(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180049
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両用制御装置
(51)【国際特許分類】
G08B 21/02 20060101AFI20241219BHJP
B60N 2/26 20060101ALI20241219BHJP
B60N 2/90 20180101ALI20241219BHJP
G08B 21/00 20060101ALI20241219BHJP
G08B 25/04 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
G08B21/02
B60N2/26
B60N2/90
G08B21/00 U
G08B25/04 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099473
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002967
【氏名又は名称】ダイハツ工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中川 健一
【テーマコード(参考)】
3B087
5C086
5C087
【Fターム(参考)】
3B087DE08
3B087DE10
5C086AA22
5C086BA22
5C086CA01
5C086CA19
5C086CB20
5C086DA08
5C086FA02
5C086FA18
5C087AA02
5C087AA25
5C087AA32
5C087BB03
5C087BB72
5C087DD03
5C087DD13
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF04
5C087GG08
5C087GG66
(57)【要約】
【課題】多くの車両で子供の置き去りを防止することが可能な車両用制御装置を提供する。
【解決手段】本発明にかかる車両用制御装置は、バッテリからの電力供給により、駆動系の電源OFF期間においてウェイクアップして、シートベルトの装着を検知するシートベルト装着検知装置または車両シートへの荷重を検知する荷重検知装置から検知状態を複数回読み取る制御手段を有し、制御手段は、シートベルト装着検知装置または荷重検知装置から読み取った少なくとも電源OFF期間における複数回の検知状態に基づいて乗員が車内にいることを示す乗員検知情報を出力することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリからの電力供給により、駆動系の電源OFF期間においてウェイクアップして、シートベルトの装着を検知するシートベルト装着検知装置または車両シートへの荷重を検知する荷重検知装置から検知状態を複数回読み取る制御手段を有し、
前記制御手段は、前記シートベルト装着検知装置または前記荷重検知装置から読み取った少なくとも前記電源OFF期間における複数回の検知状態に基づいて乗員が車内にいることを示す乗員検知情報を出力する、
車両用制御装置。
【請求項2】
前記制御手段は、
駆動系の電源ON期間と駆動系の電源がOFFされた後の電源OFF期間との期間である第1期間と、第1期間に続いて駆動系の電源がONされた後の電源ON期間と駆動系の電源がOFFされた後の電源OFF期間との期間である第2期間とにおいて、前記シートベルト装着検知装置または前記荷重検知装置の検知状態を読み取り、
前記第1期間と前記第2期間の前記検知状態に基づいて、前記第2期間の電源OFF期間において乗員が車内にいることを示す前記乗員検知情報を出力する、
請求項1に記載の車両用制御装置。
【請求項3】
前記制御手段は、
前記第2期間における電源OFF期間において、前記シートベルト装着検知装置および前記荷重検知装置から、所定のドア開閉以降に読み取った検知状態に基づいて、乗員が車内にいることを示す前記乗員検知情報を出力する、
請求項2に記載の車両用制御装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車内に子供を置き去りにするという事故が度々発生し、社会的に問題視されている。車内の子供の置き去りの事故を防ぐために、ユーザが車内に外付けの装置を設定して子供の置き去りを防ぐ個別の対処方法は既に存在する。
【0003】
一例として、特許文献1には、ドライブレコーダーを設け、ACCがOFFで駐車モードになると、ドライブレコーダーのカメラでチャイルドシートを含むエリアを撮影し、運転者は、降車時に子供がそのエリアにいる場合に通知を受けることができるシステムの開示がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来は、ドライブレコーダーなどの装置を装着しなければ、車内の子供の置き去りを防止することができないため、多くの車両に子供の置き去りを防止する対策を施すことができなかったという課題がある。
【0006】
本発明の目的は、多くの車両で子供の置き去りを防止することが可能な車両用制御装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するため、本発明にかかる車両用制御装置は、バッテリからの電力供給により、駆動系の電源OFF期間においてウェイクアップして、シートベルトの装着を検知するシートベルト装着検知装置または車両シートへの荷重を検知する荷重検知装置から検知状態を複数回読み取る制御手段を有し、前記制御手段は、前記シートベルト装着検知装置または前記荷重検知装置から読み取った少なくとも前記電源OFF期間における複数回の検知状態に基づいて乗員が車内にいることを示す乗員検知情報を出力することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、多くの車両で子供の置き去りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態にかかる車両用制御装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第2のECUが行う判定方法の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下では、添付図面を参照し、本発明の実施形態である車両用制御装置について詳細に説明する。なお、以下の実施形態によって本発明が限定されるものではなく、以下の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想到できるもの、実質的に同一のもの、およびいわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、以下の実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換、変更および組み合わせを行うことができる。
【0011】
<実施形態>
車両の電源を切って車両から降り、車両のドアを閉めた場合に、稀に車内へ乗員を置き去りにしたまま車両から離れてしまうことが発生する。そこで、本実施形態では、車内への乗員の置き去りの検知を一般的な車両の装備でも実施することが可能な車両用制御装置について詳しく説明する。
【0012】
なお、本実施形態は、ガソリン等のエンジン自動車、電気自動車、およびハイブリッド自動車のいずれにおいても実施可能であり、以下において、エンジン式自動車のエンジンON/OFF、電気自動車やハイブリッド車両等のReadyON/OFFなどのことを、駆動系の電源ON/OFFと呼ぶ。
【0013】
また、駆動系の電源は、一般的には車両を運転するときにONされ、運転後に車両を降車する際にOFFされる。このため、電源ONと電源OFFとは、乗車と降車とで交互に繰り返される。電源ONの状態は、電源がOFFされるまで続くため、電源ONの状態にある期間を電源ON期間と呼ぶものとする。また、同様に、電源OFFの状態は、電源が再びONされるまで続くため、電源OFFの状態にある期間を電源OFF期間と呼ぶものとする。
【0014】
乗員は、例えば子供などのように自らが車両のドアを開けて降車することができない人を想定している。
【0015】
図1は、実施形態にかかる車両用制御装置のシステム構成の一例を示すブロック図である。
図1に示すように、車両1には、第1のECU11、第2のECU12、シートベルト装着検知装置20、荷重検知装置30、および吹鳴機器40がある。これらのシステムは、車両1が備えるバッテリから電力の供給を受けて動作する。
【0016】
第1のECU11および第2のECU12は、車両用制御装置の制御手段10である。第1のECU11および第2のECU12は、それぞれに機能を分けて設けられたECU(Electronic Control Unit)である。例えば、第1のECU11は燃料系のECUであり、第2のECU12はボディー系のECUである。この例では、第1のECU11と第2のECU12とに機能を分けているが、両機能を1つのECUで担えるのであれば、1つのECUに統合して設けられていてもよい。
【0017】
第2のECU12は、シートベルトリマインダーとして、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の検知結果に基づいてシートベルト締め忘れの警告を行なう。具体的には、車両シートに重量物が置かれたり人が座ったりすると車両シートのシートクッション下の荷重検知装置30が検知し、その車両シートでシートベルトのバックルがささっていないと判断した際に、シートベルト締め忘れの警告表示と警告音を出力する。ここで、警告表示は図示していない警告灯の点灯などの表示装置により行われ、警告音は図示していない車内ブザーなどの出音装置から出力されるようになっている。
【0018】
シートベルト装着検知装置20は、座席毎にシートベルトの装着を検知する。荷重検知装置30は、各座席の車両シートのシートクッション下に設けられている着座センサのことを指し、車両シート毎に荷重を検知する。
【0019】
吹鳴機器40は、警報の吹鳴機器である。
【0020】
第1のECU11と第2のECU12は第1の信号線51により接続されている。第1の信号線51は、第1のECU11から第2のECU12に対するWakeUP信号の出力に利用する。
【0021】
第2のECU12は、第2の信号線52でシートベルト装着検知装置20と接続されている。第2の信号線52は、第2のECU12がシートベルト装着検知装置20の検知状態を読み取るために利用する。ここで、検知状態とは、各座席のシートベルトの装着や未装着などの状態のことを指す。
【0022】
また、第2のECU12は、第3の信号線53で荷重検知装置30と接続されている。第3の信号線53は、第2のECU12が荷重検知装置30から車両シートへの荷重や未荷重の検知状態を読み取るために利用する。この検知状態は、各座席の車両シートへの荷重や未荷重の状態のことを指す。
【0023】
図1に示すように、第1のECU11と第2のECU12はCAN60に接続されており、吹鳴機器40とCAN60を介して通信する。
【0024】
CAN60は、車両内の通信ネットワークインタフェースであり、車両において一般に採用されているCAN(Controller Area Network)のことを指す。
【0025】
第1のECU11は、タイマ110を有する。タイマ110は、一例としてソークタイマであり、駆動系の電源OFF期間において所定のタイミングでウェイクアップ信号を第1の信号線51に出力する。タイマ110は、例えば15分間隔などの設定でウェイクアップ信号を出力する。
【0026】
第2のECU12は、第1の信号線51からウェイクアップ信号が入力されると、バッテリの電力により起動し、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の検知状態を読み取る。一例として、第2のECU12は、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の出力値をウェイクアップの時間間隔でサンプリングして各時点の検知状態を読み取る。ウェイクアップの時間間隔は、一定でなくてもよい。
【0027】
そして、第2のECU12は、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30から読み取った複数回の検知状態に基づいて、車内に乗員がいるかどうかを判定処理する。
【0028】
第2のECU12は、複数回の検知状態として、少なくとも電源OFF期間の検知状態を使用する。
【0029】
また、第2のECU12は、電源OFF前の所定期間に読み取った検知状態と、電源OFF期間との検知状態との比較により、車内に乗員がいるかを判定処理してもよい。
【0030】
第2のECU12は、車内に乗員がいると判定した場合に乗員検知情報を出力する。ここで、乗員検知情報は、乗員が車内に取り残されていることを通知するための情報のことを指す。第2のECU12が出力する乗員検知情報は、例えば吹鳴機器40への警報吹鳴指示としてCAN60に出力する。吹鳴機器40は、警報吹鳴指示により一定期間警報を吹き鳴らすため、車内に乗員が取り残されていることを車両1の周囲の人に報知することができる。
【0031】
なお、第2のECU12は、吹鳴機器40に限らず、DCM(Data Communication Module)等の無線通信装置が搭載されている車両であれば、CAN60に接続した無線通信装置を介して登録ユーザの登録端末、例えばスマートフォン等に対し、乗員が車内に取り残されていることを通知することが可能である。例えば、無線通信装置から外部システムに乗員検知情報と車両1の識別情報とを送信するようにする。外部システムは、乗員検知情報と車両1の識別情報とを受信することにより、車両1の識別情報に対応する登録ユーザの登録端末に対し、乗員が車内に取り残されていることを通知する既存システムなどでの対応も可能である。
【0032】
(車内への乗員の置き去りを検知する動作のシーケンス)
図1に示す車両1において、第1のECU11は、駆動系の電源OFF期間において、第2のECU12にウェイクアップ信号を出力する(ステップS1)。本実施形態では、タイマ110に設定された所定のタイミングでウェイクアップ信号を出力する。
【0033】
第2のECU12は、駆動系の電源OFF期間においてウェイクアップ信号が入力されると、バッテリからの電力供給により起動して、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の検知状態を読み取る(ステップS2、S3)。一例として第2のECU12は、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の出力値をウェイクアップの時間間隔でサンプリングを行うようにして、各時点の検知状態を読み取る。
【0034】
そして、第2のECU12は、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30の複数回の検知状態に基づいて、車内に乗員がいるかどうかを判定し、車内に乗員がいるものと判定した場合に乗員検知情報を出力する(ステップS4)。
【0035】
なお、第2のECU12は、電源OFF前の所定期間に読み取った検知状態と、電源OFF期間との検知状態との比較により判定を行う場合には、駆動系の電源ON期間の検知状態をフラッシュROMなどに記憶して駆動系の電源OFF後も保持しておく。
【0036】
(判定パターンの例)
続いて、第2のECU12における判定方法について複数のパターンを挙げて詳しく説明する。
【0037】
図2は、第2のECU12が行う判定方法の一例を説明するための図である。
図2には、電源ON/OFFの切り替えのタイミングと、シートベルト装着検知装置20の検知状態の変化と、荷重検知装置30の検知状態の変化とを、タイミングチャートで示している。Tは時間軸である。
【0038】
電源ON/OFFは、電源ONと電源OFFとが交互に繰り返される信号となる。この例では、電源ONをHigh、電源OFFをLowで示している。判定に使用する検知状態の情報は、電源ON期間Aと電源OFF期間Bとからなる第1期間の情報と、これに続く電源ON期間Cと電源OFF期間Dとからなる第2期間の情報である。
【0039】
ここで、第1期間は前回の乗車行為に当たり、第2期間は今回の乗車行為に当たる。今回は最新と同義で使用している。すなわち今回の乗車行為は、直近の最新の乗車行為のことを指し、前回の乗車行為は、最新の乗車行為に対して一つ前の過去の乗車行為のことを指す。そして、第2のECU12は常に最新の乗車後の電源OFF期間Dにおいて、一つ前の前回の乗車行為で検知した検知状態と比較して、最新の電源OFF後における車両への人員の置き去りを判定する。
【0040】
例えば、前回の乗車行為が、外出先で車両の電源をONして、その車両で帰宅し、自宅で電源をOFFして降車するまでの行為を指すとすると、今回の乗車行為は、自宅で車両の電源をONして、その車両で外出し、外出先で電源をOFFして降車するケースなどが該当する。外出先で子供などの乗員を車内に置き去りにしたまま、親などが車両を離れる場合などが、このケースに当たる。なお、第2のECU12の判定方法は、自宅で子供などの乗員を車内に置き去りにしたまま車両を離れるケースなどにも対応するものである。
【0041】
図2に示す例では、第2のECU12は、前回の電源ON期間Aと、前回の電源OFF期間Bと、今回の電源ON期間Cを対象に、各期間において最終読み取りした検知状態をフラッシュROMなどの記憶装置に記憶して、随時データを更新するなどして、常に最新分と少なくとも一つ前の前回分とを、駆動系が電源OFFの間も保持するものとする。
【0042】
そして、第2のECU12は、駆動系の電源OFF後において前回分と今回分の最新の検知状態とを比較する。
【0043】
図2に示す例において、シートベルト装着検知装置20の検知状態は、前回の電源ON期間AでHighの装着状態を示し、前回の電源OFF期間Bでは、Lowの非装着状態を示している。なお、電源OFF期間の途中でLowの非装着状態となっているのは、電源をOFFして暫くしてから降車するためである。
【0044】
これに対し、今回は、電源ON期間CはHighの装着状態を示しているが、電源OFF期間DでもHighの装着状態のままとなっている。
【0045】
このようなパターンは、前回は、乗車中にシートベルトが装着され、降車後は、シートベルトが解除された状態を表し、今回は、乗車中にシートベルトが装着されたが、降車後もシートベルトが装着されたままになっていることを表す。従って、このようなパターンの場合には、車内に乗員の置き去りが発生している可能性があるため、第2のECU12は、車内に乗員の置き去りが発生していると判定する。
【0046】
仮に、シートベルト装着検知装置20の検知状態が、前回の電源ON期間AでHighの装着状態を示し、前回の電源OFF期間Bでも、Highの装着状態を示していた場合には、チャイルドシート等をシートベルトで固定したままにしている可能性が高いので、第2のECU12は、このようなパターンの場合には、車内に乗員の置き去りが発生していないものとして判定する。
【0047】
なお、第2のECU12が、車内に乗員の置き去りが発生していると判定した場合には、前回と今回の検知状態をすべてリセットし、次の乗車行為を初回の乗車行為として処理する。
【0048】
また、
図2に示す例において、荷重検知装置30の検知状態は、前回の電源ON期間AでHighの荷重状態を示し、電源OFF期間Bでは、電源OFF後に暫くしてから降車したため途中でLowの非荷重状態を示している。これに対し、今回は、電源ON期間CはHighの荷重状態であるが、電源OFF期間DはHighの荷重状態のままである。
【0049】
このようなパターンは、前回は、乗車後に降車しているが、今回は、乗車後に降車していない可能性がある。今回は重量物、例えば荷物を載せて、その荷物を降ろしていないということも考えられるが、乗員が下りていないことも考えられるので、第2のECU12は、車内に乗員の置き去りが発生していると判定する。
【0050】
仮に、荷重検知装置30の検知状態が、前回の電源ON期間AでHighの荷重状態を示し、前回の電源OFF期間Bでも、Highの荷重状態を示していた場合には、荷物を置いたままにしている可能性が高いので、第2のECU12は、このようなパターンの場合には、車内に乗員の置き去りが発生していないものとして判定する。
【0051】
また、初回の走行時には、前回の走行時の情報がフラッシュROMなどに記憶されていない。よって、初回の走行後の電源OFF期間は、第2のECU12が、荷重検知装置30の出力値の変化から判定する。例えば、車内に人員が置き去りにされている場、人員による座席の移動により荷重検知装置30の出力値が変化する。例えば、一か所の座席が荷重状態と非荷重状態とを繰り返したり、座席から座席への移動により各座席の荷重状態と非荷重状態のパターンが変化したりする。このため、初回の走行後の電源OFF期間は、第2のECU12が、荷重検知装置30の出力値を所定期間置きにサンプリングし、一度でも荷重状態から非荷重状態になり、さらに荷重状態になるパターンを検知すると車内に乗員の置き去りが発生していると判定する。
【0052】
なお、第2のECU12は、車内に乗員の置き去りが発生しているかを、シートベルト装着検知装置20の検知状態の変化のパターンと、荷重検知装置30の検知状態の変化のパターンとを、別々に単独に用いて、どちらかのパターンが現れた時点で判定してもよい。さらに、第2のECU12は、車内に乗員の置き去りが発生しているかを、シートベルト装着検知装置20の検知状態と、荷重検知装置30の検知状態とを組み合わせたパターンで判定してもよい。
【0053】
一例として、第2のECU12は、車内に乗員の置き去りが発生しているかを、荷重検知装置30の検知状態の変化のパターンだけで判定することができる。これは、電源OFF期間において座席を移動しているケースの場合に限り判定することができる。座席を移動していない場合があるので、シートベルト装着検知装置20の検知状態の変化のパターンでも判定する。また、それだけで判定できない場合は、組み合わせのパターンも並行して判定に使用する。いずれにしても、第2のECU12は、いずれかのうち先にパターンを検知した場合に、車内に乗員の置き去りが発生していると判定し、直ちに報知する。
【0054】
また、第2のECU12は、条件に所定のドア開閉を加えてもよい。例えば
図2に示す今回の電源OFF期間Dにおいて、降車から一定時間経過した後からドアの開閉を検知する。一定時間は、降車時のドア開閉を含まないように長い時間に適宜設定する。降車時は、電源OFFのタイミングを基準にしてもよいし、シートベルトの着脱のタイミングや車両シートの非荷重状態への変化のタイミングなどを基準にしてもよい。
【0055】
図2において時間軸Tの時刻t1でドアの開閉があったとすると、車内に置き去りにされた人員が自力でドアの開閉あるいは外部の人がドアの開閉をしたことが考えらえる。このため、時間軸Tの時刻t1でドアの開閉があった場合は、電源OFF期間Dにおいて時刻t1までにサンプリングした検知状態をすべてリセットし、時刻t1からサンプリングした検知状態を使用して判定するようにしてもよい。仮に、時刻t1でのドアの開閉でも車内の人員の置き去りが気付かれなかった場合は、時刻t1からのサンプリングにより、車内の人員の置き去りを判定することができる。
【0056】
本実施形態では、シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30を利用して車内の人員の置き去りを防ぐ機能を実現したが、この限りではない。シートベルト装着検知装置20および荷重検知装置30以外にも、車両が搭載するセンサや装置の出力値を車内の人員の置き去りの判定条件に適宜加えてもよい。
【0057】
また、本実施形態では、第1期間を一つ前の前回分としたが、精度が上がる場合には前回よりも前の期間も含めて判定を行うようにしてもよい。
【0058】
(実施形態の効果)
本実施形態では、一般的な車両が標準で装備するセンサや装置を利用して車内の人員の置き去りを防ぐ機能を実現している。このため、新たにカメラやレーダなどの別の装置を設置しなくても、車両が標準搭載しているものを使って車内の人員の置き去りを検知することができる。従って、多くの車両で子供の置き去りを防止することが可能になる。
また、本実施形態のような構成であれば、コストアップすることなく、車両に付加価値を追加することも可能であるので、多くの車両で子供の置き去りを防止することが可能になる。
また、本実施形態のような構成であれば、駆動源の電源OFF後において、サンプリングの際にウェイクアップするので、常に起動し続けずに済む。このため、バッテリの消耗も抑制することができる。
【符号の説明】
【0059】
1 車両
10 制御手段
11 第1のECU
12 第2のECU
20 シートベルト装着検知装置
30 荷重検知装置
40 吹鳴機器
51 第1の信号線
52 第2の信号線
53 第3の信号線
60 CAN
110 タイマ