(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180053
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】情報提供装置、情報提供方法、及び情報提供プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0251 20230101AFI20241219BHJP
【FI】
G06Q30/0251
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099477
(22)【出願日】2023-06-16
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和5年1月17日に行われたオンライン会議にて説明
(71)【出願人】
【識別番号】500257300
【氏名又は名称】LINEヤフー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大屋 誠
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB08
5L049BB08
(57)【要約】
【課題】解析対象の事象について容易にRCTを実施すること。
【解決手段】本実施形態に係る情報提供装置10は、受付部12aと、選定部12bと、タスク提供部12cと、生成部12dと、コンテンツ提供部12eとを有する。受付部12aは、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける。選定部12bは、受付部12aによって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。タスク提供部12cは、選定部12bによって選定された介入対象者群に対して、タスクを提供する。生成部12dは、タスク提供部によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する。コンテンツ提供部12eは、生成部12dによって生成されたコンテンツを提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける受付部と、
前記受付部によって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する選定部と、
前記選定部によって選定された介入対象者群に対して、前記タスクを提供するタスク提供部と、
前記タスク提供部によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、前記比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する生成部と、
前記生成部によって生成されたコンテンツを提供するコンテンツ提供部と、
を備えることを特徴とする情報提供装置。
【請求項2】
前記受付部は、前記タスク情報として、前記タスクの実行目的と、対象者属性と、対象者数と、前記タスクの提供内容と、前記タスクを提供する日次情報とのうち、いずれか一つまたは複数を受け付ける
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項3】
前記タスク提供部は、前記介入対象者群に対して所定の画像を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項4】
前記タスク提供部は、前記介入対象者群から前記所定の画像に対する入力を取得する
ことを特徴とする請求項3に記載の情報提供装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、前記比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数とをそれぞれ集計し、前記介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、前記比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数との差分が大きい検索キーワードを示すコンテンツを生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の情報提供装置。
【請求項6】
前記受付部は、前記検索キーワードを分類する分類名をタスク情報としてさらに受け付け、
前記生成部は、前記受付部によって受付けられた分類名に基づき、前記コンテンツを生成する
ことを特徴とする請求項5に記載の情報提供装置。
【請求項7】
情報提供装置で実行される情報提供方法であって、
対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける受付工程と、
前記受付工程によって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する選定工程と、
前記選定工程によって選定された介入対象者群に対して、前記タスクを提供するタスク提供工程と、
前記タスク提供工程によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、前記比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する生成工程と、
前記生成工程によって生成されたコンテンツを提供するコンテンツ提供工程と、
を含むことを特徴とする情報提供方法。
【請求項8】
対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける受付手順と、
前記受付手順によって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する選定手順と、
前記選定手順によって選定された介入対象者群に対して、前記タスクを提供するタスク提供手順と、
前記タスク提供手順によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、前記比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する生成手順と、
前記生成手順によって生成されたコンテンツを提供するコンテンツ提供手順と、
をコンピュータに実行させるための情報提供プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報提供装置、情報提供方法、及び情報提供プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、研究の対象者を2つ以上のグループにランダムに分け、治療法等の効果の検証を行うランダム化比較試験(Randomized Controlled Trial:RCT)が知られている。RCTは、主に医薬研究において行われる手法であるが、広告効果の解析等の手法にも用いられる。
【0003】
RCTは、対象者を複数のグループにランダムに分けることにより、解析対象の因子以外の背景因子をグループ間で揃えることができるため、解析対象の因子の評価を適切に行うことができるという利点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】“ランダム化比較試験とは?事例で無作為化のメリットデメリットをわかりやすく例で|いちばんやさしい、医療統計”、[online]、[令和5年6月5日検索]、インターネット〈https://best-biostatistics.com/design/randomization.html〉
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、従来の技術では、解析対象の事象について容易にRCTを実施することができない場合があるという課題がある。例えば、従来の技術では、解析対象の事象に応じて、適切に対象者をランダムにグループ分けすることが困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本願に係る情報提供装置は、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける受付部と、受付部によって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する選定部と、選定部によって選定された介入対象者群に対して、タスクを提供するタスク提供部と、タスク提供部によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する生成部と、生成部によって生成されたコンテンツを提供するコンテンツ提供部とを、備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、解析対象の事象について容易にRCTを実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態に係る情報提供システムの概要を示す説明図である。
【
図2】
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る情報提供装置の記憶部に記憶されるデータの具体例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る処理の具体例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る処理により提供される情報の具体例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
【
図7】
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願に係る情報提供装置、情報提供方法、及び情報提供プログラムの実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態により本願に係る情報提供装置、情報提供方法、及び情報提供プログラムが限定されるものではない。
【0010】
〔1.はじめに〕
まず、本実施形態の情報提供装置10によるRCTの試験方法の概要について説明する。RCTは、前述した通り、対象者を複数のグループにランダムに分け、外部からの介入(人為的変化)を受ける介入対象者群と、介入を受けず比較対象となる比較対象者群とについての差を分析し、介入の効果を判定する試験方法である。
【0011】
本実施形態に係る情報提供装置10は、予め記憶された情報から、介入対象者群と比較対象者群とをランダムに選定し、介入対象者群に対してタスクの提供という介入を行った後、両群の行動傾向を比較することにより、タスクの提供の効果を解析する。
【0012】
ここで、
図1を参照し、実施形態に係る情報提供装置が行う情報処理方法の概要について説明する。
図1は、実施形態に係る情報提供システムの概要を示す説明図である。
図1に示す例において、情報提供装置10は、ネットワークNを介して、RCTの対象者の情報等を取得し、受け付けられたタスクの提供によるRCTの解析結果を利用者端末20に表示するサーバ装置であり、クラウドシステム等により実現される。また、利用者端末20は、ネットワークNを介して情報提供装置10と接続され情報の送受信が行われる情報処理端末であり、PC(Personal Computer)やスマートフォン等によって実現される。
【0013】
情報提供装置10は、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付け、タスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。そして、情報提供装置10は、介入対象者群に対してタスクを提供し、介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成した後、コンテンツを提供する。
【0014】
まず、情報提供装置10は、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける。例えば、情報提供装置10は、利用者端末20を介して、介入対象者群に対して行わせるタスクの内容や、対象者の属性の指定等のタスクに関する情報を受け付ける。
【0015】
続いて、情報提供装置10は、タスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。例えば、情報提供装置10は、試験対象者の候補となるユーザーの性別や年代等の情報を予め記憶し、当該情報を用いて、タスクについて設定された対象者の属性や対象者数を満たすように、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。
【0016】
そして、情報提供装置10は、介入対象者群に対してタスクを提供する。例えば、情報提供装置10は、介入対象者群のユーザーの通信端末に広告画像の表示やアンケートの表示をすることにより、介入対象者群にのみ特定のタスクを提供する。
【0017】
その後、情報提供装置10は、介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成した後、コンテンツを提供する。例えば、情報提供装置10は、タスクが提供された介入対象者群のユーザーの検索キーワードの傾向と、タスクが提供されていない比較対象者群のユーザーの検索キーワードの傾向とを比較し、検索数の差分や検索比率等の解析結果を示すコンテンツを生成する。その後、情報提供装置10は、例えば、生成したコンテンツを利用者端末20に表示することにより、タスクの影響の解析を希望するサービス利用者に解析結果を示すコンテンツを提供する。
【0018】
このようにして、情報提供装置10は、タスクに関する情報に応じて対象者群を自動的に選定し、RCTの実施によるタスクの影響の解析結果を利用者端末20に表示する。その結果、情報提供装置10は、解析対象の事象について容易にRCTを実施することができ、解析結果を利用者に把握させることができる。
【0019】
なお、以下の説明において、利用者とは、タスクの影響の解析を希望するサービス利用者を指し、ユーザーとは、試験対象者の候補であり、介入対象者群及び比較対象者群を構成する人員を指すものとする。
【0020】
〔2.情報提供装置10の構成〕
次に、
図2を参照し、
図1に示した情報提供装置10の構成を説明する。
図2は、実施形態に係る情報提供装置の構成例を示す図である。
図2に示すように、実施形態に係る情報提供装置10は、通信部11と、制御部12と、記憶部13とを有する。また、情報提供装置10と利用者端末20とはネットワークNを介して有線又は無線により互いに通信可能に接続される。
【0021】
通信部11は、例えば、NIC(Network Interface Card)等によって実現される。通信部11は、ネットワークNと有線又は無線で接続され、ネットワークNを介して、利用者端末20との間で情報の送受信を行う。
【0022】
記憶部13は、例えば、RAM(Random Access Memory)やハードディスク等の記憶装置によって実現される。記憶部13は、制御部12による各種処理に必要なデータ及びプログラムを格納するが、特に本発明に密接に関連するものとしては、対象者情報記憶部13aとタスク情報記憶部13bとコンテンツ情報記憶部13cとを有する。
【0023】
対象者情報記憶部13aは、RCTの試験対象者の候補となるユーザーについての情報を記憶する。例えば、対象者情報記憶部13aは、外部のアプリケーション等に登録されることにより性別や年齢等の情報が取得されたユーザーを、RCTの試験対象者候補のユーザーとして設定し、当該ユーザーの情報をそれぞれ記憶する。なお、前述した対象者の情報は、対象者の購買履歴等の情報から推定された情報が記憶されてもよい。
【0024】
ここで、
図3(A)を参照し、対象者情報記憶部13aに記憶されるデータの具体例について説明する。
図3は、実施形態に係る情報提供装置の記憶部に記憶されるデータの具体例を示す図である。
図3(A)の例では、試験対象者候補となるユーザーにID(identifier)がそれぞれ付され、各IDにユーザーの性別や年代を紐づけて記憶されることが示されている。対象者情報記憶部13aは、例えば、「ID:0001」のユーザーについて、「性別:男性」、「年代:20~29歳」というように、IDとユーザーの情報とを紐づけて記憶する。
【0025】
タスク情報記憶部13bは、介入対象者群に提供するタスクに関する情報を記憶する。例えば、タスク情報記憶部13bは、介入対象者群に提供するタスクについて、タスクの目的や、対象者の属性、タスクの内容等の情報を記憶する。
【0026】
ここで、
図3(B)を参照し、タスク情報記憶部13bに記憶されるデータの具体例について説明する。
図3(B)の例では、実施対象のタスクに番号がそれぞれ付され、各タスクの目的、対象者属性、対象者数、タスク内容、日次情報が記憶されることが示されている。
【0027】
タスク情報記憶部13bは、例えば、「タスク番号:1」のタスクについて、「目的:広告効果解析」、「対象者属性:20~29歳」、「対象者数:10000」、「タスク内容:広告画像の閲覧」、「日次情報:1回」というように、タスク番号とタスクに関する情報とを紐づけて記憶する。
【0028】
コンテンツ情報記憶部13cは、後述する生成部12dによって生成されたコンテンツに関する情報を記憶する。例えば、コンテンツ情報記憶部13cは、タスクの提供後1週間における、介入対象者群と比較対象者群とで検索数の差分が大きいキーワードを示す解析結果のコンテンツを記憶する。
【0029】
ここで、
図3(C)を参照し、コンテンツ情報記憶部13cに記憶されるデータの具体例について説明する。
図3(C)の例では、介入対象者群と比較対象者群とで検索数の差分が大きいキーワードについて、介入対象者群の検索数と、比較対象者群の検索数と、両者の差分の値について記憶することが示されている。
【0030】
コンテンツ情報記憶部13cは、例えば、「キーワード:カレー」について、「介入対象者群:5000」、「比較対象者群:1500」、「差分:3500」というように、それぞれのキーワードと検索数の解析結果の情報を紐づけて記憶する。
【0031】
図2の説明に戻る。制御部12は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等によって、情報提供装置10内部の記憶装置に記憶されている各種プログラムがRAMを作業領域として実行されることにより実現される。また、制御部12は、例えば、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field Programmable Gate Array)などの集積回路により実現される。制御部12は、受付部12aと、選定部12bと、タスク提供部12cと、生成部12dと、コンテンツ提供部12eとを有する。
【0032】
受付部12aは、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける。また、受付部12aは、タスク情報として、タスクの実行目的と、対象者属性と、対象者数と、タスクの提供内容と、タスクを提供する日次情報とのうち、いずれか一つまたは複数を受け付けてもよい。
【0033】
例えば、受付部12aは、介入対象者群に対して提供するタスクについて、タスクの実行目的と、対象者の属性の指定と、対象者数の指定と、タスクの提供内容と、タスクを提供する日次の指定とを、利用者端末20から受け付け、タスク情報記憶部13bに格納する。
【0034】
さらに、受付部12aは、検索キーワードを分類する分類名をタスク情報としてさらに受け付けてもよい。例えば、受付部12aは、料理名や食材名、病名、人物名等の、検索キーワードを分類する分類名(グループ名)をタスク情報としてさらに受け付け、タスク情報記憶部13bに格納する。
【0035】
なお、受付部12aは、前述の分類名を、後述するコンテンツ提供部12eによって、検索数の差分が大きいキーワードを示すコンテンツが提供された後に、利用者端末20から受け付けてもよい。また、受付部12aは、分類名の他に、検索キーワード自体を受け付けてもよい。例えば、受付部12aは、「料理名」という分類名の他に、「カレー」という検索キーワード自体を受け付けてもよい。
【0036】
選定部12bは、受付部12aによって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。例えば、選定部12bは、対象者情報記憶部13a及びタスク情報記憶部13bに記憶されている情報を参照し、タスク情報の一部である対象者属性の指定や対象者数の指定を満たすように、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。
【0037】
具体的には、タスク情報として、「対象者属性:20~29歳」、「対象者数:10000」とが指定された場合には、選定部12bは、20~29歳のユーザー10000人で構成された介入対象者群と、同様の構成である比較対象者群とをそれぞれ選定する。なお、介入対象者群と比較対象者群とは、なるべく同様の構成となるようにユーザーが選定されるものとする。
【0038】
タスク提供部12cは、選定部12bによって選定された介入対象者群に対して、タスクを提供する。例えば、タスク提供部12cは、タスク情報記憶部13bに記憶された情報を参照し、前述の選定部12bによって選定された介入対象者群に対して、広告画像の表示やアンケートの実施等のタスクを、毎週月曜日合計3回等の日次情報に応じて提供する。
【0039】
ここで、タスク提供部12cは、例えば、タスクの日次情報が「5日に分けて行う」と設定されている場合には、介入対象者群をさらに5つのグループに分割し、各グループに対して別の日にタスクを提供してもよい。つまり、タスク提供部12cは、タスク情報に応じて、タスクを提供するユーザーとタスクの提供タイミングとを限定してもよい。
【0040】
また、タスク提供部12cは、介入対象者群に対して所定の画像を表示してもよい。さらに、タスク提供部12cは、介入対象者群から所定の画像に対する入力を取得してもよい。例えば、タスク提供部12cは、介入対象者群に含まれるユーザーに対して、新作映画の予告ポスター等の画像を表示し、当該画像についてのアンケートに対するユーザーからの回答の入力を取得する。
【0041】
ここで、タスク提供部12cは、介入対象者群に含まれるユーザーの通信端末に、タスクの内容を記載したメール送信を行うことによりタスクを提供してもよいし、ユーザーの通信端末に予めダウンロードされたアプリケーションを介してタスクを提供してもよい。なお、タスク提供部12cは、例えば、介入対象者群に対して、所定の画像として特定の動画を閲覧させてもよいし、当該動画の感想の文字入力を介入対象者群からの入力として取得してもよい。
【0042】
また、タスク提供部12cは、タスクとして提供した画像に対するユーザーの入力を取得するが、当該処理を行うことにより、ユーザーに正しくタスクが提供されたことを判断することができる。つまり、ユーザーの通信端末にメール送信を行う処理や、画像を表示する処理のみでは、ユーザーに正しくタスクが提供されていない場合(ユーザーがメールを受信したのみで開封していない場合等)が考えられるため、ユーザーからのタスクに対する回答が入力されることにより、ユーザーに正しくタスクが提供されたことを判断することができる。
【0043】
生成部12dは、タスク提供部12cによってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する。例えば、生成部12dは、各群のユーザーによる検索数が大きい検索キーワードや、各群で共通して検索された検索キーワード、介入(タスクの提供)前後で検索数が大きく変化した検索キーワード、介入前後で検索数にあまり変化がなかった検索キーワード等を示すコンテンツを生成する。なお、生成部12dは、検索キーワード以外にも、ユーザーの購買傾向や閲覧したサイトの種別等の情報を行動傾向として、コンテンツを生成してもよい。
【0044】
また、生成部12dは、介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数とをそれぞれ集計し、介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数との差分が大きい検索キーワードを示すコンテンツを生成してもよい。
【0045】
例えば、生成部12dは、介入対象者群と比較対象者群とのそれぞれについて、検索キーワードを検索したユニークユーザー数を、検索キーワードごとに集計する。その後、生成部12dは、例えば、介入対象者群のユニークユーザー数と比較対象者群のユニークユーザー数との差分が、予め設定された閾値よりも大きい検索キーワードを抽出し、当該検索キーワードと両群のユニークユーザー数と差分とを示すコンテンツを生成する。そして、生成部12dは、生成したコンテンツをコンテンツ情報記憶部13cに格納する。
【0046】
ここで、ユニークユーザー数とは、ウェブサイトのアクセス量を判断する基準であり、一定期間内に特定のサイトに訪れたユーザー数を指すが、同一のユーザーが複数回訪問してもユニークユーザー数は1回分のみ計測される。本実施形態に係る情報提供装置10は、ウェブサイトのアクセス量ではなく、キーワードの検索量についてユニークユーザー数を適用している。つまり、本実施形態において、ユニークユーザー数は、各群の中で対象の検索キーワードを1回でも検索したことがあるユーザー数を示す。
【0047】
また、生成部12dが検索数の比較処理を行う期間は、コンテンツ提供後の1ヵ月等であり、予め利用者によって指定されてもよいし、対象者属性や対象者数の指定に応じて、自動的に設定されてもよい。さらに、生成部12dは、例えば、介入対象者群のユーザーの検索キーワードの数や、比較対象者群の検索キーワードの数が閾値を超えてからコンテンツ生成処理を行うようにしてもよい。
【0048】
さらに、生成部12dは、受付部12aによって受付けられた分類名に基づき、コンテンツを生成する。例えば、生成部12dは、タスク情報記憶部13bに記憶された「分類名:料理名」を参照し、「料理名」についてのユニークユーザー数の性年代属性分布や、検索率の変動等の情報を示すコンテンツを生成する。
【0049】
コンテンツ提供部12eは、生成部12dによって生成されたコンテンツを提供する。例えば、コンテンツ提供部12eは、コンテンツ情報記憶部13cに記憶された情報を参照し、外部の利用者端末20に解析結果を示すコンテンツを表示することにより、利用者にコンテンツを提供する。
【0050】
〔3.情報処理の具体例〕
続いて、
図4を参照し、実施形態に係る情報処理の具体例について説明する。
図4は、実施形態に係る情報処理の具体例を示す図である。以下では、外部からのタスク情報受け付け処理から、タスクの広告効果の解析結果を示すコンテンツの提供処理までについて順に説明する。
【0051】
まず、受付部12aは、タスクの広告効果の解析を求める利用者から、「目的:広告効果の解析」、「対象者属性:20~30代、性別問わず」、「対象者数:10000人」、「タスク内容:ソースポットの宣伝画像の閲覧」、「日次情報:任意の時間に1回」というタスクについての情報を受け付ける。
【0052】
次に、選定部12bは、予め記憶された試験対象者の情報を基に、タスク情報の「対象者属性:20~30代、性別問わず」、「対象者数:10000人」を満たすように、介入対象者群と比較対象者群とをそれぞれ選定する。続いて、タスク提供部12cは、介入対象者群のユーザーの通信端末に「ソースポットの宣伝画像」を表示することにより、「ソースポットの宣伝画像の閲覧」というタスクを提供する。
【0053】
その後、生成部12dは、「ソースポットの宣伝画像の閲覧」というタスク提供後の1週間において、介入対象者群の検索数と、比較対象者群の検索数との差分が大きい検索キーワードを示すコンテンツであるキーワードリスト「カレー、シチュー、レードル・・・」を生成し、利用者にキーワードリストを提供する。
【0054】
次に、受付部12aは、利用者から検索キーワードのグループ名として「料理名」の指定を受け付ける。そして、生成部12dは、介入対象者群と比較対象者群や介入前と介入後における、「料理名」を検索したユニークユーザー数の変動について統計的に比較し、比較結果を示すコンテンツを生成した後、利用者に比較結果を提供する。
【0055】
次に、
図5を参照し、利用者に提供されるコンテンツについて説明する。
図5は、実施形態に係る処理により提供される情報の具体例を示す図である。
図5では、前述の
図4の具体例により生成されるコンテンツの例が示されており、「料理名」と「カレー」とが指定された場合の解析結果が示されている。
【0056】
例えば、介入対象者群の全体「10000人」について、「料理名」を検索したユニークユーザーの数は、「介入前:3500」、「介入後:6000」であり、「検索率:171%」であることが示されている。一方で、比較対象者群の全体「10000人」について、「料理名」を検索したユニークユーザーの数は、「介入前:3800」、「介入後:4000」であり、「検索率:105%」であることが示されている。なお、「検索率=介入後/介入前×100」で計算される。
【0057】
つまり、前述の結果から、介入対象者群は「ソースポットの宣伝画像の閲覧」というタスクの提供前後において、料理名の検索率が171%に上昇したのに対し、比較対象者群は検索率が105%であり、あまり検索率に変動がなかったといえる。したがって、「ソースポットの宣伝画像の閲覧」というタスクを提供することにより、料理名を検索するユーザー数が有意に増加したことが把握される。
【0058】
また、
図5の例では、例えば、ユーザーを「20-29歳」に限定した場合の検索率等や、「カレー」を検索したユーザーに限定した場合の検索率等が示されている。情報提供装置10は、利用者による解析対象の限定に応じて、ユーザー数(検索数)を集計して集計結果を提供することにより、利用者が求める情報を適切に提供することができる。
【0059】
〔4.処理手順〕
次に、
図6を参照して、情報提供装置10の処理について説明する。
図6は、実施形態に係る処理手順の一例を示すフローチャートである。
図6に示す例では、受付部12aは、外部の利用者端末20等からタスク情報を受け付ける(ステップS101)。タスク情報を受け付けていない場合(ステップS101;No)、受付部12aは、タスク情報を受け付けるまで待機する。
【0060】
一方、受付部12aがタスク情報を受け付けた場合(ステップS101;Yes)、選定部12bは、タスク情報に基づき介入対象者群と比較対象者群とを選定する(ステップS102)。そして、タスク提供部12cは、介入対象者群に対して、タスクを提供する(ステップS103)。
【0061】
その後、生成部12dは、介入対象者群の検索数(ユニークユーザー数)と、比較対象者群の検索数(ユニークユーザー数)との差分が大きい検索キーワードを示すコンテンツを生成する(ステップS104)。続いて、コンテンツ提供部12eは、差分が大きいキーワードを示すコンテンツを利用者に提供する(ステップS105)。
【0062】
その後、受付部12aは、外部の利用者端末20等から、検索キーワードの分類名をさらに受け付ける(ステップS106)。検索キーワードの分類名を受け付けていない場合(ステップS106;No)、情報提供装置10は工程を終了する。
【0063】
一方、検索キーワードを受け付けた場合(ステップS106;Yes)、生成部12dは、分類名に基づき検索状況を集計したコンテンツを生成する(ステップS107)。その後、コンテンツ提供部12eは、検索状況を集計したコンテンツを利用者に提供し(ステップS108)、情報提供装置10は工程を終了する。
【0064】
〔5.効果〕
前述してきたように、本実施形態に係る情報提供装置10は、受付部12aと、選定部12bと、タスク提供部12cと、生成部12dと、コンテンツ提供部12eとを有する。受付部12aは、対象者に対して行わせるタスクに関するタスク情報を受け付ける。選定部12bは、受付部12aによって受け付けられたタスク情報に応じて、介入対象者群と比較対象者群とを選定する。
【0065】
タスク提供部12cは、選定部12bによって選定された介入対象者群に対して、タスクを提供する。生成部12dは、タスク提供部によってタスクが提供された介入対象者群による行動傾向と、比較対象者群による行動傾向とを比較したコンテンツを生成する。コンテンツ提供部12eは、生成部12dによって生成されたコンテンツを提供する。
【0066】
これにより、情報提供装置10は、タスクの内容に応じた対象者群を選定してRCTを実施した後、解析結果を利用者に提供することにより、解析対象の事象について容易にRCTを実施して解析結果を利用者に把握させることができるという効果を奏する。
【0067】
また、情報提供装置10の受付部12aは、タスク情報として、タスクの実行目的と、対象者属性と、対象者数と、タスクの提供内容と、タスクを提供する日次情報とのうち、いずれか一つまたは複数を受け付ける。これにより、情報提供装置10は、利用者からのタスク情報の指定に応じて、対象者群の選定やタスクの提供頻度を決定するため、利用者の希望に応じたRCTを容易に実施することができるという効果を奏する。
【0068】
さらに、情報提供装置10のタスク提供部12cは、介入対象者群に対して所定の画像を表示する。これにより、情報提供装置10は、介入対象者群に対して広告等の閲覧をさせることにより、閲覧させた広告の広告効果を解析することができる。
【0069】
また、情報提供装置10のタスク提供部12cは、介入対象者群から所定の画像に対する入力を取得する。これにより、情報提供装置10は、介入対象者群に画像を表示させることに加え、画像に対する回答を取得することにより、介入対象者群のユーザーが画像を閲覧したことを確認することができるという効果を奏する。
【0070】
さらに、情報提供装置10の生成部12dは、介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数とをそれぞれ集計し、介入対象者群が検索した検索キーワードの検索数と、比較対象者群が検索した検索キーワードの検索数との差分が大きい検索キーワードを示すコンテンツを生成する。
【0071】
これにより、情報提供装置10は、タスクが提供された介入対象者群と、介入が行われていない比較対象者群とで差分が大きく、タスクの影響が強いと考えられる検索キーワードについて、利用者に把握させることができるという効果を奏する。
【0072】
また、情報提供装置10の受付部12aは、検索キーワードを分類する分類名をタスク情報としてさらに受け付け、生成部12dは、受付部12aによって受付けられた分類名に基づき、コンテンツを生成する。これにより、情報提供装置10は、タスクの影響が強いと考えられる検索キーワードを分類する分類名によって解析内容を限定したコンテンツを生成することにより、利用者の希望に対応した解析結果を提供することができるという効果を奏する。
【0073】
〔6.ハードウェア構成〕
また、前述した実施形態に係る情報提供装置10は、例えば
図7に示すようなコンピュータ1000によって実現される。
図7は、ハードウェア構成の一例を示す図である。コンピュータ1000は、出力装置1010、入力装置1020と接続され、演算装置1030、一次記憶装置1040、二次記憶装置1050、出力I/F(Interface)1060、入力I/F1070、ネットワークI/F1080、がバス1090により接続された形態を有する。
【0074】
演算装置1030は、一次記憶装置1040や二次記憶装置1050に格納されたプログラムや入力装置1020から読み出したプログラム等に基づいて動作し、各種の処理を実行する。演算装置1030は、例えば、CPU、MPU、ASIC、FPGA等により実現される。
【0075】
一次記憶装置1040は、RAM等の演算装置1030が各種の演算に用いるデータを一次的に記憶するメモリ装置である。また、二次記憶装置1050は、演算装置1030が各種の演算に用いるデータや、各種のデータベースが登録される記憶装置であり、ROM、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ等により実現される。二次記憶装置1050は、内蔵ストレージであってもよいし、外付けストレージであってもよい。
【0076】
さらに、二次記憶装置1050は、USB(Universal Serial Bus)メモリやSD(Secure Digital)メモリカード等の取り外し可能な記憶媒体であってもよい。また、二次記憶装置1050は、クラウドストレージ(オンラインストレージ)やNAS(Network Attached Storage)、ファイルサーバ等であってもよい。
【0077】
出力I/F1060は、ディスプレイ、プロジェクタ及びプリンタ等といった各種の情報を出力する出力装置1010に対し、出力対象となる情報を送信するためのインターフェースであり、例えば、USBやDVI(Digital Visual Interface)、HDMI(登録商標)(High Definition Multimedia Interface)といった規格のコネクタにより実現される。
【0078】
また、入力I/F1070は、マウス、キーボード、キーパッド、ボタン及びスキャナ等といった各種の入力装置1020から情報を受信するためのインターフェースであり、例えば、USB等により実現される。
【0079】
また、出力I/F1060及び入力I/F1070はそれぞれ出力装置1010及び入力装置1020と無線で接続してもよい。すなわち、出力装置1010及び入力装置1020は、ワイヤレス機器であってもよい。
【0080】
また、出力装置1010及び入力装置1020は、タッチパネルのように一体化していてもよい。この場合、出力I/F1060及び入力I/F1070も、入出力I/Fとして一体化していてもよい。
【0081】
なお、入力装置1020は、例えば、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、PD(Phase change rewritable Disc)等の光学記録媒体、MO(Magneto-Optical disk)等の光磁気記録媒体、テープ媒体、磁気記録媒体又は半導体メモリ等から情報を読み出す装置であってもよい。
【0082】
ネットワークI/F1080は、ネットワークNを介して他の機器からデータを受信して演算装置1030へ送り、また、ネットワークNを介して演算装置1030が生成したデータを他の機器へ送信する。
【0083】
演算装置1030は、出力I/F1060や入力I/F1070を介して、出力装置1010や入力装置1020の制御を行う。例えば、演算装置1030は、入力装置1020や二次記憶装置1050からプログラムを一次記憶装置1040上にロードし、ロードしたプログラムを実行する。
【0084】
〔7.その他〕
以上、本願の実施形態を説明したが、これら実施形態の内容により本発明が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【0085】
また、上記実施形態において説明した各処理のうち、自動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を手動的に行うこともでき、あるいは、手動的に行われるものとして説明した処理の全部又は一部を公知の方法で自動的に行うこともできる。
【0086】
この他、上記文書中や図面中で示した処理手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更することができる。例えば、各図に示した各種情報は、図示した情報に限られない。
【0087】
さらに、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部又は一部を各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、情報提供装置10の各機能の全部又は一部を利用者端末20が行うようにしてもよい。
【0088】
また、上述してきた実施形態は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【0089】
さらに、上述してきた「部(Section、module、unit)」は、「手段」や「回路」などに読み替えることができる。例えば、取得部は、取得手段や取得回路に読み替えることができる。
【符号の説明】
【0090】
10 情報提供装置
11 通信部
12 制御部
12a 受付部
12b 選定部
12c タスク提供部
12d 生成部
12e コンテンツ提供部
13 記憶部
13a 対象者情報記憶部
13b タスク情報記憶部
13c コンテンツ情報記憶部
20 利用者端末