている。
【0134】
バスバー353の連結部353cは、上記下方に延びる部分から右方へと方向を変えて延伸し、さらに下方、前方、上方,後方の順に方向を変えて延伸して接続部353aと連結されている。ここで、図14に示すように、バスバー353においては、接続部353aに対して前方側から連結部353cが連結されている。そして、バスバー353の連結部353cがコネクタ356の2つの接続箇所が配されたJ領域を横断しないように配策されている。即ち、バスバー353の連結部353cは、コネクタ356の2つの接続箇所が配されたJ領域を前後方向に横断せず、当該領域の外周の内の下方を迂回するように配策されている。
【0135】
さらに、本実施形態のACコネクタ部350においては、2本のバスバー352,353を備えるだけであるので、3本以上のバスバーが互いに対向することは生じ得ない。即ち、図13に示すように、バスバー352の連結部352cとバスバー353の連結部353cとが、I1部分で互いが対向するだけである。
【0136】
本実施形態に係る電力変換装置170においても、ACコネクタ部350が2本のバスバー352,353を有する点を除き、上記第1実施形態と同じ構成を備える。よって、本実施形態に係る電力変換装置170も、上記第1実施形態と同じ効果を得ることができる。
【0137】
[変形例]
上記第1実施形態から上記第3実施形態では、電力変換装置100,160,170の一例としてインバータ装置を採用したが、本発明は、これに限定を受けるものではない。例えば、DC-DCコンバータなどに本発明を適用することも可能である。
【0138】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、車両Vに搭載される電力変換装置100,160,170を一例としたが、本発明では、産業機器などで用いられる電力変換装置に適用することも可能である。また、車両としては、ハイブリッド電気自動車(HEV)だけでなく、走行用の駆動源としてエンジンを備えない電気自動車(BEV)などを採用することも可能である。
【0139】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、一例として、ACコネクタ部150,250,350のACバスバーモジュール151,251,351を採用したが、本発明では、DCコネクタ部に適用することも可能である。
【0140】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、ACバスバーモジュール151,251,351が樹脂モールド部155を有することとしたが、本発明では、樹脂モールド部は必須の構成ではない。この場合には、隣り合うバスバー同士の隙間を絶縁距離以上としておくか、バスバー同士が近接する箇所に絶縁材料を介挿しておくことが望ましい。
【0141】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、コネクタ156,256,356のE1,H,Jの各領域に対して上方からアクセス可能な構成としたが、本発明では、必ずしも上方からアクセス可能とする必要はない。即ち、前方、後方、下方の何れかからコネクタへのバスバーの接続箇所に対してアクセス可能としておけばよい。なお、上記のようにアクセスの方向を規定する場合には、ケースの開口部も合わせて設けることが望ましい。
【0142】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、パワーモジュールの一例としてIGBTを採用したが、本発明は、パワーモジュールの種類に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、MOSFET(Metal Oxide Semiconductor Filed Effect Transistor)、あるいはスイッチング素子とダイオード素子とを組み合わせたモジュールを採用することも可能である。
【0143】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、コネクタ156,256,356へのバスバー152~154,252~255,352,353の接続をボルトBLTを用いて行うこととしたが、本発明では、コネクタへのバスバーの接続形態に関してこれに限定を受けるものではない。例えば、ナットによる接続や、カシメ加工による接続や、溶接による接続なども採用が可能である。
【0144】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、ACコネクタ部150,250,350の端部(前端部)150aが前方側を向くように電力変換装置100,160,170を配置することとしたが、本発明では、電力変換装置の配置方向について、これに限定を受けるものではない。即ち、ACコネクタ部の端部が後方側や左右の何れかの側を向くように電力変換装置を配置することも可能である。
【0145】
また、上記第1実施形態から上記第3実施形態では、ACコネクタ部150,250,350の前端部150aが第1モータハウジング511の前端部511aと面一となるように電力変換装置100,160,170を配置することとしたが、本発明では、ACコネクタ部の前端部がモータハウジングやアクスルハウジングよりも後退した位置となるように電力変換装置を配置することも可能である。この場合にも、車両の衝突時に電力変換装置に対して集中的に荷重がかかるのを抑制することができる。
【符号の説明】
【0146】
100 電力変換装置
144a IGBT(第1パワーモジュール)
144b IGBT(第2パワーモジュール)
144c IGBT(第3パワーモジュール)
150,250,350 ACコネクタ部
152,252,352 U相バスバー
153,253 V相バスバー
154,254 W相バスバー
155 樹脂モールド部
156,256,356 コネクタ
156a 接続箇所(第1接続箇所)
156b 接続箇所(第2接続箇所)
156c 接続箇所
255,353 N相バスバー
511,521 モータハウジング
531 アクスルハウジング
M モータ
図1
図2
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