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特開2024-180052目標軌道生成装置及び方法、車両走行制御システム、装置、及び方法、並びにプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180052
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】目標軌道生成装置及び方法、車両走行制御システム、装置、及び方法、並びにプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60W 30/10 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
B60W30/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099476
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】515213711
【氏名又は名称】先進モビリティ株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】505398952
【氏名又は名称】中日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】雨宮 秀樹
(72)【発明者】
【氏名】青木 啓二
(72)【発明者】
【氏名】尾▲高▼ 寛信
(72)【発明者】
【氏名】山田 丈裕
(72)【発明者】
【氏名】大西 偉允
(72)【発明者】
【氏名】祝 俊聰
(72)【発明者】
【氏名】塩崎 洋
(72)【発明者】
【氏名】安部 智彦
【テーマコード(参考)】
3D241
【Fターム(参考)】
3D241BA11
3D241BB16
3D241CE05
3D241DA13Z
3D241DA39Z
3D241DA52Z
3D241DB02Z
(57)【要約】
【課題】所望の地点において車両に進路変更を実施させる場合の目標軌道を生成する。
【解決手段】車両11は、自動運転が可能に構成される。車線情報取得部21は、車両11が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する。パタン取得部22は、車両11の直線道路における進路変更パタンを取得する。目標軌道生成部23は、車線情報取得部21が取得した車線情報と、パタン取得部22が取得した進路変更パタンとに基づいて、車両11の進路変更時の目標軌道を生成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する車線情報取得部と、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得するパタン取得部と、
前記車線情報と、前記進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成する目標軌道生成部とを備える目標軌道生成装置。
【請求項2】
前記車両は、梯団走行する複数の車両に含まれる車両であり、かつ、前記複数の車両は、前記梯団走行において道幅方向に広がって展開走行する車両であり、
前記パタン取得部は、前記展開走行への移行が指示された場合、前記展開走行への移行時の進路変更パタンを取得する、請求項1に記載の目標軌道生成装置。
【請求項3】
前記パタン取得部は、前記展開走行の開始が指示された場合、前記展開走行時の進路変更パタンを取得する、請求項2に記載の目標軌道生成装置。
【請求項4】
前記目標軌道生成部は、前記進路変更パタンを複数の区間に分割し、該分割した複数の区間を、それぞれ各区間に対応する道路中心線上の地点の接線方向と一致するように傾けて、前記車線情報に重畳することで、前記目標軌道を生成する、請求項1又は2に記載の目標軌道生成装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載の目標軌道生成装置と、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させる走行制御部とを有する車両走行制御装置。
【請求項6】
自動運転が可能に構成される1以上の車両と、
請求項5に記載の車両走行制御装置とを備える車両走行制御システム。
【請求項7】
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを有する目標軌道生成方法。
【請求項8】
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを有する車両走行制御方法。
【請求項9】
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを含む処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【請求項10】
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを有する処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、目標軌道生成装置及び方法、車両走行制御システム、装置、及び方法、並びにプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
関連技術として、特許文献1は、車両距離測定装置を開示する。特許文献1に記載される車両距離測定装置は、超音波信号を送受信することにより、車両と、その前方の車両又はその後方の車両との相対距離を取得する。特許文献1は、求めた相対距離が複数の車両の隊列走行に用いられることも開示する。特許文献1において、操舵制御装置は、前方の車両の現在位置と、前方の車両の基準位置との差を検出する。操舵制御装置は、検出した差と、車両の現在速度と操舵量とから、目標操舵量と目標速度とを計算する。操舵制御装置は、目標操舵量に応じて、車両の操舵量を制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7-128444号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
複数の車両が一団となって走行する梯団走行において、複数の車両をある地点までは隊列走行で走行させ、その後、必要に応じて、複数の車両を道幅方向に展開させて展開走行させたい場合がある。その場合、隊列走行から展開走行への移行時に、複数の車両を道幅方向に展開させるための各車両の目標軌道が必要である。展開走行から隊列走行への移行時も、同様に、各車両の目標軌道が必要である。
【0005】
上記展開が開始される地点が所定の地点であり、また、上記展開が解除される地点が所定の地点である場合、ユーザは、展開時及び展開解除時の目標軌道をあらかじめ生成しておくことができる。しかしながら、任意の地点において展開を開始し、又は展開を解除する場合、展開時及び展開解除時の目標軌道をあらかじめ生成することができないという問題がある。上記問題は、展開走行への移行時、又は展開走行の解除時だけでなく、所望の地点において車両に進路変更又は車線変更させたい場合に生じ得る。
【0006】
本開示は、上記事情に鑑み、所望の地点において車両に進路変更を実施させる場合の目標軌道を生成することができる目標軌道生成装置及び方法、車両走行制御システム、装置、及び方法、並びにプログラムを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示は、第1の態様として、目標軌道生成装置を提供する。目標軌道生成装置は、自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する車線情報取得部と、前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得するパタン取得部と、前記車線情報と、前記進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成する目標軌道生成部とを含む。
【0008】
本開示は、第2の態様として、車両走行制御装置を提供する。車両走行制御装置は、上記目標軌道生成装置と、進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させる走行制御部とを含む。
【0009】
本開示は、第3の態様として、車両走行制御システムを提供する。車両走行制御システムは、自動運転が可能に構成される1以上の車両と、上記車両走行制御装置とを含む。
【0010】
本開示は、第4の態様として、目標軌道生成方法を提供する。目標軌道生成方法は、自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを含む。
【0011】
本開示は、第5の態様として、車両走行制御方法を提供する。車両走行制御方法は、自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを含む。
【0012】
本開示は、第6の態様として、プログラムを提供する。プログラムは、自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを含む処理をプロセッサに実行させるためのものである。
【0013】
本開示は、第7の態様として、プログラムを提供する。プログラムは、自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを有する処理をプロセッサに実行させるためのものである。
【発明の効果】
【0014】
本開示に係る目標軌道生成装置及び方法、車両走行制御システム、装置、及び方法、並びにプログラムは、所望の地点において車両に進路変更を実施させる場合の目標軌道を生成することができる
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本開示に係る車両走行制御システムの概略的な構成の一例を示すブロック図。
図2】本開示に係る第1の車両走行制御システムの一例を示すブロック図。
図3】梯団走行における複数の走行状態を示す模式図。
図4】車両の構成例を示すブロック図。
図5】車両走行制御装置の構成例を示すブロック図。
図6】車線情報の具体例を示す模式図。
図7】展開パタンの具体例を示す模式図。
図8】生成される目標軌道の具体例を示す模式図。
図9】車両走行制御装置の動作手順を示すフローチャート。
図10】車線情報の具体例を示す模式図。
図11】車線変更パタンの具体例を示す模式図。
図12】生成される目標軌道の具体例を示す模式図。
図13】本開示に係る第2の車両走行制御システムの一例を示すブロック図。
図14】電子制御装置の構成例を示すブロック図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本開示の実施の形態の説明に先立って、本開示の概要を説明する。図1は、本開示に係る車両走行制御システムの概略的な構成の一例を示す。車両走行制御システム10は、1以上の車両11と、車両走行制御装置12とを有する。1以上の車両11は、自動運転が可能に構成される。車両走行制御装置12は、1以上の車両11の走行を制御する。
【0017】
車両走行制御装置12は、車線情報取得部21、パタン取得部22、目標軌道生成部23、及び走行制御部24を有する。車線情報取得部21、パタン取得部22、及び目標軌道生成部23は、目標軌道生成装置15を構成する。
【0018】
車線情報取得部21は、車両11が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する。パタン取得部22は、車両11の直線道路における進路変更パタンを取得する。目標軌道生成部23は、取得された車線情報と、取得された進路変更パタンとに基づいて、車両11の進路変更時の目標軌道を生成する。走行制御部24は、進路変更時に車両11を生成された目標軌道に沿って走行させる。
【0019】
本開示では、車線情報取得部21は、車両11が走行する車線情報を取得する。パタン取得部22は、直線道路における車両11の進路変更パタンを取得する。目標軌道生成部23は、例えば、取得された車線情報と取得された進路変更パタンとに組み合わせることで、車両11の進路変更時の目標軌道を生成する。本開示では、例えばユーザがある地点において車両11の進路変更を指示した場合、目標軌道生成部23は、車両11が走行する道路の形状に合わせた目標軌道を生成できる。このため、本開示に係る目標軌道生成装置15は、所望の地点において、進路変更のための目標軌道を生成できる。また、本開示に係る車両走行制御装置12は、所望の地点において、車両11に進路変更を実施させることができる。
【0020】
なお、図1では、車両11及び車両走行制御装置12がそれぞれ1つだけ図示されているが、本開示はこれには限定されない。車両走行制御システム10は、複数の車両11を有していてもよい。また、車両走行制御システム10は、複数の車両走行制御装置12を有していてもよい。その場合において、車両走行制御装置12は、複数の車両11のそれぞれに搭載されていてもよい。
【0021】
以下、本開示の実施の形態を詳細に説明する。なお、以下の記載及び図面は、説明の明確化のため、適宜、省略及び簡略化がなされている。また、各図面において、同一の要素、及び同様な要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。また、以下では、車両が左側通行の国において使用される例を説明する。右側通行の場合、左と右が適宜入れ替えられる。
【0022】
本開示の第1実施形態を説明する。図2は、本開示に係る第1の車両走行制御システムの一例を示す。車両走行制御システム100は、複数の車両110を有する。本実施形態において、複数の車両110は、梯団走行する。ここで、梯団走行は、複数の車両が一団として走行する走行形態を意味し得る。車両110は、図1に示される車両11に対応する。
【0023】
本実施形態において、車両110は、例えば、除雪車である。複数の除雪車は、例えば高速道路において梯団走行で走行し、本線車道上の雪を路肩に寄せる。複数の車両110には、Nを2以上の整数として、それぞれ1からNの何れかの番号が割り当てられる。各車両に割り当てられる番号は、梯団走行における走行順序に対応する。複数の車両110は、それぞれ自動運転が可能に構成される。例えば、複数の車両110は、それぞれの目標軌道に沿って走行するように、それぞれ自動運転で運転される。
【0024】
本実施形態において、梯団走行は、複数の走行状態を含む。梯団走行における複数の車両の走行状態は、複数の車両が進行方向に沿って隊列走行する第1の走行状態を含む。また、複数の車両の走行状態は、複数の車両が道幅方向に広がって展開走行する第2の走行状態を含む。さらに、複数の車両の走行状態は、複数の車両が隊列走行から展開走行へ移行し、又は複数の車両が展開走行から隊列走行に移行する第3の走行状態を含む。
【0025】
図3は、梯団走行における複数の走行状態を示す。この例において、車両110の台数は3台である。すなわち、N=3である。図3において、車両110Aは、1番車であり、番号「1」が割り当てられた車両である。車両110Bは、2番車であり、番号「2」が割り当てられた車両である。車両110Cは、3番車であり、番号「3」が割り当てられた車両である。
【0026】
梯団走行する複数の車両のうちの、先頭の車両110Aには、安全確認などを実施する保安員が乗車してもよい。あるいは、先頭の車両110Aには運転者が乗車し、運転者が車両110Aを運転してもよい。梯団走行において、後続車である車両110B及び110Cは、それぞれ前方を走行する車両に追従して自動運転で運転される。例えば、車両110Bは、車両110Aとの車間距離が一定に保たれるように速度を調整しながら、目標軌道に沿って自動運転で運転される。また、車両110Cは、車両110Bとの車間距離が一定に保たれるように速度を調整しながら、目標軌道に自動運転で運転される。
【0027】
車両110A、110B、及び110Cは、例えば高速道路への進入時は、第1の走行状態、すなわち隊列走行で走行する。隊列走行において、車両110A、110B、及び110Cは、同一の目標軌道に沿って走行するように、制御される。車両110A、110B、及び110Cは、例えば第1走行車線よりも左側の路肩を、隊列走行で走行する。例えば、車両110Aに乗車する保安員は、本線車道への進入後、例えば除雪が必要な場所の手前で、周囲の安全を確認したうえで車両110Aに展開走行への移行を指示する。例えば、保安員は、展開走行への移行を指示するためのボタンを押すことで、車両110Aに展開走行への移行を指示する。展開走行への移行が指示された場合、車両110A、110B、及び110Cは、第3の走行状態に移行して展開を開始する。車両110A、110B、及び110Cは、展開時は、それぞれに設定される展開時の目標軌道に沿って走行するように制御される。
【0028】
車両110A、110B、及び110Cは、展開が完了した後、第2の走行状態で展開走行する。展開走行において、車両110A、110B、及び110Cは、それぞれに設定される展開走行時の目標軌道に沿って走行するように制御される。すなわち、車両110Aは、1番車の走行軌跡として設定された目標軌道に沿って走行するように制御される。車両110Bは、2番車の走行軌跡として設定された目標軌道に沿って走行するように制御される。車両110Cは、3番車の走行軌跡として設定された目標軌道に沿って走行するように制御される。展開走行において、車両110Aの道幅方向の位置と、車両110Bの道幅方向の位置とは、所定のオフセット量だけずれている。また、車両110Bの道幅方向の位置と、車両110Cの道幅方向の位置とは、所定のオフセット量だけずれている。展開走行において、車両110Aは、一般車両が走行する車線と中央分離帯側の路側とをまたいで走行してもよい。車両110BCは、複数の車線をまたいで走行してもよい。また、車両110Cは、路肩と車線とをまたいで走行してもよい。
【0029】
車両110Aに乗車する保安員は、高速道路から退出する前に、周囲の安全を確認したうえで車両110Aに展開走行の解除を指示する。例えば、保安員は、展開走行の解除を指示するためのボタンを押すことで、車両110Aに展開走行の解除を指示する。展開走行の解除が指示された場合、車両110A、110B、及び110Cは、第3の走行状態に移行して展開走行を解除し、第1の走行状態、すなわち隊列走行に戻る。展開解除時、すなわち展開走行から隊列走行へ移行する場合、車両110A、110B、及び110Cは、それぞれに設定される展開解除時の目標軌道に沿って走行するように制御される。その後、車両110A、110B、及び110Cは、隊列走行で、高速道路から退出する。
【0030】
なお、車両走行制御システム100において、複数の車両110は、全て同一の車両である必要はない。複数の車両110は、除雪車とは異なる車両を含み得る。具体的には、複数の車両110は、荷台に「除雪作業中」などの標識を搭載する標識車又は作業車を含み得る。梯団走行において、標識車は、例えば除雪車の後方を走行し、一般車に除雪車の存在を知らせる。また、標識車は、除雪車行中に一般車が除雪車を追い越すことを抑制する。
【0031】
図4は、車両110の構成例を示す。車両110は、周辺監視センサ111、車両センサ112、車両制御ECU(Electronic Control Unit)113、車両走行制御装置114、及び通信装置115を有する。車両110において、これら構成要素は車内LAN(Local Area Network)やCAN(Controller Area Network)などのネットワークを介して相互に通信可能に構成される。
【0032】
周辺監視センサ111は、車両110の周辺状況を監視するセンサである。周辺監視センサ111は、例えばカメラを含む。周辺監視センサ111は、例えば車両の前方、後方、右側方、及び左側方の領域の映像を取得する複数のカメラを含んでいてもよい。周辺監視センサ111は、車両110の内部の映像を取得するカメラを含んでいてもよい。
【0033】
車両センサ112は、車両110の各種状態を検出するためのセンサである。車両センサ112は、例えば、車速を検出する車速センサ、操舵角を検出する操舵センサ、アクセルペダルの開度を検出するアクセル開度センサ、及びブレーキペダルの踏み込み量を検出するブレーキ踏力センサなどのセンサを含む。車両110は、例えば全球測位衛星システム(GNSS:Global Navigation Satellite System)を用いて車両110の位置情報を測定するセンサを有していてもよい。
【0034】
車両制御ECU113は、車両110の走行制御などを行う電子制御装置である。一般に、電子制御装置は、1以上のプロセッサ、1以上のメモリ、I/O(Input / Output)、及びこれらを接続するバスを有する。車両制御ECU113は、車両センサ112が出力するセンサ情報に基づいて、例えば、燃料噴射量の制御、エンジン点火時期の制御、及びパワーステアリングのアシスト量の制御などの各種制御を実施する。車両制御ECU113は、車両110がハイブリッド自動車又は電気自動車の場合、モーターの出力制御を実施してもよい。
【0035】
通信装置115は、他の車両との間で無線通信を行う装置として構成される。通信装置115は、ハードウェア構成として、無線通信用アンテナ、送信機、及び受信機を含む。通信装置115は、車両110において取得された情報を、他の車両に送信する。通信装置115は、例えば車両110の位置情報を他の車両に送信する。また、通信装置115は、他の車両において取得された情報を、他の車両から受信する。通信装置115は、例えば、他の車両から、他の車両の位置情報を受信する。通信装置115は、図示されない遠隔監視装置に、車両110において取得された情報を送信してもよい。
【0036】
車両走行制御装置114は、車両110の自動運転を制御する電子制御装置である。例えば、車両走行制御装置114は、目標軌道に沿って車両110が走行するように、車両110を自動運転で走行させる。車両走行制御装置114は、周辺監視センサ111及び車両センサ112からセンサ情報を取得し、取得したセンサ情報に基づいて車両110の自律走行を制御してもよい。
【0037】
図5は、車両走行制御装置114の構成例を示す。車両走行制御装置114は、車線情報取得部201、パタン取得部202、目標軌道生成部203、及び走行制御部204を有する。車線情報取得部201、パタン取得部202、及び目標軌道生成部203は、目標軌道生成装置120を構成する。車線情報取得部201、パタン取得部202、目標軌道生成部203、及び走行制御部204の機能は、1以上のプロセッサが、1以上のメモリから読み出したプログラムに従って処理を実行することで実現され得る。車両走行制御装置114は、図1に示される車両走行制御装置12に対応する。目標軌道生成装置120は、図1に示される目標軌道生成装置15に対応する。
【0038】
車線情報取得部201は、車両110が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する。ここで、走行車線とは、道路において車両110が走行する場所を意味し、走行車線は、必ずしも車道には限定されない。本実施形態において、車両110は、車道よりも左側の路肩の領域、又は中央分離帯側の路側の領域を走行し得る。走行車線は、車道以外の領域、例えば路側帯の領域に設定されていてもよい。車線情報は、車両110が走行する道路の線形に関する情報を含む。車線情報取得部201は、道路の中心位置を示す道路中心線の情報を取得し、取得した道路中心線の情報を用いて車線情報を取得してもよい。あるいは、車線情報取得部201は、道路中心線の情報を車線情報として取得してもよい。車線情報取得部201は、例えば展開走行への移行が指示された場合、展開走行への移行が指示された地点よりも前方の各地点の車線情報を取得する。また、車線情報取得部201は、展開走行の解除が指示された場合、展開走行の解除が指示された地点よりも前方の各地点の車線情報を取得する。車線情報取得部201は、図1に示される車線情報取得部21に対応する。
【0039】
例えば、車両110は、図示しない記憶装置に、道路情報を記憶している。道路情報は、道路中心線の情報を含む。道路中心線の情報は、例えば道路を維持管理する団体や会社が保持する道路図面から取得され得る。道路中心線の情報は、例えば道路上の各地点の緯度を示す情報、及び経度を示す情報を含む。車線情報取得部201は、道路中心線の情報を用いて、展開走行において車両110が走行する道路の位置情報を生成してもよい。車線情報取得部201は、道路中心線の情報を取得し、取得した道路中心線の情報を用いて、車線情報を生成してもよい。例えば、車線情報取得部201は、道路中心線の情報と、展開後の車両の道幅方向の位置とに基づいて、展開後に車両110が走行する位置の軌跡を生成し、生成した軌跡を車線情報として取得してもよい。
【0040】
図6は、車線情報の具体例を示す。図6において、横軸は、起点となる位置、例えば展開走行への移行が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。車線情報取得部201は、道路中心線と、車両110に割り当てられた番号、すなわち、梯団走行における車両110の走行順序とを取得する。車線情報取得部201は、取得した道路中心線と走行順序とに基づいて、展開後、すなわち車両110が展開走行していると仮定した場合の車両110の走行軌跡を示す情報を、車線情報として取得する。
【0041】
例えば、図3に示される、1番車である車両110Aは、展開走行において、道路中心線から道幅方向に3m離れた位置を走行するものとする。この例において、車両110Aは、展開走行において、例えば路肩を走行する。また、2番車である車両110Bは、展開走行において、道路中心線から道幅方向に6.6m離れた位置を走行するものとする。車両110Bは、展開走行において、例えば第1走行車線を走行する。さらに、3番車である車両110Cは、展開走行において、道路中心線から道幅方向に10m離れた位置を走行するものとする。車両110Cは、展開走行において、例えば第2走行車線を走行する。その場合、車両110Aの車線情報取得部201は、道路中心線に沿って、道路中心線から道幅方向に3m離れた各地点の位置情報を、車両110A、すなわち1番車の車線情報として生成する。車両110Bの車線情報取得部201は、道路中心線に沿って、道路中心線から道幅方向に6.6m離れた各地点の位置情報を、車両110B、すなわち2番車の車線情報として生成する。車両110Cの車線情報取得部201は、道路中心線に沿って、道路中心線から道幅方向に10m離れた各地点の位置情報を、車両110C、すなわち3番車の車線情報として生成する。車線情報取得部201は、道路中心線の情報から車線情報を取得することに代えて、例えば高精度3次元地図データから車線情報を取得してもよい。
【0042】
図5に戻り、パタン取得部202は、車両110の直線車線における進路変更パタンを取得する。進路変更パタンは、例えば、展開開始から展開完了までの間、又は展開解除開始から解除完了までの間に車両110が走行する位置の走行軌跡を示す。車両110は、図示されない記憶装置に、進路変更パタンを記憶している。記憶装置は、例えば道路の幅、及び車両の速度に応じた複数の進路変更パタンを記憶していてもよい。パタン取得部202は、例えば、道路の幅及び車両の速度に応じて、記憶装置から進路変更パタンを取得する。
【0043】
パタン取得部202は、展開開始が指示された場合、展開開始から展開完了までの間の車両110の走行軌跡を、進路変更パタンとして取得する。パタン取得部202は、展開解除が指示された場合、展開解除開始から解除完了までの間の車両110の走行軌跡を、進路変更パタンとして取得する。以下の説明において、展開開始が指示された場合に取得される進路変更パタンは、展開パタンとも呼ばれる。また、展開解除が指示された場合に取得される進路変更パタンは、展開解除パタンとも呼ばれる。パタン取得部202は、図1に示されるパタン取得部22に対応する。
【0044】
図7は、展開パタンの具体例を示す。図7において、横軸は、起点となる位置、例えば展開走行への移行が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。図7に示される展開パタンは、直線道路における、隊列走行から展開走行に移行する場合の1番車から3番車のそれぞれの走行軌跡を含む。
【0045】
パタン取得部202は、車両110に割り当てられた番号、すなわち、梯団走行における車両110の走行順序を取得する。パタン取得部202は、展開開始が指示された場合、取得した番号に対応する走行軌跡を、展開パタンとして取得する。例えば、図3に示される車両110Aのパタン取得部202は、図7に示される1番車の走行軌跡を、展開パタンとして取得する。車両110Bのパタン取得部202は、図7に示される2番車の走行軌跡を、展開パタンとして取得する。車両110Cのパタン取得部202は、図7に示される3番車の走行軌跡を、展開パタンとして取得する。隊列走行時に車両110A、110B、及び110Cが第1走行車線を走行する場合で、かつ展開後に車両110Cが路肩を走行する場合、3番車の走行軌跡は、第1走行車線から路肩へ進路変更する走行軌跡であってもよい。
【0046】
目標軌道生成部203は、車線情報取得部201が取得した車線情報と、パタン取得部202が取得した進路変更パタンとに基づいて、進路変更時の車両110の目標軌道を生成する。目標軌道生成部203は、例えば、展開パタンを、車線情報で示される走行軌跡、すなわち展開完了後の各地点の位置に重畳することで、進路変更時の車両110の目標軌道を生成する。目標軌道生成部203は、展開開始が指示された場合、展開パタンを車線情報に重畳させることで、展開時の車両110の目標軌道を生成する。目標軌道生成部203は、展開解除が指示された場合、展開解除パタンを車線情報に重畳させることで、展開解除時の車両110の目標軌道を生成する。目標軌道生成部203は、生成した目標軌道を走行制御部204に出力する。目標軌道生成部203は、図1に示される目標軌道生成部23に対応する。
【0047】
図8は、生成される目標軌道の具体例を示す。図8において、横軸は、起点となる位置、例えば展開走行への移行が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。図8に示される目標軌道は、隊列走行から展開走行に移行する場合の1番車から3番車のそれぞれの目標軌道を含む。目標軌道生成部203は、例えば、図7に示される展開パタンを短冊状に複数の微小区間に分割する。目標軌道生成部203は、分割した複数の微小区間を、それぞれ各微小区間に対応する道路中心線の地点の接線方向と一致するように傾けつつ、図6に示される車線情報に重畳することで、目標軌道を生成する。目標軌道生成部203は、例えば、展開パタンの微小区間の横軸の方向を、対応させる地点の道路中心線の接線方位と一致するように傾け、走行軌跡の位置、すなわち座標を求めることで、目標軌道を生成する。
【0048】
例えば、図3に示される車両110Aの目標軌道生成部203は、図7に示される1番車の走行軌跡を複数の微小区間に分割する。車両110Aの目標軌道生成部203は、各微小区間を図6に示される1番車の車線情報に重畳することで、車両110Aの展開時の目標軌道を生成する。車両110Bの目標軌道生成部203は、図7に示される2番車の走行軌跡を複数の微小区間に分割する。車両110Bの目標軌道生成部203は、各微小区間を図6に示される2番車の車線情報に重畳することで、車両110Bの展開時の目標軌道を生成する。車両110Cの目標軌道生成部203は、図7に示される3番車の走行軌跡を複数の微小区間に分割する。車両110Cの目標軌道生成部203は、各微小区間を図6に示される3番車の車線情報に重畳することで、車両110Cの展開時の目標軌道を生成する。
【0049】
具体的には、目標軌道生成部203は、例えば、道路中心線において道のり方向に160mだけ離れた地点において、図7に示される微小区間の横軸方向を接線方向に傾ける。別の言い方をすると、目標軌道生成部203は、微小区間の縦軸を道路中心線の接線に垂直な方向に傾ける。目標軌道生成部203は、傾けた微小区間を、道路中心線において道のり方向に160mだけ離れた地点に重ねることで、その地点における車両110の座標を取得する。目標軌道生成部203は、道路中心線上の道のり方向の各地点において、展開パタンの各微小区間を接線方向に傾けて車線情報に重ねることで、車両110の展開時の目標軌道を生成する。
【0050】
隊列走行時、各車両110の目標軌道生成部203は、例えば、図6に示される車線情報の「路肩」の車線情報、すなわち座標を走行制御部204に出力する。隊列走行から展開走行に移行する場合、各車両110の目標軌道生成部203は、展開パタンと車線情報とを用いて展開時の目標軌道を生成し、生成した目標軌道を走行制御部204に出力する。各車両110の目標軌道生成部203は、展開走行時は、車両110に割り当てられた番号に応じて、図6に示される車線情報の「路肩」、「第1走行車線」、又は「第2走行車線」の車線情報、すなわち座標を走行制御部204に出力する。
【0051】
再び図5に戻り、走行制御部204は、車両110の自動運転を制御する。走行制御部204は、車両110が目標軌道生成部203から出力される目標軌道に沿って走行するように、車両110の自動運転を制御する。例えば、展開開始が指示された場合、図3に示される車両110Aの走行制御部204は、図8に示される1番車の目標軌道に沿って、車両110Aを走行させる。車両110Bの走行制御部204は、図8に示される2番車の目標軌道に沿って、車両110Bを走行させる。車両110Cの走行制御部204は、例えば、図8に示される3番車の目標軌道に沿って、車両110Cを走行させる。走行制御部204は、梯団走行の走行状態が隊列走行の場合、又は展開走行の場合は、あらかじめ定められた目標軌道に沿って、車両110を走行させてもよい。走行制御部204は、図1に示される走行制御部24に対応する。
【0052】
続いて、動作手順を説明する。図9は、車両走行制御装置114の動作手順を示す。車両走行制御装置114の動作手順は、車両走行制御方法に対応する。ここでは、複数の車両110は、高速道路などの道路を隊列走行で走行しているものとする。例えば1番車に搭乗する保安員は、高速道路への進入後、所望の地点で、隊列走行から展開走行への移行を指示する(ステップS1)。1番車の通信装置115(図4を参照)は、展開走行への移行が指示されたことを、梯団走行する他の車両に通知する。
【0053】
例えば、図3に示される車両110A、すなわち1番車に搭乗する保安員は、車両110Aにおいて、展開走行への移行を指示するボタンを押すことで、車両110Aに展開走行への移行を指示する。車両110Aの通信装置115(図4を参照)は、展開走行への移行が指示されたことを、梯団走行する他の車両110B及び110Cに通知する。車両110の乗員が展開走行への移行を指示するのに代えて、複数の車両110を遠隔で監視する遠隔監視員が、展開走行への移行を指示してもよい。
【0054】
展開走行への移行が指示された場合、各車両110において、車線情報取得部201は、車線情報を取得する(ステップS2)。車線情報取得部201は、ステップS2では、例えば道路中心線の情報を取得し、取得した道路中心線の情報から車両110が展開走行する場合に走行する道路上の位置情報を取得する。各車両110において、パタン取得部202は、進路変更パタンを取得する(ステップS3)。パタン取得部202は、ステップS3では、例えば、車両110に割り当てられた番号に応じて、直線道路における、展開時の車両110の走行軌跡を取得する。
【0055】
各車両110において、目標軌道生成部203は、ステップS2で取得された車線情報と、ステップS3で取得された進路変更パタンとに基づいて、目標軌道を生成する(ステップS4)。目標軌道生成部203は、ステップS4では、例えば進路変更パタンを複数の微小区間に分割する。目標軌道生成部203は、分割した各微小区間を、車線情報における各地点の接線方向に傾けつつ車線情報に重畳することで、目標軌道を生成する。ステップS1からS4の動作は、目標軌道生成方法に対応する。
【0056】
各車両110において、走行制御部204は、ステップS4で生成された目標軌道に沿って車両110を走行させる(ステップS5)。展開解除時の動作は、使用される進路変更パタンが、展開解除パタンに変わることを除けば、展開時の動作と同様でよい。
【0057】
本実施形態では、車線情報取得部201は、車両110が走行する道路における車線情報を取得する。パタン取得部202は、直線道路における車両110の展開パタン又は展開解除パタンを取得する。目標軌道生成部203は、展開パタン又は展開解除パタンを、取得された車線情報に重畳することで、車両110の展開時又は展開解除時の目標軌道を生成する。本実施形態では、例えば1番車に搭乗する保安員がある地点において展開開始又は展開解除を指示した場合、目標軌道生成部203は、車両110が走行する道路の線形に合わせた目標軌道を生成できる。従って、本実施形態において、目標軌道生成部203は、所望の地点において、展開又は展開解除のための目標軌道を生成できる。また、本実施形態において、走行制御部204は、展開時又は展開解除時に、生成された目標軌道に沿って、車両110を走行させる。このため、本実施形態において、走行制御部204は、所望の地点において、梯団走行の走行状態を、隊列走行から展開走行に、又は展開走行から隊列走行に移行させることができる。
【0058】
本開示の第2実施形態を説明する。本実施形態は、車両走行制御装置114が1台の車両の制御に適用される実施の形態である。本実施形態において、車両110の構成は、図4に示される車両110の構成と同様でよい。また、車両走行制御装置114の構成は、図5に示される車両走行制御装置114の構成と同様でよい。
【0059】
車両110は、自動運転で走行している。例えば、車両110の乗員は、所望の地点において、車両110に進路変更、例えば車線変更を指示する。本実施形態において、車両走行制御装置114の車線情報取得部201は、車線変更が指示された場合、道路中心線の情報から、例えば、車線変更前の走行軌跡、及び車線変更後の走行軌跡を、車線情報として取得する。パタン取得部202は、車線変更における車両110の走行軌跡を示す車線変更パタンを取得する。目標軌道生成部203は、取得された車線情報と、取得された車線変更パタンとに基づいて、車線変更時の目標軌道を生成する。
【0060】
図10は、車線情報の具体例を示す。図10において、横軸は、起点となる位置、例えば車線変更が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。車線情報取得部201は、道路中心線と、車線変更の方向を取得する。車線情報取得部201は、取得した道路中心線と車線変更の方向とに基づいて、車線変更前の車両110の走行軌跡を示す情報、及び車線変更後の車両110の走行軌跡を示す情報を、車線情報として取得する。
【0061】
図11は、車線変更パタンの具体例を示す。図11において、横軸は、起点となる位置、例えば車線変更が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。図11に示される車線変更パタンは、第1走行車線から第2走行車線に車線変更する場合の車両110の走行軌跡を示す。
【0062】
図12は、生成される目標軌道の具体例を示す。図12において、横軸は、起点となる位置、例えば展開走行への移行が開始される地点からの距離を示す。縦軸は、道路道幅方向の位置を示す。道路道幅方向の位置は、例えば道路中心線の位置を基準点として、基準点からの距離で表される。目標軌道生成部203は、例えば、図11に示される展開パタンを短冊状に複数の微小区間に分割する。目標軌道生成部203は、車線変更パタンの各微小区間を、各微小区間における道路中心線の接線方向に傾けつつ、図11に示される車線情報に重畳することで、目標軌道を生成する。
【0063】
本実施形態では、パタン取得部202は、直線道路における車両110の車線変更パタンを取得する。目標軌道生成部203は、車線変更パタンを、車線情報に重畳することで、車両110の車線変更時の目標軌道を生成する。本実施形態では、例えば車両110の乗員がある地点において車線変更を指示した場合、目標軌道生成部203は、車両110が走行する道路の線形に合わせた目標軌道を生成できる。従って、本実施形態において、目標軌道生成部203は、所望の地点において、車線変更のための目標軌道を生成できる。また、本実施形態において、走行制御部204は、車線変更時に、生成された目標軌道に沿って、車両110を走行させる。このため、本実施形態において、走行制御部204は、所望の地点において、車両110が走行する車線を変更させることができる。
【0064】
なお、上記各実施形態において、車両走行制御装置114は、必ずしも単一の装置として構成されている必要はない。車両走行制御装置114は、物理的に分離された複数の装置を用いて構成されていてもよい。同様に、目標軌道生成装置120は、必ずしも単一の装置として構成されている必要はない。目標軌道生成装置120は、物理的に分離された複数の装置を用いて構成されていてもよい。
【0065】
また、車両走行制御装置114及び目標軌道生成装置120は、必ずしも全ての機能が車両110に搭載されている必要はない。例えば、車両走行制御装置114及び目標軌道生成装置120の機能の一部は車両に搭載され、残りは車両の外部に配置されていてもよい。あるいは、車両走行制御装置114及び目標軌道生成装置120は、車両の外部に配置されていてもよい。
【0066】
図13は、本開示に係る第2の車両走行制御システムの一例を示す。図13に示される車両走行制御システム100aにおいて、車両走行制御装置114は、ネットワーク150を介して複数の車両110に接続される。ネットワーク150は、例えば、LTE(Long Term Evolution)及び第5世代移動通信システムなどの通信回線規格を用いた無線通信ネットワークを含む。車両走行制御装置114は、例えば複数の車両110を遠隔で監視する遠隔監視センタに配置される。
【0067】
上記車両走行制御システム100aにおいて、車両走行制御装置114の目標軌道生成部203(図5を参照)は、複数の車両110の目標軌道を生成してもよい。例えば、目標軌道生成部203は、図3に示される車両110A、110B、及び110Cのそれぞれについて、展開時及び展開解除時の目標軌道を生成してもよい。走行制御部204は、生成された目標軌道に従って、ネットワーク150を介して、各車両110の走行を遠隔で制御する。上記車両走行制御システム100aにおいて、走行制御部204は各車両110に配置されていてもよい。その場合、目標軌道生成部203は各車両に展開時及び展開解除時の目標軌道を送信し、各車両110において、走行制御部204が目標軌道に従って車両の走行を制御してもよい。
【0068】
本開示において、車両走行制御装置114及び目標軌道生成装置120は、それぞれ、電子制御装置又はコンピュータ装置として構成され得る。図14は、車両走行制御装置114又は目標軌道生成装置120として用いられ得る電子制御装置の構成例を示す。電子制御装置500は、CPU(Central Processing Unit)などのプロセッサ501、ROM(read only memory)502、及びRAM(random access memory)503を有する。電子制御装置500において、プロセッサ501、ROM502、及びRAM503は、バス504を介して相互に接続される。電子制御装置500は、図示は省略するが、周辺回路、通信回路、及びインタフェース回路などの他の回路を含み得る。
【0069】
ROM502は、不揮発性の記憶装置である。ROM502には、例えば比較的容量が少ないフラッシュメモリなどの半導体記憶装置が用いられる。ROM502は、プロセッサ501が実行するプログラムを格納する。
【0070】
上記プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD又はその他のメモリ技術、Compact Disc (CD)、digital versatile disc(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0071】
RAM503は、揮発性の記憶装置である。RAM503には、DRAM(Dynamic Random Access Memory)又はSRAM(Static Random Access Memory)などの各種半導体メモリデバイスが用いられる。RAM503は、データなどを一時的に格納する内部バッファとして用いられ得る。
【0072】
プロセッサ501は、ROM502に格納されたプログラムをRAM503に展開し、プログラムを実行する。CPU501がプログラムを実行することで、車両走行制御装置114内の各部の機能、又は目標軌道生成装置120内の各部の機能が実現され得る。
【0073】
以上、本開示の実施形態を詳細に説明したが、本開示は、上記説明した実施形態に限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で上記実施形態に対して変更や修正を加えたものも、本開示に含まれる。複数の実施形態は、任意に組み合わせることができる。
【0074】
例えば、上記の実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0075】
[付記1]
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得する車線情報取得部と、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得するパタン取得部と、
前記車線情報と、前記進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成する目標軌道生成部とを備える目標軌道生成装置。
【0076】
[付記2]
前記車両は、梯団走行する複数の車両に含まれる車両であり、かつ、前記複数の車両は、前記梯団走行において道幅方向に広がって展開走行する車両であり、
前記パタン取得部は、前記展開走行への移行が指示された場合、前記展開走行への移行時の進路変更パタンを取得する、付記1に記載の目標軌道生成装置。
【0077】
[付記3]
前記パタン取得部は、前記展開走行の開始が指示された場合、前記展開走行時の進路変更パタンを取得する、付記2に記載の目標軌道生成装置。
【0078】
[付記4]
前記パタン取得部は、車線変更が指示された場合、前記車線変更時の進路変更パタンを取得する、付記1に記載の目標軌道生成装置。
【0079】
[付記5]
前記車線情報取得部は、前記道路の道路中心線を示す情報を取得し、該取得した道路中心線を示す情報を用いて車線情報を取得する、付記1から4何れか1項に記載の目標軌道生成装置。
【0080】
[付記6]
前記目標軌道生成部は、前記進路変更パタンを複数の区間に分割し、該分割した複数の区間を、それぞれ各区間に対応する前記道路中心線上の地点の接線方向と一致するように傾けて、前記車線情報に重畳することで、前記目標軌道を生成する、付記5に記載の目標軌道生成装置。
【0081】
[付記7]
前記車線情報取得部は、前記道路中心線を示す情報と、進路変更後の前記車両の道幅方向の位置とに基づいて、進路変更後に前記車両が走行する位置の軌跡を生成し、該生成した軌跡を車線情報として取得する、付記5又は6に記載の目標軌道生成装置。
【0082】
[付記8]
前記進路変更パタンは、直線道路において進路変更時に前記車両が走行する位置の軌跡を示すパタンである、付記1から7何れか1項に記載の目標軌道生成装置。
【0083】
[付記9]
付記1から8何れか1項に記載の目標軌道生成装置と、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させる走行制御部とを有する車両走行制御装置。
【0084】
[付記10]
自動運転が可能に構成される1以上の車両と、
付記9に記載の車両走行制御装置とを備える車両走行制御システム。
【0085】
[付記11]
前記車両走行制御装置は前記1以上の車両のそれぞれに搭載され、各車両において、前記走行制御部は、前記車両走行制御装置が搭載される車両の走行を制御する、付記10に記載の車両走行制御システム。
【0086】
[付記12]
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを有する目標軌道生成方法。
【0087】
[付記13]
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを有する車両走行制御方法。
【0088】
[付記14]
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成することを含む処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【0089】
[付記15]
自動運転が可能に構成される車両が走行する道路の走行車線の情報を示す車線情報を取得し、
前記車両の直線道路における進路変更パタンを取得し、
前記取得された車線情報と、前記取得された進路変更パタンとに基づいて、前記車両の進路変更時の目標軌道を生成し、
進路変更時に前記車両を前記目標軌道に沿って走行させることを有する処理をプロセッサに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0090】
10:車両走行制御システム
11:車両
12:車両走行制御装置
21:車線情報取得部
22:パタン取得部
23:目標軌道生成部
24:走行制御部
15:目標軌道生成装置
100:車両走行制御システム
110:車両
111:周辺監視センサ
112:車両センサ
113:車両制御ECU
114:車両走行制御装置
115:通信装置
120:目標軌道生成装置
201:車線情報取得部
202:パタン取得部
203:目標軌道生成部
204:走行制御部
500:電子制御装置
501:プロセッサ
502:ROM
503:RAM
504:バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14