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特開2024-180047穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180047
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム
(51)【国際特許分類】
   B65G 65/40 20060101AFI20241219BHJP
   B65G 65/48 20060101ALI20241219BHJP
   A01F 25/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B65G65/40 C
B65G65/48 D
A01F25/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099471
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000001812
【氏名又は名称】株式会社サタケ
(74)【代理人】
【識別番号】110001151
【氏名又は名称】あいわ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】熊本 一夫
(72)【発明者】
【氏名】松村 秀正
(72)【発明者】
【氏名】新谷 昭博
【テーマコード(参考)】
2B100
3F075
【Fターム(参考)】
2B100AA02
2B100GA01
2B100GB06
3F075AA09
3F075BA02
3F075BB01
3F075CA06
3F075CA09
3F075CB02
3F075CB12
3F075CC04
3F075DA02
(57)【要約】
【課題】穀物タンク内に配置されるレベルセンサの異常を検知することが可能な、穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムを提供すること。
【解決手段】穀物タンク1内の回転翼20を回転させる駆動モータ23の電流値を計測する電流値計測手段51と、前記穀物タンク1内において貯留上限にある穀物を検出可能な上部レベルセンサ40と、前記穀物タンク1内の排出口11の周辺にある穀物を検出可能な下部レベルセンサ41と、前記電流値計測手段51によって計測された前記電流値と前記上部レベルセンサ40及び前記下部レベルセンサ41による穀物の検出結果とに基づいて、前記上部レベルセンサ40及び前記下部レベルセンサ41における異常の有無を判定可能なレベルセンサ異常判定手段50とを備えたことを特徴とする。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀物タンク内の回転翼を回転させる駆動モータの電流値を計測する電流値計測手段と、
前記穀物タンク内において貯留上限にある穀物を検出可能な上部レベルセンサと、
前記穀物タンク内の排出口の周辺にある穀物を検出可能な下部レベルセンサと、
前記電流値計測手段によって計測された前記電流値と前記上部レベルセンサ及び前記下部レベルセンサによる穀物の検出結果とに基づいて、前記上部レベルセンサ及び前記下部レベルセンサにおける異常の有無を判定可能なレベルセンサ異常判定手段と、を備えた
ことを特徴とする穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム。
【請求項2】
前記回転翼は、前記穀物タンク内における穀物のブリッジを解消することができる
請求項1に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム。
【請求項3】
前記回転翼は、
前記上部レベルセンサと前記下部レベルセンサとの間に配置される第1回転翼と、
前記第1回転翼と下部レベルセンサとの間に配置される第2回転翼とから成る
請求項1又は2に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム。
【請求項4】
前記レベルセンサ異常判定手段は、前記穀物タンク内における穀物の有無を判別するために前記駆動モータの電流値の閾値を設定する電流閾値設定手段を備え、前記電流値計測手段が計測する電流値が前記閾値を超えた場合に前記穀物タンク内に穀物が存在すると判別する
請求項1又は2に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム。
【請求項5】
前記レベルセンサ異常判定手段は、前記穀物タンク内における穀物の有無を判別するために前記駆動モータの電流値の閾値を設定する電流閾値設定手段を備え、前記電流値計測手段が計測する電流値が前記閾値を超えた場合に前記穀物タンク内に穀物が存在すると判別する
請求項3に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、穀物タンク内に配置されるレベルセンサの異常を検知することが可能な、穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、穀物タンク内における穀物のブリッジを解消し、穀物タンク内の残留穀物を排出することのできる穀物タンクとして、例えば特許文献1が開示されている。すなわち、穀物タンクの上部には供給口を備え、穀物タンクの下端部には排出口と当該排出口を開閉する排出ゲートを備えている。さらに、上記排出口付近には穀物の有無を検知するレベルセンサが設けられている。
【0003】
そして、上記レベルセンサが穀物の無いことを検知すると、上記排出ゲートが「開」状態から一旦「閉」状態となり、その後、再度排出ゲートを「開」状態にした後に「閉」状態にするよう排出ゲートを開閉制御することが記載されている。このような開閉制御により、最初に排出ゲートが閉じるときに振動あるいは衝撃を発生させて、穀物タンクの内壁面に形成された穀物のブリッジを崩壊させ、残留穀物を完全に排出させることでコンタミの防止を図ることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62-111828号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記したレベルセンサとして、静電容量式のセンサや、電気抵抗式のセンサ、超音波センサ、あるいはレーザセンサなどの使用が想定されるところ、信号線の漏電や断線等により、レベルセンサによる穀物の有無の検知が正常に行われない場合がある。レベルセンサに異常があると、当然ながら穀物の有無を検知することができず、上記した排出ゲートの開閉制御が正常に行うことができない。
【0006】
そこで、本発明は上記した問題点に鑑み、穀物タンク内に配置されるレベルセンサの異常を検知することが可能な、穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)に係る発明は、穀物タンク内の回転翼を回転させる駆動モータの電流値を計測する電流値計測手段と、前記穀物タンク内において貯留上限にある穀物を検出可能な上部レベルセンサと、前記穀物タンク内の排出口の周辺にある穀物を検出可能な下部レベルセンサと、前記電流値計測手段によって計測された前記電流値と前記上部レベルセンサ及び前記下部レベルセンサによる穀物の検出結果とに基づいて、前記上部レベルセンサ及び前記下部レベルセンサにおける異常の有無を判定可能なレベルセンサ異常判定手段と、を備えたことを特徴とする穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムである。
【0008】
(2)に係る発明は、前記回転翼は、前記穀物タンク内における穀物のブリッジを解消することができる上記(1)に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムである。
【0009】
(3)に係る発明は、前記回転翼は、前記上部レベルセンサと前記下部レベルセンサとの間に配置される第1回転翼と、前記第1回転翼と下部レベルセンサとの間に配置される第2回転翼とから成る上記(1)又は(2)に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムである。
【0010】
(4)及び(5)に係る発明は、前記レベルセンサ異常判定手段は、前記穀物タンク内における穀物の有無を判別するために前記駆動モータの電流値の閾値を設定する電流閾値設定手段を備え、前記電流値計測手段が計測する電流値が前記閾値を超えた場合に前記穀物タンク内に穀物が存在すると判別する上記(1)乃至(3)に記載の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、穀物タンク内の回転翼を回転させる駆動モータの電流値と、上部レベルセンサ及び下部レベルセンサによる検出結果とに基づいて、上部レベルセンサ及び下部レベルセンサにおける異常の有無を判定可能となる。これにより各レベルセンサの異常を容易に診断することができ、穀物タンクの排出制御を適切に行なうことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の一実施形態における、穀物タンクの概略断面図である。
図2】本発明の一実施形態における、第1回転翼の斜視図である。
図3】本発明の一実施形態における、第1回転翼の上面図である。
図4】本発明の一実施形態における、レベルセンサ異常判定手段の概略ブロック図である。
図5】本発明の一実施形態における、異常判定部の判定構成を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明における穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムの一実施形態を図面とともに説明する。
【0014】
図1は、本発明の一実施形態における穀物タンク1の概略断面図が示されている。穀物タンク1の外形形状は穀物を貯留することが可能な円筒部と、該円筒部の下方に円錐部10を備えた一般的な形状を有している。
【0015】
加えて、本実施形態の穀物タンク1内には、当該穀物タンク1内において発生した穀物のブリッジを解消することが可能な回転翼20が、穀物タンク1の中心部で回動可能に配置されている。さらに、穀物タンク1内において貯留上限にある穀物を検出可能な上部レベルセンサ40と、当該穀物タンク1内の排出口11の周辺にある穀物を検出可能な下部レベルセンサ41が図示されるように配置されている。
【0016】
より詳細に説明すると、回転翼20の回転軸上部には、当該回転翼20を回転駆動させる駆動モータ23が設けられている。さらに本実施形態の回転翼20は、上部レベルセンサ40と下部レベルセンサ41との間に配置される第1回転翼21と、当該第1回転翼21と下部レベルセンサ41との間に配置される第2回転翼22とから構成されている。
【0017】
上記した本実施形態の第1回転翼21は、ステンレス製から成り、回転軸から上方に傾斜する上方傾斜板211と、回転軸から下方に傾斜する下方傾斜板212とを有している。このような構成により、第1回転翼21が回動することで穀物タンク1内において発生した穀物のブリッジを効率的に解消することが可能となる。
【0018】
一方、上記した本実施形態の第2回転翼22は、図1に示されるように、排出口11の上方で穀物タンク1の円錐部10に配置されている。より詳細に説明すると、図2には本実施形態の第2回転翼22が斜視図で示され、図3には当該第2回転翼22の上面図が示されている。図示されるように、穀物タンク1の円錐部10の傾斜に合わせて、円錐部10の内面に堆積した穀物を掻き落としたり、前述した第1回転翼21のブリッジ解消機能をさらに強化する3つの棒鋼221を備えている。
【0019】
そして、3つの棒鋼221は、リング部材223に固着され、当該リング部材223がリング支持部材222を介して回転翼20の回転軸に固着されることで、穀物タンク1の円錐部10において回動可能に構成されている。上記棒鋼221が穀物タンク1の円錐部10の内面に沿って回動することで、下部レベルセンサ41の周辺にある残留穀物を、効率的に掻き落とすことができる。
【0020】
また、図1の部分拡大図に示されるように、本実施形態の回転翼20の下端部は、穀物タンク1の下方に固定された軸支部材24によって回動可能に軸支されている。より詳細に説明すると、軸支部材24は、回転翼20の下端から突出する嵌合部25を軸支可能に構成され、穀物タンク1の円錐部10の内面に棒状の支持部材を介して固定されている。このように構成することで、回転翼20の下方が穀物タンク1内で偏心することを効果的に抑制することができる。
【0021】
続いて、本実施形態のレベルセンサ異常判定手段50について説明する。図1に示されるように、少なくとも回転翼20を回転駆動させる駆動モータ23の電流値や、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41の検出信号は、レベルセンサ異常判定手段50に入力されるように構成されている。
【0022】
図4にはレベルセンサ異常判定手段50の概略ブロック図が示されているが、駆動モータ23の電流値を計測する電流値計測手段51と、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41の検出信号が入力される検出信号入力部52と、電流値計測手段51から入力する電流値及び検出信号入力部52から入力する検出信号とに基づいて、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41における異常を判定する異常判定部53と、異常判定結果を出力する表示部54から少なくとも構成されている。
【0023】
なお、上記したレベルセンサ異常判定手段50は、穀物タンク1に備えるようにしてもよいし、穀物タンク1を遠隔制御するネットワーク装置(パソコン、携帯端末等)にプログラムするように構成してもよい。
【0024】
次に、本実施形態の異常判定部53における異常判定手法について、図5に示した判定構成に基づいて説明する。異常判定の前提として、穀物タンク1内に穀物が存在している場合、回転翼20を回転駆動させると駆動モータ23に負荷が生じ、無負荷状態時に比べて1.2倍以上の電流が流れることになる。このような負荷電流が流れているにもかかわらず、レベルセンサが穀物を検出しない場合はレベルセンサで異常が発生していると判断することができる。
また、逆に穀物タンク1内に穀物が存在していない場合、回転翼20を回転駆動させると駆動モータ23に負荷が生じないので、無負荷状態時の電流が流れることになる。このようなときに、レベルセンサが穀物を検出している場合はレベルセンサで異常が発生していると判断することができる。
【0025】
具体的には、図5に示されるように、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41がいずれもON(検出)となっているとき、回転翼20が回動する際に計測される駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値よりも大きければ、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41はいずれも正常であると判定される。
【0026】
上部レベルセンサ40がON(検出)、下部レベルセンサ41がOFF(不検出)となっているとき、回転翼20が回動する際の駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値よりも大きければ、下部レベルセンサ41に異常が発生していると判定される。
【0027】
上部レベルセンサ40がON(検出)、下部レベルセンサ41がOFF(不検出)となっているとき、回転翼20が回動する際の駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値と同じであれば、上部レベルセンサ40に異常が発生していると判定される。
【0028】
上部レベルセンサ40がOFF(不検出)、下部レベルセンサ41がON(検出)となっているとき、回転翼20が回動する際の駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値と同じであれば、下部レベルセンサ41に異常が発生していると判定される。
【0029】
上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41がいずれもOFF(不検出)となっているとき、回転翼20が回動する際の駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値よりも大きければ、下部レベルセンサ41に異常が発生していると判定される。
【0030】
上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41がいずれもOFF(不検出)となっているとき、回転翼20が回動する際の駆動モータ23の電流値(A)が無負荷状態電流閾値と同じであれば、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41はいずれも正常であると判定される。
【0031】
なお、本実施形態のレベルセンサ異常判定手段50は、穀物タンク1内における穀物の有無を判別するために、駆動モータ23の電流値の閾値となる「無負荷状態電流閾値」を設定する電流閾値設定手段を備えている。そして、電流値計測手段51が計測する電流値が「無負荷状態電流閾値」を超えた場合に、穀物タンク1内に穀物が存在すると判別する。
【0032】
本実施形態では、「無負荷状態電流閾値」を、無負荷状態における駆動モータ23の電流値の1.2倍としている。しかし、この値は駆動モータ23の種類や温度環境、回転翼20の形態や穀物の種類などによって個々に異なるため、個々の穀物タンク1において、負荷状態及び無負荷状態における電流値をそれぞれ確認して「無負荷状態電流閾値」を設定することが必要である。
【0033】
また、前述した異常判定部53による異常判定のタイミングは適宜設定可能であるが、例えば、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41の少なくともいずれかが、ON(検出)からOFF(不検出)、又は、OFF(不検出)からON(検出)に遷移した場合に回転翼20を回動させ、所定時間経過後(2秒程度)の駆動モータ23の電流値に基づいて前述したように異常判定を実行することが可能である。もちろん、管理者や作業者手動によって、任意のタイミングで異常判定を実行することも可能である。
【0034】
(他の実施形態)
以上、本発明の一実施形態について図面に基づいて説明したが、本発明の穀物タンクのレベルセンサ異常検知システムは必ずしも前述した実施形態に限定されるものではない。
【0035】
例えば、各地にある複数の穀物タンク1をネットワークによって遠隔監視することも可能である。これにより、遠隔監視装置側で検出したレベルセンサの異常を、速やかに各地の施設管理者に報知することが可能となる。
【0036】
また、本発明は特に穀物の種類が限定されるものではなく、米、麦、大豆、各種粉粒体において適用が可能である。加えて、上部レベルセンサ40及び下部レベルセンサ41についても、特定の検出方式に限定されるものではなく、本発明において利用することが可能である。
【0037】
以上、本発明の一実施形態、及び、その他の実施形態について説明したが、上記した発明の実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれる。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、又は、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲及び明細書に記載された各構成要素の組み合わせ、又は、省略が可能である。
【符号の説明】
【0038】
1 穀物タンク
10 円錐部
11 排出口
20 回転翼
21 第1回転翼
211 上方傾斜板
212 下方傾斜板
22 第2回転翼
221 棒鋼
222 リング支持部材
223 リング部材
23 駆動モータ
24 軸支部材
25 嵌合部
40 上部レベルセンサ
41 下部レベルセンサ
50 レベルセンサ異常判定手段
51 電流値計測手段
52 検出信号入力部
53 異常判定部
54 表示部
図1
図2
図3
図4
図5