(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180072
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】送風装置
(51)【国際特許分類】
F04D 29/34 20060101AFI20241219BHJP
H02K 7/14 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
F04D29/34 J
H02K7/14 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099508
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 智之
【テーマコード(参考)】
3H130
5H607
【Fターム(参考)】
3H130AA13
3H130AB26
3H130AB52
3H130AC19
3H130AC30
3H130BA97C
3H130BA97G
3H130CB07
3H130DA02Z
3H130DD02X
3H130EB02C
3H130EB02G
3H130EC17C
3H130ED01C
3H130ED01G
5H607AA12
5H607BB01
5H607DD02
5H607FF04
(57)【要約】
【課題】送風装置としての性能を低下させることなく従来よりも一段と小型化する。
【解決手段】本発明の送風装置(100)は、シャフト(210)と、シャフト(210)に固定されたヨーク(230)と、ヨーク(230)に固定されたインペラ(300)と、を備え、ヨーク(230)は、インペラ(300)の回転軸(X軸)の方向に延びる円筒部(231)を有し、円筒部(231)は、インペラ(300)の径方向に向かって貫通した貫通孔(234)を有し、貫通孔(234)に対して、インペラ(300)の一部が入り込んでいる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シャフトと、
前記シャフトに固定されたヨークと、
前記ヨークに固定されたインペラと、
を備え、
前記ヨークは、前記インペラの回転軸の方向に延びる円筒部を有し、
前記円筒部は、前記インペラの径方向に向かって貫通した貫通孔を有し、
前記貫通孔に対して、前記インペラの一部が入り込んでいる、
送風装置。
【請求項2】
前記インペラは、前記インペラの径方向において前記シャフトに向かって延びる突起部を有し、
前記突起部が前記貫通孔に入り込んでいる
請求項1に記載の送風装置。
【請求項3】
前記突起部の端部には、前記回転軸の方向に延びる環状の突部分を有する
請求項2に記載の送風装置。
【請求項4】
前記インペラは、前記回転軸の方向に凹む環状の溝部を有し、
前記溝部は、前記径方向において前記突部分と前記円筒部の内周面との間に形成され、
前記円筒部の内周面にはマグネットが固定され、
前記マグネットは、前記溝部と隣接している、
請求項3に記載の送風装置。
【請求項5】
前記マグネットは、前記突部分の軸方向における端面と接触している
請求項4に記載の送風装置。
【請求項6】
前記溝部は、前記マグネットを前記円筒部の内周面に固定する際の接着剤を収容可能な環状のポケット空間である、
請求項4または5に記載の送風装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送風装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、簡易な構成により防水機能、および、防塵機能を備えるアウターロータ型の送風機が提案されている。この送風機では、ロータヨークの円筒部の内周面にマグネットが固定され、ロータヨークの円盤状の天板部に設けられた貫通孔に対して、インペラのハブの一部が入り込んだ構成を有している(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の送風機においては、ロータヨークの天板部に設けられた貫通孔にハブの一部が入り込んだ構成となっているため、全体的にシャフトの軸方向に長くなり、送風機全体の高さを低くして小型することが困難であった。
【0005】
また、ロータヨークの天板部の下方にはステータコイルが配置されているため、構造を変更することなく小型化する場合には、ステータコイルを小型化しなければならず、性能の低下を避けられなかった。
【0006】
本発明の送風装置においては、送風装置としての性能を低下させることなく従来よりも一段と小型化することを課題の一例とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の送風装置は、シャフトと、前記シャフトに固定されたヨークと、前記ヨークと固定されたインペラと、を備え、前記ヨークは、前記インペラの回転軸の方向に延びる円筒部を有し、前記円筒部は、前記インペラの径方向に向かって貫通した貫通孔を有し、前記貫通孔に対して、前記インペラの一部が入り込んでいる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置の構成を示す断面図である。
【
図2】本発明の一例である実施の形態にかかるヨークを下流側から見た場合の構成(A)、および、ヨークを上流側から見た場合の構成(B)を示す斜視図である。
【
図3】本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラおよびヨークの結合体を上流側から見た場合の構成を示す斜視図である。
【
図4】本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラおよびヨークの結合体を下流側から見た場合の構成を示す斜視図である。
【
図5】本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラの構成を示す斜視図である。
【
図6】本発明の一例である実施の形態にかかるインペラの一部がヨークの貫通孔に入り込んでいる状態を示す部分拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の一例である実施の形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置の構成を示す断面図である。
図2は、本発明の一例である実施の形態にかかるヨークを下流側から見た場合の構成(A)、および、ヨークを上流側から見た場合の構成(B)を示す斜視図である。
図3は、本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラおよびヨークの結合体を上流側から見た場合の構成を示す斜視図である。
図4は、本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラおよびヨークの結合体を下流側から見た場合の構成を示す斜視図である。
図5は、本発明の一例である実施の形態にかかる送風装置のインペラの構成を示す斜視図である。
図6は、本発明の一例である実施の形態にかかるインペラの一部がヨークの貫通孔に入り込んでいる状態を示す部分拡大図である。
【0010】
なお、本発明の実施の形態の説明において、説明の便宜上、軸Xに沿った矢印a方向を上流側または一方側とする。軸Xに沿った矢印b方向を下流側または他方側とする。ここで、矢印ab方向を上下流方向または軸方向と称する。ただし、上流側、および、下流側は、鉛直方向とは必ずしも一致しない。また、矢印cd方向を径方向と称し、軸Xから離れる矢印c方向を外側または径方向一方側、軸Xに近づく矢印d方向を内側または径方向他方側と称する。さらに、軸Xの周りに回転する方向を周方向と称する。
【0011】
図1に示すように、本実施の形態にかかる送風装置としてのファンモータ100は、X軸方向の上流側(矢印a方向)から下流側(矢印b方向)に向かって空気を送る軸流ファンであり、全体的に平面視略正方形の角筒形状を有している。
【0012】
ファンモータ100は、モータ200と、モータ200のシャフト210の上流側(矢印a方向)に配置されるインペラ300と、モータ200およびインペラ300を収容するケーシング400とを備えている。
【0013】
インペラ300は、ハブ311および羽根312からなり、モータ200により回転駆動される。ファンモータ100は、X軸方向の上流側(矢印a方向)からインペラ300を介して空気を吸入するための上流側の開口部401と、インペラ300を介して空気を排出するための下流側の開口部402とを有している。
【0014】
ファンモータ100のケーシング400は、インペラ300の周囲を径方向一方側である径方向外側(矢印c方向)から囲う側壁410と、下流側(矢印b方向)の端部に形成され、ファンモータ100を保持するベース420と、側壁410とベース420とを径方向(矢印cd方向)において繋ぐ複数の静翼(固定翼)からなるスポーク430とを備えている。
【0015】
ケーシング400の側壁410、ベース420、および、スポーク430は、例えばガラス繊維により強化されたポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂の射出成形により一体に形成されている。なお、ケーシング400の側壁410、ベース420、および、スポーク430は、その他の素材により形成されていてもよい。
【0016】
ケーシング400の側壁410は、ファンモータ100の風洞部を画定する筒または筒状体である。側壁410は、上流側の開口部401および下流側の開口部402を有すると共に、回転軸としての軸Xを中心とする円筒形状の内周面410aを有する。側壁410の内周面410aの直径は、インペラ300の羽根312の径方向外側(矢印c方向)の端部と接触しない大きさとなっている。
【0017】
すなわち、インペラ300の羽根312の径方向外側(矢印c方向)の端部と、側壁410の内周面410aとの間には、所定の隙間が形成されている。なお、側壁410は、インペラ300を保護するガード部としても機能する。
【0018】
ケーシング400のベース420は、略円盤形状の基部420aと、基部420aの径方向外側(矢印c方向)の端部から上流側(矢印a方向)へ所定の長さだけ延在する円筒形状の外周壁420bと、基部420aの径方向他方側である径方向内側(矢印d方向)の端部から上流側(矢印a方向)へ所定の長さだけ突出する円筒形状の内周壁420cとによって形成されている。
【0019】
ベース420の内周壁420cおよび外周壁420bは、径方向において基部420aを挟んで配置されており、内周壁420cは外周壁420bよりもX軸方向に長く(高く)形成されている。
【0020】
また、ベース420の内周壁420cは、上流側(矢印a方向)の端面(以下、これを「上端面」と呼ぶ。)を有し、その上端面には回路基板500の内周側の端部が載置された状態で接着等により一体に固定されている。
【0021】
回路基板500は、薄板状の円環状部材からなり、モータ200のロータ240を回転駆動させるモータ駆動制御回路(図示せず)を構成する電子部品が実装された単層又は複数の配線層を有するプリント配線基板である。
【0022】
径方向において、ベース420の外周壁420bの径方向外側(矢印c方向)の面(以下、これを「外周面」と呼ぶ。)には、複数のスポーク430が一体に形成されている。ベース420の外周壁420bは、スポーク430を介して、ケーシング400の側壁410に支持されている。つまり、ベース420とケーシング400の側壁410とは複数のスポーク430を介して一体に結合されている。
【0023】
モータ200は、シャフト210と、シャフト210の上流側(矢印a方向)に配置されるロータ240と、軸受装置260と、ステータ250と、を有する。
【0024】
シャフト210は、上流側の軸受263、および、下流側の軸受264によって回転可能に保持された円柱状部材である。シャフト210は、その上流側(矢印a方向)の端部がロータヨーク230の軸保持部233に対して圧入または接着等によって一体に結合されている。
【0025】
軸受263、および、軸受264は、例えばボールベアリングである。なお、軸受263および軸受264は、ボールベアリングに限られず、例えばスリーブベアリング等、その他種々の軸受であってもよい。また、軸受263の上流側の端部とロータヨーク230の円盤部232との間には、軸受263に対して予圧を与えるためのコイルバネspが軸保持部233の周囲に介装されている。
【0026】
軸受装置260は、上流側の軸受263、下流側の軸受264、および、2つの軸受263、264を保持する保持部材262を有する。保持部材262は、金属により形成されており、全体として略中空円筒形状を有している。
【0027】
保持部材262は、ベース420の内周壁420cの内周面(径方向内側の面)に圧入されている。なお、保持部材262は、内周壁420cにインサートした状態でベース420と一体に形成されてもよい。
【0028】
軸受263は、シャフト210の上流側(矢印a方向)に配置され、シャフト210の上流側(矢印a方向)を保持部材262に対して回転可能に支持する。軸受264は、シャフト210の下流側(矢印b方向)に配置され、シャフト210の下流側(矢印b方向)を保持部材262に対して回転可能に支持する。これにより、シャフト210は、2つの軸受263および軸受264を介して保持部材262に対して相対的に回転可能に支持される。
【0029】
モータ200は、アウターロータ型の単相のブラシレスDCモータであり、ロータ240と、ステータ250とを有する。なお、モータ200は、単相のブラシレスDCモータに限るものではなく、例えば三相ブラシレスDCモータ等、その他のモータであってもよい。
【0030】
ロータ240は、シャフト210の上流側(矢印a方向)に固定されている。ロータ240は、ロータヨーク230およびマグネットmgを有する。ロータヨーク230は、円筒部231、円盤部232、および、軸保持部233を有する。
【0031】
ロータヨーク230の円筒部231は、シャフト210と同軸上に配置された軟磁性材によって形成された円筒状部分である。円筒部231の内周面(径方向内側の面)には、
図1に示すように、円筒部231と同軸上に円筒形状のマグネットmgが一体に固定されている。円筒部231は、マグネットmgの磁界の漏れを防ぐ部分として機能する。
【0032】
ロータヨーク230の円盤部232は、円筒部231の上流側の端部から径方向内側(矢印d方向)のシャフト210に向かって延び、円筒部231の上流側(矢印a方向)を閉塞する略円盤状の部分である。
【0033】
軸保持部233は、円盤部232の径方向内側(矢印d方向)の端部から下流側(矢印b方向)の軸受263に向かって所定の長さだけ突出する略円筒形状の部分である。軸保持部233は、その内径がシャフト210の外径よりも僅かに小さく形成されている。
【0034】
軸保持部233の内周面(径方向内側(矢印d方向)の面)にはシャフト210が圧入され、これによりロータヨーク230とシャフト210とが一体に固定される。ロータヨーク230の円筒部231および円盤部232は、インペラ300のハブ311の内周面に対してインサート成型等により一体に固定されている。
【0035】
さらに、
図2(A)および(B)に示すように、ロータヨーク230は、円筒部231における上流側(矢印a方向)の端部であって、かつ、円盤部232における径方向外側(矢印c方向)の端部、すなわち、円筒部231と円盤部232とが交差する角部において、円筒部231を径方向に貫通する複数(例えば5個)の貫通孔234を有している。
【0036】
これらの貫通孔234は、平面視矩形状であり、ロータヨーク230とインペラ300のハブ311とを一体にインサート成形する際に、溶融樹脂が入り込むための孔である。また貫通孔234は、インサート成形によりハブ311の突起部350(
図1、
図5および
図6)が形成された後は、その突起部350が入り込んでいる入口でもある。この場合、貫通孔234は、5個設けられているが、これに限るものではなく、任意の個数であってもよい。
【0037】
ステータ250(
図1)は、保持部材262の外周面(径方向外側の面)に取り付けられている。ただし、ステータ250は、保持部材262を介することなく、ベース420に直接取り付けられていてもよい。
【0038】
ステータ250は、軟磁性材からなる電磁鋼板のコアを複数枚積層された積層体によって形成されたステータコア251と、ステータコア251に装着された絶縁材料からなるインシュレータ252と、インシュレータ252を介してステータコア251に巻回された図示しないコイルとを有している。ステータコア251とコイルとはインシュレータ252によって絶縁されている。
【0039】
モータ200が作動し、ロータ240とステータ250との電磁気的作用によりロータ240がシャフト210と共に回転すると、ロータ240と一体に固定されたインペラ300が回転し、複数の羽根312の作用により上流側(矢印a方向)から下流側(矢印b方向)に向かって空気(以下、これを「空気流」とも言う。)が送られる。したがって、ファンモータ100は、送風機として機能する。
【0040】
図3および
図4に示すように、インペラ300は、有底断面略逆U字状のカップ形状からなるハブ311と、ハブ311の径方向外側の面である外周面に対して周方向に一定間隔で設けられた複数の羽根312とを備えている。
【0041】
軸方向において、ハブ311は、上流側(矢印a方向)の端部が開口した開口部311aを有し、その開口部311a(
図1)を介してシャフト210の上流側(矢印a方向)の端面、および、円盤部232が露出している(
図3)。なお、インペラ300とロータヨーク230とが一体に固定された状態を結合体360と呼び、以下の説明において用いる。
【0042】
結合体360を構成しているインペラ300の複数の羽根312は、全て同じ形状を有しており、ハブ311の周方向において当間隔で均等に配置されている。ハブ311および複数の羽根312は、例えばガラス繊維により強化されたポリブチレンテレフタレート等の合成樹脂の射出成形により一体に形成されている。
【0043】
図1に示すように、インペラ300のハブ311は、円筒部231の径方向外側(矢印c方向)の外周面を覆った状態で、ロータヨーク230の円盤部232における上流側(矢印a方向)の上端面232uの径方向外側(矢印c方向)の端部、および、円筒部231の外周面に対して固定されている。
【0044】
図5に示すように、インペラ300のハブ311は、有底断面略逆U字状のカップ形状を形成しており、シャフト210と同軸上に形成された円筒部330と、その円筒部330の上流側(矢印a方向)の端部からシャフト210に向かって延びる円盤状の上蓋部340と、を有している。
【0045】
ハブ311の上蓋部340は、X軸を中心として所定半径の開口部311a(
図1)を有し、その開口部311aを介してシャフト210の上流側(矢印a方向)の端面、および、ロータヨーク230の円盤部232が露出している(
図1、および、
図3)。
【0046】
図6に示すように、ハブ311の円筒部330は、ロータヨーク230の円筒部231に設けられた複数(例えば5個)の貫通孔234に入り込んだ突起部350を有している。突起部350は、ロータヨーク230の円筒部231の貫通孔234からシャフト210に向かって入り込んで周方向に延びた断面略矩形状かつ円環状に形成された部分である。
【0047】
突起部350は、径方向内側(矢印d方向)の内周面350nを有し、突起部350の上流側(矢印a方向)の端部において内周面350nから径方向内側(矢印d方向)のシャフト210に向かって僅かに突出するように延びる環状の係止部352を有している。なお、突起部350とは、
図6において、破線と内周面350nによって囲まれた部分のことである。
【0048】
この係止部352の上流側(矢印a方向)の上端面352uは、ロータヨーク230の円盤部232における下流側(矢印b方向)の下端面232dと当接されており、インペラ300の回転時にハブ311が上流側(矢印a方向)へ外れてしまうことを防止している。
【0049】
また、突起部350は、ロータヨーク230の円筒部231における上流側(矢印a方向)の上端面231uよりもX軸方向に沿って下流側(矢印b方向)へ僅かに延びる円筒状の突部分353を有している。
【0050】
突部分353は、突起部350の内周面350nと面一である。突部分353の外径r1は、ロータヨーク230の円筒部231の内径r2よりも小さい。この突部分353は、下流側(矢印b方向)の平坦な下端面353dを有し、この下端面353dとマグネットmgの上流側(矢印a方向)の上端面mguとが僅かな隙間を介して隣接している。ただし、これに限るものではなく、突部分353の下端面353dとマグネットmgの上流側(矢印a方向)の上端面mguとが当接していてもよい。
【0051】
突起部350は、ロータヨーク230の円筒部231における径方向内側(矢印d方向)の内周面231nと、突部分353における径方向外側(矢印c方向)の外周面353gとの間が所定の距離d1(r2-r1)だけ離れている。
【0052】
これにより、突起部350の突部分353と、ロータヨーク230の円筒部231と、マグネットmgの上端面mguとの間には、円環状の溝部としてのポケット空間350pが形成されている。
【0053】
実際上、金型においてロータヨーク230の円筒部231をハブ311にインサートし、円筒部231の貫通孔234に当該ハブ311の溶融樹脂を流し込んで成形することにより、係止部352および突部分353を有する突起部350が形成される。
【0054】
以上の構成において、ファンモータ100では、インペラ300のハブ311における突起部350がロータヨーク230の円筒部231の貫通孔234に入り込んだ状態で一体に形成されているため、インペラ300の回転時に当該インペラ300が遠心力によりロータヨーク230から抜け出てしまうことを防止することができる。
【0055】
また、ファンモータ100では、従来のように、ロータヨーク230の円盤部232に貫通孔を設け、そこにインペラ300のハブ311の一部を入り込むようにするのではなく、ロータヨーク230の円筒部231の貫通孔234にハブ311の一部である突起部350を入り込ませるようにした。これによりファンモータ100は、全体的にシャフト210のX軸方向に長くならずに済み、全体の高さを低くして小型することができる。
【0056】
さらに、ファンモータ100は、ロータヨーク230の円筒部231の内周面231nにマグネットmgを接着剤等により固定する際、突起部350の突部分353の下端面353dとマグネットmgの上端面mguとを当接させることができる。これにより、ファンモータ100では、円筒部231の内周面231nにマグネットmgを固定する際のX軸方向における高さを容易に決定することができる。
【0057】
突起部350の突部分353の下端面353dとマグネットmgの上端面mguとを隣接または当接させた場合、円筒部231と、突部分353と、マグネットmgとの3要素により断面矩形状かつ環状のポケット空間350pが形成される。
【0058】
マグネットmgは、円筒部231の内周面231nに押し当てられ、突部分353の下端面353dに隣接または当接するまで下流側(矢印b方向)から上流側(矢印a方向)へ押し上げられる。
【0059】
このとき、円筒部231の内周面231nとマグネットmgとの間に存在する接着剤についても、マグネットmgによりしごかれて上流側(矢印a方向)へ押し上げられるので、押し上げられた接着剤をポケット空間350pに収容することができる。
【0060】
なお、円筒部231の内周面231nに対してマグネットmgが固定される際に、接着剤を用いるのではなく、圧入される場合には、接着剤ではなく、マグネットmgの上側端部に存在するバリ等をポケット空間350pに収容することができる。
【0061】
因みに、突起部350のポケット空間350pは、円筒部231の内周面231nに対してマグネットmgを接着剤で固定する場合であっても、当然に接着剤に加えてバリについても収容することができる。
【0062】
ファンモータ100では、インペラ300のハブ311に設けられた突起部350の係止部352がロータヨーク230の円盤部232に係止されているだけではなく、ロータヨーク230の上蓋部340と、突起部350の係止部352との間に円盤部232を挟み付けている。
【0063】
このため、インペラ300のハブ311とロータヨーク230の円盤部232とが強固に固定されることになり、インペラ300の回転時に当該インペラ300がロータヨーク230からX軸方向の上流側(矢印a方向)へ抜け出てしまうことを防止することができる。
【0064】
以上、本発明の送風装置について、好ましい実施の形態を挙げて説明したが、本発明の送風装置は上記実施の形態の構成に限定されるものではない。例えば、ファンモータ100は、アウターロータ型のモータであるが、本発明のモータは、インナーロータ型のモータであってもよい。
【0065】
また、本発明においては、円盤部232における径方向外側(矢印c方向)の端部、すなわち、円筒部231と円盤部232とが交差する角部に平面視矩形状の貫通孔234を設けるようにした場合について述べた。しかしながら、本発明はこれに限らず、円筒部231の一部に平面視円形やその他種々の形状からなる貫通孔を設け、その貫通孔にハブ311における突起部350が入り込むようにしてもよい。
【0066】
その他、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の送風装置を適宜改変し、また各種構成の組み合わせを変更することができる。かかる変更によってもなお本発明の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
【符号の説明】
【0067】
100…ファンモータ、200…モータ、210…シャフト、230…ロータヨーク、231…円筒部、231n…内周面、232…円盤部、232u…上端面、232d…下端面、233…軸保持部、234…貫通孔、240…ロータ、250…ステータ、251…ステータコア、252…インシュレータ、260…軸受装置、262…保持部材、263,264…軸受、300…インペラ、311…ハブ、311a…開口部、312…羽根、330…円筒部、340…上蓋部、350…突起部、350n…内周面、350p…ポケット空間、352…係止部、352u…上端面、353…突部分、353g…外周面、353d…下端面、360…結合体、400…ケーシング、401,402…開口部、410…側壁、410a…内周面、420…ベース、420a…基部、420b…外周壁、420c…内周壁、430…スポーク、500…回路基板、sp…コイルバネ、mg…マグネット、mgu…上端面。