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  • 特開-歯車研削盤 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024180075
(43)【公開日】2024-12-26
(54)【発明の名称】歯車研削盤
(51)【国際特許分類】
   B23F 23/12 20060101AFI20241219BHJP
   B24B 53/075 20060101ALI20241219BHJP
   B24B 45/00 20060101ALI20241219BHJP
   B23Q 3/155 20060101ALI20241219BHJP
【FI】
B23F23/12
B24B53/075
B24B45/00 A
B23Q3/155 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023099512
(22)【出願日】2023-06-16
(71)【出願人】
【識別番号】391003668
【氏名又は名称】トーヨーエイテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】國重 正博
【テーマコード(参考)】
3C002
3C025
3C034
3C047
【Fターム(参考)】
3C002AA06
3C002BB07
3C002DD06
3C002FF09
3C002KK04
3C002LL06
3C025HH07
3C034AA13
3C034AA19
3C034BB66
3C047CC08
3C047CC12
(57)【要約】
【課題】歯車研削盤において、装置の大型化及びコストの増大を招くことなく、砥石の自動交換を可能にする。
【解決手段】砥石5を回転可能な砥石回転軸5aと、砥石回転軸に隣接し、砥石回転軸と交差する方向に延びるテーブル回転軸4aを有し、テーブル回転軸を中心に回転可能な回転テーブル4と、砥石回転軸に対して砥石5を進退可能に構成された砥石搬送装置8と、回転テーブルに設けられるワーク回転軸7aを有し、テーブル回転軸を中心に旋回可能であるとともに、ワーク回転軸を中心にワークを回転可能である少なくとも2つのワーク加工部41と、回転テーブルの周縁部よりも内側に設けられ、テーブル回転軸を中心に旋回可能であり、少なくとも2つの砥石を収容可能な砥石収容部42と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
砥石を回転可能な砥石回転軸と、
前記砥石回転軸に隣接し、前記砥石回転軸と交差する方向に延びるテーブル回転軸を有し、前記テーブル回転軸を中心に回転可能な回転テーブルと、
前記砥石回転軸に対して砥石を進退可能に構成された砥石搬送装置と、
前記回転テーブルに設けられるワーク回転軸を有し、前記テーブル回転軸を中心に旋回可能であるとともに、前記ワーク回転軸を中心にワークを回転可能である少なくとも2つのワーク加工部と、
前記回転テーブルの周縁部よりも径方向内側に設けられ、前記テーブル回転軸を中心に旋回可能であり、少なくとも2つの砥石を収容可能な砥石収容部と、を備えることを特徴とする歯車研削盤。
【請求項2】
前記砥石搬送装置は、前記回転テーブルの周縁部よりも内側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の歯車研削盤。
【請求項3】
前記砥石搬送装置は、前記砥石収容部と前記砥石回転軸の間において砥石を進退させることを特徴とする請求項2に記載の歯車研削盤。
【請求項4】
前記回転テーブルは、前記ワーク加工部と前記砥石収容部との間を仕切る隔壁を備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯車研削盤。
【請求項5】
前記回転テーブルは、前記砥石回転軸に取り付けられた砥石をドレスするためのドレス装置を前記テーブル回転軸を中心に旋回可能に備えることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の歯車研削盤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、歯車研削盤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、被加工物である歯車へ砥石を噛み合わせ、歯車の歯面を仕上げ加工する歯車研削盤が知られている。歯車研削盤には、例えば特許文献1に示されるように、回転プレート上に複数の被加工物用スピンドルが回転可能に支持される構成のものがある。このような歯車研削盤では、一の被加工物用スピンドルに設置された被加工物を砥石によって研磨している間に、他の被加工用スピンドルに設置された加工済みの被加工物を取外し、新たな未加工の被加工物を設置することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第4475817号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、歯車研削盤に用いられる砥石は大きく重いため、砥石を交換する際、作業者に負担が掛かることや、作業に時間が掛かるという問題がある。しかしながら、砥石を自動で交換する装置を従来の歯車研削盤へ組み込むと、装置の大型化やコストの増大を招くという問題があった。
【0005】
本開示は斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、歯車研削盤において、装置の大型化及びコストの増大を招くことなく、砥石の自動交換を可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、この開示技術では、回転テーブル上に複数の砥石を収容可能とした。具体的には、本開示では、
砥石を回転可能な砥石回転軸と、
前記砥石回転軸に隣接し、前記砥石回転軸と交差する方向に延びるテーブル回転軸を有し、前記テーブル回転軸を中心に回転可能な回転テーブルと、
前記砥石回転軸に対して砥石を進退可能に構成された砥石搬送装置と、
前記回転テーブルに設けられるワーク回転軸を有し、前記テーブル回転軸を中心に旋回可能であるとともに、前記ワーク回転軸を中心にワークを回転可能である少なくとも2つのワーク加工部と、
前記回転テーブルの周縁部よりも内側に設けられ、前記テーブル回転軸を中心に旋回可能であり、少なくとも2つの砥石を収容可能な砥石収容部と、を備える。
【0007】
上記の構成によれば、回転テーブル上のスペースを活用して砥石収容部を設け複数の砥石を収容可能とし、テーブル回転軸の駆動力を用いて砥石を砥石回転軸の近傍へ搬送可能としたため、装置の大型化を防ぐとともに、砥石の交換作業における作業者の負担を軽減することができる。また、回転テーブル上にワーク加工部と砥石収容部を設けたことで、効率的に連続加工を行うことができる。砥石収容部がワーク加工部と同じ回転軌道上を移動可能となり、砥石収容部を回転テーブル外に設ける場合よりも、砥石収容部から砥石回転軸までの距離を短くできるので、砥石搬送装置の作動距離を短くできるという点も、装置の大型化防止に寄与できる。
【0008】
前記砥石搬送装置は、前記回転テーブルの周縁部よりも内側に設けられてもよい。
【0009】
上記の構成によれば、砥石搬送装置を回転テーブルの外側に設けた場合よりも砥石搬送装置の作動距離を短くできるため、より効果的に装置の大型化を防止できる。
【0010】
また、前記砥石搬送装置は、前記砥石収容部と前記砥石回転軸の間において砥石を進退させるものであってもよい。
【0011】
上記の構成によれば、砥石搬送装置の導入にかかるコストを最小限に留め、歯車研削盤の大型化を防ぐとともに、砥石回転軸に対する砥石交換作業の負担をより効果的に軽減することが可能となる。また、このように進退可能に構成された砥石搬送装置は、歯車研削盤のカバーの外側へ砥石を搬送することが可能である。作業者は、歯車研削盤のカバー外へ露出した砥石に対して交換作業を行うことが可能となるため、カバー内において砥石を交換するよりも作業性が格段に優れる。
【0012】
また、前記回転テーブルは、前記ワーク加工部と前記砥石収容部との間を仕切る隔壁を備えてもよい。
【0013】
上記の構成によれば、ワーク加工部と砥石収容部とを隔壁で仕切ることで、例えば、ワーク加工部においてワークが研削加工されている間に、砥石収容部に対して砥石の交換作業を安全に行うことが可能となる。また、例えば、研削加工中に砥石が摩耗した場合も、砥石収容部にストックされている新しい砥石を自動で交換することが可能となり、効率的に加工を行うことができる。
【0014】
また、前記回転テーブルは、前記砥石回転軸に取り付けられた砥石をドレスするためのドレス装置を前記テーブル回転軸を中心に旋回可能に備えてもよい。
【0015】
上記の構成によれば、例えば、ワークの交換中や、砥石収容部に対する砥石の交換中に、砥石をドレスすることが可能となり、より効率的に加工を行うことができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本開示によると、装置の大型化及びコストの増大を招くことなく、砥石の自動交換を可能にする歯車研削盤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本実施形態の歯車研削盤の概略斜視図である。
図2】本実施形態の歯車研削盤の概略平面図である。
図3】本実施形態の歯車研削盤の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0019】
図1は本実施形態に係る歯車研削盤の斜視図、図2は平面図、図3は側面図である。図1から図3に示すように、本実施形態に係る歯車研削盤1は、歯車等の被加工物11,12,13(以下、ワークという)を、回転する砥石5によって研削する装置である。
【0020】
以下、本実施形態では、図3のように、砥石コラム3と回転テーブル4が並ぶ方向を左右方向として見たときに、その左右方向をX軸方向、X軸に直交する紙面奥行方向をY軸方向、砥石コラム3が立設する上下方向をZ軸方向とする。
【0021】
歯車研削盤1は、後述する各回転軸や搬送装置を駆動するモータ等の駆動装置を収容する筐体として略直方体状のベッド2を備える。ベッド2の上面には、砥石コラム3と回転テーブル4とが隣接して配置される。ベッド2は、長手方向の一端側の上部に砥石コラム3が立設し、他端側の上部に回転テーブル4が配置される。また、歯車研削盤1は、カバー100によってその外周を覆われている。カバー100は、図2にのみ示し、図1及び図3においては省略した。カバー100は、回転テーブル4の外周において、開閉可能な作業用扉101を複数備える。作業用扉101は、作業者による回転テーブル4への砥石の交換や、後述するワーク交換装置9によるワークの交換を可能にする。
【0022】
砥石コラム3は、X軸方向に移動可能であり、回転テーブル4に対して進退可能である。砥石コラム3は、Y軸方向及びZ軸方向に駆動する砥石移動装置31と、砥石5を回転可能かつ着脱可能に支持する砥石ヘッド32とを備える。砥石移動装置31は、Z軸方向に移動可能なZ方向スライダ(図示省略)を備え、そのZ方向スライダに、Y軸方向に移動可能なY方向スライダ(図示省略)が設けられて、Y軸方向及びZ軸方向に駆動可能に構成されている。砥石ヘッド32は砥石移動装置31によってY軸方向及びZ軸方向に移動可能である。砥石ヘッド32は、Y軸方向に延びる砥石回転軸5aとX軸方向に延びる砥石角度回転軸5bを有し、砥石5を回転駆動する。砥石5は、図1及び図3に示すように、砥石回転軸5aを中心に、B方向(正逆両方向)に回転可能かつ、砥石角度回転軸5bを中心にA方向(正逆両方向)に回転可能である。このような砥石コラム3の構成により、砥石ヘッド32は、X,Y,Z,A方向に移動及び回転可能である。砥石コラム3において、砥石5は回転テーブル4側の面に設けられ、砥石回転軸5aと回転テーブル4とが隣接して配置される。砥石コラム3、砥石移動装置31及び砥石回転軸5aを駆動する各モータ(図示省略)は、ベッド2内に収容される。
【0023】
回転テーブル4は、円形の上面を有する略円柱状の部材である。本実施形態において、回転テーブル4は、砥石コラム3とX軸方向に隣接して設けられる。回転テーブル4は、砥石回転軸5aと直交する方向に延びるテーブル回転軸4aを有し、テーブル回転軸4aを中心に回転可能である。本実施形態において、テーブル回転軸4aは、Z軸方向に延びる。回転テーブル4は、図1及び図2に示すように、テーブル回転軸4aを中心にC1方向(正逆両方向)に回転可能である。テーブル回転軸4aを駆動するモータ40は、回転テーブル4内及びベッド2内に収容される。
【0024】
回転テーブル4には、2つのワーク加工部41,41、砥石収容部42及びドレッシング部43が設けられる。ワーク加工部41、砥石収容部42及びドレッシング部43は、回転テーブル4の回転に伴い、同じ回転軌道上を移動する。回転テーブル4の上面には、ワークコラム7が立設する。ワークコラム7によって、ワーク加工部41,41と、砥石収容部42と、ドレッシング部43が区画される。なお、図2及び図3においては、ワークコラム7の一部を省略した。
【0025】
具体的には、ワークコラム7は、回転テーブル4の略中央に立設してテーブル回転軸4aを収容する柱部71と、柱部71から放射状に延びて回転テーブル4上を4つのエリアに区画する4つの隔壁72を有する。ワーク加工部41,41、砥石収容部42及びドレッシング部43は、それぞれ隔壁72によって区画される。また、ワークコラム7には、ワーク11,12を鉛直方向(W方向)の上方から押さえるテールストック70が設けられる。なお、図2及び図3においては、テールストック70を省略した。
【0026】
隔壁72は、柱部71から回転テーブル4の径方向外側に延びるとともに、回転テーブル4の上面からZ軸方向に延びる。また、図2に示すように、歯車研削盤1の外周を覆うカバー100は、テーブル回転軸4aと砥石回転軸5aとの間において、その内側面から回転テーブル4へ向かってY軸方向に延びるカバー隔壁102を有し、カバー隔壁102は、回転テーブル4上の隔壁72と連接可能である。隔壁72を、少なくともワーク加工部41と砥石収容部42との間を仕切るように設けることで、例えば、ワーク11の研削加工中に、作業者が作業用扉101を開放し、砥石収容部42に対して砥石の交換作業を安全に行うことが可能となる等、作業が効率化できる。
【0027】
ワーク加工部41は、テーブル回転軸4aの回転に伴い、テーブル回転軸4aを中心に旋回可能である。ワーク加工部41は、回転テーブル4を挿通するように設けられる複数のワーク回転軸7aを有する。ワーク回転軸7aは、テーブル回転軸4aと同じ方向、つまり、Z軸方向に延びる。ワーク回転軸7aは、テーブル回転軸4aの径方向外側に配置される。本実施形態では、2つのワーク回転軸7a,7aを、テーブル回転軸4aを挟んで向かい側に配置する。テーブル回転軸4aは、その上端部にワーク11,12を回転可能かつ着脱可能に保持する。ワーク11,12は、テーブル回転軸4aの回転に伴い、テーブル回転軸4aを中心に旋回可能である。また、ワーク11,12は、図2に示すように、それぞれワーク回転軸7aを中心にC2,C3方向(正逆両方向)に回転可能である。ワーク加工部41の上方において、テールストック70が鉛直方向(W方向)に移動可能に設けられる。テールストック70は、ワーク回転軸7aに取り付けられたワーク11,12に対向してそれぞれ設けられる。テールストック70は、上方から回転テーブル4へ向かってワーク11,12を押さえ、ワーク回転軸7aとともにワーク11,12を保持する。
【0028】
砥石収容部42は、テーブル回転軸4aの回転に伴い、テーブル回転軸4aを中心に旋回可能である。砥石収容部42は、回転テーブル4上に設けられる。具体的には、回転テーブル4に砥石5が納まるほどに、回転テーブル4の周縁部よりも径方向内側に設けられる。砥石収容部42には、少なくとも2つの砥石5を収容可能である。砥石収容部42に収容される砥石5は交換用の砥石であり、加工後に砥石回転軸5aから取り外された砥石、及び、摩耗した砥石と交換される新しい砥石である。本実施形態では、2つの砥石収容部42をZ軸方向に並べて配置した。砥石収容部42において、回転テーブル4の周縁部よりも径方向内側に砥石搬送装置8が設けられる。砥石搬送装置8は、回転テーブル4の外側でなく内側に設けられることで、外側に設けた場合よりも作動距離をより短くできるため、より効果的に装置の大型化を防止できる。
【0029】
砥石搬送装置8は、具体的には、柱部71に設けられる。砥石搬送装置8は、砥石収容部42における砥石の収容個数に応じて複数設けられ、それぞれが砥石5を保持可能である。砥石搬送装置8は、砥石回転軸5aに対して砥石5の取り外し動作および取り付け動作を行うように構成される。砥石搬送装置8は、砥石収容部42と砥石回転軸5aの間を進退可能である。従来の歯車研削盤は、上記のような砥石コラム3の構成により、砥石回転軸5aをX,Y,Z,A方向に移動及び回転可能である。砥石回転軸5aが砥石搬送装置8の砥石を受け取り又は取り外し可能に移動及び回転するため、砥石搬送装置8は少なくとも砥石収容部42と砥石回転軸5aの間を進退可能であればよい。砥石を一方向へ搬送するための駆動装置を少なくとも備えればよいため、砥石搬送装置8を導入するコストを削減でき、歯車研削盤の大型化も防ぐことができる。
【0030】
具体的には、砥石搬送装置8は、柱部71から径方向外側に延びる砥石搬送アームを有する。砥石搬送装置8は、砥石搬送アームに砥石5を載置又は挟持させることが可能である。本実施形態では、図1から3に示すように、砥石搬送アームは、砥石の回転軸が鉛直方向となるよう砥石を保持するが、砥石の回転軸が水平方向となるよう保持してもよい。砥石搬送アームは、柱部71から径方向外側に進退可能である。言い換えれば、砥石搬送アームは、砥石収容部42が砥石回転軸5aの正面に位置した際に、砥石収容部42と砥石回転軸5aの間を進退可能である。また、このように進退可能に構成された砥石搬送装置8は、歯車研削盤1のカバー100の外側へ砥石を搬送することも可能である。例えば、砥石収容部42が図2の位置にある場合、砥石搬送アームは、柱部71から作業用扉101へ向かって延び、作業用扉101を介してカバー100の内部と外部を出入り可能である。作業者は、砥石搬送アームによって作業用扉101の外へ露出した砥石52に対して交換作業を行うことが可能となるため、カバー100内において砥石を交換するよりも作業性が格段に優れる。
【0031】
本実施形態において、砥石収容部42に2つの砥石搬送装置81,82を設け、2つの砥石5を収容可能としたが、例えば、一方の砥石搬送装置81には、交換用の新しい砥石52を保持し、他方の砥石搬送装置82は、摩耗した砥石51を収容できるようにスペースをあけておくことができる。このような状態にしておけば、ワーク11の加工完了後、テーブル回転軸4aの回転によって砥石収容部42が砥石回転軸5aの正面に位置した後、空の砥石搬送装置82が砥石回転軸5aへ向かって前進するとともに、砥石コラム3及び砥石ヘッド32が砥石回転軸5aをX,Y,Z,A方向に移動及び回転させ、摩耗した砥石51を砥石搬送装置82へ載せることができる。そして、摩耗した砥石51を載せた砥石搬送装置82が後退するとともに、新しい砥石52を載せた砥石搬送装置81が砥石回転軸5aへ向かって前進し、砥石回転軸5aへ新しい砥石52を取り付け可能とすることができる。このように、回転テーブル4を回転させることなく、摩耗した砥石51の取り外しと新しい砥石52の取り付けを効率良く行うことが可能となる。
【0032】
ドレッシング部43は、テーブル回転軸4aの回転に伴い、テーブル回転軸4aを中心に旋回可能である。ドレッシング部43は、回転テーブル4上に設けられる。ドレッシング部43には、砥石回転軸5aに取り付けられた砥石51をドレスするためのドレス装置6が配置されている。ドレス装置6は、ドレッシング部43が砥石回転軸5aの正面に位置した状態で砥石回転軸5aと平行な方向(Y軸方向)へ延びるドレッサ回転軸6aを備える。
【0033】
回転テーブル4がテーブル回転軸4aを中心に回転すると、ワーク加工部41,41、砥石収容部42及びドレッシング部43が、テーブル回転軸4aを中心に旋回する。本実施形態では、回転テーブル4が90°ずつ区画され4つの領域に分かれている。そのため、例えば、図2のように、一方のワーク加工部41が砥石回転軸5aの正面に位置する状態から、テーブル回転軸4aが時計回りに90°回転すると、ドレス装置6が砥石回転軸5aの正面に位置し、ドレス装置6が砥石51をドレスすることができる。
【0034】
歯車研削盤1は、回転テーブル4に隣接するワーク交換装置9を備えてもよい。ワーク交換装置9は、図2にのみ示し、図1及び図3においては省略した。図2に示すように、ワーク交換装置9は、搬送回転軸9aと、複数のワーク搬送アーム91,92を有する。ワーク交換装置9は、搬送回転軸9aを中心に回転可能である。搬送回転軸9aは、テーブル回転軸4aと同じ方向、つまり、Z軸方向に延びる。搬送回転軸9aは、カバー100の外側に設けられる。ワーク搬送アーム91,92は、搬送回転軸9aから水平方向に延び、本実施形態では、2つのワーク搬送アーム91,92が搬送回転軸9aを挟んで両側に設けられる。ワーク搬送アーム91,92は、図2に示すように、搬送回転軸9aを中心にC4(正逆両方向)に回転可能である。ワーク搬送アーム91,92は、搬送回転軸9aを中心に回転することで、作業用扉101を介してカバー100の内部と外部を出入り可能である。ワーク搬送アーム91,92は、その端部にワーク12,13を挟持可能であり、ワーク回転軸7aに対してワーク12,13を取り外し及び取り付け可能である。例えば、図2において、加工済みのワーク12を未加工のワーク13へ交換することが可能である。
【0035】
(作用効果)
このように構成した本実施形態の歯車研削盤1は、回転テーブル4上のスペースを活用して砥石収容部42を設け複数の砥石を収容可能とし、テーブル回転軸4aの駆動力を用いて砥石を砥石回転軸の近傍へ搬送可能としたため、装置の大型化を防ぐとともに、砥石の交換作業における作業者の負担を軽減することができる。また、回転テーブル4上にワーク加工部41と砥石収容部42を設けたことで、効率的に連続加工を行うことができる。また、砥石収容部42とワーク加工部41とが同じ回転軌道上を移動可能となるため、砥石収容部42を回転テーブル4の外側に設ける場合よりも砥石収容部42から砥石回転軸5aまでの距離を短くでき、砥石搬送装置8の作動距離も短くできるという点も、装置の大型化防止に寄与できる。
【0036】
(他の実施形態)
本実施形態では、2つのワーク回転軸7a,7aを、テーブル回転軸4aを挟んで向かい側に配置し、2つのワーク加工部41,41の間に砥石収容部42とドレッシング部43を配置したが、ワーク加工部41、砥石収容部42及びドレッシング部43の配置はこれに限らず、例えば、2つのワーク加工部41が隣合う配置としてもよい。
本実施形態では、2つの砥石収容部42をZ軸方向に並べて配置したが、砥石収容部の数は3つ以上であってもよく、その配置もZ軸方向には限定されない。
【符号の説明】
【0037】
1 歯車研削盤
2 ベッド
3 砥石コラム
4 回転テーブル
4a テーブル回転軸
5 砥石
5a 砥石回転軸
5b 砥石角度回転軸
6 ドレス装置
6a ドレッサ回転軸
7 ワークコラム
7a ワーク回転軸
8 砥石搬送装置
9 ワーク交換装置
9a 搬送回転軸
11,12,13 ワーク
31 砥石移動装置
32 砥石ヘッド
41 ワーク加工部
42 砥石収容部
43 ドレッシング部
51,52 砥石
81,82 砥石搬送装置
91,92 ワーク搬送アーム
100 カバー
101 作業用扉
102 カバー隔壁
図1
図2
図3