(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180064
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】部品搭載装置
(51)【国際特許分類】
H05K 13/04 20060101AFI20241219BHJP
【FI】
H05K13/04 P
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099495
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】弁理士法人栄光事務所
(72)【発明者】
【氏名】中西 智昭
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353EE02
5E353EE08
5E353GG01
5E353GG29
5E353GG31
5E353HH11
5E353JJ21
5E353JJ48
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ11
(57)【要約】
【課題】基板支持手段が傾くことを抑制する。
【解決手段】部品を基板に搭載する部品搭載装置は、基板の向かい合う一対の両側縁部に対して下側から接触して基板を支持する基板支持手段と、所定の高さにおいて基板支持手段に対して下方から接触して、所定の高さ以上の高さにおいては基板支持手段と一体となって基板支持手段を昇降させる昇降手段と、基板支持手段と昇降手段との間の異物の存在を規制する規制手段とを備える。
【選択図】
図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
部品を基板に搭載する部品搭載装置であって、
前記基板の向かい合う一対の両側縁部に対して下側から接触して前記基板を支持する基板支持手段と、
所定の高さにおいて前記基板支持手段に対して下方から接触して、前記所定の高さ以上の高さにおいては前記基板支持手段と一体となって前記基板支持手段を昇降させる昇降手段と、
前記基板支持手段と前記昇降手段との間の異物の存在を規制する規制手段と、を備えた部品搭載装置。
【請求項2】
前記昇降手段は、前記基板支持手段に向かって立設し、前記基板支持手段と一体となって昇降する際に前記基板支持手段を下方から支持する立設部をさらに備え、
前記規制手段は、前記立設部の上部に設けられ、
前記立設部の上部における前記基板支持手段と接触する第1接触面は、前記第1接触面と接触する前記部品の第2接触面の面積よりも小さい、
請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項3】
前記立設部は、前記立設部が前記基板支持手段に向かう方向の途中から前記立設部の上面に向かって傾斜する傾斜面を備えた、
請求項2に記載の部品搭載装置。
【請求項4】
前記昇降手段は、前記基板の下面の任意の位置を支持するサポートピンを配置可能な下受けプレートをさらに備え、
前記傾斜面は、前記下受けプレートから離れる方向に向かって傾斜する、
請求項3に記載の部品搭載装置。
【請求項5】
前記規制手段は、
空圧を供給する空圧供給部と、
第1端が前記空圧供給部と接続され、前記空圧供給部から供給された前記空圧を第2端に向かって伝達する空圧伝達路と、を有し、
前記空圧伝達路の前記第2端から供給される前記空圧は、前記基板支持手段と前記昇降手段との間に供給される、
請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項6】
前記空圧供給部は、
前記基板支持手段と前記昇降手段が一体となって上昇する前に、前記空圧伝達路の前記第1端に前記空圧を供給する、
請求項5に記載の部品搭載装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、部品搭載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板に部品を搭載する部品搭載装置は、基板を搬送して作業位置に位置決めする基板搬送装置を備えている。基板搬送装置は、基板を搬送する2つのコンベアから成る搬送レーンと、基板をクランプするための機構として、2つのコンベアの下方を昇降する昇降体と、上昇する昇降体によって下端のポスト部材が押し上げられることで上昇して基板の両端を下方から押し上げる2つの可動クランパと、可動クランパによって押し上げられた基板の上面の両端が押付けられる2つの固定クランパを備えている(例えば、下記の特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、可動クランパが傾くと、可動クランパと固定クランパとで基板を水平にクランプすることができず、基板に傾きが生じる。その結果、部品搭載装置は、基板に正しく部品を搭載することができない。
【0005】
本開示の目的は、可動クランパが傾くことを抑制する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る部品搭載装置は、部品を基板に搭載する部品搭載装置であって、前記基板の向かい合う一対の両側縁部に対して下側から接触して前記基板を支持する基板支持手段と、所定の高さにおいて前記基板支持手段に対して下方から接触して、前記所定の高さ以上の高さにおいては前記基板支持手段と一体となって前記基板支持手段を昇降させる昇降手段と、前記基板支持手段と前記昇降手段との間の異物の存在を規制する規制手段と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、可動クランパが傾くことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1に係る部品搭載装置1の構成例を示す斜視図
【
図2A】実施の形態1に係る昇降部が下降しているときの、昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成例を示す側面図
【
図2B】実施の形態1に係る昇降部が上昇しているときの、昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成例を示す側面図
【
図3】実施の形態1に係る昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成例を示す斜視図
【
図4A】実施の形態1に係る昇降部が下降しているときの、昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成例を示す拡大断面図
【
図4B】実施の形態1に係る昇降部が上昇しているときの、昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成例を示す拡大断面図
【
図5】第1の壁プレートと第2のボルトとの間に異物が存在する場合を示す側面図
【
図6A】実施の形態1に係る第1の壁プレートの第1の構成例を示す拡大断面図
【
図6B】実施の形態1に係る第1の壁プレートの第2の構成例を示す拡大断面図
【
図7】実施の形態1に係る部品搭載装置の変形例を示す図
【
図8】実施の形態1に係る制御装置の機能を説明するためのブロック図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を適宜参照して、本開示の実施の形態について、詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、すでによく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の記載の主題を限定することは意図されていない。
【0010】
(実施の形態1)
<部品搭載装置の構成>
図1は、実施の形態1に係る部品搭載装置1の構成例を示す斜視図である。
【0011】
図1に示すように、部品搭載装置1は、基台11と、フィーダベース12と、パーツフィーダ13と、部品カメラ15と、固定ビーム16と、可動ビーム17と、移動ヘッド20と、搬送部30と、昇降部40と、可動クランパ50と、固定クランパ60とを備える。
【0012】
説明の便宜上、
図1に示すように、搬送部30による基板搬送方向(作業者2から見た左右方向)をX方向とし、上下方向をZ方向とする。また、X方向とZ方向の双方に直交する方向(作業者2から見た前後方向)をY方向とする。以下、X方向を左右方向、Y方向を前後方向と称する場合がある。なお、これらの方向に係る表現は、説明の便宜上用いられるものであって、当該構造の実使用時における姿勢を限定する意図ではない。
【0013】
搬送部30は、基台11の上面において、基板搬送方向(X方向)に所定の間隔で平行に延びる2本の(つまり1対の)コンベア31A、31Bを備える。コンベア31A、31Bはベルトコンベアであってよい。2本のコンベア31A、31Bは、上流側から送られてきた基板3を搬入し、その基板3を搬送経路上に設定された所定の作業位置に位置決めする。作業位置に位置決めされた基板3には部品4が搭載される。この基板3に部品4を搭載する作業を部品搭載作業と称する。部品搭載作業が終了した後、2本のコンベア31A、31Bは基板3を下流側に搬出する。
【0014】
昇降部40、可動クランパ50、及び、固定クランパ60については後述する。
【0015】
フィーダベース12は、基台11の作業者2の側の端に設けられる。パーツフィーダ13は、部品4の供給源であり、フィーダベース12に取り付けられる。パーツフィーダ13は、テープフィーダであってよい。フィーダベース12には、複数のパーツフィーダ13を左右方向(X方向)に並べて取り付けることができる。パーツフィーダ13は、搬送部30に近い方の端部に部品供給口14を有し、部品供給口14に部品4を連続的に供給する。
【0016】
固定ビーム16は、前後方向(Y方向)に延びたビーム形状を呈し、基台11の上面に固定配置される。
【0017】
可動ビーム17は、左右方向(X方向)に延びたビーム形状を呈し、一端が固定ビーム16に移動自在に接続される。つまり、可動ビーム17は、固定ビーム16の長手方向(Y方向)に移動自在である。
【0018】
移動ヘッド20は、可動ビーム17に移動自在に取り付けられる。
【0019】
したがって、制御装置100が、可動ビーム17と移動ヘッド20とを移動させることで、移動ヘッド20は、基台11の上方領域を水平面内(XY面内)にて自在に移動できる。
【0020】
移動ヘッド20は、下方を撮影可能な基板カメラ21と、下方に延びるノズル22とを備える。
【0021】
ノズル22は、真空圧により先端に部品4を吸着したり、真空圧の解除により部品4を所望の位置に搭載したりできる。また、ノズル22は、昇降及び回転が可能である。
【0022】
基板カメラ21は、基板3の表面に付与されている所定のマークを撮影可能である。
【0023】
部品カメラ15は、基台11の上面において、搬送部30とフィーダベース12との間の領域に設けられる。
【0024】
制御装置100は、部品搭載装置1が備える各装置を制御する(
図8参照)。制御装置100は、次のステップS11~S16の処理により、部品4を基板3に搭載してよい。
(S11)制御装置100は、移動ヘッド20をパーツフィーダ13の部品供給口14に移動させ、ノズル22の先端に、パーツフィーダ13の部品供給口14から供給される部品4を吸着させる。
(S12)制御装置100は、ノズル22に部品4を吸着させた状態で、移動ヘッド20を、部品カメラ15の上を通過させる。
(S13)制御装置100は、部品カメラ15を用いてステップS12で通過した部品4を撮影する。制御装置100は、部品カメラ15が撮影した画像から、ノズル22に対する部品4の相対的な位置及び回転のずれを算出する。
(S14)制御装置100は、基板3上の、部品4を搭載させる位置に移動ヘッド20を移動させる。
(S15)制御装置100は、基板カメラ21を用いて基板3の所定位置に付与されているマークを撮影する。制御装置100は、基板カメラ21が撮影した画像に含まれるマークの位置と、ステップS13で算出された部品4のずれとに基づいて、ノズル22の位置及び回転の補正量を算出する。
(S16)制御装置100は、ステップS15で算出した補正量に基づいてノズル22の位置及び回転を補正し、そのノズル22の部品4を基板3に搭載させる。
上述したステップS11からステップS16を繰り返すことで、基板3に部品4を搭載することができる。
【0025】
<昇降部、可動クランパ及び固定クランパの構成>
次に、
図1、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4Bを参照して、昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成について説明する。
図2Aは、実施の形態1に係る昇降部40が下降しているときの、昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成例を示す側面図である。
図2Bは、実施の形態1に係る昇降部40が上昇しているときの、昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成例を示す側面図である。
図3は、実施の形態1に係る昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成例を示す斜視図である。
図4Aは、実施の形態1に係る昇降部40が下降しているときの、昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成例を示す拡大断面図である。
図4Bは、実施の形態1に係る昇降部40が上昇しているときの、昇降部40、可動クランパ50及び固定クランパ60の構成例を示す拡大断面図である。
図4A、
図4Bの断面図は、
図3のA-A断面図に相当する。
【0026】
図1に示すように、昇降部40は、2本のコンベア31A、31Bの間、かつ、基板3よりも下方に配置される。なお、本実施の形態では、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4Bにて、コンベア31A側を見た場合の構成を示し、コンベア31B側を見た場合の構成については図示しないが、コンベア31B側もコンベア31A側と同様の構成を有する。
【0027】
図2A、
図2B、
図3に示すように、昇降部40は、底面プレート41と、シリンダ42と、リニアブッシュ43と、下受けプレート44と、第1のボルト45と、第1の壁プレート46と、サポートピン47とを備える。
【0028】
底面プレート41は、2本のコンベア31A、31Bの間、かつ、基板3の下方に配置される、水平方向に偏平な四角形のプレートである。
【0029】
シリンダ42は、上端が底面プレート41の下面に接続され、底面プレート41を上昇及び下降させる機構を有する。シリンダ42がエアシリンダの場合、空圧で底面プレート41を上昇及び下降させる。シリンダ42が油圧シリンダの場合、油圧で底面プレート41を上昇及び下降させる。
【0030】
リニアブッシュ43は、上端が底面プレート41の下面に接続され、シリンダ42が底面プレート41を上昇又は下降させる際に、底面プレート41が水平を保持するように支持する。リニアブッシュ43は、底面プレート41に対して複数設置されてよい。
【0031】
下受けプレート44は、底面プレート41の上面から高さ方向に延びる複数の第1のボルト45によって底面プレート41の上方に配置される、水平方向に偏平な四角形のプレートである。すなわち、底面プレート41と下受けプレート44との間は、所定の空間が設けられる。下受けプレート44は、第1のボルト45を着脱することにより、底面プレート41に対して着脱可能(交換可能)である。
【0032】
第1の壁プレート46A、46Bは、底面プレート41の2つの辺に沿って前後方向(Y方向)に延出すると共に高さ方向(Z方向)に延びるように設けられる、鉛直方向(Z方向)に偏平な四角形のプレートである。下受けプレート44は、2つの第1の壁プレート46A、46Bの間に配置される。下受けプレート44と第1の壁プレート46A、46Bとの間には、隙間が形成される。
【0033】
サポートピン47は、下受けプレート44の上面から上方に延出する細長いピンであり、基板3を下から支持可能である。
【0034】
シリンダ42を上昇させると、底面プレート41、下受けプレート44、第1の壁プレート46及びサポートピン47は一体となって上昇する。同様に、シリンダ42を下降させると、底面プレート41、下受けプレート44、第1の壁プレート46及びサポートピン47は一体となって下降する。
【0035】
可動クランパ50は、2本のコンベア31A、31Bのそれぞれの付近に昇降可能に配置される。可動クランパ50は、第2のボルト51と、第2の壁プレート52とを備える。
【0036】
第2の壁プレート52は、
図2A、
図2B、
図3、
図4A、
図4Bに示すように、前後方向(Y方向)と高さ方向(Z方向)とに延びる、鉛直方向(Z方向)に偏平な四角形のプレート部分を含む。
【0037】
第2のボルト51は、第2の壁プレート52の下面における、第1の壁プレート46の上面と当接可能な位置に、下方に延出するように設けられる。第2のボルト51は、第2の壁プレート52の下面の両端にそれぞれ設けられてよい。
【0038】
固定クランパ60は、2本のコンベア31A、31Bのそれぞれの上方に固定配置され、基板搬送方向(X方向)に延びる、水平方向に偏平な四角形のプレートである。
図3に示すように、可動クランパ50と固定クランパ60とは、XY平面視した場合に、可動クランパ50の第2の壁プレート52の上面の少なくとも一部が、固定クランパ60の下面の少なくとも一部と重なるように、配置される。
【0039】
<基板クランプ動作>
制御装置100は、部品搭載動作を行う前に、基板3をクランプする動作(以下、基板クランプ動作と称する)を行い、コンベア31A、31Bによって搬送された基板3を動かないようにする。
図4A、
図4Bに示すように、制御装置100は、次のステップS21~S26の処理により、基板クランプ動作を実現してよい。
(S21)制御装置100は、シリンダ42を動作させて、昇降部40を上昇させる(
図4A参照)。
(S22)制御装置100は、昇降部40をさらに上昇させる。これにより、昇降部40の第1の壁プレート46の上面が、可動クランパ50の第2のボルト51の下面に当接する。
(S23)制御装置100は、昇降部40をさらに上昇させる。これにより、第2のボルト51及び第2の壁プレート52(つまり可動クランパ50)は、昇降部40によって押し上げられて、上昇する。
(S24)制御装置100は、昇降部40をさらに上昇させる。これにより、可動クランパ50の第2の壁プレート52の上面が基板3の下面に当接する。
(S25)制御装置100は、昇降部40をさらに上昇させる。これにより、可動クランパ50の第2の壁プレート52によって基板3が持ち上げられ、コンベア31A、31Bから離れる。
(S26)制御装置100は、昇降部40をさらに上昇させる。これにより、可動クランパ50によって持ち上げられた基板3の上面が、固定クランパ60の下面に当接し、その結果、基板3は、可動クランパ50と固定クランパ60とによってクランプされ、動かなくなる(
図4B参照)。この状態で、上述した部品搭載動作が行われてよい。
【0040】
なお、昇降部40は昇降手段と読み替えられてもよい。可動クランパ50は基板支持手段と読み替えられてもよい。この場合、基板支持手段は、基板3の向かい合う一対の両側縁部に対して下側から接触して基板3を支持する手段と表現できる。昇降手段は、所定の高さにおいて基板支持手段に対して下方から接触して、所定の高さ以上の高さにおいては基板支持手段と一体となって基板支持手段を昇降させる手段と表現できる。また、第1の壁プレート46は立設部と読み替えられてもよい。この場合、昇降手段は、基板支持手段に向かって立設し、基板支持手段と一体となって昇降する際に基板支持手段を下方から支持する立設部を備えると表現できる。
【0041】
<異物が存在する場合>
図5は、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に異物5が存在する場合を示す側面図である。
【0042】
図5に示すように、第1の壁プレート46の上面に異物5(例えばノズル22から落下した部品4)が載置した状態で第1の壁プレート46が上昇した場合、その異物5が第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に挟まれて可動クランパ50が傾いてしまう。そして、このまま可動クランパ50が上昇すると、可動クランパ50が傾いているため、
図5に示すように、可動クランパ50と固定クランパ60とで基板3を水平にクランプすることができず、基板3に傾きが生じる。その結果、部品搭載動作において、基板3に正しく部品4を搭載することができなくなってしまう。
【0043】
そこで、本実施の形態では、第1の壁プレート46の上面に異物5が載置されることを抑制することにより、可動クランパ50が傾くことを抑制する技術について説明する。
【0044】
<傾斜面の形成>
図6Aは、実施の形態1に係る第1の壁プレート46の第1の構成例を示す拡大断面図である。
図6Bは、実施の形態1に係る第1の壁プレート46の第2の構成例を示す拡大断面図である。
【0045】
図6A、
図6Bに示すように、第1の壁プレート46は、第2のボルト51との間の異物5を規制する規制手段53を備える。例えば、規制手段53として、第1の壁プレート46は、第1の壁プレート46の上面に異物5が載置しにくい形状を呈する。
【0046】
例えば、規制手段53として、第1の壁プレート46は、第2のボルト51の下面と当接可能であり、第1の壁プレート46の基板搬送方向(X軸方向)の厚みよりも狭い、第1接触面54を有する。さらに、規制手段53として、第1の壁プレート46は、第1の壁プレート46の側面の途中から、第1接触面54に繋がるように傾斜する傾斜面55を有する。
【0047】
例えば、第1の壁プレート46は、
図6Aに示すように、内側の側面に傾斜面55Aを、外側の側面に傾斜面55Bを有してよい。
【0048】
第1接触面54の基板搬送方向(X軸方向)の幅D1は、所定幅よりも小さくてよい。当該所定幅は、部品搭載装置1が取り扱う最小の部品4の各面のうちの最小幅であってよい。あるいは、第1接触面54は、第2接触面の面積よりも小さくてよい。第2接触面の面積は、所定値であってよい。あるいは、第2接触面の面積は、第1接触面54と接触する部品4の面積であってよい。例えば、第2接触面の面積は、部品搭載装置1が取り扱う最小の部品4の各面のうちの最小面積であってよい。
【0049】
これにより、異物5の一例である落下した部品4が第1接触面54に載置される可能性が低くなるので、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に部品4が挟まれることを抑制できる。よって、可動クランパ50が傾くことを抑制できる。
【0050】
例えば、第1の壁プレート46は、
図6Bに示すように、内側の側面に傾斜面55Cを有し、外側の側面に傾斜面を有しなくてもよい。加えて、傾斜面55Cは、下方から上方に向けて、下受けプレート44から離れる方向に傾斜してよい。
【0051】
これにより、異物5の一例である落下した部品4が第1接触面54に載置される可能性が低くなるので、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に部品4が挟まれることを抑制できる。よって、可動クランパ50が傾くことを抑制できる。さらに、傾斜面55Cにより、下受けプレート44と第1の壁プレート46との間の隙間が広くなるので、作業者2による下受けプレート44の交換作業が容易になる。
【0052】
第1接触面54は、平面ではなく、凸形状であってもよい。これにより、異物5が第1接触面54に載置される可能性がさらに低くなる。なお、立設部(第1の壁プレート46)の上部において第2のボルト51と接触する部分は平面である必要は必ずしもなく、曲面、または、交差する2つの面に挟まれて形成される角形状であっても良い。
【0053】
<異物の除去>
図7は、実施の形態1に係る部品搭載装置1の変形例を示す図である。
【0054】
図7に示すように、部品搭載装置1は、規制手段として、空圧供給部70と空圧伝達路71とをさらに備えてよい。
【0055】
空圧供給部70は、空圧を供給する装置であり、例えば空気を出力する。
【0056】
空圧伝達路71は、例えば配管又はチューブとして構成され、第1端72Aが空圧供給部70と接続され、第2端が第1の壁プレート46の上面と第2のボルト51の下面との間の付近に配置される。空圧伝達路71は、空圧供給部70から第1端72Aに供給された空気を、第2端72Bに伝達し、当該第2端72Bから空気を出力する。
【0057】
制御装置100は、昇降部40を上昇させる前に、空圧供給部70に空気を供給させ、空圧伝達路71を通じて第2端72Bから空気を出力させる。これにより、第1の壁プレート46の上面に載置された異物5(例えば部品4)は、空圧伝達路71の第2端72Bから出力された空気により吹き飛ばされる。よって、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に異物5が挟まれることを抑制できる。
【0058】
なお、
図7に示す空圧供給部70及び空圧伝達路71に加えて、
図6A又は
図6Bに示すように、第1の壁プレート46に傾斜面55を設けてもよい。これにより、第1の壁プレート46の上面に異物5が載置される可能性が低くなると共に、もし第1の壁プレート46の上面に異物5が載置されたとしてもその異物5を空気により吹き飛ばせる。よって、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に異物5が挟まれることをさらに抑制できる。
【0059】
なお、空圧供給部70は、空気の出力に代えて、空気を吸い込んでもよい。これにより、第1の壁プレート46の上面に載置された異物5は、空圧伝達路71の第2端72Bからの空気吸引により引き付けられ落下するので、第1の壁プレート46と第2のボルト51との間に異物5が挟まれることを抑制できる。
【0060】
<制御装置の機能>
図8は、実施の形態1に係る制御装置100の機能を説明するためのブロック図である。制御装置100は、プロセッサ101と記憶部102とを含む。
【0061】
記憶部102は、制御装置100の機能を実現するためのプログラム及びデータ等を記憶する。記憶部102は、Read Only Memory(ROM)及びRandom Access Memory(RAM)を含んでもよい。また、記憶部102は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリを含んでもよい。
【0062】
プロセッサ101は、記憶部102からプログラム及び/又はデータを読み出して処理することにより、上述した制御装置100の機能を実現する。プロセッサ101は、コントローラ、Central Processing Unit(CPU)、Application Specific Integrated Circuit(ASIC)、Field Programmable Gate Array(FPGA)、Large Scale Integration(LSI)といった他の用語に読み替えられてもよい。
【0063】
制御装置100(プロセッサ101)は、次の制御を行ってよい。制御装置100は、搬送部30の駆動を制御する。制御装置100は、パーツフィーダ13の駆動を制御する。制御装置100は、可動ビーム17の移動を制御する。制御装置100は、移動ヘッド20の移動を制御する。制御装置100は、ノズル22の昇降、回転、吸着等を制御する。制御装置100は、基板カメラ21の撮像を制御する。制御装置100は、部品カメラ15の撮像を制御する。制御装置100は、上述したシリンダ42の昇降を制御する。制御装置100は、上述した空圧供給部70の空気の供給を制御する。
【0064】
(実施の形態1のまとめ)
以上の実施の形態1の記載により、下記の技術が開示される。
【0065】
<技術1>
部品(4)を基板(3)に搭載する部品搭載装置(1)は、基板の向かい合う一対の両側縁部に対して下側から接触して基板を支持する基板支持手段(例えば可動クランパ50)と、所定の高さにおいて基板支持手段に対して下方から接触して、所定の高さ以上の高さにおいては基板支持手段と一体となって基板支持手段を昇降させる昇降手段(例えば昇降部40)と、基板支持手段と昇降手段との間の異物(例えば部品4)の存在を規制する規制手段(53)とを備える。
この構成によれば、規制手段によって基板支持手段と昇降手段との間の異物の存在が規制されるので、昇降手段と基板支持手段の間に異物が存在して基板支持手段及び基板が傾くことを抑制できる。
【0066】
<技術2>
技術1に記載の部品搭載装置において、昇降手段は、基板支持手段に向かって立設し、基板支持手段と一体となって昇降する際に基板支持手段を下方から支持する立設部(例えば第1の壁プレート46)をさらに備え、規制手段は、立設部の上部に設けられ、立設部の上部における基板支持手段と接触する第1接触面(54)は、第1接触面と接触する部品の第2接触面の面積よりも小さい。
この構成によれば、立設部の上部の第1接触面は、部品の第2接触面の面積よりも小さいので、第1接触面の上に部品が載置される可能性が低くなる。よって、基板支持手段と昇降手段との間に異物が存在する可能性が低くなり、昇降手段と基板支持手段の間に異物が存在して基板支持手段及び基板が傾いてしまうことを抑制できる。
【0067】
<技術3>
技術2に記載の部品搭載装置において、立設部は、立設部が基板支持手段に向かう方向の途中から立設部の上面に向かって傾斜する傾斜面(55)を備える。
この構成によれば、立設部は傾斜面を備えるので、第1接触面の上に部品が載置され続ける可能性が低くなる。よって、基板支持手段と昇降手段との間に異物が存在する可能性が低くなり、昇降手段と基板支持手段の間に異物が存在して基板支持手段及び基板が傾いてしまうこと抑制できる。
【0068】
<技術4>
技術3に記載の部品搭載装置において、昇降手段は、基板の下面の任意の位置を支持するサポートピン(47)を配置可能な下受けプレート(44)をさらに備え、傾斜面は、下受けプレートから離れる方向に向かって傾斜する。
この構成によれば、下受けプレートと立設部との間の隙間が広くなるので、作業者(2)による下受けプレートの交換が容易になる。
【0069】
<技術5>
技術1に記載の部品搭載装置において、規制手段は、空圧を供給する空圧供給部(70)と、第1端(72A)が空圧供給部と接続され、空圧供給部から供給された空圧を第2端(72B)に向かって伝達する空圧伝達路(71)とを有し、空圧伝達路の第2端から供給される空圧は、基板支持手段と昇降手段との間に供給される。
この構成によれば、基板支持手段と昇降手段との間に空圧を供給可能であるので、基板支持手段と昇降手段との間に異物が存在する場合、空圧を供給して異物を吹き飛ばすことができる。よって、昇降手段と基板支持手段の間に異物が存在して基板支持手段及び基板が傾くことを抑制できる。
【0070】
<技術6>
技術5に記載の部品搭載装置において、空圧供給部は、基板支持手段と昇降手段が一体となって上昇する前に、空圧伝達路の第1端に空圧を供給する。
これにより、基板支持手段と昇降手段と一体となって上昇する前に、空圧を供給して、基板支持手段と昇降手段との間に存在する異物を吹き飛ばすことができる。よって、昇降手段と基板支持手段の間に異物が存在して基板支持手段及び基板が傾くことを抑制できる。
【0071】
以上、添付図面を参照しながら実施の形態について説明したが、本開示はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された範疇内において、各種の変更例、修正例、置換例、付加例、削除例、均等例に想到し得ることは明らかであり、それらについても本開示の技術的範囲に属すると了解される。また、発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施の形態における各構成要素を任意に組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本開示の技術は、基板に部品を搭載するための装置に有用である。
【符号の説明】
【0073】
1 部品搭載装置
2 作業者
3 基板
4 部品
5 異物
11 基台
12 フィーダベース
13 パーツフィーダ
14 部品供給口
15 部品カメラ
16 固定ビーム
17 可動ビーム
20 移動ヘッド
21 基板カメラ
22 ノズル
30 搬送部
31A、31B コンベア
40 昇降部
41 底面プレート
42 シリンダ
43 リニアブッシュ
44 下受けプレート
45 第1のボルト
46、46A、46B 第1の壁プレート
47 サポートピン
50 可動クランパ
51 第2のボルト
52 第2の壁プレート
53 規制手段
54 第1接触面
55、55A、55B、55C 傾斜面
60 固定クランパ
70 空圧供給部
71 空圧伝達路
72A 第1端
72B 第2端
100 制御装置
101 プロセッサ
102 記憶部