(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180062
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 45/50 20180101AFI20241219BHJP
F21S 43/14 20180101ALI20241219BHJP
F21V 23/00 20150101ALI20241219BHJP
F21S 45/47 20180101ALI20241219BHJP
F21V 29/503 20150101ALI20241219BHJP
F21V 29/76 20150101ALI20241219BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20241219BHJP
F21W 103/40 20180101ALN20241219BHJP
【FI】
F21S45/50
F21S43/14
F21V23/00 160
F21S45/47
F21V29/503
F21V29/76
F21Y115:10 500
F21W103:40
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099489
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】菊地 賢三
【テーマコード(参考)】
3K014
【Fターム(参考)】
3K014AA01
(57)【要約】
【課題】光源ユニットを水から保護しつつ光源ユニットの放熱性を高めた車両用灯具を提供する。
【解決手段】前方に向けて光を照射する光源ユニット、および光源ユニットが取り付けられる灯体ケースを有する灯体と、灯体を後方から覆うカバーと、を備え、光源ユニットは、灯体ケースの内部に配置される発光部と、灯体ケースから後方に突出し配線が接続される配線接続部と、を有し、カバーは、配線接続部の後方に位置する後方被覆部と、後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して灯体の上方に配置される上方被覆部と、後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して灯体の下方に配置される下方被覆部と、を有し、上方被覆部の前端は、灯体ケースの前端よりも前方に位置し、下方被覆部の前端は、前後方向において灯体ケースに重なる、車両用灯具。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
前方に向けて光を照射する光源ユニット、および前記光源ユニットが取り付けられる灯体ケースを有する灯体と、
前記灯体を後方から覆うカバーと、を備え、
前記光源ユニットは、
前記灯体ケースの内部に配置される発光部と、
前記灯体ケースから後方に突出し配線が接続される配線接続部と、を有し、
前記カバーは、
前記配線接続部の後方に位置する後方被覆部と、
前記後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して前記灯体の上方に配置される上方被覆部と、
前記後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して前記灯体の下方に配置される下方被覆部と、を有し、
前記上方被覆部の前端は、前記灯体ケースの前端よりも前方に位置し、
前記下方被覆部の前端は、前後方向において前記灯体ケースに重なる、
車両用灯具。
【請求項2】
前記上方被覆部は、前方に向かうに従い上方に傾斜して延びる、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記灯体ケースは、
前方に開口する開口部および前記開口部の後方に位置し前記光源ユニットが取り付けられる底板部を有するケース本体と、
前記開口部を覆うアウターレンズと、を有する、
請求項1に記載の車両用灯具。
【請求項4】
前記光源ユニットは、前記灯体ケースから後方に突出する放熱部を有する、
請求項1~3の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
屋外、または浴室などで使用される灯具には、水が内部に侵入しないための構造が求められる。特許文献1には、浴室の天井に取り付けられる照明器具であって、天井から滴下する水滴が内部に侵入することを抑制するカバーを有するものが開示されている。一方で水平方向に光を照射する車両用灯具では、上方から滴下する水のみならず、下方から跳ね上がる水に対しても内部への水の侵入を抑制する構造が求められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両用灯具において、車両用灯具の様に照射する方向が水平方向であるような構造とした際に、従来技術の構成とした場合上方から水滴が内部に侵入してしまう構造となってしまっている。また、光源ユニットを密閉した空間内に配置することで、光源ユニットを水から保護することができるが、光源ユニットの放熱が不十分になることで、発光量が低下するおそれがあった。
【0005】
本発明は、このような従来の事情に鑑みて提案されたものであり、光源ユニットを水から保護しつつ光源ユニットの放熱性を高めた車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明は以下の手段を提供する。
[1] 前方に向けて光を照射する光源ユニット、および前記光源ユニットが取り付けられる灯体ケースを有する灯体と、前記灯体を後方から覆うカバーと、を備え、前記光源ユニットは、前記灯体ケースの内部に配置される発光部と、前記灯体ケースから後方に突出し配線が接続される配線接続部と、を有し、前記カバーは、前記配線接続部の後方に位置する後方被覆部と、前記後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して前記灯体の上方に配置される上方被覆部と、前記後方被覆部から前方に向けて突出し隙間を介して前記灯体の下方に配置される下方被覆部と、を有し、前記上方被覆部の前端は、前記灯体ケースの前端よりも前方に位置し、前記下方被覆部の前端は、前後方向において前記灯体ケースに重なる、車両用灯具。
[2] 前記上方被覆部は、前方に向かうに従い上方に傾斜して延びる、前記[1]に記載の車両用灯具。
[3] 前記灯体ケースは、前方に開口する開口部および前記開口部の後方に位置し前記光源ユニットが取り付けられる底板部を有するケース本体と、前記開口部を覆うアウターレンズと、を有する、前記[1]に記載の車両用灯具。
[4] 前記光源ユニットは、前記灯体ケースから後方に突出する放熱部を有する、前記[1]~[3]の何れか一項に記載の車両用灯具。
【発明の効果】
【0007】
以上のように、本発明によれば、光源ユニットを水から保護しつつ光源ユニットの放熱性を高めた車両用灯具が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、一実施形態の車両を示す背面図である。
【
図2】
図2は、一実施形態の車両用灯具の斜視図であり、リアバンパーに取り付けられた状態を示す。
【
図3】
図3は、一実施形態の車両用灯具の断面図である。
【
図4】
図4は、一実施形態の車両用灯具の断面図であり、水の経路を示す図である。
【
図5】
図5は、一実施形態の車両用灯具の断面図であり、内部を通過する空気の流れる経路を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
なお、以下の説明で用いる図面においては、各構成要素を見やすくするため、構成要素によって寸法の縮尺を異ならせて示すことがあり、各構成要素の寸法比率などが実際と同じであるとは限らない。
【0010】
以下の説明では、水平な路面上に位置する車両100に搭載された車両用灯具1を基に、車両用灯具1の各部の位置を説明する。また、図面においては、適宜3次元直交座標系としてXYZ座標系を示す。各図において、Z軸方向は、鉛直方向であり、+Z側は、鉛直方向上側であり、-Z側は、鉛直方向下側である。本明細書では、鉛直方向上側を単に「上方」と呼び、鉛直方向下側を単に「下方」と呼ぶ。X軸方向は、Z軸方向と直交する方向であって、本実施形態の車両用灯具1が搭載される車両100の前後方向である。Y軸方向は、X軸方向とZ軸方向との両方と直交する方向であって、車両の左右方向、すなわち車幅方向である。
【0011】
<車両>
図1は、車両用灯具1を備えた車両100を示す背面図である。
図1に示すように、車両100の後端に取り付けられるリアバンパー101には、一対の車両用灯具1が取り付けられる。一対の車両用灯具1は、それぞれリアバンパー101の車幅方向の両側に左右対称に設けられている。
【0012】
図2は、リアバンパー101に取り付けられた状態の車両用灯具1の斜視図である。
図2に示すように、車両用灯具1は、ハウジング30と、ハウジング30に固定されるリフレックスリフレクタ3および灯体10を備えている。ハウジング30は、リアバンパー101の裏面側から固定される。リアバンパー101には、開口部2が設けられる。リフレックスリフレクタ3および灯体10は、リアバンパー101の開口部2から外方に臨むように配置される。本実施形態の灯体10は、リアフォグランプである。しかしながら、灯体10は、リアフォグランプとして利用されるものに限定されることはない。
【0013】
<車両用灯具>
図3は、車両用灯具1の断面図である。車両用灯具1は、灯体10において、車両100の進行方向後方に向けて光を照射する。本明細書においては、車両用灯具1の光の照射方向を前方として各部の方向を規定する。また、以下の説明における「前方」は、+X側であり、車両の進行方向後方に該当し、以下の説明における「後方」は、-X側であり、車両の進行方向前方に該当する。なお、本実施形態と同様の車両用灯具1は、車両の進行方向後方に向けて光を照射するものに限定されるものではなく、車両の進行方向前方に向けて光を照射するものであってもよい。
【0014】
図3に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、上述した灯体10、リフレックスリフレクタ3(
図3で省略)、およびハウジング30に加えて、灯体10を後方から覆うカバー20を有する。
【0015】
<灯体>
灯体10は、灯体ケース40と、インナーレンズ50と、光源ユニット60と、を有する。光源ユニット60は、前後方向(X軸)に延びる光軸Lに沿って前方(+X)に光を照射する。
【0016】
<灯体ケース40>
灯体ケース40は、内部に封止空間Aが設けられる。封止空間Aには、光源ユニット60の一部とインナーレンズ50とが配置される。また、灯体ケース40の後端部には、光源ユニット60が取り付けらえる。灯体ケース40は、ケース本体45と、アウターレンズ41と、を有する。ケース本体45およびアウターレンズ41は、封止空間Aを囲む。ケース本体45およびアウターレンズ41は、何れも合成樹脂製の樹脂成形部品からなる。特に、アウターレンズ41は、透光性の合成樹脂から構成される。
【0017】
ケース本体45は、前方に開口する開口部45kが設けられた有低筒形状を有する。ケース本体45は、図示略の固定部において、ケース本体45の前方に位置するハウジング30に固定される。
【0018】
ケース本体45は、底部45aと、筒状部45bと、を有する。底部45aは、光軸Lに対し直交する平面に沿って延びる板状である。底部45aは、開口部45kの後方に位置する。底部45aには、底部45aを光軸Lに沿って貫通する保持孔45hが設けられる。また、底部45aには、後方から光源ユニット60が取り付けられる。これにより、光源ユニット60の一部は、保持孔45hの内部に配置されるとともに、保持孔45hを覆う。
【0019】
筒状部45bは、底部45aの外縁から前方に延びる。筒状部45bは、光軸Lを外側から囲む筒状である。ここで、筒状とは、円筒状に限らず、軸方向から見て矩形状の角筒形状であってもよい。筒状部45bの前端45cは、光軸Lと直交する平面に対し傾斜する仮想平面に沿って延びる。筒状部45bの前端45cが配置される仮想平面は、上方に向かうに従い前方に向けて傾斜する。また、筒状部45bは、前端45cよりも若干後方に位置するフランジ部45fを有する。フランジ部45fは、光軸Lに対する径方向外側に突出する。
【0020】
アウターレンズ41は、ケース本体45の開口部45kを覆う。アウターレンズ41は、アウターレンズ本体部41aと、固定枠部42と、を有する。アウターレンズ本体部41aは、上方に向かうに従い前方に位置する方向に傾斜する板状である。光源ユニット60から出射された光は、アウターレンズ本体部41aを通って前方に照射される。
【0021】
固定枠部42は、アウターレンズ本体部41aの外縁に設けられる。固定枠部42の外縁は、ケース本体45のフランジ部45fに接触する。これにより、アウターレンズ本体部41aがケース本体45に対して前後方向に位置決めされる。固定枠部42には、凹溝42aが設けられる。凹溝42aは、後方に開口する。また、凹溝42aは、光軸Lを中心とする周方向に沿って延びる。凹溝42aには、ケース本体45の前端45cが配置される。また、凹溝42aには、シール部材Sが充填される。シール部材Sは、例えば液状ガスケットなどの未硬化の状態で流動性を有し、硬化することで接着性を発揮する部材であることが好ましい。シール部材Sは、凹溝42aの内側面とケース本体45の前端45cとの間を封止する。
【0022】
<インナーレンズ>
インナーレンズ50は、透光性の合成樹脂から構成される。インナーレンズ50は、灯体ケース40の封止空間Aの内部に配置され、ケース本体45の底部45aに沿って配置される。インナーレンズ50は、光軸Lと直交する平面に沿って延びる略板状である。図示を省略するが、インナーレンズ50は、ケース本体45の底部にネジ止めなどの手段によって固定される。インナーレンズ50は、前後方向において光源ユニットと対向する対向面50aと、対向面50aの反対側を向く出射面50bと、を有する。本実施形態において、対向面50aは、光軸Lと直交する平坦面である。一方で、出射面50bは、前方に向かって突出する凸曲面である。光源ユニット60から出射した光は、出射面50bを通過する際に拡散されて前方に照射される。
【0023】
<光源ユニット>
光源ユニット60は、ベース部62と、回路基板61と、放熱部63と、配線接続部64と、を有する。回路基板61は、ベース部62の前方でベース部62に支持される。一方で、放熱部63および配線接続部64は、ベース部62の後方でベース部62に支持される。
【0024】
ベース部62は、放熱部63と配線接続部とをインサート成形することによって形成される樹脂部材である。ベース部62は、ベース部本体62aと、台座部62bと、を有する。ベース部本体62aは、ケース本体45の外部に配置される。ベース部本体62aの前方を向く面は、ケース本体45の底部45aの後方を向く面に取り付けられる。台座部62bは、ベース部本体62aから前方に突出しケース本体45の保持孔45hの内部に配置される。台座部62bの前方を向く面は、回路基板61を後方から支持する。
【0025】
回路基板61、灯体ケース40の封止空間Aに配置される。封止空間Aは、水分の侵入が抑制されているため、回路基板61を封止空間Aに配置することで、回路基板61を水分から保護できる。回路基板61は、光軸Lと直交して配置される基板本体61aと、基板本体61aに実装される発光素子(発光部)61bと、を有する。すなわち、光源ユニット60は、灯体ケース40の内部に配置される発光素子61bを有する。
【0026】
発光素子61bは、基板本体61aの前方を向く面に実装される。発光素子61bは、回路基板61に複数設けられていてもよい。本実施形態の発光素子61bは、例えば、赤色光(以下、光という。)を発するチップLED(SMD LED)からなる。
【0027】
基板本体61aは、矩形平板状のプリント配線基板である。基板本体61aには、図示略の配線パターンが設けられる。基板本体61aの前方を向く面には、発光素子61b以外に、発光素子61bを駆動する駆動回路を構成する複数の電子部品が実装される。また、基板本体61aには、配線接続部64のリード端子(図示略)が半田などによって接合されている。
【0028】
放熱部63は、灯体ケース40から後方に突出する。したがって、放熱部63は、灯体ケース40の外部に配置される。放熱部63は、熱伝導性の高い金属材料から構成される。放熱部63は、複数の放熱フィン63fを有する。放熱フィン63fは、光軸Lに沿って延びる板状である。放熱部63は、ヒートシンクとして機能する。放熱部63は、放熱フィン63fにおいて、発光素子61bの熱を空気中に放出し、発光素子61bを冷却する。
【0029】
配線接続部64は、灯体ケース40から後方に突出する。したがって、配線接続部64は、灯体ケース40の外部に配置される。配線接続部64には、複数のリード端子(図示略)が設けられる。配線接続部64には、光源ユニット60に電力を供給する配線90が接続される。配線90の先端には、コネクタ部92が設けられる。コネクタ部は、配線接続部64のリード端子に着脱可能に接続される。
【0030】
<カバー>
カバー20は、灯体10を後方から覆う。カバー20は、灯体10の後方(-X)に位置する後方被覆部21と、灯体10の上方(+Z)に位置する上方被覆部22と、灯体10の下方(-Z)に位置する下方被覆部23と、複数の固定部29と、を有する。また、図示を省略するが、カバー20は、灯体10を左右方向両側(+Y、-Y)にそれぞれ位置する一対の側方被覆部を有する。したがって、カバー20は、前方に向かって開口して灯体10を収容する凹形状を有している。
【0031】
複数の固定部29は、カバー20の前端部に設けられる。カバー20は、複数の固定部29においてハウジング30にねじ固定される。固定部29は、光軸Lを中心とする周方向において複数箇所設けられる。カバー20は、固定部29においてハウジング30に接触するが、それ以外の部分において、ハウジング30と離間する。すなわち、カバー20の前端部は、ハウジング30と前後方向に隙間を介して対向する。
【0032】
図4は、車両用灯具1の断面図であり、車両用灯具1にむけて飛散する水の経路を示す図である。
後方被覆部21は、配線接続部64の後方に位置する。後方被覆部21は、後方から飛散する水から配線接続部64を保護する。なお、後方被覆部21の後方(-X)に、車両の部材が配置されることで後方からの水の飛散が抑制される場合、後方被覆部21には、開口部が設けられていてもよい。この場合、開口部からカバー20の内部に空気を導きやすくなり、カバー20内の光源ユニット60の放熱性を高めることができる。また、図示を省略するが、後方被覆部21には、配線接続部64に接続される配線90を引き出すための引き出し孔が設けられる。引き出し孔の内縁と配線90との間の隙間は、適切に封止される。
【0033】
上方被覆部22は、後方被覆部の上端から前方に向けて突出する。上方被覆部22は、前方(+X)に向かうに従い上方(+X)に傾斜して延びる。上方被覆部22は、灯体10を上方から覆う。上方被覆部22は、隙間を介して灯体10と上下方向に対向する。上方被覆部22は、上方から滴下する水から配線接続部64を保護する。上方被覆部22の前端22aは、灯体ケース40の前端40aよりも前方(+X)に位置する。したがって、上方被覆部22は、灯体ケース40の後端から前端40aに至る前後方向の全長を上方から覆う。
【0034】
下方被覆部23は、後方被覆部の下端から前方に向けて突出する。下方被覆部23は、前方(+X)に向かうに従い下方(-X)に傾斜して延びる。したがって、下方被覆部23の上面は、カバー20の開口側である前方(+X)に向かうに従い下方に傾斜して延びる。下方被覆部23は、灯体10を下方から覆う。下方被覆部23は、隙間を介して灯体10と上下方向に対向する。下方被覆部23の前端23aは、配線接続部64および放熱部63よりも前方に位置する。下方被覆部23は、下方からはね上げられた水から配線接続部64を保護する。下方被覆部23の前端23aは、灯体ケース40の前端40aの後方に位置し、灯体ケース40の筒状部45bの後端40dよりも前方に位置する。したがって、下方被覆部23の前端23aは、前後方向において灯体ケース40に部分的に重なっている。
【0035】
図5は、車両用灯具1の断面図であり、車両用灯具1の内部を通過する空気の流れる経路を示す図である。
上述したように、下方被覆部23は、ハウジング30と隙間を介して前後方向に対向し、灯体10と隙間を介して上下方向に対向する。すなわち、カバー20は、下方被覆部23の前端23aの前方で開口している。このため、カバー20外部の空気は、下方被覆部23の前端23aの前方からカバー20の内部に流入可能である。カバー20の内部であって、後方被覆部21の前方には、放熱部63が配置される。カバー20の内部に流入した空気は放熱部63を冷却するとともに、放熱部63によって温められて対流作用によって上方に移動する。また、上方被覆部22は、ハウジング30と隙間を介して前後方向に対向し、灯体10と隙間を介して上下方向に対向する。カバー20の内部で上方に移動する空気は、上方被覆部22の下面に沿って上方被覆部22の前端22aから排気される。すなわち、本実施形態によれば、カバー20の外部の空気が、カバー20の下部からカバー20の内部に流入し、カバー20の内部において放熱部63の周囲を通り上方に移動し、カバー20の上部からカバー20の外部に排気される。これにより、放熱部63から効率的に放熱することができ、温度上昇に伴う発光素子61bの発光量の低下を抑制できる。
【0036】
<ハウジング>
図3に示すように、ハウジング30は、灯体10およびカバー20の前方(+X)に位置する。ハウジング30には、ハウジング30は、ハウジング本体31と、固定ボス31fと、開口筒部32と、下端突出部33と、を有する。
【0037】
ハウジング本体31は、光軸Lに対し直交する平面に沿って延びる板状である。ハウジング本体31は、光軸Lに対し直交して延びる平板部31aと、平板部31aの下端に接続され下方に向かうに従い後方(-X)側に傾斜して延びる傾斜板部31bと、を有する。ハウジング本体31は、平板部31aにおいて、上方被覆部22と前後方向に対向する。また、ハウジング本体31は、傾斜板部31bにおいて、下方被覆部23と前後方向に対向する。
【0038】
固定ボス31fは、ハウジング本体31の後方(-X)を向く面から後方に突出する。図示を省略するが、ハウジング30には、複数の固定ボス31fが設けられる。複数の固定ボス31fの後端面には、固定ネジ9が挿入されるネジ孔が開口する。固定ボス31fには、固定ネジ9によってカバー20の固定部29がネジ止めされる。また、ここでは、図示を省略するが、ハウジング30には、灯体ケース40を支持する支持部が設けられる。したがって、ハウジング30は、カバー20および灯体10を支持する。
【0039】
開口筒部32は、ハウジング本体31の傾斜板部31bから後方(-X)に突出する筒状である。開口筒部32は、前後方向に開口する。開口筒部32の開口は、光軸L上に配置される。開口筒部32は、後方に向かうに従い開口面積を徐々に小さくする錘状に形成される。開口筒部32は、灯体10を前方(+X)に露出させ、灯体10から照射される光を通過させる。
【0040】
下端突出部33は、ハウジング本体31の傾斜板部31bの下端部に繋がる。下端突出部33は、ハウジング本体31から後方(-X)に突出する。下端突出部33は、前後方向に延びる板状である。下端突出部33は、灯体10の前端部を下方から覆う。下端突出部33は、隙間を介して灯体10と上下方向に対向する。下端突出部33は、下方被覆部23よりも前方、かつ下方に位置する。
【0041】
上述したように、カバー20とハウジング30との間には、隙間が設けられる。
図4に示すように、上方被覆部22の上方からハウジング本体31の後方(-X)を向く面を伝って下方に流れる水は、カバー20の内部に侵入することなくハウジング30の下端部に達する。ハウジング30の下端部に達した水は、下端突出部33の後端から下方に排出される。本実施形態の下端突出部33は、下方被覆部23の前端23aよりも下方に位置するため、下端突出部33から排出される水が、カバー20内に侵入しにくい。これにより、カバー20内に配置される配線接続部64に水が達することを抑制できる。
【0042】
また、本実施形態では、上方被覆部22の前端22aが、灯体ケース40の前端40aよりも前方に位置する。このため、上方被覆部22の前端22aとハウジング本体31との間の隙間から侵入する水が、灯体ケース40の上面に達し難い。さらに、ハウジング30の開口筒部32は、灯体ケース40の前端40aよりも下方に位置するため、開口筒部32の上面を伝う水も、灯体ケース40の上面に達することがない。このため、灯体ケース40の上面を介して、灯体ケース40の後方に位置する配線接続部64に水が達することを抑制できる。
【0043】
<まとめ>
図3に示すように、本実施形態の車両用灯具1は、灯体10と、カバー20と、を備える。灯体10は、前方に向けて光を照射する光源ユニット60、および光源ユニット60が取り付けられる灯体ケース40を有する。カバー20は、灯体10を後方から覆う。光源ユニット60は、灯体ケース40の内部に配置される発光素子61bと、灯体ケース40から後方に突出し配線が接続される配線接続部64と、を有する。カバー20は、後方被覆部21と、上方被覆部22と、下方被覆部23と、を有する。後方被覆部21は、配線接続部64の後方に位置する。上方被覆部22は、後方被覆部21から前方に向けて突出し隙間を介して灯体10の上方に配置される。下方被覆部23は、後方被覆部21から前方に向けて突出し隙間を介して灯体10の下方に配置される。上方被覆部22の前端22aは、灯体ケース40の前端40aよりも前方に位置する。下方被覆部23の前端23aは、前後方向において灯体ケース40に重なる。
【0044】
上述の構成によれば、灯体ケース40の外部に配置される配線接続部64を、後方被覆部21によって後方から、上方被覆部22によって上方から、下方被覆部23によって下方から、覆うことができる。これにより、後方、上方、下方から飛散する水から配線接続部64を保護することできる。また、上述の構成によれば、上方被覆部22の前端22aが、灯体ケース40の前端40aよりも前方に位置することで、上方被覆部22が灯体ケース40全体を上方から覆う。このため、灯体ケース40の上面に水がかかることを抑制することができ、水が灯体ケース40の上面を伝って配線接続部64側に達することを抑制できる。一方で、下方被覆部23の前端23aは、前後方向において灯体ケース40に重なっていればよい。これにより、灯体ケース40の後方側の少なくとも一部が下方被覆部23によって覆われることとなり、下方からはね上げられて飛散する水が、直接津的に配線接続部64にかかることを抑制できる。なお、下方からはね上げられて水が、灯体ケース40の下面にかかる場合であっても、灯体ケース40の下面に付着する水は、重力によって滴下するため、灯体ケース40の後方に突出して設けられる配線接続部64まで達し難い。
【0045】
さらに、上述の構成によれば、上方被覆部22および下方被覆部23は、それぞれ上下方向において灯体ケース40と隙間を介して配置される。このため光源ユニット60によって温められた空気をカバー20の上端部から排気するとともに、カバー20の内部に下端部から空気を取り込むことができる。これにより、光源ユニット60をカバー20の内部で効率的に冷却することが可能となり、温度上昇に伴う光源ユニット60の発光量の低下を抑制できる。特に、下方被覆部23の前端23aが灯体ケース40の前端40aよりも後方に位置し、下方被覆部23が灯体ケース40の後方側の一部のみを覆う場合、カバー20の下端部からの空気の吸い込みを円滑に行うことが可能となる。これにより、カバー20の内部を通過する空気の流れを円滑にすることができ、光源ユニット60を効果的に冷却することができる。
【0046】
本実施形態の車両用灯具1において、上方被覆部22は、前方(+Z)に向かうに従い上方(+Z)に傾斜して延びる。この構成によれば、カバー20内で温められて上方に移動する空気を、上方被覆部22の下面に沿って、カバー20の開口側に導くことができる。すなわち、カバー20の内部で温められた空気が、上方被覆部22の下方に滞留することを抑制することができる。これにより、カバー20の内部で温められた空気を効率的に排気するとともに、カバー20内に外部の空気を取り込み、光源ユニット60を効率的に冷却できる。
【0047】
本実施形態の車両用灯具1において、下方被覆部23は、前方に向かうに従い下方に傾斜して延びる。この構成によれば、下方被覆部23と灯体ケース40との間の隙間からカバー20の内部に流入する空気を、下方被覆部23の上面に沿って光源ユニット60の後方に円滑に導くことができる。加えて、下方被覆部23の上面がカバー20の開口側に向かうに従い下面に傾斜するため、下方被覆部23の上面に水が達した場合であっても、水を開口側に排出し易くなる。これにより、カバー20内に水が残留することを抑制できる。
【0048】
本実施形態の車両用灯具1において、灯体ケース40は、ケース本体45とアウターレンズ41と、を有する。ケース本体45は、前方に開口する開口部45kおよび開口部45kの後方に位置し光源ユニット60が取り付けられる底部45aを有する。アウターレンズ41は、開口部45kを覆う。この構成によれば、灯体ケース40の内部を密閉することで灯体ケース40の内部に配置される発光素子61bを水分から保護することができる。
【0049】
本実施形態の車両用灯具1において、光源ユニット60は、灯体ケース40から後方に突出する放熱部63を有する。この構成によれば、放熱部63において、光源ユニット60の熱を効率的に空気に放出することができ、光源ユニット60を効率的に冷却できる。
【0050】
以上に、本発明の実施形態を説明したが、各実施形態における各構成およびそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨から逸脱しない範囲内で、構成の付加、省略、置換およびその他の変更が可能である。また、本発明は実施形態によって限定されることはない。例えば、車両用灯具は、実際の車両のデザイン等に合わせて、ハウジング、および灯体の形状を含む構成を適宜変更することが可能である。
【符号の説明】
【0051】
1…車両用灯具、2,45k…開口部、10…灯体、20…カバー、21…後方被覆部、22…上方被覆部、22a,23a,40a,45c…前端、23…下方被覆部、40…灯体ケース、41…アウターレンズ、45…ケース本体、60…光源ユニット、61b…発光素子(発光部)、63…放熱部、64…配線接続部、90…配線、100…車両