IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ キヤノン株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像記録装置およびその制御方法 図1
  • 特開-画像記録装置およびその制御方法 図2
  • 特開-画像記録装置およびその制御方法 図3
  • 特開-画像記録装置およびその制御方法 図4
  • 特開-画像記録装置およびその制御方法 図5
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180046
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】画像記録装置およびその制御方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 7/00 20060101AFI20241219BHJP
   B41J 29/38 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
H02J7/00 B
H02J7/00 302D
B41J29/38 104
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099470
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100126240
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 琢磨
(74)【代理人】
【識別番号】100223941
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 佳子
(74)【代理人】
【識別番号】100159695
【弁理士】
【氏名又は名称】中辻 七朗
(74)【代理人】
【識別番号】100172476
【弁理士】
【氏名又は名称】冨田 一史
(74)【代理人】
【識別番号】100126974
【弁理士】
【氏名又は名称】大朋 靖尚
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 龍郎
【テーマコード(参考)】
2C061
5G503
【Fターム(参考)】
2C061AQ05
2C061HJ10
2C061HK08
2C061HK11
2C061HN15
2C061HT04
2C061HT06
2C061HT07
2C061HT08
5G503AA01
5G503BB02
5G503CA08
5G503CC09
5G503DA13
5G503DA18
5G503DB01
5G503EA05
5G503GD03
5G503GD07
(57)【要約】
【課題】 バッテリーへの充電をしつつ、省電力モード中の電力消費を抑制することを目的とする。
【解決手段】 外部電源から供給された電力によって充電可能なバッテリーと、バッテリーの電力に基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、バッテリーの充電制御を行うメインコントローラを備え、通常モードと、通常モードよりも消費電力が制限された省電力モードを設定可能である。省電力モードのとき、バッテリーの残量が所定値以下である場合に、通常モードへ移行し、メインコントローラによってバッテリーへ充電することを特徴とする画像記録装置。
【選択図】 図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部電源から供給された電力によって充電可能なバッテリーと、
前記バッテリーの電力に基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、
前記バッテリーの充電制御を行うメインコントローラを備え、
通常モードと、前記通常モードよりも消費する電力が制限された省電力モードを設定可能である画像記録装置であり、
前記省電力モードのとき、前記バッテリーの残量が所定値以下である場合に、前記通常モードへ移行し、前記メインコントローラによって前記バッテリーへ充電することを特徴とする画像記録装置。
【請求項2】
前記メインコントローラは、ASICであることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
前記通常モードは、記録媒体へ記録を実施することを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
前記省電力モードは、前記メインコントローラで消費される電力がオフ状態であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項5】
前記省電力モード中において、前記バッテリーの残量が所定値以下でかつ、前記外部電源が接続されていない場合、前記省電力モードを継続することを特徴とする、請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項6】
前記省電力モード中において、前記バッテリーの残量を取得するサブコントローラと、
取得した前記残量に基づいて、前記通常モードと前記省電力モードを切り替える切り替え部を備えることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項7】
前記外部電源は、USB(ユニバーサルシリアルバス)規格を用いて接続された電源であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項8】
前記外部電源は、AC電源であることを特徴とする請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項9】
前記外部電源との間でエニュメレーション処理を行うエニュメレーション処理手段を有し、
前記エニュメレーション処理の結果に応じて、充電することを特徴とする、請求項7に記載の画像記録装置。
【請求項10】
前記バッテリーへの充電が完了した場合、前記省電力モードへ移行することを特徴とする請求項1に記載の画像記録。
【請求項11】
前記メインコントローラと前記サブコントローラとの間で通信を行う通信手段を備え、
前記通信手段はUART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)規格に基づいた通信を行うことを特徴とする、請求項6に記載の画像記録装置。
【請求項12】
外部電源から供給された電力によって充電可能なバッテリーの電力に基づいて記録媒体に画像を記録する記録工程と、
通常モードよりも消費電力が制限された省電力モードのとき、前記バッテリーの残量が所定値以下の場合に、前記通常モードへ移行する工程と、
前記通常モードへ移行した後、前記メインコントローラによって前記バッテリーへ充電制御を実施する工程を備えることを特徴とする画像記録装置の制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電可能なバッテリーを備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置(以下、画像記録装置)においては、ACアダプタやUSB(ユニバーサルシリアルバス)ケーブルによる他の電子機器からの電力を用いて記録装置に内蔵したバッテリーを充電する構成が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、画像記録装置がOFFの状態の時にもACアダプタやUSBケーブルが接続されたときにASICを起動することで充電制御を実行する構成が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-125906
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、画像記録装置がOFFの状態でも常時ASICを起動することになるため、OFFの状態であっても電力を消費し続ける場合がある。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、バッテリーへの充電をしつつ、省電力モードにおける電力消費を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、外部電源から供給された電力によって充電可能なバッテリーと、バッテリーの電力に基づいて記録媒体に画像を記録する記録部と、バッテリーの充電制御を行うメインコントローラを備え、通常モードと、通常モードよりも消費電力が制限された省電力モードを設定可能である画像記録装置であり、省電力モードのとき、バッテリーの残量が所定値以下である場合に、通常モードへ移行し、メインコントローラによってバッテリーへ充電することを特徴とする。
【0008】
また、外部電源から供給された電力によって充電可能なバッテリーの電力に基づいて記録媒体に画像を記録する記録工程と、通常モードよりも消費電力が制限された省電力モードのとき、バッテリーの残量が所定値以下の場合に、通常モードへ移行する工程と、通常モードへ移行した後、メインコントローラによってバッテリーへ充電制御を実施する工程を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、記録装置が省電力状態においても消費電力を抑制しつつ、バッテリーを充電することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】インクジェットプリンタの主要機構部分を示す図
図2】インクジェットプリンタの内部構成を示す斜視図
図3】インクジェットプリンタの制御構成を示すブロック図
図4】実施例1におけるプリンタ電源オン及びオフへの遷移を示すフローチャート
図5】実施例2におけるプリンタ電源オンへの遷移を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の実施形態における電子機器を、図面を参照しつつ詳細に説明する。本実施形態では、電子機器として、インクを吐出して記録動作を行うインクジェット方式の記録装置を例に説明する。但し、以下の実施形態は特許請求の範囲に係る本発明を限定するものではなく、また本実施形態で説明されている特徴及びその組み合わせの全てが本発明の解決手段に必須のものとは限らない。
【実施例0012】
図1は、本実施形態における記録装置PRIを示す外観斜視図である。記録装置PRIは、記録装置本体10と、この記録装置本体10に着脱可能なバッテリーモジュール20とを有する。
【0013】
記録装置本体10は、その外殻をなす筐体部10aが、上ケース11と下ケース12と給紙カバー13と排紙カバー14とにより構成されている。筐体部10a内には後述の駆動機構(図2)が収容されている。図1は記録装置PRIの非使用時(据え置き時及び携帯時等)の状態を示している。記録装置PRIの使用時には、給紙カバー13を背面側に開くと、給紙カバー13は記録シートを載せるための供給トレイとなる。
【0014】
また、記録装置本体10の側面には、I/F(インターフェース)コネクタ15と、DCinジャック(直流電源入力用ジャック)16とが設けられている。I/F(インターフェース)コネクタ15は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルを接続するためのものである。DCinジャック(直流電源入力用ジャック)16は、AC電源から電力供給を受ける場合に使用するACアダプタケーブル(不図示)を差し込む。
【0015】
バッテリーモジュール20は、その外殻をなす筐体部20aがメインケース21と、カバーケース22と、バッテリー蓋23とにより構成されている。筐体部20a内には、リチウムイオン電池(以下、単にバッテリともいう)を内蔵したバッテリーパック54(不図示)が収容されている。バッテリー蓋23を外してメインケース21を開口することによって、筐体部20aからバッテリーパック54を取り出すことができる。また、記録装置本体10に対するバッテリーモジュール20の装着面(接続面)には、記録装置本体10に対して電気的に接続するための本体用コネクタ24と、記録装置本体10に機械的に固定するための固定ビス25、26が設けられている。
【0016】
バッテリーモジュール20を、図1の矢印A方向に向けて記録装置本体10に装着することにより、本体用コネクタ24が記録装置本体10に電気的に接続される。この状態で、DCinジャック16にACアダプタを接続することで、ACアダプタを電源としたバッテリーの充電(AC充電)が可能になる。さらにホストPC(コンピュータ)とI/Fコネクタ15とをUSBケーブルを介して接続することにより、ホストPCからUSBバスを経由したバッテリーの充電(USB充電)が可能になる。バッテリーパックが充電されることにより、記録装置PRIは、バッテリーから供給される電力によって駆動可能になる。なお、バッテリーモジュール20の天面には、バッテリーの充電状態を示す充電表示部27が設けられている。
【0017】
図2は、記録装置PRIの駆動機構を示す斜視図である。記録装置PRIは、搬送ローラ31と、ガイドレール33と、キャリッジ34と、インクタンク35aと、記録ヘッド(記録手段)35bと、キャリッジベルト43と、キャリッジモータ44と、搬送モータ48と、フレキシブルケーブル49とを有する。記録ヘッド35bは、キャリッジ34に搭載されてガイドレール33に沿って主走査方向(X方向)に往復移動が可能である。記録ヘッド35bには、フレキシブルケーブル49を介して、入力画像データに基づいて生成された、インクの吐出、不吐出を表す吐出データが供給される。この吐出データに基づいて記録ヘッド35bはインクを吐出する。吐出されたたインクは、記録ヘッド35bと微小な間隔をおいて支持された記録媒体32に着弾し、記録媒体32に画像を記録する。
【0018】
キャリッジモータ44は、ガイドレール33に沿って、キャリッジ34を走査させるためのモータである。キャリッジモータ44の駆動力は、キャリッジベルト43を介してキャリッジ34に伝達される。また、搬送モータ48は、記録媒体32を主走査方向と交差する方向(Y方向)へと移動するように搬送ローラ31を回転させるためのモータであり、この搬送モータ48と搬送ローラ31とにより、記録媒体32を搬送する搬送手段(移動手段)が構成されている。このように本実施形態における記録装置PR1は、インクを吐出する記録ヘッド35bを主走査方向に沿って往復移動させる一方、記録媒体32をY方向へと間欠的に搬送させて記録を行う、シリアル型の記録装置となっている。
【0019】
なお、本実施形態において、記録ヘッド35bは、インクタンク35aと結合し、ヘッドカートリッジを構成する。このヘッドカートリッジは、記録ヘッド35bとインクタンク35aとが分離可能な構成であっても、一体化した構成であってもよい。
【0020】
図3は記録装置PRIの制御構成を示すブロック図である。記録装置本体10には、記録装置PRIの制御を行うメインコントローラとしてのASIC50、記録部(ヘッドユニット)51、電源切替回路66、昇圧回路67、ヒート電圧SW(スイッチ)68、降圧回路70、バスSW56が設けられている。また、記録装置本体10には、第1の外部電源となるホストPC52を接続可能にするための前述のI/Fコネクタ15と、第2の外部電源となるACアダプタ53とを離脱可能に接続するためのDCinジャック16とが設けられている。
【0021】
ホストPC52は、記録装置本体10によって記録すべき画像に関する画像データや、種々の制御コマンドを、USBケーブルを介して記録装置本体10に送信する。ホストPC52から送信された制御コマンドや記録データは、I/Fコネクタ15、バスSW56を経てASIC50に設けられたインターフェース(I/F)回路55に受信される。なお、バスSW56はバスSW制御部57によって制御され、ホストPC52のD+D-ピンを、ASIC50とバッテリーパック54のいずれか一方に選択的に接続可能に構成されている。なお、USBケーブルを介した充電するための外部電源としてホストPC52ではなく、スマホやモバイルバッテリーなどの電源を接続するようにしてもよい。
【0022】
インターフェース(I/F)回路55で受信された制御コマンドは、CPU58によって解析され、この制御コマンドに応じて記録装置PRIの制御が行われる。また、インターフェース(I/F)回路55で受信された記録データは画像処理部59に送られる。画像処理部59では、種々の記録方式のうち実行すべき記録方式に応じた画像処理を施し、インクの吐出、不吐出を示す吐出データとして画像メモリ60に格納される。格納された吐出データは記録に際して画像メモリ60から読み出される。
【0023】
また、ASIC50に設けられたデータ送信部61は、画像メモリ60から読み出された記録データをヘッドユニット51に送信する。また、ASIC50には、ホストPC52が記録装置本体10に接続された際に、ホストPC52と記録装置本体10との間でエニュメレーション処理を行うためのエニュメレーション処理部77が搭載されている。このエニュメレーション処理部77での処理結果は、バッテリーインターフェース(I/F)78を介して、バッテリーパック54に設けられた後述のBMU73に通知される。また、ASIC50に搭載されているヒート電圧制御部69は、ヒート電圧SW68のON/OFFを制御する指示を出力する。
【0024】
また、ヘッドユニット51は、前述の記録ヘッド35bと、インクタンク35aと、記録ヘッド35bを駆動させるヘッド駆動部86とで構成されている。ヘッド駆動部86は、データ送信部61から送信された吐出データをデータ受信部62で受信した後、シフトレジスタ63に入力する。シフトレジスタ63は、吐出データをシリアルデータとしてデータラッチ64へ出力する。データラッチ64は、シフトレジスタ63から出力された吐出データを一時記憶した後、パラレルデータに変換して、ヒート回路65に出力する。ヒート回路65は、データラッチ64から出力された吐出データや、記録ヘッドの吐出エネルギー発生素子(ヒータ)を発熱させる時間に対応するヒートパルス幅情報を受信し、受信した情報に基づいて吐出エネルギー発生素子を選択的に駆動し、インクを吐出させる。
【0025】
また、記録装置本体10は、ACアダプタ53による出力電圧VDCを用いた駆動と、バッテリーパック54の出力電圧VBATを用いた駆動とが可能である。記録装置本体10の駆動に用いる出力電圧VDCと出力電圧VBATは、電源切替回路66によって選択的に切り替えられる。本実施形態においては、ACアダプタ53とバッテリーパック54の両方が記録装置本体10に接続されている場合、ACアダプタ53の出力電圧VDCによって記録装置が駆動されるように電源切替回路66を制御する。電源切替回路66から出力された電圧は、昇圧回路67によって、記録ヘッド35bのヒータ(吐出エネルギー発生素子)による加熱を行うための電圧(ヒート電圧VH)へと昇圧される。ヒート電圧SW68は、ヒート回路65に対してヒート電圧VHの供給/遮断(ON/OFF)を行う。このヒート電圧SW68のON/OFF制御は、ASIC50に搭載されているヒート電圧制御部69からの指示によって行われる。また、降圧回路70は、昇圧回路67から出力された電圧VMを降圧させて、ASIC50やヘッドユニット51で使用するロジック電源電圧VDDを生成する。
【0026】
また、バッテリーパック54は、電源となるバッテリーであるLiB(LitiumIon Battery)71、保護IC72、BMU(Battery Management Unit)73、充電IC74、放電SW75及びVBUS検知回路76を有している。保護IC72は、バッテリー71の過放電、過充電、過電流等の異常動作を保護するための機能を備えたICである。BMU73は、主にバッテリー71の放電及び充電制御や残量を取得し、管理をするためのサブコントローラとしての役割を持つユニットである。なお、バッテリー71、BMU73、放電スイッチ75、及びVBUS検知回路76によって、ホストPC52とASIC50との接続に応じて充電手段からASIC50に所定の電力を出力する出力手段が構成されている。
【0027】
また、BMU73は、ASIC50に搭載されたバッテリーI/F(通信手段)78を介して通信を行い、ASIC50からのコマンドによってバッテリー71の放電及び充電の制御を行う。本実施形態では、UART(Universal Asynchronous Receiver/Transmitter)方式でBMU73とASIC50との通信が行われる。
【0028】
充電IC74は、BMU73からの指示に従ってバッテリー71への充電電流の制御や充電のON/OFF等の制御を行い、ACアダプタ53による出力電圧VDCと、ホストPC52のUSBによる電圧VBUSの双方を電源として充電可能である。また、充電IC74はバスSW56を介してD+D-ピンと接続され、USB充電の際に給電元のホストPC52やホストPC以外の接続されたUSBデバイスに合わせた充電電流の判定を行う。本実施形態ではUSB-BC(USB Battery Charge)規格に準じた判定(以下BCS判定という)を行っている。
【0029】
判定結果はSDP(Standard Downstream Port)、CDP(Charging Downstream Port)、DCP(Dedicated Charging Port)の3種類である。本実施形態ではSDPの場合はエニュメレーション処理の完了後に500mAの充電電流による充電を許可し、CDP及びDCPの場合は1.5Aの充電電流による充電を許可する制御を行う。
【0030】
BCS判定を行うタイミングは、バッテリーI/F78を介してASIC50から制御可能である。またBCS判定結果は、BMU73及びバッテリーI/F78を介してASIC50に送信される。放電SW75はバッテリー71の電圧をON/OFFするためのスイッチであり、BMU73によって制御される。VBUS検知回路76は、記録装置本体10のI/Fコネクタ15に対してホストPC52や他のUSBデバイスが接続されたことを検知するための回路であり、その検知結果はBMU73に送信される。また、ASIC50にはホストPC52が接続された際に、ホストPC52とのエニュメレーション処理を行うためのエニュメレーション処理部77が搭載されている。エニュメレーション処理の完了を示す情報はバッテリーI/F78を介してBMU73に通知される。本実施形態では、BMU73はエニュメレーション処理の完了を示す情報、及びBCS判定結果を示す情報を元に充電IC74に対して充電電流の設定を行う。
【0031】
80は省電力ICであり、ACアダプタ53の電圧を遮断して通常モードから省電力モードへの切り替え、または省電力モードから通常モードへの切り替えするための切り替え部としての役割を持つ省電力用スイッチ81を制御するためのものである。これによって、記録装置PR1は、モードを設定可能である。省電力IC80はACアダプタ53からの電圧を降圧回路79で降圧した電圧VDDSUBによって駆動している。82は省電力IC80とASIC50とのI/Fである省電力ICI/Fを示しており、ASIC50が省電力IC80に対して通信を行い、ASIC50の電源を遮断(OFF状態)することで通常モードから省電力モードへ切り替えが可能である。83はASIC50及び省電力IC80がバッテリーパック54の接続を検知するためのバッテリー接続検知端子であり、本実施例ではバッテリーパック54の内部でGND接続されている。84は記録装置PR1をオン、オフするための電源キーであり、ASIC50の内部の電源キーI/F85でキー検知を行う。なお、省電力モードにおいて、ASIC50への電源をオフにするようにしたが、オフにせずにASIC50で消費される電力を制限した状態、例えば、充電の制御をするのに必要な電力よりも少ない電力が供給されるようにするようにしてもよい。
【0032】
図4(a)は、プリンタ電源オン状態(通常モード)から省電力モードへの遷移フローチャートを示しており、図4(b)は、省電力モードからプリンタ電源オン状態への遷移を示したフローチャートである。
【0033】
まず、図4(a)を用いて、プリンタ電源オン状態(通常モード)から省電力モードへの遷移に関して説明する。プリンタ電源オン状態(S101)において、電源キー84が押下されると(S102)、S103に進み、ASIC50によるバッテリーパック54の接続検知(S103)を行う。バッテリーパック54が接続されていた場合(S103 YES)、ASIC50によるバッテリー残量検知(S104)に進む。バッテリー残量が100%未満の場合(S104 YES)、ASIC50がBMU73と通信して、バッテリー71への充電を有効にし(S105)、S106に進む。S106において、プリンタ電源オン状態を継続しつつ、バッテリーへの充電制御を実行し、S103へ戻る。
【0034】
S103においてバッテリーパック54が接続されていなかった場合(S103 NO)、ASIC50が省電力IC80と通信を行い、省電力用スイッチ81をオフする(S108)ことで、プリンタ電源オフである省電力モード(S109)へ遷移する。
【0035】
S104において、バッテリー残量が100%であった場合(S104 NO)、ASIC50がBMU73と通信して、バッテリー71への充電を無効にする(S107)。その後、ASIC50が省電力IC80と通信を行い、省電力スイッチ81をオフし(S108)、プリンタ電源オフである省電力モード(S109)へ遷移する。
【0036】
図4(b)を用いて、プリンタ電源オフ(省電力モード)からプリンタ電源オン状態(通常モード)への遷移に関して説明する。プリンタ電源オフである省電モード(S109)において、省電力IC80による電源キー検知(S110)を行う。電源キー84が押下された場合(S110 YES)、省電力IC80が省電力用スイッチ81をオンにして(S111)、ASIC50を起動し(S112)、プリンタ電源オン状態(S113)へ遷移する。
【0037】
S114において、バッテリーが接続されていない場合(S114 NO)、S110に戻る。バッテリーが接続された場合(S114 YES)、省電力IC80が省電力スイッチ81をオンして(S115)、ASIC50を起動させる(S116)。その後、ASIC50によるバッテリー残量検知を行い(S117)、バッテリー残量が100%未満であった場合(S117 YES)、ASIC50がBMU73に対して通信してバッテリー71への充電を有効にする(S118)。充電中においてもASIC50による電源キー84の検知(S119)は行われ、電源キーが押下された場合(S119 YES)、ASIC50がBMU73に対して通信してバッテリー71への充電を無効にして(S120)、プリンタ電源オン状態(S113)へ遷移する。
【0038】
S119で電源キー84が押下されていない場合(S119 NO)、バッテリー71への充電を継続し、S117に戻る。S117でバッテリー残量が100%であった場合(S117 NO)、ASIC50が省電力IC80に対して通信を行い、省電力スイッチ81をオフする(S121)ことで、プリンタ電源オフである省電力モード(S109)に移行する。本実施例ではS117において100%か否かを判断して充電制御をしているが、あくまで充電するためのバッテリー71の残量の閾値の一例であり、バッテリー71の残量が100%よりも小さい値として、あらかじめ定めた所定値以下になったか否かを判断するようにしてもよく、バッテリー71の劣化度合いに応じて所定値は適宜変更されてもよい。
【0039】
かかる構成によれば、ホストPC52やACアダプタ53などの外部電源が接続されている記録装置本体10の電源がオフ状態(省電力モード)において、バッテリー71の残量に応じてASIC50の電源を遮断することで消費電力の抑制をすることができる。
【実施例0040】
図5は、実施例2における省電力モードからプリンタ電源オン状態(通常モード)への遷移を示したフローチャートである。プリンタ電源オフである省電力モード(S201)において、省電力IC80による電源キー84の検知(S202)を行う。電源キー84が押下された場合、省電力IC80が省電力スイッチ81をオンして(S203)、ASIC50を起動(S204)させて、プリンタ電源オン状態(S205)へ遷移する。
【0041】
S202で電源キー84が押下されていない場合(S202 NO)、省電力IC80によるバッテリー71の接続検知(S206)へ進む。バッテリー71が接続されていない場合(S206 NO)、S202に戻る。バッテリー71が接続されている場合(S206 YES)、BMU73によるバッテリー71の残量検知(S207)へ進む。バッテリー71の残量が95%以上の場合(S207 NO)、S202に戻る。自然放電によってバッテリー残量が95%未満となった場合(S207 YES)、BMU73が省電力IC80に対して通信を行い、省電力スイッチ81をオンし(S208)、ASIC50を起動(S209)させる。本実施例では95%を閾値としているが、あくまで一例の値である。その後、ASIC50がBMU73に対して通信を行い、バッテリー71への充電を有効にする(S210)。充電中においてもASIC50による電源キー84を検知(S211)は行われ、電源キー84が押下された場合はASIC50がBMU73に対して通信してバッテリー71への充電を無効(S212)にしてプリンタ電源オン状態(S205)へ遷移する。S211で電源キー84が押下されていない場合(S211 NO)、ASIC50によるバッテリー71の残量検知(S213)に進む。バッテリー71の残量が100%未満ではない場合(S213 NO)、ASIC50が省電力IC80に対して通信を行い、省電力スイッチ81をオフする(S214)ことで、プリンタ電源オフである省電力モード(S201)に移行する。S213でバッテリー71の残量が100%であった場合(S213 YES)、S211に戻る。
【0042】
かかる構成によれば、自然放電によりバッテリー71の残量が減少してしまった場合でも省電力モード中の電力を抑制しつつ、バッテリー71を充電させることが可能となる。
【符号の説明】
【0043】
10 録装置本体
20 バッテリーモジュール
50 ASIC
52 ホストPC
53 ACアダプタ
54 バッテリーパック
66 電源切替回路
71 バッテリー
73 BMU
80 省電力IC
84 電源キー
PR1 記録装置
図1
図2
図3
図4
図5